説明

スキャナおよび販売データ処理装置

【課題】ホログラムを認識することができるスキャナを提供する。
【解決手段】実施形態のスキャナは、撮像手段と、光源と、制御手段と、画像取込手段と、出力手段とを備える。前記光源は、前記撮像手段によって画像が撮像される撮像領域に光を照射する。前記制御手段は、前記撮像領域に照射される前記光の照射角度を変化させる。前記画像取込手段は、前記照射角度を異ならせて、前記撮像領域の前記画像を取り込む。前記出力手段は、前記画像取込手段が取り込んだ前記照射角度の異なる前記画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スキャナおよび販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDカメラを用いてバーコードや二次元コード等のコードシンボルや、値引ラベル等を画像認識して商品コードや値引情報を読み取るスキャナに関する技術が開示されている。
【0003】
ところで、クレジットカードやIDカード、商品券等の金券、純正品表示ステッカー等には偽造防止の目的でホログラムが用いられており、このようなホログラム内に埋め込まれている画像をスキャナによって読み込ませ、正規品の認証を行うことが望まれている。
【0004】
一般的に、ホログラム内に埋め込まれている画像を観察するためには、見る角度を調整して適切な角度で観察する必要がある。また、ホログラム内に異なる画像が埋め込まれている場合には、見る角度を変えてそれぞれの画像を浮き出させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスキャナでは、撮像時に被写体に照射される光の照射角度が固定されているため、ホログラムを撮像した画像は単に1フレームの画像として認識される。従って、これをホログラムとして認識することができず、ホログラム内の画像が浮き出されない照射角度であった場合には、ホログラム内の画像を読み込むこともできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のスキャナは、撮像手段と、光源と、制御手段と、画像取込手段と、出力手段とを備える。前記光源は、前記撮像手段によって画像が撮像される撮像領域に光を照射する。前記制御手段は、前記撮像領域に照射される前記光の照射角度を変化させる。前記画像取込手段は、前記照射角度を異ならせて、前記撮像領域の前記画像を取り込む。前記出力手段は、前記画像取込手段が取り込んだ前記照射角度の異なる前記画像を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施の形態にかかるチェックアウトレーンシステムの構成を概略的に示す外観斜視図である。
【図2】図2は、スキャナのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、光源の発光動作について説明する図である。
【図4】図4は、光源の発光動作について説明する図である。
【図5】図5は、光源Aにより被写体を照射した場合に撮像された画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、光源Bにより被写体を照射した場合に撮像された画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、光源Aまたは光源Bにより照射されたバーコードを撮像した画像を示す図である。
【図8】図8は、POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、スキャナが実行する画像取込処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、POS端末が実行する販売登録処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態にかかるチェックアウトレーンシステム4の構成を概略的に示す外観斜視図である。図1に示すように、チェックアウトレーンシステム4は、商品を入れた買い物かごを戴置するためのサッカー台1と、サッカー台1の略中央に立設されたスキャナ2と、スキャナ2と図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されたPOS端末3(販売データ処理装置)とを備えている。
【0009】
