スキンパック用台紙、及びスキンパック包装体
【課題】 デザインを綺麗に表すことができるスキンパック用台紙を提供する。
【解決手段】 本発明のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、前記第1基材1の表面に積層された第2基材2と、を有し、前記第2基材2が、その厚み方向に通気可能な通気部3を有し、前記通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【解決手段】 本発明のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、前記第1基材1の表面に積層された第2基材2と、を有し、前記第2基材2が、その厚み方向に通気可能な通気部3を有し、前記通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンパックフィルムとの間で被包装物を保持するスキンパック用台紙及びスキンパック包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンパック包装体は、スキンパック用台紙の表面に添えた被包装物を覆うように、スキンパックフィルムを被せ、真空吸引してスキンパックフィルムを伸展させ、スキンパック用台紙の表面にスキンパックフィルムを接着させることにより得られる。
スキンパック包装体は、ブリスター包装体に比して、コンパクト且つ安価に被包装物を包装できる包装形態である。
しかしながら、スキンパックフィルムは伸び易くて切れにくいフィルムであるため、スキンパック包装体は、手では容易に開封できないという問題点がある。
【0003】
この点、特許文献1には、被包装物の外形に略沿う切込線を形成すると共に、切込線の両端から被包装物の外形に沿って延びるミシン目線を形成したスキンパック用台紙が開示されている。
かかるスキンパック用台紙は、切込線及びミシン目線が形成されているので、その台紙を通じてスキンパックフィルムと被包装物の間の空気を吸引してスキンパック包装体を構成できる。さらに、得られたスキンパック包装体は、ミシン目線を利用して手で容易に開封できる。
【0004】
しかしながら、上記従来の台紙はミシン目線が形成されているので、見た目が悪く、特に、台紙の裏面には被包装物の説明書きや商品名などが印刷されるので、ミシン目線を形成することによってそのデザイン性が損なわれるという問題点がある。
他方、ミシン目線を形成しない場合には、吸引のために、台紙としてボール紙などの通気性を有する基材を用いる必要がある。
しかしながら、通気性を有する基材は、比較的表面が粗面である場合が多いことからインキ乗りが悪く、通気性を有する基材を用いた台紙にはデザインを綺麗に表すことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4549584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、デザインを綺麗に表すことができるスキンパック用台紙及びそれを用いたスキンパック包装体を提供することである。
本発明の第2の目的は、デザインを綺麗に表すことができ、且つ容易に開封できるスキンパック用台紙及びそれを用いたスキンパック包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスキンパック用台紙は、第1基材と、前記第1基材の表面に積層された第2基材と、を有し、前記第2基材が、その厚み方向に通気可能な通気部を有し、前記通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられている。
なお、本明細書において、「台紙」は、スキンパックと協働して被包装物を保持する部材であり、台紙の「紙」は、「台紙が紙製である」という限定的な意味を有するわけではないことに留意されたい。
【0008】
上記本発明のスキンパック用台紙は、スキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するために使用される。
使用時には、スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物を添え、その上からスキンパックフィルムを被せ、真空吸引する。
上記スキンパック用台紙は、第2基材が通気部を有し、通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられているので、第2基材とスキンパックフィルムの間の空気が、通気部から脱気路を介して台紙の縁部へと吸引される。この吸引により、スキンパックフィルムが伸展し、スキンパック用台紙の第2基材の表面にスキンパックフィルムが接着し、スキンパック包装体が得られる。
このように本発明のスキンパック用台紙を用いれば、第1基材にミシン目線や切込み線などの切り目を形成しなくても、従来と同様な方法(吸引してスキンパックフィルムを伸展させること)によってスキンパック包装体を構成できる。そして、第1基材に切り目を形成しなくてよいので、それにデザインを綺麗に表すことができる。
【0009】
本発明の好ましいスキンパック用台紙は、前記第2基材が外層と内層の少なくとも2つの層を有し、前記外層と内層が剥離可能に積層され、前記外層には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている。
【0010】
かかる好ましいスキンパック用台紙は、第2基材の外層と内層を容易に剥離することができ、剥離後には、切り目が形成された外層の裏面が露出する。
従って、前記切り目を利用すれば外層を容易に分断して開口部を形成でき、その開口部から被包装物を取り出すことができる。
このように好ましいスキンパック用台紙によれば、綺麗なデザインを表すことができるだけでなく、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【0011】
本発明の好ましいスキンパック用台紙は、前記第1基材と第2基材が、剥離可能に積層され、前記第2基材には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている。
【0012】
かかる好ましいスキンパック用台紙は、第1基材と第2基材を容易に剥離することができる。
また、第2基材を第1基材から剥離した後、切り目を利用すれば第2基材を容易に分断して開口部を形成でき、その開口部から被包装物を取り出すことができる。
【0013】
本発明の別の局面によれば、スキンパック包装体を提供する。
このスキンパック包装体は、上記いずれかのスキンパック用台紙と、スキンパックフィルムと、被包装物と、を有し、前記スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物が添えられ、スキンパックフィルムが前記被包装物に密着されていると共にスキンパック用台紙の表面に接着されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスキンパック用台紙は、デザインを綺麗に表すことができる。さらに、本発明のスキンパック用台紙は、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図2】同スキンパック用台紙の背面図。
【図3】同スキンパック用台紙の左側面図。
【図4】図1のIV−IV線(上下方向)で切断した断面図。
【図5】図1のV−V線(左右方向)で切断した断面図。
【図6】図3のVI−VI線で切断した断面図。
【図7】同スキンパック用台紙を用いたスキンパック包装体の左側面図。
【図8】図7のVIII−VIII線で切断し且つ90度回転させた断面図。
【図9】スキンパック包装体を開封する際の図7のVIII−VIII線で切断し且つ90度回転させた断面図。
【図10】第1実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の断面図。なお、図10は、図5と同様に、左右方向で切断した断面図である。
【図11】第2実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図12】図11のXII−XII線(上下方向)で切断した断面図。
【図13】図11のXIII−XIII線(左右方向)で切断した断面図。
【図14】第2実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の断面図。なお、図14は、図13と同様に、左右方向で切断した断面図である。
【図15】第3実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図16】図15のXVI−XVI線(上下方向)で切断した断面図。
【図17】図15のXVII−XVII線(左右方向)で切断した断面図。
【図18】同スキンパック用台紙を用いたスキンパック包装体の正面図。
【図19】図18のXIX−XIX線で切断した断面図。
【図20】第3実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図21】第3実施形態の更なる変形例に係るスキンパック用台紙の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
各部の用語の接頭語として、第1及び第2を付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣などを意味しない。また、ある部材の「表面」は、スキンパックフィルムに近い側の面を指し、その「裏面」は、その反対側の面を指す。さらに、方向性を示す用語として、「上、下、左、右」を使用するが、これらは、便宜上、スキンパック包装体を図1に示す正面から見たときの方向を指す。また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0017】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材が2つ以上の層から構成されている。
図1乃至図6において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、第2基材2と、を有する。
第2基材2は、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。スキンパック用台紙10の内部には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【0018】
具体的には、第1基材1の表面に接着層4を介して第2基材2が積層されている。
接着層4は、第1基材1と第2基材2を手で剥離できない程度の強い接着力で第1基材1と第2基材2を接着できるものでもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材を手で剥離できる程度の接着力で接着するものでもよい。
接着層4の形成材料としては、例えば、溶剤型接着剤、エマルション型接着剤、感熱性接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられる。
接着層4は、第1基材1及び第2基材2の層間の全体に設けられておらず、後述するように、第1基材1と第2基材2の層間において脱気路5を確保するように、複数の領域に分けて設けられている。
【0019】
