説明

スキャナ装置

【課題】操作の簡略化を図ることができるとともに、読取媒体の読み取りを完了するまでの時間の短縮化を図ることができ、適切なタイミングで読取媒体を正確に読み取ることができるスキャナ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】読取媒体読取可能領域に供した少なくとも読取媒体の静止画像を撮影する静止画像読取手段101と、前記読取媒体読取可能領域の画像を撮影する画像入力手段102と、前記画像入力手段102により撮影した画像の中から前記読取媒体読取可能領域における読取媒体に関する状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報に基づいて前記読取媒体の撮影を実行するか否かの判定を行う撮影実行判定手段201,202と、該撮影実行判定手段による前記判定の結果に基づいて前記静止画像読取手段101による前記静止画像の撮影実行の制御をする制御手段400を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、原稿台に載置した読取媒体を読み取るスタンド型のスキャナ装置に関し、例えば、伝票、文書、紙幣などの帳票を読み取ることができるスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置を用いて読取媒体の静止画像を取得するためには、読取媒体を原稿台に載置してから読取媒体の静止画像の読み取りを開始するまでに、例えば、ボタン押下を含めてキーボード、マウスなどの操作手段による一連の操作を必要とする。
【0003】
このようにスキャナ装置の操作には時間がかかり、また、操作の手間も要するものであった。特に、スキャナ装置の扱いに不慣れな利用者や、複数種類の読取媒体を撮影する場合などは、操作の回数が多くなるため、さらに操作時間、操作の手間を要することになっていた。
【0004】
また、スキャナ装置は、上述したような操作に基づいて読取媒体の読み取りを開始するが、読取媒体の読み取りを開始後、静止画像の取得が完了するまでの処理に時間がかかり、読取媒体の静止画像を迅速に取得する上での障害となっていた。
【0005】
このように、従来のスキャナ装置は操作時間、処理時間がかかるため、操作を開始してから最終的に読取媒体の静止画像を得るまでのトータル時間がかかるという課題があった。
【0006】
詳しくは、スキャナ装置の処理時間は、パソコンなどの情報端末機器へデータ転送する時間が大部分を占めているのが現状であるが、転送データが大容量化しているという現状の下、現状よりも通信機器の飛躍的な高性能化、高速化を実現することは限界があった。
【0007】
このため、この転送時間の大幅な短縮化を図ることは困難であり、結果的に、スキャナ装置の処理時間短縮を図ることは困難であった。
【0008】
このような背景から、スキャナ装置の操作時間の短縮化、操作の簡略化を図るために、スイッチを押下せずとも制御開始することができるスキャナ装置として、特許文献1のスキャナ装置が提案されている。
【0009】
特許文献1に係るスキャナ装置は、赤外光を原稿台に向けて投光し、前記原稿台で反射した赤外光を受光する投赤外光受光手段を原稿台側の面に少なくとも2個以上配設した構成である。
【0010】
上述した構成のスキャナ装置は、利用者が原稿台上で行った手動作によって、原稿台へスポット投光された赤外光が遮光され、該赤外光の遮光状態の遷移を解析することにより、利用者の手動作を認識するものである。
【0011】
このような構成のスキャナ装置では、利用者が行う手動作のそれぞれに対するスキャン制御指令を予め設定登録しておくことで、読取り操作のための専用スイッチやマウスやキーボードなどの入力機器を用いることなく、利用者の手動作によりスキャナ装置を制御するための指示を容易に実行させることができ、利用者の作業効率を向上させることができるとされている。
【0012】
