スキンケアでの利用のための安定化プロテアーゼ
スキンケア剤として使用するための、植物由来の固定化および架橋プロテアーゼを合成することに関する発明が開示される。得られる安定化プロテアーゼは、その固定化特性のために、皮膚へわずかしか浸透しない。その架橋特性によって、そして特定の実施形態において、物理的添加物を介したその安定化のために、活性が維持される。本発明は特に、局所皮膚塗布にて使用する、連結パパイン生成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本明細書は、2010年1月19日に出願された米国仮特許出願第61/296,052号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
スキンケア剤として使用するための、植物由来の固定化および架橋プロテアーゼを合成することに関する発明が開示される。得られる安定化プロテアーゼは、その固定化特性のために、皮膚へわずかしか浸透しない。その架橋特性によって、そして特定の実施形態において、物理的添加物を介したその安定化のために、活性が維持される。本発明は特に、局所皮膚塗布にて使用される、連結パパイン生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテアーゼの活性は、表皮性ホメオスタシスにおいて重要である。したがって、プロテアーゼは、皮膚に塗布された時に、種々の潜在的な利点を持つが、特定の制限を受ける。パパインは、パパイヤや、特定の他の植物から由来する強力なプロテアーゼである。しかしながら、溶液状態で、活性を急速に失う。これは、パパインが、それ自身を消化し、ならびに変性を受けるからであり、これはすべてのプロテアーゼが同様である。さらに、これらのパパイン生成物を局所スキンケア薬剤として使用する場合に、皮膚浸透および皮膚炎症に関して、従来のパパイン生成物において他の困難が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような制限を持たない、スキンケアでの使用のための、プロテアーゼ生成物、より具体的にはパパイン生成物を開発することが非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術における上述の困難を乗り越えるために、本発明の例示的実施形態は、本明細書にて記述された説明された技術を介した、改変安定架橋プロテアーゼ生成物、および具体的には改変安定架橋プロテアーゼ生成物が提供される。
【0006】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、安定架橋パパイン生成物を得るために、パパインを、例えば第一架橋反応にて、カルボマーまたはカルボポールのようなポリマー上に固定化し、ついで第二架橋反応を、例えば、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)のような、アミン反応性である低分子量のホモ二機能架橋剤を加えることによって続いて実施する。
【0007】
本発明の例示的実施形態において、第一架橋反応および第二架橋反応を、安定架橋パパイン生成物を得るために実施し、ついで安定架橋パパインをさらに、例えば糖または糖ポリマーのような物理的安定剤を用いて安定化させる。例えば、アルギン酸ナトリウムを、本発明の例示的実施形態にしたがって、物理的安定剤として使用してもよい。
【0008】
上記架橋安定化パパイン性生成物はまた、上記安定化パパイン生成物を、特定の防腐剤系、または水中油処方内に加えることによって、さらに安定化してもよい。
【0009】
本発明の例示的実施形態にしたがった、固定化、架橋および安定化プロテアーゼ(例えばパパイン)複合体の利点には、
1)最小皮膚浸透、
2)溶液中または乾燥形態中、タンパク質分解活性の保持
3)最小皮膚炎症
4)処方の簡便さ
が含まれるが、これらに限定はされない。
【0010】
本発明のまた他の実施形態において、安定化プロテアーゼを含む、化粧品、パーソナルケア、および薬理学的組成物が記述される。
【0011】
以下の図は、例示の目的のみで提示されており、限定を意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にしたがった安定架橋プロテアーゼを形成するための架橋反応を示す図である。
【図2】図1で図示した架橋反応を受けた、本発明の例示的実施形態にしたがった、安定架橋パパイン生成物を示す図である。
【図3】12週間まで、種々の温度にて、本発明の例示的実施形態にしたがった安定化パパインの試料を保存した後の0日活性の割合を示す図である。
【図4】12週間まで、種々の温度にて、DMA試料なしで保存した後の、0日活性の割合を示す図である。
【図5】シグマ(Sigma)パパイン標準曲線を示す図である。
【図6(a)】本発明の例示的実施形態にしたがった、12週間まで、種々の温度にて安定化パパイン試料を保存した後に維持された、0日活性の割合を示す図である。
【図6(b)】12週間まで、種々の温度にてDMA試料なしで保存した後に維持された、0日活性の割合を示す図である。
【図7】本発明の例示的実施形態にしたがった、安定架橋パパイン生成物中では、遊離活性パパインは見られなかったことを示すチャートである。
【図8】0.2%のBS3を含む試料、およびいかなるBS3をも含まない対照試料の、異なる温度での1週間後の、活性の割合を示すチャートである。
【図9】0.1%アルギン酸塩をともなう、またはこれをともなわない安定化パパインの試料の、4週間後維持活性の割合を示すチャートである。
【図10】シグマパパイン標準曲線である。
【図11】25℃および40℃での、10日後の遊離パパインの安定性における、糖または糖ポリマーの効果を示すチャートである。
【図12】0.4%パパインの、2週間後維持された活性の割合を示すチャートである。
【図13(a)】DMAによって架橋され、さらにアルギン酸ナトリウムと反応した、安定架橋パパイン生成物を示している図である。
【図13(b)】12週間までの間、種々の温度にて1%DMA試料を保存した後に維持された活性の割合を示すチャートである。
【図13(c)】12週間までの間、種々の温度にて、DMAなしで保存した後の、0日活性の割合を示すチャートである。
【図14】連結パパインの活性維持におけるDMAの効果を示すグラフである。
【図15】異なる温度で、12週間後、連結パパイン試料における活性を示すチャートである。
【図16】シグマ(Sigma)パパイン標準曲線である。
【図17】処方中に維持された連結パパイン(DMAあり)の活性を示すチャートである。
【図18】処方中に維持された連結パパイン(DMAなし)の活性を示すチャートである。
【図19】処方内に維持される連結パパインの活性を示すグラフである。
【図20】プラセボ処方中のシグマパパインに対する標準曲線である。
【図21】油および水処方中に維持される連結パパインの活性を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
他に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を持つ。本明細書で記述したものと同様の、または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができるが、適切な方法および物質が以下に記述される。本明細書で言及されるすべての発行物、特許明細書、特許および他の参考文献は、そのすべてが参考文献によって組み込まれている。矛盾する場合、定義を含む本明細書が規定するであろう。さらに、材料、方法および実施例は、説明のためのみであり、制限することを意図しない。
【0014】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な記述から、および請求項から明らかになろう。当業者に明らかであるように、本明細書で記述した特定の特徴および実施形態は、任意の他の特徴または実施形態と組み合わせることができる。
【0015】
表皮はいくつかの階層(strata)または層(layers)からなる。最外部層である角質層は、下の階層から、数日の経過にわたって上向きに移動した死細胞からなる。これらの死細胞は通常、より深いレベルでより新しい細胞の増殖を刺激する表皮落屑と呼ばれる工程を介して、皮膚の表面から脱離する。皮膚は若ければ若いほど、加齢または損傷皮膚よりも、この工程においてより効率的である。結果として、加齢皮膚はくすみ、厚く、引き締まっていない。これは、日光への曝露のような環境因子、アンドロゲン、エストロゲンおよび上皮増殖因子のようなホルモンの影響、およびビタミンAおよびDの欠如のようなビタミン欠如によって悪化する場合がある。プロテアーゼ活性は、落屑工程における鍵となる因子である。したがって、皮膚スムージングやアンチエージングのような化粧効果のために、皮膚にプロテアーゼを塗布することが望ましい。しかしながら、化粧または他の用途におけるプロテアーゼの利用は、3つの主要な制限、不安定性、アレルギー誘発の可能性および皮膚浸透を持つことが知られている。
【0016】
本発明は、少なくとも部分的に、本明細書で「安定化(stabilized)」プロテアーゼとしても称される、プロテアーゼ・カルボマー・コポリマーを形成するための、ある特定の架橋反応を通して、プロテアーゼが安定化可能であるという発見に基づいている。そのような安定化プロテアーゼは、カルボマーに架橋したプロテアーゼを含み、そこでプロテーゼの第一アミンは、カルボマーのカルボキシル基に架橋し、プロテアーゼのアミンがさらに、アミン反応性架橋剤によって架橋される。本発明の一つの実施形態において、安定化プロテアーゼはさらに、物理的安定剤、例えば糖または糖ポリマーを含む。
【0017】
そのような安定化プロテアーゼ生成物を形成する方法もまた開示されており、第一架橋反応は、プロテアーゼの一級アミンを、カルボマーのカルボキシル基へ架橋するために実施され、第二架橋反応は、アミン反応性架橋剤を介して実施される。
【0018】
プロテアーゼ
