説明

スクラップ分析方法及び関連する装置

【課題】ダライ粉等の鉄スクラップの中に銅紛等が許容範囲以上に混入しているかどうかを低コストで検出する方法を提供する。
【解決手段】重力等を計測する計測機構によりスクラップの存在による圧力を計測できるようにした上で、スクラップにかける磁界を変化させるとともにその磁界の変化に応じた圧力の変化の程度を計測機構によって計測することによりスクラップに含まれる鉄類の割合を分析する。スクラップの山の形状が一様でない場合や、山の中での銅等の分布が一様でない場合も対応するための機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄類を含むスクラップ(ブロック状、網状、棒状、パーマ状、チップ状、粒状、粉状、等あらゆる状態のものを含む)又はスクラップの山(プレス機により圧縮成形されて固められたものを含む)における非鉄類(銅、アルミ、油等)の混入割合(又はそこから求めうる、スクラップ又はスクラップの山としての鉄類の純度)を分析する方法に関する。また、関連する運搬装置及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン、ミッション、油圧バルブ等、強度や精度が厳しく求められる金属部品の鋳造を行うためには、その材料として投入される金属屑等の品質管理が厳しく求められる。
しかし、そうした材料の多くは、工場発生屑そのもの(スクラップ)や工場発生屑の加工物(加工スクラップ)であるため、それらが発生する各工場毎、会社毎の金属屑の管理の程度によって、例えば99%以上鉄(うち銅の混入は多くても0.2%以下)であることが期待されている鋼ダライ粉の中に、誤って10%の銅ダライ粉がまざる等といったことが起こり、そのままでは鋳造に利用できない金属成分のスクラップの山が、その蓄積過程や流通過程で出来てしまう場合がある(例えば、下記特許文献1の技術では、こうした山を「低品位鉄スクラップ」として原料化のための再加工を行っている)。
ここで、工場発生屑そのものの代表例としては、金属の切削屑であるいわゆる「ダライ粉」(「切り粉」とも呼ばれ、鋼ダライ粉や銑ダライ粉がある)がある。また、工場発生屑の加工物としては、いわゆる「ヘビー」(ギロチンシャー・ガス溶断・重機等でサイジングされた炭素鋼)、「可鍛コロ」(「配合甲山」、「配合材」とも呼ばれ、主に鉄板等のシャーリング工場から切断、打ち抜きによって発生するカーボンとクロムの少ない3mm以上の軟鋼スクラップで葉書大等の適正サイズにサイジングされたもの)、「プレス」(主に薄い鉄板をプレス機により直方体に圧縮成形したもの)、「シュレッダー」(主に薄い鉄板をシュレッダーで破砕した後に磁気選別したもの)、「新断」(鋼板加工製品の製造過程で発生した切り屑や打ち抜き屑)、「故鉄」(使用済の鋳物製品を細かく打ち砕いたブロック状のもの)、等がある。
このため、これらの材料を扱う鋳造メーカー、並びにこれらの材料を鋳造メーカーや同業者に納入する金属スクラップ業者は、その仕入れ、検品、選別(仕分け)、計量、納品等の際に、対象となるスクラップの成分に非鉄金属等が混入していないかどうかの分析(検査)をする必要があり、混入していた場合には、下記特許文献1の技術等で加工し不要な成分を取り除いたり、より混入割合の少ない山と合わせて不要成分が品質に影響しない程度にまで希釈化したりすることにより、要求される成分割合を達成した上で鋳造に用いることが必要となる。
しかし、例えば、特にパーマ状のダライ粉の山の一つ一つの切り屑を切り屑同士が絡まった状態から切り離してX線分析機や磁気選別機等で一つ一つ分析して選別したり仕分けしたりしていくいくことは現実的でない(すなわち、作業コストが大変高価となる)こともあって、こういった加工が必要かどうかの事前分析(検査)を行うための低コストな方法が確立されておらず、本来こうした加工が必要であったにもかかわらず、発生元や仕入元業者の品質保証だけに頼り、再検査(流通段階での成分の分析)や再選別がほとんどされないまま鋳造の工程に入ってから成分に問題があることが発見されるケースもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−84603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる問題を解決するため、本発明は、対象とする鉄スクラップ又は鉄スクラップの山に非鉄類が混入していないかどうかを確認する(又は金属スクラップにおける鉄類の割合を計測する)低コストな方法及び関連する装置を提供することを目的とする。また、特に、いわゆるダライ粉等の鉄スクラップの中に銅ダライ紛等が許容割合以上に混入していないかどうかを低コストで検出する方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明(請求項1)は、圧力
