スキンケアのための方法及び材料
【課題】より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する。
【解決手段】液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療対象の体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去する美容方法を提供する。
【解決手段】液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療対象の体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去する美容方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法、及び、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための非水溶性銅化合物を組み込んだ材料の使用に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法に関する。
【0003】
また、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、体表面に接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシース等の材料の製造のための使用に関する。シース又は押出しフィルムは、脱湿性又は微小孔を有する新しいタイプの一体化した単層であってもよい。
【0004】
さらに本発明は、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子(該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する)を有するポリマーフィルムであって、該粒子が該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のための使用に関する。
【0005】
同様に、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい態様において、以下に記載するように、上記繊維は、その中に組み込まれ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である。
【0007】
本発明の他の好ましい実施態様において、後述するように、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0008】
本発明のさらに好ましい実施態様において、上記材料は、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選ばれるポリマー成分から形成され、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、並びに他の親水性及び疎水性ポリマー等の材料も含み得る。上記材料は、繊維、糸又はシートの形態である。
【0009】
実施例及び添付図を参照して以下に記載されるように、今回、驚くべきことに、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する美容的使用のための、体表面に接触させるファブリック、フィルム、フィラメント又はシースの製造のために使用され得ることを発見した。
【0010】
より具体的には、今回、驚くべきことに、本発明の材料が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることを見出し
た。
【0011】
局所適用のためのクリームであって、その成分として有機銅ペプチドを含むクリームが市場で入手できる。しかしながら、理解されるように、有機銅ペプチド中の銅の結合を考慮して、上記クリームは皮膚及び組織を通過するように設計されている。従って、上記製品は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する美容的使用のための、体表面に接触させるファブリック、フィルム、フィラメント又はシースの製造のために使用され得ることを、当業者に教示も示唆もしていない。
【0012】
WO98/06508及びWO98/06509の両広報では、その繊維に直接かつ堅固に結合した金属又は金属酸化物の全又は部分メッキを有する種々の様相のテキスタイルであって、金属及び金属酸化物(銅を含む)が上記繊維に結合したものを教示する。
【0013】
より詳細には、WO98/06509では、(a)金属被覆テキスタイルを提供する工程(該金属
被覆テキスタイルは(i)天然繊維、合成セルロース系繊維、再生繊維、アクリル繊維、
ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイルと、(ii)金属及び金属酸化物からなる群より選ばれる材料を含むメッキとを含み、金属被覆テキスタイルはメッキが繊維に直接結合していることを特徴とする);及び(b)金属被覆繊維を製品に組み込む工程を含むプロセスが提供さ
れる。
【0014】
上記発明において、用語「テキスタイル」とは、繊維(天然(例えば綿、絹、羊毛及び麻)又はそれらの繊維で紡いだ合成糸のいずれでも)及びそれらの糸から作られた織物、編物や不織ファブリックを含む。上記発明の範囲には、全ての天然繊維;及びテキスタイル用途において用いられる全ての合成繊維が含まれ、合成繊維としては合成セルロース繊維(即ち、レーヨン等の再生セルロース繊維及びアセテート繊維等のセルロース誘導体繊維)、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維及びビニル繊維があげられるが、これらに限定されない。ただし、ナイロン及びポリエステル繊維、並びにそれらの混紡を除く。
【0015】
上記発明は、金属を用いたプラスチック(特にプラスチック製のプリント回路基板)の電解メッキで使用される技術を適応した製品への適用を含んでいた。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering (編集者Jacqueline I. Kroschwitz), Wiley and Sons, 1987, vol. IX, pp 580-598を参照。テキスタイルへ適用される場合、本プロセスは2つの工程を含んだ。第1工程は、触媒貴金属の核形成部位をテキスタイル上に沈殿させることによるテキスタイルの活性化であった。これは、まず、低酸化状態の還元剤カチオンの溶液にテキスタイルを浸漬させ、次いで貴金属カチオンの溶液、好ましくはPd++カチオンの溶液、最も好ましくは酸性PdCl2溶液に、テキスタイルを浸漬させることによ
ってなされた。低酸化状態のカチオンは、より高酸化状態に酸化されながら、貴金属カチオンを貴金属自体に還元する。好ましくは、還元剤カチオンは最初の低酸化状態及び最終的な高酸化状態の両方で溶解性のカチオンであり、例えば、Sn++++に酸化されるSn++又はTi++++に酸化されるTi+++である。
【0016】
第2工程は、活性化テキスタイルの非常に近傍での金属カチオンの還元であり、その還元は貴金属により触媒された。カチオンを還元するのに使用された還元剤は典型的には、分子種、例えばCu++の場合のホルムアルデヒドであった。還元剤が酸化されたので、本明細書中では金属カチオンを「酸化剤カチオン」と称する。このように作られた金属被覆テキスタイルは、その金属メッキがテキスタイル繊維に直接結合していることを特徴とした。
【0017】
WO 98/06508では、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン
繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイル;及び
(b)金属及び金属酸化物からなる群より選ばれる材料を含むメッキ;
を含む組成物であって、上記メッキが上記繊維に直接結合していることを特徴とする組成物が記載され特許請求されている。
【0018】
上記刊行物は、また、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン
繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイル;及び
(b)複数の核形成部位であって、上記核形成部位のそれぞれが少なくとも1つの貴金
属を含む複数の核形成部位;
を含む組成物であって、少なくとも1つの金属カチオン種を還元金属に還元するのを触媒し、それにより上記繊維を上記還元金属でメッキすることを特徴とする組成物を特許請求している。
【0019】
さらに、上記刊行物は上記製品を製造するプロセスを教示し特許請求している。
【0020】
上記刊行物による金属被覆テキスタイルを調製するための好ましいプロセスは、下記工程:
a)糸及びファブリックからなる群より選ばれる形態のテキスタイルを選択する工程で
あって、上記テキスタイルが天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含む工程;
b)少なくとも2つの正の酸化状態を有する少なくとも1つの還元剤カチオン種を含む
溶液に、上記テキスタイルを浸漬する工程であって、上記少なくとも1つのカチオン種が上記少なくとも2つの正の酸化状態のより低い状態にある工程;
c)少なくとも1つの貴金属カチオン種を含む溶液に上記テキスタイルを浸漬させ、そ
れにより活性化テキスタイルを製造する工程;及び
d)上記活性化テキスタイルと接触している媒体中の少なくとも1つの酸化剤カチオン
種を還元し、それにより金属被覆テキスタイルを製造する工程、
を含む。
【0021】
しかしながら、上記刊行物はそこに記載された使用のために上記プロセスにより調製される被覆繊維及びテキスタイルに限られており、上記刊行物は、そのような被覆繊維及びテキスタイルが皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のために有効であり得るとは教示も示唆もしていない。
【0022】
同様に、上記刊行物は、疎水性ポリマーのポリマースラリーの中に銅カチオンを組み込むことにより、銅カチオンの微粒子が中に封入され、そしてそこから突出している微粒子を有するフィルム及び繊維が製造される可能性を教示も示唆もしていない。そのことは、今回、驚くべきことに、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造にも有効であることが発見された。
【0023】
USSN 10/240993の記載によると(その教示は参照により本明細書に組み込まれる)、わずかな比率の非水溶性酸化銅粒子形態のCu++を、形成されるポリマースラリーに加えると、生じたポリマーは抗菌特性を保有していることが発見された。
【0024】
さらに、驚くべきことに、粒子形態の酸化銅をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及び同様の疎水性又は親水性ポリマー材料等のポリマーのポリマースラリー中に加えることによって、使用の多様性を有する抗菌特性と抗ウイルス特性の両方を保有する繊維、糸又はシートを押出すことができることが発見され、上記明細書に記載された。上記明細書に記載された新規抗菌性及び抗ウイルス性ポリマー材料で考えられる使用としては、カーペットの裏打ちにおける使用(菌、臭いを発生させず、定着したあらゆるウイルスを不活性化するので、病院のセッティングにも用いてもよい);空気又は液体を透過するように作られ、それを通って流れる流動体を濾過し、上記流動体中に見出される細菌及びウイルスを不活性化するのに用いられる病院もしくは航空機におけるエアフィルター又はマスク等の成形不織布製品の構成材としての使用;疎水性のポリマー繊維もしくは糸を組み込んだ、ストッキング、靴下、シーツ等の衣服又は任意の衣服に使用され得る連続した形状、平坦な形状、きめ細やかな形状又は延伸形状への形成;そのまま又は綿等の他の繊維と混合して使用される短繊維の形成(次いで、混合糸は、靴下、シーツ等の種々の編物や織物を製造するのに用いられる);及び、コアが1つの化合物であり、コア周辺のシースが非水溶性酸化銅粒子を含むポリマーである二成分の糸の形態に製造された、連続した形状、平坦な形状、きめ細やかな形状、延伸形状における、又は、短繊維としての多数の最終用途を有する糸を生み出す、当該ポリマー材料の使用、があげられる。上記の後者の使用例は、抗菌性でも抗ウイルス性でもあり、かつ、食品製造業などでの使用の多様性を有する、切断又は引き裂きに対する高抵抗を有する糸を形成する、上記非水溶性酸化銅粒子を組み込んだポリマーシースを有するポリエチレンコアの使用である。
【0025】
上記材料は、カチオン性酸化銅粒子をその液体スラリー状態の中に導入することのできるほぼ全ての合成ポリマーから作られると記載された。いくつかの材料の例は、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、アクリル、及び、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリアルキレンである。酸化銅粉末を微粉末(例えば、1から10ミクロンの間の大きさ)にして、押出し繊維及びフィルムを製造するための慣例であるマスターバッチ中のスラリーに少量(例えば、0.25%から10%ポリマー重量の間の量)導入した場合、該スラリーから結果として生産された結果物は抗菌性及び抗ウイルス性の両方を示すことが見出された。
【0026】
例えば、WO 98/06508及びWO 98/06509に記載された繊維(該繊維は外側をコーティングされている)とは異なり、上記製品では、ポリマーは、その中に封入された酸化銅カチオンの非水溶性微粒子を有しており、上記粒子の一部は露出し、その表面から突出している。ポリマー材料の表面から突出している露出したこれらの粒子は、上記明細書で示された試験により説明されるように、活性があることが示されており、その教示は本発明と関係があるので参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
しかしながら、上記米国特許明細書も、そこに記載されたポリマー材料が本明細書に記載され実証されたように、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造に有効であり得るとは教示も示唆もしていなかった。
【0028】
一般に、上記明細書の製品及び本発明で使用されうる産物も以下のように生産される:1、スラリーが任意のポリマーから調製される。主な原材料は、好ましくは、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルから選ばれる。適合する又は適合するように調整された場合は、1を超える上記材料の組合せを使用してもよい。ポリマー原材料は、通常、ビーズ状であり、天然では単一成分、二成分又は多成分であってもよい。ビーズは加熱されて、好ましくは約120から180℃の範囲の温度で融解する。
2、押出す前の加熱混合する段階で、酸化銅カチオンの非水溶性粉末をスラリーに加え、
加熱したスラリーに広がるようにする。粒子サイズは好ましくは1から10ミクロンの間であるが、フィルム又は繊維の厚さがより大きな粒子を収容可能な場合には、より大きくてもよい。
3、次いで、液体スラリーは、円や他の所望の形態に形成された紡糸口金と呼ばれる一連の金属プレート中の孔を通して圧力で押出される。スラリーは互いに近接した微細な孔を通して押出されるので、単独の繊維を形成するか、あるいは、互いに接触するようにした場合にはフィルム又はシースを形成する。高温の液体繊維又はフィルムは冷気とともに上方へ押出され、連続した一連の繊維又は環状のシートを形成する。繊維又はシートの厚さは、孔のサイズ及びスラリーが孔から押出されて冷気流によって上方に押出される速度により調節される。
【0029】
WO 94/15463には、抗菌性を与える第1のコーティング及び保護機能を与える第2のコ
ーティングを有する無機粒子を含む抗菌組成物が記載されている。ここで、上記第1のコーティングは、銀又は銅、あるいは、銀、銅及び亜鉛の化合物であってもよく、好ましくは、銀及び酸化銅(II)を含む化合物である。しかしながら、上記特許は、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウム又はその混合物から選ばれる第2の保護コーティングで金属組成物をコーティングすることを含む複雑かつ高価なプロセスに基づいており、実際、全ての特許請求の範囲は、シリカ、含水アルミナ及びアゼライン酸ジオクチルを含む一連のコーティングを有する組成物を対象としている。
【0030】
対照的に、とりわけ本発明は、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を有するポリマー材料の使用を対象にしている。該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマー材料の表面から突出している。このことは、上記刊行物によっては教示も示唆もされておらず、ポリマー材料から突出した露出したCu++を放出する非水溶性粒子が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために有効であることが判明しているという利点を有する。
【0031】
EP 427858には、無機微細粒子が抗菌性金属及び/又は抗菌性金属化合物でコーティン
グされることを特徴とする抗菌性組成物が記載されており、上記特許は、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を組み込んだポリマーであって、該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマーの表面から突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0032】
DE 4403016には、Cu++の代わりに銅を利用した抗菌性及び抗真菌性組成物が記載されており、上記特許も、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を組み込んだポリマーであって、該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマーの表面から突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0033】
JP-01 046465には、銅、銀、水銀及びそれらの合金から選ばれる殺菌効果及び殺精子効果を有する金属(ここで、金属は好ましくは微細に粉状化された銅である)を利用した殺菌イオンを放出するコンドームが記載されている。塩化銅、硫酸銅及び硝酸銅等の銅塩も言及されているが、公知のように、それらはポリマー内に導入するとポリマーを分解し、破壊する水溶性塩である。同様に、具体的には亜酸化銅について言及されているが、これはCu+イオン型である。従って、上記特許は、ポリマー材料から突出しており、皺を予防
、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0034】
JP-01 246204には、衣服、靴下等を調製するために、熱可塑性成形物中に粉状銅化合物
と有機ポリシロキサンの混合物を分散させた抗菌性成形物が記載されている。具体的には、上記特許には、金属イオンが独りでにポリマー分子に導入されることはあり得ず、銅イオンの繊維表面への放出のための連結路を提供することも目的とした有機ポリシロキサンの介在を必要とすることが述べられ、教示されている。故に、理解されるように、上記銅化合物は埋め込まれ、上記特許は、ポリマー材料から突出しているCu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0035】
JP-03 113011には、好ましくは下着を製造するための、良好な抗黴性及び衛生作用を有する繊維が記載されている。ここで、上記合成繊維はゲルマニウム又はその化合物との組合せで銅又は銅化合物を含む。しかしながら、上記特許は、そこに開示されたゲルマニウム及び銅化合物の大部分が、好ましくは、一価Cu+化合物であり、かつ、水溶性銅塩であ
