説明

スキャナ装置

【課題】基準となる読取り信号を容易に得ることのできるスキャナ装置を提供することである。
【解決手段】筐体11内に光源12、撮像素子14及び第1光学系13を備え、筐体11と所定関係となる位置に設定される読取り位置Pにあるスキャン対象物Sに光源12からの光が照射された際に、その反射光が第1光学系13を介して撮像素子15に導かれ、撮像素子15からの出力信号に基づいた前記スキャン対象物の画像読取りを行うスキャナ装置であって、筐体11内における光源12からの光が届く位置に色基準板16が設けられるとともに、光源12からの光の色基準板16での反射光を撮像素子15に導く第2光学系17と、色基準板16での反射光が第2光学系17を介して撮像素子15に導かれるのを阻止する状態と、その阻止を解除した状態とを切り換える切換え機構18とが筐体11内に設けられた構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン対象物を光学的に走査して該スキャン対象物表面から画像情報を得るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラベルに印刷されたバーコードの適否を検証するためのバーコード検証機に、スキャナ装置が用いられている(特許文献1参照)。このバーコード検証機では、光源からの光によってスキャン対象物であるバーコードの印刷されたラベルを走査し、その際に得られるラベルでの反射光が撮像素子(例えば、CCD)に入射するようになっている。そして、前記反射光が入射する撮像素子から出力される前記バーコードの濃淡に応じた読取り信号に基づいて前記ラベルに印刷されたバーコードの適否が判定される。
【0003】
前記バーコード検証機は、更に、光源の照度ムラ、照射光強度の経年変化、また、撮像素子の経年変化等によって、検証精度が低下することを防止するために、反射率(濃度)が既知の白色と黒色の色基準板を用いて撮像素子から出力される読取り信号の補正処理を行っている。具体的には、光源からの光の照射される白色及び黒色の色基準板からの反射光を撮像素子にて受光した際の撮像素子からの出力信号(読取り信号)のレベルを白及び黒の基準として、実際のバーコードの印刷されたラベルからの反射光を受光した際の撮像素子からの出力信号のレベルを補正している。
【0004】
このようなバーコード検証機(スキャナ装置)によれば、光源の照度ムラ、照射光の経年変化、撮像素子の経年変化が発生しても、撮像素子からの出力信号を補正して得られる信号は、常に、白色基準板及び黒色基準板の白色及び黒色を基準とした相対的な濃淡を表すようになるので、検証精度が低下するのを防止することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−96060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような補正機能を有するスキャナ装置では、白色基準板や黒色基準板等の色基準板の読取り信号レベルを基準値として得るために、その色基準板を別途用意してその読取り位置にセットしなければならないので、その作業が煩わしいものである。例えば、搬送機構によって連続的に搬送される多くのスキャン対象物のそれぞれを光学的に走査するようにしたスキャナ装置では、スキャン対象物の搬送を止めて、あるいは、搬送路からスキャン対象物を除いた後に、色基準板を読取り位置にセットしなければならず、その作業が特に煩わしく、効率的なスキャニング動作の支障になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基準となる読取り信号を容易に得ることのできるスキャナ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスキャナ装置は、筐体内に光源、撮像素子及び第1光学系を備え、前記筐体と所定関係となる位置に設定される読取り位置にあるスキャン対象物に前記光源からの光が照射された際に、その反射光が前記第1光学系を介して前記撮像素子に導かれるようにし、該撮像素子からの出力信号に基づいた前記スキャン対象物の画像読取りを行うスキャナ装置であって、前記筐体内における前記光源からの光が届く位置に色基準板が設けられるとともに、前記光源からの光の前記色基準板での反射光を前記撮像素子に導く第2光学系と、前記色基準板での反射光が前記第2光学系を介して前記撮像素子に導かれるのを阻止する状態と、その阻止を解除した状態とを切り換える切換え機構とが前記筐体内に設けられ構成となる
【0009】