プロテアーゼは、タンパク質の分解を触媒する酵素である。プロテインはそれ自身タンパク質であり、自己分解を受ける傾向があり、本来不安定である。このタンパク質性の性質はまた、それらをアレルギー誘発性とする。さらに、タンパク質を分解するそれらの能力のために、表皮のより深い層に浸透し、その下の階層に障害を与える場合がある。本発明での使用のために適切なプロテアーゼとしては、パパイン、フィチン、ブロメラインおよびアクチニダインが挙げられる。
【0019】
フィチンは、イチジクの木の果実である、イチジクの乳液から単離された、非特異的スルフヒドリルプロテアーゼである。フィチンは、Ficus caricaおよびFicus glabatraからもっとも一般的に得られる。しかしながら、フィチンはまた、Ficus elasticaおよびFicus insipidaのような他のイチジク種の果実からも単離される場合がある。ブロメラインは、パイナップル(Ananas comosus)の幹および/または果実から単離されるスルフヒドリルプロテアーゼである。アクチジンとしても知られるアクチニダインは、キウイフルーツ(Actinidia deliciosa)から得られるシステインプロテアーゼである。パパインは、パパイヤ(Carcia papaya)およびマウンテンパパイヤ(Vasconcellea cundinamarcensis)から得られるシステインプロテアーゼであり、若くは熟していない果実の樹液よりほとんどの場合得られる。プロテアーゼは、0.1重量%〜5重量%の濃度で存在する。
【0020】
カルボマー
プロテアーゼはカルボマー上にまず固定化する。カルボマーは、任意の種々のポリアルコールアリルエーテル類(例えばアリルエーテルペンタエリスリトール、スクロースのアリルエーテルまたはプロピレンのアリルエーテル)と架橋する、高分子量を有するアクリル酸のホモポリマーである。適切なカルボマーの例としては、カルボマー910、カルボマー934、カルボマー934p、カルボマー940およびカルボマー941が挙げられ、数字の添え字はポリマー鎖の平均分子量を示している。本明細書で使用するように、「固定化(immobilized)」プロテアーゼまたは「連結(linked)」プロテアーゼは、第一架橋反応を介して、カルボマーと反応したプロテアーゼを意味する。この第一架橋反応のために適切な架橋剤は、カルボキシル基を一級アミンに結合可能な薬剤である。適切な架橋剤の1つの例は、水溶性カルボジイミド1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。EDCは、カルボキシル基を一級アミンに結合するために使用する、ゼロ長架橋剤である。EDCは、カルボキシル酸基と反応して、O−アシルイソウレア基を与え、これは、遊離アミン基との反応の後架橋を形成する。EDCは、反応の過程にわたり、二置換尿素への変換される、本実施様態内での最初の架橋剤である。NHSは酸エステルであり、架橋の速度を増加させ、架橋反応の間未変化で残る触媒である。
【0021】
化学的架橋剤
いったんカルボマー上に固定化されると、固定化プロテアーゼを、第二架橋反応中、アミン反応性架橋剤と反応させて、本明細書で「安定化プロテアーゼ(stabilized protease)」とも呼ばれる、プロテアーゼ・カルボマー・コポリマーを形成させる。架橋剤は好ましくは低分子量架橋剤であり、架橋剤は完全に、またはほぼ完全に、第二架橋反応中で反応する。使用可能な適切な架橋剤の例としては、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル3,3ジチオビスのようなイミドエステル架橋剤が挙げられる。アミン反応性架橋剤は、約0.05重量%〜約5重量%、好ましくは約1%〜5%の範囲の種々の濃度で提供されてもよい。特定の実施形態において、DMAが利用される。
【0022】
物理的安定剤
化学的架橋の後、固定化および架橋プロテアーゼを任意選択でさらに、例えば糖または糖ポリマーのような物理的安定剤により固定化される。適切な糖または糖ポリマーの例は、アルギン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、グリセロールおよびキサンタンである。1つの実施形態において、アルギン酸ナトリウムが利用される。そのような物理的安定剤は、約0.1重量%〜5重量%の濃度で含まれてもよい。
【0023】
本発明の安定化プロテアーゼのうちの1つの実施形態を形成するための架橋反応の図を、図1にて示している。安定化パパイン生成物の図を図2で示している。
【0024】
適用/処方
本発明の安定化プロテアーゼは、最小皮膚浸潤を有し、溶液または乾燥形態でのタンパク質活性を維持し、最小皮膚刺激を有し、処方中に提供するのが比較的容易である。したがって、本発明の例示的実施形態は、従来技術のプロテアーゼ生成品、とりわけ安定化パパイン生成品実施様態と比較して、より安定で、非常に安全なプロテアーゼ生成品を提供する。
【0025】
安定化プロテアーゼは、例えば剥奪調製物、しわ取りおよび/またはアンチエージング調製物、入浴剤、ヘアケア調製物、液体および固体石けん、クレンジング溶液、モイストクリーニング布、油または粉末、抗ニキビ調製物のような、化粧品およびパーソナルケア処方中での使用に適切である。安定化プロテアーゼは、1つまたはそれ以上の本発明の安定化プロテアーゼを、処置が必要な乾燥、加齢または損傷皮膚に塗布することによって、乾燥、加齢または損傷皮膚を処置するために特に適切である。
【0026】
化粧品および/またはパーソナルケア処方は、例えば油中水または水中油エマルジョン、アルコール性またはアルコール含有処方、イオン性または非イオン性両親媒性脂質のベシクル分散体、またはゲルのような形態であってよい。例示的な化粧品および/またはパーソナルケア処方は、約0.5重量%〜約5重量%、好ましくは約1%〜3%の安定化プロテアーゼを含む。
【0027】
本発明の安定化プロテアーゼは、薬理学的用途、例えばデブリードマン用途にも適切である。デブリードマンは、例えば潰瘍性傷のような傷、またはやけどからの、治癒を補助するための、死亡したまたは損傷を受けた組織の除去である。本発明の1つの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の安定化プロテアーゼが、創面切除が必要な傷またはやけどに塗布する。傷またはやけどの処置のための安定化プロテアーゼを含む例示的な処方および製品としては、絆創膏/包帯、パッチ、洗浄溶液、軟膏またはジェル、または合成組織が挙げられる。特定の実施形態において、デブリードマン組成物、例えば、絆創膏、包帯またはパッチは、任意選択で抗菌剤を含んでもよい。デブリードマン用途のためには、薬理学的組成物中に含まれる安定化プロテアーゼの量は、効果的に、壊死組織を切除し、傷内の膿を液体化させる量であり、合理的な時間(例えば7日間にわたり)内に実質的にすべてのそのような物質を除去するのに影響を与える量である。
【0028】
スキンケア用途に加えて、本発明の安定化プロテアーゼはまた、プロテアーゼの安定形態が望まれる本技術分野で公知の他の適用においても適切である場合がある。1つの例示的適用はオーラルケア組成物である。
【0029】
安定化プロテアーゼを含む局所組成物にはさらに、本発明の利点を受け入れられない形で変更しない限り、化粧品、パーソナルケア、または薬理学的組成物中で従来使用される種々の他の成分を含んでもよい。任意選択の従来の成分分類の非限定的な例としては、香料、顔料、カラーリング/着色料、エッセンシャルオイル、収斂剤、アンチエージング剤、抗ニキビ剤、アンチケーキング剤、消泡剤、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤、pH調整剤、皮膚脱色および美白剤、皮膚調整剤、日焼け止め、防腐剤、抗炎症剤、保湿剤、増粘剤およびビタミン類が挙げられる。
【0030】
化粧品、パーソナルケアおよび/または薬理学的用途の特定の実施形態に対しては、安定化プロテアーゼをともなう防腐剤系をさらに含むことが望ましい。酵素は、高温や、強乳化剤のような不適合化学物質の存在下のような劣悪な条件下で変性することが知られている。安定化タンパク質との利用のために適切で、とりわけ、安定化パパインに対して適切である防腐剤系の2つの例が以下である。
【0031】
(a)フェノキシエタノール+安息香酸
(b)ジオシド(Diocide)(フェノキシエタノール+カプリルグリコール+ヘキシレングリコールの混合)
【実施例】
【0032】
本発明は以下の実施例にてさらに記述されるが、請求項に記述される本発明の範囲を限定はしない。
【0033】
実施例1
そのタンパク質分解活性を保持し、遊離パパインを含む従来のパパイン生成物よりも安全である、安定パパイン生成物を、1%パパインをN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)と一緒に、カルボジイミド1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)塩酸カルボジイミド(EDC)を用いて、カルボポールに架橋する第一架橋反応を実施することによって産出した。次に、第二架橋反応を次いで実施し、そこで、固定化パパインをジメチルアジピミデート(DMA)と反応させて、架橋パパインをさらに架橋し、それによって安定架橋パパイン生成物を形成した。DMAは1%の濃度で提供され、パパインは、1重量%の濃度で提供された。
【0034】
上記安定化パパイン生成物の3つの実験ラボバッチを実施し、12週間にわたる保存期間中、第一架橋パパインの酵素活性/安定性において、1%のDMAの効果を判定した。本実験を実施するための反応条件を表1に説明する。
【表1】
【0035】
1%DMAあり、またはDMAなしで種々の温度にて12週間にわたる、固定化パパインの保持された活性を判定するための3つの個々のラボバッチの結果が、表2(a)〜5(b)にて以下で説明される。表2(a)は、1%DMAも含む実験試料中の、連結固定化パパインの保持された活性の割合を示している。表2(b)は、DMAを含まない対照試料中の固定化パパインの保持された活性の割合を示している。実験試料および対照試料は、対照試料がいかなるDMAも含まなかったことを除いて、基本的に同一であった。
【0036】
