説明

スクリーニング方法および装置

【課題】スクリーニング方法において、効率を低下させることなくスクリーニングの信頼性を高める。
【解決手段】前処理部83により、測定ユニット110の測定で得られた実測データDmの値から参照データDrの値を差し引いてアナライトKとリガンドTaとの結合状態を示す処理前結合量データDvを得る。変動関係取得部84がアナライトKとリガンドTaとが結合しないときの、参照データDrの値とこの参照データDrの値に応じて変動する上記処理前結合量データDvの値との関係Fを求める。変動成分取得部85は、上記関係Fを参照して、アナライトKとリガンドTaとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データDrに対応する、処理前結合量データDvに含まれる変動成分δをそれぞれ求める。そして、結合量取得部86が処理前結合量データDvの値から上記変動成分δの値を差し引いて結合量データDwを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーニング方法および装置に関し、基体ブロック上の界面に生じた屈折率変化を利用した測定で得られたリガンドとアナライトの結合量を示す結合量データに基づいてスクリーニングを行なうスクリーニング方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品を構成する化合物は、生体内のタンパクと化学的に結合することにより、その機能を果たすものが多い。そのため、医薬品開発において医薬品の候補となる化合物とタンパクとの間の結合の有無を知ることが重要である。特に、医薬品を構成する化合物は、注目するタンパクに対してのみ結合性を持ち、他のタンパクに対しては結合性を持たないことが理想である。すなわち、注目外のタンパクに対して結合性を持つことは、いわゆる副作用が生じることになるからである。このような背景により、医薬品開発においては、医薬品の候補となる化合物の中から、注目するタンパクに対してのみ結合性を持つ化合物を抽出するスクリーニングが行なわれている。
【0003】
上記医薬品の候補となる化合物のスクリーニングに使用される装置には、種々のものが提案されている。例えば、金属表面で光ビームを全反射させて表面プラズモンを発生させたときに、この全反射した光ビーム中に光強度の急激な減衰(全反射減衰)を生じさせる特定の反射角度、すなわち全反射減衰角が上記金属表面近傍の誘電率(屈折率)に応じて変化することを利用した測定装置が知られている(非特許文献1参照)。また、上記表面プラズモンの原理を用いた装置として、例えばビアコア株式会製の装置「BIACORE3000」等が知られている(非特許文献2参照)。
【0004】
上記のような装置を用い、1種類のタンパクと、多数種類の、例えば1万種類の化合物それぞれとの結合量を示す測定データを得、上記測定データに基づいて1万種類の化合物の中から上記タンパクと結合する化合物であるヒット化合物を抽出する手法が検討されている。
【0005】
一般に上記のような化合物のスクリーニングにおいて抽出されるヒット化合物は全体の1%程度、すなわち1万種類のうちの100種類程度であり、また、このように多くの種類の化合物のスクリーニングには、2〜3日あるいはさらに多くの日数を要することもある。
【0006】
上記全反射減衰を利用した測定には、透明な誘電体ブロックの表面に成膜された金膜上にタンパクを固定してなる実測領域と上記金膜上にタンパクを固定していない参照領域とに同一の化合物溶液を滞留させて、上記化合物溶液中の化合物とタンパクとの結合量を測定する方式が知られている。上記タンパクと化合物との結合量は、実測領域に化合物溶液を滞留させたときの全反射減衰角と、参照領域に化合物溶液を滞留させたときの全反射減衰角との差によって求められる。
【0007】
ここで、タンパクと化合物とが結合しない場合には、上記実測領域における全反射減衰角を示す測定データの値と参照領域における全反射減衰角を示す参照データの値とが一致し両者の差が0となるはずであるが測定方式の都合等によりそのようにならないことがある。例えば、タンパクと化合物とが結合しない場合の測定において、測定対象となる化合物溶液の屈折率の大きさに応じて、測定で得られる実測領域の全反射減衰角と参照領域の全反射減衰角との角度差が変化することがある。
【0008】
一方、上記本来一致するはずの実測領域の全反射減衰角と参照領域の全反射減衰角との角度差を補正する手法も検討されている。例えば、互に異なる屈折率を有する複数種類の基準液を用意し基準液毎に実測領域と参照領域とにおける全反射減衰角の角度差を求め、基準液の屈折率と測定で得られた上記角度差との関係を得る。そして、実際に化合物溶液を用いた測定で得られた実測領域と参照領域とにおける全反射減衰角の角度差を、基準液を用いて得られた上記屈折率と角度差との関係を用いて補正する手法が検討されている。
【0009】
上記手法は、上記基準液を用いた測定で求めた屈折率と角度差との関係を参照して、化合物溶液を用いた測定で生じる実測領域の全反射減衰角と参照領域の全反射減衰角との角度差の変動を予想するものである。上記角度差変動の予想に基づいて、実測領域と参照領域とにおける全反射減衰角の角度差の変動を補正することができる。
【非特許文献1】「分光研究」第47巻 第1号(1998)
【非特許文献2】永田和宏、半田宏 共編、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」 発行所:シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、基準液を用いて上記屈折率と角度差の関係を求める際に、環境温度の変動や、基準液の蒸発による濃度変動(屈折率変動)等が生じるためその関係を正確に求めることが難しい。一方、上記屈折率と角度差の関係を正確に求めるために多くの測定データを得ようとすると、スクリーニングの対象となる化合物溶液の測定が待たされて装置の稼動効率が低下する。そのため、スクリーニングの効率を低下させることなく上記実測領域と参照領域とにおける全反射減衰角の角度差の変動をより正確に補正し、スクリーニングの信頼性を高めたいという要請がある。
【0011】
なお、上記課題は、全反射減衰角を利用した測定で得られたリガンドとアナライトの結合量に基づいてスクリーニングを行なう場合に限らず、基体ブロック上の界面に生じた屈折率変化を利用した測定で得られたリガンドとアナライトの結合量に基づいてスクリーニングを行なう場合にも共通する課題である。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、効率を低下させることなくスクリーニングの信頼性を高めることができるスクリーニング方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1のスクリーニング方法は、基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、該結合量データに基づいて前記複数種類のアナライトの中から前記リガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニング方法であって、前記1種類のリガンドが固定されている前記実測領域に前記複数種類のアナライトのそれぞれを溶解してなる各アナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得、前記参照領域に各アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得、前記実測データの値から該参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第2のスクリーニング方法は、基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、該結合量データに基づいて前記複数種類のリガンドの中から前記アナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニング方法であって、前記複数種類のリガンドのそれぞれが固定されている各実測領域に前記1種類のアナライトを溶解してなるアナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得、前記参照領域に前記アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得、前記実測データの値から該参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得ることを特徴とするものである。
