説明

スキンケア方法およびこれに用いる化粧料

【課題】肌に優れたハリ感を付与し、その効果を長時間に渡って持続することができるスキンケア方法を提供すること。
【解決手段】
(A)極性油を80%以上含有する液状親油性化粧料を皮膚に塗布し、次いで当該塗布部位上に、(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有するゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布することを特徴とするスキンケア方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキンケア方法に関し、さらに詳細には、主として極性油を含有する液状親油性化粧料と特定の非極性油を含有したゲル状ないし固形状親油性化粧料を順次肌に塗布することにより、優れたハリ感を与え、その効果を長時間維持することができるスキンケア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肌が柔軟で弾力性に富みハリがあると若々しい印象を与えるが、加齢や肌の乾燥等によってハリが失われてしまうため、ハリ感を付与することを目的としたスキンケア化粧料が種々提案されている。
【0003】
例えば、補酵素Qやトウキ抽出物などを含有し、肌の状態を改善することによって、ハリ感の付与を図った化粧料が開示されている(特許文献1および2)。
【0004】
一方、このような薬効成分によるのではなく、肌上に皮膜を形成することによってハリ感を与える化粧料も提案されており、例えば、イソステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコールを含有する油中水型乳化組成物(特許文献3)や、粒子径10〜2000μmの油性粒子をポリビニルアルコールを含む水相中に分散させた外用組成物(特許文献4)、寒天と特定のシリコーンオイルを含有した皮膚化粧料(特許文献5)などが開示されている。これらは肌上に皮膜を形成させて水分の蒸散を防ぐことによって、ハリ感を与えようとするものであるが、その効果は十分なものではなく、持続性にも欠けるものであった。
【0005】
また、ステアリン酸ステアリルと炭化水素ワックスを併用した水中油型乳化化粧料(特許文献6)も開示されている。しかし、このような水中油型乳化化粧料では、炭化水素ワックスによる皮膜が連続せず点在しているため、皮膜の閉塞性や肌を引張り引き締める作用が不十分であり、満足のいくハリ感が得られなかった。一方、炭化水素ワックスにより連続した皮膜を形成しようとすると、その伸展性が低く肌に均一に塗布することが困難であるため、このような水中油型乳化化粧料等の剤型とせざるを得ないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−84505号公報
【特許文献2】特開2001−233756号公報
【特許文献3】特開2010−229103号公報
【特許文献4】特開2011−46629号公報
【特許文献5】特開2010−235473号公報
【特許文献6】特開2010−235472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、肌に優れたハリ感を付与し、その効果を長時間に渡って持続させることができる方法が望まれており、本発明はそのようなスキンケア方法を提供することを課題とする。
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、まず極性油を主成分とする液状親油性化粧料を肌に塗布し、次いで特定の非極性油を含有したゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布することにより、弾力性に富み強固で閉塞性の高い均一な膜を形成することができ、これにより優れたハリ感が得られ、その効果が長時間維持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、(A)極性油を80%以上含有する液状親油性化粧料を皮膚に塗布し、次いで当該塗布部位上に、(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有するゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布することを特徴とするスキンケア方法である。
【0010】
また本発明は、上記スキンケア方法に用いられる液状親油性化粧料又はゲル状ないし固形状親油性化粧料である。
【0011】
また本発明は、極性油を80%以上含有する液状親油性化粧料と、融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有するゲル状ないし固形状親油性化粧料とを含むスキンケア化粧料キットである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスキンケア方法により、炭化水素ワックスを含む皮膜を肌上に均一に形成することができる。この皮膜は閉塞性が高く、また強固で弾力性に富むものであるため、保湿効果を与えるとともに、肌を引張り引き締めることによって、優れたハリ感を与え、かつその効果を長時間維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスキンケア方法は、まず液状親油性化粧料を塗布し、次にその塗布部位上にゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布するものである。本発明において、親油性化粧料とは、油相を連続相とする剤型であり、油性および油中水乳化型が含まれる。
【0014】
最初に塗布する液状親油性化粧料は、成分(A)極性油を含有する。極性油とは分子中にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、不飽和結合等の極性結合を構造の一部に1つ以上有する非シリコ−ン系油を示すものである。極性油としては、通常化粧料に含有し得るものであれば特に限定なく使用でき、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液状油、揮発性油等の性状を問わないが、20℃で液状である極性油が使用性の観点から好ましい。20℃で液状の極性油としては、例えば、エステル油、エーテル油、高級脂肪酸、高級アルコールなどが挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0015】
合成エステル油として、アルコールと脂肪酸とのエステル、グリセリン又はポリグリセリンと脂肪酸とのエステル等が挙げられ、より具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−へプチルウンデカン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、セトステアリルアルコール、アセトグリセラリル、パルミチン酸2−へプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0016】
天然エステル油としては、メドウフォーム油、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、ホホバ油、胚芽油等が挙げられる。
【0017】
エーテル油としては、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル等が挙げられる。
【0018】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0019】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0020】
上記20℃で液状である極性油の中でも、エステル油が好ましく、さらにグリセリンと脂肪酸とのエステルが好ましく、特に成分(a1)20℃で液状のトリグリセライド油は、肌に柔軟性を与えるとともに、次いでゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布する際に良好な伸び広がりを与え、均一な皮膜を形成することができるために好適に用いられる。20℃で液状とは、例えばブルックフィールド型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が1〜1000mPa・s、好ましくは1〜500mPa・sの範囲である。20℃で液状のトリグリセライド油の例としては、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルなどの飽和脂肪酸のトリグリセライド油;トリオレイン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリルなどの不飽和脂肪酸のトリグリセライド油などが挙げられるが、肌への柔軟性付与効果がより高いことから不飽和脂肪酸のトリグリセライド油がより好ましい。またメドウフォーム油、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、ホホバ油、胚芽油などの植物油は、不飽和脂肪酸のトリグリセライド油を主成分として含有するため、これらの植物油を成分(a1)として好適に使用することができる。
