説明

スキャトロメータの非対称性を測定する方法、基板のオーバレイエラーを測定する方法および計測装置

【課題】スループット時間を大幅に増加させることなく、TISおよび/または瞳面の中心を求める際のエラーを補償し、或いは、軽減する方法および装置を提供する。
【解決手段】スキャトロメータの非対称性を測定する方法において、ターゲット部分を、第一には0°の基板回転で、第二には180°の基板回転で、2回照明する。これらの像の一方を回転し、次に回転したその像を他方の像から引く。この方法で、スキャトロメータの非対称性を補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は例えばリソグラフィ技術によるデバイスの製造に使用可能な検査の方法、およびリソグラフィ技術を使用してデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つまたは幾つかのダイの一部を備える)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる網の目状の互いに近接したターゲット部分を含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所定の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行にスキャンしながら、パターンを所定の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを具備している。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン化された基板のパラメータ、例えばその中またはその上に形成された連続層間のオーバレイエラーを測定することが望ましい。リソグラフィプロセスで形成された顕微鏡的構造を測定するには、走査電子顕微鏡および様々な専門ツールの使用など、様々な技術がある。専門的な検査ツールの1つの形態はスキャトロメータであり、ここでは放射ビームを基板の表面上のターゲットへと誘導し、散乱または反射したビームの特性を測定する。基板による反射または散乱前および後のビームの特性を比較することによって、基板の特性を求めることができる。これは、例えば反射ビームを、既知の基板特性に関連する既知の測定値のライブラリに記憶されているデータと比較することによって実行することができる。主な2つのタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは、広帯域ビームを基板に誘導し、特定の狭い角度範囲に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射ビームを使用し、角度の関数として散乱放射の強度を測定する。偏光分析装置も偏光状態を測定する。
【0004】
[0004] スキャトロメータの非対称性(ツールが誘発したシフト(TIS)として現れる)、さらに瞳面の中心を求める際のエラーは、オーバレイエラーの測定に困難を引き起こすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] TISおよび/または瞳面の中心を求める際のエラーを補償するか、軽減する方法および装置を提供することが望ましい。これは、スループット時間を大幅に増加せずに実行することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本発明の実施形態によれば、スキャトロメータの非対称性を測定する方法が提供され、方法は、ターゲットパターンを放射で第一に照明し、スキャトロメータを使用してターゲットパターンによって反射および/または散乱した放射の第一の2次元角散乱スペクトルを測定して、ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で、強度を測定することと、スキャトロメータの光軸に実質的に直角の面で、ターゲットパターンとスキャトロメータを約180°相対的に回転させることと、ターゲットパターンを放射で第二に照明し、スキャトロメータを使用して2次元角散乱スペクトルを測定し、ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で強度を測定して、その角散乱スペクトルを約180°回転させ、第二の2次元角散乱スペクトルを生成することと、複数の予め決定した位置のそれぞれで、第一の2次元角散乱スペクトルの予め決定した個々の位置を、第二の2次元角散乱スペクトルの予め決定した個々の位置から引くことによって、予め決定した複数の角度位置それぞれのセンサ補正値を生成することと、を含む。
【0007】
[0007] 本発明の実施形態によれば、照明ビームの非対称性によるスキャトロメータの非対称性を測定する方法が提供され、方法は、スキャトロメータの検出器を使用して、照明ビームの断面で検出器に対する予め決定した複数の位置で照明ビームの放射の強度を第一に測定して、第一強度マップを生成することと、照明ビームの軸に対して実質的に直角の面で照明ビームとスキャトロメータを約180°相対的に回転させることと、検出器を使用して検出器に対して予め決定した複数の位置で照明ビームの放射の強度を第二に測定して、これによって生成された強度マップを180°回転して、第二強度マップを生成することと、予め決定した複数の位置それぞれで、第一強度マップの予め決定した個々の位置における強度を、第二強度マップの予め決定した個々の位置における強度から引くことによって、予め決定した複数の位置それぞれの照明の非対称性の補正値を生成することと、を含む。
【0008】
[0008] 本発明の実施形態によれば、基板の特性を測定するように構成された計測装置が提供され、装置は、基板のターゲット部分を放射で照明するように構成された放射投影装置と、ターゲット部分に対して予め決定した複数の角度位置で、ターゲット部分から反射および/または散乱した放射の強度を測定するように構成された検出器と、ターゲット部分に対して実質的に直角の面でターゲット部分およびスキャトロメータを約180°相対的に回転させるように構成されたシステムと、放射でのターゲットパターンの照明を制御し、検出器を使用することによってターゲットパターンが反射および/または散乱した放射の第一の2次元角散乱スペクトルを求めて、ターゲットパターンに対して予め決定した複数の角度位置で強度を測定し、スキャトロメータの光軸に対して実質的に直角の面でターゲットパターンとスキャトロメータを約180°相対的に回転させ、次に放射でのターゲットパターンの照明を制御して、検出器を使用して2次元角散乱スペクトルを測定し、ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で強度を求め、その角散乱スペクトルを約180°回転して、第二の2次元角散乱スペクトルを生成し、予め決定した複数の角度位置それぞれについて、第一の2次元角散乱スペクトルの予め決定した個々の位置における強度を、第二の2次元角散乱スペクトルの予め決定した個々の位置における強度から引くことによってセンサ補正値を生成するような構成である制御装置と、を含む。