このような構成により、光源からの光の色基準板での反射光が第2光学系を介して撮像素子に導かれるのを阻止する状態において、光源からの光の色基準板での反射光は撮像素子に届くことなく、当該光源からの光が読取り位置にあるスキャン対象物にて反射し、その反射光が第1光学系を介して撮像素子に導かれる。この場合、撮像素子からの出力信号に基づいたスキャン対象物の画像読取りがなされ得る。
【0010】
前記読取り位置にスキャン対象物が存在しない状態において、切換え機構が、光源からの光の色基準板での反射光が第2光学系を介して撮像素子に導かれるのを阻止する状態から、その阻止を解除した状態に切り換えると、前記光源からの光の前記色基準板での反射光が第2光学系を介して撮像素子に導かれる。この場合、撮像素子からの出力信号に基づいた前記色基準板の画像読取りがなされ、その色基準板の読取り画像の色濃度に基づいて色濃度の基準を得ることができる。
【0011】
本発明に係るスキャナ装置は、前記スキャン対象物を前記読取り位置を通過するように搬送する搬送機構を有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、光源からの光の色基準板での反射光が第2光学系を介して撮像素子に導かれるのを阻止する状態において、搬送機構によって搬送されるスキャン対象物が読取り位置を通過する際に、そのスキャン対象物の画像読取りがなされ得る。
【0013】
本発明に係るスキャン装置において、前記第2光学系は、ミラーを含み、前記切換え機構は、前記ミラーの角度を、前記色基準板での反射光が前記撮像素子から外れる方向に導かれる第1角度と、前記反射光が前記撮像素子に導かれる第2角度との間で回動させるミラー回動機構を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、第2光学系のミラーが第1角度となる場合、光源からの光の色基準板での反射光は撮像素子に届くことなく、一方、前記ミラーが第2角度に切換えられると、光源からの光の色基準板での反射光は撮像素子に導かれるようになる。
【0015】
また、本発明にかかるスキャン装置において、前記第1角度は、前記ミラーが前記基準板での反射光を前記撮像素子から外れる方向に導くとともに、前記光源からの光を反射して前記読取り位置に導く角度である構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、第2光学系のミラーが第1角度となる場合、光源からの光の色基準板での反射光は撮像素子に届くことなく、また、前記光源からの光が前記ミラーで反射し、その反射光が読取り位置に導かれるので、当該読取り位置にあるスキャン対象物には、光源からの光が、第1光学系を介して導かれるとともに、当該光源からの他の光が第2光学系の前記ミラーを経て導かれるようになる。従って、光源からの光をスキャン対象物の照明により有効に利用することができるようになる。
【0017】
また、本発明に係るスキャン装置において、前記切換え機構は、前記第2光学系を介して前記撮像素子に進む光の遮断及び通過を切り換えるシャッタ機構を有する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、シャッタ機構により第2光学系を介して撮像素子に進む光が遮断され、または、通過するので、色反射板での反射光が撮像素子に導かれることの阻止及びその阻止の解除を切り換えることができるようになる。
【0019】
更に、本発明に係るスキャン装置において、前記搬送機構は、前記スキャン対象物を移動可能に支持する支持プレートと、前記スキャン対象物を前記支持プレート上で移動させる移動機構とを有し、前記支持プレートの前記読取り位置を含む所定の領域に前記スキャナユニットの光源からの光を通過させる空隙が形成されている構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、光源からの光の色基準板での反射光が第2光学系を介して撮像素子に導かれる状態において、光源から読取り位置に進む光が支持プレートの空隙を通過するようになるので、光源から読取り位置に進む光が装置内で迷光となって撮像素子に入射することを極力防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るスキャン装置によれば、従来のようにわざわざ色基準板を別途用意して読取り位置にセットしなくても、スキャナユニットの筐体内に色基準板が設けられ、光源からの光の当該色基準板での反射光を撮像素子に導くことができるようになるので、前記色基準板を用いて基準となる読取り信号を容易に得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスキャナ装置が適用されたバーコード検証機の機構部の構造を示す図である。
