説明

スキャナー装置、およびスキャナー装置の制御方法

【課題】読み取りが完了した標識を識別可能なスキャナー装置を提供する。
【解決手段】媒体Pに表示された標識Bを読み取る標識読取部10と、前記媒体BにマークMを描画する描画部20と、を備え、前記標識読取部10の読取可能領域と前記描画部20の描画可能領域とは、少なくとも重複する領域を有し、前記標識読取部10が前記標識Bの読み取りを完了したときに、前記描画部20は前記標識Bの表示領域にかかるよう前記マークMを描画することを特徴とするスキャナー装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の標識を読み取るスキャナー装置、およびスキャナー装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
販売、物流や製造等の分野において、物品管理等を目的にバーコードや二次元コード等の標識が用いられている。例えば、レストランのオーダリングシステムでは、注文された品目が厨房に注文一覧として発行される。作業者は、この注文一覧を見て注文された品を調理し顧客に提供する。また、倉庫等では出庫すべき品目が一覧表で発行される。作業者は、この一覧表に基づいて品目を選択して出庫する。大規模店や大型倉庫では非常に多くの品目がランダムに指定される。そのため、品目を識別するバーコードや二次元コード等の標識が用いられ、作業者はその標識に基づいて作業をする。そして、これらの標識を読み取るためにバーコードリーダーを代表とするスキャナー装置が用いられる。
【0003】
作業者は、非常に多くの品目が指示されるため、どこまでのバーコードを読み取ったか不明になり、一旦読み取ったバーコードを2度読みしてしまうことや読みとばしてしまう等のミスがあった。このようなミスを防ぐため、スキャナー装置に印字機能部を付加して読み取ったバーコードの近傍に読み取り完了の表示(印字)を行うハンディスキャナー装置およびその制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−266062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のハンディスキャナー装置および制御方法において、バーコードの読み取りが完了した旨の表示は、媒体のバーコード等の表示領域以外の領域に行われる。そのため、媒体に特定の印字領域を設ける必要があり、一覧表の様式が規制されたりサイズが大きくなってしまうとの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
(適用例1)媒体に表示された標識を読み取る標識読取部と、前記媒体にマークを描画する描画部と、を備え、前記標識読取部の読取可能領域と前記描画部の描画可能領域とは、少なくとも重複する領域を有し、前記標識読取部が前記標識の読み取りを完了したときに、前記描画部は前記標識の表示領域にかかるよう前記マークを描画することを特徴とするスキャナー装置。
【0008】
この構成によれば、スキャナー装置は標識読取部と描画部とを有している。そして、標識読取部の読取可能領域と描画部の描画可能領域とは重複する領域を有している。そのため、標識読取部によって、媒体としての記録用紙に表示された標識としてのバーコードや2次元コードを読み取ることができるとともに、描画部によって、標識の表示領域にかかるように読み取りが完了したことを示すマークを描画することができる。そのため、読み取りが完了した標識が明確に識別でき、標識の2度読みや読みとばし等の読み取りミスを低減することができる。また、標識の表示領域に描画が行われるため、媒体に特定の印字領域を設ける必要がなく、一覧表の様式を自由に決めることができる。また、一覧表のサイズを小さくすることができる。
【0009】
(適用例2)前記標識読取部は、前記標識を読み取るための光を照射する反射部を有し、前記描画部は、インクを吐出するインクジェットヘッドを有し、前記標識読取部および前記描画部は、前記光の照射方向と、前記描画部の前記インクジェットヘッドのインク吐出方向とが交差するように配置されていることを特徴とする上記のスキャナー装置。
【0010】
この構成によれば、スキャナー装置において、読み取りのための光の照射方向とマークを描画するインクジェットヘッドのインク吐出方向とは交差する。そのため、1つの標識の表示領域に対して、標識の読み取りおよびマークの描画の双方の作業を行うことができる。
【0011】
(適用例3)前記標識読取部および前記描画部は、手持ち可能な筐体に収容されていることを特徴とする上記のスキャナー装置。
【0012】
この構成によれば、ハンディタイプのスキャナー装置を提供することができる。
【0013】
(適用例4)媒体に表示された標識を光学的読み取り方法で読み取る標識読取工程と、前記標識が読み取られたことを判定する読取判定工程と、前記読取判定工程で前記標識が読み取られたことを認知したとき、インクジェットヘッドを用い、前記媒体の前記標識の表示領域にかかるようにインクを吐出してマークを形成するマーキング工程と、を有することを特徴とするスキャナー装置の制御方法。
【0014】
この方法によれば、スキャナー装置は、標識読取工程において、媒体としての記録用紙に表示された標識としてのバーコードや2次元コードを読み取ることができる。そして、読取判定工程で標識が正しく読み取られたことを認知したとき、マーキング工程においてインクジェットヘッドによって、標識の表示領域にかかるように読み取りが完了したことを表わすマークを描画することができる。そのため、読み取りが完了した標識が明確になり、標識の2度読みや読み取り抜け等の読み取りミスを低減することができ、作業の信頼性を向上することができる。また、標識の表示領域に描画が行われるため、媒体に特定の印字領域を設ける必要がなくなり、一覧表の様式を自由に決めることができる。また、一覧表のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】スキャナー装置の構成を説明する図。
【図2】標識読取部を説明する図。
【図3】描画部を説明する図。
【図4】スキャナー装置の構成を示すブロック図。
【図5】スキャナー装置の動作を示すフローチャート。
【図6】媒体に表示されたバーコード一覧表の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0017】
(スキャナー装置の全体構成について)
まず、スキャナー装置の全体構成について、バーコードを読み取るハンディスキャナーを例にとり図1を参照して説明する。図1は、スキャナー装置の構成を説明する図であり、(a)は、スキャナー装置の斜視図、(b)は、スキャナー装置の側面図である。このハンディスキャナーは、例えば、レストランのオーダリングシステム、物品の製造や物流等の分野に適用され、標識としてバーコードや2次元コードを読み取る。なお、図1に示すX方向およびY方向は、標識が表示されている媒体の2次元平面方向を示し、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向を示す。詳しくは、X方向は、媒体に表示される標識の表示方向(桁方向)を示し、Y方向はX方向と直交する方向を示す。
【0018】
図1(a)に示すように、ハンディスキャナー100は、標識読取部10と、描画部20と、制御部30と、これらを収容する筐体50と、を有する。ハンディスキャナー100の筐体50は、プラスチック等の材料で形成され、略直方体形状の本体部51と本体部51の1つの面から突出する握り部52とを有する。本体部51には後述する標識読取部10と描画部20とが収容され、本体部51の図1(a)中Z方向下方の面から標識読取部10および描画部20の一部がX方向に沿ってY方向に並列した状態で露出している。また、握り部52の内部には制御部30が収容される。
【0019】
(スキャナー装置の構成要素について)
次いで、スキャナー装置の構成要素について、図2〜4を参照して説明する。図2は、標識読取部の構成を説明する概略図であり、詳しくは、標識読取部を図1(a)中Y方向から見た図である。図3は、描画部の構成を説明する図であり、詳しくは、描画部のインクジェットヘッドを底面側から見た斜視図である。図4は、スキャナー装置の構成を示すブロック図である。図2および図3に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。
【0020】
まず、標識読取部10について説明する。本実施形態では、標識読み取り方式としてレーザースキャン方式を適用した場合を例にとり説明する。
図2に示すように、標識読取部10は、発光部12と、反射部14と、受光部16とを備える。発光部12はレーザー光線を照射するレーザー光源12aを有する。反射部14は、走査ミラー15を有し、走査ミラー15を回転させることによって発光部12から照射されるレーザー光線を図中X方向に往復走査する。このX方向の走査を主走査と呼ぶ。また、走査ミラー15を反復振動させることによって発光部12から照射されるレーザー光線を図中Y方向に所定幅往復走査することができる。このY方向の走査を副走査と呼ぶ。
【0021】
反射部14によって走査されるレーザー光線は、図1(a)に示すハンディスキャナー100の本体部51のZ方向底面側から照射され、媒体としての用紙Pに表示された標識としてのバーコードBを桁方向(X方向)もしくは幅方向(Y方向)にスキャンする。図2に示す受光部16は、フォトダイオード等の光学センサーを有し、レーザー光線によるバーコードBからの反射光を受光して電気信号に変換して出力する。なお、受光部16は、バーコードBからの反射光を集光する集光レンズを備えていてもよい。
【0022】
次いで、描画部20について説明する。本実施形態において、描画部20は、インクをインク滴として吐出するインクジェットヘッド21を有する。図3に示すように、インクジェットヘッド21は、液状体導入部22と、ヘッド基板23と、ヘッド本体27と、コネクター28とを備えている。
【0023】
液状体導入部22は、方形に形成され2連の接続針29を有し、ヘッド基板23の一方の面に設けられている。この接続針29には図示しないインクタンクから図示しないインク供給管を介してインクが供給される。ヘッド基板23は、長手方向の長さが液状体導入部22の長手方向の長さより長い長方形の板状に形成され、液状体導入部22が設けられている面に、さらに2個のコネクター28が設けられている。このコネクター28は例えば図示しないFFCを介して後述する制御部30に接続されヘッドの制御信号等が供給される。ヘッド本体27は、方形に形成され、ヘッド基板23の他方の面に、液状体導入部22と対峙するように設けられている。
【0024】
ヘッド本体27は、液状体導入部22に連なるポンプ部24と、ポンプ部24に連なるノズルプレート25とを有している。ノズルプレート25のノズル面25aには、複数のノズル26が形成されている。複数のノズル26は、ノズル面25aにX方向に沿って所定のピッチ間隔を有してノズル列26aを形成している。ポンプ部24には、図示しない圧電素子が設けられており、圧電素子を後述する制御部30からの制御信号に基づいて駆動することによって、液状体導入部22から供給されてきた液状体としてのインクをノズル26からインク滴として吐出する。一つのノズル26に対応して一つの圧電素子が設けられており、それぞれのノズル26毎に独立してインク滴を吐出することができる。
【0025】
なお、このインクジェットヘッド21は、図1に示すハンディスキャナー100の本体部51に収容されたとき、ノズル26が図1(b)中Z方向下方、すなわち用紙Pに対向する。このように配置されることによって、描画部20のインクジェットヘッド21は、用紙Pの表面にインク滴を吐出し、直線等のマークを描画することができる。
【0026】
図4に示すように、制御部30は、信号変換部32とヘッドドライバー34とコントロール部35とを備える。信号変換部32は、標識読取部10の受光部16から出力された電気信号を変換して反射光の明暗の明部と暗部との時間幅を示すデータを生成するとともに各種信号の授受を行う。ヘッドドライバー34は、コントロール部35からの指令に基づいて、インクジェットヘッド21のインク滴の吐出を制御する。コントロール部35は、CPU(Central Processing Unit)36、情報処理部37およびメモリー部38を備えている。CPU36は、標識読取部10で読み取られ信号変換部32で変換されたデータの演算や描画等の各種処理を実行する。
【0027】
メモリー部38は、図示しないRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などを含んだ構成を有している。RAMは、CPU36によって実行される各種処理等のプログラムを一時的に展開したり、各種データを一時的に格納したりする。ROMは、例えば不揮発性半導体メモリーで構成され、インクジェットヘッド21の駆動周波数を制御する吐出制御プログラムの他、CPU36が実行する各種のプログラムが格納されている。情報処理部37は、信号変換部32から入力されたデータをデコードするとともに、デコードされたデータの正誤を判定する演算処理等の処理を行う。
【0028】
なお、上述のハンディスキャナー100において、標識読取部10と描画部20とは、本体部51内にX方向に沿うようにY方向に並列した状態で配置されている。ところが、Z方向においては互いの主軸が平行ではなく延長線上で交差するように配置されている。すなわち、描画部20のインクジェットヘッド21からインクをインク滴として吐出する方向(主軸)は図1(b)中Z方向下方向、すなわちZ軸に沿っている。一方、標識読取部10は、反射部14から走査されるレーザー光線のX方向(主走査方向)から見た主軸がZ軸に対して所定の角度を有するように斜めに配置されている。このように配置されることによって、1つのバーコードBの表示領域に対して、標識読取部10による標識の読み取りおよび描画部20によるマークの描画の双方の作業を行うことができる。
【0029】
(スキャナー装置の制御方法について)
ここで、上述のハンディスキャナーを用いた標識の読取方法およびその制御方法について、図5および図6を参照して説明する。図5は、ハンディスキャナーの動作を示すフローチャートである。図6は、媒体としての用紙Pに表示された標識としてのバーコード一覧表の例を示す図であり、(a)は、読み取り作業前の一覧表、(b)は、読み取り作業終了後の一覧表である。図6に示すX方向およびY方向は、図1に示すX方向およびY方向と同一な方向を示す。