(重力による圧力であってよい。以下同じ。)
を計測する計測機構によりスクラップ
(一個のブロック/網/棒等である場合だけでなく、複数個である場合、無数の粒や削り屑
(パーマ状の鋼ダライ粉等)
である場合、粉状物
(チップ状の銑ダライ粉やいわゆる「スケール
(熱した鉄を圧延する過程で表面が酸化して剥離した小片)
」等
)である場合等も含む。以下同じ。
)の存在
(すなわち、質量、容量、形状、分布等(以下、単に質量等と呼ぶ)の存在)
による圧力を計測できるようにした上で、
スクラップにかける磁界を変化させるとともに該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測することによりスクラップに含まれる鉄類
(磁界の影響を受けるもの。以下同じ。)
の割合を分析する
スクラップ分析方法を提供する。
これにより、本発明の、上述した基本的な課題が達成される。
ここで、「圧力」は、質量等による保持台(計量板、架台、荷台、床等)に対する圧力(すなわち重力等)を含んでいるが、これに限られず、スクラップ又はスクラップの山を囲む壁への圧力、スクラップの山に差し込んだセンサー用の棒やセンサー用の骨組みへの圧力、スクラップ又はスクラップの山を覆うようにした幕/膜への圧力であってもよい。
また、圧力の計測機構は、圧力により伸び縮みするバネの変位や材料の歪みを測定する位置センサー、バネの変位を目測する既存の計量器(針と目盛り等)、さらには所定範囲への圧力の分布およびその実時間変化を測定する、現時点で公知の圧力センサーシート(A/Dコンバータを介してデジタル表示可能としたもの)を用いることができる。
磁界の変化は、例えば、電磁石に対する電流を変化させたり、永久磁石とスクラップとの距離を近づけたり遠ざけたり、永久磁石とスクラップとの距離以外の位置関係を変化させたり、永久磁石とスクラップとのを相対的な向き具合を変化させたり、等することにより実現することができる。
磁界の変化に応じた圧力の変化の程度は、上述の計測機構を目視したり、計測機構からの出力信号をコンピュータで自動的に分析/解釈することにより得ることができる。
例えば、目測用の計器を伴う計測機構とした場合には、磁界の変化前の重量(X)と変化後の重量(Y)を計器の針により目測し、理想的な鉄類であることにより重くあるいは軽くなっているべき所定の割合(Y/X=α)と、分析対象のスクラップにおける割合(Y´/X´=α´)とを比較し、α´<αの場合には鉄類の割合が少ないと判断することになる(逆に多い場合には、鉄類の割合が多いと判断することになる)。
本発明(請求項2)は、したがって、
圧力を計測する計測機構によりスクラップの存在(質量等)による圧力を計測できるようにした上で、
所定量のスクラップ全体が所定の理想の成分である場合における、所定の磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度をあらかじめ計測しておき、
同質量とみなせるスクラップに対して該所定の磁界の変化をかけ該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測し、
該圧力の変化の程度を、
前記あらかじめ計測しておいた理想の成分である場合における前記圧力の変化の程度と比較することにより、
該同質量とみなせるスクラップが理想の成分である場合との成分の差異を分析する
スクラップ分析方法を提供する。
ここで、理想の成分とは、例えば、鉄99.9%(その他の成分として、炭素が0.01%以下、マンガンが0.07%以下、銅・ニッケル・クロムがそれぞれ0.02%以下、等)である。
また、圧力の変化の程度の比較は、目視で人間が行うこともでき、コンピュータ等の公知のデジタル回路や、専用のアナログ回路でも行うことができる。
以下に本発明が有効であることを示す実験の結果を示す。上の表は、上下各約3gの鉄製ワッシャーの間に約3gの銅(10円玉)をはさんでおこなった磁界変化前後の質量(圧力の計測機構として1/100gまでデジタルで計測表示できる市販の質量計をもちいている)の変化を調べる実験の結果である。また、下の表は、同質量とみなせる理想的な鉄(約3gの鉄製ワッシャーを3つ重ねたもの)のみで行った同条件の実験の結果である。銅を含む上の表の場合は、磁界変化前後の重さの変化が約31%(0.055g)少なくなっている。