前記第1基材1の形成材料は特に限定されず、例えば、普通紙、コート紙、合成紙、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。第1基材1は、単一のシート材でもよいし、同種又は異種の2以上のシート材が積層接着されたものでもよい。
特に、第1基材1は、コート紙、合成紙、合成樹脂シート、表裏面にスキン層が形成された発泡樹脂シートのような、印刷面が比較的平滑で印刷特性に優れたシート材が好ましい。
本実施形態では、第1基材1として、少なくとも裏面に印刷用コート層が設けられたコート紙、又は、合成樹脂シートが用いられている。第1基材1の厚みは特に限定されないが、例えば、40μm〜1000μmである。
【0020】
第1基材1の正面視形状は、図2に示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、第1基材1は、円形状、楕円形状、三角形状、台形状などに形成されていてもよい。
第1基材1の裏面は、スキンパック用台紙10の裏面を構成している。その第1基材1の裏面(スキンパック用台紙10の裏面)には、商品名、説明書き、絵柄などの所望のデザインが印刷によって表されている。なお、必要に応じて、第1基材1の表面に、所望のデザインが表されていてもよい。
【0021】
第2基材2の正面視形状は、図1に示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、第2基材2は、円形状、楕円形状、三角形状、台形状などに形成されていてもよい。
第2基材2は、第1基材1と同形同大で且つ第2基材2の周縁部と第1基材1の周縁部を揃えて第1基材1に積層されていることが好ましい。もっとも、第2基材2は、第1基材1と同形同大に限られず、第2基材2が第1基材1よりも少し小さくてもよいし、或いは、少し大きくてもよい。
【0022】
第2基材2は、図3乃至図6に示すように、外層22と内層21の少なくとも2つの層を有する積層シートからなる。この外層22と内層21は、剥離可能に積層されている。第2基材2が、3つ以上の層からなる場合には、外層22と内層21の層間に中間層(図示せず)が設けられる。
外層22と内層21の間に中間層が設けられる場合、中間層は外層22又は内層21の何れか一方と接着され、且つ中間層と内層21又は外層22が剥離可能とされる。例えば、中間層が外層22の裏面に積層接着されている場合には、中間層の裏面と内層21の表面の層間において剥離可能に積層され、中間層が内層21の表面に積層接着されている場合には、中間層の表面と外層22の裏面の層間において剥離可能に積層される。
【0023】
外層22及び内層21(及び中間層)の形成材料は特に限定されず、普通紙、コート紙、合成紙、不織布、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。
外層22と内層21を剥離可能に積層する方法は、特に限定されず、例えば、外層22と内層21を擬似接着又は弱接着にて積層することが挙げられる。なお、中間層と外層22又は内層21を剥離可能に積層する方法も、これと同様であるので、その説明は省略する。
【0024】
擬似接着は、少しの力で層間剥離できる程度に弱く付着している状態をいう。弱接着は、擬似接着に比して強く付着しているが、簡単に層間剥離できる程度に弱く付着している状態をいう。
擬似接着における剥離強度(層間接着力)は、1〜5N/25mm程度が例示され、弱接着における剥離強度(層間接着力)は、3〜25N/25mm程度が例示される。
ただし、これらの剥離強度は、JIS Z 0237に準じ、積層する2つの試験材料を長さ100mm×幅25mmとし、剥離角度を180度、剥離速さを300mm/分、温度を23℃とした条件下の剥離試験において測定される。
【0025】
外層22と内層21を擬似接着状態で積層する方法としては、例えば、合成樹脂で外層22と内層21をそれぞれ構成し且つ両者を熱ラミネーションにて積層する方法や、内層21(又は外層22)に付着性のアンカーコート層を形成し、そのアンカーコート層に外層22(又は内層21)を積層する方法などが挙げられる。
また、外層22と内層21を弱接着状態で積層する方法としては、例えば、(a)内層21(又は外層22)に粘着剤(感圧型粘着剤や感熱性粘着剤など)を塗工し且つ外層22(又は内層21)に易剥離剤(シリコーン樹脂など)を塗工し、前記内層21(又は外層22)の粘着剤層と外層22(又は内層21)の易剥離剤層を積層する方法、(b)内層21(又は外層22)に粘着剤を塗工し且つその粘着剤の粘着性を弱めるためマスキング剤(紫外線硬化型インキなど)を粘着剤層に重ね塗りし、前記マスキング剤層に外層22(又は内層21)を積層する方法などが挙げられる。
【0026】
図示例では、第2基材2は、合成樹脂で外層22と内層21をそれぞれ構成し且つ両者を熱ラミネーションにて積層した積層シートからなる。
熱ラミネーションによる第2基材2は、公知の方法に準じ、例えば、合成樹脂シートからなる内層21の上に、加熱溶融させた合成樹脂を製膜し(外層22)、これを固化することにより得られる。
【0027】
この場合、外層22及び内層21の形成材料は、適宜選択できる。それらの形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系などを用いることができる。中でも、スキンパックフィルムとの接着性に優れていることから、外層22の形成材料はポリオレフィン系が好ましく、さらに、ポリエチレン系がより好ましい。また、前記ポリエチレン系と擬似接着し易いことから、内層21の形成材料はポリエステル系が好ましく、さらに、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0028】
外層22及び内層21の厚みは特に限定されない。
後述するように、開封時に外層22を分断するため、外層22は薄いことが好ましく、その厚みは、例えば、5μm〜40μmであり、好ましくは5μm〜20μmである。
内層21の厚みは、例えば、10μm〜50μm程度である。
第2基材2の外層22の表面は、スキンパック用台紙10の表面を構成している。その第2基材2の表面(スキンパック用台紙10の表面)には、スキンパックフィルムを接着するための接着剤層が設けられている(図示せず)。この接着剤としては、感熱性接着剤などが挙げられる。ただし、外層22そのものがスキンパックフィルムと接着可能な材質である場合には、前記接着剤層を設けなくてもよい。
なお、必要に応じて、外層22の表面若しくは裏面、又は、内層21の表面に、所望のデザインが表されていてもよい。
【0029】
第2基材2は、第2基材2の厚み方向に通気可能となるようにするため、通気可能な通気部3を有する。ここで、前記通気可能とは、真空吸引したときに、気体が通過し得ることをいう。
第2基材2を構成する各層(外層22及び内層21、並びに、必要に応じて設けられる中間層)として、通気性を有するシート材を用いた場合には、これら各層は、その材質上、厚み方向に通気可能である。通気性を有するシート材としては、例えば、ボール紙、普通紙、不織布、連続発泡の発泡樹脂シートなどが挙げられる。積層した状態で通気可能となるように各層を積層することにより、前記通気部を有する第2基材2を構成できる。
【0030】
図示例の第2基材2は、合成樹脂シートからなる外層22と内層21の積層シートからなるので、通気部3として切り目31が形成されている。
この切り目31は、スキンパックフィルムを真空吸引してスキンパック包装体を製造する際に通気部として機能し、一方、スキンパック包装体を開封する際に開封起点として機能する。
なお、上述の通気性を有するシート材からなる第2基材2については、切り目31を形成しなくても、厚み方向に通気可能な通気部を有するが、第2基材2が通気性を有するシート材からなる場合であっても、それに切り目31を形成してもよい。切り目31を形成することにより、真空吸引を良好に行える上、スキンパック包装体を開封し易くなる。
【0031】
切り目31は、第2基材2である外層22及び内層21の面内に、外層22及び内層21の厚み方向に貫通して形成されている。
切り目31は、1つでもよいし、複数形成されていてもよい。通気部及び開封起点として利用するために、切り目31は、複数形成されていることが好ましい。
複数の切り目31は、第2基材2の面内に規則的に形成されていてもよいし、不規則に形成されていてもよい。
切り目31の正面視形状は、特に限定されず、例えば、短い直線状、円形状、楕円状、三角形状などが挙げられる。
図示例では、1つの切り目31の形状は、短い直線状であり、その直線状の切り目31の複数が断続的に形成されている。このような複数の切り目31は、通常、ミシン目線と呼ばれる。この複数の切り目31は、第2基材2の面内の左右方向の中間部において、上下方向に延びて形成されている。
1つの直線状の切り目31の長さは、例えば、2mm〜5mm程度である。
【0032】
スキンパック用台紙10には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
この脱気路5は、真空吸引時に第2基材2の表面とスキンパックフィルムの間の空気を、第2基材2の裏面側からスキンパック用台紙10の縁部へと導く通路となる。
図示例では、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の層間に設けられている。
第1基材1の表面と第2基材2の裏面の間には、両基材1,2を接着するための接着層4が設けられているが、この接着層4は、複数の領域に点在して設けられている。そして、複数の接着層4の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。図6の薄墨塗りで示した箇所が接着層4が設けられた領域であり、図6の無地の箇所が、脱気路5である。
接着層4の形成領域は、全ての切り目31に接着層4が重なっていないことを条件として(接着層4で全ての切り目31が塞がれないことを条件として)、特に限定されず、その一部の接着層4が一部の切り目31に重なっていてもよい。
図示例では、全ての切り目31に接着層4が重ならないように、接着層4が形成されている。
また、第1基材1の周縁部と第2基材2の周縁部が捲れないようにするため、接着層4は、第1基材1及び第1基材1の四隅部を含む周縁部にまで設けられている。
【0033】
上記スキンパック用台紙10はスキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルムによってスキンパック包装体を構成できる。
すなわち、本発明のスキンパック包装体Aは、図7及び図8に示すように、スキンパック用台紙10と、被包装物8と、スキンパックフィルム9と、を有し、スキンパック用台紙10の第2基材2の表面に被包装物8が添えられ、スキンパックフィルム9が被包装物8に密着されていると共にスキンパック用台紙10の表面に接着されている。
【0034】
被包装物8は、特に限定されず、化粧品、文房具、電気製品などの様々な商品が挙げられる。
被包装物8の形状も特に限定されないが、内側へ凹んだ凹部81を有する形状が好ましく、特に、その凹部81は、指先が入り込む程度に凹んだ凹部であることが好ましい。なお、前記凹部81は、図示したような有底状の凹部のほか、底を有さない貫通した孔状の凹部であってもよい。
スキンパックフィルム9は、従来公知のフィルムを用いることができる。例えば、スキンパックフィルム9の材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニル、ポリエチレンなどのポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0035】
