説明

スキンケア方法

【課題】温水中に身体を浸漬することにより優れたスキンケア効果を得る方法を提供する。
【解決手段】分子量100以上でありClogP値が4〜18の脂肪酸エステルを5〜200ppm含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び無機塩が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中に身体の一部又は全身を浸漬することによるスキンケア方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に身体を浸漬することによるスキンケア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、入浴は身体を清潔にする、精神的にリラックスする、また身体を暖める効果を有する。最近では、芳香によるリラックス効果や血行促進効果の増強に加え、入浴後のスキンケア効果が付与された入浴剤が期待されている。入浴による肌からの油分の喪失の防止、入浴後の肌のかさつき防止ためには、入浴剤に油性成分を配合することが一般的である。
例えば、肌感触が良好で入浴後の温まり感を向上させるために、炭酸ガス発生物と油性成分を併用した浴用剤において、炭酸ガスへの溶解性が高い油性成分を使用するもの(特許文献1)、炭酸ガス発生物と、油性成分をそれぞれ含む2剤式入浴剤(特許文献2)が知られている。さらに、油剤の安定に配合するために粒子中に配合する技術が報告されている(特許文献3、4)。
【特許文献1】特開2005−97238号公報
【特許文献2】特開2005−314233号公報
【特許文献3】特開2000−229843号公報
【特許文献4】特開2007−223936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、炭酸塩と酸とを組み合せた炭酸ガス発生物と油性成分を配合した浴用剤においては、温まり感は向上するものの、スキンケア効果が高まることについては記載がなく、油剤の皮膚への吸着は知られていなかった。
従って、本発明の目的は、水中に身体を浸漬することにより優れたスキンケア効果を得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明者は、油剤の種類及び炭酸ガスの溶解条件を種々検討した結果、特定のClogP値を有する脂肪酸エステルを、無機塩を含む炭酸ガス溶解温水に投入することにより皮膚への油剤の吸着量が増加し、優れたスキンケア効果が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、分子量100以上でありClogP値が4〜18の脂肪酸エステルを5〜200ppm含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中に身体の一部又は全身を浸漬することによるスキンケア方法を提供するものである。
更に、本発明は、油剤を所定濃度含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中にモデル皮膚、身体の一部又は全身を浸漬することにより、油剤の皮膚への吸着量を測定する、当該油剤によるスキンケア効果の評価方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、油剤の皮膚への吸着を促進することによりスキンケア効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、水溶液中の炭酸ガス(二酸化炭素)濃度は50ppm以上(測定温度40℃)であるが、脂肪酸エステルの皮膚への吸着性を考慮すると、好ましくは70ppm〜1000ppm、さらに好ましくは80ppm〜500ppmである。
炭酸ガスは、例えば炭酸ガス発生装置を用いて温水中に溶解させる、燃焼ガスを導入し湯又は水と直接接触させることにより溶解させる方法、燃焼ガス中の炭酸ガスを吸着剤を利用して濃縮した後湯又は水に送り込む方法等の装置を用いることもできるが、炭酸泉(天然水においては、炭酸ガスを1000ppm以上含むものを炭酸泉という)を用いることもできる。
さらに、薬剤反応により生じた炭酸ガスの気泡を水中に溶解させる方法(特開平2−270158号公報)、導管を用いて循環させた水を導管の途中に設けた分散器内においてスタティックミキサと呼ばれる攪拌器で強制的に炭酸ガスと水とを混合させる方法(特開昭63−242257号公報)、多層複合中空糸膜溶解器を使用する方法(三菱レイヨン・エンジニアリング社製「炭酸水製造装置 MRESPA」)等がある。
【0007】
塩類としては、無機酸のアルカリ金属塩、無機酸のアルカリ土類金属塩、無機酸の土類金属塩、有機酸のアルカリ金属塩、有機酸のアルカリ土類金属塩、有機酸の土類金属塩等が挙げられる。より具体的には、無機酸もしくは有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。このうち、有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましく、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、マレイン酸等のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましい。
