説明

スキャン画像取得装置およびシステム

【課題】測定位置座標データの取得を容易且つ簡単に行うスキャン画像取得装置およびシステムを提供する。
【解決手段】スキャン画像取得システムは、座標位置が特定できるような特殊パターンが形成又は印刷されている柔軟なシート状の符号化タブレットと、撮像部およびプローブ部を有する測定装置部と、測定装置部からの測定位置の映像信号と測定位置の測定信号を取り込んでプローブ部の位置情報と測定出力情報を得るように動作する制御装置部からなり、符号化タブレットを試料表面に被着させた状態で、測定装置部を符号化タブレット表面に沿って走査し、制御装置部の制御信号に同期してプローブ位置とプローブで測定する測定データを同時に取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象に符号化タブレットを被着し、その符号化タブレットと画像入力装置付専用プローブにより座標位置を測定し、同時にその座標位置に関する検査対象の特性をそのプローブで測定する符号化タブレットと専用プローブを用いたスキャン画像取得装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プローブを用いて検査対象のイメージを取得する技術としては、マルチプローブを用いて電子スキャンを行う医療用エコー装置や、シングルプローブやマルチプローブを用いた産業用の測定装置がある。図6は、図6aと図6bからなり、従来のスキャン画像取得装置の例を示す説明図である。
図6aのスキャン画像取得装置100は、プローブ101をXYステージ102に沿って試料104面上を走査して、位置のデータと測定データを取得する。XYステージ102は、試料104面が平面の場合だけ対応でき、また、直線部で構成されるため、装置が大掛かりなものとなる欠点がある。
図6bのスキャン画像取得装置100は、ロータリーエンコーダ106が組み込まれたアレイプローブ105を試料104面に沿って走査して、位置のデータと測定データを取得する例の説明図である。
図6aも図6bも装置が大掛かりでどこでも使えるというものではなかった。
【0003】
試料表面を走査する場合、シングルプローブを使った検査対象の画像を再構成の分解能はスキャナーの精度に依存する。分解能を上げるため、高精度スキャナーを用いると、大掛りになり現場に持ち込むことは難しくなる。マルチプローブを使った画像再構成の分解能はプローブを構成するアレイのサイズと配置構成に大きく依存するため、大規模高精度のアレイ製作は困難となる。また、高精度のプローブは大きな構成となることから、現場の装置が大掛りになり、ポータビリティ(機器の持ち運びのし易さ)が悪くなる。
また、これらの大掛りなスキャン装置の場合、平面のスキャンがほとんどであり、測定対象が局面の場合、曲面に対応した装置も大掛りな専用機となり汎用性が無くなる。
一方、上記のような大がかりなものの代わりに、簡易な撮像装置の画像情報に基づいて測定位置を特定し、所定の測定を行う測定装置は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2003−325510号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される技術は、撮像装置で直接測定位置の座標を求めるものではなく、また、多くの演算を行うため、座標を求めるのが容易ではなかった。このため、測定精度が変動し、また、測定精度を上げるようにできなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、測定位置座標データの取得を容易且つ簡単に行うスキャン画像取得装置およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の測定装置においては、測定対象が任意の形状を有するにも関わらず、測定位置を
特定する位置検出手段は、その形状が大きく且つ融通がきかない固定した形状のX−Yテーブル、タブレットや撮像装置などであった。
本発明のスキャン画像取得装置およびシステムは、任意の測定対象の形状に適切に密着すると共にそれ自体位置座標パターンを有するシート状の符号化タブレットと、この符号化タブレット上の位置座標パターンを撮影する撮像部、および、この撮像部と連動するように構成され且つ測定対象の諸特性を符号化タブレットに影響されることなく測定できるプローブ部とからなる測定装置部と、測定対象に密着させた状態における符号化タブレット上のプローブ部の位置座標パターンを取得させ座標を計算し、その位置における諸特性の測定データを取得するように動作する制御装置部とから構成する。