【0006】
【表1】

【0007】
また、本発明(請求項3)は、
分析対象のスクラップが金属屑からなるスクラップの山からなる場合に、
該山中の位置による金属成分の偏りを減らすための成分均一化機構を備える
スクラップ分析方法を提供する。
金属屑からなるスクラップの山は、数グラム〜数十キログラム程度の複数の金属片(ブロック、網、棒等)を積み重ねたもの、又は、パーマ状、チップ状、粒状、粉状等の無数の金属を積み重ねたもの、さらにそれらの組み合わせであるが、金属以外のものを含む場合でも本発明を適用可能である。
成分均一化機構は、例えば、公知の種々の振動発生装置(モーターの軸にカム等を直接/間接に接続してカム等を回転させて、スクラップを保持する台、マグネット、袋、箱、ドラム等(以下、単に保持体等と呼ぶ)を振動させて、スクラップの保持体上又は保持体内でのスクラップ成分の偏在をなくすもの等)や公知の種々の攪拌装置(モーターの回転軸に接続したプロペラ・フィン・カム等によりスクラップの山の起伏を均すように耕したり送風したり混ぜたりするもの、ミキサー車等のドラム状の保持体を回転させて混ぜるもの、又は、油圧アクチュエータと接続したアームやブームにいより保持体を揺動させて混ぜるもの、等)であってよい。
これにより、測定するスクラップの測定範囲内での偏在を減らして、磁界の変化により圧力が変化する際の条件(質量、容量、形状、分布等)を揃え、より正確な又は簡易な測定が可能になる。
【0008】
本発明(請求項4)は、また、
分析対象のスクラップが金属屑からなるスクラップの山からなる場合に、
該山中の所定量だけを分析の対象にするための分析対象限定機構を有する
スクラップ分析方法を提供する。
分析対象限定機構は、例えば、測定に適した標準量の金属屑だけをスクラップの山から採取するための、フィードバック制御ができる電子制御式ロボットアーム、同様の目的の採取用溝(4a)や採取用穴、同様の目的の電子制御式リフティングマグネット、等であってもよく、採取する前により精度を高めるため前述の成分均一化機構による均一化をおこなうように構成してもよい。
これにより、測定対象とするスクラップの質量、形状、分布等をある程度揃えることが可能となり、その質量等についての事前の測定データを実験により取得したり、記録したり、比較したりすること等が簡易になり、より正確な分析も可能となる。
【0009】
本発明(請求項5)は、また、
圧力を計測する計測機構によりスクラップの存在による圧力を計測できるようにした上で、
所定の理想の成分である所定種別(可鍛コロ(配合甲山)、新断スクラップ(含新断プレス)、ヘビースクラップ(HS1、HS2、H1、H2、その他)、シュレッダースクラップ、プレススクラップ)、スケール、等の別をいう)のスクラップの、
所定範囲における質量の分布(位置(X位置,Y位置,Z位置)と質量の組み合わせ)に応じた、
所定の磁界の変化(前記所定範囲に対する磁界の作用が該所定範囲内の位置によって異なりうる)による前記圧力の変化の程度をあらかじめ計測しておき、
同種別(類似の種別の場合を含む。以下同じ。)かつ同分布(類似の分布の場合を含む。以下同じ。)のスクラップに対して該所定の磁界の変化をかけ該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測し、
該圧力の変化の程度を、
前記あらかじめ計測しておいた理想の成分である場合における前記圧力の変化の程度と比較することにより、
該種別かつ同分布のスクラップが理想の成分である場合との成分の差異を分析する
スクラップ分析方法を提供する。
所定範囲における分布(位置(X位置,Y位置,Z位置)と重量(g)の組み合わせ)とは、例えば二次元の分布としては、以下のような表2であらわすことができる分布である。三次元の場合も、複数の同様の表で表現し、コンピュータのメモリに三次元配列等として格納して用いることができる。
【0010】
【表2】

【0011】
これにより、上述した成分均一化機構を用いることなく、あるいは均一化が飽和にいたるまで用いることなく、偏在する状態のままで計測することが可能となる。その偏在におけるあるべき圧力の変化(スクラップが理想の成分であった場合の圧力の変化)があらかじめ測定できているからである。
【0012】
本発明(請求項6)は、上述したとおり、
前記圧力がスクラップの自重による重力であることを特徴とする。