表2(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表2(a)】
【0037】
表2(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表2(b)】
【0038】
表3(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表3(a)】
【0039】
表3(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表3(b)】
【0040】
表4(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表4(a)】
【0041】
表4(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表4(b)】
【0042】
表5(a)−バッチ1(表3)、バッチ2(表4)、バッチ3(表5)の1%DMAと架橋した固定化パパインの保持された活性の%に対する平均値
【表5(a)】
【0043】
表5(b)−バッチ1(表3)、バッチ2(表4)、バッチ3(表5)の固定化パパイン(DMAなし)の保持された活性の%に対する平均値
【表5(b)】
【0044】
表2(a)〜表5(b)の結果からみることができるように、実験試料中、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性は、DMAと反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性よりも、種々の温度にわたり、著しく大きかった。したがって、パパインをカルボマーに架橋させる、第一架橋反応を受け、ついで1%DMAとの第二架橋反応を受けたパパインは、第一架橋反応を受けたが、DMAとの第二架橋反応を受けなかったパパインの対照試料よりも、著しく安定である。さらに、図3および図4は、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性が、DMAと反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性よりも、種々の温度にわたり、著しく大きかった、表2(a)〜表5(b)の結果を説明している。
【0045】
以下の表6および図7で説明するように、実験試料および対照試料中のパパイン活性を、固定化パパインのユニット試料あたりの、蛍光の変化に基づいて判定した。図5で示したような、シグマ(Sigma)パパイン活性標準曲線を、本実施例にしたがって、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性を定量化することを助けるために開発した。上記したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本発明の実験のユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0046】
表6−1%DMAあり、およびDMAなし(対照)の固定化パパインに対する蛍光値
【表6】
【0047】
表7−ユニット/mlで測定した、1%DMAありの固定化パパイン1%と、DMAなし(対照)の固定化パパインの活性
【表7】
【0048】
他の実験において、4℃、25℃および45℃にて12週間にわたり、架橋1%パパインを、1%DMAとともに保存し、架橋1%パパインをDMAなしで保存し、これらのパパイン試料の、これらの温度での安定性を判定した。この実験の結果は、インビトロジェン(Invitrogen)EnzChek(登録商標)アッセイキットを用いてパパイン活性アッセイにより得られた。N=3。
【0049】
図6(a)〜図6(b)に示すように、DMAとの固定化パパインの架橋は、連結パパインをDMAとともに保存しなかった対照試料と比較して、25℃および45℃における生成物の安定性を著しく改善した。図6(a)は、DMAによって架橋された連結パパインを含む12週間まで試料を保存した後に保持された活性の割合を示している。図6(b)は、DMAなしの連結パパインを含む、12週間まで保存した対照試料を示している。図6(a)にて図示したように、DMAによって架橋された連結パパイン生成物が、12週間にわたり、4℃および25℃において約80%、45℃にて約50%の活性を保持したことが判定されたことがさらに留意される。
【0050】
図7で示すように、また他の実験において、安定化パパイン中の遊離活性パパインの判定を実施した。本実験の結果は、本発明の例示的実施形態にしたがって、第一架橋反応中、EDC/NHSによって架橋され、ついでさらに第二架橋反応において1%DMAによって架橋されたパパイン中では、遊離活性パパインは発見されなかったことが判定された、というものであった。一方で、架橋されなかった対照試料のパパイン中には、遊離パパインの有意な活性が見られた。
【0051】
実施例2
実施例2において、第二架橋剤として使用されるDMAの代わりに、0.2%の架橋剤BS3を使用して、第二架橋反応で固定化パパイン生成物を架橋した。0.2%BS3とともに保存した固定化パパインの実験試料、およびBS3なしで保存した固定化パパインの対照試料の活性の割合を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を、表8〜表10にて説明し、以下で考察する。
【表8】
【表9】
【表10】
【0052】
表10および図8の結果から見ることが可能であるように、0.2% BS3でさらに架橋された固定化1%パパインの活性は、BS3と反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性より、種々の温度で著しく大きかった。
【0053】
実施例3
本実施例において、1%安定化パパインおよび0.1%アルギン酸ナトリウムを混合した。0.1%アルギン酸ナトリウムとともに保存した安定化パパインの実験試料、およびアルギン酸ナトリウムなしで保存した安定化パパイン生成物の対照試料の活性の%を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を以下で考察する。
【表11】
【表12】
【表13】
【0054】
表13の結果より見ることが出来るように、0.1%アルギン酸ナトリウムとともに保存した安定化パパインの活性は、アルギン酸ナトリウムとともに保存しなかった対照試料中の安定化パパインの活性より、4週間にわたり、種々の温度にて著しく大きい。したがって、0.1%アルギン酸ナトリウムと反応した連結パパインは、アルギン酸ナトリウムを含まない上述したパパインの対照試料より、著しく安定である。さらに、図9は、アルギン酸ナトリウムをともなう安定化パパインの活性は、アルギン酸ナトリウムを含まなかった対照試料中の架橋パパインの活性より、4週間にわたり、種々の温度で著しく大きかった表13の結果を説明している。
【0055】
さらに、図10にて示したように、吸収対ユニット/mlを用いた、シグマ(Sigma)パパイン活性標準曲線を0.1%アルギン酸ナトリウムと一緒の連結1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。
【0056】
他の実験において、図11にて示すように、糖および糖ポリマーの、25℃および40℃にて数日後の遊離パパインの安定性における効果を実施した。含まれた糖または糖ポリマーは、0.1%アルギン酸ナトリウム、5%トレハロース、5%マンニトール、5%グリセロール、0.1キサンタンガム、0.1%HA、5%スクロース、5%ソルビトールおよび糖なし対照であった。結果から、0.1%アルギン酸ナトリウムが、遊離パパインにおいて安定化効果を持つことがわかったことが留意される。0.1%アルギン酸ナトリウムのこの安定化効果がまた、本発明の安定化パパイン上でも観察された。
【0057】
また他の実験において、図12にて示すように、0.4%パパインで作製された、安定化パパインの2週間後保持された活性の割合を判定した。これらの実験のいくつかの試料において、連結パパインをアルギン酸ナトリウムで処理し、いくつかの試料において、連結パパインを無水物で処理し、いくつかの試料で連結パパインを無水物とアルギン酸ナトリウムで処理し、いくつかの試料で、連結パパインを上記のいずれによっても処理しなかった。図12から得られるように、アルギン酸ナトリウムおよび無水物両方で処理した試料が、2週間それぞれの後、最も大きな%活性が保持され、処理を全くしなかった試料は、2週間それぞれ後、保持された活性%は最も低かった。
【0058】
実施例4
実施例4において、固定化パパインを、第二架橋のために1%DMAと、さらなる安定化のために0.1%アルギン酸ナトリウムと反応させ、1.2%フェノキシエタノール+0.2%安息香酸を含む防腐剤系の一部として含めた。本発明の1つの実施様態にしたがった安定化パパインの実験試料、および(DMAまたはアルギン酸ナトリウムなしの)連結パパイン生成物の対照試料の活性の%を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を表14にて説明し、以下で考察する。
【表14】
【表15】
【0059】
【0060】
以上で言及したように、本発明の例示的実施形態にしたがった実験試料には、1%DMA、1%パパイン600(ESP)、0.1%アルギン酸ナトリウム、1.2フェノキシエタノール+0.2%安息香酸が含まれる。対照試料には、DMAが含まれなかったこと以外、すべて実験処方と同一の要素が含まれた。DMAの効果に対する、種々の温度において、12週間にわたる連結パパインの保持活性における結果を以下に説明する。さらに、DMA、連結パパインおよびアルギン酸ナトリウムの化学反応を13(a)で示している。
【0061】
以上のデータおよび図13(b)、図13(c)、図14および図15より得られるように、連結パパインの1%DMAとの架橋が、いかなるDMAをも含まなかった対照試料と比較して、12週間にわたり、種々の温度で、連結パパイン生成物の安定性を著しく改善した。
【0062】