【0006】
図1は本発明の符号化タブレットを用いたスキャン画像取得装置およびシステムの説明図である。
図1に示すように、スキャン画像取得システム1は、符号化タブレット2とスキャン画像取得装置から構成される。
スキャン画像取得装置は、測定装置部3とそれと電気的に接続された制御装置部4からなる。位置検出可能な符号化タブレット2を試料11表面に密着して設け、撮像部を備えた測定装置部3を符号化タブレット2上で走査する。この走査は測定装置部3を手づかみしハンドスキャンで行ってもよく、試料11表面を塗りつぶすように行う。
測定装置部3の表示部4kに試料11表面の位置座標に対応する格子パターンが表示される。この格子パターンは、任意周波数のトリガー信号に同期して得られた測定座標位置の格子が同時に得られる測定データに対応した色で塗りつぶされていく。
【0007】
測定データは図示省略したプローブの出力電圧信号値に応じた色で塗りつぶされた格子点のブロックとして表示され、これを見て検査者はどこがスキャンされたか認識し、試料表面状態に対応した画像が表示される。この様子を模式的に図5に示す。測定データは塗りつぶされた位置座標に対応した格子の行列位置に格納される。この行列データはさらに逆問題解析することでより詳細な画像情報作成にも利用できる。
符号化タブレットは紙や柔軟な透明なシートに印刷することも可能であり、符号化タブレットを用いれば、従来のスキャナや大型マルチプローブが持ち込めないような狭い現場のその場所や曲面でも、試料に密着させることができるので必要領域の画像化が可能である。
【0008】
上記目的を達成するための具体的な解決手段は、以下のとおりである。
(1)スキャン画像取得システムは、座標位置が特定できるような特殊パターンが形成又は印刷されている柔軟なシート状の符号化タブレットと、撮像部およびプローブ部を有する測定装置部と、測定装置部からの測定位置の映像信号と測定位置の測定信号を取り込んでプローブ部の位置情報と測定出力情報を得るように動作する制御装置部からなり、符号化タブレットを試料表面に被着させた状態で、測定装置部を符号化タブレット表面に沿って走査し、制御装置部の制御信号に同期してプローブ位置とプローブで測定する測定データを同時に取得する。
(2)測定装置部は、撮像部とプローブ部を有し、撮像部とプローブ部が筐体内に分離して配置されている。
(3)筐体は、同軸に配置した内側円筒部と外側円筒部をそれらの一端側に設ける平板部で連結した構成を有し、内側円筒部内には撮像部を配置し、内側円筒部と外側円筒部の間には永久磁石とコイルを配置する。
(4)符号化タブレットは、曲面にも被着可能柔軟性を有する任意の形状又は大きさのシートで、個別の座標情報を与えることができる座標情報パターンが基材上に所定の規則に従って印刷又は形成されている。
【発明の効果】
【0009】
検査試料の表面に符号化タブレットが形成されたシートを乗せ、その上でプローブを走査し、符号化タブレット上の2次元座標位置とプローブ出力を同時に読み取り、必要に応じてメモリに格納し、測定座標位置毎の測定値を画像表示すると共に、符号化タブレットの走査済部分をディスプレイに表示し目視確認しながら測定対象の走査面をくまなく走査する。この場合、シートは柔軟であるので検査対象の走査面は必ずしも平面である必要は無く、曲面でもよい。
従来の機器の2次元位置分解能が形状の固定されたスキャナーの分解精度やアレイプローブの配置精度によって決まっていたのに対し、本発明では折れ曲げ可能な符号化タブレットを用いたので、少ないスペースで装着でき、任意の分解能とできるパターンの選定により位置決め精度を格段に向上することができる。
測定装置部は、撮像部とプローブ部を有し、撮像部とプローブ部が筐体内に分離して配置され、その筐体は、同軸に配置した内側円筒部と外側円筒部をそれらの一端側に設ける平板部で連結した構成を有し、内側円筒部内には撮像部を配置し、内側円筒部と外側円筒部の間には永久磁石とコイルを配置したので、測定装置部をコンパクトに且つ操作しやすいように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のスキャン画像取得システムは、スキャン画像取得装置と符号化タブレットから構成される。符号化タブレットは、任意の測定対象の形状に適切に密着すると共にそれ自体位置座標パターンを有するシート状の符号化タブレットで構成する。