【図2】スキャナユニットの構成例(スキャン対象物を読取る際の状態)を示す図である。
【図3】色基準板を読取る際のスキャナユニットの状態を示す図である。
【図4】バーコード検証機の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図5】色基準板での反射光が入射するCCDと、その出力信号の波形例を示す図である。
【図6】スキャナユニットの他の構成例(スキャン対象物を読取る際の状態)を示す図である。
【図7】色基準板を読取る際のスキャナユニットの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の実施の一形態に係るスキャナ装置が適用されるバーコード検証機の機構部は、図1に示すように構成される。
【0025】
図1において、このバーコード検証機100の機器筐体110内には、スキャナユニット10と、搬送機構20と、スタンパ30とが設けられている。搬送機構20は、駆動源としてのモータ21を有し、モータ21の回転軸に固定された駆動プーリ22と、第1従動プーリ23a、第2従動プーリ23b、第3従動プーリ23cの3つの従動プーリとにタイミングベルト24が巻きかけられ、モータ21の駆動によって回転する駆動プーリ22の回転が、タイミングベルト24を介して前記3つの従動プーリ23a、23b、23cに伝達するようになっている。また、搬送機構20は、機器筐体110の入口INから出口OUTまで延びる支持プレート28を有しており、支持プレート28に沿って第1搬送ローラ群25a、第2搬送ローラ群25b及び第3搬送ローラ群25cが配置されている。3つの搬送ローラ群25a、25b、25cのそれぞれは、3つの従動ローラ23a、23b、23cのうちの対応する従動ローラにベルト等によって連結され、各従動ローラ23a、23b、23cの回転によって各搬送ローラ群25a、25b、25cが回転するようになっている。
【0026】
機器筐体110の入口INの外側には、ステージ111及びサイドガイド112が設けられており、プリンタ200から排出されるバーコード印刷済みのラベルが配列されたシートSがステージ111及びサイドガイド112によってガイドされつつ入口INから支持プレート28上に供給されるようになっている。そして、支持プレート28に供給されるシートSは、第1搬送ローラ25a、第2搬送ローラ25b、第3搬送ローラ25cによって支持プレート28上を搬送されて出口OUTから排出される。
【0027】
スキャナユニット10は、機器筐体110内の所定位置に搬送機構20の支持プレート28に対向するように配置されている。スキャナユニット10は、具体的には、図2及び図3に示すように構成されている。図2及び図3において、筐体11内に、例えば、複数のLEDが配列された構成となる光源12、ハーフミラー13(第1光学系)、レンズ系14及び1次元のCCD15(撮像素子)が設けられている。筐体11の支持プレート28に対向する所定部位には開口11aが形成されている。光源12、ハーフミラー13、レンズ系14及びCCD15は、筐体11と所定関係となる支持プレート11上の位置に設定される読取り位置Pを通過するシートS(ラベル)に光源12からの光が筐体11の開口11aを介して照射された際に、開口11aを介して筐体11内に進入するシートSでの反射光がハーフミラー13及びレンズ系14を介してCCD15に導かれるように、配置されている。
【0028】
また、筐体11内には、白色と黒色の色基準板16及びミラー17(第2光学系)が設けられている。ミラー17は、ハーフミラー13のCCD15と逆側に配置されている。色基準板16は、光源12からの光が届く位置に配置され、光源12からの光の色基準板16での反射光がミラー17に達するようになっている。ミラー17は、アクチュエータ18(例えば、回転ソレノイド)によって、図2に示す第1角度と、図3に示す第2角度との間で回動可能となっている。ミラー17が第1角度となる状態(図2参照)では、光源12からの光にて照明される色基準板16での反射光がミラー17にて反射されてCCD15から外れる方向に導かれ、また、光源12からミラー17に直接入射する光が当該ミラー17にて反射されて読取り位置Pに導かれる。ミラー17が第2角度となる状態(図3参照)では、光源12からの光にて照明される色基準板16での反射光がミラー17にて反射して、ハーフミラー13を通過してレンズ系14を介してCCD15に導かれる。