さらに、表15で説明したように、実験試料および対照中のパパイン活性は、連結パパインのユニット試料あたりの蛍光の変化に基づいて判定された。図16で示したように、シグマ(Sigma)パパイン標準曲線を、本実施形態にしたがって、さらに1%DMAで架橋した、固定化1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。以上で言及したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本例示的実施形態にしたがってDMAにより固定化したパパインの実験試料、およびDMAなしの対照試料のユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0063】
実施例5
別の例示的実施形態において、固定化パパインを、さらなる架橋のために5% DMAと反応させ、0.1%アルギン酸ナトリウムと反応させ、1.2%フェノキシエタノール+0.2%安息香酸を含む、防腐剤系の一部として含めた。本実施形態に関するプロトコールおよび結果を以下に説明する。プラセボ処方には、DMA以外の、実験処方のすべての成分が含まれた。
【表16】
【0064】
【0065】
【0066】
上記データ表および図17〜図19より得られるように、固定化パパインの5%DMAによる架橋が、DMAを含まない対照試料と比較して、12週間にわたり、種々の温度で固定化パパイン生成物の安定性を著しく改善した。
【0067】
さらに、以上のデータ表にて説明したように、実験試料および対照中のパパイン活性を、固定化パパインのユニット試料あたりの蛍光変化に基づいて測定した。図20で示したように、プラセボ処方中のシグマ(Sigma)パパインに対する標準曲線を、本実施形態にしたがった5%DMAと架橋した固定化1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。以上で言及したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本例示的実施形態にしたがったDMAにより連結したパパインの実験試料、およびDMAなしの対照試料とのユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0068】
実施例6〜実施例8
以下は、1つまたはそれ以上の安定化プロテアーゼを用いて調製可能な処方の非限定例を表している。広く種々の同様の処方が、本技術分野で公知であり、その中に1つまたはそれ以上の安定化プロテアーゼを簡単に種々の濃度で組む込むことが可能である。
【0069】
実施例6
例えば、例示的弾力性クリームゲルは、以下の表で示した組成物を含む。
【表17】
【0070】
主容器内で、相Aを混合する。粉末が水和し、バッチが均一になるまでの均一混合およびスイープ混合する。相Aが均一の時、均一混合しながら、相Bを主容器に加える。均一になるまで混合する。均一混合しながら相Cを主容器に加える。均一になるまで混合する。均一混合しながら相Dを主容器に加える。均一になるまで混合する。相E成分を、150〜40℃に、融解するまで暖める。相Eを予混合し、均一混合しながら主容器に加える。相Fを予混合する。すべてのパールが懸濁し、塊が存在しなくなるまで、混合する。混合を添加の間続ける。相Fを均一混合しながら主容器に加える。添加の後均一混合機を切り、均一になるまでスイープ混合する。
【0071】
実施例7
例えば、例示的ローションは、以下の表中で示す組成物を含む。
【表18】
【0072】
65〜70℃まで熱しながら、均一になるまで相Aを混合する。別の容器中で、相Bを予混合する。70〜75℃まで、または均一になるまで熱する。相Aおよび相Bの両方が所望される温度になった時、相Bを相Aに加え、均一になるまで均一混合する。相ABが均一になる時、冷却を始め、相Cを35〜30℃で加え、均一になるまで、プロップ混合器下で混合する。予混合した相Dを、均一混合器下で相ABCに加える。均一になるまで混合する。
【0073】
実施例8
本実施形態において、O/W処方内での、12週間まで、種々の温度で、連結パパインの安定性。結果を、処方を0.1%Triton X−100中にn=3で懸濁した後、インビトロジェン(Invitrogen)EnzChekアッセイキットを用いて、パパイン活性アッセイによって得た。
【0074】
図21で示すように、連結パパイン生成物は、水中油処方によってさらに安定化される。約75%の活性が、45℃にて12週間後維持される。処方は、試験したすべての温度で安定であることがわかった。これらの結果は、架橋パパイン生成物が油および水処方中に含まれる場合、この生成物はさらに安定化されることを示す。
【0075】
本発明の例示的な実施形態を記述したが、付随する請求項の境界によって定義される、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の改変がなされてもよいことが、当業者に容易に明らかになることがさらに留意される。
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本明細書は、2010年1月19日に出願された米国仮特許出願第61/296,052号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
スキンケア剤として使用するための、植物由来の固定化および架橋プロテアーゼを合成することに関する発明が開示される。得られる安定化プロテアーゼは、その固定化特性のために、皮膚へわずかしか浸透しない。その架橋特性によって、そして特定の実施形態において、物理的添加物を介したその安定化のために、活性が維持される。本発明は特に、局所皮膚塗布にて使用される、連結パパイン生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテアーゼの活性は、表皮性ホメオスタシスにおいて重要である。したがって、プロテアーゼは、皮膚に塗布された時に、種々の潜在的な利点を持つが、特定の制限を受ける。パパインは、パパイヤや、特定の他の植物から由来する強力なプロテアーゼである。しかしながら、溶液状態で、活性を急速に失う。これは、パパインが、それ自身を消化し、ならびに変性を受けるからであり、これはすべてのプロテアーゼが同様である。さらに、これらのパパイン生成物を局所スキンケア薬剤として使用する場合に、皮膚浸透および皮膚炎症に関して、従来のパパイン生成物において他の困難が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような制限を持たない、スキンケアでの使用のための、プロテアーゼ生成物、より具体的にはパパイン生成物を開発することが非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術における上述の困難を乗り越えるために、本発明の例示的実施形態は、本明細書にて記述された説明された技術を介した、改変安定架橋プロテアーゼ生成物、および具体的には改変安定架橋プロテアーゼ生成物が提供される。
【0006】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、安定架橋パパイン生成物を得るために、パパインを、例えば第一架橋反応にて、カルボマーまたはカルボポールのようなポリマー上に固定化し、ついで第二架橋反応を、例えば、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)のような、アミン反応性である低分子量のホモ二機能架橋剤を加えることによって続いて実施する。
【0007】
本発明の例示的実施形態において、第一架橋反応および第二架橋反応を、安定架橋パパイン生成物を得るために実施し、ついで安定架橋パパインをさらに、例えば糖または糖ポリマーのような物理的安定剤を用いて安定化させる。例えば、アルギン酸ナトリウムを、本発明の例示的実施形態にしたがって、物理的安定剤として使用してもよい。
【0008】
上記架橋安定化パパイン性生成物はまた、上記安定化パパイン生成物を、特定の防腐剤系、または水中油処方内に加えることによって、さらに安定化してもよい。
【0009】
本発明の例示的実施形態にしたがった、固定化、架橋および安定化プロテアーゼ(例えばパパイン)複合体の利点には、
1)最小皮膚浸透、
2)溶液中または乾燥形態中、タンパク質分解活性の保持
3)最小皮膚炎症
4)処方の簡便さ
が含まれるが、これらに限定はされない。
【0010】
本発明のまた他の実施形態において、安定化プロテアーゼを含む、化粧品、パーソナルケア、および薬理学的組成物が記述される。
【0011】
以下の図は、例示の目的のみで提示されており、限定を意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にしたがった安定架橋プロテアーゼを形成するための架橋反応を示す図である。
【図2】図1で図示した架橋反応を受けた、本発明の例示的実施形態にしたがった、安定架橋パパイン生成物を示す図である。
【図3】12週間まで、種々の温度にて、本発明の例示的実施形態にしたがった安定化パパインの試料を保存した後の0日活性の割合を示す図である。
【図4】12週間まで、種々の温度にて、DMA試料なしで保存した後の、0日活性の割合を示す図である。
【図5】シグマ(Sigma)パパイン標準曲線を示す図である。
【図6(a)】本発明の例示的実施形態にしたがった、12週間まで、種々の温度にて安定化パパイン試料を保存した後に維持された、0日活性の割合を示す図である。
【図6(b)】12週間まで、種々の温度にてDMA試料なしで保存した後に維持された、0日活性の割合を示す図である。
【図7】本発明の例示的実施形態にしたがった、安定架橋パパイン生成物中では、遊離活性パパインは見られなかったことを示すチャートである。
【図8】0.2%のBS3を含む試料、およびいかなるBS3をも含まない対照試料の、異なる温度での1週間後の、活性の割合を示すチャートである。
【図9】0.1%アルギン酸塩をともなう、またはこれをともなわない安定化パパインの試料の、4週間後維持活性の割合を示すチャートである。
【図10】シグマパパイン標準曲線である。
【図11】25℃および40℃での、10日後の遊離パパインの安定性における、糖または糖ポリマーの効果を示すチャートである。