これにより、自重(すなわち質量そのもの)と磁界変化による自重の変化(磁界と質量による圧力の変化)の両方を同一の機構で計測することができ、本発明を簡易に実現することができ、スクラップの計量と成分分析の工程を一体化することが容易になる。
【0013】
本発明(請求項7)はまた、スクラップを保持する素材が、
磁界の影響を受けない素材であることを特徴とする。
これにより、スクラップを保持する素材自体による磁界への悪影響(例えば、磁界の変化がスクラップに届かないこと)や副作用(計測する圧力の変化に意図しない作用を与えること)を減らし、スクラップへの磁界の影響を正確に測定することができる。
【0014】
本発明(請求項8と9)はまた、磁界の変化を実施するための磁界変化発生機構と、
圧力を計測するための重量計と
を有し、
運搬対象のスクラップを上記スクラップ分析方法によって分析できる運搬機械(運搬車両、運搬船、運搬飛行機、リフティングマグネット、マグネットつきユンボ等を当然に含む)又は計量機械を提供する。
これらにより、スクラップの計量と、本発明による成分分析の工程を一体化することがますます容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による、発明の効果は上述したとおり、下記の点である。
1)対象とする鉄スクラップ又は鉄スクラップの山に非鉄類が混入していないかどうかを確認する(又は金属スクラップにおける鉄類の割合を計測する)低コストな方法及び関連する装置を提供する。特に、いわゆるダライ粉等の鉄スクラップの中に銅ダライ紛等が許容割合以上に混入していないかどうかを低コストで検出する方法等を提供する。
2)測定するスクラップの測定範囲内での偏在を減らして、磁界の変化により圧力が変化する際の条件(質量、容量、形状、分布等)を揃え、より正確な又は簡易な測定が可能にする
3)測定対象とするスクラップの質量、形状、分布等をある程度揃え、より正確な分析を可能とする。
4)測定範囲内でのスクラップの分布が偏在する状態のままで計測することを可能とする。
5)自重に着目して本発明を簡易に実現し、スクラップの計量と成分分析の工程を一体化することを容易とする。
6)スクラップを保持する素材自体による磁界への悪影響を減らし、スクラップへの磁界の影響を正確に測定する。
7)スクラップの計量と、本発明による成分分析の工程を一体化し、工程を簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、 圧力測定機構と接続した測定対象支持台の下に磁界発生機構を設置した本発明の実施例1を示した説明図である。
【図2】図2は、 測定対象支持台の上に磁界発生機構兼圧力測定機構を設置した本発明の実施例2を示した説明図である。
【図3】図3は、 圧力測定機構と接続した測定対象支持台の下に磁界発生機構を設置し、かつ、成分均一化機構としてのならし機構を装備した本発明の実施例3を示した説明図である。
【図4】図4は、 種々の分析対象限定機構の例(実施例4、5、6)を説明するため説明図である。
【図5】図5は、 本発明の分析方法をトレーラ車両として実現した実施例7の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1は、圧力測定機構と接続した測定対象支持台の下に磁界発生機構を設置した本発明の実施例1を示した説明図である。
2は、測定(分析)対象のダライ粉である。銅ダライ粉がまじっているか測定(分析)を行う。
1aは、非鉄素材による測定対象支持台である。磁界への影響が少ない素材(例えば、鉄類以外で電気伝導性のすくない乾燥木材、強化プラスチック、硬質ゴム、グラスファイバ等)で構成している。
1bは、測定対象支持台1aが支持する測定対象2の質量による圧力を測定し出力する、一般的なデジタル式圧力測定機構である。
1cは、支持脚である。説明しない実施例では、高さが不要であり省略したり、より短くすることができる。
1dは、電磁石による磁界発生機構であり、測定対象2を下方向に引きつける磁界を任意の強度で発生させたり消したり制御できるように構成している。
1eは、電子計算機による測定制御機構であり、図示しない経路から測定命令を受け取ると、磁界発生機構1dの磁界が変化するよう制御し、かつ、圧力測定機構1bによりその磁界による測定対象2からの圧力(重力+磁界によるもの)の変化を測定することにより、測定対象2における鉄類の割合を分析し、図示しない経路で表示するようプログラムされている。
1fは、交流電力線であり、実施例1のシステム全体に電力を供給する。