【0015】
前記変動成分は、前記関係を関数で近似して求めたものとすることができる。前記関数は1次関数、2次関数、あるいは3次関数とすることができる。
【0016】
前記屈折率変化は、表面ブラズモン共鳴によって生じたものとすることができる。
【0017】
前記リガンドは、基体ブロックに固定された物質であって、特定の物質に対して特異的に結合するものを意味するものである。
【0018】
前記アナライトは、前記リガンドに結合させる物質を意味するものである。
【0019】
前記実測領域は、基体ブロック上のリガンドが固定された領域である。
【0020】
前記参照領域は、基体ブロック上のリガンドが固定されていない領域であって、リガンドを固定する際の下地層のみが固定された領域である。この下地層は、例えば、金属膜等で構成することができる。
【0021】
前記基体ブロックは、誘電体ブロックとすることができ、例えば、ガラスやアクリル等からなる透明なプリズムとすることができる。
【0022】
前記第1のスクリーニング方法は、全反射減衰を利用した測定により1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、前記結合量データに基づいて複数種類のアナライトの中からリガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニング方法であって、1種類のリガンドが固定されている誘電体ブロック上の実測領域に複数種類のアナライトのそれぞれを溶解してなる各アナライト溶液を接触させ、その接触により全反射減衰角を示す実測データの値を得、誘電体ブロック上の参照領域に各アナライト溶液を接触させ、その接触により前記各実測データに対応する全反射減衰角を示す参照データの値を得、前記実測データの値からこの実測データに対応する参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と前記参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、前記関係を参照して、アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、前記処理前結合量データの値から、その処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得るものとすることができる。
【0023】
前記第2のスクリーニング方法は、全反射減衰を利用した測定により1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、その結合量データに基づいて複数種類のリガンドの中からアナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニング方法であって、複数種類のリガンドのそれぞれが固定されている誘電体ブロック上の各実測領域に1種類のアナライトを溶解してなるアナライト溶液を接触させ、その接触により全反射減衰角を示す実測データの値を得、誘電体ブロック上の参照領域に前記アナライト溶液を接触させ、その接触により前記各実測データに対応する全反射減衰角を示す参照データの値を得、前記実測データの値からこの実測データに対応する参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値とその参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、前記関係を参照して、アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データの値に対応する処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、前記処理前結合量データの値から、その処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得るものとすることができる。
【0024】
本発明の第1のスクリーニング装置は、基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量を示す結合量データを得る測定部と、前記結合量データに基づいて前記複数種類のアナライトの中から前記リガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニング部とを備えたスクリーニング装置であって、前記測定部が、前記1種類のリガンドが固定されている前記実測領域に前記複数種類のアナライトのそれぞれを溶解してなる各アナライト溶液を順次接触させ、その接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得るとともに、前記参照領域に各アナライト溶液を接触させ、上記接触により各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得るものであり、前記スクリーニング部が、測定部で取得した前記実測データの値、および前記参照データの値とを記憶する記憶部と、前記実測データの値から前記参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得る前処理部と、前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値とその参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求める変動関係取得部と、前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求める変動成分取得部と、前記処理前結合量データの値から、その処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得る結合量取得部と備えたことを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第2のスクリーニング装置は、基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量を示す結合量データを得る測定部と、前記結合量データに基づいて前記複数種類のリガンドの中から前記アナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニング部とを備えたスクリーニング装置であって、前記測定部が、前記複数種類のリガンドのそれぞれが固定されている各実測領域に前記1種類のアナライトを溶解してなるアナライト溶液を順次接触させ、その接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得るとともに、前記参照領域に前記アナライト溶液を接触させ、その接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得るものであり、前記スクリーニング部が、前記測定部で取得した前記実測データの値、および前記参照データの値とを記憶する記憶部と、前記実測データの値から前記参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得る前処理部と、前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求める変動関係取得部と、前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求める変動成分取得部と、前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得る結合量取得部とを備えたものを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1のスクリーニング方法および装置、第2のスクリーニング方法および装置は、スクリーニングの対象となるリガンドとアナライトの組み合わせのうちの大部分が互に結合しないものであること、および、リガンドとアナライトが結合しないときの屈折率変化量を示す実測データの値と参照データの値とは上記組み合わせの種類にかかわらず本来一致すべきものであることに着目し本発明に至ったものである。
【0027】
上記本発明の第1のスクリーニング方法および装置、第2のスクリーニング方法および装置は、アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値とその参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、この関係を参照して、アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、上記処理前結合量データの値から、この処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて結合量データを得るようにしたので、スクリーニングの効率を低下させることなく、信頼性のより高いスクリーニングを行うことができる。
【0028】
すなわち、上記関係を求める際に使用するデータは、スクリーニングの対象となるリガンドおよびアナライトについての屈折率変化量の測定(全反射減衰角の測定をも含む)で得られたデータを流用することができ、例えば、従来のように、スクリーニングの対象ではない基準液の測定を、別途上記関係を求めるために行なう必要がないので、スクリーニングの効率を低下させることがない。
【0029】
また、一般に、スクリーニングの対象となるリガンドとアナライトの組み合わせのうちの大部分はリガンドとアナライトが結合しないものである。例えば、リガンドとアナライトの組み合わせのうちの99%が結合しないものとすると、スクリーニングの対象となる屈折率変化量の測定(全反射減衰角の測定をも含む)で得られたデータのうちの大部分を上記関係を求めるためのデータとして流用することができる。例えば、従来の、スクリーニングの対象ではない基準液の測定を別途行なって上記関係を求める場合に比してより多くのデータを用いることができるので上記関係をより正確に求めることができる。これにより、より信頼性の高いスクリーニングを行うことができる。
【0030】
また、変動成分を、上記関係を関数で近似して求めたものとすれば、効率良く上記処理前結合量データに含まれる変動成分を求めることができ、スクリーニングの効率をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置の概略構成を示す概念図、図2は測定容器の拡大斜視図である。
【0032】
図1に示す本発明のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置100は、1種類のタンパクTaと複数種類の化合物K1、K2・・・それぞれとの結合量の測定を行なう測定ユニット110と、測定ユニット110による測定で得られた後述する実測データおよび参照データに基づいて上記複数種類の化合物K1、K2、・・・の中から上記タンパクTaと結合するヒット化合物を抽出するスクリーニングユニット160とを備えている。
【0033】
スクリーニングユニット160は、測定ユニット110で取得した実測データDm1、Dm2・・・および参照データDr1、Dr2・・・を記憶する記憶部82と、実測データDm1、Dm2・・・の値から上記実測データDm1、Dm2・・・に対応する参照データDr1、Dr2・・・の値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データDv1、Dv2・・・を得る前処理部83と、上記タンパクと化合物とが結合しないときの、参照データの値と上記参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係(以後、変動関係という)を求める変動関係取得部84とを備えている。
【0034】
なお、実測データDm1、Dm2・・・をまとめてDmとも称し、また参照データDr1、Dr2・・・をまとめてDrとも称し、さらに処理前結合量データDv1、Dv2・・・をまとめてDvとも称する。
【0035】
さらに、上記スクリーニングユニット160は、上記タンパクと化合物とが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データDr1、Dr2・・・に対応する、処理前結合量データDv1、Dv2・・・に含まれる変動成分δ1、δ2・・・をそれぞれ求める変動成分取得部85と、処理前結合量データDv1、Dv2・・・の値から、各処理前結合量データDv1、Dv2・・・に含まれる変動成分δ1、δ2・・・の値を差し引いて結合量データDw1,Dw2、・・・を得る結合量取得部86とを有している。
【0036】
また、上記スクリーニングユニット160は、上記結合量取得部86で取得した結合量データDw1,Dw2、・・・を用いてヒット化合物を抽出するための閾値Qを定める閾値設定部87と、閾値設定部87で求めた閾値Qwと結合量データDw1,Dw2、・・・の値とを比較してヒット化合物Hkを抽出するヒット化合物抽出部88をも有している。ここでは、閾値設定部87によって定められる上記閾値Qwは、結合量データDw1,Dw2・・・の値の標準偏差に基づいて定める。
【0037】
なお、変動成分δ1、δ2・・・をまとめてδとも称し、また結合量データDw1,Dw2、・・・をまとめてDwとも称する。
【0038】
以下、上記スクリーニング装置100で実施するスクリーニング方法について詳しく説明する。
【0039】
図1に示すように、測定ユニット110は、リガンドである1種類のタンパクTpを固定した4つの測定容器U1〜U4(以後、まとめて測定容器Uともいう)と、アナライトである互に異なる種類の化合物K1、K2・・・(以後、まとめて化合物Kともいう)を緩衝液中に溶解してなる化合物溶液Ky1、Ky2、・・・を収容するプレートPL1〜PL10とを用いて1日分の測定を行なう。
【0040】
測定容器U1〜U4のそれぞれは160回繰り返し使用され、その後廃棄される。
【0041】
プレートPL1〜PL10のそれぞれには、アナライト溶液である互に異なる384種類の化合物溶液が収容されている。したがって、プレートPL1〜PL10には合計3840種類の化合物溶液が収容されている。