【図12】0.4%パパインの、2週間後維持された活性の割合を示すチャートである。
【図13(a)】DMAによって架橋され、さらにアルギン酸ナトリウムと反応した、安定架橋パパイン生成物を示している図である。
【図13(b)】12週間までの間、種々の温度にて1%DMA試料を保存した後に維持された活性の割合を示すチャートである。
【図13(c)】12週間までの間、種々の温度にて、DMAなしで保存した後の、0日活性の割合を示すチャートである。
【図14】連結パパインの活性維持におけるDMAの効果を示すグラフである。
【図15】異なる温度で、12週間後、連結パパイン試料における活性を示すチャートである。
【図16】シグマ(Sigma)パパイン標準曲線である。
【図17】処方中に維持された連結パパイン(DMAあり)の活性を示すチャートである。
【図18】処方中に維持された連結パパイン(DMAなし)の活性を示すチャートである。
【図19】処方内に維持される連結パパインの活性を示すグラフである。
【図20】プラセボ処方中のシグマパパインに対する標準曲線である。
【図21】油および水処方中に維持される連結パパインの活性を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
他に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を持つ。本明細書で記述したものと同様の、または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができるが、適切な方法および物質が以下に記述される。本明細書で言及されるすべての発行物、特許明細書、特許および他の参考文献は、そのすべてが参考文献によって組み込まれている。矛盾する場合、定義を含む本明細書が規定するであろう。さらに、材料、方法および実施例は、説明のためのみであり、制限することを意図しない。
【0014】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な記述から、および請求項から明らかになろう。当業者に明らかであるように、本明細書で記述した特定の特徴および実施形態は、任意の他の特徴または実施形態と組み合わせることができる。
【0015】
表皮はいくつかの階層(strata)または層(layers)からなる。最外部層である角質層は、下の階層から、数日の経過にわたって上向きに移動した死細胞からなる。これらの死細胞は通常、より深いレベルでより新しい細胞の増殖を刺激する表皮落屑と呼ばれる工程を介して、皮膚の表面から脱離する。皮膚は若ければ若いほど、加齢または損傷皮膚よりも、この工程においてより効率的である。結果として、加齢皮膚はくすみ、厚く、引き締まっていない。これは、日光への曝露のような環境因子、アンドロゲン、エストロゲンおよび上皮増殖因子のようなホルモンの影響、およびビタミンAおよびDの欠如のようなビタミン欠如によって悪化する場合がある。プロテアーゼ活性は、落屑工程における鍵となる因子である。したがって、皮膚スムージングやアンチエージングのような化粧効果のために、皮膚にプロテアーゼを塗布することが望ましい。しかしながら、化粧または他の用途におけるプロテアーゼの利用は、3つの主要な制限、不安定性、アレルギー誘発の可能性および皮膚浸透を持つことが知られている。
【0016】
本発明は、少なくとも部分的に、本明細書で「安定化(stabilized)」プロテアーゼとしても称される、プロテアーゼ・カルボマー・コポリマーを形成するための、ある特定の架橋反応を通して、プロテアーゼが安定化可能であるという発見に基づいている。そのような安定化プロテアーゼは、カルボマーに架橋したプロテアーゼを含み、そこでプロテーゼの第一アミンは、カルボマーのカルボキシル基に架橋し、プロテアーゼのアミンがさらに、アミン反応性架橋剤によって架橋される。本発明の一つの実施形態において、安定化プロテアーゼはさらに、物理的安定剤、例えば糖または糖ポリマーを含む。
【0017】
そのような安定化プロテアーゼ生成物を形成する方法もまた開示されており、第一架橋反応は、プロテアーゼの一級アミンを、カルボマーのカルボキシル基へ架橋するために実施され、第二架橋反応は、アミン反応性架橋剤を介して実施される。
【0018】
プロテアーゼ
プロテアーゼは、タンパク質の分解を触媒する酵素である。プロテインはそれ自身タンパク質であり、自己分解を受ける傾向があり、本来不安定である。このタンパク質性の性質はまた、それらをアレルギー誘発性とする。さらに、タンパク質を分解するそれらの能力のために、表皮のより深い層に浸透し、その下の階層に障害を与える場合がある。本発明での使用のために適切なプロテアーゼとしては、パパイン、フィチン、ブロメラインおよびアクチニダインが挙げられる。
【0019】
フィチンは、イチジクの木の果実である、イチジクの乳液から単離された、非特異的スルフヒドリルプロテアーゼである。フィチンは、Ficus caricaおよびFicus glabatraからもっとも一般的に得られる。しかしながら、フィチンはまた、Ficus elasticaおよびFicus insipidaのような他のイチジク種の果実からも単離される場合がある。ブロメラインは、パイナップル(Ananas comosus)の幹および/または果実から単離されるスルフヒドリルプロテアーゼである。アクチジンとしても知られるアクチニダインは、キウイフルーツ(Actinidia deliciosa)から得られるシステインプロテアーゼである。パパインは、パパイヤ(Carcia papaya)およびマウンテンパパイヤ(Vasconcellea cundinamarcensis)から得られるシステインプロテアーゼであり、若くは熟していない果実の樹液よりほとんどの場合得られる。プロテアーゼは、0.1重量%〜5重量%の濃度で存在する。
【0020】
カルボマー
プロテアーゼはカルボマー上にまず固定化する。カルボマーは、任意の種々のポリアルコールアリルエーテル類(例えばアリルエーテルペンタエリスリトール、スクロースのアリルエーテルまたはプロピレンのアリルエーテル)と架橋する、高分子量を有するアクリル酸のホモポリマーである。適切なカルボマーの例としては、カルボマー910、カルボマー934、カルボマー934p、カルボマー940およびカルボマー941が挙げられ、数字の添え字はポリマー鎖の平均分子量を示している。本明細書で使用するように、「固定化(immobilized)」プロテアーゼまたは「連結(linked)」プロテアーゼは、第一架橋反応を介して、カルボマーと反応したプロテアーゼを意味する。この第一架橋反応のために適切な架橋剤は、カルボキシル基を一級アミンに結合可能な薬剤である。適切な架橋剤の1つの例は、水溶性カルボジイミド1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。EDCは、カルボキシル基を一級アミンに結合するために使用する、ゼロ長架橋剤である。EDCは、カルボキシル酸基と反応して、O−アシルイソウレア基を与え、これは、遊離アミン基との反応の後架橋を形成する。EDCは、反応の過程にわたり、二置換尿素への変換される、本実施様態内での最初の架橋剤である。NHSは酸エステルであり、架橋の速度を増加させ、架橋反応の間未変化で残る触媒である。
【0021】
化学的架橋剤
いったんカルボマー上に固定化されると、固定化プロテアーゼを、第二架橋反応中、アミン反応性架橋剤と反応させて、本明細書で「安定化プロテアーゼ(stabilized protease)」とも呼ばれる、プロテアーゼ・カルボマー・コポリマーを形成させる。架橋剤は好ましくは低分子量架橋剤であり、架橋剤は完全に、またはほぼ完全に、第二架橋反応中で反応する。使用可能な適切な架橋剤の例としては、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル3,3ジチオビスのようなイミドエステル架橋剤が挙げられる。アミン反応性架橋剤は、約0.05重量%〜約5重量%、好ましくは約1%〜5%の範囲の種々の濃度で提供されてもよい。特定の実施形態において、DMAが利用される。
【0022】
物理的安定剤
化学的架橋の後、固定化および架橋プロテアーゼを任意選択でさらに、例えば糖または糖ポリマーのような物理的安定剤により固定化される。適切な糖または糖ポリマーの例は、アルギン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、グリセロールおよびキサンタンである。1つの実施形態において、アルギン酸ナトリウムが利用される。そのような物理的安定剤は、約0.1重量%〜5重量%の濃度で含まれてもよい。
【0023】
本発明の安定化プロテアーゼのうちの1つの実施形態を形成するための架橋反応の図を、図1にて示している。安定化パパイン生成物の図を図2で示している。
【0024】
適用/処方
本発明の安定化プロテアーゼは、最小皮膚浸潤を有し、溶液または乾燥形態でのタンパク質活性を維持し、最小皮膚刺激を有し、処方中に提供するのが比較的容易である。したがって、本発明の例示的実施形態は、従来技術のプロテアーゼ生成品、とりわけ安定化パパイン生成品実施様態と比較して、より安定で、非常に安全なプロテアーゼ生成品を提供する。
【0025】
安定化プロテアーゼは、例えば剥奪調製物、しわ取りおよび/またはアンチエージング調製物、入浴剤、ヘアケア調製物、液体および固体石けん、クレンジング溶液、モイストクリーニング布、油または粉末、抗ニキビ調製物のような、化粧品およびパーソナルケア処方中での使用に適切である。安定化プロテアーゼは、1つまたはそれ以上の本発明の安定化プロテアーゼを、処置が必要な乾燥、加齢または損傷皮膚に塗布することによって、乾燥、加齢または損傷皮膚を処置するために特に適切である。
【0026】
化粧品および/またはパーソナルケア処方は、例えば油中水または水中油エマルジョン、アルコール性またはアルコール含有処方、イオン性または非イオン性両親媒性脂質のベシクル分散体、またはゲルのような形態であってよい。例示的な化粧品および/またはパーソナルケア処方は、約0.5重量%〜約5重量%、好ましくは約1%〜3%の安定化プロテアーゼを含む。
【0027】
本発明の安定化プロテアーゼは、薬理学的用途、例えばデブリードマン用途にも適切である。デブリードマンは、例えば潰瘍性傷のような傷、またはやけどからの、治癒を補助するための、死亡したまたは損傷を受けた組織の除去である。本発明の1つの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の安定化プロテアーゼが、創面切除が必要な傷またはやけどに塗布する。傷またはやけどの処置のための安定化プロテアーゼを含む例示的な処方および製品としては、絆創膏/包帯、パッチ、洗浄溶液、軟膏またはジェル、または合成組織が挙げられる。特定の実施形態において、デブリードマン組成物、例えば、絆創膏、包帯またはパッチは、任意選択で抗菌剤を含んでもよい。デブリードマン用途のためには、薬理学的組成物中に含まれる安定化プロテアーゼの量は、効果的に、壊死組織を切除し、傷内の膿を液体化させる量であり、合理的な時間(例えば7日間にわたり)内に実質的にすべてのそのような物質を除去するのに影響を与える量である。
【0028】
スキンケア用途に加えて、本発明の安定化プロテアーゼはまた、プロテアーゼの安定形態が望まれる本技術分野で公知の他の適用においても適切である場合がある。1つの例示的適用はオーラルケア組成物である。
【0029】
安定化プロテアーゼを含む局所組成物にはさらに、本発明の利点を受け入れられない形で変更しない限り、化粧品、パーソナルケア、または薬理学的組成物中で従来使用される種々の他の成分を含んでもよい。任意選択の従来の成分分類の非限定的な例としては、香料、顔料、カラーリング/着色料、エッセンシャルオイル、収斂剤、アンチエージング剤、抗ニキビ剤、アンチケーキング剤、消泡剤、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤、pH調整剤、皮膚脱色および美白剤、皮膚調整剤、日焼け止め、防腐剤、抗炎症剤、保湿剤、増粘剤およびビタミン類が挙げられる。
【0030】
化粧品、パーソナルケアおよび/または薬理学的用途の特定の実施形態に対しては、安定化プロテアーゼをともなう防腐剤系をさらに含むことが望ましい。酵素は、高温や、強乳化剤のような不適合化学物質の存在下のような劣悪な条件下で変性することが知られている。安定化タンパク質との利用のために適切で、とりわけ、安定化パパインに対して適切である防腐剤系の2つの例が以下である。
【0031】
(a)フェノキシエタノール+安息香酸
(b)ジオシド(Diocide)(フェノキシエタノール+カプリルグリコール+ヘキシレングリコールの混合)
【実施例】
【0032】
本発明は以下の実施例にてさらに記述されるが、請求項に記述される本発明の範囲を限定はしない。
【0033】
実施例1
そのタンパク質分解活性を保持し、遊離パパインを含む従来のパパイン生成物よりも安全である、安定パパイン生成物を、1%パパインをN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)と一緒に、カルボジイミド1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)塩酸カルボジイミド(EDC)を用いて、カルボポールに架橋する第一架橋反応を実施することによって産出した。次に、第二架橋反応を次いで実施し、そこで、固定化パパインをジメチルアジピミデート(DMA)と反応させて、架橋パパインをさらに架橋し、それによって安定架橋パパイン生成物を形成した。DMAは1%の濃度で提供され、パパインは、1重量%の濃度で提供された。
【0034】
上記安定化パパイン生成物の3つの実験ラボバッチを実施し、12週間にわたる保存期間中、第一架橋パパインの酵素活性/安定性において、1%のDMAの効果を判定した。本実験を実施するための反応条件を表1に説明する。
【表1】
【0035】
1%DMAあり、またはDMAなしで種々の温度にて12週間にわたる、固定化パパインの保持された活性を判定するための3つの個々のラボバッチの結果が、表2(a)〜5(b)にて以下で説明される。表2(a)は、1%DMAも含む実験試料中の、連結固定化パパインの保持された活性の割合を示している。表2(b)は、DMAを含まない対照試料中の固定化パパインの保持された活性の割合を示している。実験試料および対照試料は、対照試料がいかなるDMAも含まなかったことを除いて、基本的に同一であった。
【0036】
表2(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表2(a)】
【0037】
表2(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表2(b)】
【0038】
表3(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表3(a)】
【0039】
表3(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表3(b)】
【0040】
表4(a)−1%DMAと架橋した固定化パパイン
【表4(a)】
【0041】
表4(b)−固定化パパイン(DMAなし)−対照
【表4(b)】
【0042】
表5(a)−バッチ1(表3)、バッチ2(表4)、バッチ3(表5)の1%DMAと架橋した固定化パパインの保持された活性の%に対する平均値
【表5(a)】
【0043】
表5(b)−バッチ1(表3)、バッチ2(表4)、バッチ3(表5)の固定化パパイン(DMAなし)の保持された活性の%に対する平均値
【表5(b)】
【0044】
表2(a)〜表5(b)の結果からみることができるように、実験試料中、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性は、DMAと反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性よりも、種々の温度にわたり、著しく大きかった。したがって、パパインをカルボマーに架橋させる、第一架橋反応を受け、ついで1%DMAとの第二架橋反応を受けたパパインは、第一架橋反応を受けたが、DMAとの第二架橋反応を受けなかったパパインの対照試料よりも、著しく安定である。さらに、図3および図4は、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性が、DMAと反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性よりも、種々の温度にわたり、著しく大きかった、表2(a)〜表5(b)の結果を説明している。
【0045】
以下の表6および図7で説明するように、実験試料および対照試料中のパパイン活性を、固定化パパインのユニット試料あたりの、蛍光の変化に基づいて判定した。図5で示したような、シグマ(Sigma)パパイン活性標準曲線を、本実施例にしたがって、1%DMAと架橋した固定化パパインの活性を定量化することを助けるために開発した。上記したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本発明の実験のユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0046】
表6−1%DMAあり、およびDMAなし(対照)の固定化パパインに対する蛍光値
【表6】
【0047】
表7−ユニット/mlで測定した、1%DMAありの固定化パパイン1%と、DMAなし(対照)の固定化パパインの活性
【表7】
【0048】
他の実験において、4℃、25℃および45℃にて12週間にわたり、架橋1%パパインを、1%DMAとともに保存し、架橋1%パパインをDMAなしで保存し、これらのパパイン試料の、これらの温度での安定性を判定した。この実験の結果は、インビトロジェン(Invitrogen)EnzChek(登録商標)アッセイキットを用いてパパイン活性アッセイにより得られた。N=3。
【0049】
図6(a)〜図6(b)に示すように、DMAとの固定化パパインの架橋は、連結パパインをDMAとともに保存しなかった対照試料と比較して、25℃および45℃における生成物の安定性を著しく改善した。図6(a)は、DMAによって架橋された連結パパインを含む12週間まで試料を保存した後に保持された活性の割合を示している。図6(b)は、DMAなしの連結パパインを含む、12週間まで保存した対照試料を示している。図6(a)にて図示したように、DMAによって架橋された連結パパイン生成物が、12週間にわたり、4℃および25℃において約80%、45℃にて約50%の活性を保持したことが判定されたことがさらに留意される。
【0050】
図7で示すように、また他の実験において、安定化パパイン中の遊離活性パパインの判定を実施した。本実験の結果は、本発明の例示的実施形態にしたがって、第一架橋反応中、EDC/NHSによって架橋され、ついでさらに第二架橋反応において1%DMAによって架橋されたパパイン中では、遊離活性パパインは発見されなかったことが判定された、というものであった。一方で、架橋されなかった対照試料のパパイン中には、遊離パパインの有意な活性が見られた。
【0051】
実施例2
実施例2において、第二架橋剤として使用されるDMAの代わりに、0.2%の架橋剤BS3を使用して、第二架橋反応で固定化パパイン生成物を架橋した。0.2%BS3とともに保存した固定化パパインの実験試料、およびBS3なしで保存した固定化パパインの対照試料の活性の割合を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を、表8〜表10にて説明し、以下で考察する。
【表8】
【表9】
【表10】
【0052】
表10および図8の結果から見ることが可能であるように、0.2% BS3でさらに架橋された固定化1%パパインの活性は、BS3と反応しなかった対照試料中の固定化パパインの活性より、種々の温度で著しく大きかった。
【0053】
実施例3
本実施例において、1%安定化パパインおよび0.1%アルギン酸ナトリウムを混合した。0.1%アルギン酸ナトリウムとともに保存した安定化パパインの実験試料、およびアルギン酸ナトリウムなしで保存した安定化パパイン生成物の対照試料の活性の%を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を以下で考察する。
