説明

スキャナドライバおよびスキャナドライバの制御方法

【課題】専用ハードウェアやソフトウェアがなくても、スキャナを含む機器またはスキャナを含む機器に接続されているコンピュータ上で、QRコードを利用することができるスキャナドライバおよびスキャナドライバの制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光学的に原稿を読み取る画像入力装置を具備するスキャナ、または、上記スキャナの機能を複合した複合機器において、インタフェースを介して、コンピュータと接続して画像を取り込む画像入力装置から、コンピュータ上でスキャン画像を取り込むスキャナドライバであって、QRコードから情報を取り出す機能を有するスキャナドライバである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナドライバおよびスキャナドライバの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
QRコードを読み込む場合、携帯電話のカメラ機能を使って画像を取り込み、デコードする手法が知られている。この場合、パーソナルコンピュータ上で利用する際に、専用のハードウェアとアプリケーションとによって、上記QRコードをパーソナルコンピュータ上で利用する。QRコードを伝える場合、専用の通信端末を必要とすることが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、1つのスキャン結果内に、複数のバーコードが存在する場合、デコードされた結果を表示し、選択し、デコードされたバーコード情報を表示して内容を選択させる方式が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−267966号公報
【特許文献2】特開平08−263585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザがQRコードを利用しようとする場合、専用のハードウェアを購入する必要があり、ユーザに導入費用が必要である。
【0005】
また、スキャンした画像からQRコードを認識し、この認識したQRコードを利用するためには、それに対応する作業を、アプリケーションが実行する必要があり、アプリケーションメーカの開発コストが増加するので、機能を導入する場合にハードルがある。
【0006】
したがって、上記従来例では、パーソナルコンピュータのユーザが、QRコードを使うことができる機会が限定されるという問題がある。
【0007】
本発明は、専用ハードウェアやソフトウェアがなくても、スキャナを含む機器またはスキャナを含む機器に接続されているコンピュータ上で、QRコードを利用することができるスキャナドライバおよびスキャナドライバの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スキャナまたはスキャナの機能を複合した複合機器を使用し、スキャンした画像をコンピュータ上のスキャナドライバで処理する処理手段を有する。また、本発明は、スキャンした画像をコンピュータ上のスキャナドライバで処理したことを、コンピュータ上で動作するアプリケーションに通知する手段を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、専用ハードウェアやソフトウェアがなくても、スキャナを含む機器またはスキャナを含む機器に接続されているコンピュータ上で、QRコードを利用することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施するための最良の形態は、実施例である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1であるスキャナドライバ21の説明図である。
【0012】
複合機器100は、フラットベッドスキャナ10と、コンピュータ20と、ディスプレイ30とを有する。
【0013】
コンピュータ20は、スキャナ10を駆動するスキャナドライバ21と、OS22と、アプリケーション23と、TWAIN24とをインストールしている。
【0014】
スキャナドライバ21は、通信手段40を用い、スキャナ10から画像データを取得し、また、QRコード認識部211を使って、画像データから、後述のQRコード50をデコードする。
【0015】
デコードされたQRコード50は、次のように処理される。
【0016】
(1)ディスプレイ30上に表示される。
【0017】
(2)OS22のペーストバッファにコピーされる。
【0018】
(3)OS22のオープン機能を使い、QRコード50を引数としてアプリケーション23を起動する。
【0019】
(4)TWAIN24などを拡張する。
【0020】
上記処理によって、QRコード50を、アプリケーション23へ直接送信する等の処理を実行する。
【0021】