る金属銅、ヨウ化銅で存在することを教示し、要求している。故に、上記特許は、ポリマー材料から突出している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0036】
EP 116865には、少なくともその一部が、抗菌特性を有する少なくとも1つの金属イオ
ンを保持するゼオライト粒子を含むポリマー物品が記載され、特許請求されている。故に、上記特許は、単独で及びゼオライトの非存在下で、ポリマー材料から突出しており、そして皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0037】
EP 253653には、有機ポリマーと、アモルファスアルミノケイ酸塩固形粒子又はコーテ
ィング剤で処理したアモルファスアルミノケイ酸塩固形粒子(少なくとも一部のアモルファスアルミノケイ酸塩は殺菌作用を有する金属イオンを保持している)とを含有するアモルファスアルミノケイ酸塩粒子を含むポリマーが記載され、特許請求されている。故に、上記特許は、単独で及びアモルファスアルミノケイ酸塩粒子の非存在下で、ポリマー材料から突出しており、そして皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0038】
故に、上記刊行物のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面と接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシースを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオ
ン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物の使用を教示も示唆もしていない。
【0039】
故に、本発明の1つの好ましい態様は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維
の使用に関する。
【0040】
本発明の上記態様の好ましい実施形態において、上記材料は、銅のカチオン種で処理した繊維を組み込んでおり、かつ、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組
合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリック材料又は基材で形成されている。
【0041】
上記繊維又は基材は、親水性又は疎水性ポリマー材料で作製されてもよいことに注意すべきである。
【0042】
本発明の上記第1の態様の好ましい実施形態において、上記繊維は、上記化合物が該繊
維の中に組み込まれ、該繊維の表面から突出しているポリマー繊維である。
【0043】
本発明の上記態様の他の好ましい実施形態において、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0044】
本発明の第2の好ましい態様は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの
組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための使用に関する。
【0045】
本発明の第3の好ましい態様は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために着用される衣料物品を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込
んだ繊維の使用に関する。
【0046】
また、本発明のこの第3の態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0047】
本発明の第4の好ましい態様は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの
組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルム中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、使用者の首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースを製造するための使用に関する。
【0048】
本発明の第5の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、使用者の首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又は
それらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用に関する。
【0049】
また、本発明のこの第5の態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0050】
本発明の第6の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのファブリックを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊
維の使用に関する。
【0051】
好ましくは、上記ファブリックは、皺になりやすい体表面が接触し得る枕ケース、カバー、シート又は任意のテキスタイル物品に用いることができる。
【0052】
本発明の第7の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための靴下を製造するための、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用に関する。
【0053】
本発明の第8の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで
、より健全な皮膚表面を提供するためのテリー織物材料を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ
繊維の使用に関する。
【0054】
同様に、本発明の好ましい実施形態において、上記ファブリックは、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、首の周囲に着用されるスカーフ及び使用者が首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状のシースの形態とすることができる。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記ファブリックは、部分的なフェイスマスクの形態とすることができる。
【0056】
手の皺の外観に関して敏感な人々が存在するので、上記ファブリックは、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、手の表面に美容的に着用される手袋の形態とすることもできる。
【0057】
また、本発明のこれらの態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0058】
ここで、本発明の他の態様では、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選択されるポリマー成分から形成されるポリマー材料を、皮膚表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、皮膚表面に対する美容方法が提供される。ここで、上記材料は繊維、糸、シース、フィラメント又はシートの形態であり、液体と接触してCu+イオン
、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって、該粒子は該形態の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該形態の表面から突出している粒子を有する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態の第1の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックである。
【0060】
好ましい実施形態の第2の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオン、Cu++
イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって、該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムである。
【0061】
本発明の好ましい実施形態の第3の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマー繊維の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出している粒子を有するポリマー繊維である。
【0062】
本発明の好ましい実施形態の第4の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィラメントの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィラメントの表面から突出している粒子を有するポリマーフィラメントである。
【0063】
本発明の好ましい実施形態の第5の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であ
って該粒子はポリマーシースの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該シースの表面から突出している粒子を有するポリマーシースである。
【0064】
本発明の好ましい実施形態の第6の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムであり、上記フィルムは浸透作用による液体分散能を有する。
【0065】
本発明の好ましい実施形態の第7の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムであり、上記フィルムは過剰な液体を逃がすことができるように全体的に穿孔された微小孔を有する。
【0066】
上述したように、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出す
る非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法に用いることができるという本発明の驚くべき発見に基づいて、この非常に望ましい結果を達成する美容的使用のための多数の製品を調製することができる。
【0067】
本発明で使用するためのポリマー材料は、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンならびにそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーのスラリーを調製し、本質的に非水溶性カチオン種酸化銅からなる粉末を導入して、これを上記スラリー中に分散させ、次いで、上記スラリーを押出してポリマー材料(Cu++を放出する非水溶性酸化銅粒子が封入されており、該粒子の一部は露出し、その表面から突出している)を形成させることによって、製造することができる。次いで、ポリマー材料は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるのに適したファブリックに製造される繊維、糸又はシートに形成される。
【0068】
米国特許6,124,221において、少なくとも1つの金属被覆テキスタイルのパネルを含む
、抗細菌、抗真菌及び抗酵母特性を有する衣服物品が記載され特許請求されている。該テキスタイルは、天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含み、かつ、細菌、真菌及び酵母に対して有効な量の少なくとも1つの銅の酸化カチオン種を含むメッキを有する。
【0069】
上記明細書には、上記衣服物品はティニア・ペディスに対して、カンジダ・アルビカンスに対して、スラッシュに対して、及び、ブレブバクテリウム、アシネトバクター、マイクロコッカス及びそれらの組合せの群より選ばれる足臭を引き起こす細菌に対して有効であることが記載されていた。しかしながら、上記特許は、当該衣服物品の使用を意図したこと、あるいは、痛み、ヘルペス、皮膚開口、潰瘍、病変、擦過傷及び火傷等の創傷治療に当該衣服物品が有効であることを教示も示唆もしていなかった。
【0070】
WO 01/81671には、銅のカチオン型でコーティングされた繊維を組み込んだテキスタイ
ルファブリックが、細菌の抗生物質耐性株を不活性化するのにも有効であり、そして上記銅のカチオン種は好ましくはCu++イオンを含むことが記載されている。しかしながら、本明細書中にも、テキスタイルファブリックは、感染患者によって排泄される当該細菌を不活性化することで感染の拡大を予防するために、病院環境を処理する際の使用について記載されていた。そして、上記明細書は当該テキスタイルファブリックから形成された衣服
物品が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることを教示も示唆もしていなかった。
【0071】
WO 01/74166には、Cu++を放出する微粒子であって該粒子はポリマー材料の中に埋め込
まれ、該粒子の一部は露出し、該材料の表面から突出している粒子を有するポリマー材料(上記ポリマー材料は、HIV増殖抑制に有効である)を調製するための、Cu++を放出する粒子の使用が、記載され特許請求されている。しかしながら、上記刊行物は、コンドーム及びあるいは手袋の調製のための当該ポリマー材料の使用を教示するに限られていた。そして、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であり得る衣服物品の提供という本発明概念を発明者自身も当時は理解していなかったし、上記刊行物は教示も示唆もしていない。
【0072】
米国特許5848592、米国特許5492882、フランス特許2764518、英国特許1382820及び米国特許5217626には、有害な蒸気やガスに対する、及び、細菌やウイルスに対する、金属銅
、銅酸化物、塩化物、炭酸塩及び硫酸塩を含む空気浄化フィルター又は水浄化フィルターが種々開示されている。英国特許1382820の場合には、細菌の通過を物理的にブロック及
び予防するために、活性炭及び/又は1以上の高分子量の金属酸化物(単数又は複数)を組み込んだガスフィルターが開示されている。米国特許5215626の場合では、過マンガン
酸塩化合物、銀化合物、及び、塩化銅又は硫酸銅等の水溶性銅化合物の混合物を組み込んだ水浄化フィルターが開示されている。
【0073】
しかしながら、上記参考文献のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0074】
DATABASE WPI Section Ch, Week 199031 Derwent Publications Ltd,. London, GB; Class B04, An 1990-234808 XP002247181 & JP 02 161954及びDATABASE WPI Section Ch, Week 198821 Derwent Publications Ltd,. London, GB; Class A88, An 1988-145060 XP002247182 & JP 63 1088007は、中空多孔性繊維に関し、特にJP 631088007は、銅アンモニ
ウムが結合したセルロースで体液を処理することを開示する。しかしながら、上記参考文献のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0075】
上述したように、WO 01/74166は、微粒子を有する抗微生物及び抗ウイルス性ポリマー
材料であって該粒子は該材料の表面から突出しており、該材料中に封入されたCu++を放出する微粒子を教示し特許請求しているが、本発明の方法を教示も示唆もしていない。同様に、WO 01/81671は、カチオン形態の銅でコーティングされた繊維を組み込んだテキスタ
イルファブリック(上記テキスタイルファブリックは細菌の抗生物質耐性株を不活性化するのに有効である)を、患者の診察及び看護において使用するために、ヘルスケア施設に提供することを含む、院内感染の抑制及び予防方法について教示し特許請求している。これもまた、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0076】
故に、上記刊行物のいずれも本発明の主題について教示も示唆もしていない。
【0077】
本発明の方法において、液体媒体が、原子の分散のキャリアとして作用する汗であれ、治療される皮膚表面にイオンが移動するのを促進させるために繊維又はファブリックに加えられる液体もしくは界面活性剤であれ、銅のカチオン種は、液体媒体への原子の分散を許容させるために該媒体に曝露されなければならない。
【0078】
皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための本発明の美容材料を形成するために、Cu+及びCu++イオンからなる群より選ばれる
銅イオンを有する繊維を採用し、基材中に繊維を含めるのが好ましい。織基材において、繊維は、任意の他の繊維又は織物と混紡してもよく、基材に織り込んでもよい。不織布の形態において、繊維を混紡して薄層を形成していてもよい。いずれの場合にも、好ましくは、多数の層が他の層の上に置かれてパッドを形成し得るであろう。
【0079】
本発明の方法で用いられる銅イオンは、上で参照した先の明細書の記載と同様の方法に、後述のわずかな変更を加えて調製され、基材上又は液体中単独で、酸化還元反応により得られる。製造方法は、金属を用いたプラスチック(特にプラスチック製のプリント回路基板)の無電解メッキで使用される技術の適用である。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering (編集者Jacqueline I. Kroschwitz), Wiley and Sons, 1987, vol. IX, pp 580-598を参照。繊維又はファブリック又は膜へ適用される場合、本プロセスは2つの工程を含む。第1工程は、触媒貴金属の核形成部位を基材表面上に沈殿させることによる基材の活性化である。これは、まず、低酸化状態の還元剤カチオンの溶液に基材を浸漬させ、次いで貴金属カチオンの溶液、好ましくはPd++カチオンの溶液、最も好ましくは酸性PdCl2溶液に、基材を浸漬させることによってなされる。低酸化状態のカチ
オンは、より高酸化状態に酸化されながら、貴金属カチオンを貴金属自体に還元する。好ましくは、還元剤カチオンは最初の低酸化状態及び最終的な高酸化状態の両方で溶解性のカチオンであり、例えば、Sn++++に酸化されるSn++又はTi++++に酸化されるTi+++である
。
【0080】
第2工程は、活性化基材の非常に近傍での金属カチオンの還元であり、その還元は貴金属により触媒される。カチオンを還元するのに使用された還元剤は典型的には、分子種、例えばCu++の場合のホルムアルデヒドである。還元剤が酸化されるので、本明細書中では金属カチオンを「酸化剤カチオン」と称する。このように製造された金属被覆基材は、その金属メッキが基材に直接結合していることを特徴とする。
【0081】
上述したプロセスに基づき、当業者はその色で酸化状態を特定することもできる。上述のように、還元のために基材を銅溶液に浮遊させた場合、基材の両面で異なる色が得られる。基材の上面は、元素銅Cuに特徴的な、光沢のある明るい銅(赤/黄)色である。ファブリックの下面はCuOに特徴的な黒色である。上部基材の下に位置する全ての基材も、そ
の上面に黒い色相を示す。
【0082】
本明細書に記載された本プロセスにおいて、元素銅又は酸化銅(CuO−黒色)とは異なる銅のカチオン種を用いてセルロース繊維又は基材のメッキを可能にするプロセスに変更がなされる。
【0083】
無電解メッキプロセスのこの形態は、繊維上の調製された表面又は基材上で硫酸銅又は硝酸銅等の銅溶液由来のカチオン形態銅を還元することを含む。メッキされる繊維又は基材は、まず、少なくとも2つの正の酸化状態を有する少なくとも1つの還元剤カチオン種を含む溶液に浸漬させなければならず、少なくとも1つのカチオン種は少なくとも2つの正の酸化状態の低い状態にある。次いで、繊維又は基材を少なくとも1つの貴金属カチオン種を含む溶液に浸漬させることによって、活性化表面を出現させる。
【0084】
次いで、活性化表面に接した媒体中の少なくとも1つの酸化剤カチオン種に、繊維を曝露する。次いで、還元剤を加え、銅は繊維表面で溶液から銅自体を還元する。後述の変更なしに、本調製法を用いて製造された繊維又は基材は、繊維パック又は基材パックの上面にある繊維、並びに、繊維パック又は基材パックの下方及び中にある黒色繊維をコーティングしている元素銅を実証する。
【0085】
前述したように、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効な材料を得るためには、銅のカチオン種を得なければならない。有効な銅化合物は、Cu(I)もしくはCu(II)のいずれかの種又は両方を含まなければならない。セルロース上でこれらの種を得るのを保証するためには、例えば、浸漬及び圧搾によって、全ての繊維が同時に均等に飽和するようにPd++を適用しなければならない。仮に、大きな繊維パックをPd++溶液に滴下した場合、溶液に衝突する最初の繊維は、パックの他の部分よりPd++溶液を吸収し、銅カチオン沈殿物を乱すであろう。さらに、水中にSn++を含む最初のプロセスと水中にPd++を含む第2のプロセスの間に、繊維を洗浄しなければならない。繊維の間に残された残留Sn++溶液は、繊維の間の溶液の中で直接Pd++の還元を引き起こし、繊維上のPd++のランダムな還元しか行えず、これは銅の沈殿物に再び影響する。これら2点は些細なことのように思えるが、メッキに直接的な効果を有する。
【0086】
さらに、銅溶液の本プロセスへの適用系において、変更が必要である。繊維に対する還元プロセスの副作用は、水素生成である。この水素は繊維表面上に気泡として現れる。水素は、銅溶液における繊維表面上のPd++との相互作用の結果として生成する。仮に、圧搾等の自体公知の方法により、水素が生成してすぐに繊維表面から水素を除去しなかった場合、外気に曝露された繊維は元素銅でコーティングされるであろう。元素銅表面直下の繊維は、黒色の酸化銅であろう。しかしながら、仮に、水素を気泡の形成とともに直ちに除去した場合、所望のカチオン種が繊維パック全体に得られる。望ましい色は、金属銅の色とも黒色の酸化銅とも異なる暗褐色であろう。カチオン種のさらなる指標は、繊維が電気を通さないことである。
【0087】
本プロセスは、酸化銅化合物の一部として、Cu(I)とCu(II)の両方を産生する。本プロセスによって形成された残留酸化銅粉末の解析は、表面上に形成されたのは70%のCu(I)と30%のCu(II)である酸化銅化合物であることを示している。これらの化合物は、痛み、擦過傷及び火傷の治療に非常に有効であることが証明された。銅の活性は、水とカチオン種の酸化還元反応を利用しており、水と接触した際に、Cu(II)とCu(I)との間の転換を許容する。Cu(I)は、HIVに対してCu(II)よりも有効であり、Cu(II)はCu(I)よりも安定である。
【0088】
PCT/IL03/00230に対応する米国特許出願第10/339886号(関連する教示は参照により本明細書にも組み込まれる)には、フィルター材料を含むウイルス不活性化用装置が記載され特許請求されており、上記装置は、その中に組み込まれたCu+及びCu++イオンからなる群より選択される銅イオン及びそれらの組合せを有する。
【0089】
上記明細書には、繊維の表面上で酸化銅を形成する、銅溶液を用いたセルロース繊維のメッキが記載されている。ここで、使用したプロセスは、酸化銅分子の一部としてCu(I)とCu(II)の両方を産生する。次いで、上記繊維はフィルターに組み込まれ、該フィルターはHIV−1の不活性化に有効であることが分かった。
【0090】
本発明による親水性ポリマー材料のメカニズムは完全には理解されていないが、得られた結果に照らして、ポリマー材料が流動的な液体媒体と接触する際に、上記媒体が上記ポリマーの内部から銅カチオン種を浸出させると考えられる。そして、PCT/IL03/
00230に記載されているように、皺に効果的な活性は、水とカチオン種の酸化還元反応を利用しており、水と接触した際に、Cu(II)とCu(I)との間の転換を許容する。Cu(II)はCu(I)よりも安定であるものの、Cu(I)はCu(II)よりも有効である。Cu(II)化合物はCu(I)化合物よりも非常にゆっくりと酸化し、製品の保存期間を増加させるであろう。
【0091】
上述したように、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料が、驚くべきことに、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であるという本発明の発見は、本発明による完全に新型の製品の生産を可能にする。
【0092】
製品は、体に接触するかを問わず、よりよい肌の外観を助長することに留意して、以下は、最終用途用のいくつかの製品及びプロトコールの記載である。
1.処理されたポリマー又はセルロースの糸由来の靴下編物であって、任意の他の靴下のように昼夜着用することができ、より清潔に見える足を与える靴下。
2.睡眠中に着用することができるニット手袋であって、皺を減少させ、手の肌の柔軟性を改善する手袋。
3.睡眠中に着用することができるフェイスマスクまたはアイカバーマスクであって、顔面皮膚を改善するマスク。
4.編物又は織物のいずれかのファブリックから作られたパジャマであって、夜に着用することができ、皮膚全般を改善するパジャマ。
5.セルロース又はポリマー繊維から作られた織物又は編物のスカーフであって、昼夜着用することができ、首の皮膚の外観を改善するスカーフ。
6.特定のにきびの痕に置くことができる粘着包帯であって、該痕の肌の質感を改善する包帯。
7.昼夜着用できるパンティー、アンダーウェア又はブラジャーの編物又は織物の下着であって、それが接触している体の特定領域の肌の質感を改善する下着。
8.ベッドリネン及び寝間着:これらは、綿/ポリエステル又は綿を基礎としたファブリックから作られたテキスタイル(一定割合(3%から10%で変化し得る)の糸が処理されたセルロースである、又は、糸の繊維が、フィラメントもしくは短繊維の形態であるポリマーである)の形態にすることができる。物品は、ギプス内装又は靴下等の編物であってもよく、ヘッドカバー又は他の衣服物品等の織物であってもよい。
9.首用シース:これらは、好ましくは、それらを通じて水分のウィッキング及び分散を許容する新規な通気性ポリマーから作られ、該ポリマーは押出しプロセス中に導入された非水溶性酸化銅カチオン粒子を用いて製造される。
【0093】
本発明を、その局面がより完全に理解され評価され得るように、以下の実施例において特定の好ましい実施形態と絡めて、添付の図面を参照してここに記載するが、本発明をこれらの特定の実施形態に制限することは意図しない。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれ得るような全ての改変物、修飾物及び等価物を包含することが意図される。故に、好ましい実施形態を含む以下の実施例は、本発明の実施を例示する役目をするものであり、示した特定物は本発明の好ましい実施形態の例示の目的及び例示的考察のためのみのものであり、定式化手順ならびに本発明の原理および概念的局面の記載が最も有用かつ容易に理解されると考えられるものを提供する過程で提示されることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1a及び図1bは、実施例3に記載されるように、本発明の靴下の適用前及び後に撮影された、患者の足のかかとの写真である。
【図2】図2a及び図2bは、実施例3に記載されるように、本発明の一対の手袋の着用前及び後に撮影された、ボランティアの両手の写真である。
【図3】図3は、ポリプロピレン通気性フィルムの電子顕微鏡写真である。このフィルムは、フィルムを押出す前にマスターバッチの中に1%非水溶性酸化銅を導入して調製され、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子であって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しており、その電子顕微鏡写真中に白点として写っている粒子を有するフィルムを形成した。
【図4】図4は、ポリエステル繊維の電子顕微鏡写真である。この繊維は、繊維を押出す前にマスターバッチの中に1%非水溶性酸化銅を導入して調製され、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子であって該粒子は該繊維の中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出しており、その電子顕微鏡写真中に白点として写っている粒子を有する繊維を形成した。
【図5】図5は、紅斑に関する9日間の追跡のグラフ表示である。
【図6】図6は、紅斑に関する36日間の追跡のグラフ表示である。
【図7】図7は、落屑に関する9日間の治療のグラフ表示である。
【図8】図8は、落屑に関する36日間の追跡のグラフ表示である。
【図9】図9は、亀裂に関する9日間の追跡のグラフ表示である。
【図10】図10は、亀裂に関する39日間の追跡のグラフ表示である。
【図11】図11は、本発明により調製された枕ケースを用いた、女性の皺についての観察された結果を説明する表である。
【実施例】
【0095】
実施例1:処理セルロース繊維からのファブリックの調製
(第1)
所望の最終用途のためにセルロース繊維を選択する。テンセル、又はアセテート、又は
ビスコース又は原綿等の繊維は、使用できる繊維の一員である。メッキは繊維への初期結合に表面上のOH基を使用するので、繊維はセルロースを基礎としなければならないことに注意する必要がある。選択された繊維の長さは、最終用途の機能であり、産業界では常識である(即ち、コーマ綿等の場合におけるように、長い短繊維は、同じ長さの他の繊維と混合される)。
(第2)
本明細書に記載されるように、繊維は種々の化学的プロセスを通過する:
1.的確なカチオン種の沈殿を確実にするために、繊維を薄いマットに調製する。
2.二塩化スズと塩酸の溶液にマットを浸す。マットは、完全な吸収を保証するために短時間浸される。
3.次いで、ほぼ全ての液体を除去するためにマットを圧搾し、全てのスズ溶液の除去を確実にするために水中でマットを洗浄する。
4.次いで、マットを二塩化パラジウムと塩酸の非常に希薄な溶液中に置く。本プロセスには他の金属塩を用いることもできるが、パラジウムが最も有効であることが分かった。5.二塩化パラジウムからの除去後、マットをもう一度洗浄し、全ての余分な液体の除去を確実にするために再び圧搾する。この時点で、マットは淡褐色へと変化した色を呈するであろう。
6.硫酸銅、ポリエチルグリコール及びEDTAを用いて、キレートされた硫酸銅溶液を調製する。溶液に水酸化ナトリウムを加えることで、溶液のpHを調整する。還元剤を硫酸銅溶液に加える。多くの還元剤を用いることができるが、好ましい化合物としてホルムアルデヒドを選択した。
7.マットを溶液中に置き、起こるのに最大7分かかるプロセスを受けさせる。メッキプロセスの間に、マットを圧搾又は叩いて平らにしなければならない。
8.次いで、過剰粉塵を除去するためにマットを水中で洗浄し、乾燥させる。
9.プロセスの最後には、繊維はイオン形態の銅でメッキされ、暗褐色が混ざった色相を呈する。
10.最終産物が酸化銅でメッキされた繊維の所望量だけを含むように、繊維を他の繊維(同一の未処理繊維又は他の繊維)と混紡する。ある場合には、1%の混紡繊維/99%の他の繊維を必要とし、別の場合では、30%の処理繊維/70%の他の繊維又は任意の組合せが調製される。これは様々な方法で行うことができ、テキスタイル糸の紡績技術の当業者には全て公知である。
11.混合繊維は全ての普通のテキスタイルプロセス(即ち、オープンエンド紡績糸製品の場合における:カーディング、スライバー、紡績)を通過する。
12.糸が得られたら、所望の最終用途により織物又は編物のいずれかとすることができる。
13.ファブリックはそのまま用いてもよく、あるいは、その後に染色又は印刷可能であるが、セルロース基材からの銅自体の脱離を引き起こすので、漂白はできない。
14.テキスタイルファブリックは所望の製品に容易に転換できる。
【0096】
実施例2:処理されたポリマー材料からのファブリック又はフィルムの調製:
実施例2a:ファブリックの調製:
A1.所望の最終用途のためにポリマー材料を選択する。ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン66、ナイロン6等の繊維は、使用できる繊維の一員である。繊維は、フィラメント形態又は短い短繊維の形態のいずれかに成形することができる。
A2.酸化銅粉末が添加される所望の糸と同一の原材料を用いて、マスターバッチを調製する。大多数のテキスタイルの最終用途のために、マスターバッチはその中に含まれる20%−25%の濃度の酸化銅粉末を有していてもよい。押出されたポリマーにマスターバッチを加え、完成糸に材料が約1%又は2%だけ存在するように希釈する。一定量の銅がポリマー繊維の表面に現れ、電子顕微鏡写真で観察することができる。
A3.繊維が長繊維の場合、テキスタイルを製造するために、繊維は織物又は編物であっ
てもよい。
A4.繊維が短繊維の場合、上述のコーティングされた繊維を混合する方法で、繊維を他の繊維と混合してもよく、次いで同様の製造プロセスに従う。
A5.糸が完成すると、糸は、完成品への転換のための標準かつ許容されたシステムに従うテキスタイル製品に織っても、編んでもよい。
【0097】
実施例2b:フィルム又はシースの調製:
B1.所望の最終用途のためにポリマー材料を選択する。ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン66、ナイロン6等のポリマーは、使用できるポリマーの一員である。ポリマー材料は、フィルム又はシースのいずれかに形成することができる。
B2.酸化銅粉末が添加される所望のポリマーと同一の原材料を用いて、マスターバッチを調製する。大多数の最終用途のために、マスターバッチはその中に含まれる1%−3%の濃度の酸化銅粉末を有してもよい。押出されたポリマーにこのマスターバッチを加える。一定量の銅がポリマーフィルム又はシースの表面に現れ、電子顕微鏡写真で観察することができる。
【0098】
実施例2C−繊維の調製
各160℃の別個の槽にて2種のビーズ状化学物質を熱して、ポリアミドの二成分化合物を全量500グラム調製した。
【0099】
次いで、2つの別個の成分を合わせて混合し、混合物の色が均一になるまで15分間撹拌した。
【0100】
混合した化学物質(chemistry)を再び2つの別個の容器に分配した。一方のポットで
は、25グラムのCuOとCu2O粉末の混合物を加え、1%混合物を得た。第2のポットでは、6.25グラムのCuOとCu2Oの混合物を加え、0.25%混合物を得た。両方の場合で、160℃の温度を維持した。化合物の色が均一になるまで化合物を撹拌した。
【0101】
2つの混合物を、孔を有する紡糸口金に通し、直径が50から70ミクロンの間の繊維を得た。Cu++を放出する酸化銅粉末を20ミクロン未満の粒子にまで微粉末にしたので、紡糸口金の孔の閉塞は観察されなかった。押出した繊維を空冷し、円錐状に紡いだ。
【0102】
結果として生じた、その中に組み込まれたCu++を放出する酸化銅を有するナイロン繊維は、手袋又は靴下、及び、スカーフを含む本発明の多くの適用に使用することができる。
【0103】
ここで、当業者に理解されるように、任意の合成繊維を製造する通常のプロセスと本プロセスとの間の相違点は、原材料にCu++を放出する酸化銅粉末を加えることであり、本発明の多くの使用に関して、ポリエステル、ナイロン及びポリプロピレン等のポリマーは相互に使用可能である。
【0104】
実施例3:足のかかと領域の再生:
図1a及び1bを参照すると、ボランティアの足のかかと及び足裏領域の前後写真が見てとれる。ここで、図1aにおいて、上記領域は皺がよっており、斑点がある。下端のつま
先及びかかと領域に組み込まれたCu+及びCu++の不溶性酸化銅化合物の繊維1%を有する、本発明のポリエステルの靴下を6日間着用した。上記期間の最後に、図1bに見られ
るように、さらに写真を撮影した。見られるように(添付の白黒写真では見にくいものの)、皮膚はより健全で、より柔らかく、斑点がより少なく、そして皺がほとんどない。
【0105】
実施例4:手の甲の表面における皺の減少:
図2aを参照すると、ボランティアの両手の写真がみてとれる。次いで、上記ボランテ
ィアは、3夜の期間の間(各夜につき約10時間)、本発明の綿の手袋を左手だけに着用した。上記手袋は、97%の綿で作製され、3%の本発明のセルロース繊維を含んでいた。ここで、上記繊維はCu+及びCu++の不溶性酸化銅化合物を用いてコーティングされていた。図2bに見られるように、ほんの3日後に、使用者の左手は、より滑らかになり、
かつ、皺がほとんど目立たなくなった。
【0106】
実施例5:臨床試験:
実験統計学の修士号を有する有資格の神経科医である、マイケル S.スミス医師に、Cu+及びCu++イオンを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリックの下部パネルを用いて調製した靴下の、種々の足病学的症状(すなわち、紅斑、落屑、亀裂、臭気及び浮腫)に対する効果の解析を依頼した。これらは美容上の問題ではないものの、痒み及び火傷、水疱疹、並びに、排膿等の他の指標が言及され、記録された。
【0107】
1群の患者が調査され、その結果と、本発明の靴下で治療しなかった同様の症状を有す
る患者について足病医が有する経験とを比較した。
【0108】
結果:
全結果の信頼区間が0を含まず、全結果のp値が<0.001であったことから、次の結果は全て統計学的に有意であると考えられる。これは、追跡調査期間において本発明の靴下を用いた治療が有効であるという信頼できる医学的証拠が存在することを意味する。
【0109】
人口構成:
患者は、女性17名と男性39名の、計56名であった。群の平均年齢は58歳で、標準偏差は16歳(21−85歳の範囲)であった。21名は糖尿病患者で、21名は65歳より高齢で、24名は2度以上追跡された。
【0110】
変数:
7つの指標が調査された:紅斑、火傷及び痒み、浮腫、落屑、水疱疹、亀裂、排膿及び臭気。落屑のみが全56名の患者において存在し、紅斑が51名に存在した(表参照)。浮腫(6)、臭気(5)及び排膿(3)は最小の共通変数であった。「長期間追跡」とは、靴下の使用後に2回以上評価されたことをいう。3段階の順序尺度が用いられた:現存、改善及び消散。この尺度に沿った移行(「現存」から「改善」又は最初の2つのいずれかから「消散」)は肯定的な徴候であると考えられ、反対方向への移行(「改善」から「現存」)は否定的な徴候であると考えられた。靴下を着用してから、最初に訪問した際に患者が消散したと考えられた場合、その個体は長期間追跡では最上でも「変化なし」と記録される。従って、「変化なし」は「持続する改善」と同等であると考えられる。長期間のセクションにおける平均的な時間の長さとは、最初の訪問と患者に関する最終的な見解がなされた日との間の時間と定義される。調査開始時に特定の問題を有する患者のみを後に計数した。どの場合でも、特定の問題を有さない患者が問題を発現した例はなかった。浮腫、臭気及び排膿の場合においては、結果を集計したものの、サンプルのサイズが小さすぎて何の結論も出せなかった。
【0111】
実施例5A:紅斑(51名の患者):
A1.全51名の患者は改善した;22名(42%)は9日間の平均期間(4−28日の範囲)にわたって完全に消散した。消散の95%信頼区間は(0.29、0.58)であった。全母集団の完全消散の比率(パラメーター)は分からないものの、この結果は、29%と58%の間に信頼区間が存在する高い信頼を意味している。仮に、この時間枠においてどの患者も他の治療なしには通常は改善しないということを前もって知っていたと