スキンパック包装体Aの製造手順は、例えば、次の通りである。
スキンパック用台紙10の表面に被包装物8を添える。凹部81を有する被包装物8の場合には、図8に示すように、切り目31の全部又は一部にその凹部81が重なるように被包装物8をスキンパック用台紙10の表面に配置することが好ましい。
そして、加熱して軟化させたスキンパックフィルム9を前記被包装物8の上から被せ、真空雰囲気下で、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9の間の空気を吸引する。前記空気は、スキンパック用台紙10の第2基材2の通気部3を通じて第2基材2の裏面側に至り、さらに、脱気路5を通じて前記空気は面に沿って移動し、台紙10の縁部10aへと吸引されて排出されていく。
前記空気の吸引により、スキンパックフィルム9が伸展して被包装物8に密着すると共に、被包装物8が存在しないスキンパック用台紙10の表面にスキンパックフィルム9が密着し、スキンパックフィルム9がスキンパック用台紙10の表面に接着する。
このようにしてスキンパック包装体Aが得られる。
必要に応じて、スキンパック包装体Aの周囲の不要部分を切り取って、スキンパック包装体Aの外形を整えてもよいし、さらに、吊下げ用の孔を穿設してもよい。
なお、本発明のスキンパック用台紙として、包装体比較的大きなものを用い、この台紙の上に所要間隔を開けて被包装物を載せ、それに比較的大きなスキンパックフィルムを被せて吸引し、これを個々に切り取ることにより、1度に複数のスキンパック包装体を製造することも可能である。
【0036】
本発明のスキンパック用台紙10を用いれば、第1基材1にミシン目線や切込み線などの切り目を形成しなくても、従来と同様な方法(吸引してスキンパックフィルム9を伸展させること)によってスキンパック包装体Aを構成できる。
このように第1基材1には切り目が形成されていないので、第1基材1にデザインを綺麗に表すことができる。
【0037】
スキンパック包装体Aを開封する際には、図9に示すように、先ず、外層22を内層21から剥離する。外層22と内層21は擬似接着又は弱接着されているので、手で簡単に外層22を内層21から剥離できる。
外層22と内層21の間で剥離すると、外層22の裏面が露出し、外層22とスキンパックフィルム9とその間に挟持された被包装物8とからなる分割体Bが生じる。分割体Bの一方面は、切り目31が形成された外層の裏面である。
露出した外層22には切り目31が形成されているので、この切り目31を開封起点として指などを差し込むことにより、外層22を容易に分断して開口部9aを形成でき、その開口部9aから分割体B内の被包装物8を取り出すことができる。特に、外層22は非常に薄いシートからなるので、前記切り目31を利用することにより、極めて容易に外層22を分断できる。
【0038】
さらに、切り目31に被包装物8の凹部81が重なるように包装されているスキンパック包装体Aにあっては、凹部81に対応する切り目31に指などを差し込むことにより、凹部81に指などが入り込むので、切り目31と凹部81の相乗により、極めて容易に開口部9aを形成できる。
【0039】
なお、本実施形態の上記図示例においては、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の間に設けられているが、例えば、脱気路5が、第1基材1の層内から第1基材1の縁部に通じるように設けられていてもよい。
具体的には、この変形例に係るスキンパック用台紙10は、図10に示すように、2つ以上の層から構成された第1基材1と、2つ以上の層から構成された第2基材2と、を有する。
第1基材1は、第1層11と第2層12の少なくとも2つの層を有する積層シートからなり、必要に応じて、第1層11と第2層12の間に中間層(図示せず)が設けられていてもよい。
第1基材1の第1層11の裏面が、スキンパック用台紙10の裏面を構成しており、その裏面には、所望のデザインが表されている。
【0040】
第1層11と第2層12は、第1接着層41を介して手で剥離できない程度の強い接着力で接着されている。もっとも、第1層11と第2層12は、手で剥離できる程度の接着力で(剥離可能に)接着されていてもよい。第1接着層41の形成材料としては、例えば、溶剤型接着剤、エマルション型接着剤、感熱性接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられる。
【0041】
第1層11及び第2層12の形成材料は特に限定されず、上記で例示した各種のシート材を用いることができる。
また、第2層12の面内には、切り目32が形成されている。この切り目32は、第2基材2に形成された切り目31と連通しうる位置に設けられている。
また、第1接着層41は、上記接着層4と同様に、複数の領域に点在して設けられており、複数の第1接着層41の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。
第1接着層41の形成領域は、全ての切り目32に第1接着層41が重なっていないことを条件として、特に限定されず、その一部の第1接着層41が第2層12の一部の切り目32に重なっていてもよいし、第1接着層41が全ての切り目32に重ならないように形成されていてもよい。
この変形例に係る脱気路5は、第1層11と第2層12の間に設けられている。かかる脱気路5は、真空吸引時に第2基材2の表面とスキンパックフィルム9の間の空気を、切り目32から第2層12の裏面側へ、さらに、第1基材1の縁部(スキンパック用台紙10の縁部10a)へと導く通路となる。
【0042】
なお、図示例では、第1層11及び第2層12は、同じ形成材料からなる、すなわち、1つのシート材を折り目1aで折り返すことによって第1層11と第2層12が構成されているが、第1層11と第2層12が、それぞれ別体又は種類の異なる形成材料で構成されていてもよい。
ただし、1つのシート材を折り返すと、第1基材1の縁部の一部から空気を外部に排出できないので(折り目1aからは脱気路5からの空気を、縁部外部へと排出できない)、スキンパックフィルムの真空吸引に斑が生じるおそれがある。かかる観点から、第1層11と第2層12が別体の枚葉で構成され、両層11,12が第1接着層41を介して積層接着されていることが好ましい。
また、第2層12として通気性を有するシート材を用いた場合には、前記切り目32を形成しなくてもよいし、或いは、形成してもよい。
【0043】
第2基材2は、上記と同様に外層22と内層21が剥離可能に積層されており、厚み方向に貫通する切り目31が形成されている。
第2基材2は、第2接着層42を介して第1基材1の第2層12の表面に接着されている。第2接着層42は、上記接着層4と同様に、第1基材1と第2基材2を手で剥離できない程度の強い接着力で接着できるものでもよいし、両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で接着できるものでもよい。
第2接着層42は、第2基材2の切り目31及び第2層12の切り目32の全てに重ならないように設けられていれば、その形成領域は特に限定されない。
図示例では、切り目31,32及びその近傍を除いて、第2接着層42は第2基材2の裏面に実質的にベタ状に設けられている。
【0044】
かかる変形例のスキンパック用台紙10も、切り目を形成する必要のない第1層11の裏面にデザインを綺麗に表すことができる。さらに、変形例のスキンパック用台紙10は、従来と同様な方法によってスキンパック包装体を構成でき、さらに、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材が単一の層から構成されている。以下、第2実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(その説明をしたものとして)用語及び符号を援用する場合がある。
【0046】
図11乃至図13において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、単一層の第2基材2と、を有する。
第2基材2は、第1実施形態と同様に、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。第1基材1と第2基材2の間には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【0047】
具体的には、第1基材1の表面に第2基材2が積層されている。
第1基材1と第2基材2は、手で剥離できない程度の強い接着力で積層接着されていてもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で積層接着されていてもよい。
好ましくは、第1基材1と第2基材2は、手で剥離できる程度の接着力で接着されている(擬似接着又は弱接着にて剥離可能に積層されている)。
【0048】
例えば、第1基材1と第2基材2は、弱接着状態にて積層されている。
図示例のように、第2基材2の裏面に粘着剤(感圧型粘着剤や感熱性粘着剤など)を塗工して粘着剤層6が設けられ、且つ、第1基材1の表面に易剥離剤(シリコーン樹脂など)を塗工して易剥離剤層7が設けられている。
第2基材2の粘着剤層6を第1基材1の易剥離剤層7に積層することにより、第1基材1と第2基材2の層間で剥離可能とされている。
【0049】
第1基材1の形成材料は、上記第1実施形態で例示したような各種のシート材を用いることができる。
第2基材2は、1つの層からなり、その形成材料は特に限定されず、普通紙、コート紙、合成紙、不織布、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。
第2基材2の面内には、上記第1実施形態と同様に、通気部3として切り目31が形成されている。この図示例の切り目31は、上下方向に延び、それが左右方向に2本形成されている。
ただし、第2基材2が通気性を有するシート材からなる場合には、必ずしも切り目31を形成しなくてもよいが、開封し易さを考慮すると、切り目31が形成されていることが好ましい。
【0050】
第1基材1と第2基材2の間に、脱気路5が設けられている。
上記第1実施形態と同様に、前記粘着剤層6が全ての切り目31に重ならないように、粘着剤層6を第2基材2の面内の複数の領域に設けることにより、粘着剤層6の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。
【0051】
第2実施形態のスキンパック用台紙10も、第1実施形態のスキンパック用台紙10と同様に、スキンパックフィルム9と協働して被包装物8を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9によってスキンパック包装体Aを構成できる。
【0052】
第2実施形態のスキンパック用台紙10においても、真空吸引時に、スキンパック用台紙10の表面とスキンパックフィルム9の間の空気が、第2基材2の表面から通気部3を通じて第2基材2の裏面へ、さらに、脱気路5を通じて台紙10の縁部10aへと吸引され、従来と同様な方法で、スキンパック包装体Aを得ることができる。
かかるスキンパック用台紙10は、第1基材1に切り目を形成する必要がないので、第1基材1の裏面にデザインを綺麗に表すことができる。
また、開封時には、第2基材2を第1基材1から剥離し、第2基材2の切り目31を開封起点として第2基材2を容易に分断できる。
【0053】
なお、本実施形態のスキンパック用台紙10において、第1基材1と第2基材2は、別体の枚葉からなるが、第1基材1と第2基材2を1つのシート材で構成することも可能である。