まず、スキャナ2について説明する。スキャナ2は、商品に付されたバーコードやホログラムの画像を読み取って、バーコードが含む商品情報やホログラムが含む情報をPOS端末3に出力するための装置である。図1に示すように、スキャナ2は、読取窓21と、キーボード22と、客用ディスプレイ23と、店員用ディスプレイ24と、ブザー25と、LED26とを主に備えている。
【0010】
キーボード22は、バーコードや二次元コード等のコードシンボルによって登録できない商品の登録を行う場合に、各種キーによる入力を受付ける。客用ディスプレイ23は、登録された商品の品名や価格等を買い物客に対して表示する。店員用ディスプレイ24は、登録された商品の品名や価格等をオペレータの店員に対して表示する。
【0011】
LED26は、ホログラムが読み取られたと判定された場合に点灯して、ホログラムが読み取られていることをオペレータに報知する。ブザー25は、ホログラムが読み取られたと判定された場合にブザー音を鳴らして、オペレータに報知する。
【0012】
読取窓21が設けられたスキャナ2の内部には、撮像装置であるCCD(Charge Coupled Device)20(図2参照)が内蔵されている。尚、撮像装置としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などその他の方式の撮像装置を用いるとしてもよい。CCD20は、読取窓21に相対する撮像領域70(図2参照)にかざされた商品やカード、商品券等の被写体Sb(図2参照)を撮像する。
【0013】
次に、スキャナ2のハードウェア構成について説明する。図2は、スキャナ2のハードウェア構成を示すブロック図である。スキャナ2は、光源A、Bと、レンズLと、CCD20と、アナログ回路から構成されるAFE(Analog Front End)27と、画像処理回路28と、I/F(Interface)コントローラ29と、CPU(Central Processing Unit)50と、メモリ53とを主に備えている。
【0014】
光源A、Bは、LED(Light Emitting Diode)等で構成され、画像処理回路28の制御によってパルス光を発光する。また、図2に示すように、光源A、Bはそれぞれ照射角度θa、θbで撮像領域70に向けて光を照射する。これにより光源Aからの光は被写体Sbに対して入射角θaで入射し、光源Bからの光は被写体Sbに対して入射角θbで入射する。
【0015】
画像処理回路28は制御手段として機能し、光源Aおよび光源Bを交互にパルス発光させる。
【0016】
ここで、図3および図4は、光源A、Bの発光動作について説明する図である。画像処理回路28は、図3に示すように光源Aを所定のパルス数だけ発光させた後に、図4に示すように光源Bを所定のパルス数だけ発光させて、光源Aおよび光源Bを所定のパルス数おきに交互に発光させる。これにより、画像処理回路28は、撮像領域70に照射される光の照射角度をパルス発光に同期して変化させて、被写体Sbに入射する光の入射角度(θa、θb)を交互に切り替える。尚、画像処理回路28は、所定の時間ごとに光源A、Bを切り替えて発光させるとしてもよい。
【0017】
このようにすることで、被写体Sbに含まれているホログラムH(図3、図4参照)に対する光の入射角度(θa、θb)を変化させて、各入射角度に対応する反射光Ra、Rbを反射させることができる。そして、反射光Ra、Rbは、レンズLによって集光されてCCD20の受光素子上に結像され、CCD20の出力はAFE27を介して画像処理回路28に入力される。
【0018】
画像処理回路28は、アナログ信号やデジタル信号を増幅する増幅回路や、アナログ/デジタル変換処理を行うA/D変換回路(ともに不図示)などを有している。そして、画像処理回路28は、CCD20から入力されたアナログ信号を増幅回路によって増幅するとともに、A/D変換回路によってアナログ/デジタル変換処理を施す。また、画像処理回路28は、アナログ/デジタル変換処理後に得られるデジタル信号に対して各種画像処理を施す。
【0019】
画像処理回路28は画像取込手段として機能し、上述した光の照射角度の変化に応じて、撮像領域70の画像DA(図5参照)、DB(図6参照)をメモリ53に取り込む。次に、画像処理回路28が行う画像取り込み動作について説明する。尚、ここでは一例として、入射角度に応じて2つの異なる画像が浮かび上がるホログラムHが被写体Sbに付されている場合について説明する。
【0020】
図5は、光源Aにより被写体Sbを照射した場合に撮像された画像DAの一例を示す図である。また、図6は、光源Bにより被写体Sbを照射した場合に撮像された画像DBの一例を示す図である。図3に示すように光源Aを発光させると、光の照射角度θaに応じてホログラムHが撮像された画像領域71aには、図5に示すように画像「A」が浮かび上がる。一方、図4に示すように光源Bを発光させると、光の照射角度θbに応じてホログラムHが撮像された画像領域71bには、図6に示すように画像「B」が浮かび上がる。