すれば、得られた結果は有意性が高い。すなわち、偶然によるものではない。
本試験の結果を図5に示す。
【0112】
A2.長期間調査(22名の患者):
19名(86%)は改善を持続したか、消散した。95%CI(0.65,0.97)。3名の患者(14%)は改善を持続しないか、「現存」に逆戻りした。95%CI(0.03、0.34)。追跡の平均的な長さは36日間であった。糖尿病患者及び65歳より高齢の患者は、短期及び長期間の両方で改善を共有した。
結果を図6に示す。
【0113】
実施例5B:落屑(56名の患者):
B1.56名のうち55名が改善した(98%)、5名が消散した(9%)、そして1名が変化なしのままであった。ある程度の改善の95%信頼区間は(0.90,1.00)、消散は(0.03、0.20)である。p値はともに有効性に関して大いに有意である。
結果を図7に示す。
【0114】
B2.長期間調査(24名の患者):
34日間の平均追跡で、21名(88%)は改善を維持し続けるか消散し、3名は逆戻りした。p値<0.001で、95%信頼区間は(0.68、0.97)である。この場合もやはり、糖尿病患者及び高齢者は改善を共有した。
結果を図8に示す。
注:追跡のグラフは、比較を容易にするため、前のグラフと同一のスケールを有する。
【0115】
実施例5C:亀裂(37名の患者):
C1.10日間の平均追跡で、37名の患者全てが改善し、15名(40%)は完全に消散した。95%CI(0.25、0.58)。これは大いに有意である。
結果を図9に示す。
【0116】
C2.長期間調査(17名の患者):
39日間の平均追跡で、17名の患者全てが改善し、6名(35%)は完全に消散した。95%CI(0.14、0.62)。この場合もやはり、糖尿病患者及び高齢者は改善を共有した。
結果を図10に示す。
【0117】
実施例5D:浮腫(6)、排膿(3)及び臭気(5):
浮腫を有する3名の患者が改善し、1名は消散した。排膿を有する3名の患者全てが改善し、2名は消散した。臭気を有する5名の患者のうち3名が改善し、そのうち2名は消散した。
【0118】
議論:
この調査の目的は、種々の足の病気を有する患者が、本発明のファブリックパネルを有する靴下を着用するだけで、改善するかどうかを調べることであった。上記症状の治療における1つの問題は、本治療(特別な靴下)を入手し、使用することにおけるコンプライアンスである。関連する問題は、足の足底面への、及び、指間領域における治療(特別な靴下)の適正な適用である。
【0119】
1.これらの実施例の目的のために、与えられたデータの解析において、下記の事項を前提とした。
a.患者は、これらの症状を有する患者の母集団の合理的、代表的なサンプルであった。
この仮定を否定する情報は得られなかった。男性、女性、高齢者、若年者、糖尿病患者及び糖尿病でない患者が存在した。
b.患者は相互に依存していなかった。すなわち、1個体の選択は他の個体の選択に影響
しなかった。
c.改善及び消散の定義は、各患者に対して一定であった。
d.サンプルサイズは既知であり、解析を実行するのに適切であった。
e.結果は二分化して定義されうる。
これらの仮定の存在は、二項確率分布を用いるのを可能にした。
【0120】
2.対照グループは報告されていないが、普通の靴下を着用するだけでは調査の期間枠中に患者が消散又は改善する見込みはほとんどない、と足病学者が信じる旨の情報が得られた。そのような情報を与えられると、全ての上記結果は統計的に有意であると考えられた。これは、本発明によるファブリックパネルを用いた治療は、本追跡期間において有効であるという医学的証拠が存在することを意味した。
【0121】
調査を記述するのに用いられる用語を理解することは重要である。
・母集団:研究を希望する群。この場合、母集団は、上に列挙した足の症状を有する全ての患者である。
・サンプル:母集団の小集団。
・ランダムサンプル:母集団の各メンバーが、定義され、選ばれる確率が0ではない場から選ばれた小集団。
・パラメーター:母集団の数値尺度。
・統計値:サンプルの数値尺度。
・p値:帰無仮説(変化がないという仮説)が真実であると仮定した場合に、特定のサンプル統計値(又はもう1つの極端)が得られ得る確率。本調査の文脈では、0.001未満のp値は、これらの結果を単独で偶然に得る確率が1000のうちの1未満であることを意味する。通常は、20のうちの1が、「カットオフ」点であると考えられる。ミニタブソフトウェアはp値を小数第4位まで計算しないので、ここで得られた値の多くは、さらにより小さくなる。
・信頼区間は、パラメーターのもっともらしい値の範囲を含む。不明であるが、パラメーターが実際に存在しており、区間がパラメーターを含むか含まないので、信頼区間と呼ぶ。これは確率の問題ではない。本調査に関しては、従来の治療では調査時間枠内にどの患者も改善しないと仮定した場合において、区間が0を含まない限り、パラメーターのもっともらしい値のいずれもが0ではないことから、結果は有意である。ある他の割合が改善したと仮定した場合、特定の値を含まない任意の区間は有意であると考えられる。本調査において、上記情報とともに、全領域は統計的有意に達した。
・推論の循環:母集団からサンプリングし、結果(統計値)を得て、母集団の一部であるパラメーターについて何らかの推論をするのに、その値を用いる。
母集団 → サンプル
↑ ↓
パラメーター ← 統計値
その数値尺度、パラメーターが未知のままであることから、母集団の全メンバーを特定できることはまずないということを理解するのは重要である。
【0122】
本調査では、母集団の全メンバーを知ることができないので、サンプルの結果、改善された(又は消散した)割合を用いて、母集団の同様の割合も改善するであろうと述べる。サンプルを適切に選んだ場合、推定値は価値を有する。もちろん、サンプルが取り得るもっともらしい値には範囲があるので、他のサンプルは他の結果をもたらし得ることを認識しなければならず、上述したように、我々のサンプルの結果はそれらの可能性のある値のうちの1つであった。
【0123】
結論:
過去の対照と比較して、本発明によるCu+及びCu++を放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリックの下部パネルを用いて調製した靴下を有する患者は、下記の症状において有意に改善又は消散した:
紅斑
亀裂
落屑
浮腫
臭気
【0124】
さらに、グループのほぼ40%(51名中19名)は糖尿病患者又は65歳より高齢であったので(10名は糖尿病患者かつ65歳より高齢)、高齢の糖尿病患者を含む糖尿病を有する人々についての上記すべての症状に対する改善又は消散に関して、本調査は統計的に有意である。
【0125】
公知のように、紅斑は、毛細血管の拡張及び鬱血により引き起こされる皮膚の発赤により特徴づけられ、しばしば炎症又は感染の徴候である。従って、美容上の懸念である。
落屑は、微生物性乾癬に関連する場合、治癒すべき問題であり、これは本発明の製品の使用により改善される。
浮腫は、体の特定部位における観察できる腫脹であり、最も一般的には足及び脚におこる(末梢浮腫とも呼ばれる)。腫脹は、血管外側の組織内の空間における皮膚下の過剰な液体の集積の結果であり、その縮小は本発明の方法及び製品により促進される。
亀裂は、通常は粘膜を連結する皮膚の裂け目であり、亀裂状の痛み又は潰瘍を生じさせる。そして、亀裂も、本発明により処置できる美容上の問題である。
臭気は、本発明の製品及び方法で処理することができる主要な美容上の問題である。
【0126】
実施例6:顔の皺に対する枕ケースの効果の調査:
皮膚を治療する製品を定期的に使用している17名の女性に、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックから形成された枕ケースが与えられ、そして、試験前、1週目の終わり、2週目の終わり、再度4週目の終わりに、本発明に従って調製された枕ケースを使用して各夜睡眠後に、写真撮影されるよう依頼された。8週目の終わりに、被験者は、皮膚全体の外観における改善又は後退があったかどうかの情報を、電話して受信者に報告するよう依頼された。被験者は、夜の睡眠前の洗顔以外は毎晩オイル又はクリームを使用しないよう依頼された。評価の目的は、目尻の皺、縮緬皺及び顔のみの小皺に対する枕ケースの効果を観察することであった。観察方法は、自然光で3.4psiデジタルカメラを用いて
の写真撮影であった。
【0127】
被験者は、睡眠中に顔の片側を枕ケースに接触させ続けるよう指導された。全ての場合において、枕ケースは週に一度洗濯された。被験者は、通常使用するのと同じ石鹸で洗顔するように、ただし睡眠前にあらゆるオイル又はフレッシュナーを使用しないように指導された。
【0128】
全被験者は、45歳から60歳の間の年齢であった。薬物治療を受けている被験者はいなかった。少なくとも2名の被験者は喫煙者であることが分かっている。
【0129】
試験の目的のために、皮膚科医は、何らかの可能性のある負の効果があるかどうか観察するよう依頼された。負の効果は観察されなかった。これは以前行われた生体適合性試験を確認するものである。10名の異なる女性からなるパネルは、以下の値について写真を
評価するよう依頼された:
1.改善なし(添付書面において「A」で表される)
2.わずかな改善(添付書面において「B」で表される)
3.改善(添付書面において「C」で表される)
4.著しい改善(添付書面において「D」で表される)
【0130】
17名の被験者の氏名は別個のファイルにて入手可能であり、ここに図11として添付した図表においては、ナンバー1−17として表される。10名の判定者の氏名は別個のファイルにて入手可能である。
【0131】
図11に示すように、これら独立した判定者によって記録された結果から分かるように、長期にわたる顔の解析は、目尻の皺、小皺、及び、場合によっては斑状高色度沈着(肝斑)の縮小について全体的に有意な改善を示した。全ての場合において、皮膚の外観及び質感における全体的な改善があった。
【0132】
本発明は、上記の例示的な実施例の詳細には限定されず、本発明は、その本質的な性質から離れずに、他の特定の形態で実施し得ることは、当業者に自明であろう。また、故に、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内の全ての改変は、その中に包含されるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法、及び、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための非水溶性銅化合物を組み込んだ材料の使用に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を最小限に抑制、予防及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法に関する。
【0003】
また、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、体表面に接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシース等の材料の製造のための使用に関する。シース又は押出しフィルムは、脱湿性又は微小孔を有する新しいタイプの一体化した単層であってもよい。
【0004】
さらに本発明は、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子(該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する)を有するポリマーフィルムであって、該粒子が該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のための使用に関する。
【0005】
同様に、本発明は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい態様において、以下に記載するように、上記繊維は、その中に組み込まれ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である。
【0007】
本発明の他の好ましい実施態様において、後述するように、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0008】
本発明のさらに好ましい実施態様において、上記材料は、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選ばれるポリマー成分から形成され、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、並びに他の親水性及び疎水性ポリマー等の材料も含み得る。上記材料は、繊維、糸又はシートの形態である。
【0009】
実施例及び添付図を参照して以下に記載されるように、今回、驚くべきことに、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する美容的使用のための、体表面に接触させるファブリック、フィルム、フィラメント又はシースの製造のために使用され得ることを発見した。
【0010】
より具体的には、今回、驚くべきことに、本発明の材料が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることを見出し
た。
【0011】
局所適用のためのクリームであって、その成分として有機銅ペプチドを含むクリームが市場で入手できる。しかしながら、理解されるように、有機銅ペプチド中の銅の結合を考慮して、上記クリームは皮膚及び組織を通過するように設計されている。従って、上記製品は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供する美容的使用のための、体表面に接触させるファブリック、フィルム、フィラメント又はシースの製造のために使用され得ることを、当業者に教示も示唆もしていない。
【0012】
WO98/06508及びWO98/06509の両広報では、その繊維に直接かつ堅固に結合した金属又は金属酸化物の全又は部分メッキを有する種々の様相のテキスタイルであって、金属及び金属酸化物(銅を含む)が上記繊維に結合したものを教示する。
【0013】
より詳細には、WO98/06509では、(a)金属被覆テキスタイルを提供する工程(該金属
被覆テキスタイルは(i)天然繊維、合成セルロース系繊維、再生繊維、アクリル繊維、
ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイルと、(ii)金属及び金属酸化物からなる群より選ばれる材料を含むメッキとを含み、金属被覆テキスタイルはメッキが繊維に直接結合していることを特徴とする);及び(b)金属被覆繊維を製品に組み込む工程を含むプロセスが提供さ
れる。
【0014】
上記発明において、用語「テキスタイル」とは、繊維(天然(例えば綿、絹、羊毛及び麻)又はそれらの繊維で紡いだ合成糸のいずれでも)及びそれらの糸から作られた織物、編物や不織ファブリックを含む。上記発明の範囲には、全ての天然繊維;及びテキスタイル用途において用いられる全ての合成繊維が含まれ、合成繊維としては合成セルロース繊維(即ち、レーヨン等の再生セルロース繊維及びアセテート繊維等のセルロース誘導体繊維)、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維及びビニル繊維があげられるが、これらに限定されない。ただし、ナイロン及びポリエステル繊維、並びにそれらの混紡を除く。
【0015】
上記発明は、金属を用いたプラスチック(特にプラスチック製のプリント回路基板)の電解メッキで使用される技術を適応した製品への適用を含んでいた。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering (編集者Jacqueline I. Kroschwitz), Wiley and Sons, 1987, vol. IX, pp 580-598を参照。テキスタイルへ適用される場合、本プロセスは2つの工程を含んだ。第1工程は、触媒貴金属の核形成部位をテキスタイル上に沈殿させることによるテキスタイルの活性化であった。これは、まず、低酸化状態の還元剤カチオンの溶液にテキスタイルを浸漬させ、次いで貴金属カチオンの溶液、好ましくはPd++カチオンの溶液、最も好ましくは酸性PdCl2溶液に、テキスタイルを浸漬させることによ
ってなされた。低酸化状態のカチオンは、より高酸化状態に酸化されながら、貴金属カチオンを貴金属自体に還元する。好ましくは、還元剤カチオンは最初の低酸化状態及び最終的な高酸化状態の両方で溶解性のカチオンであり、例えば、Sn++++に酸化されるSn++又はTi++++に酸化されるTi+++である。
【0016】
第2工程は、活性化テキスタイルの非常に近傍での金属カチオンの還元であり、その還元は貴金属により触媒された。カチオンを還元するのに使用された還元剤は典型的には、分子種、例えばCu++の場合のホルムアルデヒドであった。還元剤が酸化されたので、本明細書中では金属カチオンを「酸化剤カチオン」と称する。このように作られた金属被覆テキスタイルは、その金属メッキがテキスタイル繊維に直接結合していることを特徴とした。
【0017】
WO 98/06508では、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン
繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイル;及び
(b)金属及び金属酸化物からなる群より選ばれる材料を含むメッキ;
を含む組成物であって、上記メッキが上記繊維に直接結合していることを特徴とする組成物が記載され特許請求されている。
【0018】
上記刊行物は、また、
(a)天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン
繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含むテキスタイル;及び
(b)複数の核形成部位であって、上記核形成部位のそれぞれが少なくとも1つの貴金
属を含む複数の核形成部位;
を含む組成物であって、少なくとも1つの金属カチオン種を還元金属に還元するのを触媒し、それにより上記繊維を上記還元金属でメッキすることを特徴とする組成物を特許請求している。
【0019】
さらに、上記刊行物は上記製品を製造するプロセスを教示し特許請求している。
【0020】
上記刊行物による金属被覆テキスタイルを調製するための好ましいプロセスは、下記工程:
a)糸及びファブリックからなる群より選ばれる形態のテキスタイルを選択する工程で
あって、上記テキスタイルが天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含む工程;
b)少なくとも2つの正の酸化状態を有する少なくとも1つの還元剤カチオン種を含む
溶液に、上記テキスタイルを浸漬する工程であって、上記少なくとも1つのカチオン種が上記少なくとも2つの正の酸化状態のより低い状態にある工程;
c)少なくとも1つの貴金属カチオン種を含む溶液に上記テキスタイルを浸漬させ、そ
れにより活性化テキスタイルを製造する工程;及び
d)上記活性化テキスタイルと接触している媒体中の少なくとも1つの酸化剤カチオン
種を還元し、それにより金属被覆テキスタイルを製造する工程、
を含む。
【0021】
しかしながら、上記刊行物はそこに記載された使用のために上記プロセスにより調製される被覆繊維及びテキスタイルに限られており、上記刊行物は、そのような被覆繊維及びテキスタイルが皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造のために有効であり得るとは教示も示唆もしていない。
【0022】
同様に、上記刊行物は、疎水性ポリマーのポリマースラリーの中に銅カチオンを組み込むことにより、銅カチオンの微粒子が中に封入され、そしてそこから突出している微粒子を有するフィルム及び繊維が製造される可能性を教示も示唆もしていない。そのことは、今回、驚くべきことに、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造にも有効であることが発見された。