【0042】
上記測定容器U1〜U4を用い、プレートPL1〜PL10に収容された化合物溶液Ky1〜Ky3840の3840種類の化合物溶液に対する測定を1日間で行なう。
【0043】
図2の測定容器U1の拡大斜視図に示すように、1方向(図中矢印X方向)に延びる細長い各測定容器Uには、上記各化合物溶液Ky1、Ky2、・・・を流すための同一形状を成す6つの測定用流路L1〜L6(以後、まとめて測定用流路Lともいう)が測定容器U1の長手方向(図中矢印X方向)に沿って設けられている。上記化合物溶液Kyは測定用流路L中を上記X方向に流れる。各測定容器U中の6つの各測定用流路Lの底面である全反射面Ls上には金膜Meがスパッタリングによって成膜されている。この全反射面Lsは、上記X方向に沿って三角形状が延びるように形成された上記測定容器U1の一部分を成す基体ブロックである細長いプリズムP25のプリズム面のうちの1面を構成している。上記プリズムP25は誘電体であり、この誘電体ブロックであるプリズムP25の全反射面Lsが後述するレーザLeを全反射させる面である。なお、上記プリズム25は、上記全反射面Lsに対向する稜線P26を含む上記X方向に延びる3角柱部分P27を取り除いたものとしてもよい。
【0044】
さらに、各測定用流路Lの全反射面Ls上に成膜された金膜Me上には、同一のリンカー膜が上記測定用流路Lの上流側と下流側の2箇所にそれぞれ配されている。そして、上流側リンカー膜Rj上には上記1種類のタンパクTaが固定されている。一方、下流側リンカー膜Rk上には何も固定されていない。なお、測定容器U1に設けられた各測定用流路Lの上流側には上記各化合物溶液Kyが注入される注入口Linが設けられ、下流側には上記注入された化合物溶液Kyが排出される排出口Loutが設けられている。なお、測定容器U1〜U4のそれぞれは同一構造からなるものである。
【0045】
各測定容器中の各測定用流路Lには、上記化合物溶液Ky1〜Ky3840のうちの1種類が注入され、各化合物Kと上流側リンカー膜Rjに固定されたタンパクTaとの結合量の測定が行なわれる。なお、下流側リンカー膜Rkは、上記化合物K1〜K3840のいずれとも結合することはない。
【0046】
上記結合量は、上流側リンカー膜Rj上のタンパクTaへの化合物Kの固定化量である。この固定化量は、上記化合物KのタンパクTaへの固定化により上流側リンカー膜Rj表面で生じる単位面積当たりの質量変化に対応して測定されるものである。
【0047】
上記構成を有するスクリーニング装置100は、各測定用流路に固定された1種類のタンパクTaと上記3840種類の化合物K1〜K3840それぞれとの測定で得られた実測データDm1〜Dm3840および参照データDr1〜Dr3840値を用いて、上記化合物K1〜K3840の中からタンパクTaと結合するヒット化合物を抽出する。なお、1種類のタンパクTaは、各測定容器U1〜U4に配された6つの測定用流路L1〜L6(合計24の測定用流路)のそれぞれに固定されている。
【0048】
上記スクリーニング装置100は、測定ユニット110およびスクリーニングユニット160を制御するコントローラを備えており(図示は省略)このコントローラが測定ユニット110およびスクリーニングユニット160で実行される各動作およびそれらのタイミング等を制御する。
【0049】
つぎに、タンパクと化合物との結合量を測定する上記測定ユニット110の作用について説明する。
【0050】
測定容器U1が搬送されて測定位置Psに配置されると、プリズムP25のプリズム面のうちの上記全反射面Lsとは異なるプリズム面P28を通して、全反射面Ls中の上流側リンカー膜Rjの形成領域である実測領域、および下流側リンカー膜Rkの形成領域である参照領域のそれぞれにレーザ光Leが照射される。上記レーザ光Leの照射は、上記実測領域および参照領域のそれぞれにレーザ光Leの光束が集光するように行なわれる。
【0051】
これらのレーザ光Leは、上記実測領域(act領域ともいう)、および下流側リンカー膜Rkが形成されている参照領域(ref領域ともいう)で全反射され、発散しながら上記プリズムP25のプリズム面P29を通って外部に射出される。
【0052】
なお、上記実測領域は、基体ブロック上の1種類のリガンドが固定された領域であり、上記参照領域は、基体ブロック上の上記リガンドが固定されていない領域である。
【0053】
上記発散しながら外部に射出された各レーザ光Leは、各測定用流路毎に設けられた個別の測定光学系Op1〜Op6通って、2次元CCD等からなる各測定センサ32へ入射する。各レーザ光Leを受光した各測定センサ32により、上記レーザ光Leが全反射せしめられたときに生じた暗線の位置、すなわち、表面プラズモン共鳴による全反射減衰角が測定される。これにより、タンパクTaが固定されている上記実測領域、およびタンパクTaが固定されていない上記参照領域のそれぞれにおける全反射減衰角が得られる。
【0054】
そして、測定用流路Lに化合物溶液Kyを流し、この化合物溶液Kyを接触させた実測領域における全反射減衰角の変化分に応じて実測データが得られ、上記化合物溶液Kyを接触させた参照領域における全反射減衰角の変化分に応じて参照データが得られる。
【0055】
ここで、上記実測領域における全反射減衰角の変化分に応じた実測データは、基体ブロックであるプリズムP25上の実測領域にアナライト溶液を接触させたことにより生じた屈折率変化量に対応するものであり、上記参照領域における全反射減衰角の変化分に応じた参照データは、基体ブロックであるプリズムP25上の参照領域にアナライト溶液を接触させたことにより生じた屈折率変化量に対応するものである。
【0056】
測定センサ32から上記実測領域および参照領域それぞれにおける全反射減衰角を示す信号を連続的に入力しているデータ取得部34は、上記実測領域における全反射減衰角の変化分を示す実測データDm1、Dm2・・・と、参照領域における全反射減衰角の変化分を示す参照データDr1、Dr2・・・とを得る。
【0057】
上記データ取得部34は、上記実測データと参照データとからなるデータ対のそれぞれを記憶部82へ入力する。
【0058】
より具体的には、測定位置Psに測定容器U1が配置されると、プレートPL1に収容された各化合物溶液Ky1〜Ky6が、注入管Fi1〜Fi6のそれぞれによって所定量吸引される。各化合物溶液Ky1〜Ky6を吸引した注入管Fi1〜Fi6は移送され各測定用流路L1〜L6の注入口Linに挿入され、注入管Fi1〜Fi6から吐出された各化合物溶液Ky1〜Ky6が測定用流路L1〜L6のそれぞれに流される。そして、上記実測データDm1、Dm2・・・と参照データDr1、Dr2・・・の測定が行なわれる。
【0059】
測定用流路L1〜L6に注入された化合物溶液Kyは、排出口Loutに挿入された排出管Fo1〜Fo6による吸引によって上記各測定用流路L1〜L6から排出することができる。このように測定用流路L1〜L6に流す溶液の入れ替えを可能にする構成により、測定用流路L1〜L6のそれぞれへ上記測定に伴う前処理用の液体や後処理用の液体を流すことができる。
【0060】
なお、上記測定位置Psにおいて、測定容器U1の測定用流路L1〜L6それぞれの実測領域および参照領域に対して個別にレーザ光Leが照射され、実測領域および参照領域毎に個別に設けられた合計12個の上記測定センサ32が個別に上記全反射減衰角を測定する。
【0061】
化合物溶液Ky1〜Ky6の測定が終了すると、測定容器U1の測定用流路L1〜L6を測定前の状態に戻す再生処理が行われる。すなわち、実測領域のタンパクと結合した化合物については、その結合が外されて化合物が除去される。また、上記実測領域、参照領域、あるいは測定用流路L1〜L6の壁面に残存している化合物溶液Ky1〜Ky6および緩衝液等も洗浄されて除去される。