【0021】
また成分(A)として成分(a2)不飽和脂肪酸誘導体を用いると肌に柔軟性を付与し、より高いハリ感が得られるとともに、ゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布する際の伸び広がりを向上することができるために好ましく、特に成分(a1)と併用するとより高い効果が得られる。成分(a2)不飽和脂肪酸誘導体は、トリグリセライド油以外の不飽和脂肪酸の誘導体であり、例えば、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リノール酸エチル、リノレン酸エチル、パルミトレイン酸エチル、ミリストレイン酸エチル等の不飽和脂肪酸と1価アルコールのエステル化合物やオレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリルなどの不飽和脂肪酸と多価アルコールのエステル化合物などが挙げられる。これらの中でもオレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノレン酸エチル、オレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル等の炭素数が18である不飽和脂肪酸の1価アルコール又は多価アルコールのエステル化合物が肌に柔軟性を付与できるため好適である。
【0022】
また成分(a3)ステロール誘導体を含有させることによっても肌に柔軟性が付与され、ハリ感とゲル状ないし固形状親油性化粧料の伸び広がりが改善される。特に成分(a1)及び/又は(a2)と併用するとその効果が著しく増強されるために好適である。ステロール誘導体は動物油脂、植物油脂から得られるステロール化合物の誘導体であり、ステロール骨格としては動物性のものでも植物性のものでも良い。例えば、ラノリン脂肪酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、ノナン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸ジヒドロコレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル等の脂肪酸とコレステロールとの化合物、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)等の長鎖アシルアミノ酸とコレステロールとの化合物、ラノリン脂肪酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロフィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸ジヒドロフィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等の脂肪酸とフィトステロールとの化合物、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等の長鎖アシルアミノ酸とフィトステロールとの化合物が挙げられる。これらのうち、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、オレイン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロフィトステリル等の不飽和脂肪酸とコレステロール又はフィトステロールとのエステル化合物が肌に柔軟性を付与できるため好適に用いられる。
【0023】
液状親油性化粧料における成分(A)の含有量は80質量%(以下、単に「%」で示す)以上であり、90%以上がより好ましい。このような範囲であると、肌に柔軟性を与えるとともに、次いでゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布する際に良好な伸び広がりを与え、均一な皮膜を形成することができる。特に成分(a1)を85〜100%、好ましくは90〜96%含有するものが好適である。さらに、成分(a2)及び/又は(a3)を併用することにより、肌に柔軟性を付与し、ハリ感をより向上することができる。この場合の(a2)の含有量は0.01〜3%が好ましく、特に0.2〜1%が好ましい。また(a3)の含有量は0.1〜10%が好ましく、特に3〜7%が好ましい。
【0024】
液状親油性化粧料に含有し得るその他の成分としては、一般に化粧料に含有される成分、例えば、非極性油、アルコール、界面活性剤、ゲル化剤、粉体、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、香料、酸化防止剤、美容成分、水溶性成分、精製水などの水性成分等が挙げられる。非極性油としては、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン、メチルポリシロキサン等が例示できる。この液状親油性化粧料は、油性、油中水乳化型のいずれでもよいが、ゲル状ないし固形状親油性化粧料とのなじみに優れるという点で油性化粧料が好ましい。この液状油性化粧料には、少量の水性成分が含まれていてもよいが、実質的に水性成分を含有していないことが好ましく、具体的には1%未満であることが好ましい。
【0025】
上記成分(A)およびその他の任意成分を常法に従って混合することにより、本発明に用いる液状親油性化粧料を調製することができる。この液状親油性化粧料は、常温(20℃)で液状であればよく、例えばブルックフィールド型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が1〜1000mPa・s、好ましくは1〜500mPa・sの範囲である。このような範囲であると、肌に柔軟性と円滑性を付与できるために好ましい。
【0026】
一方、上記液状親油性化粧料の次に適用されるゲル状ないし固形状親油性化粧料は、成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有する。
【0027】
成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスとして、例えばポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、フィッシャー・トロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらのうち、融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせると、より高いハリ感が付与され、それが長時間維持されるために好ましい。
【0028】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の成分(B)の含有量は、0.5〜15%が好ましく、1〜8%がより好ましい。このような範囲であると高いハリ感が与えられ、その効果が長時間維持される。0.5%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、15%よりも多いと、均一な膜が形成されずハリ感の維持効果が低下する場合がある。融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせる場合には、これらを質量比1:10〜8:1、好ましくは1:3〜2:1の範囲で組み合わせることが好適である。
【0029】
成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンは、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上させる作用を有する。水素添加ポリイソブテンとは、イソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成されたポリイソブテンを水素添加したものである。数平均分子量は1000〜1500がより好ましい。ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の成分(C)の含有量は1〜30%が好ましく、5〜15%がさらに好ましい。1%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、30%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の維持効果が低下する場合がある。
