説明

スクランブル放送送出装置及びスクランブル放送送出方法

【課題】簡易な構成で有料放送と著作権保護のスクランブル処理を行うこと。
【解決手段】本実施形態に係るスクランブル放送送出装置は、第1番組と第2番組とを切り替える切替制御に従って、前記第1番組又は前記第2番組を保護するためのスクランブル鍵を格納した情報を送出すると共に、前記スクランブル鍵でスクランブル制御を行うECM送出装置11と、前記スクランブル制御に従って、前記情報が多重化されたコンテンツに対して前記スクランブル鍵を用いてスクランブル処理を行うスクランブラ13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、デジタル放送のコンテンツを保護するためのスクランブル放送送出装置及びスクランブル放送送出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル放送の有料放送を実現しているスクランブル放送送出装置で、無料放送を行う場合、ノンスクランブルで送出することになる。
【0003】
一方で、デジタル放送において著作権保護のスクランブルが運用されており、有料放送を行っている放送局においても、無料放送の著作権保護スクランブルを行うことが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術で上記対応を実現する場合は、有料放送スクランブルを実現する装置(CAS:Conditional Access System)と、著作権保護スクランブルを実現する装置(RMP:Rights Management and Protection System)とで構成する必要がある。有料放送では、時間ごとにスクランブル制御を切り替えることは可能であるが、著作権保護では常時スクランブルを行う仕様となっている。そのため、時間ごとに有料放送と著作権保護のスクランブル制御を切り替えることができない。
【0006】
また、スクランブラやECM(Entitlement Control Message)送出装置の装置が重複し、構成が冗長となる。スクランブラの重複はTSの遅延量の増加となる。また、著作権保護スクランブルは常時制御となるため、時間ごとに有料放送のスクランブルと、著作権保護のスクランブルを切り替えて送出することができないという問題がある。
【0007】
本実施形態の目的は、簡易な構成で有料放送と著作権保護のスクランブル処理を行うことができるスクランブル放送送出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るスクランブル放送送出装置は、第1番組と第2番組とを切り替える切替制御に従って、前記第1番組又は前記第2番組を保護するためのスクランブル鍵を格納した情報を送出すると共に、前記スクランブル鍵でスクランブル制御を行う送出部と、前記送出部からの前記スクランブル制御に従って、前記情報が多重化されたコンテンツに対して前記スクランブル鍵を用いてスクランブル処理を行うスクランブラ部とを具備する。
【0009】
本実施形態に係るスクランブル放送送出方法は、スクランブル放送送出装置に用いられる方法であって、第1番組と第2番組とを切り替える切替制御に従って、前記第1番組又は前記第2番組を保護するためのスクランブル鍵を格納した情報を送出すると共に、前記スクランブル鍵でスクランブル制御を行い、前記スクランブル制御に従って、前記情報が多重化されたコンテンツに対して前記スクランブル鍵を用いてスクランブル処理を行うことを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るスクランブル放送送出装置を示す構成図である。
【図2】スクランブル制御の切替手順を示すフローチャート。
【図3】スクランブル制御の切替タイミングを示す図。
【図4】本実施形態の運用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るスクランブル放送送出装置を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るスクランブル放送送出装置を示す構成図である。スクランブル放送送出装置10は、ECM(Entitlement Control Message)送出装置11、及びスクランブラ13を備える。
【0013】
ECM送出装置11は、上位装置であるECM制御装置(図示せず)から与えられる番組切替制御(有料/無料)に従って、有料放送の期間でスクランブル鍵とECMパケット(有料放送用)を送出する。この有料放送のデータは、ECM制御装置から例えば5秒前に受信する。著作権保護のデータ(スクランブル鍵とECMパケット)は、ECM送出装置11の内部に保持される。ECM送出装置11で行うスクランブル制御内容は、ECM制御装置11から例えば5秒前に指示される。
【0014】