【0062】
そして、上記再生された測定容器U1を用いた化合物溶液Ky7〜Ky12による2回目の測定が行なわれる。
【0063】
上記のように1回測定する毎に測定容器U1に対して再生処理を実施し、測定容器U1を160回繰り返し用いて化合物溶液Ky1〜Ky960の測定を行なう。これにより、化合物溶液Ky1〜Ky960の測定のそれぞれに対応する実測データDm1〜Dm960と参照データDr1〜Dr960とを得る。
【0064】
測定容器U1を160回繰り返し用いた測定を終了した後、測定容器U1を移送して測定位置Psから外し、次の測定容器U2を測定位置Psに配置する。
【0065】
上記と同様に測定容器U2も測定に160回繰り返し使用される。測定容器U2の測定用流路L1〜L6に化合物溶液Ky961〜Ky1920を流して、化合物K961〜K1920のそれぞれとタンパクTaとの測定を行なう。これにより実測データDm961〜Dm1920と参照データDr961〜Dr1920とを得る。
【0066】
測定容器U3、U4についても同様に測定が行なわれる。そして、上記測定容器U1〜U4を用いた測定により、化合物K1〜K3840のそれぞれとタンパクTaとの結合量を示す実測データDm1〜Dm3840と参照データDr1〜Dr3840とを得、1日分の測定を終了する。
【0067】
上記のようにして得られた実測データDm1〜Dm3840と参照データDr1〜Dr3840は、測定ユニット110からスクリーニングユニット160へ入力される。
【0068】
なお、上記実測データDm1〜Dm3840のうちの大部分はタンパクと化合物とが結合しない状態で得られた実測データであることは予め予想されており、タンパクと化合物とが結合した状態で得られる実測データは全体の約1%程度、多くとも2%以下と予め予想されている。
【0069】
なお、上記全反射減衰を利用したタンパクと化合物との結合量の測定に関しては、{永田和宏、半田宏 共編、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」、発行所:シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社}等を参照することができる。
【0070】
次に、スクリーニングの効率を低下させることなくよりスクリーニングの信頼性を高めるスクリーニングユニット160の作用について説明する。
【0071】
図3は縦軸Eに度数、横軸Hに結合量(RU)を示す座標上に上記3840種類の処理前結合量データに関するヒストグラムを示したものである。なお、上記図3に示す処理前結合量データDvの値は、本来、実測領域におけるタンパクTaと化合物Kとの単位面積当りの結合量を示すものなので、その単位をRU(レゾナンス・ユニット)で示している。
【0072】
前処理部83は、上記記憶部82から実測データDm1、Dm2・・・および参照データDr1、Dr2・・・を入力し、実測データDm1、Dm2・・・の値から上記実測データに対応する参照データDr1、Dr2・・・をそれぞれ差し引いて処理前結合量データDv1、Dv2・・・を得る。
【0073】
図3に示すように、大多数の処理前結合量データDvの値、すなわち、横軸H示す結合量(RU)の値は0RU近傍に存在する。上記結合量(RU)が0RU近傍に存在する化合物は、タンパクと結合しないものである可能性が高い。一方、処理前結合量データDvの値が0RUからプラス側に大きく離れた領域に少数存在する化合物は、タンパクと結合するものである可能性が高い。
【0074】
ここで、上記処理前結合量データDvの値は、タンパクTaと化合物Kとが結合しなかった場合には処理前結合量データDvの値が0になるはずである。すなわち、タンパクTaと化合物Kとが結合しなかった場合には、実測データDmの値からこの実測データDmに対応する参照データDrの値を差し引くと0になるはずである。
【0075】
しかしながら、実際はタンパクTaと化合物Kとが結合しないときでも処理前結合量データDvの値が0にならない場合が多く、その値は参照データDrの値に応じて変動する。すなわち、参照データDrの値は、実質的に化合物溶液Kyの屈折率に対応するので、タンパクTaと化合物Kとが結合しないときの処理前結合量データDvの値は、この処理前結合量データDvの測定に用いた化合物溶液Kyの屈折率に応じて変化する。上記参照データDrの値に応じて変動する変動成分の詳細については後述する。
【0076】
以下、上記各条件を踏まえ、処理前結合量データDvの値から、この処理前結合量データDvに含まれる上記変動成分を差し引いて、実測領域におけるタンパクTaと化合物Kとの結合量をより正確に示す結合量データを得る場合について説明する。
【0077】
図4は、縦軸Yvに処理前結合量データDvの値を、横軸Xrに参照データDrの値を示す座標上に、上記化合物溶液Ky1〜Ky3840それぞれの測定で得られた参照データDrの値と処理前結合量データDvの値の組み合わせで定まる各対応点Gvの座標をプロットしたものである。図5は、縦軸Ywに結合量データDwの値を、横軸Xrに参照データDrの値を示す座標上に、上記化合物溶液Ky1〜Ky3840それぞれの測定で得られた参照データDrの値と結合量データDwの値の組み合わせで定まる各対応点Gwの座標をプロットしたものである。図6は、縦軸Eに度数、横軸Hに結合量(RU)を示す座標上に3840種類の結合量データに関するヒストグラムを示したものである。
【0078】
なお、上記対応点Gvの縦軸Yvの値は、処理前結合量データDvの値をRU値に換算して示したものである。一方、上記対応点Gvの横軸Xrにおける値は、化合物溶液Kyの屈折率を示す参照データDrの値を、形式的にRU値に換算して示したものである。また同様に、上記対応点Gwの縦軸Ywの値は、結合量データDwの値をRU値に換算して示したものである。一方、上記対応点Gwの横軸Xrにおける値は、化合物溶液Kyの屈折率を示す参照データDrの値を、形式的にRU値に換算して示したものである。
【0079】
処理前結合量データDvの値が0RUの近傍に存在する対応点GvからなるグループNeはタンパクTaと結合しなかった可能性が高いものである。一方、処理前結合量データDv値が0RUから離れて存在する対応点からなるグループPoはタンパクTaと結合した可能性が高いものである。
【0080】
ここで、タンパクTaと結合しなかった可能性が高いグループNeに属する対応点Gvに注目し、それらの対応点Gvを曲線近似あるいは直線近似して変動成分近似曲線Lvを得る(図中符号Lv参照)。この変動成分近似曲線Lvは、処理前結合量データDvに含まれた、参照データDrの値の大きさに応じて変動する変動成分δを示している。なお、変動成分近似曲線Lvは、直線近似したものでもよいし曲線近似したものでもよい。
【0081】
次に、上記変動成分近似曲線Lvを参照し、タンパクTaと各化合物Kとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データDr1〜Dr3840の値に対応する、処理前結合量データDv1〜Dv3840に含まれる変動成分δ1〜δ3840の値をそれぞれ求める。そして、処理前結合量データDv1〜Dv3840それぞれの値から、処理前結合量データDv1〜Dv3840に含まれる各変動成分δ1〜δ3840の値をそれぞれ差し引いて結合量データDw1〜Dw3840を得る。
【0082】