【0030】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料には、さらに成分(D)デキストリン脂肪酸エステルを含有することができる。デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと好ましくは炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが用いられ、具体的には、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等が挙げられる。これらのデキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「レオパールKL」「レオパールKE」「レオパールTT」「レオパールTL」(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。成分(D)は、成分(B)の結晶性を阻害する作用を有するため、成分(B)を比較的多く含有する場合に好適に使用され、例えば成分(B)を8〜15%含有しても、均一な膜を形成することができ、ハリ感の持続性を維持することが可能となる。ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の成分(D)の含有量は、0.001〜1%が好ましく、0.01〜0.1%がより好ましい。
【0031】
本発明に用いるゲル状ないし固形状親油性化粧料には、上記(B)〜(C)以外の非極性油を含有することができる。このような非極性油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ジメチルポリシロキサンなどが挙げられ、これらのうち、流動パラフィンがゲル状ないし固形状親油性化粧料の均一な伸び広がりを付与できるため好ましく用いられる。ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の成分(B)〜(C)を含めた非極性油の含有量は10〜50%が好ましい。この範囲であるとゲル状ないし固形状親油性化粧料の均一な伸び広がりを付与することができる。
【0032】
またゲル状ないし固形状親油性化粧料には、さらに成分(A')極性油を含有することにより弾力性に富む膜を付与することができる。成分(A')極性油としては、上記液状親油性化粧料に用いる極性油と同じものを使用できるが、これらのうちトリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリルなどの20℃で液状のトリグリセライド油が好適に用いられる。また高粘性の極性油を含有することにより、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上することができる。高粘性の極性油とは、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が1500mPa・s以上のものであり、例えばデカイソステアリン酸デカグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる((a'1))。長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体のステロール骨格は動物性のものでも植物性のものでも良く、具体的には、ラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)などが挙げられる。ジペンタエリトリット脂肪酸エステルとしては、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0033】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の成分(A')の含有量は5〜80%であることが好ましく、5%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、80%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の持続性が不十分になる場合がある。また成分(a'1)の含有量は、ゲル状ないし固形状親油性化粧料中5〜50%が好ましい。
【0034】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料に含有し得るその他の任意成分としては、一般に化粧料に含有される成分、例えば、非極性油、アルコール、界面活性剤、ゲル化剤、粉体、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、香料、酸化防止剤、美容成分、水溶性成分、精製水などの水性成分等が挙げられる。
【0035】
上記成分(B)、(C)と必要に応じ成分(D)、(A')などその他の任意成分を常法に従って混合することにより、本発明に用いるゲル状ないし固形状親油性化粧料を調製することができる。このゲル状ないし固形状親油性化粧料は、常温(20℃)でゲル状ないし固形状であればよく、20℃において以下に示す針入度を測定したときにその値が5以上、好ましくは40〜300の範囲である。針入度の測定は、レオメーター(不動工業社製)を用い、測定温度20℃、レンジ500g、5mmΦアダプターを用いて6cm/分の速度で2mm針入させて測定する。
【0036】
本発明に用いるゲル状ないし固形状親油性化粧料は、油相を連続相とする油性および油中水乳化型のいずれでもよいが、上記液状親油性化粧料とのなじみに優れるという点で油性化粧料が好ましい。このゲル状ないし固形状油性化粧料には、少量の水性成分が含まれていてもよいが、実質的に水性成分を含有していないことが好ましく、具体的には1%未満であることが好ましい。
【0037】
本発明に用いるゲル状ないし固形状親油性化粧料の態様のうち、まず油性であるゲル状ないし固形状油性化粧料について説明する。このゲル状ないし固形状油性化粧料は、上記成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有する。
【0038】
成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスとして、例えばポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、フィッシャー・トロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらのうち、融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせると、より高いハリ感が付与され、それが長時間維持されるために好ましい。
【0039】
ゲル状ないし固形状油性化粧料中の成分(B)の含有量は、2〜15%が好ましく、4〜8%がより好ましい。このような範囲であると高いハリ感が与えられ、その効果が長時間維持される。2%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、15%よりも多いと、均一な膜が形成されずハリ感の維持効果が低下する場合がある。融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせる場合には、これらを質量比1:10〜8:1、好ましくは1:3〜2:1の範囲で組み合わせることが好適である。
【0040】
成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンは、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上させる作用を有する。水素添加ポリイソブテンとは、イソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成されたポリイソブテンを水素添加したものである。数平均分子量は1000〜1500がより好ましい。ゲル状ないし固形状油性化粧料中の成分(C)の含有量は1〜30%が好ましく、5〜15%がさらに好ましい。1%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、30%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の維持効果が低下する場合がある。
【0041】
ゲル状ないし固形状油性化粧料には、さらに成分(D)デキストリン脂肪酸エステルを含有することができる。デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと好ましくは炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが用いられ、具体的には、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等が挙げられる。これらのデキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「レオパールKL」「レオパールKE」「レオパールTT」「レオパールTL」(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。成分(D)は、成分(B)の結晶性を阻害する作用を有するため、成分(B)を比較的多く含有する場合に好適に使用され、例えば成分(B)を8〜15%含有しても、均一な膜を形成することができ、ハリ感の持続性を維持することが可能となる。ゲル状ないし固形状油性化粧料中の成分(D)の含有量は、0.001〜1%が好ましく、0.01〜0.1%がより好ましい。
