説明

スキー靴用カバー

【課題】スキー靴に対する雪や水の浸入を確実に防止し、しかも軽量で保温効果の高い、スキー靴用のカバー体を提供する。
【解決手段】スキーヤーがスキー靴を履いた状態で装着可能であり、当該カバーは上方開口及び下方開口を有するカバー体と、該下方開口の一方側にその一方端が固着された固定部材とを有し、該固定部材の他方端と前記下方開口の他方側とが、固定部材をスキー靴底部に巻回して着脱自在に結合されることを特徴とするスキー靴用カバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキー靴用の着脱自在なカバーに係り、特に、スキー靴内への雪や水の浸入を防ぎ、しかも足部の保温に効果のあるカバー体構造を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
スキー靴の構造自体に種々の改良を加えて、スキー靴の重合部分やバックル部分から靴内への雪や水の浸入を防止するごときスキー靴は、従来種々のものが知られている。例えば下記の特許文献1又は特許文献2に記載のものもその一例であるが、このようなスキー靴は、スキー靴の一部にカバー部材を組み込むことにより雪の進入を防止するものであるから、その構造自体が極めて複雑であり、スキー靴が非常に高価なものとならざるを得ない欠点があった。
【0003】
また、このような公知のスキー靴構造では、簡単に足部を保温することもできず、構造が複雑な割には保温効果が低いものであった。更に、カバー体自体が靴の一部を構成するために、カバー体の不使用時にも靴と一体化されており、スキー靴のボリュームが大きくなると言う欠点を有していた。
【0004】
その他にも、例えば特許文献3に記載されているように、通常の運動靴などに例えば雨除けのカバー体を着脱可能とするものも提案されているけれども、このような発明にあっては、靴紐部分にカバー体を輪ゴムにより固定するのみであり、例えばスキー靴のように、外部から雪による大きな圧力が掛かる場合には簡単に外れてしまい、防雪・防水の用をなさないばかりでなく、防寒の効果も発揮できないものである。
【特許文献1】特開平8−266303号公報
【特許文献2】特開平7−204002号公報
【特許文献3】特開平9−56402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、構造が簡単で着脱自在であり、スキー靴に対する雪や水の浸入を確実に防止し、しかも軽量で保温効果の高い、スキー靴用のカバー体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスキー靴のための防雪、防水及び保温用カバーは、スキーヤーがスキー靴を履いた状態で装着可能であり、当該カバーは上方開口及び下方開口を有するカバー体と、該下方開口の一方側にその一方端が固着された固定部材とを有し、該固定部材の他方端と前記下方開口の他方側とが、固定部材をスキー靴底部に巻回して着脱自在に結合されることを特徴とするスキー靴用カバーである。
また、上記固定部材と上記下方開口の他方側との着脱自在な結合は、面ファスナーにより行われ、上記カバー体はウエットスーツ用生地で構成され、スキー靴のバックルのための開口が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の構成を有するために、スキー靴への着脱が極めて簡単であり、カバー体自体が軽量であり持ち運びに便利であり、しかも、保温効果が高いスキー靴用のカバーを得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図1乃至図6により説明する。
図1及び図2は、特に左足側に係るスキー靴本体1に対して、本発明に係るスキー靴用カバー10を装着した状態の側面図及び背面図を示している。これらの図面から明らかなように、通常一般のスキー靴1はそのシェル本体2又は甲部と靴底部3とを有し、これらのシェル本体と靴底部との前後の結合部分には、それぞれビンディング係止溝4a,4bが設けられている。
【0009】
また、シェル本体2を構成する前面部には分断重合部分を有しており、これらの重合部を固定するためにバックル5a〜5cが固定され、該各バックルはスキー靴を着脱するたびに、開閉固定されるものである。
【0010】
本発明に係るスキー靴用カバー10は、スキーヤーが上記のスキー靴1を履き、該スキー靴をスキー板に固定する前に、図示のごとくスキー靴1上に被覆固定するものであって、後述するごとくその着脱、固定は周知の面ファスナー17により行うものである。
【0011】
スキー靴用カバー10は次に図3で示すごとく、そのカバー体上面の甲部11a、爪先部11b及び踵部11cが一体に形成されたカバー体11と、これをスキー靴1のシェル本体に固定する固定部材12とからなっており、詳細は後述するように、該固定部材12の裏面とカバー体11の一部表面に設けられた面ファスナー17,17によって、ワンタッチで着脱可能とされている。
【0012】
図3及び図4は、カバー体11の全体構成を良く現している。
カバー体11は、基本的にスキー靴のシェル本体の重合部分を覆うカバー体甲部11aとスキー靴の爪先部及び踵部に当接されるカバー体爪先部11b、カバー体踵部11cとから成っており、該カバー体11の上方部には上方開口13が、同じく該カバー体11の下方部には下方開口14がそれぞれ形成されている。これにより、カバー体の該下方開口14から上方開口13へスキー靴の胴部を通して、スキー靴の本体足部を上方から被覆可能とされている。