1gは、直流電力線兼圧力信号線である。実施例1では、圧力の信号は圧力信号線1hによるため、磁界発生装置1dに電流を供給するためだけに用いる。
1hは、圧力信号線であり、圧力測定機構1bが測定した圧力情報を測定制御機構1eに送信するためのものである。
【実施例2】
【0018】
図2は、測定対象支持台1aの上に磁界発生機構兼圧力測定機構1iを設置した本発明の実施例2を示した説明図である。
1iは、小型の磁界発生機構兼圧力測定機構であり、直流電力線兼圧力信号線1gを介して、測定制御機構1eから電流の供給を受けるとともに、圧力信号を測定制御機構1eに送信する。これにより、測定(分析)対象2の全体ではなく、1i上の2の山の中心部分に近づいて、2の山の一部を対象に、測定(分析)することを可能としている。ここでは1hは、2の質量による圧力だけを計測するために用い、磁界による圧力の変化を計測するためには用いない。
【実施例3】
【0019】
図3は、圧力測定機構1bと接続した測定対象支持台1aの下に磁界発生機構1dを設置し、かつ、成分均一化機構としてのならし機構3を装備した本発明の実施例3を示した説明図である。
2´は、測定対象のダライ粉をならし機構3により測定しやすくならしたものである。
3は、成分均一化機構としてのならし機構であり、ダライ粉の山における成分の偏在(たとえば、山の隅のほうにのみ銅ダライ粉が混入しているケース)によって、検出すべき異常(銅ダライ粉の混入)が検出できないリスクを減らしている。
3aは、ならし機構3の油圧式アクチュエータであり、電力線1hで供給される電力により動作する図示しないモータによりならし歯車3bを左右に移動させてダライ粉の山を成分分析しやすくならすことを可能にしている。
【実施例4】
【0020】
図4は、種々の分析対象限定機構の例(実施例4、5、6)を説明するため説明図である。
4aは、実施例4としての、測定対象限定用の採取用溝であり、この溝に落ちた定量、定型のダライ粉のかたまりだけを分析対象とすることを可能にし、分析機構を簡単にしている。
4bは、その限定された測定対象に対する磁界発生兼圧力測定機構であり、
4gは、4bのための直流電力線兼圧力信号線であり、限定された測定対象に対する磁界印加電力とその変化による圧力変化の情報とを1eとの間でやりとりする。
【実施例5】
【0021】
4iは、実施例5としての、埋め込み式の小型の磁界発生機構兼圧力測定機構であり、埋め込み式であるという点以外は、実施例2(埋め込み式でないもの)と同様の構成となっており、同様の効果をもたらす。
【実施例6】
【0022】
4jは、実施例6を構成する、限定された測定対象(ダライ粉)であり、リフティングマグネットによって吸いつけられて吊り上げられた状態で、成分が分析される。
4nは、リフティングマグネット吊り下げワイヤー(直流電力線兼圧力信号線)である。
4mは、磁界発生装置4kの保護ケースである。
4lは、圧力測定機構であり、リフティングマグネットの磁界発生機構4kにより生じた磁界による、測定対象4jの、4lに対する圧力を測定できるよう構成されている。
【実施例7】
【0023】
図5は、本発明の分析方法をトレーラ車両として実現した実施例7の説明図である。
実施例2と同様の構成をトレーラ車両の上に設置することにより、運搬、計量と同時に成分の分析を本発明により行うことを可能としている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、
スクラップの各種処理において
鉄類の理想的な割合との差異を低コストで検出したい場面、
広く産業上利用することができる。
また、スクラップ以外の各種処理においても鉄類の割合が含まれる程度を検出し、選別することができる。
【符号の説明】
【0025】
1a 非鉄素材による測定対象支持台
1b 圧力測定機構
1c 支持脚
1d 磁界発生機構
1e 測定制御機構
1f 交流電力線
1g 直流電力線兼圧力信号線
1h 圧力信号線
1i 小型の磁界発生機構兼圧力測定機構
2 測定対象のダライ粉
2´ 測定対象のダライ粉(測定しやすくならしたもの)
3 ならし機構
3a ならし機構のアクチュエータ
3b ならし機構のならし歯車
4a 測定対象限定用の採取用溝
4b 限定された測定対象に対する磁界発生兼圧力測定機構
4g 直流電力線兼圧力信号線
4i 埋め込み式の小型の磁界発生機構兼圧力測定機構
4n リフティングマグネット吊り下げワイヤー(直流電力線兼圧力信号線)
4m 磁界発生装置の保護ケース
4l 圧力測定機構
4k リフマグ内蔵式の磁界発生機構