図2は、実施例1において、スキャナドライバ21によって、実際に表示されているユーザインタフェースの例を示す図である。
【0022】
通常のスキャナドライバ21の機能を実現するためのユーザインタフェースに加えて、QRコード釦B1が、ウィンドウW1の上部に設定されている。
【0023】
ユーザは、スキャナドライバ21が、ウィンドウ上にスキャナから読み取られるイメージを表示するプレビュー機能を有する場合、上記イメージを表示する機能によってスキャナ10からプレビュー画像を得る。
【0024】
つまり、上記実施例は、スキャナドライバのユーザインタフェースで表示されるプレビュー画像上において、自動または手動で、ユーザが選択したQRコードに対応する内容を、上記QRコード認識部211を使い、スキャナドライバがデコードする例である。また、上記実施例は、上記デコードされた情報を取得するスキャナドライバの例である。
【0025】
図3は、実施例1において、原稿台から実際に読み取ったドキュメントの内容を示す図である。
【0026】
図2の中では、原稿台から実際に読み取った図3で示すドキュメントの内容が表示されている。
【0027】
図4は、原稿台から実際に読み取ったドキュメントの内容(図3に示す内容)のうちで、QRコード50を含む領域を、手動で選択している状態を示す図である。
【0028】
ユーザは、図4に矢印で示すように、マウスをドラッグ操作することによって、QRコード50を含む領域を手動で選択することができる。また、QRコード釦B1をクリックすることによって、自動的に領域を選択するようにしてもよい。
【0029】
また、図3に示すドキュメントには、2つのQRコード50がレイアウトされているが、このような場合に、QRコード釦B1を押すと、その数分だけの領域が選択される。図2は、2つの領域が選択されている状態を示している。
【0030】
図2に示す例では、2つのQRコード50の領域が存在するが、QRコード50を処理する場合、複数を同時に扱うことができないので、どちらか1つを選択する必要がある。この場合、デコードされると、テキストの情報のみになるので、どちらが正しい情報であるかを判別できない可能性がある。
【0031】
つまり、図2に示す実施例は、複数の画像がある場合、複数のQRコードを認識し、この認識されたQRコードに対応する画像を画面上に表示し、画面上に表示されている画面で、全体を見ながら、所定の情報を選択するスキャナドライバの例である。
【0032】
実施例1では、図3に示すドキュメントの全体像がプレビュー領域に表示され、画面上の位置や、関連する文章や、図のプレビュー画像を手がかりにすれば、複数のQRコード50のうちの1つを選択することが容易である。
【0033】
図5は、実施例1において、QRコードを使用する方法のメニューが表示されている状態を示す図である。
【0034】
上記のように、図2に示す方法は、QRコード釦B1を使用することによって、QRコード50を含む領域を選択する方法である。また、図4に示す方法は、マウスをドラッグ操作することによって、QRコード50を含む領域を選択する方法である。
【0035】
図2または図4に示す方法で、図5において点線で囲まれた矩形で示す領域内に、QRコード50を含む領域が選択されている状態で、マウスの右クリックまたは特定のキーを押しながらクリックする。これによって、QRコード50を使用する方法のメニュー60が表示される。
【0036】
または、QRコード50を含む領域が選択されている状態で、QRコード50を含む領域が選択された状態で、ショートカットキーをクリックすると、QRコード50を使用する方法のメニュー60が表示されるようにしてもよい。
【0037】
メニュー60に記載されている内容は、「QRコード50をコピー」、「QRコード50の情報を表示」、「QRコード50をアプリケーション23で開く」の3つのメニューである。
【0038】
メニュー60に表示されている内容のうちで、「QRコードをコピー」を実行すると、オペレーティングシステム22が具備するペーストバッファに、内容がコピーされる。この状態で、他のアプリケーション23を起動し、そのアプリケーション23のペーストコマンドを使用することによって、QRコード50から得られた情報を、そのアプリケーション23に、渡すことができる。
【0039】
この場合、実際にスキャンを行いQRコードを取り出す動作は完了し、この結果がペーストバッファに存在している。したがって、そのアプリケーション23は、通常のデータのペースト機能を有するだけで、QRコードの情報を取得することができ、スキャナドライバ21を制御する機能や、QRコード50を認識する機能などは不要である。
【0040】
図5に示すQRコードを使用する方法のメニュー60に記載されている「QRコード50の情報を表示」を実行すると、QRコード50が具備する情報を、その場で確認することができる。つまり、オペレーティングシステムが管理するディスプレイ上に、上記デコードされた内容を表示する。