スキャン画像取得装置は、電気的に接続した測定装置部と制御装置部から構成される。
測定装置部は、撮像部とプローブを筐体内に所定の関係で構成されている。測定装置部は、測定対象に密着させた状態にした符号化タブレット上の位置座標パターンを撮影する撮像部、および、この撮像部と連動するように構成され且つ符号化タブレットの影響を受けることなく測定対象の諸特性を測定するプローブ部とからなる。
制御装置部は、撮像部からの映像信号と、プローブからの測定信号(エコー信号)とを取り込む。プローブからの測定信号には、渦電流探傷のような時間的に変化しない信号と電磁超音波探傷のように時間的に変化する信号がある。どちらの場合も映像信号に基づいて座標位置データを求め、同時に、渦電流探傷の場合は測定信号を座標位置に基づいて2次元メモリ配列に記憶する、電磁超音波探傷の場合は測定信号(エコー信号)に基づいてエコープロファイルの合成信号を求め、この合成信号から測定対象の断面画像信号を求め、座標位置データと断面画像信号を対にして3次元メモリ配列に記憶すると共にディスプレイに表示するように機能する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施の形態を図2〜4に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明のスキャニング測定装置の構成図である。
図3は、本発明の測定装置部の動作説明図1である。
図4は、本発明の測定装置部の動作説明図2である。
本発明の符号化タブレットを用いたスキャン画像取得システムは、厚さが0.1mm以下の位置検出可能な符号化タブレットを測定試料の表面に被着し、測定装置部を符号化タブレット上面に沿って走査し、制御装置部により任意周波数のトリガー信号に同期してプローブ位置とプローブで測定する測定データを同時に取得する。
本発明のスキャン画像取得システム1は、スキャン画像取得装置と符号化タブレットから構成される。
符号化タブレット2は、座標位置が特定できるようにパターンが形成又は印刷されている。
【0012】
測定装置部は、信号線により制御装置部に接続されているので、移動自在となっている。測定装置部の操作は、任意であり、図示しないロボット等の移動手段によって行うか、又は、コンピュータのマウスのように手動で操作することも可能である。
測定装置部3は、撮像部5と、プローブ部6からなり、撮像部5とプローブ部6が筐体10内に所定の関係に配置されている。
筐体10は、図3に示すように、非磁性材料から形成され、内側円筒部10bと外側円筒部10cをそれらの一端に設けた平板部10aにより連結した構成をとる。
撮像部5は、CCDカメラ部7と、光源部8と、ハーフミラー9からなる。内側円筒部10b内において、平板部10a側にCCDカメラ部7を設け、測定試料側にハーフミラー9を設け、ハーフミラー9に入射する位置に光源部8を配置する。
【0013】
本発明は、渦電流探傷による表面探傷や電磁超音波探傷による内部探傷のような非接触検査では特に有効である。そこで渦電流探傷や電磁超音波探傷を例に説明する。
プローブ部6は、図3に示すように、磁石6aと、コイル6bからなる。コイル6bは発信用と受信用の2つに分けても良い。内側円筒部10bと外側円筒部10cの間の空間に、平板部10a側から試料側に向かって磁石6a、コイル6bが順に配置されている。
磁石6aは、例えばネオジウム磁石からなる円筒磁石であり、外側円筒部10c又は内側円筒部10bの軸方向に着磁されている。図3の場合、平板部10a側にS極が来るように筐体10内に配置される。
コイル6bは、図3に示しように、その巻回方向が、磁石6aの着時方向および内側円筒部10b又は外側円筒部10cの軸方向と直交するように配置されている。コイル6bは両円筒部の端面を結ぶ面から突出しないように両円筒部内に収納されている。
【0014】
測定時、測定装置部3内のコイル6bは、符号化タブレット2を介して試料11上を摺働操作される。この摺働操作時、コイル6bに交流または励磁パルスが印可される。これにより、試料11内には、図3に示すように、磁石6aによる静磁界とコイル6bの励磁パルスによる変動磁界に基づく磁束が透過し、それに応じて渦電流が図3のように流れ、その渦電流に応じて逆磁束が発生し、そのときの時速変化をコイル6bで検出する。