例えば、図14に示すように、1つのシート材を折り目1aにて折り返し、第1基材1と第2基材2を同じ形成材料から構成してもよい。
【0054】
また、本実施形態のスキンパック用台紙10において、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の間に設けられているが、例えば、脱気路5が、第1基材1の層内から第1基材1の縁部に通じるように設けられていてもよい。
本実施形態のスキンパック用台紙10においても、上記第1実施形態の変形例に準じて、第1基材1を2つ以上の層から構成し、その層間に、切り目31から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5を形成してもよい。
【0055】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材に被包装物の一部又は全部が嵌まる開口部が形成されている。以下、第3実施形態を説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(その説明をしたものとして)用語及び符号を援用する場合がある。
【0056】
図15乃至図17において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、開口部33を有する第2基材2と、を有する。
第2基材2は、第1実施形態と同様に、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。第1基材1と第2基材2の間には、前記第2基材2の開口部33から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。本実施形態では、前記開口部33が通気部3に相当する。
【0057】
具体的には、第1基材1の表面に第2基材2が積層されている。
第1基材1と第2基材2は、手で剥離できない程度の強い接着力で積層接着されていてもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で積層接着されていてもよい。
【0058】
第1基材1及び第2基材2は、それぞれ独立して、上記第1及び第2実施形態で例示したように、少なくとも2つの層を有する積層シートから構成されていてもよいし、或いは、1つの層から構成されていてもよい。
図15及び図17においては、1つの層からなる第1基材1及び第2基材2を用い、第2基材2に設けられた粘着剤層6を第1基材1の易剥離剤層7に積層することにより、第1基材1と第2基材2の層間で剥離可能に両基材1,2が接着されている場合を例示している。
【0059】
この第2基材2の面内には、開口部33が形成されている。開口部33は、第2基材2の一部を切除した領域(切除によって生じる縁部に囲われた領域)である。
開口部33の形成位置は、特に限定されず、例えば、第2基材2の略中央部に形成されている。もっとも、開口部は、第2基材2の何れかの辺側に偏って形成されていてもよいし、或いは、第2基材2の何れかの辺を含む位置に形成されていてもよい。
前記開口部33は、第2基材2の厚み方向に開けられた穴である。なお、第1基材1として、第1実施形態の変形で示したような少なくとも2層の積層シートを用いた場合には、スキンパック用台紙10の裏面を構成する層以外(第1実施形態では第2層12)にも、前記開口部が形成される。
なお、前記開口部33に対応する第1基材1の表面にも易剥離剤層7が設けられているが、(易剥離剤層7は粘着剤層6の剥離を容易にするためのものなので)第1基材1の表面のうち開口部33に対応する領域に、易剥離剤層が設けられていなくてもよい。
【0060】
開口部33の正面視形状は、特に限定されず、図示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、円形状、楕円形状、三角形状、台形状、その他任意の形状に形成されていてもよい。また、開口部33の大きさも特に限定されない。
好ましくは、開口部33は、その開口部に被包装物を嵌め入れたときに、被包装物の一部が開口部33の一部の縁部又は全ての縁部に接するような形状及び大きさに形成される。もっとも、開口部33は、その開口部に被包装物を嵌め入れたときに、被包装物が開口部33の全ての縁に接するような形状及び大きさに形成されていてもよい。
【0061】
例えば、図15の二点鎖線(仮想線)で示すように、被包装物の対向する一対の側端面(上側端面及び下側端面)に、開口部33の上縁部33a及び下縁部33bが接するように、開口部33が形成されている。なお、第3実施形態において、前記接するとは、被包装物8が開口部33の縁部に当たって実質的に動かず、且つ開口部33の縁部と被包装物8の側端面の間から空気が通過できる程度に接しているという意味である。
他方、開口部33の左縁部33c及び右縁部33dと被包装物8の他の対向する一対の側端面(左側端面及び右側端面)との間にそれぞれ隙間Wを有するように、開口部33が形成されている。
従って、開口部33の上下長さは、被包装物8の上下長さと実質的に同じで、開口部33の左右長さは、被包装物8の左右長さよりも大きい。
【0062】
第3実施形態のスキンパック用台紙10も、第1及び第2実施形態のスキンパック用台紙と同様に、スキンパックフィルム9と協働して被包装物8を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9によってスキンパック包装体Aを構成できる(図18及び図19参照)。
被包装物8は、特に限定されず、図示例では、比較的薄肉の略板状の商品を例示している。前記略板状の商品としては、パソコンなどに使用される記録メディア(SDメモリーカードなど)、ゲームソフトが記録されたカセット、記念コインなどが挙げられる。
【0063】
第3実施形態のスキンパック用台紙10においては、スキンパック包装体Aの製造時、第2基材2の開口部33に被包装物8が嵌め込まれる。上記のように、被包装物8の対向する側端面が開口部33の縁部に接するように開口部33の形成されているので、前記嵌め込まれた被包装物8が開口部33の縁部に当たって位置決めされる。このため、スキンパックフィルム9を吸引した際に、被包装物8が位置ズレすることなく、被包装物8が予定位置に保持されたスキンパック包装体Aを得ることができる。
【0064】
そして、開口部33に被包装物8を嵌め込んだ後、スキンパックフィルム9を被せ、台紙10の裏面側から真空吸引する。本実施形態においても、真空吸引時に、スキンパック用台紙10の表面とスキンパックフィルム9の間の空気が、第2基材2の表面から開口部33(通気部3)を通じて第2基材2の裏面へ、さらに、脱気路5を通じて台紙10の縁部10aへと吸引され、従来と同様な方法で、スキンパック包装体Aを得ることができる。なお、開口部33に被包装物8が嵌められた本実施形態においては、開口部33の縁部と被包装物8の側端面の間から前記空気が脱気路5に入るようになる。
本実施形態によれば、第1基材1のみならず、第2基材2にも切り目を形成する必要がないので、第1基材1の裏面及び第2基材2の表面にデザインを綺麗に表すことができる。もっとも、第2基材2の面内に、上記第1及び第2実施形態のように、切り目を形成してもよい。
【0065】
また、上記開口部33は、その左縁部33c及び右縁部33dと被包装物8の対向する一対の側端面(左側端面及び右側端面)との間にそれぞれ隙間Wを有するように形成されている。
このように隙間Wを有することにより、図19に示すように、スキンパックフィルム9の吸引により、そのスキンパックフィルム9が隙間Wに入り込み、スキンパックフィルム9が被包装物8の対向する側端面を包み込むように密着する。
このため、被包装物8を取り出すため、スキンパックフィルム9を台紙10の表面から引き剥がした時に、被包装物8が不用意に飛び出ることを防止できる。
一般に、被包装物は、スキンパックフィルム及び台紙に非接着であるので、スキンパックフィルムを台紙から剥がしたときに、被包装物が飛び出る場合がある。この点、本発明のように被包装物8の少なくとも対向する一対の側端面を包むようにスキンパックフィルム9が密着していることにより、被包装物8の飛び出しを防止できる。
特に、本発明のスキンパック用台紙10は、スキンパックフィルムを引き剥がしたときに飛び出し易いSDメモリーカードなどの略板状の被包装物を包装する場合に好適である。
【0066】
なお、本実施形態のスキンパック用台紙10において、開口部33は、被包装物8の対向する一対の側端面(一方向において対向する側端面)に接し且つ被包装物8の他の対向する一対の側端面(他方向において対向する側端面)に離反するように形成されている。なお、前記一方向と他方向は、台紙の表面内で互いに直交する方向である(例えば、上下方向と左右方向などである)。
第3実施形態においては、この形態に限られず、適宜設計変更できる。
【0067】
例えば、図20に示すように、開口部33の縁部のうち4つの角縁部が2方向において被包装物8に接し、且つ上縁部33a、下縁部33b、左縁部33c及び右縁部33dが被包装物8の側端面から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。なお、この場合、4つの角縁部に代えて、対角線上に位置する2つの角縁部が被包装物に接するように、開口部33が形成されていてもよい。
また、図21に示すように、開口部33の上縁部33a、下縁部33b、左縁部33c及び右縁部33dの中央部が被包装物8に接し、且つ開口部33の4つの角縁部が被包装物8の側端面から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。なお、この場合、4つの角縁部に代えて、対角線上に位置する2つの角縁部が被包装物から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。
【0068】
図20及び図21に示すような変形例によれば、スキンパック包装体の製造時に、開口部33にはめ込まれた被包装物8が、台紙10の上下、左右及び斜めの何れの方向に位置ズレすることがない。また、被包装物の四方の隙間Wにスキンパックフィルム9が入り込むので、スキンパックフィルム9の引き剥がし時に被包装物8の飛び出しを防止できる。
【符号の説明】
【0069】
1…第1基材、2…第2基材、21…内層、22…外層、3…通気部、31,32…切り目、33…開口部、4,41,42…接着層、5…脱気路、8…被包装物、9…スキンパックフィルム、10…スキンパック用台紙、A…スキンパック包装体
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンパックフィルムとの間で被包装物を保持するスキンパック用台紙及びスキンパック包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンパック包装体は、スキンパック用台紙の表面に添えた被包装物を覆うように、スキンパックフィルムを被せ、真空吸引してスキンパックフィルムを伸展させ、スキンパック用台紙の表面にスキンパックフィルムを接着させることにより得られる。
スキンパック包装体は、ブリスター包装体に比して、コンパクト且つ安価に被包装物を包装できる包装形態である。
しかしながら、スキンパックフィルムは伸び易くて切れにくいフィルムであるため、スキンパック包装体は、手では容易に開封できないという問題点がある。
【0003】
