説明

スクシネートエステル誘導体の痴呆症の治療への使用

【課題】痴呆症の治療、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症の治療のための方法であって、Wangla(Coeloglossum viride (L) Hartm. Var. Bracteatum (Wild.)
Richter)に由来するスクシネートエステルの誘導体を含有する抽出物、および式Iによって定義される合成誘導体を用いることによる方法を提供する。
【解決手段】Wangla(coeloglossum viride (L) Hartm. Var. Bracteatum (willd.)
Richter)に由来する抽出物、スクシネート誘導体エステル、並びにそれらの誘導体および薬学的に許容し得る塩の、痴呆症を治療するための、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症を治療するための医薬調製品の製造への使用。動物実験により、スクシネート誘導体エステルがスコポラミンおよびシクロヘキセニルイミンによって誘導される痴呆症ラットにおける学習および記憶能力を改善し;β−アミロイドによって誘導される痴呆症ラットにおける学習および記憶能力を改善し;両側頸動脈の永久結紮によって誘導される痴呆症ラットにおける学習および記憶能力を改善し;並びに正常動物の記憶能力を改善できることが示されている。それは高活性、低毒性およびコリンエステラーゼに対する阻害なしという利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、Wangla(Coeloglossum viride (L) Hartm. Var. Bracteatum (Wild.)
Richter)に由来するスクシネートエステルの誘導体を含有する抽出物、スクシネートエステルの合成誘導体、およびそれらの薬学的に許容し得る塩の、痴呆症の治療、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症の治療のための医薬調製品の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在、中国における平均寿命は70歳を越える。海外の科学的調査による予測では、2025年に65歳を越える人々が18.8%存在する。このデータは、20年後に、5人毎に1人の老人が存在することを示す。アルツハイマー病は50歳を上回る人々に生じる傾向がある。脳血管性の病理学的変化による多発梗塞性痴呆症、すなわち、老人性痴呆症は60歳を上回る人々に生じる。世界の人口が年老いていくに従い、アルツハイマー病および老人性痴呆症の発生率は増加するものと予想される。加齢および特有神経性変性疾患−異なる種類の痴呆症は2つのタイプの、最初に精神における、次いで肉体における、死を招く。それは患者を冒すだけではなく、彼らの家族および社会に負担を課す。加齢人工は、戦闘、疫病、飢餓および資源の不足にのみ劣る、社会的発展および安定性に衝撃を与える有害要素とみなされる。
【0003】
痴呆症は、認知低下、障害を受けた記憶、言語、思考、挙動、および異常人格を含む、脳機能障害によって生じる後天的および継続的知的障害症候群である。痴呆症には、主として、アルツハイマー病、血管性痴呆症等が含まれる。アルツハイマー病の病理学的変化には、大部分がAβ(β−アミロイドペプチド)と呼ばれる成分で形成される老人斑の形成、コリン作動性ニューロンの喪失および血管の内皮細胞におけるAβの蓄積等が含まれる。血管性痴呆症は脳血管性疾患、大部分は虚血、によって誘発される。その病理学的変化には多発性ラクナ病または大規模梗塞およびアテローム硬化性変化が含まれる。近年の研究は、血管的要素が老人性痴呆症のプロセスに関与し、脳における血流の欠如が最も危険性の高い要素であることを示す。
【0004】
加齢を予防し、かつ老人性痴呆症を治療するための多くの種類の薬物が存在する。現在、臨床的に適用される主導的治療薬は、脳血管循環の改善および脳の保護に関する補助治療を伴う、コリン作動性薬物およびアセチルコリネラーゼ阻害剤(ChEI)であるが、その効果は限られている。コリン作動系機能を高める薬物のうち、Ach前駆体のみが穏やかな治療効果を示す。Ach受容体アゴニストおよびChEIは特定の効果を有するものの、その持続時間は非常に短く、副作用が比較的大きい。脳血管拡張薬は脳の血液供給を強化することによってエネルギー供給および知的改善の助けとなるが、脳血管拡張に実際に役立つ薬物は高い選択性を有してなければならない一方で、それらは脳代謝および「ピルファー・ブラッド(pilfer
blood)」に影響を及ぼすことがなく、血小板の高凝血性および抗血栓効果を有する。カルシウムアンタゴニストであるニモジピンは上記基準の幾つかに適格であるが、L型電位開口性Ca2+チャンネルのみに作用し、N型およびT型Ca2+チャンネルに対しては効果がない。幾つかの神経ペプチドおよびNGFは痴呆症の治療において有望であるものと思われたが、それらの臨床試験の結果は落胆させられるものであり、それは主として、血液脳関門(BBB)を通過して脳内でそれらの作用を発揮することが困難であることに起因していた。2-ピロリドンアセタミド(商品名Piracetam)が使用されるようになって以来、それが早期報告において新規の向知性薬であることに疑問の余地はない。近年、国内および海外で、それがすべての種類の記憶障害および老人性痴呆症に対して穏やかな効果を有するか、または全く作用しないことが報告されている。それは水溶性化合物であってBBBを通しての浸透性が低く、標的に集中してその効果を発揮することが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Coeloglossum
viride (L.) Hartm, Var. bracteatum (Willd.) Richterは、主として中国の西部、例えば、チベット、内蒙古、山西(Shanxi)、甘粛(Gansu)、青海(Qinghai)等において、広範に分布する。Coelogrhssum
viride (L.) Hartm. var. bracteatumの乾燥根茎は、中国西部の少数民族における長い使用履歴を有する、Wanglaと呼ばれる有名なチベット医薬である。その効能は複数、例えば、生命エネルギーの賦活、体液産生の促進、鎮静作用および知性の強化であった。
【0006】
この植物の予備生物学的活性スクリーニングにより、我々はこの植物の根茎のエタノール抽出物が、その効能と一致する、好ましい知的改善、鎮静作用および抗疲労活性を有することを見出した。これらの結果に基づき、我々はこの植物の化学的成分および生物学的活性を系統的に研究し、スクシネートモノ−およびジ−エステルの幾つかの誘導体を単離して同定した。Coeloglossum viride (L.) Hartm, var. bracteatum (Willd.) Richterの化学的成分は本発明者らによって公開されているが、その抽出物および精製化合物の生物学的活性は報告されていない。(Huang
Sheng-Yang, Shi Jian-Gong, Yang Yun-Chun, Hu Shi-Iin, Studies on the Chemical
Constituents of Coeloglossu viride (L) Harm. var. bracteatum (Willd) Richter.,
Acta Pharmaceutics Sinica, 2002, 37(3), 199-203;Sheng Yang HUANG, Jian Gong
SHI, Yong Chun YANG, Shi Lin HU. Two new isobutyltartrate monoesters from
Coeloglossum viride (L.) Hartm. var. bracteatum (Willd.) Richter. Chinese
Chemical Letters, 2002, 13(6):551-554を参照。)
【0007】
発明の詳細な説明
従来技術の欠点を克服するため、本発明の目的は、痴呆症の治療、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症の治療のための方法であって、Wangla(Coeloglossum viride (L) Hartm. Var. Bracteatum (Wild.)
Richter)に由来するスクシネートエステルの誘導体を含有する抽出物、および式Iによって定義される合成誘導体を用いることによる方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、活性成分としての式(I)のスクシネートエステルの誘導体および薬学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物を提供することにある。
本発明の化合物はその誘導体、立体異性体および薬学的に許容し得る塩を含む。
本発明の目的は、痴呆の治療、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症の治療のための医薬の製造における、Coelogrossum viride (L.) Hartm, var. bracteatum (wild.) Richterの抽出物の使用を提供することにある。
本発明の別の目的は、活性成分としてのCoeloglossum viride (L.) Hartm. Var. bracteatum (WiId.) Richterおよび薬学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特には、本発明は下記式(I)の化合物に関する:
【0009】
【化20】