4j 限定された測定対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力
(重力による圧力であってよい。以下同じ。)
を計測する計測機構によりスクラップ
(一個のブロック/網/棒等である場合だけでなく、複数個である場合、無数の粒や削り屑
(パーマ状の鋼ダライ粉等)
である場合、粉状物
(チップ状の銑ダライ粉やいわゆる「スケール
(熱した鉄を圧延する過程で表面が酸化して剥離した小片)
」等
)である場合等も含む。以下同じ。
)の存在
(すなわち、質量、容量、形状、分布等(以下、単に質量等と呼ぶ)の存在)
による圧力を計測できるようにした上で、
スクラップにかける磁界を変化させるとともに該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測することによりスクラップに含まれる鉄類
(磁界の影響を受けるもの。以下同じ。)
の割合を分析する
スクラップ分析方法。
【請求項2】
圧力を計測する計測機構によりスクラップの存在(質量等)による圧力を計測できるようにした上で、
所定量のスクラップ全体が所定の理想の成分である場合における、所定の磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度をあらかじめ計測しておき、
同質量とみなせるスクラップに対して該所定の磁界の変化をかけ該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測し、
該圧力の変化の程度を、
前記あらかじめ計測しておいた理想の成分である場合における前記圧力の変化の程度と比較することにより、
該同質量とみなせるスクラップが理想の成分である場合との成分の差異を分析する
スクラップ分析方法。
【請求項3】
分析対象のスクラップが金属屑からなるスクラップの山からなる場合に、
該山中の位置による金属成分の偏りを減らすための成分均一化機構を備える
請求項1又は2に記載のスクラップ分析方法。
【請求項4】
分析対象のスクラップが金属屑からなるスクラップの山からなる場合に、
該山中の所定量だけを分析の対象にするための分析対象限定機構を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載のスクラップ分析方法。
【請求項5】
圧力を計測する計測機構によりスクラップの存在による圧力を計測できるようにした上で、
所定の理想の成分である所定種別(可鍛コロ(配合甲山)、新断スクラップ(含新断プレス)、ヘビースクラップ(HS1、HS2、H1、H2、その他)、シュレッダースクラップ、プレススクラップ)、スケール、等の別をいう)のスクラップの、
所定範囲における質量の分布(位置(X位置,Y位置,Z位置)と質量の組み合わせ)に応じた、
所定の磁界の変化(前記所定範囲に対する磁界の作用が該所定範囲内の位置によって異なりうる)による前記圧力の変化の程度をあらかじめ計測しておき、
同種別(類似の種別の場合を含む。以下同じ。)かつ同分布(類似の分布の場合を含む。以下同じ。)のスクラップに対して該所定の磁界の変化をかけ該磁界の変化に応じた前記圧力の変化の程度を前記計測機構によって計測し、
該圧力の変化の程度を、
前記あらかじめ計測しておいた理想の成分である場合における前記圧力の変化の程度と比較することにより、
該種別かつ同分布のスクラップが理想の成分である場合との成分の差異を分析する
請求項1から4のいずれか一項に記載のスクラップ分析方法。
【請求項6】
前記圧力がスクラップの自重による重力であることを特徴とする
請求項1から5のいずれか一項に記載のスクラップ分析方法。
【請求項7】
スクラップを保持する素材が、
磁界の影響を受けない素材であることを特徴とする
請求項1から6のいずれか一項に記載のスクラップ分析方法。
【請求項8】
磁界の変化を実施するための磁界変化発生機構と、
圧力を計測するための重量計と
を有し、
運搬対象のスクラップを請求項1から7に記載のスクラップ分析方法によって分析できる運搬機械(運搬車両、運搬船、運搬飛行機、リフティングマグネット、マグネットつきユンボ等を当然に含む)。
【請求項9】
磁界の変化を実施するための磁界変化発生機構と、
圧力を計測するための重量計と
を有し、
運搬対象のスクラップを請求項1から7に記載のスクラップ分析方法によって分析できる計量機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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