図5に示すように、上記結合量データDw1〜Dw3840と参照データDr1〜Dr3840との組み合わせで定まる各対応点Gwのうちの、結合量データDwの値が0RUの近傍に存在する上記グループNeに属する対応点GwのYw座標の値(結合量データDwの値)のバラツキが少なくなる。
【0083】
また、図6に示すように、上記結合量データDw1〜Dw3840をヒストグラムで示すと、図3に示した単に実測データDmから参照データDrを差し引いて得られた処理前結合量データDv1〜Dv3840のヒストグラムに比して、タンパクTaと結合していない可能性の高いデータが0RU近傍により集中するので、タンパクTaと結合している結合量データと、タンパクTaと結合していない結合量データとをより明確に区別することができる。
【0084】
ここで、上記処理前結合量データDvの値から差し引かれる変動成分δについて詳しく説明する。
【0085】
上記変動成分δが生じる原因は、act領域(実測領域)における上流側リンカー膜RjにはタンパクTaが固定されておりref領域(参照領域)における下流側リンカー膜Rkには何も固定されていないことに起因する。すなわち、上記タンパクTaの体積分だけact領域の方が化合物溶液Kyの影響を受け難くなる。そのため、タンパクTaと化合物Kとが結合しない場合であっても、act領域から得られる実測データDmの値からref領域から得られる参照データDrの値を差し引いて得られた処理前結合量データDvの値は0にはならず、上記参照データDrの値に応じて変動する。そのため、実測データDmの値からこの実測データDmに対応する参照データDrの値を差し引いても上記タンパクTaの排斥体積分の影響、すなわち上記処理前結合量データDvの値に含まれる変動成分δまではキャンセルできない。
【0086】
以下、上記変動成分δについて式を用いて説明する。はじめに、以下のように各変数を定める。
【0087】
Act(i):act領域の測定で得られた暗線位置
Ref(i):ref領域の測定で得られた暗線位置
f(n):屈折率nのときの暗線位置
Bind(i):タンパクへの結合量(屈折率単位)
bulk(i):化合物溶液を構成する緩衝液の屈折率
Hai(i):タンパクによる緩衝液の排斥体積
ここで、Hai(i)の値は、タンパクが無いとき0であり、これとは反対に全てタンパクであり緩衝液が無いときが1である。
【0088】
上記のように各変数を定めると、上記Act(i)およびRef(i)は、以下の式によって表すことができる。
【0089】
Act(i)=f(Bind(i)+bulk(i)×(1−Hai(i)))
Ref(i)=f(bulk(i))
したがって、Act(i)−Ref(i)は、以下の式によって表すことができる。
【0090】
Act(i)−Ref(i)=f(Bind(i)−bulk(i)×Hai(i))
結合しない場合、すなわち、Bind(i)=0であっても、
Act(i)−Ref(i)=f(−bulk(i)×Hai(i))
となり、その値は0にはならない。
【0091】
この「f(−bulk(i)×Hai(i))」が上記変動成分δの主な中身である。
【0092】
図4における縦軸Yvは、Act(i)−Ref(i)=f(Bind(i)−bulk(i)×Hai(i))の値を示し、横軸Xrは、ref(i)=f(bulk(i))の値を示している。ここで、タンパクTaと化合物とが殆ど結合しないグループNeについては、Bind(i)=0とみなせるので、縦軸Yvが、f(−bulk(i)×Hai(i))の値を示しているものとして読み取れる。
【0093】
したがって、グループNeについては、縦軸Yvが上記変動成分δに対応するf(−bulk(i)×Hai(i))の値を示すものと見なすことができ、すなわち、図4中の変動成分近似曲線Lvは、ref(i)の値に対応する参照データDrの値と変動成分δの値との関係を示すものとみなすことができる。
【0094】
したがって、上記変動成分近似曲線Lvを用い、参照データDrの値に応じて変動する変動成分δの値を求めることができる。
【0095】
次に、上記手法をスクリーニングユニット160で実行する場合について図1を参照してより具体的に説明する。
【0096】
変動関係取得部84は、記憶部82に記憶された参照データDr1、Dr2・・・を入力するとともに、前処理部83から処理前結合量データDv1、Dv2・・・を入力する。変動関係取得部84は、処理前結合量データDv1、Dv2・・・の値の平均値Mvと、それらの値のバラツキを示す標準偏差σvとを求める。そして、平均値Mvからプラス側へ標準偏差σvの3倍離れた値と、平均値Mvからマイナス側へ標準偏差σvの3倍離れた値の範囲内(Mv±3σvの範囲内)に存在する処理前結合量データDvを上記グループNeに属するものとして抽出する。そして、上記グループNeに属する各処理前結合量データDvの値と、上記各処理前結合量データDvに対応する参照データDrの値との組み合わせで定まる各対応点Gvを曲線近似あるいは直線近似する変動成分近似曲線Lvを表す関数Fを求める。
【0097】
このようにして得られた関数Fは、参照データDrの値とこの参照データDrに対応する処理前結合量データDvに含まれる変動成分δの値との関係を示すものであり、上記関数Fを参照して参照データDrに対応する変動成分δの値を求めることができる。なお、上記関数Fで示される関係δ=F(Dr)は、タンパクTaと化合物Kとが結合しないとき、および結合したときのデータに対して共通に適用することができる。
【0098】
変動成分取得部85には、上記変動関係取得部84から関数Fが入力され、この関数を用いて、グループNeおよびグループPoに属する全ての参照データDr1〜Dr3840それぞれに対応する変動成分δ1〜δ3840を求める。
【0099】
結合量取得部86には、上記変動成分取得部85で得られた変動成分δ1〜δ3840の値および処理前結合量データDv1〜Dv3840の値が入力され、各処理前結合量データDv1〜Dv3840の値から変動成分δ1〜δ3840の値をそれぞれ差し引いて結合量データDw1〜Dw3840を得る。ここで、結合量データDwの値は、Dw=Dv−δ=Dv―F(Dr)の関係によって求めることができる。
【0100】
さらに、閾値設定部87が、上記結合量取得部86で取得した結合量データDw1〜Dw3840を用いてヒット化合物を抽出するための閾値Qwを定める。閾値設定部87は、結合量データDw1〜Dw3840の値の平均値Mwと標準偏差σwを求め、平均値からプラス側に標準偏差の3倍離れた値を閾値Qwとして定める。すなわちQw=Mw+(3×σw)の式に基づいて閾値Qwを求める。
【0101】
次に、ヒット化合物抽出部88が上記閾値Qwと結合量データDw1〜Dw3840の各値とを比較して、閾値Qwを越える値を持つ結合量データDwに対応する化合物をヒット化合物Hkとして抽出する。抽出されたヒット化合物Hkは表示装置50に表示される。
【0102】
なお、上記変動関係取得部84において変動関係を示す関数Fを求める際に使用した上記Mv±3σvの範囲内の処理前結合量データDvの全てが、タンパクTaと化合物Kとが結合しないときに得られたものとは限らないが、そのようなものが含まれていたとしても、極僅かでありその影響も微小であることが予め予想できるので、このスクリーニングにおいてはその影響を実質的に無視することができる。
【0103】
なお、上記変動成分δを取り除いた結合量データDw1〜Dw3840を用いたスクリーニング方式によれば、図6に示すように、結合量データDw1〜Dw3840の平均値Mw(Mw+3×σw)の値は2.1RU、標準偏差σwの値は3.4RUであり、閾値Qwの値を12.3RUに設定してヒット化合物を抽出することができる。
【0104】