【0021】
そして、画像処理回路28は、光源Aを発光させている場合には照射角度θaに対応する画像として、図5に示す画像DAを取り込む。また、画像処理回路28は、光源Bを発光させている場合には照射角度θbに対応する画像として、図6に示す画像DBを取り込む。これにより、画像処理回路28は光源A、Bのパルス発光に同期して画像DAと画像DBとを取り込む。
【0022】
図2に戻って、I/Fコントローラ29は、バスを介して接続されたPOS端末3(図1参照)とのデータ通信を制御する。
【0023】
メモリ53は、CPU50の動作を制御する各種プログラム等を記憶している。また、メモリ53は、画像処理回路28によって取り込まれた画像を一時的に格納する。また、メモリ53は、文字やイラスト、シンボルなどを認識して情報を識別するための識別パターンを格納している。識別パターンとしては例えば、OCR(Optical Character Reader:光学式文字読取装置)で用いられる文字識別用のパターン等が格納されている。
【0024】
CPU50は、メモリ53に記憶されている各種プログラムを実行することによって、スキャナ2の動作全体を制御する。また、CPU50は、メモリ53に格納された本実施形態のプログラムを実行することにより、図2に示すように、判定部51と、出力部52として機能する。
【0025】
判定部51は、画像処理回路28が取り込んだ光の照射角度を異ならせて撮像された複数の画像が互いに異なる画像である場合に、当該複数の画像はホログラムを撮像した領域であるホログラム画像をそれぞれ含んでいると判定する。
【0026】
より具体的には、判定部51は、画像処理回路28が取り込んだ画像DA(図5参照)および画像DB(図6参照)を比較して、双方の画像DA、DB内に異なる画像領域が含まれているか否かを判定する。
【0027】
例えば、図5、図6において、画像DAにおける画像領域71aの相対的位置と、画像DBにおける画像領域71bの相対的位置とは互いに同一である。しかしながら、画像領域71aの画像81aには、「A」という文字(画像)が含まれている一方で、画像領域71bの画像81bには「B」という文字(画像)が含まれており、画像81aと画像81bとは互いに同一ではない。従って、判定部51は、画像領域71a、71bが、光の照射角度によって異なる画像を反射するホログラムHを撮像した領域であると判定し、画像DA、DBがホログラム画像(画像81a、81b)を含んでいると判定する。
【0028】
尚、上述では、画像領域71a、71bは取り込まれた画像DA、DB内において相対的位置が同じ領域であるとしたが、画像DAにおける画像領域71aの相対的位置と、画像DBにおける画像領域71bの相対的位置とは厳密に同一でなくてよい。例えば数パーセントの誤差は許容するとして、略同一の画像領域71において異なる画像が含まれているか否かを判定するとしてもよい。
【0029】
一方、判定部51は、画像DAと画像DBとが同一の画像である場合に、画像DAおよび画像DBはホログラムHを撮像した領域を含んでいないと判定する。
【0030】
図7は、光源Aまたは光源Bにより照射されたバーコードBCを撮像した画像DA、DBを示す図である。バーコードBC等のホログラムではない被写体を撮像した場合には、光源Aまたは光源Bによって光が照射されても、画像領域72には同じバーコードBCを撮像した同一の画像が含まれる。即ち、画像DAと画像DBとは同一の画像となる。このように画像DA、画像DBに異なる画像領域が含まれていない場合に、判定部51は、画像DA、DBにはホログラムHを撮像した領域が含まれていないと判定する。
【0031】
出力部52は、上述のように照射角度を異ならせて撮像された画像を、I/Fコントローラ29および図示しない伝送路を介してPOS端末3等に出力する。また、出力部52は、上述のようにホログラム画像が撮像された場合には、当該ホログラム画像として、同一領域を異なる光の照射角度によって撮像された複数の画像の組合わせ(例えば、画像81a、81bの組合わせ)を出力する。
【0032】
また、出力部52は、画像DA、DBにバーコードBC(図7参照)が含まれている場合には、バーコードBCをデコードして商品コードを読み込み、上述と同様にPOS端末3に出力する。また、出力部52はバーコードBC以外にも値引ラベル等の画像を識別した場合には、メモリ53に格納されたパターンを用いたパターン認識によって値引コード等を読み取り、これをPOS端末3に出力する。