【0042】
ゲル状ないし固形状油性化粧料には、上記(B)〜(C)以外の非極性油を含有することができる。このような非極性油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ジメチルポリシロキサンなどが挙げられ、これらのうち、流動パラフィンがゲル状ないし固形状油性化粧料の均一な伸び広がりを付与できるため好ましく用いられる。ゲル状ないし固形状油性化粧料中の成分(B)〜(C)を含めた非極性油の含有量は10〜50%が好ましい。この範囲であるとゲル状ないし固形状油性化粧料の均一な伸び広がりを付与することができる。
【0043】
またゲル状ないし固形状油性化粧料には、さらに成分(A')極性油を含有することにより弾力性に富む膜を付与することができる。成分(A')極性油としては、上記液状油性化粧料に用いる極性油と同じものを使用できるが、これらのうちトリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリルなどの20℃で液状のトリグリセライド油が好適に用いられる。また高粘性の極性油を含有することにより、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上することができる。高粘性の極性油とは、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が1500mPa・s以上のものであり、例えばデカイソステアリン酸デカグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる((a'1))。長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体のステロール骨格は動物性のものでも植物性のものでも良く、具体的には、ラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)などが挙げられる。ジペンタエリトリット脂肪酸エステルとしては、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0044】
ゲル状ないし固形状油性化粧料中の成分(A')の含有量は45〜80%であることが好ましく、45%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、80%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の持続性が不十分になる場合がある。また成分(a'1)の含有量は、ゲル状ないし固形状油性化粧料中35〜50%が好ましい。
【0045】
ゲル状ないし固形状油性化粧料に含有し得るその他の任意成分としては、例えば、ゲル化剤、粉体、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、香料、酸化防止剤、美容成分などが挙げられる。
【0046】
上記成分(B)、(C)と必要に応じ成分(D)、(A')などその他の任意成分を常法に従って混合することにより、本発明に用いるゲル状ないし固形状油性化粧料を調製することができる。このゲル状ないし固形状油性化粧料は、常温(20℃)でゲル状ないし固形状であればよく、20℃において以下に示す針入度を測定したときにその値が5以上、好ましくは40〜300の範囲である。針入度の測定は、レオメーター(不動工業社製)を用い、測定温度20℃、レンジ500g、5mmΦアダプターを用いて6cm/分の速度で2mm針入させて測定する。
【0047】
次に、本発明に用いるゲル状ないし固形状親油性化粧料のうち、油中水乳化型化粧料について説明する。このゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料は、上記成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有する。
【0048】
成分(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスとして、例えばポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、フィッシャー・トロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらのうち、融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせると、より高いハリ感が付与され、それが長時間維持されるために好ましい。
【0049】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(B)の含有量は、0.5〜15%が好ましく、1〜5%がより好ましい。このような範囲であると高いハリ感が与えられ、その効果が長時間維持される。0.5%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、15%よりも多いと、均一な膜が形成されずハリ感の維持効果が低下する場合がある。融点70℃〜85℃の炭化水素ワックスと融点90℃〜100℃の炭化水素ワックスを組み合わせる場合には、これらを質量比1:10〜8:1、好ましくは1:3〜2:1の範囲で組み合わせることが好適である。
【0050】
成分(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンは、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上させる作用を有する。水素添加ポリイソブテンとは、イソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成されたポリイソブテンを水素添加したものである。数平均分子量は1000〜1500がより好ましい。ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(C)の含有量は1〜30%が好ましく、5〜15%がさらに好ましい。1%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、15%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の維持効果が低下する場合がある。
【0051】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料には、さらに成分(E)界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば特に制限されないが、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が用いられる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキルエーテル共変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:2〜40)等のポリエチレングリコールジポリヒドロキシ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンセルルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、大豆リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、一種又は二種以上を併用して使用することができる。またこれらの中でも、乳化安定性の面で、非イオン性界面活性剤が好適であり、特にポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキルエーテル共変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤およびジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:2〜40)等のポリエチレングリコールジポリヒドロキシ脂肪酸エステルが好ましい。ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(E)の含有量は0.1〜10%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。