(式中:
R1およびR4は、-OCH3、-OH、-O-Glu、
【0010】
【化21】

および
【0011】
【化22】

から選択され;
R2およびR3は、H、-OH、-O-Glu、
【0012】
【化23】

および
【0013】
【化24】

から選択され;
R5は非分岐または分岐C1-6アルキルから、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルから、より好ましくは、イソプロピル、tert-ブチル、およびイソブチルから選択され;
C-2およびC-3のキラル中心の立体配置は、それぞれ、2R3S、2R3R、2S3Sおよび2S3Rから選択される。)
【発明の効果】
【0014】
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の目的を達成するため、好ましい構造には、これらに限定されるものではないが、以下のものが含まれる:
【0016】
【化25】

1-(4-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-イソブチルタートレート(コエロビリンA)(W1)
【0017】
【化26】

4-(4-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-イソブチルタートレート(コエロビリンB)(W2)
【0018】
【化27】

1-(4-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルタートレート(コエロビリンC)(W3)
【0019】
【化28】

4-(4-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルタートレート(コエロビリンD)(W4)
【0020】
【化29】

2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルタートレート(W5)
【0021】
【化30】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルタートレート(ダクチロリンB)(W6)
【0022】
【化31】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-イソブチルタートレート(ロログロッシン)(W7)
【0023】
【化32】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルマレート(ダクチロリンA)(W8)
【0024】
【化33】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-ヒドロキシ-2-イソブチルマレート(ミリタリン)(W9)
【0025】
【化34】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-ヒドロキシ-2-(ブタン-2-イル)-マレート(Wl0)
【0026】
【化35】

1-(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-ヒドロキシ-2-イソプロピル-マレートメチルエステル(W11)
【0027】
【化36】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソプロピル-マレート(W12)
【0028】
【化37】