【0009】
[0009] 次に、本発明の実施形態を添付の略図を参照しながら、ほんの一例として説明する。図面では対応する参照記号は対応する部品を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[00017] 図1aは、リソグラフィ装置LAを概略的に示したものである。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つまたは複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PLとを含む。
【0011】
[0018] 照明システムは、放射の誘導、成形、または制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、またはその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0012】
[00019] 支持構造体は、パターニングデバイスを支持、つまりその重量を支えている。該支持構造体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造体は、例えばフレームまたはテーブルでよく、必要に応じて固定式または可動式でよい。支持構造体は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」または「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0013】
[00020] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
【0014】
[00021] パターニングデバイスは透過性または反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、減衰型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0015】
[00022] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システムおよび静電気光学システム、またはその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
【0016】
[00023] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、または反射マスクを使用する)。
【0017】
[00024] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つまたは複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つまたは複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0018】
[00025] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆るタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に使用してもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造体を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0019】
[00026] 図1aを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0020】
[00027] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側および/または内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0021】
[00028] 放射ビームBは、支持構造体(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターンが与えられる。放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPLを通過する。第二位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダまたは容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1aには明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。一般的に、支持構造体(例えばマスクテーブルまたはパターン支持体)MTの移動は、第一位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールの助けにより実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造体(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット位置を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(スクライブレーンアラインメントマークと呼ばれる)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0022】
[00029] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0023】
[00030] 1.ステップモードにおいては、支持構造体(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0024】
[00031] 2.スキャンモードにおいては、支持構造体(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。支持構造体(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの拡大(縮小)および像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0025】