しかし、上述した特許文献1に係るスキャナ装置の場合、利用者がスキャナ装置に対して、所定の処理を実行させようとする度に、予め設定登録していたとおりの手動作を原稿台上で行う必要があり、また、所定の処理を実行させようとすると、その処理ごとに対応する手動作の内容を確認したり、習得しておく必要があり、手間と時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−304127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこでこの発明は、操作の簡略化を図ることができるとともに、読取媒体の読み取りを完了するまでの時間の短縮化を図ることができ、適切なタイミングで読取媒体を正確に読み取ることができるスキャナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、読取媒体読取可能領域に供した少なくとも読取媒体の静止画像を撮影する静止画像読取手段と、前記読取媒体読取可能領域の画像を撮影する画像入力手段と、前記画像入力手段により撮影した画像の中から前記読取媒体読取可能領域における読取媒体に関する状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報に基づいて前記読取媒体の撮影を実行するか否かの判定を行う撮影実行判定手段と、該撮影実行判定手段による前記判定の結果に基づいて前記静止画像読取手段による前記静止画像の撮影実行の制御をする制御手段を備えたスキャナ装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明により、操作の簡略化を図ることができるとともに、読取媒体の読み取りを完了するまでの時間の短縮化を図ることができ、適切なタイミングで読取媒体を正確に読み取ることができるスキャナ装置を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スタンド型スキャナ装置の概略構成図。
【図2】帳票を載置した原稿載置面画に基づいて取得した画像の模式図。
【図3】手をかざした状態の原稿載置面画に基づいて取得した画像の模式図。
【図4】スタンド型スキャナ装置による認識処理を示すフローチャート。
【図5】帳票を載置していない原稿載置面画に基づいて取得した画像の模式図。
【図6】実施例2のスキャナ装置による認識処理を示すフローチャート。
【図7】非反射領域を表示した画像の模式図。
【図8】実施例3の非反射領域を表示する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、図1及至図3とともに、スキャナ装置1について説明する。
なお、図1は、スタンド型のスキャナ装置1の概略構成を示すブロック図である。図2及図3は、それぞれ原稿台104の上を撮影した動画像から取得した1フレーム画像を2値化した結果を示す例であり、図2は、帳票を置いた状態を示し、図3は、原稿台104の上に手をかざした状態を示す。
【0020】
スキャナ装置1は、図1に示すように、イメージスキャナ部100、画像処理部200、画面表示部300、及び、制御部400で構成している。
【0021】
制御手段としての制御部400は、CPUの他に、ROMやRAM等の記憶部(図示省略)などで構成するとともに、イメージスキャナ部100、画像処理部200、及び、画像表示部300が接続され、これらイメージスキャナ部100、画面表示部300、及び、後述する画像処理部200を実行制御する。
なお、前記記憶部には、画像処理や機器を制御するためのプログラムのみならず、スキャナ装置1を稼働制御するための適宜のプログラムを格納している。
【0022】
イメージスキャナ部100は、静止画像読取手段としての静止画像入力部101と、画像入力手段(動画像撮影手段)としての動画像入力部102と、ボタン103と、原稿台104とで構成している。
【0023】
静止画像入力部101は、図示しないスタンドの上部に取り付けられた光学系のカメラを備え、後述する原稿台104における原稿載置面に載置した読取媒体としての帳票の静止画像を撮影する画像入力部である。
【0024】
動画像入力部102は、図示しないスタンドの上部に取り付けられた光学系のカメラを備え、後述する原稿台104における読取媒体読取可能領域としての原稿載置面の動画像を撮影する画像入力部である。
【0025】
ボタン103は、利用者の押下を許容し、制御部400に対して各種処理開始の信号を出力する。
原稿台104は、帳票を載置可能に帳票よりも大きい長方形状で形成した原稿載置面(帳票読取可能領域に対応)を上面に備えている。
また、画面表示部300は、静止画像入力部101により撮影した静止画像や、動画像入力部102により撮影した動画像のうちの所定の1フレーム画像を表示する表示部であり、さらに、後述する帳票非反射検出プログラム203で検出した領域を利用者に表示する表示部である。