1-β-D-グルコピラノシルオキシベンジル-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルマレート(Wl3)
【0029】
【化38】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソプロピル-マレート(W14)
【0030】
非常に低い投薬量での、スコポラミンによって生じる学習獲得障害の動物モデルに対する試験で、本発明の治療の抽出物および化合物は降段(step-down)潜時を有意に長期化し、試験期間における過誤の回数を低下させることができる。これらの結果は、本発明の抽出物および化合物がマウスにおける学習獲得のスコポラミン誘導障害を有効に緩和できることを示す。
【0031】
Aβ(1-42)のICV注射は学習および記憶機能を損ない、本発明の抽出物および化合物を用いるマウスおよびラットの治療は受動回避能力におけるAβ(1-42)誘導障害を有意に遮断し、かつ空間作業記憶におけるAβ(1-42)誘導障害をも有意に改善した。これらの知見は、本発明の抽出物および化合物がアルツハイマー病のAβに関連する記憶障害に対する予防効果を有し得ることを示唆する。
【0032】
動物において両側総頸動脈を永久閉塞することによって誘導される慢性脳低灌流が挙動および組織病理学的変化に関連することは公知である。マウスおよびラットにおける脳低灌流は学習および記憶の欠損を生じた。本発明の抽出物および化合物を用いる長期の治療は挙動におけるこれらの変化を有意に緩和した(降段試験および水迷路試験)。我々のデータは、脳血管性機能不全状態および痴呆症における本発明の抽出物および化合物の有益な役割を示唆する。
【0033】
シクロヘキシミド(タンパク質合成の阻害剤)誘導マウス痴呆症モデルに対する試験で、本発明の抽出物および化合物はステップスルー潜時のシクロヘキシミド誘導減少を有意に逆転させ、試験期間における過誤の回数を低下させた。この結果は、本発明の抽出物および化合物がシクロヘキシミドによって誘導される受動回避の障害を緩和し、かつマウスの学習および記憶能力を高めることができることを示す。
【0034】
正常マウスにおける記憶に対する本発明の抽出物の影響を研究するため、我々は本発明の治療の抽出物が水迷路試験におけるマウスの脱出潜時を短縮し、かつ過誤の回数が有意に減少することを見出した。この結果は、本発明の抽出物が正常マウスにおいて学習および記憶の受容力を強化し得ることを示す。
【0035】
イン・ビボでアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を検出する実験において、我々はマウスまたはラットへの本発明の抽出物または化合物の一回投与または複数回投与が動物の脳におけるAChEの活性を阻害しないことを見出した。これは、動物における認知機能に対する本発明の抽出物および化合物の改善機構が抗コリンエステラーゼ経路を介するものではないことを示す。
【0036】
マウスにおける急性毒性研究の結果は、本発明の抽出物または化合物の5g/kgの一回用量を経口投与した後、マウス挙動における有意の差は観察されず、動物の死はなく、かつマウスの体重は正常マウスと同様に増加したことを示した。これは、本発明の抽出物または化合物がマウスにおいて非常に低い急性毒性を有することを示唆する。
【0037】
薬理学的研究は、本発明の抽出物または化合物が痴呆症、特には、アルツハイマー病および血管性痴呆症の治療に対する効果の他に、痴呆症、精神的機能の低下および健忘症等の早期段階における穏やかな認知改善を有することを示した。加えて、本発明の抽出物および化合物は非常に低い毒性、高い安全性を有し、動物の脳におけるAChEの活性を阻害しない。
【0038】
本発明は、活性成分として用いられる本発明の抽出物および化合物のいずれか並びに一般に用いられる薬物賦形剤および/または添加物を混合することによって作製される医薬組成物にも関する。通常、医薬組成物はO.1ないし95重量%の本発明の抽出物または化合物を含有する。
【0039】
本発明の医薬組成物は当該技術分野において公知の方法に従って作製することができる。この目的のため、必要であれば、本発明の抽出物および化合物のいずれかを、固体または液体の形態にある、1種類以上の通常用いられる薬物賦形剤および/または添加物と混合することができる。この組成物はヒトまたは獣医の投与使用のための形態に配合することができる。
【0040】
本発明の抽出物もしくは化合物またはそれらの医薬組成物は単位投薬形態に配合することができる。これらの化合物は、経口、直腸、経皮、腹膜、皮下、静脈内、筋肉内、口粘膜および鼻内を含む様々な経路によって投与することができる。経口投与することが好ましい。
【0041】
本発明の抽出物もしくは化合物またはそれらの医薬組成物は注射、例えば、静脈内、筋肉内、皮下および皮内注射によって投与することができる。
【0042】
投薬は液体形態であっても固体形態であってもよい。液体形態については、それは真の溶液、コロイド、微粒子、エマルジョンおよび懸濁液であり得る。他の投薬形態は錠剤、カプセル、ドロップ、ピル、エアロゾル、粉末、溶液(sulition)、懸濁液、エマルジョン、粒子、座剤、および注射用の凍結乾燥粉末であり得る。本発明の抽出物または組成物は通常の配合物、徐放性配合物、制御放出性配合物、、標的配合物(target
formulation)または様々な微粒子系に配合することができる。
【0043】