【0023】
USSN 10/240993の記載によると(その教示は参照により本明細書に組み込まれる)、わずかな比率の非水溶性酸化銅粒子形態のCu++を、形成されるポリマースラリーに加えると、生じたポリマーは抗菌特性を保有していることが発見された。
【0024】
さらに、驚くべきことに、粒子形態の酸化銅をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及び同様の疎水性又は親水性ポリマー材料等のポリマーのポリマースラリー中に加えることによって、使用の多様性を有する抗菌特性と抗ウイルス特性の両方を保有する繊維、糸又はシートを押出すことができることが発見され、上記明細書に記載された。上記明細書に記載された新規抗菌性及び抗ウイルス性ポリマー材料で考えられる使用としては、カーペットの裏打ちにおける使用(菌、臭いを発生させず、定着したあらゆるウイルスを不活性化するので、病院のセッティングにも用いてもよい);空気又は液体を透過するように作られ、それを通って流れる流動体を濾過し、上記流動体中に見出される細菌及びウイルスを不活性化するのに用いられる病院もしくは航空機におけるエアフィルター又はマスク等の成形不織布製品の構成材としての使用;疎水性のポリマー繊維もしくは糸を組み込んだ、ストッキング、靴下、シーツ等の衣服又は任意の衣服に使用され得る連続した形状、平坦な形状、きめ細やかな形状又は延伸形状への形成;そのまま又は綿等の他の繊維と混合して使用される短繊維の形成(次いで、混合糸は、靴下、シーツ等の種々の編物や織物を製造するのに用いられる);及び、コアが1つの化合物であり、コア周辺のシースが非水溶性酸化銅粒子を含むポリマーである二成分の糸の形態に製造された、連続した形状、平坦な形状、きめ細やかな形状、延伸形状における、又は、短繊維としての多数の最終用途を有する糸を生み出す、当該ポリマー材料の使用、があげられる。上記の後者の使用例は、抗菌性でも抗ウイルス性でもあり、かつ、食品製造業などでの使用の多様性を有する、切断又は引き裂きに対する高抵抗を有する糸を形成する、上記非水溶性酸化銅粒子を組み込んだポリマーシースを有するポリエチレンコアの使用である。
【0025】
上記材料は、カチオン性酸化銅粒子をその液体スラリー状態の中に導入することのできるほぼ全ての合成ポリマーから作られると記載された。いくつかの材料の例は、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、アクリル、及び、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリアルキレンである。酸化銅粉末を微粉末(例えば、1から10ミクロンの間の大きさ)にして、押出し繊維及びフィルムを製造するための慣例であるマスターバッチ中のスラリーに少量(例えば、0.25%から10%ポリマー重量の間の量)導入した場合、該スラリーから結果として生産された結果物は抗菌性及び抗ウイルス性の両方を示すことが見出された。
【0026】
例えば、WO 98/06508及びWO 98/06509に記載された繊維(該繊維は外側をコーティングされている)とは異なり、上記製品では、ポリマーは、その中に封入された酸化銅カチオンの非水溶性微粒子を有しており、上記粒子の一部は露出し、その表面から突出している。ポリマー材料の表面から突出している露出したこれらの粒子は、上記明細書で示された試験により説明されるように、活性があることが示されており、その教示は本発明と関係があるので参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
しかしながら、上記米国特許明細書も、そこに記載されたポリマー材料が本明細書に記載され実証されたように、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料の製造に有効であり得るとは教示も示唆もしていなかった。
【0028】
一般に、上記明細書の製品及び本発明で使用されうる産物も以下のように生産される:1、スラリーが任意のポリマーから調製される。主な原材料は、好ましくは、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルから選ばれる。適合する又は適合するように調整された場合は、1を超える上記材料の組合せを使用してもよい。ポリマー原材料は、通常、ビーズ状であり、天然では単一成分、二成分又は多成分であってもよい。ビーズは加熱されて、好ましくは約120から180℃の範囲の温度で融解する。
2、押出す前の加熱混合する段階で、酸化銅カチオンの非水溶性粉末をスラリーに加え、
加熱したスラリーに広がるようにする。粒子サイズは好ましくは1から10ミクロンの間であるが、フィルム又は繊維の厚さがより大きな粒子を収容可能な場合には、より大きくてもよい。
3、次いで、液体スラリーは、円や他の所望の形態に形成された紡糸口金と呼ばれる一連の金属プレート中の孔を通して圧力で押出される。スラリーは互いに近接した微細な孔を通して押出されるので、単独の繊維を形成するか、あるいは、互いに接触するようにした場合にはフィルム又はシースを形成する。高温の液体繊維又はフィルムは冷気とともに上方へ押出され、連続した一連の繊維又は環状のシートを形成する。繊維又はシートの厚さは、孔のサイズ及びスラリーが孔から押出されて冷気流によって上方に押出される速度により調節される。
【0029】
WO 94/15463には、抗菌性を与える第1のコーティング及び保護機能を与える第2のコ
ーティングを有する無機粒子を含む抗菌組成物が記載されている。ここで、上記第1のコーティングは、銀又は銅、あるいは、銀、銅及び亜鉛の化合物であってもよく、好ましくは、銀及び酸化銅(II)を含む化合物である。しかしながら、上記特許は、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウム又はその混合物から選ばれる第2の保護コーティングで金属組成物をコーティングすることを含む複雑かつ高価なプロセスに基づいており、実際、全ての特許請求の範囲は、シリカ、含水アルミナ及びアゼライン酸ジオクチルを含む一連のコーティングを有する組成物を対象としている。
【0030】
対照的に、とりわけ本発明は、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を有するポリマー材料の使用を対象にしている。該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマー材料の表面から突出している。このことは、上記刊行物によっては教示も示唆もされておらず、ポリマー材料から突出した露出したCu++を放出する非水溶性粒子が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために有効であることが判明しているという利点を有する。
【0031】
EP 427858には、無機微細粒子が抗菌性金属及び/又は抗菌性金属化合物でコーティン
グされることを特徴とする抗菌性組成物が記載されており、上記特許は、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を組み込んだポリマーであって、該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマーの表面から突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0032】
DE 4403016には、Cu++の代わりに銅を利用した抗菌性及び抗真菌性組成物が記載されており、上記特許も、酸化銅カチオンの非水溶性粉末状微粒子を組み込んだポリマーであって、該粒子はその中に埋め込まれたCu++を放出し、該粒子の一部は露出し、該ポリマーの表面から突出しているポリマーを教示も示唆もしていない。
【0033】
JP-01 046465には、銅、銀、水銀及びそれらの合金から選ばれる殺菌効果及び殺精子効果を有する金属(ここで、金属は好ましくは微細に粉状化された銅である)を利用した殺菌イオンを放出するコンドームが記載されている。塩化銅、硫酸銅及び硝酸銅等の銅塩も言及されているが、公知のように、それらはポリマー内に導入するとポリマーを分解し、破壊する水溶性塩である。同様に、具体的には亜酸化銅について言及されているが、これはCu+イオン型である。従って、上記特許は、ポリマー材料から突出しており、皺を予防
、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0034】
JP-01 246204には、衣服、靴下等を調製するために、熱可塑性成形物中に粉状銅化合物
と有機ポリシロキサンの混合物を分散させた抗菌性成形物が記載されている。具体的には、上記特許には、金属イオンが独りでにポリマー分子に導入されることはあり得ず、銅イオンの繊維表面への放出のための連結路を提供することも目的とした有機ポリシロキサンの介在を必要とすることが述べられ、教示されている。故に、理解されるように、上記銅化合物は埋め込まれ、上記特許は、ポリマー材料から突出しているCu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0035】
JP-03 113011には、好ましくは下着を製造するための、良好な抗黴性及び衛生作用を有する繊維が記載されている。ここで、上記合成繊維はゲルマニウム又はその化合物との組合せで銅又は銅化合物を含む。しかしながら、上記特許は、そこに開示されたゲルマニウム及び銅化合物の大部分が、好ましくは、一価Cu+化合物であり、かつ、水溶性銅塩であ
る金属銅、ヨウ化銅で存在することを教示し、要求している。故に、上記特許は、ポリマー材料から突出している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0036】
EP 116865には、少なくともその一部が、抗菌特性を有する少なくとも1つの金属イオ
ンを保持するゼオライト粒子を含むポリマー物品が記載され、特許請求されている。故に、上記特許は、単独で及びゼオライトの非存在下で、ポリマー材料から突出しており、そして皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0037】
EP 253653には、有機ポリマーと、アモルファスアルミノケイ酸塩固形粒子又はコーテ
ィング剤で処理したアモルファスアルミノケイ酸塩固形粒子(少なくとも一部のアモルファスアルミノケイ酸塩は殺菌作用を有する金属イオンを保持している)とを含有するアモルファスアルミノケイ酸塩粒子を含むポリマーが記載され、特許請求されている。故に、上記特許は、単独で及びアモルファスアルミノケイ酸塩粒子の非存在下で、ポリマー材料から突出しており、そして皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることが判明している、Cu++を放出する露出した非水溶性酸化銅粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0038】
故に、上記刊行物のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面と接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシースを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオ
ン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物の使用を教示も示唆もしていない。
【0039】
故に、本発明の1つの好ましい態様は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維
の使用に関する。
【0040】
本発明の上記態様の好ましい実施形態において、上記材料は、銅のカチオン種で処理した繊維を組み込んでおり、かつ、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組
合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリック材料又は基材で形成されている。
【0041】
上記繊維又は基材は、親水性又は疎水性ポリマー材料で作製されてもよいことに注意すべきである。
【0042】
本発明の上記第1の態様の好ましい実施形態において、上記繊維は、上記化合物が該繊
維の中に組み込まれ、該繊維の表面から突出しているポリマー繊維である。
【0043】
本発明の上記態様の他の好ましい実施形態において、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0044】
本発明の第2の好ましい態様は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの
組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための使用に関する。
【0045】
本発明の第3の好ましい態様は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために着用される衣料物品を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込
んだ繊維の使用に関する。
【0046】
また、本発明のこの第3の態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0047】
本発明の第4の好ましい態様は、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの
組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルム中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、使用者の首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースを製造するための使用に関する。
【0048】
本発明の第5の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、使用者の首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又は
それらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用に関する。
【0049】
また、本発明のこの第5の態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0050】
本発明の第6の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのファブリックを製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊
維の使用に関する。
【0051】
好ましくは、上記ファブリックは、皺になりやすい体表面が接触し得る枕ケース、カバー、シート又は任意のテキスタイル物品に用いることができる。
【0052】
本発明の第7の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための靴下を製造するための、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用に関する。
【0053】
本発明の第8の好ましい形態は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで
、より健全な皮膚表面を提供するためのテリー織物材料を製造するための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ
繊維の使用に関する。
【0054】
同様に、本発明の好ましい実施形態において、上記ファブリックは、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、首の周囲に着用されるスカーフ及び使用者が首上で着用する取り外し可能な位置調整用のチューブ状のシースの形態とすることができる。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記ファブリックは、部分的なフェイスマスクの形態とすることができる。
【0056】
手の皺の外観に関して敏感な人々が存在するので、上記ファブリックは、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、手の表面に美容的に着用される手袋の形態とすることもできる。
【0057】
また、本発明のこれらの態様において、上記繊維は、好ましくは、該繊維の中に組み込まれて、該繊維の表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維であるか、あるいは、上記繊維は上記銅化合物でコーティングされている。
【0058】
ここで、本発明の他の態様では、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選択されるポリマー成分から形成されるポリマー材料を、皮膚表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための、皮膚表面に対する美容方法が提供される。ここで、上記材料は繊維、糸、シース、フィラメント又はシートの形態であり、液体と接触してCu+イオン
、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって、該粒子は該形態の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該形態の表面から突出している粒子を有する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態の第1の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックである。
【0060】
好ましい実施形態の第2の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオン、Cu++
イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって、該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムである。
【0061】
本発明の好ましい実施形態の第3の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマー繊維の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出している粒子を有するポリマー繊維である。
【0062】
本発明の好ましい実施形態の第4の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィラメントの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィラメントの表面から突出している粒子を有するポリマーフィラメントである。
【0063】
本発明の好ましい実施形態の第5の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であ
って該粒子はポリマーシースの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該シースの表面から突出している粒子を有するポリマーシースである。
【0064】
本発明の好ましい実施形態の第6の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムであり、上記フィルムは浸透作用による液体分散能を有する。
【0065】
本発明の好ましい実施形態の第7の群において、上記材料は、液体と接触してCu+イオ