【0013】
図4に明らかなように、同図示カバー体11の右側面、すなわち一対のカバー体のそれぞれの内側に対応する側面には固定部片12が、一般的に逢着又は溶着等により固定されていて、該固定部片12の一面に設けられた面ファスナー17と前記カバー体11の外側の表面に設けられた面ファスナー17とによって、該カバー体11をスキー靴に装着固定することができる。
【0014】
また、図3及び図4において、符号15で示す部分はカバー体11の一部に重ねて固定された当て布部であり、装飾の一部である。更に、符号16a,16bで示す部分は後述するごとく、スキー靴本体のバックル5b,5cのための開口である。
【0015】
図5及び図6は、本発明に係るカバー体11をスキーヤーがスキー靴を履いた状態でスキー靴1に装着する態様を示している。
先ず図5に示すように、スキーヤーが足にスキー靴を装着した状態で、該スキー靴1をカバー体11の上方開口13より挿入して下方開口14側に通し、カバー体11の内側面に設けた固定部材12をスキー靴1の中央底部を巻回させ、その面ファスナー17とカバー対11の上部外側面に設けた面ファスナー17とによって固定する。
【0016】
この時に、カバー体11の甲部11aに設けられた開口16a,16bに、それぞれスキー靴1のバックル5c,5bを挿通係合し、その後に固定部材12をスキー靴1の底部に卷回するものである。
【0017】
特に図6に明らかなように、カバー体11の甲部11aがスキー靴本体1の甲部全体を覆うと共に、カバー体11の爪先部11bはスキー靴1の爪先側ビンディング溝4aの上部位置を、カバー体11の踵部11cはスキー靴1の踵側ビンディング溝4bの上部位置をそれぞれ被覆固定するものである。
【0018】
本発明のスキー靴用カバー10は、そのカバー体11部分を従来周知のウエットスーツ用の生地により作成しているので、軽量で防水性及び保温性に優れている。
この場合に、カバー体11を任意位置で複数枚の構成部片に分割し、これらを符号18で示すように縫製又は溶着することによって、スキー靴1の外形に合致する形状に製作する。また、必要に応じて例えば図示に当て布15部分等を色違いの生地とし、或いは色違いの当て布で覆うことで、全体としてのアクセントを付けることができる。
【0019】
このような実施形態によれば、簡単な構造でしかも手軽に着脱できるカバーを用いて、スキー靴内への雪や水の進入を防ぐことができるとともに保温効果も備えるもので、スキーをより一層楽しむことができる。
また、カバー自体の構造が簡単で柔軟性もあり軽量であることから、不使用時の携行にも極めて便利なスキー靴用カバー体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカバー体をスキー靴に装着した状態の側面図である。
【図2】本発明のカバー体をスキー靴に装着した状態の背面図である。
【図3】左足側のスキー靴に適用するカバー対の右側面図である。
【図4】左足側のスキー靴に適用するカバー対の左側面図である。
【図5】カバー体の装着状態説明図である。
【図6】カバー体の装着状態説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 スキー靴
5a〜5c スキー靴のバックル
10 スキー靴用カバー
11 カバー体
12 固定部材
13 上方開口
14 下方開口
16a,16b バックル用開口
17 面ファスナー

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキー靴のための防雪、防水及び保温用カバーであって、スキーヤーがスキー靴を履いた状態で装着可能であり、当該カバーは上方開口及び下方開口を有するカバー体と、該下方開口の一方側にその一方端が固着された固定部材とを有し、該固定部材の他方端と前記下方開口の他方側とが、固定部材をスキー靴底部に巻回して着脱自在に結合されることを特徴とするスキー靴用カバー。
【請求項2】
請求項1記載のスキー靴用カバーであって、上記固定部材と上記下方開口の他方側との着脱自在な結合は、面ファスナーにより行われることを特徴とするスキー靴用カバー。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスキー靴用カバーであって、上記カバー体はウエットスーツ用生地で構成されていることを特徴とするスキー靴用カバー。
【請求項4】
請求項1又は2記載のスキー靴用カバーであって、上記カバー体にはスキー靴のバックルのための開口が設けられていることを特徴とするスキー靴用カバー。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−117148(P2007−117148A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309415(P2005−309415)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(505350569)株式会社スポーツアヴェニュー (3)
【Fターム(参考)】