【表11】
【表12】
【表13】
【0054】
表13の結果より見ることが出来るように、0.1%アルギン酸ナトリウムとともに保存した安定化パパインの活性は、アルギン酸ナトリウムとともに保存しなかった対照試料中の安定化パパインの活性より、4週間にわたり、種々の温度にて著しく大きい。したがって、0.1%アルギン酸ナトリウムと反応した連結パパインは、アルギン酸ナトリウムを含まない上述したパパインの対照試料より、著しく安定である。さらに、図9は、アルギン酸ナトリウムをともなう安定化パパインの活性は、アルギン酸ナトリウムを含まなかった対照試料中の架橋パパインの活性より、4週間にわたり、種々の温度で著しく大きかった表13の結果を説明している。
【0055】
さらに、図10にて示したように、吸収対ユニット/mlを用いた、シグマ(Sigma)パパイン活性標準曲線を0.1%アルギン酸ナトリウムと一緒の連結1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。
【0056】
他の実験において、図11にて示すように、糖および糖ポリマーの、25℃および40℃にて数日後の遊離パパインの安定性における効果を実施した。含まれた糖または糖ポリマーは、0.1%アルギン酸ナトリウム、5%トレハロース、5%マンニトール、5%グリセロール、0.1キサンタンガム、0.1%HA、5%スクロース、5%ソルビトールおよび糖なし対照であった。結果から、0.1%アルギン酸ナトリウムが、遊離パパインにおいて安定化効果を持つことがわかったことが留意される。0.1%アルギン酸ナトリウムのこの安定化効果がまた、本発明の安定化パパイン上でも観察された。
【0057】
また他の実験において、図12にて示すように、0.4%パパインで作製された、安定化パパインの2週間後保持された活性の割合を判定した。これらの実験のいくつかの試料において、連結パパインをアルギン酸ナトリウムで処理し、いくつかの試料において、連結パパインを無水物で処理し、いくつかの試料で連結パパインを無水物とアルギン酸ナトリウムで処理し、いくつかの試料で、連結パパインを上記のいずれによっても処理しなかった。図12から得られるように、アルギン酸ナトリウムおよび無水物両方で処理した試料が、2週間それぞれの後、最も大きな%活性が保持され、処理を全くしなかった試料は、2週間それぞれ後、保持された活性%は最も低かった。
【0058】
実施例4
実施例4において、固定化パパインを、第二架橋のために1%DMAと、さらなる安定化のために0.1%アルギン酸ナトリウムと反応させ、1.2%フェノキシエタノール+0.2%安息香酸を含む防腐剤系の一部として含めた。本発明の1つの実施様態にしたがった安定化パパインの実験試料、および(DMAまたはアルギン酸ナトリウムなしの)連結パパイン生成物の対照試料の活性の%を判定するためのプロトコール、反応物、反応条件および結果を表14にて説明し、以下で考察する。
【表14】
【表15】
【0059】
【0060】
以上で言及したように、本発明の例示的実施形態にしたがった実験試料には、1%DMA、1%パパイン600(ESP)、0.1%アルギン酸ナトリウム、1.2フェノキシエタノール+0.2%安息香酸が含まれる。対照試料には、DMAが含まれなかったこと以外、すべて実験処方と同一の要素が含まれた。DMAの効果に対する、種々の温度において、12週間にわたる連結パパインの保持活性における結果を以下に説明する。さらに、DMA、連結パパインおよびアルギン酸ナトリウムの化学反応を13(a)で示している。
【0061】
以上のデータおよび図13(b)、図13(c)、図14および図15より得られるように、連結パパインの1%DMAとの架橋が、いかなるDMAをも含まなかった対照試料と比較して、12週間にわたり、種々の温度で、連結パパイン生成物の安定性を著しく改善した。
【0062】
さらに、表15で説明したように、実験試料および対照中のパパイン活性は、連結パパインのユニット試料あたりの蛍光の変化に基づいて判定された。図16で示したように、シグマ(Sigma)パパイン標準曲線を、本実施形態にしたがって、さらに1%DMAで架橋した、固定化1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。以上で言及したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本例示的実施形態にしたがってDMAにより固定化したパパインの実験試料、およびDMAなしの対照試料のユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0063】
実施例5
別の例示的実施形態において、固定化パパインを、さらなる架橋のために5% DMAと反応させ、0.1%アルギン酸ナトリウムと反応させ、1.2%フェノキシエタノール+0.2%安息香酸を含む、防腐剤系の一部として含めた。本実施形態に関するプロトコールおよび結果を以下に説明する。プラセボ処方には、DMA以外の、実験処方のすべての成分が含まれた。
【表16】
【0064】
【0065】
【0066】
上記データ表および図17〜図19より得られるように、固定化パパインの5%DMAによる架橋が、DMAを含まない対照試料と比較して、12週間にわたり、種々の温度で固定化パパイン生成物の安定性を著しく改善した。
【0067】
さらに、以上のデータ表にて説明したように、実験試料および対照中のパパイン活性を、固定化パパインのユニット試料あたりの蛍光変化に基づいて測定した。図20で示したように、プラセボ処方中のシグマ(Sigma)パパインに対する標準曲線を、本実施形態にしたがった5%DMAと架橋した固定化1%パパインの活性を定量化することを補助するために開発した。以上で言及したように、EnzChek(登録商標)プロテアーゼアッセイキット(E−6639)を使用して、標準曲線と、本例示的実施形態にしたがったDMAにより連結したパパインの実験試料、およびDMAなしの対照試料とのユニット試料あたりの蛍光変化を得た。
【0068】
実施例6〜実施例8
以下は、1つまたはそれ以上の安定化プロテアーゼを用いて調製可能な処方の非限定例を表している。広く種々の同様の処方が、本技術分野で公知であり、その中に1つまたはそれ以上の安定化プロテアーゼを簡単に種々の濃度で組む込むことが可能である。
【0069】
実施例6
例えば、例示的弾力性クリームゲルは、以下の表で示した組成物を含む。
【表17】
【0070】
主容器内で、相Aを混合する。粉末が水和し、バッチが均一になるまでの均一混合およびスイープ混合する。相Aが均一の時、均一混合しながら、相Bを主容器に加える。均一になるまで混合する。均一混合しながら相Cを主容器に加える。均一になるまで混合する。均一混合しながら相Dを主容器に加える。均一になるまで混合する。相E成分を、150〜40℃に、融解するまで暖める。相Eを予混合し、均一混合しながら主容器に加える。相Fを予混合する。すべてのパールが懸濁し、塊が存在しなくなるまで、混合する。混合を添加の間続ける。相Fを均一混合しながら主容器に加える。添加の後均一混合機を切り、均一になるまでスイープ混合する。
【0071】
実施例7
例えば、例示的ローションは、以下の表中で示す組成物を含む。
【表18】
【0072】
65〜70℃まで熱しながら、均一になるまで相Aを混合する。別の容器中で、相Bを予混合する。70〜75℃まで、または均一になるまで熱する。相Aおよび相Bの両方が所望される温度になった時、相Bを相Aに加え、均一になるまで均一混合する。相ABが均一になる時、冷却を始め、相Cを35〜30℃で加え、均一になるまで、プロップ混合器下で混合する。予混合した相Dを、均一混合器下で相ABCに加える。均一になるまで混合する。
【0073】
実施例8
本実施形態において、O/W処方内での、12週間まで、種々の温度で、連結パパインの安定性。結果を、処方を0.1%Triton X−100中にn=3で懸濁した後、インビトロジェン(Invitrogen)EnzChekアッセイキットを用いて、パパイン活性アッセイによって得た。
【0074】
図21で示すように、連結パパイン生成物は、水中油処方によってさらに安定化される。約75%の活性が、45℃にて12週間後維持される。処方は、試験したすべての温度で安定であることがわかった。これらの結果は、架橋パパイン生成物が油および水処方中に含まれる場合、この生成物はさらに安定化されることを示す。
【0075】
本発明の例示的な実施形態を記述したが、付随する請求項の境界によって定義される、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の改変がなされてもよいことが、当業者に容易に明らかになることがさらに留意される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボマーに架橋されたプロテアーゼを含む安定化プロテアーゼ生成物であって、前記プロテアーゼの一級アミンが、前記カルボマーのカルボキシル基に架橋され、前記プロテアーゼの前記アミンが、アミン反応性架橋剤を介してさらに架橋される、安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項2】
前記安定化プロテアーゼが、物理的安定剤をさらに含む、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項3】
前記物理的安定剤が、糖または糖ポリマーである、請求項2に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項4】
前記安定化プロテアーゼが、0.1%〜5%の前記物理的安定剤を含む、請求項3に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項5】
前記糖または糖ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、グリセロール、キサンタンガム、スクロースおよびソルビトールからなる群より選択される、請求項3に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項6】