ン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子であって該粒子はポリマーフィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出している粒子を有するポリマーフィルムであり、上記フィルムは過剰な液体を逃がすことができるように全体的に穿孔された微小孔を有する。
【0066】
上述したように、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出す
る非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法に用いることができるという本発明の驚くべき発見に基づいて、この非常に望ましい結果を達成する美容的使用のための多数の製品を調製することができる。
【0067】
本発明で使用するためのポリマー材料は、ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンならびにそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーのスラリーを調製し、本質的に非水溶性カチオン種酸化銅からなる粉末を導入して、これを上記スラリー中に分散させ、次いで、上記スラリーを押出してポリマー材料(Cu++を放出する非水溶性酸化銅粒子が封入されており、該粒子の一部は露出し、その表面から突出している)を形成させることによって、製造することができる。次いで、ポリマー材料は、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるのに適したファブリックに製造される繊維、糸又はシートに形成される。
【0068】
米国特許6,124,221において、少なくとも1つの金属被覆テキスタイルのパネルを含む
、抗細菌、抗真菌及び抗酵母特性を有する衣服物品が記載され特許請求されている。該テキスタイルは、天然繊維、合成セルロース繊維、再生蛋白繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニル繊維及びそれらの混紡からなる群より選ばれる繊維を含み、かつ、細菌、真菌及び酵母に対して有効な量の少なくとも1つの銅の酸化カチオン種を含むメッキを有する。
【0069】
上記明細書には、上記衣服物品はティニア・ペディスに対して、カンジダ・アルビカンスに対して、スラッシュに対して、及び、ブレブバクテリウム、アシネトバクター、マイクロコッカス及びそれらの組合せの群より選ばれる足臭を引き起こす細菌に対して有効であることが記載されていた。しかしながら、上記特許は、当該衣服物品の使用を意図したこと、あるいは、痛み、ヘルペス、皮膚開口、潰瘍、病変、擦過傷及び火傷等の創傷治療に当該衣服物品が有効であることを教示も示唆もしていなかった。
【0070】
WO 01/81671には、銅のカチオン型でコーティングされた繊維を組み込んだテキスタイ
ルファブリックが、細菌の抗生物質耐性株を不活性化するのにも有効であり、そして上記銅のカチオン種は好ましくはCu++イオンを含むことが記載されている。しかしながら、本明細書中にも、テキスタイルファブリックは、感染患者によって排泄される当該細菌を不活性化することで感染の拡大を予防するために、病院環境を処理する際の使用について記載されていた。そして、上記明細書は当該テキスタイルファブリックから形成された衣服
物品が、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であることを教示も示唆もしていなかった。
【0071】
WO 01/74166には、Cu++を放出する微粒子であって該粒子はポリマー材料の中に埋め込
まれ、該粒子の一部は露出し、該材料の表面から突出している粒子を有するポリマー材料(上記ポリマー材料は、HIV増殖抑制に有効である)を調製するための、Cu++を放出する粒子の使用が、記載され特許請求されている。しかしながら、上記刊行物は、コンドーム及びあるいは手袋の調製のための当該ポリマー材料の使用を教示するに限られていた。そして、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であり得る衣服物品の提供という本発明概念を発明者自身も当時は理解していなかったし、上記刊行物は教示も示唆もしていない。
【0072】
米国特許5848592、米国特許5492882、フランス特許2764518、英国特許1382820及び米国特許5217626には、有害な蒸気やガスに対する、及び、細菌やウイルスに対する、金属銅
、銅酸化物、塩化物、炭酸塩及び硫酸塩を含む空気浄化フィルター又は水浄化フィルターが種々開示されている。英国特許1382820の場合には、細菌の通過を物理的にブロック及
び予防するために、活性炭及び/又は1以上の高分子量の金属酸化物(単数又は複数)を組み込んだガスフィルターが開示されている。米国特許5215626の場合では、過マンガン
酸塩化合物、銀化合物、及び、塩化銅又は硫酸銅等の水溶性銅化合物の混合物を組み込んだ水浄化フィルターが開示されている。
【0073】
しかしながら、上記参考文献のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0074】
DATABASE WPI Section Ch, Week 199031 Derwent Publications Ltd,. London, GB; Class B04, An 1990-234808 XP002247181 & JP 02 161954及びDATABASE WPI Section Ch, Week 198821 Derwent Publications Ltd,. London, GB; Class A88, An 1988-145060 XP002247182 & JP 63 1088007は、中空多孔性繊維に関し、特にJP 631088007は、銅アンモニ
ウムが結合したセルロースで体液を処理することを開示する。しかしながら、上記参考文献のいずれも、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0075】
上述したように、WO 01/74166は、微粒子を有する抗微生物及び抗ウイルス性ポリマー
材料であって該粒子は該材料の表面から突出しており、該材料中に封入されたCu++を放出する微粒子を教示し特許請求しているが、本発明の方法を教示も示唆もしていない。同様に、WO 01/81671は、カチオン形態の銅でコーティングされた繊維を組み込んだテキスタ
イルファブリック(上記テキスタイルファブリックは細菌の抗生物質耐性株を不活性化するのに有効である)を、患者の診察及び看護において使用するために、ヘルスケア施設に提供することを含む、院内感染の抑制及び予防方法について教示し特許請求している。これもまた、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するために、体表面に接触させるファブリックの製造のための、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維の使用について教示も示唆もしていない。
【0076】
故に、上記刊行物のいずれも本発明の主題について教示も示唆もしていない。
【0077】
本発明の方法において、液体媒体が、原子の分散のキャリアとして作用する汗であれ、治療される皮膚表面にイオンが移動するのを促進させるために繊維又はファブリックに加えられる液体もしくは界面活性剤であれ、銅のカチオン種は、液体媒体への原子の分散を許容させるために該媒体に曝露されなければならない。
【0078】
皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための本発明の美容材料を形成するために、Cu+及びCu++イオンからなる群より選ばれる
銅イオンを有する繊維を採用し、基材中に繊維を含めるのが好ましい。織基材において、繊維は、任意の他の繊維又は織物と混紡してもよく、基材に織り込んでもよい。不織布の形態において、繊維を混紡して薄層を形成していてもよい。いずれの場合にも、好ましくは、多数の層が他の層の上に置かれてパッドを形成し得るであろう。
【0079】
本発明の方法で用いられる銅イオンは、上で参照した先の明細書の記載と同様の方法に、後述のわずかな変更を加えて調製され、基材上又は液体中単独で、酸化還元反応により得られる。製造方法は、金属を用いたプラスチック(特にプラスチック製のプリント回路基板)の無電解メッキで使用される技術の適用である。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering (編集者Jacqueline I. Kroschwitz), Wiley and Sons, 1987, vol. IX, pp 580-598を参照。繊維又はファブリック又は膜へ適用される場合、本プロセスは2つの工程を含む。第1工程は、触媒貴金属の核形成部位を基材表面上に沈殿させることによる基材の活性化である。これは、まず、低酸化状態の還元剤カチオンの溶液に基材を浸漬させ、次いで貴金属カチオンの溶液、好ましくはPd++カチオンの溶液、最も好ましくは酸性PdCl2溶液に、基材を浸漬させることによってなされる。低酸化状態のカチ
オンは、より高酸化状態に酸化されながら、貴金属カチオンを貴金属自体に還元する。好ましくは、還元剤カチオンは最初の低酸化状態及び最終的な高酸化状態の両方で溶解性のカチオンであり、例えば、Sn++++に酸化されるSn++又はTi++++に酸化されるTi+++である
。
【0080】
第2工程は、活性化基材の非常に近傍での金属カチオンの還元であり、その還元は貴金属により触媒される。カチオンを還元するのに使用された還元剤は典型的には、分子種、例えばCu++の場合のホルムアルデヒドである。還元剤が酸化されるので、本明細書中では金属カチオンを「酸化剤カチオン」と称する。このように製造された金属被覆基材は、その金属メッキが基材に直接結合していることを特徴とする。
【0081】
上述したプロセスに基づき、当業者はその色で酸化状態を特定することもできる。上述のように、還元のために基材を銅溶液に浮遊させた場合、基材の両面で異なる色が得られる。基材の上面は、元素銅Cuに特徴的な、光沢のある明るい銅(赤/黄)色である。ファブリックの下面はCuOに特徴的な黒色である。上部基材の下に位置する全ての基材も、そ
の上面に黒い色相を示す。
【0082】
本明細書に記載された本プロセスにおいて、元素銅又は酸化銅(CuO−黒色)とは異なる銅のカチオン種を用いてセルロース繊維又は基材のメッキを可能にするプロセスに変更がなされる。
【0083】
無電解メッキプロセスのこの形態は、繊維上の調製された表面又は基材上で硫酸銅又は硝酸銅等の銅溶液由来のカチオン形態銅を還元することを含む。メッキされる繊維又は基材は、まず、少なくとも2つの正の酸化状態を有する少なくとも1つの還元剤カチオン種を含む溶液に浸漬させなければならず、少なくとも1つのカチオン種は少なくとも2つの正の酸化状態の低い状態にある。次いで、繊維又は基材を少なくとも1つの貴金属カチオン種を含む溶液に浸漬させることによって、活性化表面を出現させる。
【0084】
次いで、活性化表面に接した媒体中の少なくとも1つの酸化剤カチオン種に、繊維を曝露する。次いで、還元剤を加え、銅は繊維表面で溶液から銅自体を還元する。後述の変更なしに、本調製法を用いて製造された繊維又は基材は、繊維パック又は基材パックの上面にある繊維、並びに、繊維パック又は基材パックの下方及び中にある黒色繊維をコーティングしている元素銅を実証する。
【0085】
前述したように、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効な材料を得るためには、銅のカチオン種を得なければならない。有効な銅化合物は、Cu(I)もしくはCu(II)のいずれかの種又は両方を含まなければならない。セルロース上でこれらの種を得るのを保証するためには、例えば、浸漬及び圧搾によって、全ての繊維が同時に均等に飽和するようにPd++を適用しなければならない。仮に、大きな繊維パックをPd++溶液に滴下した場合、溶液に衝突する最初の繊維は、パックの他の部分よりPd++溶液を吸収し、銅カチオン沈殿物を乱すであろう。さらに、水中にSn++を含む最初のプロセスと水中にPd++を含む第2のプロセスの間に、繊維を洗浄しなければならない。繊維の間に残された残留Sn++溶液は、繊維の間の溶液の中で直接Pd++の還元を引き起こし、繊維上のPd++のランダムな還元しか行えず、これは銅の沈殿物に再び影響する。これら2点は些細なことのように思えるが、メッキに直接的な効果を有する。
【0086】
さらに、銅溶液の本プロセスへの適用系において、変更が必要である。繊維に対する還元プロセスの副作用は、水素生成である。この水素は繊維表面上に気泡として現れる。水素は、銅溶液における繊維表面上のPd++との相互作用の結果として生成する。仮に、圧搾等の自体公知の方法により、水素が生成してすぐに繊維表面から水素を除去しなかった場合、外気に曝露された繊維は元素銅でコーティングされるであろう。元素銅表面直下の繊維は、黒色の酸化銅であろう。しかしながら、仮に、水素を気泡の形成とともに直ちに除去した場合、所望のカチオン種が繊維パック全体に得られる。望ましい色は、金属銅の色とも黒色の酸化銅とも異なる暗褐色であろう。カチオン種のさらなる指標は、繊維が電気を通さないことである。
【0087】
本プロセスは、酸化銅化合物の一部として、Cu(I)とCu(II)の両方を産生する。本プロセスによって形成された残留酸化銅粉末の解析は、表面上に形成されたのは70%のCu(I)と30%のCu(II)である酸化銅化合物であることを示している。これらの化合物は、痛み、擦過傷及び火傷の治療に非常に有効であることが証明された。銅の活性は、水とカチオン種の酸化還元反応を利用しており、水と接触した際に、Cu(II)とCu(I)との間の転換を許容する。Cu(I)は、HIVに対してCu(II)よりも有効であり、Cu(II)はCu(I)よりも安定である。
【0088】
PCT/IL03/00230に対応する米国特許出願第10/339886号(関連する教示は参照により本明細書にも組み込まれる)には、フィルター材料を含むウイルス不活性化用装置が記載され特許請求されており、上記装置は、その中に組み込まれたCu+及びCu++イオンからなる群より選択される銅イオン及びそれらの組合せを有する。
【0089】
上記明細書には、繊維の表面上で酸化銅を形成する、銅溶液を用いたセルロース繊維のメッキが記載されている。ここで、使用したプロセスは、酸化銅分子の一部としてCu(I)とCu(II)の両方を産生する。次いで、上記繊維はフィルターに組み込まれ、該フィルターはHIV−1の不活性化に有効であることが分かった。
【0090】
本発明による親水性ポリマー材料のメカニズムは完全には理解されていないが、得られた結果に照らして、ポリマー材料が流動的な液体媒体と接触する際に、上記媒体が上記ポリマーの内部から銅カチオン種を浸出させると考えられる。そして、PCT/IL03/
00230に記載されているように、皺に効果的な活性は、水とカチオン種の酸化還元反応を利用しており、水と接触した際に、Cu(II)とCu(I)との間の転換を許容する。Cu(II)はCu(I)よりも安定であるものの、Cu(I)はCu(II)よりも有効である。Cu(II)化合物はCu(I)化合物よりも非常にゆっくりと酸化し、製品の保存期間を増加させるであろう。
【0091】
上述したように、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料が、驚くべきことに、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するのに有効であるという本発明の発見は、本発明による完全に新型の製品の生産を可能にする。
【0092】
製品は、体に接触するかを問わず、よりよい肌の外観を助長することに留意して、以下は、最終用途用のいくつかの製品及びプロトコールの記載である。
1.処理されたポリマー又はセルロースの糸由来の靴下編物であって、任意の他の靴下のように昼夜着用することができ、より清潔に見える足を与える靴下。
2.睡眠中に着用することができるニット手袋であって、皺を減少させ、手の肌の柔軟性を改善する手袋。
3.睡眠中に着用することができるフェイスマスクまたはアイカバーマスクであって、顔面皮膚を改善するマスク。
4.編物又は織物のいずれかのファブリックから作られたパジャマであって、夜に着用することができ、皮膚全般を改善するパジャマ。
5.セルロース又はポリマー繊維から作られた織物又は編物のスカーフであって、昼夜着用することができ、首の皮膚の外観を改善するスカーフ。
6.特定のにきびの痕に置くことができる粘着包帯であって、該痕の肌の質感を改善する包帯。
7.昼夜着用できるパンティー、アンダーウェア又はブラジャーの編物又は織物の下着であって、それが接触している体の特定領域の肌の質感を改善する下着。
8.ベッドリネン及び寝間着:これらは、綿/ポリエステル又は綿を基礎としたファブリックから作られたテキスタイル(一定割合(3%から10%で変化し得る)の糸が処理されたセルロースである、又は、糸の繊維が、フィラメントもしくは短繊維の形態であるポリマーである)の形態にすることができる。物品は、ギプス内装又は靴下等の編物であってもよく、ヘッドカバー又は他の衣服物品等の織物であってもよい。
9.首用シース:これらは、好ましくは、それらを通じて水分のウィッキング及び分散を許容する新規な通気性ポリマーから作られ、該ポリマーは押出しプロセス中に導入された非水溶性酸化銅カチオン粒子を用いて製造される。
【0093】
本発明を、その局面がより完全に理解され評価され得るように、以下の実施例において特定の好ましい実施形態と絡めて、添付の図面を参照してここに記載するが、本発明をこれらの特定の実施形態に制限することは意図しない。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれ得るような全ての改変物、修飾物及び等価物を包含することが意図される。故に、好ましい実施形態を含む以下の実施例は、本発明の実施を例示する役目をするものであり、示した特定物は本発明の好ましい実施形態の例示の目的及び例示的考察のためのみのものであり、定式化手順ならびに本発明の原理および概念的局面の記載が最も有用かつ容易に理解されると考えられるものを提供する過程で提示されることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1a及び図1bは、実施例3に記載されるように、本発明の靴下の適用前及び後に撮影された、患者の足のかかとの写真である。
【図2】図2a及び図2bは、実施例3に記載されるように、本発明の一対の手袋の着用前及び後に撮影された、ボランティアの両手の写真である。
【図3】図3は、ポリプロピレン通気性フィルムの電子顕微鏡写真である。このフィルムは、フィルムを押出す前にマスターバッチの中に1%非水溶性酸化銅を導入して調製され、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子であって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しており、その電子顕微鏡写真中に白点として写っている粒子を有するフィルムを形成した。
【図4】図4は、ポリエステル繊維の電子顕微鏡写真である。この繊維は、繊維を押出す前にマスターバッチの中に1%非水溶性酸化銅を導入して調製され、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子であって該粒子は該繊維の中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出しており、その電子顕微鏡写真中に白点として写っている粒子を有する繊維を形成した。
【図5】図5は、紅斑に関する9日間の追跡のグラフ表示である。
【図6】図6は、紅斑に関する36日間の追跡のグラフ表示である。
【図7】図7は、落屑に関する9日間の治療のグラフ表示である。
【図8】図8は、落屑に関する36日間の追跡のグラフ表示である。
【図9】図9は、亀裂に関する9日間の追跡のグラフ表示である。