【0026】
画像処理部200は、制御部400の記憶部(図示省略)に格納されプログラムと制御部400とが協働して実行する処理部であり、帳票検出プログラム201(状態情報取得手段、及び撮影実行判定手段に対応)、帳票静止検出プログラム202(状態情報取得手段、及び撮影実行判定手段に対応)、及び、帳票認識プログラム204で構成している。
【0027】
帳票検出プログラム201は、動画像入力部102により撮影した原稿載置面の動画像に基づいて原稿載置面における帳票を検出するプログラムである。
【0028】
詳しくは、帳票検出プログラム201は、動画像入力部102により撮影した原稿載置面の動画像の中から1フレーム画像を2値化したときに、例えば図2に示すように原稿載置面部分が黒色500、帳票の背景部分が白色600になるように調節された2値化パラメータを保持しておき、黒色と白色の境界601を検出する帳票境界検出方式を採用している。
なお、図2において白色部分と黒色部分との境界についての理解を容易にするため、境界601に幅をもたせて図示しているが、該境界601は実際には白色部分の稜線である。
【0029】
そして、帳票検出プログラム201は、上述した帳票境界検出方式により検出した帳票の境界601の内側部分、すなわち、原稿載置面の1フレーム画像を2値化処理したときの白色部分600を帳票の位置情報(状態情報に対応)として取得するとともに、上記帳票の境界601を帳票の形状情報(状態情報に対応)として取得する。
【0030】
撮影実行判定処理に対応する帳票静止検出プログラム202は、第1静止判定処理及び、第2静止判定処理とで構成し、帳票の静止を検出する処理を実行するプログラムである。なお、帳票静止検出プログラム202において、第1静止判定処理によって複数のフレーム画像に基づいて帳票位置に変化がないと判定された場合、且つ、第2静止判定処理によって、1枚のフレーム画像において、帳票の形状情報より利用者の手がないと判定された場合に帳票が静止していると検出する処理を実行するプログラムである。
【0031】
第1静止判定処理は、動画像入力部102により動画撮影した原稿載置面の動画像の中から異なる時間ごとの2以上のフレーム画像に対して帳票検出プログラム201を実行し、各フレーム画像の帳票位置情報を取得するとともに比較し、帳票の位置情報に差異がない場合、帳票は静止していると判定し、逆に、帳票の位置情報に差異がある場合、第1静止判定において帳票は静止していないと判定する処理を実行するプログラムである。
【0032】
第2静止判定処理は、動画像入力部102により動画撮影した原稿載置面の動画像のうちのフレーム画像に対して帳票検出プログラム201を実行し、各フレーム画像の形状情報を取得するプログラムである。
【0033】
なお、このとき、動画像入力部102により動画撮影した原稿載置面の動画像から取得した1フレーム画像を2値化処理したときに、原稿台104にかざした手が白色700になるように調節された2値化パラメータを保持しておき、帳票の境界部分601である形状情報を取得し、取得した形状情報に、手と思われる白色部分に塊がない場合、第2静止判定において静止していると判定し、逆に、図3に示すように、形状情報に手と思われる白色部分に塊がある場合、静止していないと判定する処理である。
【0034】
帳票認識手段としての帳票認識プログラム204は、帳票の静止画像に対して帳票識別や文字認識を行う処理であり、帳票認識プログラム204は、例えば帳票内の罫線情報やキーワード文字列、帳票固有に割当てられたID番号等から帳票の種別を判別する帳票識別処理やOCR処理等を実行するプログラムである。
【0035】
次に、上述したスキャナ装置1により帳票認識するフローについて図4を用いて説明する。
図4は、スキャナ装置1の原稿台104の原稿載置面に帳票が載置された場合の処理を説明するフローチャートの例である。
【0036】
電源がONにされると、各種プログラムが起動し、動画像入力部102は、原稿台104における原稿載置面の動画像の撮影を開始する(ステップS1)。
【0037】
制御部400は、撮像した動画像を基に帳票検出プログラム201による帳票検出処理を実行する(ステップS2)。制御部400は、図2に示すように、帳票検出プログラム201による帳票検出処理にて帳票を検出した場合、帳票検出成功と判定する(ステップS3:YES)。
