説明

スクリーンのための保持装置

【課題】 基板、特にガラス基板をコーティングするための装置のコーティングチャンバ2に少なくとも1つのスクリーン9を装着するための保持装置12を提供する。
【解決手段】 保持装置12は、当該保持装置12によって保持されるスクリーン9が、当該保持装置12の動きにより少なくともコーティングチャンバ2内における第1の位置から第2の位置に動かされ得るように構成される。保持装置12は、スクリーン9が第1の位置から第2の位置に移動する途中に障害物を避けることを可能にするような手段13を有する。特に、第1の位置から第2の位置への移動中に、スクリーン9は保持装置12上に回転可能に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板、特にガラス基板をコーティングするための装置のコーティングチャンバにおいて少なくとも1つのスクリーンを装着するための保持装置に関し、当該保持手段は、保持手段によって保持されるスクリーンが保持装置の動きにより少なくともコーティングチャンバ内における第1の位置から第2の位置へと動かされ得るように構成される。
【背景技術】
【0002】
コーティングライン、たとえばガラスコーティングラインのコーティングチャンバの内部にスクリーンを装着するのが公知の慣行である。当該スクリーンにより、チャンバの或る区域にシールドが必要となり、また、当該スクリーンはガラス基板を選択的かつ均一にコーティングするのに寄与する。スクリーンは特にガラスコーティングラインのカソードゾーンにおいて用いられる。これは、平面のカソード本体を備えたコーティングラインと、回転するカソード本体を備えたラインとの両方に適用される。
【0003】
メンテナンスまたは洗浄の目的でコーティングチャンバからスクリーンを取外せるようにするために、アクセス用窓がコーティングチャンバ、通常、カソードの上方における区域に設けられる。カソードはこのアクセス用窓を通じて交換可能である。加えて、当該窓により、必要に応じてコーティングラインの他の構成要素、特にスクリーンにアクセスできるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アクセス用窓から見ると、スクリーンのうち少なくとも一部分は通常カソードの下、すなわち、カソードと基板との間の空間に位置する。カソードと基板との間の空間に位置するスクリーンは、その上方に装着されたカソードとともに妨害エッジを形成し得る。したがって、フレームに永久的に据付けられるかまたは取付けられるスクリーンは、カソード本体を取外した後にしか当該スクリーンを取外すことができないという不利点を有する。言い換えれば、カソードを部分的に囲むスクリーンには、コーティングチャンバからカソードを取外す時または取外した後にしかアクセスできない。これによりコーティングラインの効率が低下する。というのも、追加の組立工程が必要になり、時間が失われるからである。
【0005】
いわゆる片持ちばり式のカソードを使用することには特に問題がある。というのも、これらのカソードは受け壁を通って横方向に装着されており、コーティングチャンバが開かれた後にそこに留まるからである。スクリーンを交換する前に目標またはカソードを取外すことが必要なので、この場合特に時間がかかる。
【0006】
この背景に対し、この発明の目的はコーティングラインからスクリーンを取外すのを容易にすることである。これは、特に、少なくとも部分的にカソードを囲んでいるスクリーンの取外しに適用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を備えたスクリーン保持装置を設けることによって確立される。
【0008】
この発明は、基板、特にガラス基板をコーティングするための装置のコーティングチャ
ンバにおいて少なくとも1つのスクリーンを装着するための保持装置に関し、当該保持手段は、保持手段によって保持されるスクリーンが保持装置の動きによって少なくともコーティングチャンバ内における動作位置(第1の位置)から動かされ得るように構成される。スクリーンはコーティングチャンバから当該コーティングチャンバ外の第2の位置へと動かされる。保持装置は、コーティングチャンバ内における当該動作位置からスクリーンを移動させる間、当該スクリーンが障害を避けることを可能にするような手段を有する。