【0030】
図5に示すように、ハンディスキャナーの制御方法は、少なくともセット工程S1と標識読取工程S2と読取判定工程S3とマーキング工程S4とを有する。
【0031】
図5に示すセット工程S1では、図6(a)に示す用紙Pの読み取るべきバーコードB1に対して、ハンディスキャナー100の読取り面を位置合わせしつつ対峙させる。このとき、ハンディスキャナー100は、レーザースキャン方式を用いているため読み取り面とバーコードまでの距離は間隔を空けることが可能である。
【0032】
標識読取工程S2では、ハンディスキャナー100を用いてバーコードB1を読み取る。すなわち、図1に示す握り部52に設けられている図示しない読み取りボタンを操作して図2に示す標識読取部10を動作させる。すなわち、制御部30(図4)の制御の基に、図2に示す標識読取部10の発光部12からレーザー光線を反射部14の走査ミラー15に向けて照射する。走査ミラー15は図2中Z軸を回転軸として回転するとともにZ方向に反復振動する。そのため、反射部14によって反射されるレーザー光線は、ハンディスキャナー100の本体部51のZ方向下側の読み取り面から照射され、用紙Pに表示されたバーコードB1に対して、桁方向(X方向)を主走査、幅方向(Y方向)を副走査として複数回往復スキャンする。
【0033】
照射されたレーザー光線は、用紙Pに表示されたバーコードB1面で反射する。バーコードは一般に黒バー(暗部)と白バー(明部)によって構成される。従って、反射光は明暗の違いによって強弱を有する。バーコードB1で反射された反射光は図2に示す受光部16によって受光される。受光部16はフォトダイオード等の光学センサーを有する。そのため、受光した反射光は電気信号に変換される。この電気信号は、図4に示す制御部30の信号変換部32に送信される。なお、本実施形態では、標識読取部10の反射部14から走査されるレーザー光線は主軸がZ軸に対して所定の角度を有するように斜めに照射される。
【0034】
図5に示す読取判定工程S3では、読取ったバーコードB1の読み取りが正しく行われたか否かの判定を行う。図4に示す制御部30の信号変換部32では、受信した電気信号を基に反射光の明暗の明部と暗部との時間幅を示す受光データを生成し、コントロール部35に転送する。コントロール部35では、受光データを取得するとともに、メモリー部38の予め設定された特定番地に受光データを書き込む。複数の受光データの書き込みが終了した時点で割り込みが発生し、情報処理部37においてデータの正誤を判断するための照合処理が行われる。
【0035】
本照合は、バーコードB1の規格に基づいて行われる。例えば、バーコードB1の両端部チェックデジットをメモリー部38に記憶された規格と照合してもよい。読取判定工程S3で正しく読取られていないと判定された場合(NO)は、標識読取工程S2にもどりバーコードの読み取り動作を繰り返す。読取判定工程S3で正しく読取られたと判定された場合(YES)は、マーキング工程S4に進む。なお、バーコードB1が正しく読取られたと判定したときは、ハンディスキャナー100の図示しないブザーや図示しないディスプレイで読み取りOKの表示をしてもよい。
【0036】
マーキング工程S4では、描画部20によりバーコードB1の表示領域にかかるようにマークMを描画する。読取判定工程S3でバーコードB1が正しく読取られたと判定したとき、コントロール部35の指令に基づいてヘッドドライバー34からインクジェットヘッド21に駆動信号を送り、ノズル26からバーコードB1の表示領域にかかるようにインク滴を吐出し、直線状のマークMを描画する。用紙Pに記載されたバーコードB毎に上述の作業を繰り返す。
【0037】
以下、本実施例の効果を記載する。
(1)上述のハンディスキャナー100は、標識読取部10によって、用紙Pに表示されたバーコードBを読み取ることができる。そして、読み取りが完了し、正しく読取られたことが認知されたとき、描画部20のインクジェットヘッド21によって、バーコードBの表示領域内に読み取りが完了したことを示す直線状のマークMを描画する。そのため、このバーコードBに対して読み取りが完了したことを明らかにすることができ、同一バーコードBの2度読みやバーコードBの読みとばし等の読み取りミスを低減することができる。その結果、バーコード読み取り作業の信頼性を向上させることができる。
【0038】
(2)上述のハンディスキャナー100は、反射部14からのレーザー光線の照射方向とマークMを描画するインクジェットヘッド21のインク吐出方向とは交差するように設定されている。そのため、1つのバーコードBの表示領域に対して、バーコードBの読み取りおよびマークMの描画の双方を行うことができる。その結果、用紙Pに特定の印字領域を設ける必要がなく、一覧表の様式を自由に決めることができるとともに、一覧表のサイズを小さくすることができる。