[00032] 3.別のモードでは、支持構造体(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動またはスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、またはスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0026】
[00033] 上述した使用モードの組合せおよび/または変形、または全く異なる使用モードも利用できる。
【0027】
[00034] 図1bに示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたはクラスタと呼ばれることもあるリソグラフィセルLCの一部を形成し、これは基板で露光前および露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これはレジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像する現像器DE、チルプレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラ、つまりロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り上げ、これを異なるプロセス装置間で移動させ、これをリソグラフィ装置の装填ベイLBへと送出する。これらの装置は、往々にしてまとめてトラックと呼ばれ、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、これ自体が監視制御システムSCSに制御され、これはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、様々な装置を操作して、スループットおよび処理効率を最大限にすることができる。
【0028】
[00035] リソグラフィ装置によって露光する基板を正確かつ一貫して露光するために、露光した基板を検査して、引き続く層間のオーバレイエラー、線の太さ、限界寸法(CD)などの特性を測定することが望ましい。エラーが検出された場合は、特に同じバッチの他の基板をまだ露光するのに十分なほど即座に、かつ迅速に検査を実行できる場合、引き続く基板の露光を調節することができる。また、既に露光した基板を取り除いて再加工し、歩留まりを改善するか、廃棄し、それによって欠陥があることが分かっている基板での露光の実行を回避することができる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合は、良好であるターゲット部分のみで、さらなる露光を実行することができる。
【0029】
[00036] 検査装置を使用して、基板の特性を、特に異なる基板または同じ基板の異なる層で、特性が層毎にいかに異なるかを求める。検査装置は、リソグラフィ装置LAまたはリソセルLCに組み込むか、独立式器具でよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光したレジスト層で特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像はコントラストが非常に低く、放射で露光したレジストの部分と露光していない部分とには、屈折率に非常に小さい差しかなく、全ての検査装置が、潜像を有効に測定するほど十分な感度を有するわけではない。したがって、習慣的に露光した基板で実行する最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分とのコントラストを向上させる露光後ベークステップ(PEB)の後に、測定を実行することができる。この段階で、レジスト内の像を半潜在性と言うことができる。レジストの露光部分または非露光部分が除去されているポイントで、またはエッチングなどのパターン転写ステップの後に、現像したレジスト像を測定することも可能である。後者の可能性は、欠陥がある基板を再加工する可能性を制限するが、それでも有用な情報を提供することができる。
【0030】
[00037] 図2は、本発明の実施形態により使用できるスキャトロメータSM2を示す。この装置では、放射源2が放出した放射が、レンズシステム12を使用して干渉フィルタ13および偏光器17を通して集光され、部分的反射表面16で反射し、好ましくは少なくとも0.9、さらに好ましくは少なくとも0.95という高い開口数(NA)を有する顕微鏡の対物レンズ15を介して基板Wに集光する。液浸スキャトロメータは、開口数が1を超えるレンズを有することもある。次に、反射した放射は部分反射表面16を通過して、散乱スペクトル検出のために検出器18に入る。検出器は、逆投影された瞳面11に配置することができ、これはレンズシステム15の焦点距離Fにある。しかし、瞳面は、補助光学系(図示せず)で検出器へと再結像することができる。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角度を規定し、角度位置が放射の方位角を規定する面である。検出器は、基板ターゲットの2次元角度散乱スペクトルを測定できるように、2次元検出器である。検出器18は、例えばCCDまたはCMOSセンサのアレイでよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒という積分時間を有してよい。
【0031】
[00038] 基準ビームは、例えば入射放射の強度を測定するために使用されることが多い。それを実行するには、放射ビームがビームスプリッタ16に入射すると、その一部が基準ビームとして基準ミラー14に向かってビームスプリッタを透過する。次に、基準ビームを同じ検出器18の異なる部分に投影する。
【0032】
[00039] 例えば405〜790nmの範囲、または200〜300nmなどのさらに低い範囲で対象の波長を選択するために、1セットの干渉フィルタ13が使用可能である。干渉フィルタは、1セットの様々なフィルタを備えるのではなく、調整可能でもよい。干渉フィルタの代わりに、回折格子を使用することができる。
【0033】
[00040] 検出器18は、1つの波長(または狭い波長範囲)で散乱光の強度を測定するか、複数の波長で別個に強度を測定するか、ある波長の範囲にわたって積分した強度を測定することができる。さらに、検出器は、TM(transverse magnetic)分極放射、およびTE(transverse electric)分極光の強度および/またはTM分極光とTE分極光の間の位相差を別個に測定することができる。
【0034】