この点、特許文献1には、被包装物の外形に略沿う切込線を形成すると共に、切込線の両端から被包装物の外形に沿って延びるミシン目線を形成したスキンパック用台紙が開示されている。
かかるスキンパック用台紙は、切込線及びミシン目線が形成されているので、その台紙を通じてスキンパックフィルムと被包装物の間の空気を吸引してスキンパック包装体を構成できる。さらに、得られたスキンパック包装体は、ミシン目線を利用して手で容易に開封できる。
【0004】
しかしながら、上記従来の台紙はミシン目線が形成されているので、見た目が悪く、特に、台紙の裏面には被包装物の説明書きや商品名などが印刷されるので、ミシン目線を形成することによってそのデザイン性が損なわれるという問題点がある。
他方、ミシン目線を形成しない場合には、吸引のために、台紙としてボール紙などの通気性を有する基材を用いる必要がある。
しかしながら、通気性を有する基材は、比較的表面が粗面である場合が多いことからインキ乗りが悪く、通気性を有する基材を用いた台紙にはデザインを綺麗に表すことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4549584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、デザインを綺麗に表すことができるスキンパック用台紙及びそれを用いたスキンパック包装体を提供することである。
本発明の第2の目的は、デザインを綺麗に表すことができ、且つ容易に開封できるスキンパック用台紙及びそれを用いたスキンパック包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスキンパック用台紙は、第1基材と、前記第1基材の表面に積層された第2基材と、を有し、前記第2基材が、その厚み方向に通気可能な通気部を有し、前記通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられている。
なお、本明細書において、「台紙」は、スキンパックと協働して被包装物を保持する部材であり、台紙の「紙」は、「台紙が紙製である」という限定的な意味を有するわけではないことに留意されたい。
【0008】
上記本発明のスキンパック用台紙は、スキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するために使用される。
使用時には、スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物を添え、その上からスキンパックフィルムを被せ、真空吸引する。
上記スキンパック用台紙は、第2基材が通気部を有し、通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられているので、第2基材とスキンパックフィルムの間の空気が、通気部から脱気路を介して台紙の縁部へと吸引される。この吸引により、スキンパックフィルムが伸展し、スキンパック用台紙の第2基材の表面にスキンパックフィルムが接着し、スキンパック包装体が得られる。
このように本発明のスキンパック用台紙を用いれば、第1基材にミシン目線や切込み線などの切り目を形成しなくても、従来と同様な方法(吸引してスキンパックフィルムを伸展させること)によってスキンパック包装体を構成できる。そして、第1基材に切り目を形成しなくてよいので、それにデザインを綺麗に表すことができる。
【0009】
本発明の好ましいスキンパック用台紙は、前記第2基材が外層と内層の少なくとも2つの層を有し、前記外層と内層が剥離可能に積層され、前記外層には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている。
【0010】
かかる好ましいスキンパック用台紙は、第2基材の外層と内層を容易に剥離することができ、剥離後には、切り目が形成された外層の裏面が露出する。
従って、前記切り目を利用すれば外層を容易に分断して開口部を形成でき、その開口部から被包装物を取り出すことができる。
このように好ましいスキンパック用台紙によれば、綺麗なデザインを表すことができるだけでなく、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【0011】
本発明の好ましいスキンパック用台紙は、前記第1基材と第2基材が、剥離可能に積層され、前記第2基材には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている。
【0012】
かかる好ましいスキンパック用台紙は、第1基材と第2基材を容易に剥離することができる。
また、第2基材を第1基材から剥離した後、切り目を利用すれば第2基材を容易に分断して開口部を形成でき、その開口部から被包装物を取り出すことができる。
【0013】
本発明の別の局面によれば、スキンパック包装体を提供する。
このスキンパック包装体は、上記いずれかのスキンパック用台紙と、スキンパックフィルムと、被包装物と、を有し、前記スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物が添えられ、スキンパックフィルムが前記被包装物に密着されていると共にスキンパック用台紙の表面に接着されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスキンパック用台紙は、デザインを綺麗に表すことができる。さらに、本発明のスキンパック用台紙は、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図2】同スキンパック用台紙の背面図。
【図3】同スキンパック用台紙の左側面図。
【図4】図1のIV−IV線(上下方向)で切断した断面図。
【図5】図1のV−V線(左右方向)で切断した断面図。
【図6】図3のVI−VI線で切断した断面図。
【図7】同スキンパック用台紙を用いたスキンパック包装体の左側面図。
【図8】図7のVIII−VIII線で切断し且つ90度回転させた断面図。
【図9】スキンパック包装体を開封する際の図7のVIII−VIII線で切断し且つ90度回転させた断面図。
【図10】第1実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の断面図。なお、図10は、図5と同様に、左右方向で切断した断面図である。
【図11】第2実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図12】図11のXII−XII線(上下方向)で切断した断面図。
【図13】図11のXIII−XIII線(左右方向)で切断した断面図。
【図14】第2実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の断面図。なお、図14は、図13と同様に、左右方向で切断した断面図である。
【図15】第3実施形態に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図16】図15のXVI−XVI線(上下方向)で切断した断面図。
【図17】図15のXVII−XVII線(左右方向)で切断した断面図。
【図18】同スキンパック用台紙を用いたスキンパック包装体の正面図。
【図19】図18のXIX−XIX線で切断した断面図。
【図20】第3実施形態の変形例に係るスキンパック用台紙の正面図。
【図21】第3実施形態の更なる変形例に係るスキンパック用台紙の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
各部の用語の接頭語として、第1及び第2を付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣などを意味しない。また、ある部材の「表面」は、スキンパックフィルムに近い側の面を指し、その「裏面」は、その反対側の面を指す。さらに、方向性を示す用語として、「上、下、左、右」を使用するが、これらは、便宜上、スキンパック包装体を図1に示す正面から見たときの方向を指す。また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0017】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材が2つ以上の層から構成されている。
図1乃至図6において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、第2基材2と、を有する。
第2基材2は、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。スキンパック用台紙10の内部には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【0018】
具体的には、第1基材1の表面に接着層4を介して第2基材2が積層されている。
接着層4は、第1基材1と第2基材2を手で剥離できない程度の強い接着力で第1基材1と第2基材2を接着できるものでもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材を手で剥離できる程度の接着力で接着するものでもよい。
接着層4の形成材料としては、例えば、溶剤型接着剤、エマルション型接着剤、感熱性接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられる。
接着層4は、第1基材1及び第2基材2の層間の全体に設けられておらず、後述するように、第1基材1と第2基材2の層間において脱気路5を確保するように、複数の領域に分けて設けられている。
【0019】
前記第1基材1の形成材料は特に限定されず、例えば、普通紙、コート紙、合成紙、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。第1基材1は、単一のシート材でもよいし、同種又は異種の2以上のシート材が積層接着されたものでもよい。
特に、第1基材1は、コート紙、合成紙、合成樹脂シート、表裏面にスキン層が形成された発泡樹脂シートのような、印刷面が比較的平滑で印刷特性に優れたシート材が好ましい。
本実施形態では、第1基材1として、少なくとも裏面に印刷用コート層が設けられたコート紙、又は、合成樹脂シートが用いられている。第1基材1の厚みは特に限定されないが、例えば、40μm〜1000μmである。
【0020】
第1基材1の正面視形状は、図2に示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、第1基材1は、円形状、楕円形状、三角形状、台形状などに形成されていてもよい。
第1基材1の裏面は、スキンパック用台紙10の裏面を構成している。その第1基材1の裏面(スキンパック用台紙10の裏面)には、商品名、説明書き、絵柄などの所望のデザインが印刷によって表されている。なお、必要に応じて、第1基材1の表面に、所望のデザインが表されていてもよい。
【0021】
第2基材2の正面視形状は、図1に示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、第2基材2は、円形状、楕円形状、三角形状、台形状などに形成されていてもよい。
第2基材2は、第1基材1と同形同大で且つ第2基材2の周縁部と第1基材1の周縁部を揃えて第1基材1に積層されていることが好ましい。もっとも、第2基材2は、第1基材1と同形同大に限られず、第2基材2が第1基材1よりも少し小さくてもよいし、或いは、少し大きくてもよい。
【0022】