【0033】
次に、スキャナ2の動作例について説明する。図9は、スキャナ2が実行する画像取込処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
スキャナ2は、光源Aを所定のパルス数だけパルス発光させる(ステップS1)。そしてスキャナ2は、光源Aが照射された場合の画像DAを取り込む(ステップS2)。
【0035】
次に、スキャナ2は光源Aの発光を停止し、光源Bを所定のパルス数だけパルス発光させる(ステップS3)。そしてスキャナ2は、光源Bが照射された場合の画像DBを取り込む(ステップS4)。
【0036】
そして、スキャナ2は、ステップS2で取り込んだ画像DAとステップS4で取り込んだ画像DBとを比較し、画像DAと画像DBが等しいか否かを判定する(ステップS5)。
【0037】
画像DA、DBに異なる画像領域が含まれている場合、即ち、画像DAと画像DBが等しくない場合(ステップS5:No)には、画像DA、DBはホログラムを含んでいると判定し(ステップS6)、LED26を点灯するとともにブザー25を鳴らす。そして、スキャナ2は、ホログラム画像として同一領域に対する複数の画像をPOS端末3に出力し(ステップS7)、ステップS9に移行する。
【0038】
一方、画像DA、DBに異なる画像領域が含まれていない場合、即ち、画像DAと画像DBが等しい場合(ステップS5:Yes)には、画像DA、DBにはホログラムが含まれていないと判定し(ステップS8)、ステップS9に移行する。
【0039】
スキャナ2は、画像DA、DBにバーコードBCが含まれているか否か判定する(ステップS9)。バーコードBCが含まれている場合(ステップS9:Yes)には、そのバーコードBCから商品コードをデコードしてPOS端末3に出力する(ステップS10)。商品コードの出力後(ステップS10)、または、画像DA、DBにバーコードBCが含まれていない場合(ステップS9:No)には、ステップS1に戻ってステップS1〜S10の処理を繰り返す。
【0040】
(照射角度を変化させるその他の実施例)
尚、上述では、一例として照射角度の異なる2つの光源A、Bを設けるとしたが、照射角度の異なる光源を2つ以上設けるとしてもよい。またこの場合に、例えば読取窓21(図1参照)の枠の形状に合わせて複数の光源を配置し、それら光源を順次切り替えて発光させるとしてもよい。
【0041】
また、上述では、照射角度の異なる複数の光源を切り替えて発光させることにより光の照射角度を変化させるとしたが、照射角度を変化させる方法はこれに限定されるものではない。
【0042】
その他の例として、少なくとも1つの光源と撮像領域70との間にミラー等を設けて、このミラーの反射角度を制御することにより光路を変化させて、撮像領域70に対する光の照射角度を変化させるとしてもよい。
【0043】
また、別の例として、モータ等により位置を調整できる少なくとも1つの光源をスキャナ2に設けて、該光源の位置を変えることにより光路を変化させて、撮像領域70に対する光の照射角度を変化させるとしてもよい。
【0044】
(その他のホログラムへの適用)
尚、上述では、入射角度に応じて2つの異なる画像が浮かび上がるホログラムの例について説明したが、その他のホログラムに対して本実施形態のスキャナ2を用いることも可能である。
【0045】
一例として、照射角度θaの光によって照射した場合には文字やシンボル(例えば、「A」)が浮き出て、照射角度θa以外の光によっては文字やシンボルが浮き出ないようなホログラムに対して、本実施形態のスキャナ2を用いるとしてもよい。このような場合に、スキャナ2は光の照射角度を変化させて、ホログラムに含まれている文字やシンボルを浮き出させることができる。
【0046】
また、照射角度の変化に応じて、2つ以上の異なる画像が浮き出るホログラムに対して本実施形態のスキャナ2を用いるとしてもよい。
【0047】
以上説明したとおり、本実施形態のスキャナ2は、CCD20の撮像領域70に対する照射角度を変化させて光を照射し、この照射角度の変化に応じて画像の取り込みを行うので、ホログラムの画像を浮き出させることが可能となり、ホログラムを認識することができる。
【0048】
次に、POS端末3について説明する。POS端末3は、スキャナ2から入力された商品コード等の情報を用いて、客が購入する商品の販売登録を行う販売データ処理装置である。図1に示すように、POS端末3には、キーボード31、オペレータ(店員)用の表示器32、客用の表示器33、レシート印字等を行うプリンタ34、現金等を収容するためのドロワ35等が設けられている。キーボード31には、一取引にかかる商品の販売登録の終了を宣言し、商品代金の決済を行うための現計キー等が配設されている。