【0038】
一方、制御部400は、図5に示すように、帳票検出プログラム201による帳票検出処理にて帳票を検出しなかった場合、帳票検出失敗と判定する(ステップS3:NO)。この場合、制御部400は、ステップS2に戻り、帳票検出が成功するまで帳票検出処理を繰り返し実行する(ステップS2)。
図5は、原稿台104の上を撮影した動画像から取得した1フレーム画像を2値化した結果を示す例であり、原稿台104の上に何も載置していない状態を示す。
【0039】
これに対し、帳票検出に成功した場合(ステップS3:YES)、制御部400は、帳票静止検出プログラム202による帳票静止検出処理を実行する(ステップS4)。
【0040】
制御部400は、帳票静止検出プログラム202による帳票静止判定処理を実行し(ステップS4)、帳票静止を検出しなかった場合(ステップS5:NO)、ステップS2の前まで戻り、帳票静止検出に成功するまで帳票検出処理以降の処理を繰り返し実行する(ステップS2〜S5)。
【0041】
一方、帳票静止を検出した場合(ステップS5:YES)、制御部400は、動画像入力部102に対して原稿載置面の動画像の撮像を停止させ(ステップS6)、静止画像入力部101により原稿載置面の静止画像の撮像を実行し(ステップS7)、取得した静止画に対して帳票認識プログラム204による帳票認識処理を実行し(ステップS8)、この処理を終了する。
【0042】
上述したスキャナ装置1は、以下のような様々な作用、効果を奏することができる。
実施例1のスキャナ装置1は、上述した構成により、利用者が帳票を原稿台104の原稿載置面に載置するだけで、例えば、制御開始のための操作をすることなく読み取りを開始することができるため、操作の簡略化を図ることができるとともに、帳票の読み取りを完了するまでの時間の短縮化を図ることができ、適切なタイミングで帳票を正確に撮像することができる。
【0043】
詳しくは、スキャナ装置1は、帳票検出処理(ステップS2)、及び、帳票静止検出処理(ステップS4)を実行した上で、静止画像入力部101により静止画像を撮影するため(ステップS7)、利用者自ら帳票の読み取りを開始するためにボタンを押下したり、例えば、原稿台104に向けて投光した赤外光の遮光状態の遷移を解析することにより、操作者の手動作を認識し、手動作に対応する所定のスキャン制御を実行する従来のスキャナ装置のように、制御を開始するために、原稿載置面の上方で手動作を行う必要がない。
【0044】
従って、利用者が原稿載置面に載置した帳票が読み取り可能な状態であるかを確認する時間を含めて省くことができ、帳票の読み取りを開始してから読み取りを完了するまでの時間の短縮化を図ることができる。
【0045】
さらに、スキャナ装置1の扱いに不慣れな利用者が操作手段を操作する煩わしさを省略でき、また、各種制御内容ごとに対応付けられた手動作による具体的な動作内容を習得したり、その対応付けを確認する煩わしさを省略することができる。
【0046】
従って、スキャナ装置1の扱いに不慣れな利用者であっても、容易に操作を行うことができる。
【0047】
さらにまた、帳票静止検出処理(ステップS4)では、動画像から抽出した原稿載置面における帳票の位置情報や形状情報に基づいて帳票静止検出を行った上で、静止画像入力部101により静止画像を撮影するため、例えば、原稿載置面に載置した帳票に手が重なっている状態で撮影してしまうことや、本来撮影したいはずの帳票とは異なる帳票を誤って撮影してしまうといった意に反した帳票が撮影されることを防ぐことができ、帳票を適切なタイミングで正確に撮影することができる。
【0048】
上述したスキャナ装置1によれば、画像入力手段として、原稿載置面の動画像を撮影する動画像入力部102を備え、帳票静止検出処理では、動画像入力部102により撮影した動画像の中から異なる時間に読み取った帳票の少なくとも2つの位置情報を取得し、これら少なくとも2つの位置情報の間に差異がない場合に、帳票が静止していることを検出することを特徴としている。
【0049】
詳しくは、一般に、原稿載置面に載置した帳票に経時的な位置情報の変化があれば、帳票が静止していないなど、帳票を適切に撮影する上で障害となる要因が生じている可能性が高い。
【0050】
このため、上述した帳票静止検出処理(ステップS4,ステップS5)を実行することで原稿載置面に載置した帳票の位置情報に経時的な変化がないことを確認した上で、帳票を正確に撮影することができる。