【0029】
搬送機構20における支持プレート28の読取り位置Pを含む所定領域には、空隙28aが形成されている。支持プレート28の読取り位置Pにスキャン対象物となるシートSがある場合、図2に示すように、シートSによって空隙28aが覆われて、スキャナユニット12からの光がシートSにて反射される。一方、支持プレート28の読取り位置PにシートSが無い場合、図3に示すように、スキャナユニット12からの光が空隙28aを通過する。
【0030】
なお、色基準板16は、色濃度が既知である黒色及び白色の領域が所定の間隔にて交互に配列され構造となっている。また、スタンパ30は、スキャナユニット10に隣接して設けられ、印刷されたバーコードが不良であると判定されたラベルに所定のマークを付するために用いられる。更に、機器筐体110の前面には、操作パネル120が設けられている。
【0031】
このような構造の機構部を有するバーコード検証機100の制御部は、図4に示すように構成される。
【0032】
図4において、制御部50は、CPU(処理ユニット)51、ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、IF(インタフェース回路)55a、55b、搬送制御回路56、入力回路57a、57b及び駆動回路58a、58bがバスに接続された構成となっている。搬送制御回路56は、CPU51からの指示に従って搬送機構20のモータ21(図1参照)の駆動制御を行う。入力回路57aは、搬送機構20の3つの搬送ローラ群25a、25b、25cのいずれかの搬送ローラと同軸に設けられたエンコーダ26(図1において図示略)からのパルス信号を搬送されるシートS(ラベル)の位置を表す信号として入力する。入力回路57bは、CCD15からの出力信号(読取り信号)を読取り信号として入力する。駆動回路58aは、CPU51からの指示に従ってアクチュエータ18を、ミラー17が第1角度(図2参照)または第2角度(図3参照)となるように駆動させる。駆動回路58bは、CPU51からの指示に従ってスタンパ30を駆動させる。
【0033】
ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54は、CPU51にて実行されるべきプログラムや、処理の過程で得られた各種情報を保存する。操作パネル120(図1参照)に設けられた操作部121及び表示部122は、IF55bを介してバスに接続されており、CPU51の制御のもと、各種情報が表示部122に表示され、また、操作部121での操作に従った操作情報がIF55bを介してCPU51に取り込まれるようになっている。また、外部のPC(コンピュータ)300がIF55aに接続されており、この制御部50は、外部のPC300と情報の送受信が可能となっている。
【0034】
前述したようなバーコード検証機100は、例えば、次のようにして動作する。
【0035】
プリンタ200でのシートS上の各ラベルへのバーコードの印刷がなされる前に、基準の読取り信号を取り込むための操作が操作部121にてなされると、CPU51からの指示に従って駆動回路58aがアクチュエータ18を動作させて、スキャナユニット10のミラー17を、図3に示すように、第2角度に切り換える。このとき、バーコード検証機100における支持プレート28上にはシートSが存在しない。
【0036】
この状態で、発光する光源12からの光によって照明される色基準板16での反射光がミラー17で反射してハーフミラー13及びレンズ系14を介してCCD15に導かれる。これにより、ライン状のCCD15には、例えば、図5に示すように、色基準板16の白色及び黒色の像が投影され、CCD15を構成する各受光素子(例えば、1024素子)からは、投影される白黒像に応じたレベルの信号を出力する。このとき、光源12から筐体11の開口11aを通って読取り位置Pに向かって進む光は、支持プレート28の空隙28aを通過するので、その光源12から読取り位置Pに向かって進む光が、機器筐体110内で迷光となってスキャナユニット10のCCD15に入射することを極力防止することができる。
【0037】
入力回路57bは、CCD15の各受光素子からの出力信号を入力し、各受光素子からの出力信号レベルがフラッシュメモリ54に格納される。そして、CPU51は、例えば、フラッシュメモリ54に格納された白色に対応する信号レベルの平均値を白レベル平均値Avwとして演算するとともに、黒色に対応する信号レベルの平均値を黒レベル平均値Avbとして演算する。そして、その白レベル平均値Avwが白色の基準として、また、黒レベル平均値Avbが黒色の基準としてフラッシュメモリ54に格納される。