一方、従来の方式に対応する、上記変動成分δを取り除かない処理前結合量データDv1〜Dv3840を用いたスクリーニング方式は、図3に示すように、処理前結合量データDv1〜Dv3840の平均値Mvの値は3.7RU、標準偏差σvの値は7.1RUであり、閾値Qv(Mv+3×σv)の値を25.0RUに設定してヒット化合物を抽出するものである。
【0105】
上記のように本発明によれば、変動成分を取り除いたタンパクと化合物との結合量をより正確に示す結合量データを用いてスクリーニングを行なうのでより正確にヒット化合物を抽出することができる。
【0106】
なお、上記説明は1日分の測定について説明したが、例えば、1種類のタンパクTaについて上記測定を3日間に亘って繰り返し11520回(3840回×3日)の測定を行なって、11520種類の化合物の中から1種類のタンパクTaと結合するヒット化合物を抽出するスクリーニングを行なうこともできる。
【0107】
このような場合、例えば、1日毎に装置の調整を行うために測定条件が変化するときには、1日毎にこの1日で得られた3840種類のデータに対して上記変動成分を示す変動成分近似曲線を求める。そして、各変動成分近似曲線を用いて1日毎に3840種類の結合量データそれぞれを得、その後、3日分の全ての結合量データを合わせた11520種類の結合量データに対して1つの閾値を定めてスクリ−ニングを行なうことが望ましい。
【0108】
また、例えば、3日間に亘って同一測定条件下で測定を行うときには、測定で得られた3日間分の11520種類のデータを用いて変動成分を示す1つの変動成分近似曲線を求め、この変動成分近似曲線を用いて11520種類の結合量データを得、上記と同様に11520種類の結合量データに対して1つの閾値を定めスクリ−ニングを行なうことができる。
【0109】
上記各閾値は結合量データの値の標準偏差に基づいて定める場合に限らず、どのような手法を用いて定めてもよい。
【0110】
なお、上記実施の形態においては、1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量に基づいて複数種類のアナライトの中からリガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニングについて説明したが、上記手法を1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量に基づいて複数種類のリガンドの中からアナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニングに適用することもできる。
【0111】
図7は1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量に基づいてスクリーニングを行なう他のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置の概略構成を示す概念図である。なお、上記スクリーニング装置は、測定容器U1〜U640に設けられた合計3840の各実測領域に互に異なるタンパクTa1〜Ta3840のそれぞれが固定されていること、およびプレートPL1からPL10には1種類の化合物Kを溶解してなる化合物溶液Kyが収容されていることが、上述した既に説明済みのスクリーニング装置とは異なるが、その他の構成および作用は同様である。図7においては、図1と同様の機能を有するものについては同じ符号を適用しその説明を省略する。
【0112】
上記本発明の他のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置は、全反射減衰を利用した測定により1種類のアナライトである化合物Kと複数種類のリガンドであるタンパクTa1〜Ta3840(まとめてタンパクTaともいう)それぞれとの結合量を示す結合量データDw1〜Dw3840(まとめて結合量データDwともいう)を得、その結合量データDw1〜Dw3840に基づいて複数種類のタンパクTa1〜Ta3840の中から化合物Kと結合するタンパクを抽出するものである。
【0113】
上記スクリーニング装置が備える測定部である測定ユニット110´において、複数種類のタンパクTa1〜Ta3840のそれぞれが固定されている測定容器U1〜U640の各プリズムP25上の各実測領域に1種類の化合物Kを溶解してなる化合物溶液Kyを接触させ、上記接触により全反射減衰角を示す実測データDmの値を得、プリズムP25上の参照領域に上記化合物溶液Kyを接触させ、上記接触により上記各実測データDm1〜Dm3840(まとめて実測データDmともいう)に対応する全反射減衰角を示す参照データDr1〜Dr3840(まとめて参照データDrともいう)の値を得る。
【0114】
測定容器U1〜U640のそれぞれには6つの実測領域が設けられており、合計3840の各実測領域に互に異なるタンパクTa1〜Ta3840のそれぞれが固定されている。また、測定容器U1〜U640のそれぞれには上記6つの実測領域に対応させた6つの参照領域が設けられている。プレートPL1からPL10には1種類の化合物Kを溶解してなる1種類の化合物溶液Kyが収容されている。
【0115】
そして、上記スクリーニング装置が備えるスクリーニング部であるスクリーニングユニット160において、記憶部82が上記実測データDm1〜Dm3840と参照データDr1〜Dr3840とを記憶し、前処理部83が実測データDm1〜Dm3840の値からこの実測データに対応する参照データDr1〜Dr3840の値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データDv1〜Dv3840(まとめて処理前結合量データDvともいう)を得る。
【0116】
次に、変動関係取得部84が、タンパクTaと化合物Kとが結合しないときの、参照データDrの値と上記参照データDrの値に応じて変動する処理前結合量データDvの値との関係Fを求め、変動成分取得部85が、上記関係F´を参照して、タンパクTaと化合物Kとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データDr1〜Dr3840に対応する、それぞれの処理前結合量データDv1〜Dv3840に含まれる変動成分δ1〜δ3840(まとめて変動成分δともいう)をそれぞれ求める。そして、結合量取得部86が、処理前結合量データDv1〜Dv3840の値から、上記処理前結合量データに含まれる変動成分δ1〜δ3840の値を差し引いて上記結合量データDw1〜Dw3840を得る。
【0117】
その後、閾値設定部87が、上記結合量取得部86で取得した結合量データDw1〜Dw3840を用いてヒット化合物を抽出するための閾値Qを定める。そして、ヒット化合物抽出部88が上記閾値Qと結合量データDw1〜Dw3840の各値とを比較して、閾値Qを越える値を持つ結合量データDwに対応する化合物をヒット化合物Hkとして抽出する。抽出されたヒット化合物Hkは表示装置50に表示される。
【0118】
なお、全反射面Ls上には金膜Meを成膜する場合に限らず、金以外の金属からなる金属膜を成膜するようにしてもよい。
【0119】
また、上記スクリーニング方法は、例えば漏洩モード測定装置を用いて実施されるスクリーニングや、その他の測定原理を利用した装置によるスクリーニングにも適用することができる。
【0120】
また、全反射減衰を利用した測定以外で屈折率変化量の測定を行なう測定法の例としては、干渉法を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置の概略構成を示す概念図
【図2】測定容器の拡大斜視図