【0052】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料は、さらに成分(F)水性成分を含有する。水性成分としては、精製水、温泉水、深層水、又は植物等の水蒸気蒸留水等の水、もしくは水と親和性のある溶媒であれば特に限定されず、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数2〜3の低級アルコールなどが例示され、これらの1種または2種以上が用いられる。これらの中でも、水、1,3−ブチレングリコール、エチルアルコール等が伸び広がりに優れる点で好適に用いられる。ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(F)の含有量は、1〜60%が好ましく、20〜50%がより好ましい。
【0053】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料には、さらに成分(D)デキストリン脂肪酸エステルを含有することができる。デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと好ましくは炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが用いられ、具体的には、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等が挙げられる。これらのデキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「レオパールKL」「レオパールKE」「レオパールTT」「レオパールTL」(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。成分(D)は、成分(B)の結晶性を阻害する作用を有するため、成分(B)を比較的多く含有する場合に好適に使用され、例えば成分(B)を8〜15%含有しても、均一な膜を形成することができ、ハリ感の持続性を維持することが可能となる。ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(D)の含有量は、0.001〜1%が好ましく、0.01〜0.1%がより好ましい。
【0054】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料には、上記(B)〜(C)以外の非極性油を含有することができる。このような非極性油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の非揮発性のシリコーン系油剤などが挙げられる。これらのうち、流動パラフィンがゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料の均一な伸び広がりを付与できるため好ましく用いられる。また、シリコーン系油剤を用いると、伸び広がりに優れるという点で好ましい。ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(B)〜(C)を含めた非極性油の含有量は10〜50%が好ましい。10%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、50%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の持続性が不十分になる場合がある。また成分(B)〜(C)の合計の含有量は5〜30%であることが好ましく、この範囲であるとゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料の均一な伸び広がりを付与することができる。
【0055】
またゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料には、さらに成分(A')極性油を含有することにより弾力性に富む膜を付与することができる。成分(A')極性油としては、上記液状親油性化粧料に用いる極性油と同じものを使用できるが、これらのうちトリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリルなどの20℃で液状のトリグリセライド油が好適に用いられる。また高粘性の極性油を含有することにより、成分(B)による均一な膜の形成を補助し、ハリ感を向上することができる。高粘性の極性油とは、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が1500mPa・s以上のものであり、例えばデカイソステアリン酸デカグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる((a'1))。長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体のステロール骨格は動物性のものでも植物性のものでも良く、具体的には、ラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)などが挙げられる。ジペンタエリトリット脂肪酸エステルとしては、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0056】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の成分(A')の含有量は5〜40%であることが好ましく、5%よりも少ないと十分なハリ感が得られない場合があり、40%よりも多いと均一な膜が形成されず、ハリ感の持続性が不十分になる場合がある。また成分(a'1)の含有量は、ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中5〜30%が好ましい。
【0057】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料に含有し得るその他の任意成分としては、例えば、水溶性高分子、粉体、油ゲル化剤等のゲル化剤、防腐剤、紫外線吸収剤、天然および合成の色素、香料、酸化防止剤、保湿剤、メントール、カンファ等の冷感剤、pH調整剤、キレート剤などが挙げられる。
【0058】
上記水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、キャロブガム、ゼラチン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン等が挙げられる。
【0059】
上記粉体としては通常化粧料に用いられるものを使用でき、例えばタルク、セリサイト、カオリン、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム・ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、合成マイカ等の無機体質粉体;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の白色顔料;ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ等の無機着色顔料;タール色素等の有機着色色素;シルクパウダー、球状スチレンパウダー、結晶セルロース等の有機粉体を使用でき、これら一種又は二種以上を用いることができる。またこれらの粉体は、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて、通常公知の方法により表面処理を施して用いても良い。
【0060】
上記成分(B)、(C)、(E)、(F)と必要に応じ成分(D)、(A')などその他の任意成分を常法に従って乳化、混合することにより、本発明に用いるゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料を調製することができる。このゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料は、常温(20℃)でゲル状ないし固形状であればよく、20℃において以下に示す針入度を測定したときにその値が5以上、好ましくは40〜300の範囲である。針入度の測定は、レオメーター(不動工業社製)を用い、測定温度20℃、レンジ500g、5mmΦアダプターを用いて6cm/分の速度で2mm針入させて測定する。
【0061】
本発明のスキンケア方法は、上記のようにして調製される液状親油性化粧料とゲル状ないし固形状親油性化粧料とを組み合わせて行う。まず液状親油性化粧料を顔などの肌上に適量塗布する。次にその塗布した部位の上に、ゲル状ないし固形状の親油性化粧料を重ねて塗布する。液状親油性化粧料とゲル状ないし固形状親油性化粧料の塗布量は特に限定されず、使用部位等によっても異なるが、両者共に0.3〜10gが好ましく、0.5〜3gが好ましい。また、塗布した後の余分量はガーゼ等で拭き取ってもよい。液状親油性化粧料とゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布する間隔は、5分以内程度が好ましい。このように液状親油性化粧料とゲル状ないし固形状親油性化粧料を順次適用することにより、優れたハリ感が得られ、かつその効果を長時間維持することができるが、その理由は以下のように考えられる。