【0039】
(3)上述のハンディスキャナー100は、バーコードBの表示領域に対してバーコードBを横切る形の直線状のマークMを描画する。すなわち、バーコードBの黒バー、白バーを横切る形でマークMを描画する。そのため、マークMを識別しやすくすることができる。また、マークMはほぼ直線であるため、バーコードBの一部しか覆わない。そのため、必要があればバーコードBの再読が可能である。
【0040】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施例以外の変形例は、以下の通りである。
【0041】
(第1変形例)
上記実施例では、標識読取部10として、レーザースキャン方式を採用した場合について説明したが、これに限定しない。標識読み取り方式として、CCDスキャン方式やイメージセンシング方式等を採用してもよい。また、上記実施例では、描画部20のインクジェットヘッド21のインク滴の吐出方向を鉛直方向とし、標識読取部10の光線の照射方向をインク滴の吐出方向に対して斜めに配置する場合について説明したが、これに限定されない。標識読取部10の光線の照射方向を鉛直方向とし、インクジェットヘッド21のインク滴の吐出方向と標識読取部10の光線の照射方向とを互いに斜めにしてもよい。すなわち、標識読取部10と描画部20とは、標識読取部10の読み取り可能領域と描画部20の描画可能領域が重なり合う領域を有するように配置されていればよい。
【0042】
(第2変形例)
上記実施例では、描画部20のインクジェットヘッド21が固定している場合について説明したが、これに限定されない。インクジェットヘッド21は、ノズル26の配列方向もしくは配列方向と直交する方向に対して移動可能としてもよい。インクジェットヘッド21の移動機構としては、公知の直線移動機構、例えばリンク機構やカムシャフト機構を採用することができる。この構成によってマークMの線種や形態を増やすことができる。
【0043】
(第3変形例)
上記実施例では、描画部20のインクジェットヘッド21が1つであり、また、ノズル26が1列の場合について説明したが、これに限定されない。インクジェットヘッド21をY方向に並列配置してもよいし、ノズル列26aを千鳥配置もしくは複数配列にしてもよい。このようにすることによってマークMの線種や形態を増やすことができる。
【符号の説明】
【0044】
10…標識読取部、12…発光部、12a…レーザー光源、14…反射部、15…走査ミラー、16…受光部、20…描画部、21…インクジェットヘッド、26…ノズル、27…ヘッド本体、30…制御部、32…信号変換部、34…ヘッドドライバー、35…コントロール部、37…情報処理部、50…筐体、51…本体部、100…スキャナー装置としてのハンディスキャナー、B1,B…標識としてのバーコード、M…マーク、P…用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に表示された標識を読み取る標識読取部と、
前記媒体にマークを描画する描画部と、を備え、
前記標識読取部の読取可能領域と前記描画部の描画可能領域とは、少なくとも重複する領域を有し、
前記標識読取部が前記標識の読み取りを完了したときに、前記描画部は前記標識の表示領域にかかるよう前記マークを描画することを特徴とするスキャナー装置。
【請求項2】
前記標識読取部は、前記標識を読み取るための光を照射する反射部を有し、
前記描画部は、インクを吐出するインクジェットヘッドを有し、
前記標識読取部および前記描画部は、前記光の照射方向と、前記描画部の前記インクジェットヘッドのインク吐出方向とが交差するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスキャナー装置。
【請求項3】
前記標識読取部および前記描画部は、手持ち可能な筐体に収容されていることを特徴とする請求項1および2に記載のスキャナー装置。
【請求項4】
媒体に表示された標識を光学的読み取り方法で読み取る標識読取工程と、
前記標識が読み取られたことを判定する読取判定工程と、
前記読取判定工程で前記標識が読み取られたことを認知したとき、インクジェットヘッドを用い、前記媒体の前記標識の表示領域にかかるようにインクを吐出してマークを形成するマーキング工程と、を有することを特徴とするスキャナー装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−22550(P2012−22550A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160340(P2010−160340)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】