試料11は、主に導電金属材料からなり、電磁誘導により渦電流が発生する。この渦電流を利用して表面探傷や内部探傷が可能になる。表面探傷の場合、図4に測定対象表面における渦電流の流れの様子を示す。図4aは表面に傷の無い場合の渦電流の流れを示す図である。図4bは表面に傷の有る場合の渦電流の流れを示す図である。図4bの渦電流の流れは、図4aの傷の無い場合と比べ、傷を避けて流れる分だけ電流路が円形から歪み、そのため、歪んだ電流路が発生する磁束は変則的にコイル6bと鎖交し、コイル6bの出力が減少する。
内部探傷の場合は、表面に発生した渦電流がローレンツ力を受けて測定対象内部進行する超音波を発生させる。これが内部欠陥に反射し測定対象表面に戻ってきて振動させる。この振動により測定対象表面の磁束変化を打ち消すように渦電流が発生するので、これをコイル6bで測定する。
【0015】
符号化タブレット2は、任意の形状又は大きさの柔軟なシートで、個別の座標情報を与えることができる単位座標情報パターンが基材上に所定の規則に従って印刷又は形成されている。
基板としては、ドットパターンに比べて読み取りに使用される赤外線の反射率が十分低いものであれば特に限定されない。基板は紙でもよいが、透明なシートの場合は試料表面の状態を確認できるので便利である。基板の形状は、フィルム、又はシート、又は極めて薄い板の形態とする。具体的には、透明基板の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリオレフィン等が好ましい。また、厚みは0.1mm以下が好ましく、材料、要求性能、及び使用形態に応じて適宜選定する。
【0016】
符号化タブレット2は、その表面をプローブ部が摺動する際に、繰り返し接触しても耐えられる強度を与えるために、透明基板上にハードコート層(硬質の塗膜)を設けてもよい。ハードコート層の材質としては、特に限定されず、例えば、珪素系樹脂等を用いる。
位置座標情報を表示する座標情報パターンは、赤外線を選択的に反射する材料で形成することが好ましい。
この赤外線反射材料としては、可視領域で透明(平均透過率が60%以上)であり、且つ赤外線反射性能を有するものであれば特に限定されない。例えば、赤外線反射顔料が好ましい。基板表面に赤外線反射顔料を用いたインキを印刷する。
【0017】
符号化タブレットにおいて、全体の座標情報パターンは、撮像部5にて読み取った任意の位置の単位座標情報パターンから、シート面上におけるプローブ部の位置情報を導き出すことができるようにした規則に則って設定されている。
座標情報パターンは、例えば、ドットの配置形状を識別可能に多数の種類設定し、所定撮像範囲内のこれら複数形状のドットの組み合わせをパターン化したもの、縦横に配置した配置・形状を変えて、所定範囲内の前記短線の配置・形状の組み合わせをパターン化したもの、x、y座標の値を直接ドットの縦横の大きさと結びつけたもの等が挙げられるが、特に簡素で好適なものとしては、縦横に等間隔に並ぶ基準点を設定して、この基準点に対して上下左右に変位したドットを配置し、これらドットの当該基準点からの相対的な位置関係を利用して構成する方法がある。この方法はドットのサイズを小さく一定にできるため入力装置の高分解能化に有利となっている。
【0018】
ドットパターンにおけるドット形状は隣接するドットと容易に区別できれば特に制限はない。通常は、プローブが摺動するとき破損したりしないように、側面から見たアウトライン形状が山形で、上面から見た形状が、円、楕円、多角形等の形状とする。
なお、必要に応じ、グレー処理により、画像を256階調の濃淡画像としてそのまま扱い、各画素毎に256分割された画像情報をすべて使い、パターン認識を行うこともできる。
【0019】
撮像部5は、発光ダイオード等の光源部8からの光が、ハーフミラー9を介して符号化タブレット2上の単位座標情報パターンに照射され、そのパターンからの反射光がハーフミラー9を介してCCDカメラ部7に入射するように構成されている。CCDカメラ部7は、撮像画像位置パターン画像データを制御装置部4へ出力する。
光源8からの光は、ハーフミラー9を介してCCDカメラ部7のレンズと同軸上から符号化タブレット2の面へ照射するので、CCDカメラ部7は符号化タブレット2の表示面からの正反射光をハーフミラー9を介して入射し、不要な拡散光を逃がすことになる。このため、CCDカメラ部7は、表示の明暗のコントラストを正確に撮像することができるようになる。
CCDカメラ部7で撮った画像は、縦×横が任意の比率の、例えば、400×500の単位座標情報パターンに分割された、符号化タブレット2上の任意の位置を(0,0)〜(511.479)の(x、y)座標で特定できるようになる。
【0020】
撮像部5とプローブ部6とは、それぞれ個別に筐体10内の外側円筒部10cと内側円筒部10bで画成された収納部内に収納されている。これにより、プローブ部6と撮像部5が常に一定の距離(間隔)で配置されることになるため、プローブ部6の座標位置が、撮像部5で取得した位置座標データから所定間隔を減算することにより容易に且つ正確に求めることができる。
制御装置部4は、図示省略した、CPU(中央演算装置)、I/Oインターフェース、メモリ10からなり、好ましくはマイクロコンピュータで構成される。制御装置4を構成するコントローラ部4a、増幅部4b、発振部4c、受信部4d、A−D変換部4e、符号化部4f、画像メモリ部4g、位置パターン画像データ格納テーブル部4h、比較部4i、画像形成部4j、表示部4kは、当然、CPU(中央演算装置)、I/Oインターフェース、およびメモリ10を機能的に動作させて、それぞれの所期の機能を達成する。
【0021】
制御装置部4は、コントローラ部4a、増幅部4b、発振部4c、受信部4d、A−D変換部4e、符号化部4f、画像メモリ部4g、位置パターン画像データ格納テーブル部4h、比較部4i、画像形成部4j、表示部4kを備える。
制御装置部4全体の手順の制御は、コントローラ部4aが発振部4c、受信部4d、A−D変換部4e、符号化部4f、画像メモリ部4gへトリガ信号を送出して行う。
位置検出手段は、符号化部4f、画像メモリ部4g、位置パターン画像データ格納テーブル部4hおよび比較部4iで構成し、コントローラ部4aからの指令により、撮像部5のCCDカメラ部7で撮像した符号化タブレット2上の位置パターンの画像データを読み込み、この位置パターン画像データを符号化部4fで符号化して位置パターンデジタル画像データを出力し、この位置パターンデジタル画像データを画像メモリ部4gに記録すると共に読み出し比較部4iへ入力する。
【0022】
位置パターン画像データ格納テーブル部4hには、符号化タブレット2上のすべての位置座標を表すすべてのパターン画像データが記録されている。即ち、位置パターン画像データ格納テーブル部4hには、符号化タブレット2上のすべての位置座標を表すすべてのパターン画像データが符号化タブレット2上の位置座標と対応付けて記録されている。
比較部4iは、画像メモリ部4gからの実際に撮像した位置パターン画像データと位置パターン画像データ格納テーブル部4h内の位置パターン画像データを比較し、一致した位置パターン画像データに対応する位置座標データ(xio,yjo)を画像形成部4jへ出力する。
この位置パターン画像データ格納テーブル部4hは、予めメモリ内に作成され、符号化タブレット2上のすべての位置座標を表すすべてのパターン画像データ、即ち、位置パターン画像データと、基準となる符号化タブレット2上の基準点からの座標位置を表す位置座標データ(xio,yjo)を、対にして記憶してある。
【0023】
試料内部の状態を測定する測定手段は、増幅部4b、発振部4c、受信部4dおよびA−D変換部4eで構成し、増幅部4bを介して発信部4cにトリガ信号を与えプローブ部6に測定信号を出力する。
このとき、プローブ部6を測定対象の試料11の面に沿って走査する。プローブ部6は測定試料11の表面直下に交流磁場またはパルス/高周波磁場を与える。
交流磁場の場合、図3および図4に示すように測定試料11の表面近傍には、その磁場を打ち消すような渦電流が発生する。この渦電流は表面に傷がある場合、その流路が偏倚させられるのでコイルの自己インダクタンスが変化し電圧の変化として測定できる。
【0024】
この測定は、コイルに入力パルスが印加されていない時間帯に行う。
また、パルス/高周波磁場の場合、図3に示すように、この渦電流はネオジウム磁石の磁場の中でローレンツ力により力をうける超音波をも発生させ、測定対象内部に侵入させる、内部の欠陥によって反射した超音波は測定対象の表面を振動させる際、ネオジウム磁石の磁場の中なので測定対象表面の磁場の増大を妨げるように新たに渦電流を発生させる。この渦電流によってプローブのコイルに電圧が発生する。