【0062】
すなわち、まず液状親油性化粧料を肌上に塗布すると成分(A)極性油が肌に柔軟性と円滑性を付与するとともに塗膜が形成される。その上にゲル状ないし固形状親油性化粧料を重ねて塗布すると、非極性油である(B)炭化水素ワックスと(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンは極性油と適度に相互作用するため、極性油の塗膜上に均一に伸び広がりながら、連続した均一な膜を形成することができる。このようにして肌上に形成された皮膜は閉塞性が高いため水分の蒸散を防止し、また弾力性に富み強固であるため、肌を効果的に引張り引き締める。これによって、優れたハリ感が得られ、かつその効果を長時間維持することができる。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0064】
製造例1
液状油性化粧料の調製:
下記表1に示す組成および下記製法により、液状油性化粧料(A)−1〜(A)−11を調製した。
【0065】
【表1】

【0066】
(製法)
A:1、3を60℃まで加熱し溶解する。
B:Aに2、4、5を室温にて混合し液状油性化粧料を得た。
【0067】
製造例2
ゲル状ないし固形状油性化粧料の調製:
下記表2及び3に示す組成および下記製法により、ゲル状ないし固形状油性化粧料(B)−1〜(B)−24を調製した。
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
※1 PERFOMALENE 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
※2 EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※3 CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)
※4 ムルチワックス W−445(SONNEBORN社製)
※5 CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
※6 PARACERA 256(PARAMELT社製)
※7 カルナウバワックス(マチャードケミカル社製)
※8 パールリーム46(日油株式会社製)
※9 パールリーム24(日油株式会社製)
※10 パールリーム18(日油株式会社製)
※11 パールリーム6(日油株式会社製)
【0071】
(製法)
A:1〜15を110℃に加温し溶解する。
B:Aを脱泡後、90℃にて容器に充填しゲル状ないし固形状油性化粧料を得た。
【0072】
実施例1〜31及び比較例1〜7
化粧品評価専門パネル20名により、製造例1で調製した液状油性化粧料1.5gを顔全体になじませた後、製造例2で調製したゲル状ないし固形状油性化粧料2gを顔全体に塗布してもらった。ただし、比較例3では、塗布順序を逆にして、先にゲル状ないし固形状油性化粧料を塗布し、次に液状油性化粧料を塗布した。パネル各人が下記絶対評価にて5段階に評価し評点をつけ、各試料ごとにパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。評価項目の(A)は塗布直後のハリ感、(B)は、塗布後、通常の生活をして6時間経過した後のハリ感の持続、(C)はゲル状ないし固形状油性化粧料の伸び広がりの良さである。結果を表4〜6に示す。
【0073】
(絶対評価基準)
5:非常に感じる
4:やや感じる
3:普通
2:あまり感じない
1:感じない
【0074】
(5段階判定基準)
◎◎:平均点4.5以上
◎ :平均点4.0以上4.5未満
○ :平均点3.5以上4.0未満
△ :平均点2.5以上3.5未満
× :平均点2.5未満
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
表4〜6より、実施例1〜31では、ゲル状ないし固形状油性化粧料を塗布する際の伸び広がりが良好で弾力性に富み強固で均一な膜が形成され、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに非常に優れた効果が得られた。一方、ゲル状ないし固形状油性化粧料を塗布しない比較例1では、塗布直後のハリ感とハリ感の持続効果に劣るものであった。また液状油性化粧料を塗布しない比較例2およびゲル状ないし固形状油性化粧料を先に塗布する比較例3では、均一な伸び広がりに劣り、塗布直後のハリ感とハリ感の持続効果にも劣るものであった。極性油が80%未満の液状油性化粧料を用いた比較例4では、肌に十分な柔軟性を付与することが出来ず、均一な伸び広がりに劣るものであった。さらにゲル状ないし固形状油性化粧料中の炭化水素ワックスの融点が70℃未満の比較例5、炭化水素ワックスを含有しない比較例6、水添ポリイソブテンの数平均分子量が1000未満の比較例7では、肌上にハリ感を感じるのに十分な膜を形成することができず、塗布直後のハリ感とハリ感の持続効果に劣るものであった。
【0079】
実施例32:化粧油
下記組成および製法により化粧油を調製した。
(成分) (%)
1.メドウフォーム油 50
2.オリーブ油 30
3.N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)

4.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
5.ジカプリン酸プロピレングリコール 残量
6.エタノール 5
7.香料 0.1
【0080】
(製法)
A:4〜5を60℃まで加熱し均一に混合溶解する。
B:Aに1〜3、6、7を室温にて均一に混合し化粧油を得た。
【0081】
実施例33:固形マッサージオイル
下記組成および製法により固形マッサージオイルを得た。
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス[※1] 3
2.ポリエチレンワックス[※12] 3
3.水素添加ポリイソブテン[※10] 10
4.ワセリン 5
5.α―オレフィンオリゴマー 5
6.イソステアリン酸デキストリン 0.02
7.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル 10
8.リンゴ酸ジイソステアリル 10
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
15
10.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
11.香料 0.1
12.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
※12 PERFOMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
【0082】
(製法)
A:1〜12を110℃に加温し溶解する。
B:Aを脱泡後、90℃にて容器に充填し固形マッサージオイルを得た。
【0083】
実施例34
実施例32の化粧油1gを顔全体になじませた後、実施例33で調製した固形マッサージオイル2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【0084】
実施例35:液状マッサージオイル
下記組成および製法により液状マッサージオイルを調製した。
(成分) (%)
1.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 50
2.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 15
3.トリ(パーム油脂肪酸/パーム核油脂肪酸/オリーブ油脂肪酸/マカデミアナッツ油
脂肪酸/アブラナ種子油脂肪酸)グリセリル 5
4.オレイン酸フィトステリル 2
5.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
6.イソノナン酸イソトリデシル 残量
7.メチルフェニルポリシロキサン 3
8.香料 0.1
【0085】
(製法)
A:1〜4、5〜6をそれぞれ60℃まで加熱し均一に混合溶解する。
B:Aに7〜8を室温にて均一に混合し液状マッサージオイルを得た。
【0086】
実施例36:ゲル状化粧油
下記組成及び製法によりゲル状化粧油を調製した。
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス[※1] 1
2.マイクロクリスタリンワックス[※4] 1
3.水素添加ポリイソブテン[※8] 10
4.(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン 10