ECM送出装置11は、スクランブル鍵を格納したECMパケットの送出、及びスクランブル鍵でスクランブラ13の制御を行う。多重化装置12は、コンテンツTS(Transport Stream)にECM送出装置11から送出されるECMパケット(有料放送用/著作権保護用)を多重化する。スクランブラ13は、ECM送出装置11からのスクランブル制御に従って、多重化装置12においてECMパケットが多重化されたTSに対してスクランブル鍵を用いてスクランブル処理(データ攪乱処理)を行う。スクランブラ13は、ES(Elementary Stream)ごとにスクランブル鍵を割り当てることができる。
【0015】
次に、スクランブル制御の切替手順について説明する。
【0016】
ECM送出装置11は、ECM制御装置から、以下の(1)〜(3)のスクランブル指示を受ける。
【0017】
(1)スクランブルON(有料放送)
(2)スクランブルON(著作権保護)
(3)スクランブルOFF
ECM送出装置11が有料放送のスクランブル処理のみを行っている場合に、スクランブラON(著作権保護)の指示を受けた場合は、以下の処理を行う。図2は、この場合のスクランブル制御の切替手順を示すフローチャートである。
【0018】
図2のステップS1において、ECM送出装置11は、有料放送のスクランブル処理のみを行っている場合に、無料スクランブルの指示を受信する。
【0019】
ステップS2において、ECM送出装置11は、無料スクランブル期間中は、内部に保持された著作権保護データを取り出して、ECMパケット送出とスクランブラ13に対してスクランブラ制御(著作権保護スクランブルを指示)を行う。スクランブラ13への制御は、ESごとにスクランブル鍵を設定する。ESごとの設定のため、1TS内で有料放送と著作権保護の同時運用が可能となる。
【0020】
ステップS3において、スクランブラ13は、有料放送と著作権保護のスクランブル処理を実施する。スクランブラ13は、受信したスクランブル制御情報を内部メモリに保存し、そのデータをもとにスクランブル処理を継続して行う。複数のスクランブル鍵Ksを同時処理することも可能である。
【0021】
なお、ECM送出装置11は、図3(a)に示すように、スクランブルON(有料放送)からスクランブルON(著作権保護)に遷移する場合は、スクランブルOFF期間を設ける。逆の遷移も同様にするものとする。これは、ECMパケット内のスクランブル鍵Ksの整合が取れなくなることを避けるためであり、スクランブルOFF期間を設けることで、図3(b)に示すように、ECMパケット内のスクランブル鍵Ksの整合を確実に保つことができる。
【0022】
図4に、本実施形態の運用例を示す。運用例1は、1TS内での有料放送サービスと著作権保護サービスの同時運用例である。運用例2は、1サービス内での有料放送と著作権保護との切替運用例を示したものである。
【0023】
以上述べたように、本実施形態によれば、有料放送スクランブルを実現する装置の設備構成を用いて、簡易な構成で著作権保護のスクランブルを実現できる。また、1TS内において、時間で異なるスクランブル(有料放送/著作権保護)を切り替えて運用することや、1サービス内で有料放送のサービスと著作権保護のサービスを同時に運用することができるようになる。
【0024】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
10…スクランブル放送送出装置、11…ECM送出装置、12…多重化装置、13…スクランブラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1番組と第2番組とを切り替える切替制御に従って、前記第1番組又は前記第2番組を保護するためのスクランブル鍵を格納した情報を送出すると共に、前記スクランブル鍵でスクランブル制御を行う送出部と、
前記送出部からの前記スクランブル制御に従って、前記情報が多重化されたコンテンツに対して前記スクランブル鍵を用いてスクランブル処理を行うスクランブラ部と
を具備することを特徴とするスクランブル放送送出装置。
【請求項2】
前記送出部は、前記スクランブル制御において、前記第1番組と前記第2番組とが切り替わる時にスクランブル処理を停止する期間を設けることを特徴とする請求項1記載のスクランブル放送送出装置。
【請求項3】
スクランブル放送送出装置に用いられる方法であって、
第1番組と第2番組とを切り替える切替制御に従って、前記第1番組又は前記第2番組を保護するためのスクランブル鍵を格納した情報を送出すると共に、前記スクランブル鍵でスクランブル制御を行い、
前記スクランブル制御に従って、前記情報が多重化されたコンテンツに対して前記スクランブル鍵を用いてスクランブル処理を行うことを有することを特徴とするスクランブル放送送出方法。
【請求項4】
前記スクランブル制御において、前記第1番組と前記第2番組とが切り替わる時にスクランブル処理を停止する期間を設けることを特徴とする請求項3記載のスクランブル放送送出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−165342(P2012−165342A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26297(P2011−26297)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】