第2基材2は、図3乃至図6に示すように、外層22と内層21の少なくとも2つの層を有する積層シートからなる。この外層22と内層21は、剥離可能に積層されている。第2基材2が、3つ以上の層からなる場合には、外層22と内層21の層間に中間層(図示せず)が設けられる。
外層22と内層21の間に中間層が設けられる場合、中間層は外層22又は内層21の何れか一方と接着され、且つ中間層と内層21又は外層22が剥離可能とされる。例えば、中間層が外層22の裏面に積層接着されている場合には、中間層の裏面と内層21の表面の層間において剥離可能に積層され、中間層が内層21の表面に積層接着されている場合には、中間層の表面と外層22の裏面の層間において剥離可能に積層される。
【0023】
外層22及び内層21(及び中間層)の形成材料は特に限定されず、普通紙、コート紙、合成紙、不織布、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。
外層22と内層21を剥離可能に積層する方法は、特に限定されず、例えば、外層22と内層21を擬似接着又は弱接着にて積層することが挙げられる。なお、中間層と外層22又は内層21を剥離可能に積層する方法も、これと同様であるので、その説明は省略する。
【0024】
擬似接着は、少しの力で層間剥離できる程度に弱く付着している状態をいう。弱接着は、擬似接着に比して強く付着しているが、簡単に層間剥離できる程度に弱く付着している状態をいう。
擬似接着における剥離強度(層間接着力)は、1〜5N/25mm程度が例示され、弱接着における剥離強度(層間接着力)は、3〜25N/25mm程度が例示される。
ただし、これらの剥離強度は、JIS Z 0237に準じ、積層する2つの試験材料を長さ100mm×幅25mmとし、剥離角度を180度、剥離速さを300mm/分、温度を23℃とした条件下の剥離試験において測定される。
【0025】
外層22と内層21を擬似接着状態で積層する方法としては、例えば、合成樹脂で外層22と内層21をそれぞれ構成し且つ両者を熱ラミネーションにて積層する方法や、内層21(又は外層22)に付着性のアンカーコート層を形成し、そのアンカーコート層に外層22(又は内層21)を積層する方法などが挙げられる。
また、外層22と内層21を弱接着状態で積層する方法としては、例えば、(a)内層21(又は外層22)に粘着剤(感圧型粘着剤や感熱性粘着剤など)を塗工し且つ外層22(又は内層21)に易剥離剤(シリコーン樹脂など)を塗工し、前記内層21(又は外層22)の粘着剤層と外層22(又は内層21)の易剥離剤層を積層する方法、(b)内層21(又は外層22)に粘着剤を塗工し且つその粘着剤の粘着性を弱めるためマスキング剤(紫外線硬化型インキなど)を粘着剤層に重ね塗りし、前記マスキング剤層に外層22(又は内層21)を積層する方法などが挙げられる。
【0026】
図示例では、第2基材2は、合成樹脂で外層22と内層21をそれぞれ構成し且つ両者を熱ラミネーションにて積層した積層シートからなる。
熱ラミネーションによる第2基材2は、公知の方法に準じ、例えば、合成樹脂シートからなる内層21の上に、加熱溶融させた合成樹脂を製膜し(外層22)、これを固化することにより得られる。
【0027】
この場合、外層22及び内層21の形成材料は、適宜選択できる。それらの形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系などを用いることができる。中でも、スキンパックフィルムとの接着性に優れていることから、外層22の形成材料はポリオレフィン系が好ましく、さらに、ポリエチレン系がより好ましい。また、前記ポリエチレン系と擬似接着し易いことから、内層21の形成材料はポリエステル系が好ましく、さらに、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0028】
外層22及び内層21の厚みは特に限定されない。
後述するように、開封時に外層22を分断するため、外層22は薄いことが好ましく、その厚みは、例えば、5μm〜40μmであり、好ましくは5μm〜20μmである。
内層21の厚みは、例えば、10μm〜50μm程度である。
第2基材2の外層22の表面は、スキンパック用台紙10の表面を構成している。その第2基材2の表面(スキンパック用台紙10の表面)には、スキンパックフィルムを接着するための接着剤層が設けられている(図示せず)。この接着剤としては、感熱性接着剤などが挙げられる。ただし、外層22そのものがスキンパックフィルムと接着可能な材質である場合には、前記接着剤層を設けなくてもよい。
なお、必要に応じて、外層22の表面若しくは裏面、又は、内層21の表面に、所望のデザインが表されていてもよい。
【0029】
第2基材2は、第2基材2の厚み方向に通気可能となるようにするため、通気可能な通気部3を有する。ここで、前記通気可能とは、真空吸引したときに、気体が通過し得ることをいう。
第2基材2を構成する各層(外層22及び内層21、並びに、必要に応じて設けられる中間層)として、通気性を有するシート材を用いた場合には、これら各層は、その材質上、厚み方向に通気可能である。通気性を有するシート材としては、例えば、ボール紙、普通紙、不織布、連続発泡の発泡樹脂シートなどが挙げられる。積層した状態で通気可能となるように各層を積層することにより、前記通気部を有する第2基材2を構成できる。
【0030】
図示例の第2基材2は、合成樹脂シートからなる外層22と内層21の積層シートからなるので、通気部3として切り目31が形成されている。
この切り目31は、スキンパックフィルムを真空吸引してスキンパック包装体を製造する際に通気部として機能し、一方、スキンパック包装体を開封する際に開封起点として機能する。
なお、上述の通気性を有するシート材からなる第2基材2については、切り目31を形成しなくても、厚み方向に通気可能な通気部を有するが、第2基材2が通気性を有するシート材からなる場合であっても、それに切り目31を形成してもよい。切り目31を形成することにより、真空吸引を良好に行える上、スキンパック包装体を開封し易くなる。
【0031】
切り目31は、第2基材2である外層22及び内層21の面内に、外層22及び内層21の厚み方向に貫通して形成されている。
切り目31は、1つでもよいし、複数形成されていてもよい。通気部及び開封起点として利用するために、切り目31は、複数形成されていることが好ましい。
複数の切り目31は、第2基材2の面内に規則的に形成されていてもよいし、不規則に形成されていてもよい。
切り目31の正面視形状は、特に限定されず、例えば、短い直線状、円形状、楕円状、三角形状などが挙げられる。
図示例では、1つの切り目31の形状は、短い直線状であり、その直線状の切り目31の複数が断続的に形成されている。このような複数の切り目31は、通常、ミシン目線と呼ばれる。この複数の切り目31は、第2基材2の面内の左右方向の中間部において、上下方向に延びて形成されている。
1つの直線状の切り目31の長さは、例えば、2mm〜5mm程度である。
【0032】
スキンパック用台紙10には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
この脱気路5は、真空吸引時に第2基材2の表面とスキンパックフィルムの間の空気を、第2基材2の裏面側からスキンパック用台紙10の縁部へと導く通路となる。
図示例では、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の層間に設けられている。
第1基材1の表面と第2基材2の裏面の間には、両基材1,2を接着するための接着層4が設けられているが、この接着層4は、複数の領域に点在して設けられている。そして、複数の接着層4の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。図6の薄墨塗りで示した箇所が接着層4が設けられた領域であり、図6の無地の箇所が、脱気路5である。
接着層4の形成領域は、全ての切り目31に接着層4が重なっていないことを条件として(接着層4で全ての切り目31が塞がれないことを条件として)、特に限定されず、その一部の接着層4が一部の切り目31に重なっていてもよい。
図示例では、全ての切り目31に接着層4が重ならないように、接着層4が形成されている。
また、第1基材1の周縁部と第2基材2の周縁部が捲れないようにするため、接着層4は、第1基材1及び第1基材1の四隅部を含む周縁部にまで設けられている。
【0033】
上記スキンパック用台紙10はスキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルムによってスキンパック包装体を構成できる。
すなわち、本発明のスキンパック包装体Aは、図7及び図8に示すように、スキンパック用台紙10と、被包装物8と、スキンパックフィルム9と、を有し、スキンパック用台紙10の第2基材2の表面に被包装物8が添えられ、スキンパックフィルム9が被包装物8に密着されていると共にスキンパック用台紙10の表面に接着されている。
【0034】
被包装物8は、特に限定されず、化粧品、文房具、電気製品などの様々な商品が挙げられる。
被包装物8の形状も特に限定されないが、内側へ凹んだ凹部81を有する形状が好ましく、特に、その凹部81は、指先が入り込む程度に凹んだ凹部であることが好ましい。なお、前記凹部81は、図示したような有底状の凹部のほか、底を有さない貫通した孔状の凹部であってもよい。
スキンパックフィルム9は、従来公知のフィルムを用いることができる。例えば、スキンパックフィルム9の材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニル、ポリエチレンなどのポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0035】
スキンパック包装体Aの製造手順は、例えば、次の通りである。
スキンパック用台紙10の表面に被包装物8を添える。凹部81を有する被包装物8の場合には、図8に示すように、切り目31の全部又は一部にその凹部81が重なるように被包装物8をスキンパック用台紙10の表面に配置することが好ましい。
そして、加熱して軟化させたスキンパックフィルム9を前記被包装物8の上から被せ、真空雰囲気下で、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9の間の空気を吸引する。前記空気は、スキンパック用台紙10の第2基材2の通気部3を通じて第2基材2の裏面側に至り、さらに、脱気路5を通じて前記空気は面に沿って移動し、台紙10の縁部10aへと吸引されて排出されていく。
前記空気の吸引により、スキンパックフィルム9が伸展して被包装物8に密着すると共に、被包装物8が存在しないスキンパック用台紙10の表面にスキンパックフィルム9が密着し、スキンパックフィルム9がスキンパック用台紙10の表面に接着する。
このようにしてスキンパック包装体Aが得られる。
必要に応じて、スキンパック包装体Aの周囲の不要部分を切り取って、スキンパック包装体Aの外形を整えてもよいし、さらに、吊下げ用の孔を穿設してもよい。
なお、本発明のスキンパック用台紙として、包装体比較的大きなものを用い、この台紙の上に所要間隔を開けて被包装物を載せ、それに比較的大きなスキンパックフィルムを被せて吸引し、これを個々に切り取ることにより、1度に複数のスキンパック包装体を製造することも可能である。
【0036】
本発明のスキンパック用台紙10を用いれば、第1基材1にミシン目線や切込み線などの切り目を形成しなくても、従来と同様な方法(吸引してスキンパックフィルム9を伸展させること)によってスキンパック包装体Aを構成できる。