[00041] 広帯域光源(つまり光の周波数または波長が、したがって色が広範囲にわたる光源)の使用が可能であり、これは大きいエタンデュを与え、複数波長の混合を可能にする。広帯域の複数の波長は、それぞれλdの帯域幅および少なくとも2λdの間隔(つまり波長の2倍)を有することが好ましい。幾つかの放射「源」は、ファイバ束を使用して分割されている拡張放射源の異なる部分でよい。この方法で、角度分解した散乱スペクトルを複数の波長にて並列で測定することができる。3次元スペクトル(波長および2つの異なる角度)を測定することができ、これは2次元スペクトルより多くの情報を含む。これによって、より多くの情報を測定することができ、これは測定プロセスの堅牢性を向上させる。これについては、欧州特許EP1,628,164A号にさらに詳細に記載されている。
【0035】
[00042] 基板W上のターゲットは、現像後にバーが中実レジスト線で形成されるように印刷された回折格子でよい。あるいは、バーを基板にエッチングしてよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLの色収差に敏感であり、照明の非対称性およびこのような収差の存在は、印刷された回折格子の変動として現れる。したがって、印刷された回折格子のスキャトロメータデータを使用して、回折格子を再構築する。印刷ステップおよび/または他のスキャトロメータプロセスの知識から、線の幅および形状などの回折格子のパラメータを、再構築プロセスに入力し、処理ユニットで実行することができる。
【0036】
[00043] 本発明の実施形態では、ツールが誘発したシフト(TIS)として現れるような図2のオーバレイ(スキャトロメータ)センサの非対称性を考慮に入れるためのステップを実行する。
【0037】
[00044] この非対称性を解決する一つの方法は、ターゲットパターン(回折パターン、つまり回折格子に基づくものでよい)を放射で照明し、2次元アレイの予め決定した複数の位置100(つまり検出器の各ピクセル)における反射および/または散乱放射の強度を検出器18で測定することである(通常はその時間にわたって積分する)。
【0038】
[00045] 次に、ターゲット部分を、基板の面(またはスキャトロメータの顕微鏡対物レンズ15の光軸に対して実質的に直角の面)で約180°回転し(つまり基板またはセンサまたは両方を回転し)、再び測定する。
【0039】
[00046] 図2の装置は、ターゲット部分を回転させるように構成された制御装置を含んでよい。ターゲット部分または基板の回転は、従来通りのシステム、例えばモータで実行することができる。制御装置はさらに、放射でのターゲットパターンの照明を制御し、放射のスペクトル(例えば2次元角散乱スペクトル)を求めるように構成することができる。また、制御装置は、以下でさらに詳細に説明するような補正値を出力するような構成でもよい。
【0040】
[00047] 次に、ツールが誘発したシフト(TIS)(例えば瞳面の中心を求める際のエラーであることもある)を、以下の方法で解消することができる。つまり、測定した像のうち最初の像を約180°回転する。これは、図3に概略的に図示されている。
【0041】
[00048] 次に、ピクセル100毎に、第一測定値からの強度の値を、第二測定値の(回転後の)対応する位置におけるピクセルの強度の値から(または逆に)引いて、ピクセル毎に各値を2で割る。これでTISが解消される。というのは、センサの非対称性はウェーハの回転で変化しないからである。次に、この結果からオーバレイエラーを求める。
【0042】
[00049] 残念ながら、TISが通常、プロセスに依存するので、この方法は、基板のスループットを1/2に減少させ、したがってこのシステムは基板全体にわたってプロセスの変動がある場合に、基板の各ターゲットに使用される。
【0043】
[00050] 本発明の実施形態では、以下の方法を使用する。
【0044】
[00051] 上述したようにターゲット部分(例えば回折格子)から反射および/または散乱した放射で同じ2回の測定を実行するが、積分時間を長くする。センサの非対称性を計算し、ピクセル毎に記憶する。つまり、0°と180°の基板回転で、両方の強度測定を各ピクセルで(ターゲットパターンに対して予め決定した複数の角度位置で)実行する。つまり、センサ18の各ピクセルが基板Wのターゲットパターンに対して一定の角度で配置されるように、センサ18がレンズシステム15に対して静止して配置される。
【0045】
[00052] 測定する2次元角散乱スペクトルの一方を、図3に関して上述したように180°回転する。センサの非対称性がない場合、回転したこの2次元角散乱スペクトルは、回転していない角散乱スペクトル(0°および180°基板回転の他方で測定)と同一になるはずである。センサの非対称性があれば、2つの像の違いとして必ず現れ、各ピクセルの非対称性の補正値(またはセンサ補正値)は、2つの2次元角散乱スペクトルの一方の強度(非対称でない場合は同じになるはずである)を他方から引くことによって計算される。この値をピクセル毎に2で割る。
【0046】
[00053] これらの補正値は、基板の回転が0°のターゲット部分のさらなる測定値を補正する際に直接使用することができる。これは、各ピクセルの非対称性の補正値を個々のピクセルで測定した強度の値から引くことによって実行される。
【0047】
[00054] この実施形態では、ピクセルそれぞれの非対称性補正値をセーブし、その補正値を多くの測定に適用して、スループットにほとんど影響を与えないことが可能である。これは、非対称性の補正値が実質的に経時変化しないからである。
【0048】
[00055] 数学的に、較正測定および実際の測定を実行する順番は問題ではないが、較正測定および対応する計算を最初に実行することによって、補正値をオーバレイ測定像からそのまま引くことができ、未補正のオーバレイ像を記憶する必要はなく、これは保存スペースを節約することができる。以下の分析は、以上の方法を詳細に例証する。
【0049】
[00056] ツールが誘発したシフト(TIS)を補正するために、180°の基板回転について、1つのターゲットのみを測定する。この回転した測定を使用して、センサの非対称性を計算し、これはオーバレイ測定の補正に使用することができる。十分な信号対雑音比を達成するために、TIS補正の測定を、例えば400ミリ秒を超えるサンプリング、またはそれぞれ40ミリ秒の10フレームの測定など、長い積分時間(または複数のフレームの平均化)で実行する。
【0050】
[00057] 次に、0°の基板回転で基板のロットを測定する。測定結果を、計算したセンサの非対称性を使用して補正し、次にこれを使用して、通常の方法でオーバレイ値を測定する。
【0051】
分析
[00058] 回折格子のベクトルの方向に小さい横方向シフトxがある2つの重なり合う回折格子について考えてみる。この回折格子を、0°のウェーハ回転について測定し、この場合、1次および−1次回折次数の強度を以下のように書く。
【数1】

【0052】
[00059] ここで、K0は0シフトにおける1次回折効率であり、xは重なり合う回折格子間のシフトであり、K1は1次回折効率のシフトxに対する感度である。センサの非対称性は、項ΔIで表され、I0は平均照明強度である。実際には、xを除き、これらのパラメータは全て瞳面内における位置に依存する。180°の基板回転で、測定強度を以下のように書くことができる。
【数2】

【0053】
[00060] 0°および180°の基板回転における非対称性を以下のように定義する。
【数3】

【0054】
[00061] 1次強度の式を挿入すると、非対称性が得られる。
【数4】

【0055】
[00062] 次に、正規化したセンサの非対称性aおよび正規化した回折格子のオーバレイ感度Kを以下のように定義する。
【数5】

【0056】
[00063] これで、0°および180°の基板回転における非対称性について、以下の単純な式ができる。
【数6】

【0057】
[00064] これらの2つの簡潔な式が、残りの分析の基礎を形成する。第一に、センサの非対称性aおよび0°のみの基板回転で測定した2つの非対称性を含むオーバレイについての式が導出される。第二に、0°および180°の基板回転について1つのオーバレイ回折格子のみを測定することによって、このセンサの非対称性を測定できる方法が示される。
【0058】
[00065] オーバレイは、未知のオーバレイエラーに重ね合わせた異なる(および好ましくは反対の)バイアスdを有する2つの回折格子の対を印刷することによって測定される。したがって、xの異なる2つの値について、非対称性を測定する。
【数7】

【0059】
[00066] これで、0°の基板回転で測定した2つの非対称性が得られる。
【数8】

【0060】
[00067] 次に、この2つの式を以下のように書き換える。
【数9】

【0061】
[00068] これらの2つの等式を加算および減算すると、それぞれ下式が得られる。
【数10】

【0062】
[00069] 測定した非対称性は、和または差としてしか生ぜず、したがって式を単純にするために、下式を定義する。
【数11】

【0063】
[00070] 式(1)を使用して、Kについて下式を書くことができる。
【数12】

【0064】
[00071] 式(2)の項を再構成すると、下式が得られる。
【数13】

【0065】
[00072] 処理に依存する項Kに左右されない式が必要であるので、式(4)に式(3)を代入すると、下式が得られる。
【数14】

【0066】
[00073] この式を再構成すると、下式が得られる。
【数15】

【0067】
[00074] 式(6)を使用すると、測定した非対称性および未知であるが一定のセンサの非対称性の関数として、オーバレイに関する下式が得られる。
【数16】

【0068】
[00075] 十分に小さいセンサの非対称性では、この式は下式によって非常によく近似することができる。
【数17】

【0069】
[00076] 2つの重なり合う回折格子間に未知の(しかし十分に小さい)シフトxがある1つのオーバレイ回折格子を選択する。0°および180°の基板回転について、非対称性を測定する。これらの非対称性を加算および減算すると、それぞれ下式が得られる。
【数18】

【0070】
[00077] これらの2つの式からaおよびKxを正確に解くことができる。実際には、項は両方とも小さく(≒0.2)、項(aKx)2を無視することができる。
【数19】

【0071】
[00078] これは、それでも解くのがかなり厄介な式である。aおよびKxは小さいので、最初の値で反復解法を使用することができる。
【数20】

【0072】
[00079] この方法の一例が、図4から図6に関して図示されている。
【0073】
[00080] 図4は、Copper Damasceneウェーハで取得した生のオーバレイ測定データを示す。波長は550nm、回折格子ピッチは500nmであった。環状照明を使用した。
【0074】
[00081] 図5は、各ピクセルに、上述の方法に従って計算された補正値が割り当てられている非対称性補正マップを示す。次に、図6は、図5の補正値が適用されている図4のデータを示す。照明の不均質性による粒子は、本発明の実施形態により解決されているが、ゼロオーバレイ感度またはゼロ強度による過度のオーバレイエラーの非常に局所的な線は、補正することができない。ゼロ感度またはゼロ強度によるオーバレイエラーは、基本的に解決することが不可能であり、後処理作業中に適切なフィルタリングによって抑制される。しかし、図4と図6の比較から分かるように、本発明の実施形態は、照明の不均質性による粒子を効果的に解決する。
【0075】
[00082] 実際、スキャトロメータは、オーバレイの測定に使用される場合、x方向とy方向のオーバレイを別個に測定するために、2つの異なる照明源を使用することが多い。その場合、異なる照明源は異なる偏光状態(通常は直交)を有する。上述した較正を、照明源毎に繰り返し、測定中に適切な補正を適用することができる。
【0076】
[00083] 上述した方法は、スキャトロメータの全体的な非対称性を補正するために使用することができる。スキャトロメータの非対称性には2つの発生源がある。それは照明分岐および高いNAの対物レンズ(つまり顕微鏡の対物レンズ15)である。図2から、ハーフミラー16を通過し、ミラー14によって検出器18へと反射し、レンズシステム15を通過したり、基板Wに近づいたりしない基準ビームがあることが分かる。検出器18上の関連するビームの像は、基板Wによって反射および/または散乱する照明ビームの部分の瞳面の像と同じサイズおよび形状である。通常は、照明源の振動の効果を消すように、この基準ビームを私用して基準像を正規化する。
【0077】
[00084] 本発明では、上述したのと同様のプロセスを基準ビームで実行し、それによってピクセル毎に照明ビームの非対称性の補正値を生成することができる。次に、これを全体的な非対称性の補正値(つまり上述した方法で取得した補正値)から引いて、レンズシステム15の非対称性を求めることができる。レンズシステム15の非対称性は通常、埃によって引き起こされ、一般的にある時間にわたって比較的安定し、主にレーザから得られる照明分岐の非対称性は非常に変化しやすい。したがって、高いNAの対物レンズの非対称性を記憶し、長期間にわたって使用することができる。
【0078】
[00085] 実施形態では、図2の装置は、予め決定した複数の角度位置のそれぞれについてセンサ補正値を記憶するシステムも含むことができる。このシステムは様々なタイプのメモリを含んでよい。
【0079】
[00086] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」または「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」または「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことは、当業者に明らかである。本明細書に述べている基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、計測ツールおよび/または検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0080】
[00087] 以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスの微細構成によって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスの微細構成を基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0081】
[00088] 本明細書で使用する「放射」および「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長を有する)および極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0082】
[00089] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気および静電気光学部品を含む様々なタイプの光学部品のいずれか、またはその組合せを指す。
【0083】
[00090] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはその内部に記憶されたこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態をとることができる。
【0084】
[00091] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1a】[00010] 本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示した図である。
【図1b】[00011] 本発明の実施形態によるリソグラフィセルまたはクラスタを示した図である。
【図2】[00012] 本発明の実施形態によるスキャトロメータを示した図である。
【図3】[00013] 放射の2次元角散乱スペクトルの180°の回転を示す図である。
【図4】[00014] 本発明の実施形態によるTIS補正なしのオーバレイ測定の放射の2次元角散乱スペクトルを示した図である。
【図5】[00015] 本発明の実施形態による非対称性補正値のマップを示した図である。
【図6】[00016] 本発明の実施形態によるTIS補正後のオーバレイ測定の放射の2次元角散乱スペクトルを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャトロメータの非対称性を測定する方法であって、
ターゲットパターンを放射で第一に照明し、前記スキャトロメータを使用して前記ターゲットパターンによって反射および/または散乱した放射の第一の2次元角散乱スペクトルを測定して、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で強度を測定することと、
前記スキャトロメータの光軸に実質的に直角の面で、前記ターゲットパターンと前記スキャトロメータを約180°相対的に回転することと、
前記ターゲットパターンを放射で第二に照明し、前記スキャトロメータを使用して2次元角散乱スペクトルを測定し、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で強度を測定して、その角散乱スペクトルを約180°回転させ、第二の2次元角散乱スペクトルを生成することと、
前記予め決定した複数の位置のそれぞれで、前記第一の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置を、前記第二の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置から引くことによって、前記予め決定した複数の角度位置それぞれのセンサ補正値を生成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記予め決定した位置における各強度が、少なくとも約200ミリ秒の積分時間にわたって測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め決定した位置における各強度が、少なくとも約400ミリ秒の積分時間にわたって測定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一に照明すること、前記相対的に回転すること、第二に照明すること、および前記生成することが、最初に第一方向に偏光した放射で実行されて、前記第一方向に偏光した放射の前記予め決定した複数の角度位置それぞれについて、非対称性の補正値があれば全て取得し、次に第二方向に偏光した放射で実行されて、前記第二方向に偏光した放射の前記予め決定した複数の角度位置それぞれについて、センサ補正値を取得する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、ピクセルごとに前記センサ補正値を2で割ることによってこれを更新することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
照明ビームの非対称性によるスキャトロメータの非対称性を測定する方法であって、 前記スキャトロメータの検出器で、照明ビームの断面で前記検出器に対する予め決定した複数の位置で前記照明ビームの放射の強度を第一に測定して、第一強度マップを生成することと、
前記照明ビームの軸に対して実質的に直角の面で前記照明ビームと前記スキャトロメータを約180°相対的に回転することと、
前記検出器で、前記検出器に対して前記予め決定した複数の位置で前記照明ビームの前記放射の強度を第二に測定して、生成された強度マップを180°回転して、第二強度マップを生成することと、
前記予め決定した複数の位置それぞれで、前記第一強度マップの前記予め決定した個々の位置における前記強度を、前記第二強度マップの前記予め決定した個々の位置における前記強度から引くことによって、前記予め決定した複数の位置それぞれの照明の非対称性の補正値を生成することと、
を含む方法。
【請求項7】
スキャトロメータの顕微鏡対物レンズにおける非対称性による前記スキャトロメータの非対称性を測定する方法であって、
(1)ターゲットパターンを放射で第一に照明して、前記スキャトロメータを使用することによって前記ターゲットパターンが反射および/または散乱した放射の第一の2次元角散乱スペクトルを測定し、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の角度位置における強度を測定することと、
前記スキャトロメータの光軸に対して実質的に直角の面で、前記ターゲットパターンおよび前記スキャトロメータを約180°相対的に回転することと、
前記ターゲットパターンを放射で第二に照明して、前記スキャトロメータを使用することによって2次元角散乱スペクトルを測定し、前記ターゲットパターンに対して前記予め決定した複数の位置で強度を測定し、その角散乱スペクトルを180°回転して、第二の2次元角散乱スペクトルを生成することと、
前記予め決定した複数の位置それぞれで、前記第一の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置における前記強度を、前記第二の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置における前記強度から引くことによって、前記予め決定した複数の位置それぞれでセンサ補正値を生成することと、
を含む方法を使用して、センサ補正値を取得することと、
(2)前記スキャトロメータの検出器で、照明ビームの断面で前記予め決定した複数の位置で前記照明ビームの放射の前記強度を第一に測定して、第一強度マップを生成することと、
前記照明ビームの軸に対して実質的に直角の面で前記照明ビームと前記スキャトロメータを約180°相対的に回転することと、
前記検出器で、前記予め決定した複数の位置で前記照明ビームの放射の強度を第二に測定して、前記生成された強度マップを180°回転して、第二強度マップを生成することと、
前記予め決定した複数の位置それぞれで、前記第一強度マップの前記予め決定した個々の位置における前記強度を、前記第二強度マップの前記予め決定した個々の位置における前記強度から引くことによって、前記予め決定した複数の位置それぞれの照明の非対称性の補正値を生成することと、
を含む方法を使用して、照明の非対称性の補正値を取得することと、
(3)予め決定した各位置で、前記個々の照明の非対称性の補正値を前記センサ補正値から引いて、予め決定した個々の各位置で顕微鏡対物レンズの非対称性の値を取得することと、
を含む方法。
【請求項8】
基板のオーバレイエラーを測定する方法であって、
放射のビームを前記基板のターゲットパターンに投影することと、
スキャトロメータを使用して、前記ターゲットパターンが反射および/または散乱した放射のオーバレイ2次元角散乱スペクトルを測定して、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の角度位置における強度を測定することと、
予め決定した各位置で、請求項1の方法を使用して取得した予め決定した個々の位置のセンサ補正値を、前記オーバレイ2次元角スペクトルの前記個々の位置で測定した前記強度から引くことによって、補正した2次元角散乱スペクトルを計算することと、
前記補正した2次元角散乱スペクトルから前記オーバレイエラーを求めることと、
を含む方法。
【請求項9】
基板の特性を測定するように構成された計測装置であって、
基板のターゲット部分を放射で照明するように構成された放射投影装置と、
前記ターゲット部分に対して予め決定した複数の角度位置で、前記ターゲット部分から反射および/または散乱した放射の強度を測定するように構成された検出器と、
前記ターゲット部分に対して実質的に直角の面で前記ターゲット部分および前記スキャトロメータを約180°相対的に回転させるように構成されたシステムと、
放射での前記ターゲットパターンの照明を制御し、
前記検出器を使用することによって前記ターゲットパターンが反射および/または散乱した放射の第一の2次元角散乱スペクトルを求めて、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の角度位置で強度を測定し、
前記スキャトロメータの光軸に対して実質的に直角の面で前記ターゲットパターンと前記スキャトロメータを約180°相対的に回転させ、
放射での前記ターゲットパターンの照明を制御して、前記検出器を使用して2次元角散乱スペクトルを測定し、前記ターゲットパターンに対して予め決定した複数の位置で強度を求め、その角散乱スペクトルを約180°回転して、第二の2次元角散乱スペクトルを生成し、
前記予め決定した複数の角度位置それぞれについて、前記第一の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置における前記強度を、前記第二の2次元角散乱スペクトルの前記予め決定した個々の位置における前記強度から引くことによってセンサ補正値を生成する、制御装置と、
を備える計測装置。
【請求項10】
さらに、前記予め決定した複数の角度位置それぞれの前記センサ補正値を記憶するシステムを備える、
請求項9に記載の計測装置。
【請求項11】
前記制御装置がさらに、
放射のビームを基板のターゲットパターンに投影し、
前記検出器を使用することによって、前記ターゲットパターンが反射および/または散乱した放射のオーバレイ2次元角散乱スペクトルを測定して、前記ターゲットパターンに対して前記予め決定した複数の角度位置における強度を測定し、
予め決定した各位置で、予め決定した個々の位置の個々の前記センサ補正値を、前記オーバレイ2次元角スペクトルの前記個々の位置で測定した前記強度から引くことによって、補正した2次元角散乱スペクトルを計算し、
前記補正した2次元角散乱スペクトルから前記オーバレイエラーを求める構成である、
請求項9に記載の計測装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−258606(P2008−258606A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−72792(P2008−72792)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】