【0038】
CPU51は、例えば、前回フラッシュメモリ54に同様に格納した白レベル平均値Avw及び黒レベル平均値Avbと、今回取得した白レベル平均値Avw及び黒レベル平均値Avbとの差が所定値(例えば、10%)を越えている場合、光学系の調整が必要であるとして、CPU51は、表示部122に警報メッセージを表示させる。これにより、オペレータは、光源12からの光の照度調整や、CCD15の感度調整を行うことができる。また、例えば、今回取得した白レベル平均値Avwと黒レベル平均値Avbとの差が所定値より小さくなった場合、CCD15が劣化したものとして、その旨のメッセージを表示部122に表示することもできる。
【0039】
次に、プリンタ200での各ラベルへのバーコードの印刷が開始されるとともに、バーコード検証機100の操作部121にて検証処理の開始の操作がなされると、CPU51の指示に従って、駆動回路58aがアクチュエータ18を動作させて、スキャナユニット10のミラー17を、図2に示すように、第1角度に切り換える。この状態で、プリンタ200は、シートS上の各ラベルに対してバーコードを印刷し、バーコード印刷済みのラベルの配列されたシートSがプリンタ200からバーコード検証機100に供給される。バーコード検証機100に供給されるシートSは、入口INから機器筐体110内に進入し、支持プレート28に支持されつつ各搬送ローラ群25a、25b、25cによって順次搬送される。
【0040】
その過程で、図2に示すように、シートSのラベル(スキャン対象物)が読取り位置Pを通過する際に、スキャナユニット10の光源12からの光が読取り位置Pにあるラベルで反射し、その反射光がハーフミラー13で反射してレンズ系14を介してCCD15に導かれる。このとき、光源12からミラー17に直接入射する光も当該ミラー17にて反射されて読取り位置Pに導かれるので、光源12からの光をラベルの照明により有効に利用されている。
【0041】
CPU51は、入力回路57aによって入力されるエンコーダ26からのパルス信号に同期して、ラベル上に印刷されたバーコードでの反射光がCCD15に入射するタイミングにてCCD15の各受光素子から出力される信号を読取り信号として取り込む。この読取り信号がバーコードの読取り画像情報としてRAM53に格納される。CPU51は、RAM53に格納されたバーコードの読取り画像情報に基づいてラベルに印刷されたバーコードの適否を所定のアルゴリズムに従って判定する。そして、適正でない(不鮮明、印刷ずれ、印刷トビ等)バーコードの印刷されたラベルに対しては、CPU51の制御のもとスタンパ30が所定のマークを付する。このようにして、シートS上の各ラベルに印刷されたバーコードの検証処理がなされる。
【0042】
なお、前述したように色基準板16から得られた白レベル平均値Avw及び黒レベル平均値Avbに基づいて、白及び黒の判定基準を補正することもできる。そして、その補正された判定基準を用いて前記所定のアルゴリズムに従って、CCD15の各受光素子からの出力信号に基づいたバーコードの読取り画像の適否を判定することができる。
【0043】
前述したようなバーコード検証装置100内に設けられたスキャナ装置(スキャナユニット10及び搬送機構20)によれば、従来のようにわざわざ色基準板を別途用意して読取り位置Pにセットしなくても、スキャナユニット10の筐体11内に色基準板16が設けられ、光源12からの光の当該色基準板16での反射光をCCD15に導くことができるようになるので、その色基準板15を用いて基準となる読取り信号を容易に得ることができるようになる。
【0044】
前述したスキャナユニット10では、ミラー17(第2光学系)の角度がアクチュエータ18によって変えられることにより、色基準板16での反射光がミラー17を介してCCD15に導かれるのを阻止する状態(図2参照)と、その阻止を解除した状態(図3参照)に切換えられるようにしたが、その切換え機構は、アクチュエータ18を用いた上記機構に限定されない。例えば、図6及び図7に示すように、ミラー17の反射面に液晶シャッタ19を設けることができる。この場合、液晶シャッタ19を図6に示すように非透過状態すると、光源12からの光にて照明される色基準板16での反射光は、液晶シャッタ19によって遮断されてミラー17に達しない。従って、読取り位置PにあるシートS(ラベル)での反射光だけが、ハーフミラー13で反射されてレンズ系14を介してCCD15に導かれる。一方、液晶シャッタ19を図7に示すように透過状態にすると、光源12からの光にて照明される色基準板16での反射光は、液晶シャッタ19を介してミラー17に達し、ミラー17での反射光がハーフミラー13を通過してレンズ系14を介してCCD15に導かれる。この状態で、基準となる読取り信号の取り込みが可能となる。