【図10】図10は、亀裂に関する39日間の追跡のグラフ表示である。
【図11】図11は、本発明により調製された枕ケースを用いた、女性の皺についての観察された結果を説明する表である。
【実施例】
【0095】
実施例1:処理セルロース繊維からのファブリックの調製
(第1)
所望の最終用途のためにセルロース繊維を選択する。テンセル、又はアセテート、又は
ビスコース又は原綿等の繊維は、使用できる繊維の一員である。メッキは繊維への初期結合に表面上のOH基を使用するので、繊維はセルロースを基礎としなければならないことに注意する必要がある。選択された繊維の長さは、最終用途の機能であり、産業界では常識である(即ち、コーマ綿等の場合におけるように、長い短繊維は、同じ長さの他の繊維と混合される)。
(第2)
本明細書に記載されるように、繊維は種々の化学的プロセスを通過する:
1.的確なカチオン種の沈殿を確実にするために、繊維を薄いマットに調製する。
2.二塩化スズと塩酸の溶液にマットを浸す。マットは、完全な吸収を保証するために短時間浸される。
3.次いで、ほぼ全ての液体を除去するためにマットを圧搾し、全てのスズ溶液の除去を確実にするために水中でマットを洗浄する。
4.次いで、マットを二塩化パラジウムと塩酸の非常に希薄な溶液中に置く。本プロセスには他の金属塩を用いることもできるが、パラジウムが最も有効であることが分かった。5.二塩化パラジウムからの除去後、マットをもう一度洗浄し、全ての余分な液体の除去を確実にするために再び圧搾する。この時点で、マットは淡褐色へと変化した色を呈するであろう。
6.硫酸銅、ポリエチルグリコール及びEDTAを用いて、キレートされた硫酸銅溶液を調製する。溶液に水酸化ナトリウムを加えることで、溶液のpHを調整する。還元剤を硫酸銅溶液に加える。多くの還元剤を用いることができるが、好ましい化合物としてホルムアルデヒドを選択した。
7.マットを溶液中に置き、起こるのに最大7分かかるプロセスを受けさせる。メッキプロセスの間に、マットを圧搾又は叩いて平らにしなければならない。
8.次いで、過剰粉塵を除去するためにマットを水中で洗浄し、乾燥させる。
9.プロセスの最後には、繊維はイオン形態の銅でメッキされ、暗褐色が混ざった色相を呈する。
10.最終産物が酸化銅でメッキされた繊維の所望量だけを含むように、繊維を他の繊維(同一の未処理繊維又は他の繊維)と混紡する。ある場合には、1%の混紡繊維/99%の他の繊維を必要とし、別の場合では、30%の処理繊維/70%の他の繊維又は任意の組合せが調製される。これは様々な方法で行うことができ、テキスタイル糸の紡績技術の当業者には全て公知である。
11.混合繊維は全ての普通のテキスタイルプロセス(即ち、オープンエンド紡績糸製品の場合における:カーディング、スライバー、紡績)を通過する。
12.糸が得られたら、所望の最終用途により織物又は編物のいずれかとすることができる。
13.ファブリックはそのまま用いてもよく、あるいは、その後に染色又は印刷可能であるが、セルロース基材からの銅自体の脱離を引き起こすので、漂白はできない。
14.テキスタイルファブリックは所望の製品に容易に転換できる。
【0096】
実施例2:処理されたポリマー材料からのファブリック又はフィルムの調製:
実施例2a:ファブリックの調製:
A1.所望の最終用途のためにポリマー材料を選択する。ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン66、ナイロン6等の繊維は、使用できる繊維の一員である。繊維は、フィラメント形態又は短い短繊維の形態のいずれかに成形することができる。
A2.酸化銅粉末が添加される所望の糸と同一の原材料を用いて、マスターバッチを調製する。大多数のテキスタイルの最終用途のために、マスターバッチはその中に含まれる20%−25%の濃度の酸化銅粉末を有していてもよい。押出されたポリマーにマスターバッチを加え、完成糸に材料が約1%又は2%だけ存在するように希釈する。一定量の銅がポリマー繊維の表面に現れ、電子顕微鏡写真で観察することができる。
A3.繊維が長繊維の場合、テキスタイルを製造するために、繊維は織物又は編物であっ
てもよい。
A4.繊維が短繊維の場合、上述のコーティングされた繊維を混合する方法で、繊維を他の繊維と混合してもよく、次いで同様の製造プロセスに従う。
A5.糸が完成すると、糸は、完成品への転換のための標準かつ許容されたシステムに従うテキスタイル製品に織っても、編んでもよい。
【0097】
実施例2b:フィルム又はシースの調製:
B1.所望の最終用途のためにポリマー材料を選択する。ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン66、ナイロン6等のポリマーは、使用できるポリマーの一員である。ポリマー材料は、フィルム又はシースのいずれかに形成することができる。
B2.酸化銅粉末が添加される所望のポリマーと同一の原材料を用いて、マスターバッチを調製する。大多数の最終用途のために、マスターバッチはその中に含まれる1%−3%の濃度の酸化銅粉末を有してもよい。押出されたポリマーにこのマスターバッチを加える。一定量の銅がポリマーフィルム又はシースの表面に現れ、電子顕微鏡写真で観察することができる。
【0098】
実施例2C−繊維の調製
各160℃の別個の槽にて2種のビーズ状化学物質を熱して、ポリアミドの二成分化合物を全量500グラム調製した。
【0099】
次いで、2つの別個の成分を合わせて混合し、混合物の色が均一になるまで15分間撹拌した。
【0100】
混合した化学物質(chemistry)を再び2つの別個の容器に分配した。一方のポットで
は、25グラムのCuOとCu2O粉末の混合物を加え、1%混合物を得た。第2のポットでは、6.25グラムのCuOとCu2Oの混合物を加え、0.25%混合物を得た。両方の場合で、160℃の温度を維持した。化合物の色が均一になるまで化合物を撹拌した。
【0101】
2つの混合物を、孔を有する紡糸口金に通し、直径が50から70ミクロンの間の繊維を得た。Cu++を放出する酸化銅粉末を20ミクロン未満の粒子にまで微粉末にしたので、紡糸口金の孔の閉塞は観察されなかった。押出した繊維を空冷し、円錐状に紡いだ。
【0102】
結果として生じた、その中に組み込まれたCu++を放出する酸化銅を有するナイロン繊維は、手袋又は靴下、及び、スカーフを含む本発明の多くの適用に使用することができる。
【0103】
ここで、当業者に理解されるように、任意の合成繊維を製造する通常のプロセスと本プロセスとの間の相違点は、原材料にCu++を放出する酸化銅粉末を加えることであり、本発明の多くの使用に関して、ポリエステル、ナイロン及びポリプロピレン等のポリマーは相互に使用可能である。
【0104】
実施例3:足のかかと領域の再生:
図1a及び1bを参照すると、ボランティアの足のかかと及び足裏領域の前後写真が見てとれる。ここで、図1aにおいて、上記領域は皺がよっており、斑点がある。下端のつま
先及びかかと領域に組み込まれたCu+及びCu++の不溶性酸化銅化合物の繊維1%を有する、本発明のポリエステルの靴下を6日間着用した。上記期間の最後に、図1bに見られ
るように、さらに写真を撮影した。見られるように(添付の白黒写真では見にくいものの)、皮膚はより健全で、より柔らかく、斑点がより少なく、そして皺がほとんどない。
【0105】
実施例4:手の甲の表面における皺の減少:
図2aを参照すると、ボランティアの両手の写真がみてとれる。次いで、上記ボランテ
ィアは、3夜の期間の間(各夜につき約10時間)、本発明の綿の手袋を左手だけに着用した。上記手袋は、97%の綿で作製され、3%の本発明のセルロース繊維を含んでいた。ここで、上記繊維はCu+及びCu++の不溶性酸化銅化合物を用いてコーティングされていた。図2bに見られるように、ほんの3日後に、使用者の左手は、より滑らかになり、
かつ、皺がほとんど目立たなくなった。
【0106】
実施例5:臨床試験:
実験統計学の修士号を有する有資格の神経科医である、マイケル S.スミス医師に、Cu+及びCu++イオンを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリックの下部パネルを用いて調製した靴下の、種々の足病学的症状(すなわち、紅斑、落屑、亀裂、臭気及び浮腫)に対する効果の解析を依頼した。これらは美容上の問題ではないものの、痒み及び火傷、水疱疹、並びに、排膿等の他の指標が言及され、記録された。
【0107】
1群の患者が調査され、その結果と、本発明の靴下で治療しなかった同様の症状を有す
る患者について足病医が有する経験とを比較した。
【0108】
結果:
全結果の信頼区間が0を含まず、全結果のp値が<0.001であったことから、次の結果は全て統計学的に有意であると考えられる。これは、追跡調査期間において本発明の靴下を用いた治療が有効であるという信頼できる医学的証拠が存在することを意味する。
【0109】
人口構成:
患者は、女性17名と男性39名の、計56名であった。群の平均年齢は58歳で、標準偏差は16歳(21−85歳の範囲)であった。21名は糖尿病患者で、21名は65歳より高齢で、24名は2度以上追跡された。
【0110】
変数:
7つの指標が調査された:紅斑、火傷及び痒み、浮腫、落屑、水疱疹、亀裂、排膿及び臭気。落屑のみが全56名の患者において存在し、紅斑が51名に存在した(表参照)。浮腫(6)、臭気(5)及び排膿(3)は最小の共通変数であった。「長期間追跡」とは、靴下の使用後に2回以上評価されたことをいう。3段階の順序尺度が用いられた:現存、改善及び消散。この尺度に沿った移行(「現存」から「改善」又は最初の2つのいずれかから「消散」)は肯定的な徴候であると考えられ、反対方向への移行(「改善」から「現存」)は否定的な徴候であると考えられた。靴下を着用してから、最初に訪問した際に患者が消散したと考えられた場合、その個体は長期間追跡では最上でも「変化なし」と記録される。従って、「変化なし」は「持続する改善」と同等であると考えられる。長期間のセクションにおける平均的な時間の長さとは、最初の訪問と患者に関する最終的な見解がなされた日との間の時間と定義される。調査開始時に特定の問題を有する患者のみを後に計数した。どの場合でも、特定の問題を有さない患者が問題を発現した例はなかった。浮腫、臭気及び排膿の場合においては、結果を集計したものの、サンプルのサイズが小さすぎて何の結論も出せなかった。
【0111】
実施例5A:紅斑(51名の患者):
A1.全51名の患者は改善した;22名(42%)は9日間の平均期間(4−28日の範囲)にわたって完全に消散した。消散の95%信頼区間は(0.29、0.58)であった。全母集団の完全消散の比率(パラメーター)は分からないものの、この結果は、29%と58%の間に信頼区間が存在する高い信頼を意味している。仮に、この時間枠においてどの患者も他の治療なしには通常は改善しないということを前もって知っていたと
すれば、得られた結果は有意性が高い。すなわち、偶然によるものではない。
本試験の結果を図5に示す。
【0112】
A2.長期間調査(22名の患者):
19名(86%)は改善を持続したか、消散した。95%CI(0.65,0.97)。3名の患者(14%)は改善を持続しないか、「現存」に逆戻りした。95%CI(0.03、0.34)。追跡の平均的な長さは36日間であった。糖尿病患者及び65歳より高齢の患者は、短期及び長期間の両方で改善を共有した。
結果を図6に示す。
【0113】
実施例5B:落屑(56名の患者):
B1.56名のうち55名が改善した(98%)、5名が消散した(9%)、そして1名が変化なしのままであった。ある程度の改善の95%信頼区間は(0.90,1.00)、消散は(0.03、0.20)である。p値はともに有効性に関して大いに有意である。
結果を図7に示す。
【0114】
B2.長期間調査(24名の患者):
34日間の平均追跡で、21名(88%)は改善を維持し続けるか消散し、3名は逆戻りした。p値<0.001で、95%信頼区間は(0.68、0.97)である。この場合もやはり、糖尿病患者及び高齢者は改善を共有した。
結果を図8に示す。
注:追跡のグラフは、比較を容易にするため、前のグラフと同一のスケールを有する。
【0115】
実施例5C:亀裂(37名の患者):
C1.10日間の平均追跡で、37名の患者全てが改善し、15名(40%)は完全に消散した。95%CI(0.25、0.58)。これは大いに有意である。
結果を図9に示す。
【0116】
C2.長期間調査(17名の患者):
39日間の平均追跡で、17名の患者全てが改善し、6名(35%)は完全に消散した。95%CI(0.14、0.62)。この場合もやはり、糖尿病患者及び高齢者は改善を共有した。
結果を図10に示す。
【0117】
実施例5D:浮腫(6)、排膿(3)及び臭気(5):
浮腫を有する3名の患者が改善し、1名は消散した。排膿を有する3名の患者全てが改善し、2名は消散した。臭気を有する5名の患者のうち3名が改善し、そのうち2名は消散した。
【0118】
議論:
この調査の目的は、種々の足の病気を有する患者が、本発明のファブリックパネルを有する靴下を着用するだけで、改善するかどうかを調べることであった。上記症状の治療における1つの問題は、本治療(特別な靴下)を入手し、使用することにおけるコンプライアンスである。関連する問題は、足の足底面への、及び、指間領域における治療(特別な靴下)の適正な適用である。
【0119】
1.これらの実施例の目的のために、与えられたデータの解析において、下記の事項を前提とした。
a.患者は、これらの症状を有する患者の母集団の合理的、代表的なサンプルであった。
この仮定を否定する情報は得られなかった。男性、女性、高齢者、若年者、糖尿病患者及び糖尿病でない患者が存在した。
b.患者は相互に依存していなかった。すなわち、1個体の選択は他の個体の選択に影響
しなかった。
c.改善及び消散の定義は、各患者に対して一定であった。
d.サンプルサイズは既知であり、解析を実行するのに適切であった。
e.結果は二分化して定義されうる。
これらの仮定の存在は、二項確率分布を用いるのを可能にした。
【0120】
2.対照グループは報告されていないが、普通の靴下を着用するだけでは調査の期間枠中に患者が消散又は改善する見込みはほとんどない、と足病学者が信じる旨の情報が得られた。そのような情報を与えられると、全ての上記結果は統計的に有意であると考えられた。これは、本発明によるファブリックパネルを用いた治療は、本追跡期間において有効であるという医学的証拠が存在することを意味した。
【0121】
調査を記述するのに用いられる用語を理解することは重要である。
・母集団:研究を希望する群。この場合、母集団は、上に列挙した足の症状を有する全ての患者である。
・サンプル:母集団の小集団。
・ランダムサンプル:母集団の各メンバーが、定義され、選ばれる確率が0ではない場から選ばれた小集団。
・パラメーター:母集団の数値尺度。
・統計値:サンプルの数値尺度。
・p値:帰無仮説(変化がないという仮説)が真実であると仮定した場合に、特定のサンプル統計値(又はもう1つの極端)が得られ得る確率。本調査の文脈では、0.001未満のp値は、これらの結果を単独で偶然に得る確率が1000のうちの1未満であることを意味する。通常は、20のうちの1が、「カットオフ」点であると考えられる。ミニタブソフトウェアはp値を小数第4位まで計算しないので、ここで得られた値の多くは、さらにより小さくなる。
・信頼区間は、パラメーターのもっともらしい値の範囲を含む。不明であるが、パラメーターが実際に存在しており、区間がパラメーターを含むか含まないので、信頼区間と呼ぶ。これは確率の問題ではない。本調査に関しては、従来の治療では調査時間枠内にどの患者も改善しないと仮定した場合において、区間が0を含まない限り、パラメーターのもっともらしい値のいずれもが0ではないことから、結果は有意である。ある他の割合が改善したと仮定した場合、特定の値を含まない任意の区間は有意であると考えられる。本調査において、上記情報とともに、全領域は統計的有意に達した。
・推論の循環:母集団からサンプリングし、結果(統計値)を得て、母集団の一部であるパラメーターについて何らかの推論をするのに、その値を用いる。
母集団 → サンプル
↑ ↓
パラメーター ← 統計値
その数値尺度、パラメーターが未知のままであることから、母集団の全メンバーを特定できることはまずないということを理解するのは重要である。
【0122】
本調査では、母集団の全メンバーを知ることができないので、サンプルの結果、改善された(又は消散した)割合を用いて、母集団の同様の割合も改善するであろうと述べる。サンプルを適切に選んだ場合、推定値は価値を有する。もちろん、サンプルが取り得るもっともらしい値には範囲があるので、他のサンプルは他の結果をもたらし得ることを認識しなければならず、上述したように、我々のサンプルの結果はそれらの可能性のある値のうちの1つであった。
【0123】
結論:
過去の対照と比較して、本発明によるCu+及びCu++を放出する非水溶性銅化合物を組み込んだファブリックの下部パネルを用いて調製した靴下を有する患者は、下記の症状において有意に改善又は消散した:
紅斑
亀裂
落屑
浮腫
臭気
【0124】
さらに、グループのほぼ40%(51名中19名)は糖尿病患者又は65歳より高齢であったので(10名は糖尿病患者かつ65歳より高齢)、高齢の糖尿病患者を含む糖尿病を有する人々についての上記すべての症状に対する改善又は消散に関して、本調査は統計的に有意である。
【0125】
公知のように、紅斑は、毛細血管の拡張及び鬱血により引き起こされる皮膚の発赤により特徴づけられ、しばしば炎症又は感染の徴候である。従って、美容上の懸念である。
落屑は、微生物性乾癬に関連する場合、治癒すべき問題であり、これは本発明の製品の使用により改善される。
浮腫は、体の特定部位における観察できる腫脹であり、最も一般的には足及び脚におこる(末梢浮腫とも呼ばれる)。腫脹は、血管外側の組織内の空間における皮膚下の過剰な液体の集積の結果であり、その縮小は本発明の方法及び製品により促進される。
亀裂は、通常は粘膜を連結する皮膚の裂け目であり、亀裂状の痛み又は潰瘍を生じさせる。そして、亀裂も、本発明により処置できる美容上の問題である。
臭気は、本発明の製品及び方法で処理することができる主要な美容上の問題である。
【0126】
実施例6:顔の皺に対する枕ケースの効果の調査:
皮膚を治療する製品を定期的に使用している17名の女性に、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックから形成された枕ケースが与えられ、そして、試験前、1週目の終わり、2週目の終わり、再度4週目の終わりに、本発明に従って調製された枕ケースを使用して各夜睡眠後に、写真撮影されるよう依頼された。8週目の終わりに、被験者は、皮膚全体の外観における改善又は後退があったかどうかの情報を、電話して受信者に報告するよう依頼された。被験者は、夜の睡眠前の洗顔以外は毎晩オイル又はクリームを使用しないよう依頼された。評価の目的は、目尻の皺、縮緬皺及び顔のみの小皺に対する枕ケースの効果を観察することであった。観察方法は、自然光で3.4psiデジタルカメラを用いて
の写真撮影であった。
【0127】
被験者は、睡眠中に顔の片側を枕ケースに接触させ続けるよう指導された。全ての場合において、枕ケースは週に一度洗濯された。被験者は、通常使用するのと同じ石鹸で洗顔するように、ただし睡眠前にあらゆるオイル又はフレッシュナーを使用しないように指導された。
【0128】
全被験者は、45歳から60歳の間の年齢であった。薬物治療を受けている被験者はいなかった。少なくとも2名の被験者は喫煙者であることが分かっている。
【0129】
試験の目的のために、皮膚科医は、何らかの可能性のある負の効果があるかどうか観察するよう依頼された。負の効果は観察されなかった。これは以前行われた生体適合性試験を確認するものである。10名の異なる女性からなるパネルは、以下の値について写真を
評価するよう依頼された:
1.改善なし(添付書面において「A」で表される)
2.わずかな改善(添付書面において「B」で表される)
3.改善(添付書面において「C」で表される)
4.著しい改善(添付書面において「D」で表される)
【0130】
17名の被験者の氏名は別個のファイルにて入手可能であり、ここに図11として添付した図表においては、ナンバー1−17として表される。10名の判定者の氏名は別個のファイルにて入手可能である。