【0051】
さらに、動画像入力部102を備えることで、該動画像入力部102により撮影した動画像に基づいて取得した帳票の位置情報を用いることができる。このため、時間ごとの帳票の位置状態の変化情報を取得し易くなり、このような詳細な位置情報の変化を基に、静止画像入力部102による帳票の正確な撮影実行のタイミングを判断することができる。
【0052】
以下では、スキャナ装置1の他の実施例について説明する。
但し、以下で説明するスキャナ装置1の構成のうち、実施例1のスキャナ装置1と同様の構成、制御プログラムについては、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【実施例2】
【0053】
実施例2のスキャナ装置1は、図1中、破線で示したブロックのように、画像処理部200に撮影実行判定手段に対応する帳票置き直し判定プログラム205を備えている。
【0054】
実施例1で説明したボタン103は、利用者の押下を許容し、押下により帳票検出処理(ステップS4)、或いは、帳票置き直し判定処理の開始信号を制御部400に対して出力する機能を備えている。
なお、ボタン103には、帳票検出処理開始用と、帳票置き直し判定処理開始用とで別々のものを備えても、同じものであってもよい。
【0055】
帳票置き直し判定プログラム205は、帳票静止検出プログラム202による第1静止判定処理と同様の要領で静止画像入力部101による静止画像の撮影前と撮影後との間に帳票の置き直しの有無を判定する処理を実行するプログラムである。
【0056】
詳しくは、帳票置き直し判定プログラム205は、静止画像入力部101により撮影する前に動画像入力部102により撮影した原稿載置面の動画像の中から取得したフレーム画像の帳票の撮影前位置情報と、静止画像入力部101により撮影する後に動画像入力部102により撮影した原稿載置面の動画像の中から取得したフレーム画像の帳票の撮影後位置情報とを比較し、これら位置情報に差異がない場合に、帳票の位置変化無しと判定する処理を実行するプログラムである。
【0057】
次に、実施例2のスキャナ装置1により帳票認識するフローについて図6を用いて説明する。
図6は、実施例2のスキャナ装置1によって、原稿台104の原稿載置に載置した帳票を認識するまでの一連の処理を説明するフローチャートの例である。
【0058】
電源がONにされると、各種プログラムが起動し、動画像入力部102にて原稿台104における原稿載置面の動画像の撮影を開始し(ステップT1)、該原稿載置面を撮影した動画像を取得する。
【0059】
制御部400は、利用者によりボタン103が押圧された場合(ステップT2:YES)、動画像入力部102による原稿載置面の動画像の撮影を停止し(ステップT14)、静止画像入力部101により原稿載置面の静止画像を撮影し(ステップT15)、撮影した帳票の静止画像に対して帳票認識処理を実行することで(ステップT16)、帳票認識データを取得し、この処理を終了する。
【0060】
一方、電源をONにした後、例えば、所定時間経過しても利用者によってボタンが押下されない場合においては(ステップT2:NO)、動画像入力部102により取得した動画像の1フレーム画像に対して、帳票検出処理を実行する(ステップT3)。
【0061】
帳票検出処理により帳票検出に成功した場合(ステップT4:YES)、制御部400は、帳票静止検出プログラム202による帳票静止検出処理を実行する(ステップT5)。
【0062】
一方、制御部400は、帳票検出処理により帳票検出に失敗した場合(ステップT4:NO)、ステップT2に戻って利用者によってボタンが押下されるまで待機する(ステップT2)。
【0063】
ステップT5において、帳票静止検出に失敗した場合(ステップT6:NO)、制御部400は、ステップT2に戻って、利用者によってボタンが押下されるまで待機する(ステップT2)。
【0064】
一方、ステップT5において、帳票静止検出に成功した場合(ステップT6:YES)、制御部400は、動画像入力部102による原稿載置面の動画像の撮影を停止し(ステップT7)、静止画像入力部101により原稿載置面の静止画像を撮影する(ステップT8)。
【0065】