【0008】
これらの無機塩の水溶液中の濃度は、脂肪酸エステルの皮膚への吸着促進効果、スキンケア効果の点から50〜1000ppm、さらに100〜500ppm、特に120〜200ppmが好ましい。
【0009】
また、炭酸ガスと塩類を温水中に溶解させる方法として、炭酸塩と有機酸とを含む入浴剤を供給源として用いることもできる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウムなどが挙げられ、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムが好ましい。有機酸としては、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、マレイン酸等が挙げられる。このうち、コハク酸又はフマル酸が特に好ましい。これらの酸及び炭酸塩はそれぞれから選ばれる1種又は2種以上を、別々にそのまま用いてもよいし、水溶液として用いても良い。また混合して用いることもできる。炭酸塩は有機酸との総量中に20〜80質量%、特に40〜60質量%であり、また有機酸は炭酸塩との総量中に20〜80質量%、特に40〜60質量%とすることは、浴湯中に十分な炭酸ガスを溶解できるので好ましい。
【0010】
本発明に用いる脂肪酸エステルは、分子量100以上であってClogP値が4〜18のであり、炭酸ガス及び無機塩の存在下で、皮膚に吸着することによりスキンケア効果を示すものである。ここで、ClogP値は. A. Leo Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch、P.G. Sammens, J.B Taylor and C.A. Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した“計算logP(ClogP)”であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値である。
【0011】
好ましい脂肪酸エステルとしては、総炭素数8〜40の脂肪酸エステルが挙げられ、特に炭素数6〜20の脂肪酸基と炭素数2〜18のアルキル基を有するエステルが好ましく、炭素数6〜20の脂肪酸基と炭素数2〜16のアルキル基を有するエステルがより好ましい。具体的にはオクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソアミル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、リノール酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル等が挙げられる。これらの脂肪酸エステルは単独で、又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0012】
水中の脂肪酸エステル濃度は5〜200ppmであるが、浸漬後に肌にべたつき感がなく、炭酸ガス存在下で効果的に皮膚に吸着させる点から、20〜200ppmであることが好ましい。
【0013】
脂肪酸エステルは、炭酸ガス及び塩類の作用により皮膚への吸着が促進され、その結果としてスキンケア効果を増強する。従って、脂肪酸エステルは、本発明方法においてはスキンケア効果を発揮する油性成分として作用する。
脂肪酸エステルをさらに皮膚に吸着させるには炭酸ガスが油性成分にも分配していることが好ましく、炭酸ガスの油相/水相の分配比を1.1以上とする脂肪酸エステルを用いることが好ましい。このような分配比の油性成分(脂肪酸エステル)を用いることで、炭酸ガスを油相中に高濃度に存在させることができ、その結果より高いスキンケア効果が得られる。より好ましい分配比は1.3以上であり、さらに好ましくは1.5以上であり、特に好ましくは1.6以上であり、殊更1.7以上が好ましい。
【0014】
本発明においては、脂肪酸エステルを水中に分散させるためには、界面活性剤を併用することが好ましい。界面活性剤としてはアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を挙げることができるが、特に非イオン界面活性剤を使用することが好ましい。非イオン界面活性剤は、脂肪酸エステルを水に投入したときに、脂肪酸エステルを水中に均一に乳化させ、かつその脂肪酸エステル又はミセル中に炭酸ガスを十分量溶解させる作用を有する。非イオン界面活性剤は1種でも良いが、2種以上用いることにより、どのような配合においても脂肪酸エステルの自己乳化性を十分に発揮させることができるため好ましい。非イオン界面活性剤はHLB8.5〜16の範囲のものが好ましく、HLB値の異なる2種以上であることが好ましい。具体的には、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルのほか、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。特に、HLB6〜11の非イオン性界面活性剤1種以上とHLB11.5〜16の非イオン性界面活性剤1種以上とを組み合せるのが好ましい。さらに、HLB8.5〜11の非イオン性界面活性剤1種以上と、HLB11.5〜14の非イオン性界面活性剤1種以上と、HLB14.5〜16の非イオン性界面活性剤1種以上とを組み合せるのが特に好ましい。なお、ここでHLB値はGriffinの式により求めたものである。