5.トリイソステアリン酸ジグリセリル 30
6.リンゴ酸ジイソステアリル 25
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オチクルドデシル)
10
8.オリーブ油 5
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
10.香料 0.1
11.ジカプリン酸プロピレングリコール 残量
【0087】
(製法)
A:1〜11を110℃に加温し溶解する。
B:Aを脱泡後、90℃にて容器に充填しゲル状化粧油を得た。
【0088】
実施例37
実施例35の液状マッサージオイル2gを顔全体になじませた後、実施例36で調製したゲル状化粧油2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【0089】
製造例3
ゲル状油中水乳化型化粧料の調製:
下記表7に示す組成および下記製法により、ゲル状油中水乳化型化粧料(B’)−1〜(B’)−3を調製した。
【0090】
【表7】

【0091】
(製法)
A:1〜5を均一に溶解する(内水相)。
B:6〜16をデスパ2000rpmにて混合分散する(外油相)。
C:BにAを加え、デスパ2500rpmにて乳化し、ゲル状油中水乳化型化粧料を得た。
【0092】
実施例38〜40
化粧品評価専門パネル20名により、製造例1で調製した液状油性化粧料1.5gを顔全体になじませた後、製造例3で調製したゲル状油中水乳化型化粧料2gを顔全体に塗布してもらった。パネル各人が下記絶対評価にて5段階に評価し評点をつけ、各試料ごとにパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記5段階判定基準により判定した。評価項目の(A)は塗布直後のハリ感、(B)は、塗布後、通常の生活をして6時間経過した後のハリ感の持続、(C)はゲル状油中水乳化型化粧料の伸び広がりの良さである。結果を表8に示す。
【0093】
(絶対評価基準)
5:非常に感じる
4:やや感じる
3:普通
2:あまり感じない
1:感じない
【0094】
(5段階判定基準)
◎◎:平均点4.5以上
◎ :平均点4.0以上4.5未満
○ :平均点3.5以上4.0未満
△ :平均点2.5以上3.5未満
× :平均点2.5未満
【0095】
【表8】

【0096】
実施例38〜40では、ゲル状油中水乳化型化粧料を塗布する際の伸び広がりが良好で、弾力性に富み強固で均一な膜が形成され、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続とともに非常に優れた効果が得られた。
【0097】
実施例41:油中水乳化型マッサージゲル
(成分) (%)
1.ポリグリセリン変性シリコーン[※18] 2
2.部分架橋型ラウリル変性オルガノポリシロキサン重合物の混合物[※19]

3.デカメチルシクロペンタシロキサン 5
4.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト[※14] 1.5
5.流動パラフィン 10
6.ポリエチレンワックス[※1] 2
7.水素添加ポリイソブテン[※10] 10
8.ワセリン 1
9.イソステアリン酸デキストリン 0.05
10.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチ
ル[※20] 10
11.リンゴ酸ジイソステアリル 10
12.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
[※21] 10
13.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
14.香料 0.1
15.トリイソステアリン酸ジグリセリル[※22] 5
16.1,3−ブチレングリコール 10
17.グリセリン 5
18.塩化ナトリウム 0.1
19.精製水 残量
※18 KF−6015(信越化学工業社製)
※19 KSG−43(信越化学工業社製)
※20 コスモール168ARV(日清オイリオグループ社製)
※21 エルデュウPS−304(味の素社製)
※22 コスモール43V(日清オイリオグループ社製)
【0098】
(製法)
A:1〜15を均一に混合する。
B:16〜19を加温し均一に混合する。
C:AにBを徐々に加えながら均一に乳化混合する。
D:Cを冷却する。
E:脱泡し、マッサージゲルを得た。
【0099】
実施例42
液状油性化粧料(A)−6を1g顔全体になじませた後、実施例41で調製した油中水乳化型マッサージゲル2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【0100】
実施例43:固形状油中水乳化型クリーム
下記組成および製法により固形状油中水乳化型クリームを得た。
(成分) (%)
1.エタノール 5
2.1,3−ブチレングリコール 5
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.精製水 残量
5.ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30[※13] 2
6.流動パラフィン 10
7.ポリエチレンワックス[※12] 15
8.水素添加ポリイソブテン[※10] 5
9.ステアリン酸デキストリン 0.05
10.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチ ル[※20] 10
11.リンゴ酸ジイソステアリル 10
12.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
[※21] 10
13.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
14.香料 0.1
15.トリイソステアリン酸ジグリセリル[※22] 5
【0101】
(製法)
A:1〜4を70℃で均一に混合する。
B:5〜15を70℃で均一に混合する。
C:AにBを徐々に加えながら、70℃で均一に乳化混合する。
D:Cを冷却し、固形状油中水乳化型クリームを得た。
【0102】
実施例44
液状油性化粧料(A)−11を1.5g顔全体になじませた後、実施例43で調製した固形状油中水乳化型クリーム2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【0103】
実施例45:ゲル状油中水乳化型美白クリーム
下記組成および製法によりゲル状油中水乳化型美白クリームを得た。
(成分) (%)
1.エタノール 5
2.1,3−ブチレングリコール 5
3.フェノキシエタノール 0.1
4.アスコルビン酸グルコシド 2
5.クエン酸 0.1
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.水酸化ナトリウム 0.25
8.精製水 残量
9.ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30[※13] 2
10.流動パラフィン 10
11.マイクロクリスタリンワックス[※4] 15
12.水素添加ポリイソブテン[※9] 5
13.ステアリン酸デキストリン 0.05
14.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチ
ル[※20] 10
15.デカイソステアリン酸ポリグリセリル 10
16.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
[※21] 10
17.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
18.香料 0.1
19.トリイソステアリン酸ジグリセリル[※22] 5
【0104】
(製法)
A:1〜8を70℃で均一に混合する。
B:5〜19を70℃で均一に混合する。
C:AにBを徐々に加えながら、70℃で均一に乳化混合する。
D:Cを冷却し、ゲル状油中水乳化型美白クリームを得た。
【0105】
実施例46
液状油性化粧料(A)−10を1.5g顔全体になじませた後、実施例45で調製した固形状油中水乳化型クリーム2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【0106】
実施例47:ゲル状油中水乳化型日焼け止めクリーム
下記組成および製法によりゲル状油中水乳化型日焼け止めクリームを得た。
(成分) (%)
1.ポリグリセリン変性シリコーン[※18] 2
2.パルミチン酸オクチル 2.5
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 5
4.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト[※14] 1.5
5.メトキシケイヒ酸オクチル 5
6.流動パラフィン 10
7.ポリエチレンワックス[※1] 2