錠剤のような固体組成物を調製するため、当該技術分野において公知の様々な担体を用いることができる。適切な担体の幾つかの例には:希釈剤および吸収剤、例えば、デンプン、デキストリン、硫酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、スクロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウム;湿潤剤および結合剤、例えば、水、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、デンプンペースト、デキストリン、シロップ、ハチミツ、グルコースナトリウム、アラビアゴムペースト、ゼラチンペースト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、およびポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸塩、アガロース、ラミナラン、、重炭酸ナトリウム、クエン酸、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース;崩壊阻害剤、例えば、スクロース、トリステアリン、カカオ脂、硬化油;吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム;潤滑剤、例えば、タルク、シリカ、コーンスターチ、ステアリン酸塩、ホウ酸、液体パラフィン、ポリエチレングリコールが含まれる。本発明の錠剤はコートすることができ、例えば、糖コーティング、フィルムコーティング、腸溶性コーティング、または2層もしくは多層によってコートすることができる。
【0044】
ピルの調製には、当該技術分野において公知の様々な担体を用いることができる。そのような担体の例は希釈剤および吸収剤、例えば、グルコース、ラクトース、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、、ポリビニルピロリドン、Gelucire、カオリン、タルク;結合剤、例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、エタノール、ハチミツ、液糖、コメペーストまたは小麦粉ペースト;崩壊剤、例えば、アガロース粉末、乾燥デンプン、アルギン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロースである。
【0045】
カプセルの調製には、本発明の抽出物または化合物を上述の様々な担体と混合し、生じる混合物をハードまたはソフトゼラチンカプセルに詰める。その上、本発明の化合物はマイクロカプセルにすることも、懸濁液として水性媒体に懸濁させることも、ハードカプセルに封入することも、または注射液にすることもできる。
【0046】
例えば、本発明の抽出物または化合物を注射用配合物、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョンおよび凍結乾燥粉末にすることができる。そのような配合物は水性であっても非水性であってもよく、かつ1種類および/またはそれを上回る薬学的に許容し得る担体、希釈剤、結合剤、潤滑剤、保存剤、表面活性剤または分散剤を含むことができる。希釈剤は水、エタノール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパノール、エトキシル化ステアリルアルコール、多酸化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等であり得る。
【0047】
加えて、等張性注射液を調製するため、適切な量のNaCl、グルコースまたはグリセロールを注射用配合物に添加することができる。定型的な共溶媒、緩衝液、pH調整剤等を添加することもできる。これらの添加物はこの分野において頻繁に用いられる。
【0048】
本発明の活性化合物またはそれらの医薬組成物の治療上有効な用量が様々な要素、例えば、治療しようとする疾患の特性および重症度、患者または動物の性別、年齢、体重、特徴および個々の応答、投与の経路および回数、並びに治療目的に依存することは、当業者には明らかである。したがって、本発明による治療用量は大きく変化し得る。一般には、投与しようとする投薬量は当業者が容易に決定することができる。本発明の抽出物または化合物を用いるための治療上有効な用量は、約0.001ないし約150mg/kg/日、好ましくは、0.01ないし約100mg/kg/日、特には、約0.01ないし約60mg/kg/日、とりわけ、約0.1ないし約10mg/kg/日の用量範囲を活性成分を含む。合計1日投薬量を1回で投与することも、1日に2、3もしくは4回に分割された用量で投与することもできる。しかしながら、実際に投与される化合物の量は処方医によって彼の臨床経験および現在用いられる他の治療に従って決定されることは理解されるであろう。
【0049】
治療毎の合計投薬量は1回に投与することができ、または数回に分割することができる。本発明の抽出物、化合物、あらゆる医薬組成物は単独で用いることができ、または投薬量が調整された他の治療薬と組み合わせることができる。
【0050】
本発明の化合物は以下のラン科の6属、Coeloglossum、Galeola、Gastrodia、Loroglossum、Orchis、Vandaに存在する(表を参照)。
本発明に含まれるラン科植物由来の化合物
【0051】
【表1】