このように第1基材1には切り目が形成されていないので、第1基材1にデザインを綺麗に表すことができる。
【0037】
スキンパック包装体Aを開封する際には、図9に示すように、先ず、外層22を内層21から剥離する。外層22と内層21は擬似接着又は弱接着されているので、手で簡単に外層22を内層21から剥離できる。
外層22と内層21の間で剥離すると、外層22の裏面が露出し、外層22とスキンパックフィルム9とその間に挟持された被包装物8とからなる分割体Bが生じる。分割体Bの一方面は、切り目31が形成された外層の裏面である。
露出した外層22には切り目31が形成されているので、この切り目31を開封起点として指などを差し込むことにより、外層22を容易に分断して開口部9aを形成でき、その開口部9aから分割体B内の被包装物8を取り出すことができる。特に、外層22は非常に薄いシートからなるので、前記切り目31を利用することにより、極めて容易に外層22を分断できる。
【0038】
さらに、切り目31に被包装物8の凹部81が重なるように包装されているスキンパック包装体Aにあっては、凹部81に対応する切り目31に指などを差し込むことにより、凹部81に指などが入り込むので、切り目31と凹部81の相乗により、極めて容易に開口部9aを形成できる。
【0039】
なお、本実施形態の上記図示例においては、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の間に設けられているが、例えば、脱気路5が、第1基材1の層内から第1基材1の縁部に通じるように設けられていてもよい。
具体的には、この変形例に係るスキンパック用台紙10は、図10に示すように、2つ以上の層から構成された第1基材1と、2つ以上の層から構成された第2基材2と、を有する。
第1基材1は、第1層11と第2層12の少なくとも2つの層を有する積層シートからなり、必要に応じて、第1層11と第2層12の間に中間層(図示せず)が設けられていてもよい。
第1基材1の第1層11の裏面が、スキンパック用台紙10の裏面を構成しており、その裏面には、所望のデザインが表されている。
【0040】
第1層11と第2層12は、第1接着層41を介して手で剥離できない程度の強い接着力で接着されている。もっとも、第1層11と第2層12は、手で剥離できる程度の接着力で(剥離可能に)接着されていてもよい。第1接着層41の形成材料としては、例えば、溶剤型接着剤、エマルション型接着剤、感熱性接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられる。
【0041】
第1層11及び第2層12の形成材料は特に限定されず、上記で例示した各種のシート材を用いることができる。
また、第2層12の面内には、切り目32が形成されている。この切り目32は、第2基材2に形成された切り目31と連通しうる位置に設けられている。
また、第1接着層41は、上記接着層4と同様に、複数の領域に点在して設けられており、複数の第1接着層41の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。
第1接着層41の形成領域は、全ての切り目32に第1接着層41が重なっていないことを条件として、特に限定されず、その一部の第1接着層41が第2層12の一部の切り目32に重なっていてもよいし、第1接着層41が全ての切り目32に重ならないように形成されていてもよい。
この変形例に係る脱気路5は、第1層11と第2層12の間に設けられている。かかる脱気路5は、真空吸引時に第2基材2の表面とスキンパックフィルム9の間の空気を、切り目32から第2層12の裏面側へ、さらに、第1基材1の縁部(スキンパック用台紙10の縁部10a)へと導く通路となる。
【0042】
なお、図示例では、第1層11及び第2層12は、同じ形成材料からなる、すなわち、1つのシート材を折り目1aで折り返すことによって第1層11と第2層12が構成されているが、第1層11と第2層12が、それぞれ別体又は種類の異なる形成材料で構成されていてもよい。
ただし、1つのシート材を折り返すと、第1基材1の縁部の一部から空気を外部に排出できないので(折り目1aからは脱気路5からの空気を、縁部外部へと排出できない)、スキンパックフィルムの真空吸引に斑が生じるおそれがある。かかる観点から、第1層11と第2層12が別体の枚葉で構成され、両層11,12が第1接着層41を介して積層接着されていることが好ましい。
また、第2層12として通気性を有するシート材を用いた場合には、前記切り目32を形成しなくてもよいし、或いは、形成してもよい。
【0043】
第2基材2は、上記と同様に外層22と内層21が剥離可能に積層されており、厚み方向に貫通する切り目31が形成されている。
第2基材2は、第2接着層42を介して第1基材1の第2層12の表面に接着されている。第2接着層42は、上記接着層4と同様に、第1基材1と第2基材2を手で剥離できない程度の強い接着力で接着できるものでもよいし、両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で接着できるものでもよい。
第2接着層42は、第2基材2の切り目31及び第2層12の切り目32の全てに重ならないように設けられていれば、その形成領域は特に限定されない。
図示例では、切り目31,32及びその近傍を除いて、第2接着層42は第2基材2の裏面に実質的にベタ状に設けられている。
【0044】
かかる変形例のスキンパック用台紙10も、切り目を形成する必要のない第1層11の裏面にデザインを綺麗に表すことができる。さらに、変形例のスキンパック用台紙10は、従来と同様な方法によってスキンパック包装体を構成でき、さらに、容易に開封できるスキンパック包装体を構成できる。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材が単一の層から構成されている。以下、第2実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(その説明をしたものとして)用語及び符号を援用する場合がある。
【0046】
図11乃至図13において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、単一層の第2基材2と、を有する。
第2基材2は、第1実施形態と同様に、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。第1基材1と第2基材2の間には、前記第2基材2の通気部3から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。
【0047】
具体的には、第1基材1の表面に第2基材2が積層されている。
第1基材1と第2基材2は、手で剥離できない程度の強い接着力で積層接着されていてもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で積層接着されていてもよい。
好ましくは、第1基材1と第2基材2は、手で剥離できる程度の接着力で接着されている(擬似接着又は弱接着にて剥離可能に積層されている)。
【0048】
例えば、第1基材1と第2基材2は、弱接着状態にて積層されている。
図示例のように、第2基材2の裏面に粘着剤(感圧型粘着剤や感熱性粘着剤など)を塗工して粘着剤層6が設けられ、且つ、第1基材1の表面に易剥離剤(シリコーン樹脂など)を塗工して易剥離剤層7が設けられている。
第2基材2の粘着剤層6を第1基材1の易剥離剤層7に積層することにより、第1基材1と第2基材2の層間で剥離可能とされている。
【0049】
第1基材1の形成材料は、上記第1実施形態で例示したような各種のシート材を用いることができる。
第2基材2は、1つの層からなり、その形成材料は特に限定されず、普通紙、コート紙、合成紙、不織布、合成樹脂シート、発砲樹脂シートなどの各種シート材を用いることができる。
第2基材2の面内には、上記第1実施形態と同様に、通気部3として切り目31が形成されている。この図示例の切り目31は、上下方向に延び、それが左右方向に2本形成されている。
ただし、第2基材2が通気性を有するシート材からなる場合には、必ずしも切り目31を形成しなくてもよいが、開封し易さを考慮すると、切り目31が形成されていることが好ましい。
【0050】
第1基材1と第2基材2の間に、脱気路5が設けられている。
上記第1実施形態と同様に、前記粘着剤層6が全ての切り目31に重ならないように、粘着剤層6を第2基材2の面内の複数の領域に設けることにより、粘着剤層6の形成領域の間隙に、複数の脱気路5が確保されている。
【0051】
第2実施形態のスキンパック用台紙10も、第1実施形態のスキンパック用台紙10と同様に、スキンパックフィルム9と協働して被包装物8を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9によってスキンパック包装体Aを構成できる。
【0052】
第2実施形態のスキンパック用台紙10においても、真空吸引時に、スキンパック用台紙10の表面とスキンパックフィルム9の間の空気が、第2基材2の表面から通気部3を通じて第2基材2の裏面へ、さらに、脱気路5を通じて台紙10の縁部10aへと吸引され、従来と同様な方法で、スキンパック包装体Aを得ることができる。
かかるスキンパック用台紙10は、第1基材1に切り目を形成する必要がないので、第1基材1の裏面にデザインを綺麗に表すことができる。
また、開封時には、第2基材2を第1基材1から剥離し、第2基材2の切り目31を開封起点として第2基材2を容易に分断できる。
【0053】
なお、本実施形態のスキンパック用台紙10において、第1基材1と第2基材2は、別体の枚葉からなるが、第1基材1と第2基材2を1つのシート材で構成することも可能である。
例えば、図14に示すように、1つのシート材を折り目1aにて折り返し、第1基材1と第2基材2を同じ形成材料から構成してもよい。
【0054】
また、本実施形態のスキンパック用台紙10において、脱気路5は、第1基材1と第2基材2の間に設けられているが、例えば、脱気路5が、第1基材1の層内から第1基材1の縁部に通じるように設けられていてもよい。
本実施形態のスキンパック用台紙10においても、上記第1実施形態の変形例に準じて、第1基材1を2つ以上の層から構成し、その層間に、切り目31から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5を形成してもよい。
【0055】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るスキンパック用台紙及びスキンパック包装体は、第2基材に被包装物の一部又は全部が嵌まる開口部が形成されている。以下、第3実施形態を説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(その説明をしたものとして)用語及び符号を援用する場合がある。
【0056】
図15乃至図17において、本実施形態のスキンパック用台紙10は、第1基材1と、開口部33を有する第2基材2と、を有する。
第2基材2は、第1実施形態と同様に、厚み方向に通気可能な通気部3を有する。第1基材1と第2基材2の間には、前記第2基材2の開口部33から台紙10の縁部10aに通じる脱気路5が設けられている。本実施形態では、前記開口部33が通気部3に相当する。
【0057】
具体的には、第1基材1の表面に第2基材2が積層されている。