制御部400は、静止画像入力部101により原稿載置面の静止画像を撮影した後は、ボタン103が押下されるまで待機し(ステップT9:NO)、ボタン103が押下されると(ステップT9:YES)、再度、動画像入力部102にて原稿台104における原稿載置面の動画像の撮影を開始し(ステップT10)、該原稿載置面を撮影した動画像を取得する。
【0066】
制御部400は、ステップT5で取得し動画像とステップT10で取得した動画像に基づいて、帳票置き直し判定プログラム205による帳票置き直し判定を実行し(ステップT11)、該帳票置き直し判定が完了したら制御部400にて動画像入力部による原稿載置面の動画像の撮影を停止する(ステップT12)。
【0067】
帳票置き直し判定で帳票の位置に変化なしと判定した場合(ステップT13:YES)、ステップT8において静止画像入力部101で撮影した帳票の静止画像に対して帳票認識を実行し(ステップT16)、処理を終了する。
【0068】
一方、ステップT11において帳票置き直し判定を実行し、帳票の位置に変化があると判定した場合(ステップT13:NO)、静止画像入力部101により再度、原稿載置面の静止画像を撮影し(ステップT15)、帳票認識を実行し(ステップT16)、処理を終了する。
【0069】
上述したスキャナ装置1は、以下のような様々な作用、効果を奏することができる。
実施例2のスキャナ装置1は、上述したように、静止画像入力部101により帳票の撮影静止画像を撮影前後に、動画像の1フレーム画像に基づいて取得した位置情報の間の変化に基づいて、帳票の置き直し判定を実行し、置き直しがあったと判定した場合、置き直し後の帳票を再度、静止画像入力部101により撮影することができる。
【0070】
よって、動画像入力部による1回目の帳票の静止画像を撮影後に、例えば、別異の帳票を意図的に或いは意に反して置き直した場合において、帳票を置き直したことを利用者自身が確認したり、再度、スキャナ装置1に対して制御開始のボタンを押下せずとも、自動で帳票の置き直しを判定し、置き直した帳票の静止画像を撮影することができる。
【実施例3】
【0071】
実施例3のスキャナ装置1は、図1中、破線で示したブロックのように、画像処理部200に非反射領域案内手段として帳票非反射領域検出プログラム203を格納している。
【0072】
帳票非反射領域検出プログラム203は、図7に示すように、静止画像入力部101によって取得した原稿載置面の静止画像において蛍光灯等の光源から照射される光の反射の影響を受けない非反射領域801を検出する処理を実行するプログラムであり、具体的には、所定の2値化パラメータに基づいて原稿載置面において原稿台104の上部に有する光源からの光に対して反射し難い箇所を検出するプログラムである。
【0073】
なお、図7は、原稿載置面を撮影した動画像から取得した1フレーム画像に非反射領域801を表示した状態を示す。
【0074】
ここで、所定の2値化パラメータは、スキャナ装置1の原稿台104に、予め光を反射し易いアクリル板等の光反射治具を置いた状態で原稿載置面を撮影し、取得した動画像の1フレーム画像を2値化したときに、原稿載置面において、光源からの光に対して反射し易い箇所が例えば図7に示すように、白色800に表示されるように調節することで取得したパラメータであり、記憶部に記憶している。
【0075】
制御部400は、帳票非反射領域検出プログラム203により、原稿載置面の中でも白色部分800を含まない黒色部分において、帳票のサイズよりも大きな領域を非反射領域801として長方形の枠で囲んだ状態で画面表示部300に表示することができる。
【0076】
続いて、実施例3のスキャナ装置1により、原稿載置面において非反射領域801を検出し、該非反射領域801を画面表示部300に表示するフローについて図8を用いて説明する。
【0077】
図8は、画面表示部300に非反射領域801を表示するために行う一連の処理を説明するフローチャートの例である。
【0078】
動画像入力部102にて原稿載置面の動画像の撮影を開始し(ステップU1)、帳票非反射領域検出プログラム203による帳票非反射領域検出処理を動画像の1フレーム画像に対して行う(ステップU2)。
【0079】
制御部400は、図7に示すように、帳票非反射領域検出処理により検出した非反射領域801を、原稿載置面の画像中に白色部分800を含まない長方形の枠で囲った領域として画面表示部300に表示し(ステップU3)、動画像入力部102による動画撮影を終了する(ステップU4)。