a:Coeloglossum
viride;b:Galeola faberi;c:Galeola septentrionalis;d:Gastrodia elata;e:Loroglossum
hircinum;f:Orchis latifolia;g:Orchis militaris;h:Orchis papilionacea;
【0052】
実施例
以下の例は本発明の説明に用いられるが、本発明に対するいかなる限定をも意味するものではない。
CE:Wanglaから抽出された有効画分
W6、W7、W8、W9:CEから単離された有効化合物
【0053】
調製例 本発明の抽出物および化合物の調製
風乾および粉砕した、Coeloglossum. viride (L.) Hartm. var. bracteatum (Willd.) Richterの根茎(5kg)を8容積の95%EtOHを用いて加熱下で3回抽出して濾過し、その濾液を合わせた後、溶媒を減圧下で除去して残滓(220g)を得た。その残滓を水に懸濁させた後、EtOAcで分配した。水相を、H2O、並びに20%、40%および80%EtOH水溶液で連続的に溶出する、マクロ多孔性樹脂でのカラムクロマトグラフィーにかけた。EtOH溶離溶液を濃縮して残滓(29g)を得、それを、H2O中のMeOHが増加する勾配(0-60%)で溶出して逆相シリカゲルRP-18でクロマトグラフィー処理し、TLC分析に基づいて幾つかの画分を得た。これらの画分を再結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー、Sephadex
LH 20、および逆相調製用HPLC技術によってさらに精製し、化合物W1(70mg)、W2(95mg)、W3(85mg)、W4(173mg)、W5(65mg)、W6(4.2g)、W7(4.8g)、W8(3.4g)、およびW9(1.2g)を得た。単離手順の図は図1を参照のこと。
【0054】
薬理学的実験:
実施例1:スコポラミンによって生じた受動回避作業能力障害に対するCEおよび化合物W6、W7、W8、W9の効果
【0055】
研究の目的:
ムスカリン性コリン作動性受容体アゴニストであるスコポラミンは、受動回避作業における訓練の直前にマウスに与えられたとき、記憶保持を損なうことが示されており、スコポラミン−記憶消失試験はいわゆる抗アルツハイマー薬の主要スクリーニング試験として広く用いられている。本研究は、マウスにおける降段型受動回避作業を用いて、CEおよびW6-W9がスコポラミンによって誘導される記憶障害を調節できるかどうかを研究するために設計された。
【0056】
方法:
24-28gのオスICRマウスを用いた。これらのマウスを実験に先立って2日の滞留期間収容した。マウスを無作為にグループ分けした(n=20)。
陰性対照、スコポラミン群、および試験薬群において、それぞれ、生理食塩水、または異なる用量の薬物を強制給餌することによってマウスに投与した。1日2回で2日間。
D3に、試験薬物投与の30分後、対照群を除いて、スコポラミン(1mg/kg
i.p)を投与した。
30分後、各々のマウスを個別に降段装置の箱内の安全プラットホーム上に乗せた。マウスが降段してグリッド・フロアに接触したとき、36Vの電圧で電気ショックが与えられ、ゴムプラットホーム上に跳ね戻った。各々の動物を5分間訓練してホーム・ケージに戻した。
この学習試行の24時間後、動物を再度プラットホーム上に乗せ、5分間の降段潜時および降段回数(過誤回数)を記録した。それらの結果を表1に示す。
【0057】
結果:
この降段試験は、対照群に対してスコポラミンの群において潜時が有意に減少し、5分間の過誤回数が顕著に増加したことを示す。スコポラミンが、1mg/kgの投薬量で、動物における学習および記憶の能力を損ない得ることが示された。CE、W6、W7、W8またはW9処置は降段潜時の減少を阻害し、試験期間中の過誤の回数を減少させて受動回避挙動のスコポラミン誘導損傷を和らげた。このデータは、CE、W6、W7、W8およびW9の全てがスコポラミンによって誘導される受動回避の損傷を緩和できることを示す。
【0058】
表1.マウスにおいてスコポラミンによって生じた受動回避作業能力損傷に対するCEおよびW6-W9の効果(降段試験)。
【0059】
【表2】