【0015】
本発明で用いる水溶液にはさらに香料、生薬類、エキス類、水溶性高分子類、低級アルコール類、多価アルコール類、保湿剤、色素が含まれていてもよい。
【0016】
本発明方法に用いる水溶液のpHは、炭酸ガス及び無機塩を均一に溶解させておく点及びスキンケア効果の点から4〜7であり、より好ましくは5〜7である。pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、塩酸、硫酸、乳酸等や、乳酸−乳酸ナトリウム緩衝液、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液等を用いることができる。例えば、炭酸ガス及び塩類の供給に炭酸塩と有機酸とを用いる場合、必要に応じて添加すればよい。
【0017】
本発明方法に用いる水溶液の温度は、身体の一部又は全身を浸漬する点、炭酸ガス濃度を高く維持する点、皮膚への脂肪酸エステル吸着量を高める点から、34〜45℃、さらに36〜42℃、特に38〜42℃が好ましい。本発明においては、炭酸ガスの揮散を抑制し、油剤の浸透を高める点から、さら湯での入浴より少し低めの温度であることが好ましい。また、特に好ましくは、部分浴又は全身浴用の浴湯である。
【0018】
本発明方法における身体の一部又は全身の浸漬時間は、油皮膚への脂肪酸エステル吸着量を高める点から少なくとも10分以上、さらに10〜30分、特に10〜20分が好ましい。
【0019】
本発明は、分子量100以上でありClogP値が4〜18の脂肪酸エステルを含有し、炭酸ガスと塩類が均一に溶解したpH4〜7の温浴に、身体の一部又は全身を浸漬することによって、身体のスキンケア効果を得るものである。身体の一部としては、腕、足が挙げられる。
【0020】
本発明によれば、炭酸ガス及び無機塩の作用により脂肪酸エステルの皮膚への吸着が促進され、その結果優れたスキンケア効果が得られる。本発明方法によれば、同じ量の脂肪酸エステルを含有するが、炭酸ガス及び塩類を含有しない水溶液を用いた場合の2〜5重量倍の脂肪酸エステルが皮膚に吸着する。
【0021】
本発明においては、油剤を所定濃度含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中にモデル皮膚、身体の一部又は全身を浸漬することにより油剤の皮膚への吸着量を測定すれば、当該油剤によるスキンケア効果が評価できる。使用可能なモデル皮膚としては、ケラチンパウダー等が挙げられる。
また、本評価方法においては、コントロールとして、予め、特定の油剤の皮膚への吸着量を測定した値を準備しておいてもよいし、炭酸ガス及び/又は塩類の濃度が相違する系による測定結果を用い、当該測定結果との差分により評価することもできる。好ましくは、分子量100以上でありClogP値が4〜18の脂肪酸エステルを5〜200ppm含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の第1の水溶液中にモデル皮膚、身体の一部又は全身を浸漬することによる脂肪酸エステルの皮膚への吸着量と、第1の水溶液よりも炭酸ガス及び/又は塩類の濃度が低減された第2の水溶液を用いた際の脂肪酸エステルの吸着量との差を算出することにより、脂肪酸エステルが皮膚に浸透してスキンケア効果が得られることを評価することができる。また、濃度が低減されたとは、第1の水溶液の炭酸ガスや塩類の濃度に比べて、第2の水溶液のどちらか一方又は両方の濃度が低いことをいい、好ましくは炭酸ガス及び塩類の少なくとも一方を含まないもの、もしくは両方を含まないものを云う。具体的には、第1の水溶液を用いた際の脂肪酸エステルの吸着量に対する、第2の水溶液を用いた際の脂肪酸エステルの吸着量の減少度を算出することにより、使用した脂肪酸エステルのスキンケア効果が評価できる。なお、この評価方法は、脂肪酸エステルだけでなく、化粧料に使用されるその他の油剤にも適用できる。
【実施例】
【0022】
実施例1
表1の組成の温水20mL(油剤濃度20ppm、炭酸ガス濃度100ppm)中に、ケラチンパウダー0.1gを10分間浸漬した後、吸引ろ過によりケラチンパウダーを回収し、ろ紙上でイオン交換水にて3回洗浄した。洗浄したケラチンパウダーをろ紙ごと回収し、アセトンエーテル混合液(アセトン:エーテル=1:1)20mLで油剤を抽出し、GC分析(FID検出器、内部標準法)により脂肪酸エステル量を測定した。さらに、表2に記載の油剤について、油剤の種類を変えた以外同じ条件で吸着量を測定した。結果を、表2及び図1に示す。
その結果、ClogPが大きい油剤ほど皮膚(ケラチンパウダー)への吸着量が増大した。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
実施例2