これらを増幅部4bを介して受信部4dで受信し、受信したプローブ出力はAD変換部4eを介してデジタル電圧データとして画像形成部4jへ出力される。画像形成部4jはデジタル電圧データをその電圧値レベルに応じて色信号に変換する。色信号は、輝度信号又は色相の異なる信号等任意の信号とできる。
【0025】
以上の過程において、符号化タブレット2の材質は磁性体及び磁気遮蔽効果を有する材料でないので、プローブ6の測定結果は符号化タブレット2に全く影響を受けないものとなる。
画像形成部4jは、比較部4iからのプローブ6の測定時の座標位置データと、同じく測定時のAD変換部4eからの測定位置の測定電圧データに基づき、図5に示すように、符号化タブレット2の単位座標毎に測定電圧値を色表示する。
上記比較部4iからのプローブ6の測定時の座標位置データと、同じく測定時のAD変換部4eからの測定位置の測定電圧データを、図示しないメモリに記録するようにしてもよい。測定電圧データ値と色データを対応付けて図示しないメモリのテーブルに記録しておき、必要に応じて、測定電圧データ値におうじて色データを読み出すようにしても良い。
【0026】
この比較部4iからのプローブ6の測定時の座標位置データと、同じく測定時のAD変換部4eからの測定位置の測定電圧データは、合成開口法や特願2006-269398の画像再構成法によってさらに高精細な画像として再構成することもできる。
もちろん本方法による位置決めは、シングルプローブの場合だけでなく、フェーズドアレイのようなマルチプローブの場合でも適用可能であり、さらに解像度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の符号化タブレットを用いたスキャニング測定システムの説明図である。
【図2】本発明のスキャニング測定装置の構成図である。
【図3】本発明の測定装置部の動作説明図1である。
【図4】本発明の測定装置部の動作説明図2である。
【図5】本発明の符号化タブレットの符号化イメージ図である。
【図6】従来のスキャン画像取得装置の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 スキャン画像取得システム
2 符号化タブレット
3 測定装置部
4 制御装置部
5 撮像部
6 プローブ部
7 CCDカメラ部
8 光源部
9 ハーフミラー
10 筐体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置が特定できるような特殊パターンが形成又は印刷されている柔軟なシート状の符号化タブレットと、撮像部およびプローブ部を有する測定装置部と、前記測定装置部からの測定位置の映像信号と測定位置の測定信号を取り込んで前記プローブ部の位置情報と測定出力情報を得るように動作する制御装置部からなり、前記符号化タブレットを試料表面に被着させた状態で、前記測定装置部を前記符号化タブレット表面に沿って走査し、前記制御装置部の制御信号に同期して前記プローブ位置と前記プローブで測定する測定データを同時に取得することを特徴とするスキャン画像取得装置。
【請求項2】
前記測定装置部は、撮像部とプローブ部を有し、前記撮像部と前記プローブ部が筐体内に分離して配置されていることを特徴とする請求項1記載のスキャン画像取得装置。
【請求項3】
前記筐体は、同軸に配置した内側円筒部と外側円筒部をそれらの一端側に設ける平板部で連結した構成を有し、前記内側円筒部内には撮像部を配置し、前記内側円筒部と前記外側円筒部の間には永久磁石とコイルを配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のスキャン画像取得装置。
【請求項4】
前記符号化タブレットは、曲面にも被着可能柔軟性を有する任意の形状又は大きさのシートで、個別の座標情報を与えることができる座標情報パターンが基材上に所定の規則に従って印刷又は形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスキャン画像取得装置。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−96520(P2010−96520A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265115(P2008−265115)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】