データは各々の群に対する平均±S.E.M、n=20を表す。#:P<0.05、##:P<0.01対対照;:P<0.05、**:P<0.01対スコポラミン群のみ。
【0060】
実施例2:シクロヘキシミド(CHX)によって生じた受動回避作業能力に対するCEおよびW6の効果
【0061】
研究の目的:
シクロヘキシミドはタンパク合成の阻害剤である。それは、受動回避を含む広範な学習および記憶作業において実験動物の能力を損なうことができる。この実験において、受動回避作業におけるシクロヘキシミド誘導記憶欠如に対するW6およびCEの効果を研究した。
【0062】
方法:
無作為化および薬物の投与は前記と同様である。対照群を除いて、マウスにシクロヘキシミド(120mg/kg i.p)を投与した。30分後、各々のマウスを個別に降段装置のプラットホーム上に乗せ、5分間訓練した。24時間後に保持試験を開始し、5分間の降段潜時および降段の回数(過誤の回数)を記録した。
【0063】
結果:
シクロヘキシミド(120mg/kg、ip.)は、訓練試行の前に投与されたとき、学習の獲得を有意に損なった。CEおよびW6は降段潜時のシクロヘキシミド誘導減少を有意に逆転させ、過誤の回数を減少させた。この結果は、CEおよびW6がシクロヘキシミドによって誘導される受動回避の損傷を和らげ、マウスの学習および記憶能力を高めることができることを示す。これらの結果を表2に示す。
【0064】
表2.マウスにおいてシクロヘキシミドによって誘導される受動回避挙動の損傷に対するCEおよびW6の効果(降段試験)
【0065】
【表3】

データは各々の群に対する平均±SEM、n=20を示す。##:P<0.01、###:P<0.001対対照;:P<0.05、**:P<0.01対シクロヘキシミドのみの群。
【0066】
実施例3:マウスにおいてAβによって生じた学習および記憶能力の損傷に対するCEおよびW6の効果
【0067】
研究の目的:
39--43アミノ酸ペプチドであるベータ−アミロイドペプチド(Aベータ)は脳内で酸化ストレスおよび炎症を誘導するものと信じられ、これらはアルツハイマー病の病因において重要な役割を果たすものとみなされている。豊富な実験の証拠は、齧歯類へのアミロイド−ベータ(Aβ)の脳内注射または注入が学習および記憶障害の他に認知機能に関連する脳領域における神経変性を誘導することを示す。本研究においては、凝集ベータ−アミロイドペプチド1-42(Aβ(1-42))誘導記憶障害のマウスにおける一回脳室内(i.c.v.)注射およびラットにおける海馬内注射に対するCEおよびW6の長期経口投与の効果を評価した。
【0068】
方法:
Aβ(1-42)(10μg/マウス)をICV注射によって投与した。偽群には同じ容量のリンゲル液を与えた。1週間後、Aβ(1-42)を注射したマウスを無作為に3群に分け、それぞれ、経口により生理食塩水、CE(5m/kg)またはW6(1mg/kg)を投与した。2週間後、マウスの学習および記憶の能力を評価するため降段試験および水迷路試験を行った。
水迷路試験:まず各々のマウスを階段上に乗せ、次に位置1から水中に放して120秒階段を発見させる。マウスには毎日2回の試行を3日間受けさせる。次の2日間は出発位置を位置1から位置2および位置3に変更した。距離および行き止まりは毎日増加させた。D4において、マウスを位置3から水中に入れ、水から階段まで脱出する時間および行き止まりに侵入する回数(過誤の回数)を測定した。この方法は動物の空間能力並びに学習および記憶能力の評価に用いられる。
この実験をCEについてオスWistarラットで繰り返した。プロトコルは、Aβ(1-42)(10μg/各側)を海馬に注射したことを除いて、ほとんど同じである。ラットの学習および記憶の能力を評価するため、降段試験を行った。
【0069】
結果:
Aβ(1-42)を用いる対照マウスのICVまたは海馬内注射は、受動回避試験(降段潜時が有意に減少)および水迷路試験(水から脱出する潜時が有意に長期化、および過誤の回数が増加)に関する能力を損なった。
CEおよびW6を2週間用いたマウスまたはラットの処置は受動回避能力におけるAβ(1-42)誘導損傷を有意に遮断し、その上、空間作業記憶におけるAβ(1-42)誘導減少も有意に改善した。これらの知見は、CEおよびW6がアルツハイマー病のAβに関連する記憶障害に対する予防効果を有し得ることを示唆する。
【0070】
表3.マウスにおける受動回避能力のAβ(1-42)誘導損傷に対するCEおよびW6の効果(降段試験)。
【0071】
【表4】

