説明

スクリュープレス脱水機

【課題】ブラケットを用いることなくスクリューの先端側に軸受を形成することにより、モータ側の軸受の寿命を延ばすとともに、スクリューの回転を安定させるようにしたスクリュープレス脱水機を提供すること。
【解決手段】円筒形スクリーン1の内部にスクリュー2を回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーン1の先端部に、スクリュー2により搬送された夾雑物を圧密する圧密ゾーン3を設けたスクリュープレス脱水機において、スクリュー2の軸部21を圧密ゾーン3を貫通するように延設し、軸部21を圧密ゾーン3で圧密した夾雑物Sにより枢支する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュー式脱水機に関し、特に、ブラケットを用いることなくスクリューの先端側に軸受を形成することにより、モータ側の軸受の寿命を延ばすとともに、スクリューの回転を安定させるようにしたスクリュープレス脱水機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、汚水処理設備で発生したし渣等を脱水するためにスクリュープレス脱水機が用いられている。
このスクリュープレス脱水機は、図2に示すように、円筒形スクリーン1(ケーシング)内にスクリュー2を回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーン1の先端部に、スクリュー2により搬送された夾雑物を圧密する圧密ゾーン3を設けている。
【0003】
この圧密ゾーン3は、円筒形スクリーン1の終端に背圧板4を設けることにより、スクリュー2で搬送された夾雑物を圧密しながら排出する空洞である。
このため、スクリュー2の軸部21は片持ち構造となり、モータ側の軸受6に負荷がかかって劣化が生じやすく、さらに、ひとたび軸受6が劣化すると軸芯が大きくずれてしまい、円筒形スクリーン1とスクリュー2が干渉し摩耗が生じてしまう。
また、圧密ゾーン3やその下流側に軸受を設けようとすれば、軸受を支えるブラケットが必要になり、夾雑物がこのブラケットにからみついて、維持管理性に悪影響を及ぼすという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来のスクリュープレス脱水機が有する問題点に鑑み、ブラケットを用いることなくスクリューの先端側に軸受を形成することにより、モータ側の軸受の寿命を延ばすとともに、スクリューの回転を安定させるようにしたスクリュープレス脱水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のスクリュープレス脱水機は、円筒形スクリーンの内部にスクリューを回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーンの先端部に、スクリューにより搬送された脱水処理物を圧密する圧密ゾーンを設けたスクリュープレス脱水機において、スクリューの軸部を圧密ゾーンの内部まで延設し、該軸部を圧密ゾーンで圧密した脱水処理物により枢支するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスクリュープレス脱水機によれば、円筒形スクリーンの内部にスクリューを回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーンの先端部に、スクリューにより搬送された脱水処理物を圧密する圧密ゾーンを設けたスクリュープレス脱水機において、スクリューの軸部を圧密ゾーンの内部まで延設し、該軸部を圧密ゾーンで圧密した脱水処理物により枢支することから、スクリューの先端側にブラケットを用いることなく軸受を形成することができ、これにより、モータ側の軸受の寿命を延ばすとともに、スクリューの回転を安定させることができる。
また、圧密した脱水処理物による軸受のため、仮に長期運転にて軸芯にずれが生じた場合でも、このずれでできた軸部と軸受の隙間はただちに脱水処理物により埋められることになり、構造的な変化に追従することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のスクリュープレス脱水機の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1に、本発明のスクリュープレス脱水機の一実施例を示す。
このスクリュープレス脱水機は、例えば、下水処理の夾雑物を脱水処理するものであり、円筒形スクリーン1の内部にスクリュー2を回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーン1の先端部に、スクリュー2により搬送された夾雑物を圧密する圧密ゾーン3を設けている。
そして、このスクリュープレス脱水機は、スクリュー2の軸部21を圧密ゾーン3を貫通するように延設し、該軸部21を圧密ゾーン3で圧密した夾雑物Sにより枢支するようにしている。
【0009】
円筒形スクリーン1は、所要の径と長さを有し、洗浄水や汚水を排出できるように、その周面或いは下面側にスリットを設けるか、多数の小孔を形成するようにしている。
このスリットの形状に関しては、夾雑物の捕捉目的や通水能力に応じて自由に設定できるものとし、例えば、円筒形スクリーン1の上流側では、多量の汚水が濾過されて流水されるようスリットの数を多くしたり、スリット幅を大とし、下流側では、夾雑物の加圧脱水時に漏出する脱離汚水のみを通水するだけでよいため、流出汚水量も少なくなるので、スリットの数を少なくしたりスリット幅を小とすることができる。
そして、円筒形スクリーン1の先端部には、円筒形スクリーン1の終端に背圧板4を設けることにより、スクリュー2で搬送された夾雑物を圧密しながら排出する圧密ゾーン3が設けられている。
【0010】
スクリュー2は、円筒形スクリーン1の内部に回転可能に配設されており、その軸部21の外周部に螺旋状に羽根22を形成し、軸部21の基部側に配設したモータ5により所定の回転速度で回転駆動する。
スクリュー2の先端側は、軸部21のみが圧密ゾーン3を貫通するように延設されており、圧密ゾーン3で圧密した夾雑物Sによりこの軸部21が枢支される。
このように、スクリュー2の軸部21を圧密ゾーン3まで延設することにより、圧密した夾雑物Sは必然的に延設した軸部21の周りに形成される。これにより、圧密した夾雑物による「軸受」が形成され、従来は片持であったスクリュー2の軸部21が見かけ上両持で支持される。
【0011】
かくして、本実施例のスクリュープレス脱水機は、円筒形スクリーン1の内部にスクリュー2を回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーン1の先端部に、スクリュー2により搬送された夾雑物を圧密する圧密ゾーン3を設けたスクリュープレス脱水機において、スクリュー2の軸部21を圧密ゾーン3の内部まで延設し、該軸部21を圧密ゾーン3で圧密した夾雑物Sにより枢支することから、スクリュー2の先端側にブラケットを用いることなく軸受を形成することができ、これにより、モータ5側の軸受6の寿命を延ばすとともに、スクリュー2の回転を安定させることができる。
また、圧密した夾雑物Sによる軸受のため、仮に長期運転にて軸芯にずれが生じた場合でも、このずれでできた軸部21と軸受の隙間はただちに夾雑物Sにより埋められることになり、構造的な変化に追従することができる。
【0012】
以上、本発明のスクリュープレス脱水機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、夾雑物以外を脱水処理物とするなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明のスクリュープレス脱水機は、ブラケットを用いることなくスクリューの先端側に軸受を形成することにより、モータ側の軸受の寿命を延ばすとともに、スクリューの回転を安定させるという特性を有していることから、下水分野における脱水処理の他、例えば、食品分野における脱水処理にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のスクリュープレス脱水機の一実施例を示す断面図である。
【図2】従来のスクリュープレス脱水機を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 円筒形スクリーン
2 スクリュー
21 軸部
22 羽根
3 圧密ゾーン
4 背圧板
5 モータ
6 モータ側の軸受
S 圧密した夾雑物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形スクリーンの内部にスクリューを回転可能に配設するとともに、円筒形スクリーンの先端部に、スクリューにより搬送された脱水処理物を圧密する圧密ゾーンを設けたスクリュープレス脱水機において、スクリューの軸部を圧密ゾーンの内部まで延設し、該軸部を圧密ゾーンで圧密した脱水処理物により枢支するようにしたことを特徴とするスクリュープレス脱水機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate