スキャナ、画像処理装置および画像処理システム
【課題】 スキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、その画像データを管理する画像管理システムであって、管理する画像データから、その画像データを作成した装置の製造メーカや機種名を特定することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】 スキャナであって、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、作成した画像データに、スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部とを備える。
【解決手段】 スキャナであって、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、作成した画像データに、スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを管理する画像管理システムにおいて、管理する画像データを作成した装置を特定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、e-文書法が施行されることなどにより、所定のユーザは、スキャナやデジタル複合機等スキャン機能を備えた装置を用いて、スキャン対象となる所定の情報を表わした印刷物等(以下、スキャン対象物とも呼ぶ。)を読み取って、画像データを作成し、それをスキャン対象物の代わりとして活用しつつある。スキャン対象物としては、例えば、領収証などの証書がある。
【0003】
なお、スキャナで、スキャン対象物を読み取って、画像データを作成する場合に施す技術の一例として、下記特許文献1に記載の技術が公開されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−191394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、スキャン対象物を領収証とした場合であって、ユーザが、領収証の画像データを領収証の代わりとして活用する場合には、領収書の画像データの信頼性が重要となる。この場合、画像データの信頼性を確保する一つの要素としては、適切な装置で作成されたか否かが重要となる。このように、ユーザは、スキャン対象物の記載内容がそのまま画像データに反映されているか否かを判断するためには、画像データを作成した装置の性能を知る必要がある。従って、ユーザは、画像データを作成した装置の性能を把握したいという要望があった。これに伴い、ユーザは、画像データを作成した装置の製造メーカや機種名を特定したいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、その画像データを管理する画像管理システムであって、管理する画像データから、その画像データを作成した装置の製造メーカや機種名を特定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明のスキャナは、
スキャナであって、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを要旨とする。
【0008】
上記構成のスキャナによれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、ユーザは、上記スキャナで作成された画像データから上記スキャナを一意に特定することができ、すなわち、上記スキャナの製造メーカや機種名を特定することが可能となる。
【0009】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを記憶するID記憶部を備え、
前記特定情報は、前記USB−IDまたは前記IEEE1394−IDまたはシリアルナンバのいずれかとするようにしてもよい。
【0010】
なお、シリアルナンバとは、上記スキャナを製造した製造メーカが製造日時等を基に作成した固有のIDである。
【0011】
このようすれば、一般的にスキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを特定情報として作成した画像データに付与するので、ユーザは、上記スキャナで作成された画像データから上記スキャナを一意に特定することができ、すなわち、上記スキャナの製造メーカや機種名を特定することが可能となる。
【0012】
上記スキャナにおいて、
前記特定情報を暗号化する特定情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記特定情報を付与するようにしてもよい、
【0013】
このようにすれば、画像データに付与する特定情報を暗号化しているので、特定情報の改ざん等を抑制することができる。
【0014】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに付与された秘密鍵を記憶する秘密鍵記憶部と、
前記秘密鍵で所定の情報を暗号化する情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記所定の情報を前記特定情報として付与するようにしもよい。
【0015】
このようにすれば、ユーザは、画像データに付与された暗号化された特定情報を上記秘密鍵に対する公開鍵で復号化し、暗号化前の特定情報と比較することによって上記スキャナを特定することができる。
【0016】
上記スキャナにおいて、
前記画像データのハッシュ値を計算するハッシュ値計算部と、
前記秘密鍵で前記ハッシュ値を暗号化するハッシュ値暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記ハッシュ値を前記特定情報として付与するようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、ユーザは、画像データに付与された暗号化されたハッシュ値を上記秘密鍵に対する公開鍵で復号化し、画像データから新たに計算されたハッシュ値と比較することによって上記スキャナを特定することができると共に、その画像データが改ざんされたか否かも判断することができる。
【0018】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を前記特定情報として付与するようにしてもよい。
【0019】
なお、上記スキャナの監視情報としては、通算スキャン回数やADF給紙枚数等がある。このようにすれば、画像データから上記スキャナを特定することができる。
【0020】
上記スキャナにおいて、
印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部と、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を、前記スキャナを特定するための特定情報として付与する特定情報付与部と、
を備えるようにしてもよい。
【0021】
なお、上記印刷部に関する監視情報としては、印刷部で印刷した通算印刷枚数や、トナーまたはインクの使用量や、エラーのログ情報等がある。このようにすれば、画像データから上記スキャナを特定することができる。
【0022】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の画像処理装置では、
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナに接続される画像処理装置であって、
前記スキャナから前記画像データを取得する画像データ取得部と、
取得した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを要旨とする。
【0023】
上記構成の画像処理装置によれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、作成した画像データから自己の製造メーカや自己の機種名を特定することが可能となる。
【0024】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の画像処理システムでは、
スキャナと、該スキャナと接続される画像処理装置とを備える画像処理システムであって、
前記スキャナは、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、
作成した前記画像データを前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記スキャナから送信されてくる前記画像データを受信し、
受信した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与することを要旨とする。
【0025】
上記構成の画像管理システムによれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、その画像データから自己の製造メーカや自己の機種名を特定することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記したスキャナ、画像処理装置または画像管理システムなどの装置発明の態様に限ることなく、画像処理方法などの方法発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【0027】
また、本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、上記装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.画像管理システム概要:
A2.特定情報付与処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
A1.画像管理システム概要:
図1は、本発明の一実施例としての画像管理システム1000の概略構成を示す説明図である。この画像管理システム1000は、スキャナ100と、管理サーバSVとから構成され、それらがローカルエリアネットワークLANによって接続されている。この画像管理システム1000では、スキャナ100において、スキャン対象となる所定の情報を表わした印刷物等(以下では、スキャン対象物とも呼ぶ。)を読み取って、画像データを作成し、その画像データにスキャナ100を特定することが可能な情報(以下では、特定情報とも呼ぶ。)を付与し、それを管理サーバSVに保存する。管理サーバSVに保存された画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。なお、スキャン対象物としては、印刷物に限られず、手書きの文章や絵柄等でも良い。また、スキャン対象物の例としては、領収証等の証書などがある。
【0030】
図2は、本実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
スキャナ100は、上述のように、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、その画像データに特定情報を付与するための装置であり、読取実行部110(読取機構)と、CPU130と、USB−IF部170と、RAM180とを備えている。
【0031】
RAM180は、後述するように、USB−IDが付与された画像データを格納する画像データ格納部185を備える。
【0032】
読取実行部110は、後述する画像データ作成部140からの指示があると、スキャン対象物をスキャンして、スキャン対象物の断片的な画像データを次々に画像データ作成部140へ送信する。
【0033】
USB−IF部170は、所定のパソコンや、他の周辺機器(プリンタ等)との接続のためのインタフェイスである。また、USB−IF部170は、USB−IDを保持するためのEEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)175を備えている。このUSB−IDは、スキャナ100の製造メーカに付与されるベンダIDと、スキャナ100の製造メーカが製品ごとに付与するプロダクトIDとから構成され、スキャナ100にしか付与されない固有な(ユニークな)IDである。従って、このUSB−IDは、上述の特定情報に相当する。
【0034】
本実施例のCPU130は、画像データ作成部140と、特定情報付与部150と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。
【0035】
画像データ作成部140は、後述する特定情報付与処理において、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する。
【0036】
特定情報付与部150は、後述する特定情報付与処理において、EEPROM175に保持されているUSB−IDを取得し、それを、画像データ作成部140が作成したスキャン対象物の画像データに付与する。さらに、特定情報付与部150は、特定情報としてUSB−IDを付与した画像データをRAM180の画像データ格納部185に格納する。このように、スキャン対象物から作成した画像データに、特定情報を付与した画像データを、以下では、特定情報付き画像データとも呼ぶ。
【0037】
通信制御部160は、後述する特定情報付与処理において、管理サーバSVと通信を行い、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVへ送信する。
【0038】
管理サーバSVは、スキャナ100から送信されてくる特定情報付き画像データを保存する。
【0039】
A2.特定情報付与処理:
図3は、本実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。スキャナ100は、この処理において、スキャン対象物を読み取って、作成した画像データにスキャナ100を特定するためのUSB−IDを付与して、特定情報付き画像データを作成し、それを、管理サーバSVに送信する。
【0040】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS10)。
【0041】
続いて、特定情報付与部150は、EEPROM175からUSB−IDを読み出す(ステップS20)。
【0042】
次に、特定情報付与部150は、読み出したUSB−IDを、画像データ作成部140が作成した画像データのヘッダ部分に記憶(付与)して、特定情報付き画像データを作成する(ステップS30)。
【0043】
さらに、特定情報付与部150は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS40)。
【0044】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS50)、この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。例えば、スキャン対象物が領収証の場合には、その領収証を表わす特定情報付き画像データは、領収証の代わりとして、経理部門等で活用される。
【0045】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、スキャン対象物から作成した画像データにUSB−IDを付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データからUSB−IDを抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(すなわち、スキャナ100)の製造メーカや機種名を特定することができる。さらには、特定情報付き画像データからUSB−IDを抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(スキャナ100)自体を特定することができる。このように、画像データを作成したスキャナを特定することができれば、例えば、そのデバイス(スキャナ)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。
【0046】
B.第2実施例:
第1実施例の画像管理システム1000は、スキャン対象物を読み取って、作成した画像データにUSB−IDを付与することで、特定情報付き画像データを作成していたが、第2実施例の画像管理システム1000では、後述する特定情報付与処理において、スキャン対象物を読み取って作成した画像データからハッシュ値を算出し、それを暗号化して、画像データに付与することで、特定情報付き画像データを作成している。また、第2実施例の画像管理システム1000の構成は、第1実施例の画像管理システム1000と同じであるが、第2実施例のスキャナ100の構成は、第1実施例のスキャナ100の構成と一部が異なる。以下、第1実施例と異なる点について主に説明する。
【0047】
図4は、本実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
本実施例のスキャナ100は、読取実行部110(読取機構)と、CPU230と、RAM180と、ROM270とを備えている。本実施例のスキャナ100は、第1実施例のスキャナ100に備えていたUSB−IF部170を省略している。なお、本実施例のスキャナ100における読取実行部110と、RAM180(画像データ格納部185)は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0048】
ROM270は、本実施例のスキャナ100に対して所定の認証局(図4)から付与された秘密鍵を保持している。なお、認証局では、図4に示すデータベースに、秘密鍵のデータと秘密鍵に対応する公開鍵のデータと、それらの付与先であるデバイス(スキャナ100)とが対応づけられて保存されている。
【0049】
CPU230は、画像データ作成部140と、ハッシュ値算出部245と、ハッシュ値暗号化部247と、特定情報付与部250と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。なお、本実施例のスキャナ100における画像データ作成部140と、通信制御部160は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0050】
ハッシュ値算出部245は、後述する特定情報付与処理において、画像データ作成部140が作成した画像データから、ハッシュ値を算出する。
【0051】
ハッシュ値暗号化部247は、後述する特定情報付与処理において、ハッシュ値算出部245が算出したハッシュ値をROM270が保持する秘密鍵を用いて暗号化する。
【0052】
特定情報付与部250は、後述する特定情報付与処理において、ハッシュ値暗号化部247により暗号化されたハッシュ値を画像データ作成部140が作成した画像データに付与する。
【0053】
図5は、本実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。スキャナ100は、この処理において、スキャン対象物を読み取って作成した画像データからハッシュ値を算出し、それを暗号化して、画像データに付与することで、スキャナ100を特定可能な特定情報付き画像データを作成する。
【0054】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS110)。
【0055】
続いて、ハッシュ値算出部245は、画像データ作成部140が作成した画像データに基づいて、ハッシュ値を算出する(ステップS120)。
【0056】
次に、ハッシュ値暗号化部247は、ROM270から秘密鍵を読み出し、それを用いて、ハッシュ値算出部245が算出したハッシュ値を暗号化する(ステップS130)。このようにして暗号化したハッシュ値を、以下では、暗号化ハッシュ値とも呼ぶ。この暗号化ハッシュ値は、上述した特定情報となり得る。それは、以下の理由による。
【0057】
すなわち、この暗号化ハッシュ値は、上記秘密鍵に対応する公開鍵でしか復号化できない。また、上述したように、これらの秘密鍵のデータと公開鍵のデータは、所定の認証局(図4)において、スキャナ100に対応づけられて保存されている。従って、上記暗号化ハッシュ値を或る公開鍵で復号化できた場合には、認証局に、その公開鍵の付与先のデバイスを問い合わせることにより、スキャナ100を特定することが可能となる。従って、上記暗号化ハッシュ値は、上述した特定情報となり得る。
【0058】
続いて、特定情報付与部250は、暗号化ハッシュ値を特定情報として、画像データ作成部140が作成した画像データのヘッダ部分に記憶(付与)して、特定情報付き画像データを作成する(ステップS140)。
【0059】
さらに、特定情報付与部250は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS150)。
【0060】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS160)この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。
【0061】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、画像データから算出したハッシュ値を暗号化して暗号化ハッシュ値を作成し、それをスキャン対象物から作成した画像データに付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出して、それを復号化できる公開鍵を探し出し、認証局に、探し出した公開鍵の付与先のデバイスを問い合わせることにより、この画像データを作成したデバイス(すなわち、スキャナ100)の製造メーカや機種名を特定することができる。さらには、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(スキャナ)自体を特定することができる。このように、画像データを作成したデバイス(スキャナ)を特定することができれば、例えば、そのデバイス(スキャナ)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。また、このようにすれば、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出し、暗号化ハッシュ値を復号化することにより、復号化後のハッシュ値と、新たに画像データから求めたハッシュ値とを比較すれば、この画像データが改ざんされたか否かも判断することができる。
【0062】
C.第3実施例:
図6は、第3実施例における画像管理システム1000の概略構成図を示す説明図である。
第3実施例の画像管理システム1000の構成は、第1実施例の画像管理システム1000の構成と異なる。すなわち、第3実施例の画像管理システム1000は、図6に示すように、第1実施例の画像管理システム1000におけるスキャナ100に代えて、ほぼスキャナ100と同等の機能に印刷機構を加えた、いわゆる、デジタル複合機500を備え、さらに、このデジタル複合機500に印刷ジョブを送信するパーソナルコンピュータPCを備えている。デジタル複合機500については、後述する。
【0063】
第1実施例の画像管理システム1000は、スキャン対象物を読み取って作成した画像データにUSB−IDを付与することで、特定情報付き画像データを作成していたが、第3実施例の画像管理システム1000では、後述する特定情報付与処理において、スキャン対象物から作成した画像データにデジタル複合機500に関する監視情報及び時間情報を付与することで、特定情報付き画像データを作成している。以下、第1実施例と異なる点を主として、第3実施例を説明する。
【0064】
図7は、本実施例におけるデジタル複合機500の構成示す説明図である。
本実施例のデジタル複合機500は、読取実行部110(読取機構)と、CPU330と、RAM180と、印刷実行部370(印刷機構)と、クロック部375とを備えている。なお、本実施例のスキャナ100における読取実行部110と、RAM180の画像データ格納部185は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0065】
印刷実行部370は、パーソナルコンピュータPCから、通信制御部160を介して印刷ジョブを受け取り、印刷を実行する印刷機構である。この印刷実行部370は、デジタル複合機500に関する種々の監視情報を収集して、MIB(Management Information Base)の形式で、所定のメモリ(図示せず)に保存している。MIBには、デジタル複合機500に関して予め規格で統一的に規定されている情報や、製造者によって独自に規定されている情報が含まれ、例えば、デジタル複合機500で印刷した通算印刷枚数や、トナーまたはインクの使用量や、エラーのログ情報(以下、エラーログとも呼ぶ。)等が含まれる。
【0066】
クロック部375は、現在時間を表わす。従って、このクロック部375にアクセスすれば、現在時間を知ることができる。
【0067】
本実施例のRAM180は、画像データ格納部185に加えて、監視情報テーブル格納部385を備える。この監視情報テーブル格納部385は、後述する監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルを格納する。
【0068】
本実施例のCPU330は、画像データ作成部140と、監視情報テーブル作成部340と、特定情報付与部350と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。なお、本実施例のデジタル複合機500における画像データ作成部140は、第1実施例と同様の機能を有する。また、通信制御部160は、第1実施例と同様の機能に加えて、パーソナルコンピュータPCから印刷ジョブを受信し、印刷実行部370へ送信する。
【0069】
図8は、本実施例における監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルTBを表わす図である。この監視情報テーブルTBは、通算印刷枚数と、時間情報とが対応づけられて記憶されるようになっている。
監視情報テーブル作成部340は、図8に示す監視情報テーブルTBを作成する。
【0070】
具体的には、監視情報テーブル作成部340は、印刷実行部370に保存されているMIBのうち、常時、通算印刷枚数を監視しており、通算印刷枚数が所定の数に達すると、まず、監視情報テーブル格納部385から、監視情報テーブルTBを取得する。次に、監視情報テーブル作成部340は、クロック部375にアクセスして、その時の時間(以下では、時間情報と呼ぶ。)を取得する。そして、監視情報テーブル作成部340は、図8に示すように、取得した時間情報と、その時の通算印刷枚数を監視情報テーブルTBに書き込み(以上、書き込み処理)、それが終了すると、監視情報テーブルTBを再び監視情報テーブル格納部385に格納する。なお、本実施例において、監視情報テーブル作成部340は、まず、通算印刷枚数が、「100」に達すると、上述のごとく監視情報テーブルTBの書き込み処理を行い、その後、通算印刷枚数が「100」増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしている。
【0071】
特定情報付与部350は、後述する特定情報付与処理において、クロック部375からその時の時間を表わす時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370から通算印刷枚数を取得し、それらを対応づけて画像データ作成部140が作成した画像データに付与する。
【0072】
図9は、本実施例におけるデジタル複合機500が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。デジタル複合機500は、この処理において、クロック部375から時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370から通算印刷枚数を取得し、それらを対応づけて、スキャン対象物から作成した画像データに付与することで、デジタル複合機500を特定可能な特定情報付き画像データを作成する。
【0073】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図6)に置かれ、読取実行ボタン30(図6)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS210)。
【0074】
続いて、特定情報付与部350は、クロック部375にアクセスして時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370にアクセスして通算印刷枚数を取得する(ステップS220)。ここで、これら時間情報と、通算印刷枚数とを対応づけたデータ(以下では、対応付けデータとも呼ぶ。)は、上述した特定情報となり得る。それは、以下の理由による。
【0075】
すなわち、対応付けデータと、各デバイスに保存される上述したような監視情報テーブルTBとを比較していけば、対応付けデータに対応したデバイスをおおよそ特定することが可能となる。例えば、対応付けデータ(すなわち、このステップS220の処理で取得した通算印刷枚数および時間情報)が、「通算印刷枚数:350」、「時間情報:2004年8月2日19:00」の場合において、図8に示す監視情報テーブルTBと比較すると、この対応付けデータの通算印刷枚数は、図8の監視情報テーブルTBにおけるNo.3とNo.4の間の情報に該当し、さらに、時間情報もNo.3とNo.4の間の情報に該当するので、この対応付けデータは、おおよそ、図8に示す監視情報テーブルTBを作成したデバイス(デジタル複合機500)のものと特定することができる。従って、対応付けデータは、上述した特定情報となり得る。なお、対応付けデータとある監視情報テーブルTBとを比較した場合に、対応付けデータの通算印刷枚数と時間情報とが合致しない場合には、この対応付けデータは、その監視情報テーブルTBを作成したデバイスのものではないと判断することができる。
【0076】
そして、特定情報付与部350は、対応付けデータを画像データ作成部140が作成した画像データに付与し、特定情報付き画像データを作成する(ステップS230)。
【0077】
さらに、特定情報付与部250は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS240)。
【0078】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS250)、この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。
【0079】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、スキャン対象物から作成した画像データに対応付けデータ付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データから対応付けデータ、すなわち、通算印刷枚数および時間情報を抽出し、それと各デバイスの各監視情報テーブルTBと比較することにより、この画像データを作成したデバイス(すなわち、デジタル複合機500)をおおよそ特定することができる。このように、画像データを作成したデバイス(デジタル複合機)を特定することができれば、例えば、そのデバイス(デジタル複合機)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。また、デバイス(デジタル複合機)を特定することができれば、そのデバイス(デジタル複合機)の製造メーカや機種名を特定することができる。
【0080】
D.変形例:
なお、本発明では、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0081】
D1.変形例1:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報を、スキャン対象物から作成した画像データに、自ら、付与していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報および画像データを管理サーバSVに送信し、管理サーバSVに、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに付与させるようにしてもよい。このようにすれば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報を画像データに付与することを、自ら実行する必要がないので、処理の負担を軽減することができる。
【0082】
D2.変形例2:
上記第1実施例では、スキャナ100は、スキャン対象物から作成した画像データにUSB−IDを付与するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100は、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)用インタフェイスを備えており、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)から割り振られる固有なIDであるIEEE1394−IDを保持するようにしてもよい。そして、スキャナ100は、スキャン対象物から作成した画像データのヘッダにIEEE1394−IDを記憶(付与)するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0083】
また、例えば、スキャナ100は、自身の製造メーカが製造日時等に基づいて作成したシリアルナンバを保持しており、スキャン対象物から作成した画像データのヘッダに、このシリアルナンバを記憶(付与)するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0084】
D3.変形例3:
上記実施例では、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データのヘッダに記憶することで、特定情報付き画像データを作成するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特開2000−59610号公報に開示されるような画素ビットの置換による方法を用いて、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに埋め込むことで、特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。また、スキャナ100またはデジタル複合機500は、スキャン対象物から作成した画像データを周波数返還し、それに特定情報を埋め込んで、さらにそれらを逆変換する(特開平9−191394号公報参照)ことで、特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。さらに、スキャナ100またはデジタル複合機500は、XML署名システムを活用し、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに対応づけることで特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。以上のようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0085】
D4.変形例4:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、所定のインタフェイス(スキャナ100では、例えば、USB−IF部170。)から所定のユーザの秘密鍵を取り込んで、取り込んだ秘密鍵で特定情報を暗号化し、それをスキャン対象物から作成した画像データに付与するようにしてもよい。このようにすれば、画像データに付与する特定情報の改ざんを抑制することができ、すなわち、特定情報から特定される製造メーカや機種名の改ざんを抑制することができる。
【0086】
D5.変形例5:
上記第2実施例において、暗号化ハッシュ値を作成し、それを特定情報として用いるようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、暗号化ハッシュ値の代わりに、認証局から秘密鍵と共に付与され、スキャナ100を証明するデジタル証明書を、上述の特定情報として、スキャン対象物から作成した画像データに付与するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0087】
D6.変形例6:
上記第3実施例において、監視情報テーブル作成部340は、通算印刷枚数が100増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、監視情報テーブル作成部340は、もっと、頻繁に、すなわち、通算印刷枚数がα(αは自然数、かつ、α<100)増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、より精度よく、画像データに付与された特定情報(対応付けデータ)から、その画像データを作成したデバイスを特定することができる。
【0088】
D7.変形例7:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、通算印刷枚数と時間情報とを、そのまま対応づけて、対応付けデータを作成していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、通算印刷枚数を表わす数値および時間情報から、それぞれハッシュ値を算出し、それらを対応づけて対応付けデータを作成するようにしてもよい。このようにすれば、対応付けデータの量を抑制することができる。
【0089】
D8.変形例8:
上記第3実施例では、特定情報付与部350は、通算印刷枚数と時間情報と対応づけて、対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、特定情報付与部350は、通算印刷枚数の代わりに、トナーやインクの使用量や、エラーログ等の他の監視情報(MIB)と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。なお、この場合、通算印刷枚数の代わりに、エラーログを用いる場合には、情報量が多いので、上記変形例7のごとく、エラーログのハッシュ値を算出して、算出したハッシュ値と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報とするようにしてもよい。このようにすれば、対応付けデータの量を抑制することができる。
【0090】
また、デジタル複合機500は、通算スキャン回数やADF給紙枚数などスキャン機能に関する監視情報を常時監視し、それらを時系列に記憶する機能を備えていてもよい。この場合、特定情報付与部350は、通算印刷枚数の代わりに、通算スキャン回数やADF給紙枚数と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0091】
D9.変形例9:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、監視情報テーブルTBの書き込み処理(通算印刷枚数および時間情報の書き込み)を、通算印刷枚数が、所定の数に到達した場合に、行うようにしていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、画像データを作成する度に、監視情報テーブルTBへその際の通算印刷枚数とその時の時間(時間情報)とを書き込むようにしてもよいし、または、画像データに特定情報を付与する度に、監視情報テーブルTBへその際の通算印刷枚数とその時の時間(時間情報)とを書き込むようにしてもよい。このようにすれば、より精度よく、画像データに付与された特定情報(対応付けデータ)から、その画像データを作成したデバイスを特定することができる。
【0092】
D10.変形例10:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに付与する際に、特定情報と共に、その際に自身の設定情報を付与するようにしてもよい。この設定情報としては、付与する画像データの解像度や階調値等の設定に関する情報などがある。このようにすれば、画像データから、その画像データを作成したデバイスの解像度や階調値等の設定を把握することができ、その結果、その画像データを作成したデバイスの特定を容易にすることができる。
【0093】
D11.変形例11:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、監視情報テーブルTBを自身で作成するようにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、自身の外部の装置に作成させるようにしてもよい。例えば、デジタル複合機500は、通算印刷枚数と時間情報を所定の管理サーバに送信し、その管理サーバに監視情報テーブルTBを作成させるようにしてもよい。この場合、管理サーバには、他のデジタル複合機の監視情報テーブルTBを作成させるようにしてもよい。このようにすれば、画像データに付与された対応付けデータの照合の際、各デバイス(デジタル複合機)を調査する必要がなく、対応付けデータと、管理サーバに保存される各デバイス(デジタル複合機)の監視情報テーブルTBとを比較することにより、この画像データを作成したデバイス(デジタル複合機)を特定することができる。
【0094】
D12.変形例12:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、クロック部375から取得した現在時間をそのまま用いて、対応付けデータの時間情報として、画像データに付加するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、タイマ装置を備え、そのタイマ装置を用いて、ある時点からの時間を測定し、それを時間情報として、画像データに付加するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、特定情報付き画像データを解析すれば、その画像データに付加された時間情報から、ある時点からの相対的な時間を把握することができ、すなわち、上記第3実施例の時間情報と同様の効果を奏することができる。
【0095】
また、デジタル複合機500は、監視情報(MIB)のうち、例えば、インクまたはトナーの使用量、詳しくは、インクまたはトナーの交換回数および現在残高を時間情報として、画像データに付加するようにしてもよい。このようにすれば、上述したタイマ装置を用いることなく、タイマ装置を用いた場合と同様の効果を奏することができる。
【0096】
D13.変形例13:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、時間情報をクロック部375から取得するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、管理サーバSVから時間情報を取得するようにしてもよい。
【0097】
D14.変形例14:
上記第1ないし第3実施例のいずれかの実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500の各部は、ソフトウェア的に構成されているものを、ハードウェア的に構成するようにしてもよいし、ハードウェア的に構成されているものを、ソフトウェア的に構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施例としての画像管理システム1000の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
【図3】第1実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【図4】第2実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
【図5】第2実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【図6】第3実施例における画像管理システム1000の概略構成図を示す説明図である。
【図7】第3実施例におけるデジタル複合機500の構成示す説明図である。
【図8】第3実施例における監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルTBを表わす図である。
【図9】第3実施例におけるデジタル複合機500が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
100...スキャナ
110...読取実行部
130...CPU
140...画像データ作成部
150...特定情報付与部
160...通信制御部
170...USB−IF部
185...画像データ格納部
230...CPU
245...ハッシュ値算出部
247...ハッシュ値暗号化部
250...特定情報付与部
330...CPU
340...監視情報テーブル作成部
350...特定情報付与部
370...印刷実行部
375...クロック部
385...監視情報テーブル格納部
500...デジタル複合機
1000...画像管理システム
LAN...ローカルエリアネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを管理する画像管理システムにおいて、管理する画像データを作成した装置を特定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、e-文書法が施行されることなどにより、所定のユーザは、スキャナやデジタル複合機等スキャン機能を備えた装置を用いて、スキャン対象となる所定の情報を表わした印刷物等(以下、スキャン対象物とも呼ぶ。)を読み取って、画像データを作成し、それをスキャン対象物の代わりとして活用しつつある。スキャン対象物としては、例えば、領収証などの証書がある。
【0003】
なお、スキャナで、スキャン対象物を読み取って、画像データを作成する場合に施す技術の一例として、下記特許文献1に記載の技術が公開されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−191394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、スキャン対象物を領収証とした場合であって、ユーザが、領収証の画像データを領収証の代わりとして活用する場合には、領収書の画像データの信頼性が重要となる。この場合、画像データの信頼性を確保する一つの要素としては、適切な装置で作成されたか否かが重要となる。このように、ユーザは、スキャン対象物の記載内容がそのまま画像データに反映されているか否かを判断するためには、画像データを作成した装置の性能を知る必要がある。従って、ユーザは、画像データを作成した装置の性能を把握したいという要望があった。これに伴い、ユーザは、画像データを作成した装置の製造メーカや機種名を特定したいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、その画像データを管理する画像管理システムであって、管理する画像データから、その画像データを作成した装置の製造メーカや機種名を特定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明のスキャナは、
スキャナであって、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを要旨とする。
【0008】
上記構成のスキャナによれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、ユーザは、上記スキャナで作成された画像データから上記スキャナを一意に特定することができ、すなわち、上記スキャナの製造メーカや機種名を特定することが可能となる。
【0009】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを記憶するID記憶部を備え、
前記特定情報は、前記USB−IDまたは前記IEEE1394−IDまたはシリアルナンバのいずれかとするようにしてもよい。
【0010】
なお、シリアルナンバとは、上記スキャナを製造した製造メーカが製造日時等を基に作成した固有のIDである。
【0011】
このようすれば、一般的にスキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを特定情報として作成した画像データに付与するので、ユーザは、上記スキャナで作成された画像データから上記スキャナを一意に特定することができ、すなわち、上記スキャナの製造メーカや機種名を特定することが可能となる。
【0012】
上記スキャナにおいて、
前記特定情報を暗号化する特定情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記特定情報を付与するようにしてもよい、
【0013】
このようにすれば、画像データに付与する特定情報を暗号化しているので、特定情報の改ざん等を抑制することができる。
【0014】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに付与された秘密鍵を記憶する秘密鍵記憶部と、
前記秘密鍵で所定の情報を暗号化する情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記所定の情報を前記特定情報として付与するようにしもよい。
【0015】
このようにすれば、ユーザは、画像データに付与された暗号化された特定情報を上記秘密鍵に対する公開鍵で復号化し、暗号化前の特定情報と比較することによって上記スキャナを特定することができる。
【0016】
上記スキャナにおいて、
前記画像データのハッシュ値を計算するハッシュ値計算部と、
前記秘密鍵で前記ハッシュ値を暗号化するハッシュ値暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記ハッシュ値を前記特定情報として付与するようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、ユーザは、画像データに付与された暗号化されたハッシュ値を上記秘密鍵に対する公開鍵で復号化し、画像データから新たに計算されたハッシュ値と比較することによって上記スキャナを特定することができると共に、その画像データが改ざんされたか否かも判断することができる。
【0018】
上記スキャナにおいて、
前記スキャナに関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を前記特定情報として付与するようにしてもよい。
【0019】
なお、上記スキャナの監視情報としては、通算スキャン回数やADF給紙枚数等がある。このようにすれば、画像データから上記スキャナを特定することができる。
【0020】
上記スキャナにおいて、
印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部と、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を、前記スキャナを特定するための特定情報として付与する特定情報付与部と、
を備えるようにしてもよい。
【0021】
なお、上記印刷部に関する監視情報としては、印刷部で印刷した通算印刷枚数や、トナーまたはインクの使用量や、エラーのログ情報等がある。このようにすれば、画像データから上記スキャナを特定することができる。
【0022】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の画像処理装置では、
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナに接続される画像処理装置であって、
前記スキャナから前記画像データを取得する画像データ取得部と、
取得した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを要旨とする。
【0023】
上記構成の画像処理装置によれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、作成した画像データから自己の製造メーカや自己の機種名を特定することが可能となる。
【0024】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の画像処理システムでは、
スキャナと、該スキャナと接続される画像処理装置とを備える画像処理システムであって、
前記スキャナは、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、
作成した前記画像データを前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記スキャナから送信されてくる前記画像データを受信し、
受信した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与することを要旨とする。
【0025】
上記構成の画像管理システムによれば、作成した画像データに特定情報を付与するので、その画像データから自己の製造メーカや自己の機種名を特定することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記したスキャナ、画像処理装置または画像管理システムなどの装置発明の態様に限ることなく、画像処理方法などの方法発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【0027】
また、本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、上記装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.画像管理システム概要:
A2.特定情報付与処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
A1.画像管理システム概要:
図1は、本発明の一実施例としての画像管理システム1000の概略構成を示す説明図である。この画像管理システム1000は、スキャナ100と、管理サーバSVとから構成され、それらがローカルエリアネットワークLANによって接続されている。この画像管理システム1000では、スキャナ100において、スキャン対象となる所定の情報を表わした印刷物等(以下では、スキャン対象物とも呼ぶ。)を読み取って、画像データを作成し、その画像データにスキャナ100を特定することが可能な情報(以下では、特定情報とも呼ぶ。)を付与し、それを管理サーバSVに保存する。管理サーバSVに保存された画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。なお、スキャン対象物としては、印刷物に限られず、手書きの文章や絵柄等でも良い。また、スキャン対象物の例としては、領収証等の証書などがある。
【0030】
図2は、本実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
スキャナ100は、上述のように、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、その画像データに特定情報を付与するための装置であり、読取実行部110(読取機構)と、CPU130と、USB−IF部170と、RAM180とを備えている。
【0031】
RAM180は、後述するように、USB−IDが付与された画像データを格納する画像データ格納部185を備える。
【0032】
読取実行部110は、後述する画像データ作成部140からの指示があると、スキャン対象物をスキャンして、スキャン対象物の断片的な画像データを次々に画像データ作成部140へ送信する。
【0033】
USB−IF部170は、所定のパソコンや、他の周辺機器(プリンタ等)との接続のためのインタフェイスである。また、USB−IF部170は、USB−IDを保持するためのEEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)175を備えている。このUSB−IDは、スキャナ100の製造メーカに付与されるベンダIDと、スキャナ100の製造メーカが製品ごとに付与するプロダクトIDとから構成され、スキャナ100にしか付与されない固有な(ユニークな)IDである。従って、このUSB−IDは、上述の特定情報に相当する。
【0034】
本実施例のCPU130は、画像データ作成部140と、特定情報付与部150と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。
【0035】
画像データ作成部140は、後述する特定情報付与処理において、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する。
【0036】
特定情報付与部150は、後述する特定情報付与処理において、EEPROM175に保持されているUSB−IDを取得し、それを、画像データ作成部140が作成したスキャン対象物の画像データに付与する。さらに、特定情報付与部150は、特定情報としてUSB−IDを付与した画像データをRAM180の画像データ格納部185に格納する。このように、スキャン対象物から作成した画像データに、特定情報を付与した画像データを、以下では、特定情報付き画像データとも呼ぶ。
【0037】
通信制御部160は、後述する特定情報付与処理において、管理サーバSVと通信を行い、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVへ送信する。
【0038】
管理サーバSVは、スキャナ100から送信されてくる特定情報付き画像データを保存する。
【0039】
A2.特定情報付与処理:
図3は、本実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。スキャナ100は、この処理において、スキャン対象物を読み取って、作成した画像データにスキャナ100を特定するためのUSB−IDを付与して、特定情報付き画像データを作成し、それを、管理サーバSVに送信する。
【0040】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS10)。
【0041】
続いて、特定情報付与部150は、EEPROM175からUSB−IDを読み出す(ステップS20)。
【0042】
次に、特定情報付与部150は、読み出したUSB−IDを、画像データ作成部140が作成した画像データのヘッダ部分に記憶(付与)して、特定情報付き画像データを作成する(ステップS30)。
【0043】
さらに、特定情報付与部150は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS40)。
【0044】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS50)、この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。例えば、スキャン対象物が領収証の場合には、その領収証を表わす特定情報付き画像データは、領収証の代わりとして、経理部門等で活用される。
【0045】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、スキャン対象物から作成した画像データにUSB−IDを付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データからUSB−IDを抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(すなわち、スキャナ100)の製造メーカや機種名を特定することができる。さらには、特定情報付き画像データからUSB−IDを抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(スキャナ100)自体を特定することができる。このように、画像データを作成したスキャナを特定することができれば、例えば、そのデバイス(スキャナ)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。
【0046】
B.第2実施例:
第1実施例の画像管理システム1000は、スキャン対象物を読み取って、作成した画像データにUSB−IDを付与することで、特定情報付き画像データを作成していたが、第2実施例の画像管理システム1000では、後述する特定情報付与処理において、スキャン対象物を読み取って作成した画像データからハッシュ値を算出し、それを暗号化して、画像データに付与することで、特定情報付き画像データを作成している。また、第2実施例の画像管理システム1000の構成は、第1実施例の画像管理システム1000と同じであるが、第2実施例のスキャナ100の構成は、第1実施例のスキャナ100の構成と一部が異なる。以下、第1実施例と異なる点について主に説明する。
【0047】
図4は、本実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
本実施例のスキャナ100は、読取実行部110(読取機構)と、CPU230と、RAM180と、ROM270とを備えている。本実施例のスキャナ100は、第1実施例のスキャナ100に備えていたUSB−IF部170を省略している。なお、本実施例のスキャナ100における読取実行部110と、RAM180(画像データ格納部185)は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0048】
ROM270は、本実施例のスキャナ100に対して所定の認証局(図4)から付与された秘密鍵を保持している。なお、認証局では、図4に示すデータベースに、秘密鍵のデータと秘密鍵に対応する公開鍵のデータと、それらの付与先であるデバイス(スキャナ100)とが対応づけられて保存されている。
【0049】
CPU230は、画像データ作成部140と、ハッシュ値算出部245と、ハッシュ値暗号化部247と、特定情報付与部250と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。なお、本実施例のスキャナ100における画像データ作成部140と、通信制御部160は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0050】
ハッシュ値算出部245は、後述する特定情報付与処理において、画像データ作成部140が作成した画像データから、ハッシュ値を算出する。
【0051】
ハッシュ値暗号化部247は、後述する特定情報付与処理において、ハッシュ値算出部245が算出したハッシュ値をROM270が保持する秘密鍵を用いて暗号化する。
【0052】
特定情報付与部250は、後述する特定情報付与処理において、ハッシュ値暗号化部247により暗号化されたハッシュ値を画像データ作成部140が作成した画像データに付与する。
【0053】
図5は、本実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。スキャナ100は、この処理において、スキャン対象物を読み取って作成した画像データからハッシュ値を算出し、それを暗号化して、画像データに付与することで、スキャナ100を特定可能な特定情報付き画像データを作成する。
【0054】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図1)に置かれ、読取実行ボタン30(図1)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS110)。
【0055】
続いて、ハッシュ値算出部245は、画像データ作成部140が作成した画像データに基づいて、ハッシュ値を算出する(ステップS120)。
【0056】
次に、ハッシュ値暗号化部247は、ROM270から秘密鍵を読み出し、それを用いて、ハッシュ値算出部245が算出したハッシュ値を暗号化する(ステップS130)。このようにして暗号化したハッシュ値を、以下では、暗号化ハッシュ値とも呼ぶ。この暗号化ハッシュ値は、上述した特定情報となり得る。それは、以下の理由による。
【0057】
すなわち、この暗号化ハッシュ値は、上記秘密鍵に対応する公開鍵でしか復号化できない。また、上述したように、これらの秘密鍵のデータと公開鍵のデータは、所定の認証局(図4)において、スキャナ100に対応づけられて保存されている。従って、上記暗号化ハッシュ値を或る公開鍵で復号化できた場合には、認証局に、その公開鍵の付与先のデバイスを問い合わせることにより、スキャナ100を特定することが可能となる。従って、上記暗号化ハッシュ値は、上述した特定情報となり得る。
【0058】
続いて、特定情報付与部250は、暗号化ハッシュ値を特定情報として、画像データ作成部140が作成した画像データのヘッダ部分に記憶(付与)して、特定情報付き画像データを作成する(ステップS140)。
【0059】
さらに、特定情報付与部250は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS150)。
【0060】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS160)この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。
【0061】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、画像データから算出したハッシュ値を暗号化して暗号化ハッシュ値を作成し、それをスキャン対象物から作成した画像データに付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出して、それを復号化できる公開鍵を探し出し、認証局に、探し出した公開鍵の付与先のデバイスを問い合わせることにより、この画像データを作成したデバイス(すなわち、スキャナ100)の製造メーカや機種名を特定することができる。さらには、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出し、それを解析すれば、この画像データを作成したデバイス(スキャナ)自体を特定することができる。このように、画像データを作成したデバイス(スキャナ)を特定することができれば、例えば、そのデバイス(スキャナ)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。また、このようにすれば、特定情報付き画像データから暗号化ハッシュ値を抽出し、暗号化ハッシュ値を復号化することにより、復号化後のハッシュ値と、新たに画像データから求めたハッシュ値とを比較すれば、この画像データが改ざんされたか否かも判断することができる。
【0062】
C.第3実施例:
図6は、第3実施例における画像管理システム1000の概略構成図を示す説明図である。
第3実施例の画像管理システム1000の構成は、第1実施例の画像管理システム1000の構成と異なる。すなわち、第3実施例の画像管理システム1000は、図6に示すように、第1実施例の画像管理システム1000におけるスキャナ100に代えて、ほぼスキャナ100と同等の機能に印刷機構を加えた、いわゆる、デジタル複合機500を備え、さらに、このデジタル複合機500に印刷ジョブを送信するパーソナルコンピュータPCを備えている。デジタル複合機500については、後述する。
【0063】
第1実施例の画像管理システム1000は、スキャン対象物を読み取って作成した画像データにUSB−IDを付与することで、特定情報付き画像データを作成していたが、第3実施例の画像管理システム1000では、後述する特定情報付与処理において、スキャン対象物から作成した画像データにデジタル複合機500に関する監視情報及び時間情報を付与することで、特定情報付き画像データを作成している。以下、第1実施例と異なる点を主として、第3実施例を説明する。
【0064】
図7は、本実施例におけるデジタル複合機500の構成示す説明図である。
本実施例のデジタル複合機500は、読取実行部110(読取機構)と、CPU330と、RAM180と、印刷実行部370(印刷機構)と、クロック部375とを備えている。なお、本実施例のスキャナ100における読取実行部110と、RAM180の画像データ格納部185は、第1実施例と同様の機能を有する。
【0065】
印刷実行部370は、パーソナルコンピュータPCから、通信制御部160を介して印刷ジョブを受け取り、印刷を実行する印刷機構である。この印刷実行部370は、デジタル複合機500に関する種々の監視情報を収集して、MIB(Management Information Base)の形式で、所定のメモリ(図示せず)に保存している。MIBには、デジタル複合機500に関して予め規格で統一的に規定されている情報や、製造者によって独自に規定されている情報が含まれ、例えば、デジタル複合機500で印刷した通算印刷枚数や、トナーまたはインクの使用量や、エラーのログ情報(以下、エラーログとも呼ぶ。)等が含まれる。
【0066】
クロック部375は、現在時間を表わす。従って、このクロック部375にアクセスすれば、現在時間を知ることができる。
【0067】
本実施例のRAM180は、画像データ格納部185に加えて、監視情報テーブル格納部385を備える。この監視情報テーブル格納部385は、後述する監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルを格納する。
【0068】
本実施例のCPU330は、画像データ作成部140と、監視情報テーブル作成部340と、特定情報付与部350と、通信制御部160とを備える。これらの機能ブロックは、所定のROM(図示せず)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、読み出して実行することにより、ソフトウェア的に構築されている。これらの機能ブロックは、後述する特定情報付与処理を行う。なお、本実施例のデジタル複合機500における画像データ作成部140は、第1実施例と同様の機能を有する。また、通信制御部160は、第1実施例と同様の機能に加えて、パーソナルコンピュータPCから印刷ジョブを受信し、印刷実行部370へ送信する。
【0069】
図8は、本実施例における監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルTBを表わす図である。この監視情報テーブルTBは、通算印刷枚数と、時間情報とが対応づけられて記憶されるようになっている。
監視情報テーブル作成部340は、図8に示す監視情報テーブルTBを作成する。
【0070】
具体的には、監視情報テーブル作成部340は、印刷実行部370に保存されているMIBのうち、常時、通算印刷枚数を監視しており、通算印刷枚数が所定の数に達すると、まず、監視情報テーブル格納部385から、監視情報テーブルTBを取得する。次に、監視情報テーブル作成部340は、クロック部375にアクセスして、その時の時間(以下では、時間情報と呼ぶ。)を取得する。そして、監視情報テーブル作成部340は、図8に示すように、取得した時間情報と、その時の通算印刷枚数を監視情報テーブルTBに書き込み(以上、書き込み処理)、それが終了すると、監視情報テーブルTBを再び監視情報テーブル格納部385に格納する。なお、本実施例において、監視情報テーブル作成部340は、まず、通算印刷枚数が、「100」に達すると、上述のごとく監視情報テーブルTBの書き込み処理を行い、その後、通算印刷枚数が「100」増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしている。
【0071】
特定情報付与部350は、後述する特定情報付与処理において、クロック部375からその時の時間を表わす時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370から通算印刷枚数を取得し、それらを対応づけて画像データ作成部140が作成した画像データに付与する。
【0072】
図9は、本実施例におけるデジタル複合機500が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。デジタル複合機500は、この処理において、クロック部375から時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370から通算印刷枚数を取得し、それらを対応づけて、スキャン対象物から作成した画像データに付与することで、デジタル複合機500を特定可能な特定情報付き画像データを作成する。
【0073】
具体的には、まず、画像データ作成部140は、ユーザによって、スキャン対象物が読取ステージ20(図6)に置かれ、読取実行ボタン30(図6)が押されると、読取実行部110を制御して、読取実行部110からスキャン対象物の断片的な画像データを取得し、それらをまとめてスキャン対象物全体の画像データを作成する(ステップS210)。
【0074】
続いて、特定情報付与部350は、クロック部375にアクセスして時間情報を取得し、さらに、印刷実行部370にアクセスして通算印刷枚数を取得する(ステップS220)。ここで、これら時間情報と、通算印刷枚数とを対応づけたデータ(以下では、対応付けデータとも呼ぶ。)は、上述した特定情報となり得る。それは、以下の理由による。
【0075】
すなわち、対応付けデータと、各デバイスに保存される上述したような監視情報テーブルTBとを比較していけば、対応付けデータに対応したデバイスをおおよそ特定することが可能となる。例えば、対応付けデータ(すなわち、このステップS220の処理で取得した通算印刷枚数および時間情報)が、「通算印刷枚数:350」、「時間情報:2004年8月2日19:00」の場合において、図8に示す監視情報テーブルTBと比較すると、この対応付けデータの通算印刷枚数は、図8の監視情報テーブルTBにおけるNo.3とNo.4の間の情報に該当し、さらに、時間情報もNo.3とNo.4の間の情報に該当するので、この対応付けデータは、おおよそ、図8に示す監視情報テーブルTBを作成したデバイス(デジタル複合機500)のものと特定することができる。従って、対応付けデータは、上述した特定情報となり得る。なお、対応付けデータとある監視情報テーブルTBとを比較した場合に、対応付けデータの通算印刷枚数と時間情報とが合致しない場合には、この対応付けデータは、その監視情報テーブルTBを作成したデバイスのものではないと判断することができる。
【0076】
そして、特定情報付与部350は、対応付けデータを画像データ作成部140が作成した画像データに付与し、特定情報付き画像データを作成する(ステップS230)。
【0077】
さらに、特定情報付与部250は、作成した特定情報付き画像データを画像データ格納部185に格納する(ステップS240)。
【0078】
その後、通信制御部160は、画像データ格納部185に格納された特定情報付き画像データを管理サーバSVに送信し(ステップS250)、この特定情報付与処理を終了する。管理サーバSVは、送信されてくる特定情報付き画像データを受信し、保存する。この管理サーバSVに保存された特定情報付き画像データは、スキャン対象物の代わりとして種々の用途に使われる。
【0079】
以上のように本実施例の画像管理システム1000では、スキャン対象物から作成した画像データに対応付けデータ付与し、特定情報付き画像データを作成するようにしている。このようにすれば、特定情報付き画像データから対応付けデータ、すなわち、通算印刷枚数および時間情報を抽出し、それと各デバイスの各監視情報テーブルTBと比較することにより、この画像データを作成したデバイス(すなわち、デジタル複合機500)をおおよそ特定することができる。このように、画像データを作成したデバイス(デジタル複合機)を特定することができれば、例えば、そのデバイス(デジタル複合機)の設置された過去の環境等を調査することができ、その調査結果からスキャン対象物に対する画像データの品質を解明するのに役立つ場合がある。また、デバイス(デジタル複合機)を特定することができれば、そのデバイス(デジタル複合機)の製造メーカや機種名を特定することができる。
【0080】
D.変形例:
なお、本発明では、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0081】
D1.変形例1:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報を、スキャン対象物から作成した画像データに、自ら、付与していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報および画像データを管理サーバSVに送信し、管理サーバSVに、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに付与させるようにしてもよい。このようにすれば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報を画像データに付与することを、自ら実行する必要がないので、処理の負担を軽減することができる。
【0082】
D2.変形例2:
上記第1実施例では、スキャナ100は、スキャン対象物から作成した画像データにUSB−IDを付与するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100は、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)用インタフェイスを備えており、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)から割り振られる固有なIDであるIEEE1394−IDを保持するようにしてもよい。そして、スキャナ100は、スキャン対象物から作成した画像データのヘッダにIEEE1394−IDを記憶(付与)するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0083】
また、例えば、スキャナ100は、自身の製造メーカが製造日時等に基づいて作成したシリアルナンバを保持しており、スキャン対象物から作成した画像データのヘッダに、このシリアルナンバを記憶(付与)するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0084】
D3.変形例3:
上記実施例では、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データのヘッダに記憶することで、特定情報付き画像データを作成するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特開2000−59610号公報に開示されるような画素ビットの置換による方法を用いて、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに埋め込むことで、特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。また、スキャナ100またはデジタル複合機500は、スキャン対象物から作成した画像データを周波数返還し、それに特定情報を埋め込んで、さらにそれらを逆変換する(特開平9−191394号公報参照)ことで、特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。さらに、スキャナ100またはデジタル複合機500は、XML署名システムを活用し、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに対応づけることで特定情報付き画像データを作成するようにしてもよい。以上のようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0085】
D4.変形例4:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、所定のインタフェイス(スキャナ100では、例えば、USB−IF部170。)から所定のユーザの秘密鍵を取り込んで、取り込んだ秘密鍵で特定情報を暗号化し、それをスキャン対象物から作成した画像データに付与するようにしてもよい。このようにすれば、画像データに付与する特定情報の改ざんを抑制することができ、すなわち、特定情報から特定される製造メーカや機種名の改ざんを抑制することができる。
【0086】
D5.変形例5:
上記第2実施例において、暗号化ハッシュ値を作成し、それを特定情報として用いるようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、暗号化ハッシュ値の代わりに、認証局から秘密鍵と共に付与され、スキャナ100を証明するデジタル証明書を、上述の特定情報として、スキャン対象物から作成した画像データに付与するようにしてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0087】
D6.変形例6:
上記第3実施例において、監視情報テーブル作成部340は、通算印刷枚数が100増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、監視情報テーブル作成部340は、もっと、頻繁に、すなわち、通算印刷枚数がα(αは自然数、かつ、α<100)増える度に、上述の監視情報テーブルTBの書き込み処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、より精度よく、画像データに付与された特定情報(対応付けデータ)から、その画像データを作成したデバイスを特定することができる。
【0088】
D7.変形例7:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、通算印刷枚数と時間情報とを、そのまま対応づけて、対応付けデータを作成していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、通算印刷枚数を表わす数値および時間情報から、それぞれハッシュ値を算出し、それらを対応づけて対応付けデータを作成するようにしてもよい。このようにすれば、対応付けデータの量を抑制することができる。
【0089】
D8.変形例8:
上記第3実施例では、特定情報付与部350は、通算印刷枚数と時間情報と対応づけて、対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、特定情報付与部350は、通算印刷枚数の代わりに、トナーやインクの使用量や、エラーログ等の他の監視情報(MIB)と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。なお、この場合、通算印刷枚数の代わりに、エラーログを用いる場合には、情報量が多いので、上記変形例7のごとく、エラーログのハッシュ値を算出して、算出したハッシュ値と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報とするようにしてもよい。このようにすれば、対応付けデータの量を抑制することができる。
【0090】
また、デジタル複合機500は、通算スキャン回数やADF給紙枚数などスキャン機能に関する監視情報を常時監視し、それらを時系列に記憶する機能を備えていてもよい。この場合、特定情報付与部350は、通算印刷枚数の代わりに、通算スキャン回数やADF給紙枚数と、時間情報とを対応づけて対応付けデータを作成し、それを特定情報として用いてもよい。このようにしても、本発明の効果を奏することができる。
【0091】
D9.変形例9:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、監視情報テーブルTBの書き込み処理(通算印刷枚数および時間情報の書き込み)を、通算印刷枚数が、所定の数に到達した場合に、行うようにしていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、画像データを作成する度に、監視情報テーブルTBへその際の通算印刷枚数とその時の時間(時間情報)とを書き込むようにしてもよいし、または、画像データに特定情報を付与する度に、監視情報テーブルTBへその際の通算印刷枚数とその時の時間(時間情報)とを書き込むようにしてもよい。このようにすれば、より精度よく、画像データに付与された特定情報(対応付けデータ)から、その画像データを作成したデバイスを特定することができる。
【0092】
D10.変形例10:
上記実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500は、特定情報をスキャン対象物から作成した画像データに付与する際に、特定情報と共に、その際に自身の設定情報を付与するようにしてもよい。この設定情報としては、付与する画像データの解像度や階調値等の設定に関する情報などがある。このようにすれば、画像データから、その画像データを作成したデバイスの解像度や階調値等の設定を把握することができ、その結果、その画像データを作成したデバイスの特定を容易にすることができる。
【0093】
D11.変形例11:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、監視情報テーブルTBを自身で作成するようにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、自身の外部の装置に作成させるようにしてもよい。例えば、デジタル複合機500は、通算印刷枚数と時間情報を所定の管理サーバに送信し、その管理サーバに監視情報テーブルTBを作成させるようにしてもよい。この場合、管理サーバには、他のデジタル複合機の監視情報テーブルTBを作成させるようにしてもよい。このようにすれば、画像データに付与された対応付けデータの照合の際、各デバイス(デジタル複合機)を調査する必要がなく、対応付けデータと、管理サーバに保存される各デバイス(デジタル複合機)の監視情報テーブルTBとを比較することにより、この画像データを作成したデバイス(デジタル複合機)を特定することができる。
【0094】
D12.変形例12:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、クロック部375から取得した現在時間をそのまま用いて、対応付けデータの時間情報として、画像データに付加するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、タイマ装置を備え、そのタイマ装置を用いて、ある時点からの時間を測定し、それを時間情報として、画像データに付加するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、特定情報付き画像データを解析すれば、その画像データに付加された時間情報から、ある時点からの相対的な時間を把握することができ、すなわち、上記第3実施例の時間情報と同様の効果を奏することができる。
【0095】
また、デジタル複合機500は、監視情報(MIB)のうち、例えば、インクまたはトナーの使用量、詳しくは、インクまたはトナーの交換回数および現在残高を時間情報として、画像データに付加するようにしてもよい。このようにすれば、上述したタイマ装置を用いることなく、タイマ装置を用いた場合と同様の効果を奏することができる。
【0096】
D13.変形例13:
上記第3実施例では、デジタル複合機500は、時間情報をクロック部375から取得するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、デジタル複合機500は、管理サーバSVから時間情報を取得するようにしてもよい。
【0097】
D14.変形例14:
上記第1ないし第3実施例のいずれかの実施例において、スキャナ100またはデジタル複合機500の各部は、ソフトウェア的に構成されているものを、ハードウェア的に構成するようにしてもよいし、ハードウェア的に構成されているものを、ソフトウェア的に構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施例としての画像管理システム1000の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
【図3】第1実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【図4】第2実施例におけるスキャナ100の構成を示す説明図である。
【図5】第2実施例におけるスキャナ100が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【図6】第3実施例における画像管理システム1000の概略構成図を示す説明図である。
【図7】第3実施例におけるデジタル複合機500の構成示す説明図である。
【図8】第3実施例における監視情報テーブル作成部340が作成する監視情報テーブルTBを表わす図である。
【図9】第3実施例におけるデジタル複合機500が行う特定情報付与処理を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
100...スキャナ
110...読取実行部
130...CPU
140...画像データ作成部
150...特定情報付与部
160...通信制御部
170...USB−IF部
185...画像データ格納部
230...CPU
245...ハッシュ値算出部
247...ハッシュ値暗号化部
250...特定情報付与部
330...CPU
340...監視情報テーブル作成部
350...特定情報付与部
370...印刷実行部
375...クロック部
385...監視情報テーブル格納部
500...デジタル複合機
1000...画像管理システム
LAN...ローカルエリアネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナであって、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とするスキャナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを記憶するID記憶部を備え、
前記特定情報は、前記USB−IDまたは前記IEEE1394−IDまたはシリアルナンバのいずれかであることを特徴とするスキャナ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスキャナにおいて、
前記特定情報を暗号化する特定情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記特定情報を付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項4】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに付与された秘密鍵を記憶する秘密鍵記憶部と、
前記秘密鍵で所定の情報を暗号化する情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記所定の情報を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項5】
請求項4に記載のスキャナにおいて、
前記画像データのハッシュ値を計算するハッシュ値計算部と、
前記秘密鍵で前記ハッシュ値を暗号化するハッシュ値暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記ハッシュ値を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項6】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項7】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部と、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を、前記スキャナを特定するための特定情報として付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とするスキャナ。
【請求項8】
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナに接続される画像処理装置であって、
前記スキャナから前記画像データを取得する画像データ取得部と、
取得した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
スキャナと、該スキャナと接続される画像処理装置とを備える画像処理システムであって、
前記スキャナは、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、
作成した前記画像データを前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記スキャナから送信されてくる前記画像データを受信し、
受信した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与することを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
所定の画像処理を行う画像処理方法であって、
スキャナを用いて、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する工程と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する工程と、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナと接続されたコンピュータで用いるコンピュータプログラムであって、
前記画像データに前記スキャナを特定するための特定情報を付与する機能を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体。
【請求項1】
スキャナであって、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する画像データ作成部と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とするスキャナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに付与されているUSB−IDまたはIEEE1394−IDまたはシリアルナンバを記憶するID記憶部を備え、
前記特定情報は、前記USB−IDまたは前記IEEE1394−IDまたはシリアルナンバのいずれかであることを特徴とするスキャナ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスキャナにおいて、
前記特定情報を暗号化する特定情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記特定情報を付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項4】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに付与された秘密鍵を記憶する秘密鍵記憶部と、
前記秘密鍵で所定の情報を暗号化する情報暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記所定の情報を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項5】
請求項4に記載のスキャナにおいて、
前記画像データのハッシュ値を計算するハッシュ値計算部と、
前記秘密鍵で前記ハッシュ値を暗号化するハッシュ値暗号化部と、
を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、暗号化した前記ハッシュ値を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項6】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
前記スキャナに関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部を備え、
前記特定情報付与部は、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を前記特定情報として付与することを特徴とするスキャナ。
【請求項7】
請求項1に記載のスキャナにおいて、
印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に関する監視情報と、時間を表わす時間情報とを対応づけて、断続的に記憶する監視情報記憶部と、
作成した前記画像データに、その時点における前記監視情報及び前記時間情報を、前記スキャナを特定するための特定情報として付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とするスキャナ。
【請求項8】
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナに接続される画像処理装置であって、
前記スキャナから前記画像データを取得する画像データ取得部と、
取得した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する特定情報付与部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
スキャナと、該スキャナと接続される画像処理装置とを備える画像処理システムであって、
前記スキャナは、
所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成し、
作成した前記画像データを前記画像処理装置に送信し、
前記画像処理装置は、
前記スキャナから送信されてくる前記画像データを受信し、
受信した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与することを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
所定の画像処理を行う画像処理方法であって、
スキャナを用いて、所定のスキャン対象物を読み取って、画像データを作成する工程と、
作成した前記画像データに、前記スキャナを特定するための特定情報を付与する工程と、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
所定のスキャン対象物を読み取って画像データを作成するスキャナと接続されたコンピュータで用いるコンピュータプログラムであって、
前記画像データに前記スキャナを特定するための特定情報を付与する機能を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−253756(P2006−253756A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63404(P2005−63404)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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