【0041】
図6は、実施例1において、サブメニュー61を示す図である。
【0042】
表示は、図6に示すように、ダイアログとして表示するようにしてもよく、ポップアップされるメニュー60の一項目として表示するようにしてもよい。QRコード50には、インターネットアクセス等の情報が含まれているので、不用意なURLへのアクセスの危険を回避する必要がある。このために、ユーザ側で、一旦その内容を確認する場合に、アプリケーション23で情報を紐解く前に、情報の表示によって、ユーザが情報の安全性を確保することができる。つまり、デコードされた内容を、オペレーティングシステムが持つ機能を用い、他のアプリケーションにパラメータとして渡す。
【0043】
図7は、実施例1において、サブメニュー61で「QRコードを表示」を実行した結果として、QRコードの情報を表示するダイアログが表示されていることを示す図である。
【0044】
図5に示すQRコードを使用する方法のメニュー60における「QRコード50をアプリケーション23で開く」を選択すると、図7に示すように、対象のアプリケーション23がサブメニュー60に表示される。この場合、対象とするアプリケーション23は、QRコード50の内容に応じて、追加・削除またはアクティブ・イナクティブするようにしてもよい。
【0045】
ここで、アプリケーション23を選択すると、QRコード50の情報を引数としてアプリケーション23をオープンするように、オペレーティングシステム22に対するイベントを発生させる。
【0046】
アプリケーション23側で引数を処理することが可能であれば、QRコード50の情報に基づく処理が実行される。たとえば、URLを引数として渡せば、そのURLが表示されるアプリケーション23である場合、QRコード50の情報がURLであれば、そのURLのページが、アプリケーション23上に表示される。
【0047】
たとえば、携帯電話のQRコード50の場合には、タグが定義され、この定義に応じて情報の種別を判定することができる。電話帳登録用のタグの場合、住所録やメールソフト、ブックマーク登録用のタグの場合、WEBブラウザソフトを対象アプリケーション23として限定するようにしてもよい。
【0048】
実施例1において、スキャナドライバ21のユーザインタフェースをオンにした場合、デコードされた内容を、オペレーティングシステムが持つペーストバッファの機能を使い、他のアプリケーションに利用させることが可能である。また、実施例1において、オペレーティングシステムが管理するディスプレイ上に、上記デコードされた内容を表示することが可能である。さらに、実施例1において、デコードされた内容を、オペレーティングシステムが持つ機能を用い、他のアプリケーションにパラメータとして渡すことが可能である。
【0049】
しかし、ユーザインタフェースをオフにした場合、QRコード50を扱うことができない。このような場合、アプリケーション23に対するスキャナドライバ21のインタフェースを設け、ユーザインタフェースがオフのアプリケーション23において、QRコードを要求するためのコマンドやAPIによるスキャナドライバの制御を行う。そして、QRコード50を取得できるような機能の拡張を、スキャナドライバに対して行う手法をサポートする。
【0050】
具体的な実現方法として、ライブラリを提供し、それをアプリケーションが呼び出すライブラリで提供する方法がある。また、標準的なスキャナドライバのアプリケーションのインタフェースであるTWAIN24の機能に含まれている拡張タグの機能を使って、インプリメントする方法がある。
【0051】
実施例1は、スキャナドライバ21として、ホストコンピュータ20側で実現される機能であるが、スキャナ10の他に、プリンタやFAX等の機能を持つ複合機に、上記実施例1を適用するようにしてもよい。
【0052】
図8は、実施例1において、スキャナ機器の情報や操作を行うディスプレイで画像をスキャンした後に、プレビューしてQRコードが表示されていることを示す図である。
【0053】
スキャナ10において、図8に示すようなディスプレイ(液晶パネル)と、機器を操作するためのボタンを持つ場合には、次のように実現するようにしてもよい。つまり、スキャナドライバ21のプレビュー画面を、複合機の液晶パネルと見立て、操作ボタンを、マウス+キーボード操作と見立て、QRコード50の情報を活用するシステムを実現するようにしてもよい。
【0054】
つまり、スキャナ内に、プレビュー画像の表示と、選択操作とが可能であり、しかも、上記複合機の画面上でプレビューを行い、上記QRコードを選択・取得し、上記スキャナ内の設定を変更するようにしてもよい。
【0055】
たとえば、ファックス機能を有する複合機において、ファックス番号を含むQRコード50の情報を識別し、電話帳へ登録し、ファックスの送信を行わせる等の動作を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1であるスキャナドライバ21の説明図である。