前記物理的安定剤がアルギン酸ナトリウムである、請求項5に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項7】
前記プロテアーゼが、パパイン、フィシン、ブロメラインおよびアクチニジンからなる群より選択される、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項8】
前記プロテアーゼがパパインである、請求項7に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項9】
0.1%〜5%の前記プロテアーゼを含む、請求項7に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項10】
前記アミン反応性架橋剤が、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)からなる群より選択される、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項11】
前記プロテアーゼがパパインであり、前記アミン反応性架橋剤がDMAである、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項12】
さらに防腐剤系を含む、請求項1の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項13】
前記防腐剤系が、フェノキシエタノールおよび安息香酸を含む、請求項12に記載の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項14】
前記防腐剤系がジオシドを含む、請求項12に記載の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項15】
安定化プロテアーゼを形成する方法であって、
第一架橋反応を実施して、プロテアーゼの一級アミンを、カルボマーのカルボキシル基に架橋すること、
アミン反応性架橋剤を介して、プロテアーゼ上で第二架橋反応を実施すること、
を含む安定化プロテアーゼを形成する方法。
【請求項16】
前記第一架橋反応を、架橋剤カルボジイミド1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミドを用いて実施する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二架橋反応を実施するための前記架橋剤が、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)からなる群より選択されるものである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第二架橋反応を実施するための前記架橋剤がDMAである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第二架橋反応を、1重量%〜5重量%のアミン反応性架橋剤によって実施する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第二架橋反応を実施した後に、物理的安定剤を加えることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記物理安定剤がアルギン酸ナトリウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つまたはそれ以上の請求項1に記載の安定化プロテアーゼを含む化粧組成物を皮膚に塗布することを含む、乾燥、加齢または損傷皮膚を処置する方法。
【請求項23】
1つまたはそれ以上の請求項1に記載の安定化プロテアーゼを含む組成物を局所塗布することを含む、創傷またはやけどデブリードマンの方法。
【請求項1】
カルボマーに架橋されたプロテアーゼを含む安定化プロテアーゼ生成物であって、前記プロテアーゼの一級アミンが、前記カルボマーのカルボキシル基に架橋され、前記プロテアーゼの前記アミンが、アミン反応性架橋剤を介してさらに架橋される、安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項2】
前記安定化プロテアーゼが、物理的安定剤をさらに含む、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項3】
前記物理的安定剤が、糖または糖ポリマーである、請求項2に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項4】
前記安定化プロテアーゼが、0.1%〜5%の前記物理的安定剤を含む、請求項3に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項5】
前記糖または糖ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、グリセロール、キサンタンガム、スクロースおよびソルビトールからなる群より選択される、請求項3に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項6】
前記物理的安定剤がアルギン酸ナトリウムである、請求項5に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項7】
前記プロテアーゼが、パパイン、フィシン、ブロメラインおよびアクチニジンからなる群より選択される、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項8】
前記プロテアーゼがパパインである、請求項7に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項9】
0.1%〜5%の前記プロテアーゼを含む、請求項7に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項10】
前記アミン反応性架橋剤が、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)からなる群より選択される、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項11】
前記プロテアーゼがパパインであり、前記アミン反応性架橋剤がDMAである、請求項1に記載の安定化プロテアーゼ。
【請求項12】
さらに防腐剤系を含む、請求項1の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項13】
前記防腐剤系が、フェノキシエタノールおよび安息香酸を含む、請求項12に記載の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項14】
前記防腐剤系がジオシドを含む、請求項12に記載の安定化プロテアーゼ生成物。
【請求項15】
安定化プロテアーゼを形成する方法であって、
第一架橋反応を実施して、プロテアーゼの一級アミンを、カルボマーのカルボキシル基に架橋すること、
アミン反応性架橋剤を介して、プロテアーゼ上で第二架橋反応を実施すること、
を含む安定化プロテアーゼを形成する方法。
【請求項16】
前記第一架橋反応を、架橋剤カルボジイミド1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミドを用いて実施する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二架橋反応を実施するための前記架橋剤が、ジメチルアジピミデート(DMA)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS3)、ジメチルスベリミダート(DMS)、ジメチルピメリミデート(DMP)およびジスクシンイミジルスベラート(DSS)からなる群より選択されるものである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第二架橋反応を実施するための前記架橋剤がDMAである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第二架橋反応を、1重量%〜5重量%のアミン反応性架橋剤によって実施する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第二架橋反応を実施した後に、物理的安定剤を加えることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記物理安定剤がアルギン酸ナトリウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つまたはそれ以上の請求項1に記載の安定化プロテアーゼを含む化粧組成物を皮膚に塗布することを含む、乾燥、加齢または損傷皮膚を処置する方法。
【請求項23】
1つまたはそれ以上の請求項1に記載の安定化プロテアーゼを含む組成物を局所塗布することを含む、創傷またはやけどデブリードマンの方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2013−517328(P2013−517328A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550094(P2012−550094)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021773
【国際公開番号】WO2011/091084
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021773
【国際公開番号】WO2011/091084
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】
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