第1基材1と第2基材2は、手で剥離できない程度の強い接着力で積層接着されていてもよいし、第1基材1と第2基材2の層間において両基材1,2を手で剥離できる程度の接着力で積層接着されていてもよい。
【0058】
第1基材1及び第2基材2は、それぞれ独立して、上記第1及び第2実施形態で例示したように、少なくとも2つの層を有する積層シートから構成されていてもよいし、或いは、1つの層から構成されていてもよい。
図15及び図17においては、1つの層からなる第1基材1及び第2基材2を用い、第2基材2に設けられた粘着剤層6を第1基材1の易剥離剤層7に積層することにより、第1基材1と第2基材2の層間で剥離可能に両基材1,2が接着されている場合を例示している。
【0059】
この第2基材2の面内には、開口部33が形成されている。開口部33は、第2基材2の一部を切除した領域(切除によって生じる縁部に囲われた領域)である。
開口部33の形成位置は、特に限定されず、例えば、第2基材2の略中央部に形成されている。もっとも、開口部は、第2基材2の何れかの辺側に偏って形成されていてもよいし、或いは、第2基材2の何れかの辺を含む位置に形成されていてもよい。
前記開口部33は、第2基材2の厚み方向に開けられた穴である。なお、第1基材1として、第1実施形態の変形で示したような少なくとも2層の積層シートを用いた場合には、スキンパック用台紙10の裏面を構成する層以外(第1実施形態では第2層12)にも、前記開口部が形成される。
なお、前記開口部33に対応する第1基材1の表面にも易剥離剤層7が設けられているが、(易剥離剤層7は粘着剤層6の剥離を容易にするためのものなので)第1基材1の表面のうち開口部33に対応する領域に、易剥離剤層が設けられていなくてもよい。
【0060】
開口部33の正面視形状は、特に限定されず、図示したような略矩形状のほか、特に図示しないが、円形状、楕円形状、三角形状、台形状、その他任意の形状に形成されていてもよい。また、開口部33の大きさも特に限定されない。
好ましくは、開口部33は、その開口部に被包装物を嵌め入れたときに、被包装物の一部が開口部33の一部の縁部又は全ての縁部に接するような形状及び大きさに形成される。もっとも、開口部33は、その開口部に被包装物を嵌め入れたときに、被包装物が開口部33の全ての縁に接するような形状及び大きさに形成されていてもよい。
【0061】
例えば、図15の二点鎖線(仮想線)で示すように、被包装物の対向する一対の側端面(上側端面及び下側端面)に、開口部33の上縁部33a及び下縁部33bが接するように、開口部33が形成されている。なお、第3実施形態において、前記接するとは、被包装物8が開口部33の縁部に当たって実質的に動かず、且つ開口部33の縁部と被包装物8の側端面の間から空気が通過できる程度に接しているという意味である。
他方、開口部33の左縁部33c及び右縁部33dと被包装物8の他の対向する一対の側端面(左側端面及び右側端面)との間にそれぞれ隙間Wを有するように、開口部33が形成されている。
従って、開口部33の上下長さは、被包装物8の上下長さと実質的に同じで、開口部33の左右長さは、被包装物8の左右長さよりも大きい。
【0062】
第3実施形態のスキンパック用台紙10も、第1及び第2実施形態のスキンパック用台紙と同様に、スキンパックフィルム9と協働して被包装物8を保持するために使用され、スキンパック用台紙10とスキンパックフィルム9によってスキンパック包装体Aを構成できる(図18及び図19参照)。
被包装物8は、特に限定されず、図示例では、比較的薄肉の略板状の商品を例示している。前記略板状の商品としては、パソコンなどに使用される記録メディア(SDメモリーカードなど)、ゲームソフトが記録されたカセット、記念コインなどが挙げられる。
【0063】
第3実施形態のスキンパック用台紙10においては、スキンパック包装体Aの製造時、第2基材2の開口部33に被包装物8が嵌め込まれる。上記のように、被包装物8の対向する側端面が開口部33の縁部に接するように開口部33の形成されているので、前記嵌め込まれた被包装物8が開口部33の縁部に当たって位置決めされる。このため、スキンパックフィルム9を吸引した際に、被包装物8が位置ズレすることなく、被包装物8が予定位置に保持されたスキンパック包装体Aを得ることができる。
【0064】
そして、開口部33に被包装物8を嵌め込んだ後、スキンパックフィルム9を被せ、台紙10の裏面側から真空吸引する。本実施形態においても、真空吸引時に、スキンパック用台紙10の表面とスキンパックフィルム9の間の空気が、第2基材2の表面から開口部33(通気部3)を通じて第2基材2の裏面へ、さらに、脱気路5を通じて台紙10の縁部10aへと吸引され、従来と同様な方法で、スキンパック包装体Aを得ることができる。なお、開口部33に被包装物8が嵌められた本実施形態においては、開口部33の縁部と被包装物8の側端面の間から前記空気が脱気路5に入るようになる。
本実施形態によれば、第1基材1のみならず、第2基材2にも切り目を形成する必要がないので、第1基材1の裏面及び第2基材2の表面にデザインを綺麗に表すことができる。もっとも、第2基材2の面内に、上記第1及び第2実施形態のように、切り目を形成してもよい。
【0065】
また、上記開口部33は、その左縁部33c及び右縁部33dと被包装物8の対向する一対の側端面(左側端面及び右側端面)との間にそれぞれ隙間Wを有するように形成されている。
このように隙間Wを有することにより、図19に示すように、スキンパックフィルム9の吸引により、そのスキンパックフィルム9が隙間Wに入り込み、スキンパックフィルム9が被包装物8の対向する側端面を包み込むように密着する。
このため、被包装物8を取り出すため、スキンパックフィルム9を台紙10の表面から引き剥がした時に、被包装物8が不用意に飛び出ることを防止できる。
一般に、被包装物は、スキンパックフィルム及び台紙に非接着であるので、スキンパックフィルムを台紙から剥がしたときに、被包装物が飛び出る場合がある。この点、本発明のように被包装物8の少なくとも対向する一対の側端面を包むようにスキンパックフィルム9が密着していることにより、被包装物8の飛び出しを防止できる。
特に、本発明のスキンパック用台紙10は、スキンパックフィルムを引き剥がしたときに飛び出し易いSDメモリーカードなどの略板状の被包装物を包装する場合に好適である。
【0066】
なお、本実施形態のスキンパック用台紙10において、開口部33は、被包装物8の対向する一対の側端面(一方向において対向する側端面)に接し且つ被包装物8の他の対向する一対の側端面(他方向において対向する側端面)に離反するように形成されている。なお、前記一方向と他方向は、台紙の表面内で互いに直交する方向である(例えば、上下方向と左右方向などである)。
第3実施形態においては、この形態に限られず、適宜設計変更できる。
【0067】
例えば、図20に示すように、開口部33の縁部のうち4つの角縁部が2方向において被包装物8に接し、且つ上縁部33a、下縁部33b、左縁部33c及び右縁部33dが被包装物8の側端面から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。なお、この場合、4つの角縁部に代えて、対角線上に位置する2つの角縁部が被包装物に接するように、開口部33が形成されていてもよい。
また、図21に示すように、開口部33の上縁部33a、下縁部33b、左縁部33c及び右縁部33dの中央部が被包装物8に接し、且つ開口部33の4つの角縁部が被包装物8の側端面から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。なお、この場合、4つの角縁部に代えて、対角線上に位置する2つの角縁部が被包装物から離反して隙間Wを生じるように、開口部33が形成されていてもよい。
【0068】
図20及び図21に示すような変形例によれば、スキンパック包装体の製造時に、開口部33にはめ込まれた被包装物8が、台紙10の上下、左右及び斜めの何れの方向に位置ズレすることがない。また、被包装物の四方の隙間Wにスキンパックフィルム9が入り込むので、スキンパックフィルム9の引き剥がし時に被包装物8の飛び出しを防止できる。
【符号の説明】
【0069】
1…第1基材、2…第2基材、21…内層、22…外層、3…通気部、31,32…切り目、33…開口部、4,41,42…接着層、5…脱気路、8…被包装物、9…スキンパックフィルム、10…スキンパック用台紙、A…スキンパック包装体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するスキンパック用台紙において、
第1基材と、前記第1基材の表面に積層された第2基材と、を有し、
前記第2基材が、その厚み方向に通気可能な通気部を有し、
前記通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられている、スキンパック用台紙。
【請求項2】
前記第2基材が、外層と内層の少なくとも2層を有し、前記外層と内層が剥離可能に積層され、
前記外層には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項3】
前記第1基材と第2基材が、剥離可能に積層され、
前記第2基材には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている、請求項1または2に記載のスキンパック用台紙。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスキンパック用台紙と、スキンパックフィルムと、被包装物と、を有し、
前記スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物が添えられ、スキンパックフィルムが前記被包装物に密着されていると共にスキンパック用台紙の表面に接着されている、スキンパック包装体。
【請求項1】
スキンパックフィルムと協働して被包装物を保持するスキンパック用台紙において、
第1基材と、前記第1基材の表面に積層された第2基材と、を有し、
前記第2基材が、その厚み方向に通気可能な通気部を有し、
前記通気部から台紙の縁部に通じる脱気路が設けられている、スキンパック用台紙。
【請求項2】
前記第2基材が、外層と内層の少なくとも2層を有し、前記外層と内層が剥離可能に積層され、
前記外層には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項3】
前記第1基材と第2基材が、剥離可能に積層され、
前記第2基材には、その厚み方向に貫通する切り目が形成されている、請求項1または2に記載のスキンパック用台紙。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスキンパック用台紙と、スキンパックフィルムと、被包装物と、を有し、
前記スキンパック用台紙の第2基材の表面に被包装物が添えられ、スキンパックフィルムが前記被包装物に密着されていると共にスキンパック用台紙の表面に接着されている、スキンパック包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−82501(P2013−82501A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202172(P2012−202172)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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