表3の組成の温浴(38℃)5L中に、洗浄料で洗浄しタオルドライした後、前腕部を10分浸漬した。浸漬後に、前腕を軽くタオルドライし水分を取り去った。前腕内側部にカップ(内径26mm)を装着し、アセトンエーテル混合液(アセトン:エーテル=1:1)10mLで30秒処理した。溶媒を回収した後、N2で溶媒を留去し、ガスクロマトグラフィー分析(FID検出器、内部標準法)を行い皮膚に吸着した脂肪酸エステル量を定量した。さらに、下記の方法で肌感触の評価を行った。結果は合わせて表3に示す。
(肌感触の評価)
20〜40才の女性10名のパネラーを用いて、各組成のお湯(40℃)に前腕部を浸漬させ、浸漬後の肌感触を5段階で評価し、平均値を評価点とした。
5:しっとりする
4:ややしっとりする
3:どちらでもない
2:あまりしっとりしない
1:しっとりしない
その結果、炭酸ガス及び無機塩を併用した組成1は、組成2と比較して油剤の皮膚への吸着量が増大した。また、浸漬後の肌にべたつきはなく、スキンケア効果が持続した。
【0026】
【表3】

【0027】
実施例3
実施例2の油剤組成で、炭酸ガス濃度を0ppm、50ppm、100ppm、250ppmの4種類として、実施例1と同様の方法で吸着量を測定した。塩濃度は、それぞれ0ppm、80ppm、160ppm、400ppmである。また、供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、フマル酸による。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、炭酸ガス濃度の上昇とともに脂肪酸エステルの皮膚への吸着量が増大した。
【0028】
実施例4
実施例2の組成1について、温浴(38℃)5L中に、洗浄料で洗浄しタオルドライした後、前腕部を10分浸漬した。次に、前腕を軽くタオルドライし水分を取り去った。
【0029】
(表面部の測定)
上腕内側部一定面積をアセトンエーテル混合液(1/1)を含ませた脱脂綿(40×40mm)でふき取り、その脱脂綿をアセトンエーテル混合液(1/1)30mLで、25℃、10分間超音波照射した。N2で溶媒を留去し、ガスクロマトグラフィー分析(FID検出器、内部標準法)した。
【0030】
(角層部の測定)
上記脱脂綿で表面を拭き取った後、前腕内側部にカップ(内径26mm)を装着し、アセトンエーテル混合液(アセトン:エーテル=1:1)10mLで、15分間処理した。溶媒を回収した後、N2で溶媒を留去し、内部標準溶液1mLを加え、ガスクロマトグラフィー分析(FID検出器、内部標準法)を行い皮膚に吸着した脂肪酸エステル量を定量した。N=8の平均した結果を図3に示す。
【0031】
図3から、本発明方法により脂肪酸エステルは、表層に比べ角層へ多く浸透した。また、浸漬後の肌にべたつきはなく、スキンケア効果が持続した。
【0032】
実施例5
温浴(38℃)5L中に、表4の組成3〜6を投入後、実施例4と同様に上腕を浸漬した後、吸着した油剤の定量を行った。組成5は、炭酸塩と酸を溶解した後放置して炭酸ガスを揮散させた後、試験を行った。組成6は、炭酸ガスボンベから溶解させた。
測定は、実施例と同様の方法で、表面部の測定、及び角層部の測定を行った。結果を図4に示す。
組成6(CO2のみ)では、油剤は表層に多く吸着しているが、組成4(CO2+無機塩系)では油剤は角層へ浸透していた。炭酸ガスと無機塩を併用することで、油剤の親油性を高め吸着量を増すとともに、皮膚の透過性を高めて油剤の角層への浸透性を高めている。特に、組成4では、浸漬後の肌にべたつきはなく、スキンケア効果が持続した。
【0033】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】脂肪酸エステルの吸着量とClogPとの関係を示す図である。
【図2】脂肪酸エステルの吸着量とCO2濃度との関係を示す図である。
【図3】脂肪酸エステル(油剤)の透過性を示す図である。
【図4】脂肪酸エステル(油剤)の透過性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量100以上でありClogP値が4〜18の脂肪酸エステルを5〜200ppm含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中に身体の一部又は全身を浸漬することによるスキンケア方法。
【請求項2】
脂肪酸エステルが、総炭素数8〜40の脂肪酸エステルである請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項3】
炭酸ガス及び塩類の供給源が、炭酸塩及び有機酸である請求項1又は2に記載のスキンケア方法。
【請求項4】
油剤を所定濃度含み、濃度50ppm以上の炭酸ガス及び塩類が均一に溶解した、pH4〜7の水溶液中にモデル皮膚、身体の一部又は全身を浸漬することにより、油剤の皮膚への吸着量を測定する、当該油剤によるスキンケア効果の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−263311(P2009−263311A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117724(P2008−117724)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】