【0131】
図11に示すように、これら独立した判定者によって記録された結果から分かるように、長期にわたる顔の解析は、目尻の皺、小皺、及び、場合によっては斑状高色度沈着(肝斑)の縮小について全体的に有意な改善を示した。全ての場合において、皮膚の外観及び質感における全体的な改善があった。
【0132】
本発明は、上記の例示的な実施例の詳細には限定されず、本発明は、その本質的な性質から離れずに、他の特定の形態で実施し得ることは、当業者に自明であろう。また、故に、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内の全ての改変は、その中に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法。
【請求項2】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はその組み合わせを放出する非
水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するフィルムである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマー繊維であって、該粒子は該繊維の中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する繊維である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィラメントであって、該粒子は該フィラメントの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィラメントの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するフィラメントである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーシースであって、該粒子は該シースの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該シースの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するシースである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記材料が、枕ケースに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項8】
上記材料が、ベッドシーツに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項9】
上記材料が、少なくとも一部のフェイスマスクに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項10】
上記材料が、スカーフに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項11】
上記材料が、使用者の首上の取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項12】
上記材料が、使用者の体部分を囲む調節可能な接続のための、その反対端に備えられた連結手段を有する伸長パネルに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項13】
ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選択されるポリマー成分から形成されるポリマー材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び消去するための美容方法であって、該材料は、繊維、糸、シース、フィラメント又はシートの形態であり、かつ、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオ
ン又はそれらの組合せを治療すべき皮膚表面に放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子(該粒子は該形態の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該形態の表面から
突出している)を有する、請求項1に記載の美容方法。
【請求項14】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させる材料を製造するための使用。
【請求項15】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシースを製造するための使用。
【請求項16】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための枕ケースを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項17】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項18】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項17に記載の使用。
【請求項19】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項17に記載の使用。
【請求項20】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための寝間着を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項21】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項20に記載の使用。
【請求項22】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項20に記載の使用。
【請求項23】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための手袋を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項24】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのシースを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項25】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させるファブリックを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項26】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項25に記載の使用。
【請求項27】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項25に記載の使用。
【請求項28】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、顔の皺を予防、最小限に抑制及び消去するための少なくとも一部のフェイスマスクを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項29】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、使用者の体部分を囲む調節可能な接続のための、その反対端に備えられた連結手段を有する伸長パネルを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項30】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための靴下を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項31】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのテリー織物材料を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項32】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムであり、該フィルムは、浸透作用により液体を分散させる能力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムであり、該フィルムは、過剰な液体を逃がすことができるように全体的に穿孔された微小孔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
上記材料が、親水性ポリマー材料である請求項1に記載の方法。
【請求項35】
上記材料が、疎水性ポリマー材料である請求項1に記載の方法。
【請求項1】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合物を組み込んだ材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための美容方法。
【請求項2】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はその組み合わせを放出する非
水溶性銅化合物を組み込んだ繊維を有するファブリックである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって、該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するフィルムである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマー繊維であって、該粒子は該繊維の中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該繊維の表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する繊維である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィラメントであって、該粒子は該フィラメントの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィラメントの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するフィラメントである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記材料が、イオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーシースであって、該粒子は該シースの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該シースの表面から突出しており、該粒子は液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するシースである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記材料が、枕ケースに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項8】
上記材料が、ベッドシーツに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項9】
上記材料が、少なくとも一部のフェイスマスクに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項10】
上記材料が、スカーフに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項11】
上記材料が、使用者の首上の取り外し可能な位置調整用のチューブ状シースに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項12】
上記材料が、使用者の体部分を囲む調節可能な接続のための、その反対端に備えられた連結手段を有する伸長パネルに組み込まれている請求項1に記載の美容方法。
【請求項13】
ポリアミド、ポリエステル、アクリル及びポリアルキレンからなる群より選択されるポリマー成分から形成されるポリマー材料を、治療すべき体表面に適用することを含む、皺を予防、最小限に抑制及び消去するための美容方法であって、該材料は、繊維、糸、シース、フィラメント又はシートの形態であり、かつ、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオ
ン又はそれらの組合せを治療すべき皮膚表面に放出する酸化銅イオンの非水溶性粉末状微粒子(該粒子は該形態の中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該形態の表面から
突出している)を有する、請求項1に記載の美容方法。
【請求項14】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させる材料を製造するための使用。
【請求項15】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させるファブリック又は押出しフィルム、フィラメント又はシースを製造するための使用。
【請求項16】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための枕ケースを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項17】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための材料を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項18】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項17に記載の使用。
【請求項19】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項17に記載の使用。
【請求項20】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための寝間着を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項21】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項20に記載の使用。
【請求項22】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項20に記載の使用。
【請求項23】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための手袋を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項24】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する酸化銅イオンの
非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれ、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムの、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのシースを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項25】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び消去するために体表面と接触させるファブリックを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項26】
上記繊維が、その中に組み込まれており、かつ、その表面から突出している上記化合物を有するポリマー繊維である請求項25に記載の使用。
【請求項27】
上記繊維が、上記銅化合物でコーティングされている請求項25に記載の使用。
【請求項28】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、顔の皺を予防、最小限に抑制及び消去するための少なくとも一部のフェイスマスクを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項29】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、使用者の体部分を囲む調節可能な接続のための、その反対端に備えられた連結手段を有する伸長パネルを製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項30】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するための靴下を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項31】
液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出する非水溶性銅化合
物を組み込んだ繊維の、皺を予防、最小限に抑制及び除去して、より滑らかで、より健全な皮膚表面を提供するためのテリー織物材料を製造するための請求項15に記載の使用。
【請求項32】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムであり、該フィルムは、浸透作用により液体を分散させる能力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
上記材料が、液体と接触してCu+イオン、Cu++イオン又はそれらの組合せを放出するイオン性酸化銅の非水溶性粉末状微粒子を有するポリマーフィルムであって該粒子は該フィルムの中に直接埋め込まれており、該粒子の一部は露出し、該フィルムの表面から突出しているフィルムであり、該フィルムは、過剰な液体を逃がすことができるように全体的に穿孔された微小孔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
上記材料が、親水性ポリマー材料である請求項1に記載の方法。
【請求項35】
上記材料が、疎水性ポリマー材料である請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−179369(P2012−179369A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−87541(P2012−87541)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2007−539715(P2007−539715)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(507145226)ザ カプロン コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87541(P2012−87541)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2007−539715(P2007−539715)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(507145226)ザ カプロン コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】
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