【0072】
表4.マウスにおける学習および記憶のAβ(1-42)誘導損傷に対するCEおよびW6の効果(水迷路試験)
【0073】
【表5】

【0074】
表5.ラットにおける受動回避能力のAβ(1-42)誘導損傷に対するCEの効果(降段試験)
【0075】
【表6】

データは平均±SEM、n=12−15を表す。#:P<0.05、## P<O.Ol対偽群。:P<0.05、対Aβのみの群。
【0076】
実施例4:血管性痴呆症のモデルによって誘導される記憶損傷に対するCEおよびW6の効果
【0077】
研究の目的:
動物において両側総頚動脈の永久閉塞によって誘導される慢性脳低灌流が挙動上の、および組織病理学的な変化に関連することは公知である。この研究においては、マウスおよびラットにおいて頚動脈の永久閉塞によって生じる学習および記憶能力損傷に対するCEおよびW6の効果を研究した。
【0078】
方法:
手術時に、ペントバルビタール麻酔(40mg/kg i.p.)の下で、マウスの総頚動脈を露出させて糸で恒久的に閉塞し、周囲の皮膚を縫合した。偽操作対照はそれらの頸動脈は露出させたが、閉塞はさせなかった。1週間後、頸動脈が閉塞されている生存マウスを無作為に3群に分けた。2群にCE(5mg/kg、po)またはW6(1mg?kg、po)を毎日反復投与した。手術の4週間後、マウスを水迷路および降段装置において訓練および試験した。
この実験をCEについてオスSDラットで繰り返した。プロトコルは、Morris水迷路試験をラットに用いたことを除いて、ほとんど同じであった。
ピラセタムは最も公知の向知性薬である。その作用機序は不明であるが、大多数がそれを知性ブースターおよびCNS(中枢神経系)刺激剤として記述し、脳低酸素血症の相殺において顕著に有効である。したがって、ピラセタムをこの研究において参照薬として用いた。
Morris水迷路試験;動物は水迷路(Morrisら、1982)において試験した。初日の1分の滞留試行の後、動物を、次の3日間に、水位下1.5cmに備えられた6cm径パースペクス・プラットホームを探すことによってプールから脱出するそれらの能力について試験した。各々のマウスには、開始位置を2つの位置に固定して、毎日4回の脱出試行を施した。最終脱出試行の直後に、2分間継続する探査試行の間に空間偏向を試験した。この探査試行の間、プラットホームを取り除き、2分以内で動物が元のプラットホーム位置を横断する回数および元のプラットホームが位置する四分円内で費やす時間を空間の学習および記憶の指標として記録した。
【0079】
結果:
マウスおよびラットにおける4週間の脳低灌流は学習および記憶の欠損を生じた(降段試験および水迷路試験)。CEおよびW6での長期処置は挙動におけるこれらの変化を有意に緩和した。我々のデータは、脳血管性機能不全状態および痴呆症におけるCEおよびW6の有益な役割を示唆する。
【0080】
表6:マウスにおける2頸動脈の永久閉塞によって生じた学習および記憶能力損傷に対するCEおよびW6の効果(降段試験)。
【0081】
【表7】