【0045】
なお、前述したスキャナユニット10には、白色及び黒色の領域が交互に配列された色基準板16が設けられているが、他の色の組、例えば、赤色と青色等の補色関係となる色の組や、スキャニングの対象となる画像の色と白色との組を色基準板16の色(基準となる色)として用いることもできる。更に、1つの色(例えば、白色)の基準板と、他の色(例えば、黒色)の基準板とを別々に設けることができる。この場合、その1つの色の基準板及び他の色の基準板での反射光をCCD15に導く2系統の光学系を設けるようにすればよい。
【0046】
また、本発明は、特許文献1に開示されるような、ハンディタイプのスキャナにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上、説明したように、本発明に係るスキャナ装置は、基準となる読取り信号を容易に得ることができるという効果を有し、スキャン対象物を光学的に走査して該スキャン対象物表面から画像情報を得るスキャナ装置として有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 スキャナユニット
11 筐体
11a 開口
12 光源
13 ハーフミラー(第1光学系)
14 レンズ系
15 CCD(撮像素子)
16 色基準板
17 ミラー(第2光学系)
18 アクチュエータ
19 液晶シャッタ
20 搬送機構
21 モータ
22 駆動プーリ
23a 第1従動プーリ、23b 第2従動プーリ、23c 第3従動プーリ
24 タイミングベルト
25a 第1搬送ローラ群、25b 第2搬送ローラ群、25c 第3搬送ローラ群
26 エンコーダ
28 支持プレート
28a 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に光源、撮像素子及び第1光学系を備え、前記筐体と所定関係となる位置に設定される読取り位置にあるスキャン対象物に前記光源からの光が照射された際に、その反射光が前記第1光学系を介して前記撮像素子に導かれ、該撮像素子からの出力信号に基づいた前記スキャン対象物の画像読取りを行うスキャナ装置であって、
前記筐体内における前記光源からの光が届く位置に色基準板が設けられるとともに、
前記光源からの光の前記色基準板での反射光を前記撮像素子に導く第2光学系と、
前記色基準板での反射光が前記第2光学系を介して前記撮像素子に導かれるのを阻止する状態と、その阻止を解除した状態とを切り換える切換え機構とが前記筐体内に設けられたスキャナ装置。
【請求項2】
前記スキャン対象物を前記読取り位置を通過するように搬送する搬送機構を有する請求項1記載のスキャナ装置。
【請求項3】
前記第2光学系は、ミラーを含み、
前記切換え機構は、前記ミラーの角度を、前記色基準板での反射光が前記撮像素子から外れる方向に導かれる第1角度と、前記反射光が前記撮像素子に導かれる第2角度との間で回動させるミラー回動機構を有する請求項1または2記載のスキャナ装置。
【請求項4】
前記第1角度は、前記ミラーが前記基準板での反射光を前記撮像素子から外れる方向に導くとともに、前記光源からの光を反射して前記読取り位置に導く角度である請求項3記載のスキャナ装置。
【請求項5】
前記切換え機構は、前記第2光学系を介して前記撮像素子に進む光の遮断及び通過を切り換えるシャッタ機構を有する請求項1または2記載のスキャナ装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記スキャン対象物を移動可能に支持する支持プレートと、
前記スキャン対象物を前記支持プレート上で移動させる移動機構とを有し、
前記支持プレートの前記読取り位置を含む所定の領域に前記スキャナユニットの光源からの光を通過させる空隙が形成されている請求項2記載のスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−210057(P2011−210057A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77909(P2010−77909)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】