【図2】実施例1において、スキャナドライバ21によって、実際に表示されているユーザインタフェースの例を示す図である。
【図3】実施例1において、原稿台から実際に読み取ったドキュメントの内容を示す図である。
【図4】原稿台から実際に読み取ったドキュメントの内容(図3に示す内容)のうちで、QRコード50を含む領域を、手動で選択している状態を示す図である。
【図5】実施例1において、QRコードを使用する方法のメニューが表示されている状態を示す図である。
【図6】実施例1において、サブメニュー61を示す図である。
【図7】実施例1において、サブメニュー61で「QRコードを表示」を実行した結果として、QRコードの情報を表示するダイアログが表示されていることを示す図である。
【図8】実施例1において、スキャナ機器の情報や操作を行うディスプレイで画像をスキャンした後に、プレビューしてQRコードが表示されていることを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100…複合機器、
10…フラットベッドスキャナ、
20…コンピュータ、
21…スキャナドライバ、
22…OS、
23…アプリケーション、
24…TWAIN、
30…ディスプレイ、
40…通信手段、
50…QRコード、
60…QRコードを使用する方法のメニュー、
61…サブメニュー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に原稿を読み取る画像入力装置を具備するスキャナ、または、上記スキャナの機能を複合した複合機器において、
インタフェースを介して、コンピュータと接続して画像を取り込む画像入力装置から、コンピュータ上でスキャン画像を取り込むスキャナドライバであって、QRコードから情報を取り出す機能を有することを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項2】
請求項1において、
上記スキャナドライバのユーザインタフェースで表示されるプレビュー画像上において、自動または手動で、ユーザが選択したQRコードに対応する内容を、上記QRコードの認識部を使い、スキャナドライバがデコードし、このデコードされた情報を取得することを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項3】
請求項2において、
複数の画像がある場合、複数のQRコードを認識し、この認識されたQRコードに対応する画像を画面上に表示し、画面上に表示されている画面で、全体を見ながら、所定の情報を選択することを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項4】
請求項2において、
上記デコードされた内容を、オペレーティングシステムが持つペーストバッファの機能を使い、他のアプリケーションに利用させることを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項5】
請求項2において、
オペレーティングシステムが管理するディスプレイ上に、上記デコードされた内容を表示することを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項6】
請求項2において、
上記デコードされた内容を、オペレーティングシステムが持つ機能を用い、他のアプリケーションにパラメータとして渡すことを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項7】
スキャナドライバのユーザインタフェースを使用せずに、直接スキャンするアプリケーションにおいて、
QRコードを取得するアプリケーションインタフェースを提供する方法。
【請求項8】
請求項1において、
上記スキャナ内に、プレビュー画像の表示と、選択操作とが可能であり、しかも、上記複合機の画面上でプレビューを行い、上記QRコードを選択・取得し、上記スキャナ内の設定を変更することを特徴とするスキャナドライバ。
【請求項9】
光学的に原稿を読み取る画像入力装置を具備するスキャナ、または、上記スキャナの機能を複合した複合機器において、
インタフェースを介して、コンピュータと接続して画像を取り込む画像入力装置から、コンピュータ上でスキャン画像を取り込むスキャナドライバを制御する場合、QRコードから情報を取り出すことを特徴とするスキャナドライバの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−172471(P2007−172471A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372005(P2005−372005)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】