【0082】
表7:マウスにおける2頸動脈の永久閉塞によって生じた学習および記憶能力損傷に対するCEおよびW6の効果(水迷路試験)。
【0083】
【表8】

データは平均±SEM、n=10−15として表される。#:P<0.05、##:P<0.01対偽群。:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001対2-VOのみの群。
【0084】
実施例5:正常マウスにおける学習および記憶能力に対するCEの効果
【0085】
研究の目的:
この実験は、CEが若年正常マウスにおいて学習および記憶の能力を強化できるかどうかを観察するためのものである。
【0086】
方法:
オスICRマウス(24-28g)を用いた。、マウスにCE(1.25および5mg/kg)を3日間反復投与した。次に、水迷路における3日の学習試行を各々のマウスについて行った。D4からD6で、マウスを開始位置から水中に放し、脱出潜時および行き止まり侵入の回数を記録した。
【0087】
結果:
正常マウスと比較して、CE処置は水迷路試験におけるマウスの脱出潜時を短縮化し、行き止まり侵入の回数を有意に減少させた。この結果は、CEが若年正常マウスにおける学習および記憶の能力を強化できることを示す(図2および図3を参照)。
【0088】
実施例6:マウスにおけるCEおよびW6の急性毒性研究
【0089】
方法:
KMマウスをこの実験に用いた。10匹のオスおよび10匹のメスマウスが各群に含まれていた。CE(5g/kg)またはW6−W9(0.5g/kg)を経口により、またはi.pにより投与した。動物を慎重に観察し、それらの体重を2週間のうち3日毎にチェックした。
【0090】
結論:
一回用量のCEを5g/kgで経口投与した後、動物の死亡はなく、かつ動物の体重は正常マウスに対して増加する。
この結果は0.5g/kgのW6、W7、W8またはW9(i.p.またはp.o.)で同じである。
これらの結果は、CEおよびW6−W9にマウスにおける急性毒性がほとんど、または全くないことを示唆する。
【0091】
実施例7:アセチルコリンエステラーゼ(AchE)活性に対するCEおよびW6のイン・ビボ効果
AchEの生理学的役割がAchの急速加水分解および不活性化であることは一般に容認されている。AchEの阻害はアルツハイマー痴呆症の治療において有益であり得る。このアッセイの目的はAchE活性に対するCEおよびW6の影響を決定することである。
【0092】
方法:
Wisterラットを無作為に5群(n=6)に分けた:正常対照、HupA(1mg/kg)、CE(5mg/kg)、W6(5mg/kg)、およびW6(20mg/kg)。これらのラットを一晩絶食させ、薬物を一回経口投与した。1時間後、ラットを断頭し、氷浴の下で前脳を迅速に取り出して秤量し、超音波ホモジナイザーを用いて0.9%生理食塩水中でホモジナイズして10%脳ホモジネートを得た。そのホモジネートを低温で20分間遠心(6000rpm)し、上清を保持した。次に、AchE活性をアッセイキットで測定した。
【0093】
結果:
データは、ラットに対するCEまたはW6の一回投与にAchEの活性に対する阻害がないことを示す。これは動物における認知機能に対するCEおよびW6の改善が抗コリンエステラーゼ経路を介するものではないことを示す。
【0094】
表8:イン・ビボでのAchEの活性に対するCEおよびW6の効果
【0095】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1A】Wanglaからの抽出および単離の流れ図の一部。
【図1B】Wanglaからの抽出および単離の流れ図の残部。
【図2】毎日の、マウスが標的領域に到達するのに要する時間。
【図3】毎日の、マウスの過誤回数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
痴呆症を予防または治療するための医薬の製造における一般式(I)のスクシネートエステルの誘導体の使用:
【化1】

(式中、
R1およびR4は、-OCH3、-OH、-O-Glu、
【化2】

および
【化3】

から選択され;
R2およびR3は、H、-OH、-O-Glu、
【化4】

および
【化5】

から選択され;
R5は非分岐または分岐C1-6アルキルから選択され;
C-2およびC-3のキラル中心の立体配置は、それぞれ、2R3S、2R3R、2S3Sおよび2S3Rから選択される。)
【請求項2】
前記式(I)の化合物が:
【化6】

(式中、R5はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルからなる群より選択され;並びにR1、R2、R3、およびR4は請求項1におけるものと同じである)
であることを特徴とする、請求項1による使用。
【請求項3】
前記化合物が以下のものを含むことを特徴とする請求項2による使用:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

1,4-ビス(β-D-グルコピラノシルオキシベンジル)-2-β-D-グルコピラノシル-2-イソブチルマレート(ダクチロリンA)(W8);
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【請求項4】
前記化合物が立体異性体および薬学的に許容し得る塩を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1による使用。
【請求項5】
前記痴呆症がアルツハイマー病、血管性痴呆症、並びに学習および記憶障害を含むことを特徴とする、請求項1による使用。
【請求項6】
有効量の、請求項1ないし4による化合物のいずれか1種類および薬学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が錠剤、カプセル、ピル、注射用溶液、徐放性配合物、制御放出配合物および様々な微粒子系の形態であり得ることを特徴とする、請求項6による医薬組成物。
【請求項8】
痴呆症を予防または治療するための薬物の製造におけるCoeloglossum viride (L.) Hartm. var. bracteatum (Willd.) Riehterの抽出物の使用。
【請求項9】
前記痴呆症がアルツハイマー病、血管性痴呆症並びに学習および記憶障害を含むことを特徴とする、請求項8による使用。
【請求項10】
有効量の、請求項8による抽出物および薬学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が錠剤、カプセル、ピル、注射用溶液、徐放性配合物、制御放出配合物および様々な微粒子系の形態であり得ることを特徴とする、請求項10による医薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−512373(P2006−512373A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562475(P2004−562475)
【出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【国際出願番号】PCT/CN2003/001155
【国際公開番号】WO2004/058244
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505247638)インスティテュート オブ マテリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンス (1)
【Fターム(参考)】