【0080】
上述した帳票非反射領域検出処理、及び、非反射領域801の画面表示といった一連の処理により、非反射領域801を画面表示部300に表示できるため、このような画面表示部300の表示によって、画面表示部300において反射しない位置に帳票が載置されるように利用者を誘導することができる。
従って、利用者は、非反射領域801に帳票を適切に載置することができる。
【0081】
上述した帳票非反射領域検出処理(ステップU2)、及び、画面表示部300による非反射領域801の表示処理(ステップU3)は、例えば、実施例1,2で説明した帳票検出処理(ステップS2,ステップT3)の前に実行することが好ましい。
【0082】
この場合、帳票検出処理(ステップS2,ステップT3)にて検出した帳票が非反射領域801内に含まれていることを帳票検出処理(ステップS2,ステップT3)において帳票検出成功の条件として付加してもよい。
【0083】
上述した処理を採用することにより、非反射領域801に載置した帳票に基づいて帳票検出処理(ステップS2,ステップT3)や帳票静止検出処理(ステップS4,ステップT5)を実行する際に、原稿載置面が光源に対して反射することにより帳票検出処理や帳票静止検出処理において誤検出することを防ぐことができる。
【0084】
従って、必要となる帳票の位置情報や形状情報を正確に取得することが可能となり、静止画像入力部101によって静止画像を適切なタイミングで正確に撮影することができる。
【0085】
本発明のスキャナ装置は、上述した実施例の構成に限定せず、様々な実施形態で構成することができる。
【0086】
例えば、帳票静止検出プログラム202は、第1静止判定処理及び、第2静止判定処理とで構成したが、いずれか一方の判定処理のみで構成してもよい。詳しくは、図4中のステップS4や図6中のステップT5の帳票静止検出処理において、複数のフレーム画像に基づいて帳票位置に変化がないと判定する第1静止判定、1枚のフレーム画像において、帳票形状情報より利用者の手がないと判定する第2静止判定とのうち、いずれか一方の判定のみを満足した場合に、帳票が静止していると検出してもよい。
【0087】
さらに、スキャナ装置1は、第1静止判定処理、第2静止判定処理の双方の判定処理を実行する、或いは、いずれか一方の判定処理のみを実行するという選択が可能となるようハードウェアやソフトウェアを構築してもよい。
【0088】
また、実施例1のステップS4、或いは、実施例2のステップT5における帳票静止検出処理で行う第1静止判定において、帳票静止検出処理(ステップS4,T5)内において、異なる時間ごとに取得した2つのフレーム画像に基づいて取得した帳票の位置情報を互いに比較して帳票位置の変化の有無を判定することに限らない。
【0089】
例えば、異なる時間ごとに取得した2のフレーム画像のうち、先に取得したフレーム画像には、実施例1のステップS2、或いは、実施例2のステップT3の帳票検出処理において、動画像入力部102にて撮影した原稿載置面の動画像のフレーム画像を用いもよく、この場合、該フレーム画像に基づいて取得した帳票の位置情報と、帳票静止検出処理(ステップS4,T5)で動画像入力部102にて撮影した動画像のうちの1フレーム画像に基づいて取得した帳票の位置情報とを、第1静止判定において比較して帳票位置の変化の有無を判定してもよい。
【0090】
また、帳票検出プログラム201で取得する帳票の位置情報や形状情報は、動画像入力部102により撮影した原稿載置面の動画像に基づいて取得することに限らず、静止画像入力部101により撮影した静止画像を用いてもよい。
【0091】
この場合、静止画像入力部は、帳票として読み取るために撮影する静止画像入力部101を用いることに限らない。例えば、静止画像入力部は、静止画像入力部101よりも解像度は劣るが低コストに抑制することを優先したものを用いるなど、帳票の位置情報や形状情報を取得するために適した性能、解像度などを考慮して上記静止画像入力部101とは、別途、設けてもよい。
【0092】
また、帳票検出処理201は、帳票の位置情報と形状情報との双方を取得するに限らず、いずれか一方のみでもよく、また、他の帳票に関する情報を取得する処理であってもよい。
【0093】
例えば、帳票の位置情報には、帳票を原稿載置面に載置したときの帳票の姿勢(角度)に関する姿勢情報を含めてもよく、また、該帳票の姿勢情報は、帳票の位置情報や形状情報とは別に帳票に関する情報として規定してもよい。