【0049】
図8は、POS端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示すように、POS端末3は、CPU310等の制御装置と、ROM37やRAM38等の記憶装置と、スキャナ2との通信を行うための通信I/F39とを備えている。また、CPU310には各種バスやインタフェースを介して、キーボード31、店員用の表示器32、客用の表示器33、プリンタ34、ドロワ35、スピーカ36、HDD等の記憶部320が接続されている。CPU310はROM37に格納されたプログラムを実行することによりこれら各部を制御可能である。店員用の表示器32には、商品を販売登録するための登録画面等が表示される。
【0050】
記憶部320は、商品マスタ321と、正規品表示パターンDB(Database)322とが格納されている。商品マスタ321には、商品名、商品部門、商品価格等の商品情報が商品コードと対応付けられて格納されている。
【0051】
正規品表示パターンDB322には、ホログラム画像に含まれる正規品表示のパターン画像が格納されている。より詳細には、正規品表示のパターン画像として、1つのホログラム画像に含まれる複数の異なるパターン画像の組合わせが格納されている。例えば、図5、図6で上述したように照射角度に応じて複数の異なるパターン画像「A」「B」が浮かび上がるホログラムHについては、ホログラムHに含まれる正規品表示のパターン画像の組合わせとして、パターン画像「A」と「B」とが組合わせられて格納されている。
【0052】
CPU310はROM37から読み出したプログラムをRAM38に展開して実行することにより、図8に示すように、情報受信部311と、判定部312と、報知部313と、販売登録部314として機能する。
【0053】
情報受信部311は、商品コードや値引コード、ホログラム画像(例えば、画像81a、81bの組合わせ)等の各種データを、通信I/F39と図示しない伝送路とを介してスキャナ2から受信する。
【0054】
判定部312は、正規品表示パターンDB322に格納された正規品表示のパターン画像と、スキャナ2から受信したホログラム画像とを照合して、ホログラム画像が適正な正規品表示であるか否かを判定する。
【0055】
概略的には、判定部312は、情報受信部311が受信したホログラム画像が正規品表示パターンDB322に格納されている場合に、判定部312は当該ホログラム画像が適正な正規品表示であると判定する。
【0056】
例えば、判定部312は、正規品表示パターンDB322に格納されているパターン画像の組合わせを用いて、画像81a(図5参照)と画像81b(図6参照)の組合わせをパターン識別する。そして、判定部312は、画像81aに含まれるパターン「A」と画像81bに含まれるパターン「B」との組合わせが、正規品表示パターンDB322に格納されている場合に、このホログラム画像が適正な正規品表示であると判定する。
【0057】
また、判定部312は、1つのホログラムに対するパターン画像の組合わせが正規品表示パターンDB322に格納されていない場合、パターン画像の一致度が所定の閾値に満たない場合等に、このホログラムが適正な正規品表示ではないと判定する。
【0058】
報知部313は、判定部312によりホログラム画像が適正な正規品表示ではないと判定された場合に、当該ホログラム画像が虚偽のものであることを表示出力や音声出力等によって報知する。一例として報知部313は、「正規品表示認証エラー」等のエラーメッセージを店員用の表示器32および客用の表示器33に表示するとともにスピーカ36にエラー音を出力させて、ホログラム画像が虚偽のものである旨を報知する。
【0059】
販売登録部314は、スキャナ2から入力された商品コードを用いて商品の仮登録を行う。尚、仮登録とは、受信した商品コードに対応する商品名や商品価格を商品マスタ321から読み込み、客に販売される商品の商品情報としてRAM38のワークメモリに一時的に格納する処理のことである。販売登録部314は、仮登録された商品の商品名や商品価格を、店員用の表示器32の登録画面、および客用の表示器33に表示する。また、販売登録部314は、キーボード31の現計キーが押下された場合に、一取引にかかる商品コードの入力受付を終了し、仮登録された商品の販売登録を確定する。
【0060】