8.水素添加ポリイソブテン[※10] 10
9.ワセリン 1
10.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル[※23] 0.5
11.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン[※24]
0.5
12.イソステアリン酸デキストリン 0.05
13.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチ
ル[※20] 10
14.リンゴ酸ジイソステアリル 10
15.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
[※21] 10
16.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
17.香料 0.1
18.トリイソステアリン酸ジグリセリル[※22] 5
19.1,3−ブチレングリコール 10
20.グリセリン 5
21.塩化ナトリウム 0.1
22.精製水 残量
23.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸[※25] 2
※23 ユビナール A PLUS GRANULAR (BASF社製)
※24 TINOSORB S (BASF社製)
※25 EUSOLEX232(メルク社製)
【0107】
(製法)
A:1〜18を均一に混合する。
B:19〜23を加温し均一に混合する。
C:AにBを徐々に加えながら均一に乳化混合する。
D:Cを冷却する。
E:脱泡し、ゲル状油中水乳化型日焼け止めクリームを得た。
【0108】
実施例48
液状油性化粧料(A)−1を1g顔全体になじませた後、実施例47で調製したゲル状油中水乳化型日焼け止めクリーム2gを顔全体に塗布したところ、伸び広がりが均一で、塗布直後のハリ感、塗布6時間後のハリ感の持続ともに優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の方法は、肌に保湿効果を与えるとともに、肌を引張り引き締めることによって、優れたハリ感を与え、かつその効果を長時間維持することができるスキンケア方法として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)極性油を80%以上含有する液状親油性化粧料を皮膚に塗布し、次いで当該塗布部位上に、(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有するゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布することを特徴とするスキンケア方法。
【請求項2】
液状親油性化粧料が、(A)極性油を90%以上含有するものである請求項1記載のスキンケア方法。
【請求項3】
液状親油性化粧料が、(A)極性油として(a1)20℃で液状のトリグリセライド油を含有するものである請求項1又は2記載のスキンケア方法。
【請求項4】
液状親油性化粧料が、(A)極性油としてさらに(a2)不飽和脂肪酸誘導体を含有するものである請求項3記載のスキンケア方法。
【請求項5】
液状親油性化粧料が、(A)極性油としてさらに(a3)ステロール誘導体を含有するものである請求項3又は4記載のスキンケア方法。
【請求項6】
液状親油性化粧料が、(A)極性油として(a2)不飽和脂肪酸誘導体を含有するものである請求項1又は2記載のスキンケア方法。
【請求項7】
液状親油性化粧料が、(A)極性油として(a3)ステロール誘導体を含有するものである請求項1又は2記載のスキンケア方法。
【請求項8】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料が、(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスとして、融点70〜85℃の炭化水素ワックス及び融点90〜100℃の炭化水素ワックスを含有するものである請求項1ないし7のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項9】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料が、さらに(D)デキストリン脂肪酸エステルを含有するものである請求項1ないし8のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項10】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料が、さらに(A')極性油を含有するものである請求項1ないし9のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項11】
(A')極性油として、(a'1)デカイソステアリン酸デカグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル及び長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の高粘性極性油を含有するものである請求項10記載のスキンケア方法。
【請求項12】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスの含有量が0.5〜15質量%である請求項1ないし11のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項13】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料中の(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンの含有量が1〜30質量%である請求項1ないし12のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項14】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料が、ゲル状ないし固形状油性化粧料である請求項1ないし13のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項15】
ゲル状ないし固形状油性化粧料中の(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスの含有量が2〜15質量%である請求項14記載のスキンケア方法。
【請求項16】
ゲル状ないし固形状親油性化粧料が、さらに成分(E)界面活性剤および(F)水性成分を含有するゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料である請求項1ないし13のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項17】
ゲル状ないし固形状油中水乳化型化粧料中の(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックスの含有量が0.5〜15質量%である請求項16記載のスキンケア方法。
【請求項18】
成分(E)界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項16または17に記載のスキンケア方法。
【請求項19】
肌にハリ感を付与するものである請求項1ないし18のいずれかの項記載のスキンケア方法。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれかの項記載のスキンケア方法に用いられる液状親油性化粧料。
【請求項21】
請求項1ないし19のいずれかの項記載のスキンケア方法に用いられるゲル状ないし固形状親油性化粧料。
【請求項22】
請求項1ないし19のいずれかの項記載のスキンケア方法に用いられる液状親油性化粧料とゲル状ないし固形状親油性化粧料とを含むスキンケア化粧料キット。
【請求項23】
(A)極性油を80%以上含有する液状親油性化粧料と、(B)融点70〜110℃の炭化水素ワックス及び(C)数平均分子量1000〜3000の水素添加ポリイソブテンを含有するゲル状ないし固形状親油性化粧料とを含むスキンケア化粧料キット。
【請求項24】
液状親油性化粧料を皮膚に塗布し、次いで当該塗布部位上に、ゲル状ないし固形状親油性化粧料を塗布するものである請求項23記載のスキンケア化粧料キット。
【請求項25】
肌にハリ感を付与するものである請求項23又は24に記載のスキンケア化粧料キット。

【公開番号】特開2013−32342(P2013−32342A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145222(P2012−145222)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】