【図3】3840種類の処理前結合量データに関するヒストグラムを示した図
【図4】参照データの値と処理前結合量データの値との組み合わせで定まる各対応点を示す図
【図5】参照データの値と結合量データの値の組み合わせで定まる各対応点を示す図
【図6】3840種類の結合量データに関するヒストグラムを示した図
【図7】本発明の他のスクリーニング方法を実施するスクリーニング装置の概略構成を示す概念図
【符号の説明】
【0122】
82 記憶部
83 前処理部
84 変動関係取得部
85 変動成分取得部
86 結合量取得部
87 閾値設定部
88 ヒット化合物抽出部
100 化合物スクリーニング装置
110 測定ユニット
160 スクリーニングユニット
Dm 実測データ
Dr 参照データ
K 化合物
Ky 化合物溶液
Ta タンパク
D 処理前結合量データ
δ 変動成分
Dw 結合量データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、該結合量データに基づいて前記複数種類のアナライトの中から前記リガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニング方法であって、
前記1種類のリガンドが固定されている前記実測領域に前記複数種類のアナライトのそれぞれを溶解してなる各アナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得、前記参照領域に各アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得、前記実測データの値から該参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、
前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、
前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、
前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得ることを特徴とするスクリーニング方法。
【請求項2】
基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量を示す結合量データを得、該結合量データに基づいて前記複数種類のリガンドの中から前記アナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニング方法であって、
前記複数種類のリガンドのそれぞれが固定されている各実測領域に前記1種類のアナライトを溶解してなるアナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得、前記参照領域に前記アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得、前記実測データの値から該参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得、
前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求め、
前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求め、
前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得ることを特徴とするスクリーニング方法。
【請求項3】
前記変動成分は、前記関係を関数で近似して求めたものであることを特徴とする請求項1または2記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記屈折率変化量が、表面ブラズモン共鳴によって生じたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のスクリーニング方法。
【請求項5】
基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のリガンドと複数種類のアナライトそれぞれとの結合量を示す結合量データを得る測定部と、前記結合量データに基づいて前記複数種類のアナライトの中から前記リガンドと結合するアナライトを抽出するスクリーニング部とを備えたスクリーニング装置であって、
前記測定部が、
前記1種類のリガンドが固定されている前記実測領域に前記複数種類のアナライトのそれぞれを溶解してなる各アナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得るとともに、前記参照領域に各アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得るものであり、
前記スクリーニング部が、
前記測定部で取得した前記実測データの値、および前記参照データの値を記憶する記憶部と、
前記実測データの値から前記参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得る前処理部と、
前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求める変動関係取得部と、
前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求める変動成分取得部と、
前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得る結合量取得部と備えたことを特徴とするスクリーニング装置。
【請求項6】
基体ブロック上の実測領域または参照領域の界面における屈折率変化量の測定により、1種類のアナライトと複数種類のリガンドそれぞれとの結合量を示す結合量データを得る測定部と、前記結合量データに基づいて前記複数種類のリガンドの中から前記アナライトと結合するリガンドを抽出するスクリーニング部とを備えたスクリーニング装置であって、
前記測定部が、
前記複数種類のリガンドのそれぞれが固定されている各実測領域に前記1種類のアナライトを溶解してなるアナライト溶液を順次接触させ、該接触により屈折率変化量を示す実測データの値を得るとともに、前記参照領域に前記アナライト溶液を接触させ、該接触により前記各実測データに対応する屈折率変化量を示す参照データの値を得るものであり、
前記スクリーニング部が、
前記測定部で取得した前記実測データの値、および前記参照データの値を記憶する記憶部と、
前記実測データの値から前記参照データの値をそれぞれ差し引いて処理前結合量データを得る前処理部と、
前記アナライトとリガンドとが結合しないときの、参照データの値と該参照データの値に応じて変動する処理前結合量データの値との関係を求める変動関係取得部と、
前記関係を参照して、前記アナライトとリガンドとが結合しないとき、および結合したときに得られた各参照データに対応する、処理前結合量データに含まれる変動成分をそれぞれ求める変動成分取得部と、
前記処理前結合量データの値から、該処理前結合量データに含まれる変動成分の値を差し引いて前記結合量データを得る結合量取得部とを備えたことを特徴とするスクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−198768(P2007−198768A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14599(P2006−14599)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】