また、販売登録部314は、判定部312によりホログラム画像が適正な正規品表示ではないと判定された場合に、ホログラム画像に対応付けられる商品コードの商品登録を行わない。尚、ホログラム画像と商品コードとを対応付ける方法は特に限定されないが、以下ではホログラム画像と、当該ホログラム画像が受信される直前に受信された商品コードとを対応付ける場合の動作例について説明する。
【0061】
次に、POS端末3の動作例について説明する。図10は、POS端末3が実行する販売登録処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
まず、情報受信部311は、スキャナ2から商品コードを受信したか否かを判定する(ステップS11)。受信していない場合(ステップS11:No)には、ステップS11に戻って入力待ちをする。商品コードを受信した場合(ステップS11:Yes)には、販売登録部314は、この商品コードを用いて上述のように商品の仮登録を行う(ステップS12)。
【0063】
次に、情報受信部311は、スキャナ2からホログラム画像(即ち、同一の画像領域に対する複数の異なる画像の組合わせ)を受信したか否かを判定する(ステップS13)。受信していない場合(ステップS13:No)には、ステップS11に戻って次に商品コードの入力待ちを行う(ステップS11)。
【0064】
ホログラム画像を受信した場合(ステップS13:Yes)には、判定部312は、正規品表示パターンDB322に格納されている正規品表示のパターン画像の組合わせを用いて、ステップS13で受信したホログラム画像の組合わせをパターン識別し(ステップS14)、ホログラム画像が適正な正規品表示の画像であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0065】
正規品表示である場合(ステップS15:Yes)にはステップS18に移行する。正規品表示でない場合(ステップS15:No)には、報知部313は、店員用の表示器32および客用の表示器33に「正規品表示認証エラー」等のエラーメッセージを表示するとともに、スピーカ36にエラー音を出力させる(ステップS16)。さらに、販売登録部314は、ステップS11で受信された商品コードの商品の仮登録を取り消す(ステップS17)。また、販売登録部314は、店員用の表示器32に表示される登録画面と、客用の表示器33とにおいて、その商品の仮登録が取り消された旨を表示する(ステップS17)。
【0066】
ステップS18において、販売登録部314は、キーボード31の現計キーが押下されてこの取引を終了する宣言が為されたか否かを判定する(ステップS18)。現計キーが押下されていない場合(ステップS18:No)には、ステップS11に戻って現計キーが押下されるまで、上述と同様に商品コードの入力受付を繰り返す(ステップS11〜S18)。現計キーが押下された場合(ステップS18:Yes)には、仮登録された商品の販売登録を確定して、一取引の販売登録を完了する(ステップS19)。
【0067】
以上のように、本実施形態のPOS端末3は、スキャナ2が出力したホログラム画像を用いて、カードや金券、商品等が正規品表示されているか否かを判別することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組合わせても良い。
【0069】
例えば、上述では、値引ラベル等を識別するために、文字識別用のパターンをメモリ53に備えるとしたが、当該パターンをメモリ53ではなくPOS端末3の記憶部320に格納し、POS端末3のCPU310がパターン認識を行ってもよい。また、ホログラム画像のパターン認識をPOS端末3の判定部312が行うとしたが、スキャナ2のCPU50がこのパターン認識を行ってもよい。
【0070】
尚、上述において報知部313はエラー報知を行うとしたが、報知部313はさらに、適正な正規品表示である旨を報知してもよい。一例として報知部313は、判定部312によってホログラムが適正な正規品表示であると判定された場合に、「正規品表示が認証されました」等のメッセージを店員用の表示器32および客用の表示器33に表示するとともにスピーカ36によって確認音を出力させて、ホログラム画像が正規のものである旨を報知してもよい。
【0071】
尚、上述ではホログラム画像が受信される直前に受信された商品コードと、ホログラム画像とを対応付けるとしたが、ホログラム画像と商品コードとを対応付ける方法は特に限定されるものではない。その他の例として、ホログラム画像が受信された直後に受信された商品コードとホログラム画像とを対応付けてもよい。或いは、予めホログラムが付される商品の商品コードを予めPOS端末3の記憶部320に記憶しておき、この記憶部320を参照してホログラム画像と商品コードとの対応付けを行ってもよい。