【0094】
また、実施例3において、非反射領域検出プログラム203は、非反射領域801を画面表示部300に表示して案内するに限らず、逆に反射領域を表示してもよく、或いは、音声などの手段によって非反射領域801を案内してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…スキャナ装置
101…静止画像入力部
102…動画像入力部
201…帳票検出プログラム
202…帳票静止検出プログラム
203…帳票非反射領域検出プログラム
204…帳票認識プログラム
205…帳票置き直し判定プログラム
300…画面表示部
400…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取媒体読取可能領域に供した少なくとも読取媒体の静止画像を撮影する静止画像読取手段と、
前記読取媒体読取可能領域の画像を撮影する画像入力手段と、
前記画像入力手段により撮影した画像の中から前記読取媒体読取可能領域における読取媒体に関する状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記状態情報に基づいて前記読取媒体の撮影を実行するか否かの判定を行う撮影実行判定手段と、
該撮影実行判定手段による前記判定の結果に基づいて前記静止画像読取手段による前記静止画像の撮影実行の制御をする制御手段を備えた
スキャナ装置。
【請求項2】
前記画像入力手段を、前記読取媒体読取可能領域の動画像を撮影する動画像撮影手段で構成し、
前記状態情報取得手段を、前記動画像撮影手段により撮影した動画像の中から異なる時間に読み取った少なくとも2つの前記状態情報を取得する構成とし、
前記撮影実行判定手段では、前記少なくとも2つの状態情報の間に差異がない場合に、撮影の実行を許容する判定をするとともに、差異がある場合に、撮影を実行しないと判定することを特徴とする
請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
前記状態情報には、読取媒体の位置に関する位置情報と、読取媒体の形状に関する形状情報を備え、
前記撮影実行判定手段では、前記形状情報が所定の形状条件を満足し、且つ、前記少なくとも2つの位置情報の間に差異がない場合に、撮影の実行を許容する判定をするとともに、差異がある場合に、撮影を実行しないと判定することを特徴とする
請求項1、又は、2に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
前記静止画像読取手段により読取媒体の静止画像の撮影前に、前記状態情報取得手段により取得した前記位置情報を撮影前位置情報に設定し、
前記状態情報取得手段は、前記静止画像読取手段による読取媒体の静止画像の撮影後に、前記状態情報取得手段により前記位置情報を撮影後位置情報として再取得し、
前記撮影実行判定手段では、前記撮影前位置情報と前記撮影後位置情報とに差異がない場合に、再度の撮影が不要であると判定するとともに、差異がある場合に、再度の撮影が必要であると判定し、
撮影が必要であると前記撮影実行判定手段が判定した場合に、前記制御手段では、前記静止画像読取手段に対して再度の静止画像の撮影実行制御を行うことを特徴とする
請求項3に記載のスキャナ装置。
【請求項5】
前記読取媒体よりも光に対する反射率の高い光反射治具を前記読取媒体読取可能領域に供した状態で前記状態情報取得手段により取得した状態情報、或いは前記静止画像読取手段により撮影した前記読取媒体読取可能領域の静止画像を基に、前記読取媒体読取可能領域において前記読取媒体が反射しない非反射領域に関する非反射領域情報を取得し、
前記非反射領域情報を基に前記読取媒体読取可能領域において非反射領域に読取媒体を案内する非反射領域案内手段とを備えた
請求項1から4のいずれかに記載のスキャナ装置。
【請求項6】
前記読取媒体を帳票とし、
前記静止画像読取手段により撮影した帳票の静止画像を帳票情報として認識する帳票認識手段を備えた
請求項1から5のいずれかに記載のスキャナ装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図7】
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