【0072】
また、一例として商品券や会員カード等にホログラムが付されており、当該ホログラムによって商品券や会員カードの正規品表示が行われる場合において、販売登録部314は、判定部312の判定結果に応じて商品券や会員カードによるサービスを行ってもよい。
【0073】
例えば、商品券に付されたホログラム画像が正規品表示でないと判定された場合に、販売登録部314は、当該ホログラム画像に対応する商品券の金額入力を受付けないとしてもよい。
【0074】
また、会員カードに付されたホログラム画像が正規品表示でないと判定された場合に、販売登録部314は、当該ホログラム画像に対応する会員カード提示による値引やポイント付加等のサービスを行わないとしてもよい。
【0075】
尚、本実施形態のスキャナ2、POS端末3で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0076】
さらに、本実施形態のスキャナ2、POS端末3で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のスキャナ2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 サッカー台
2 スキャナ
3 POS端末
4 チェックアウトレーンシステム
20 CCD(撮像手段)
21 読取窓
28 画像処理回路(制御手段、画像取込手段)
50 CPU
51 判定部(判定手段)
52 出力部
53 メモリ
70 撮像領域
71a、71b、72 画像領域
81a、81b 画像
DA、DB 画像
L レンズ
Sb 被写体
H ホログラム
θa、θb 照射角度
Ra、Rb 反射光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2008−33640号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
前記撮像手段によって画像が撮像される撮像領域に光を照射する光源と、
前記撮像領域に照射される前記光の照射角度を変化させる制御手段と、
前記照射角度を異ならせて、前記撮像領域の前記画像を取り込む画像取込手段と、
前記画像取込手段が取り込んだ前記照射角度の異なる前記画像を出力する出力手段と、
を備えるスキャナ。
【請求項2】
前記画像取込手段が取り込んだ前記照射角度の異なる少なくとも2つの画像が互いに異なる画像である場合に、当該画像はホログラムを撮像した領域であるホログラム画像を含んでいると判定する判定手段、をさらに備える請求項1に記載のスキャナ。
【請求項3】
前記光源は、前記撮像領域に対する前記照射角度を変えて複数設けられ、
前記制御手段は、前記複数の光源を切り替えて発光させることにより前記光の照射角度を変化させる、請求項1または2に記載のスキャナ。
【請求項4】
前記光源はパルス発光し、
前記制御手段は、前記パルス発光に同期して前記光の照射角度を変化させ、
前記画像取込手段は、前記パルス発光に同期して前記照射角度の異なる少なくとも2つの画像を取り込む、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスキャナ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のスキャナから出力された、前記ホログラム画像を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記ホログラム画像が、ホログラムに含まれるパターン画像を記憶する記憶部に格納されていない場合に、エラー報知をする報知手段と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記スキャナから商品コードをさらに受信し、
前記受信手段が受信した前記ホログラム画像が前記記憶部に格納されている場合には前記商品コードの商品の販売登録を行い、前記受信手段が受信した前記ホログラム画像が前記記憶部に格納されていない場合には前記商品コードの商品の販売登録を行わない販売登録手段をさらに備える、請求項5に記載の販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194965(P2012−194965A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280359(P2011−280359)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】