【0009】
可動式の保持装置により、これに接続されるスクリーンをコーティングチャンバから取外すことが可能となる。保持装置は、典型的には、一部分がアクセス用窓の区域に延在し、かつアクセス用窓を閉じるためのカバーフランジと接続され得るかまたは接続され得ないように構成される。後者の場合、スクリーンは、フランジが開口部から持上げられるとその動作位置から遠ざかる。
【0010】
スクリーンは通常、基板側、すなわちアクセス用窓とは反対側にも部分的なシールドを備える必要があるので、スクリーンの一部分は、アクセス用窓から見るとカソードの下に位置する。従来の保持装置がチャンバから直線的に引出される場合、スクリーンが動作位置にあるときスクリーンのこの部分はその上方に装着されたカソードによって遮られる、すなわち当該カソードと衝突するだろう。
【0011】
この発明に従った保持装置を用いることにより、スクリーンをチャンバから取外す際のスクリーンとカソード、チャンバ壁と、ことによるとチャンバに装着される他のコーティングライン構成要素との間の接触がいずれも防止される。こうして、コーティングチャンバからカソードを取外さなくても、スクリーンを引出す際にスクリーンまたはカソードのどちらにも損傷を与えないことを確実にし得る。カソードがスクリーンによって部分的に囲まれているにもかかわらず、スクリーンに損傷を与えたりスクリーンが詰まったりする可能性が排除される。というのも、保持装置により、スクリーンの経路に位置する障害物とスクリーンとの接触が防止されるからである。
【0012】
スクリーンがコーティングチャンバから取外されると、当該スクリーンは、点検および洗浄を行なう前に対応する支持部から容易に取外すことができる。スクリーンを引出す前に時間のかかるカソードの取外しを行なう必要はない。組立作業および時間を節約すると、コーティングラインがより効率的に使用されることになる。
【0013】
当該手段は、好ましくは、スクリーンが第1の位置から第2の位置に移動するとき、当該スクリーンが保持装置に対して付加的な動きを少なくとも1回実行し得るように構成される。
【0014】
スクリーンがコーティングチャンバから引出される際のスクリーンの動きに重なる付加的な動きは回転移動または平行移動であり得る。この付加的な動きにより、スクリーンが、動作位置から窓に移動する途中で、起こり得る障害物を避けることが可能となる。当該障害物はたとえばカソードであり、スクリーンとともにカソードは、動作位置にある場合に妨害エッジを形成する。
【0015】
特に、当該手段は、スクリーンが第1の位置から第2の位置に移動する途中に、コーティングチャンバにおけるその向きを変えることができるように構成される。これは、スクリーンをそのもとの動作位置に対して傾斜させることができることを意味する。こうして、スクリーンが障害物を通り過ぎる間、スクリーンの向きを制御しつつ選択的に変えることによりこの障害物と接触するのを避けることができる。
【0016】
当該手段は、特に保持装置に対するスクリーンの回転を可能にするよう構成される。こ
の手段により、たとえばコーティングチャンバから保持装置を引出す間にスクリーンがカソードを通り過ぎるときにスクリーンを傾斜させ、これにより、動作位置にあるスクリーンがカソードに接触せずに当該カソードを通り過ぎる際にカソードの後方に位置する突起部を案内することが可能となる。
【0017】
当該手段は、たとえばスクリーンを回転させるためのヒンジ継手を含み得る。
【0018】
当該スクリーンは、特に保持装置の回転可能な部分に取付けることができる。これは、保持装置が2つの回動式の部分から成ることを意味する。一方の部分は窓を閉じるためのカバーフランジと接続可能であり、もう一方の部分にはスクリーンが取付けられている。
【0019】
代替的には、当該手段は、スクリーンが第1の位置から第2の位置に移動する途中で保持装置に対して横方向に変位し得るように構成され得る。これは、スクリーンが、保持装置上で横方向に、概して第1の位置から第2の位置への移動方向に対して直角に、障害物から離れるように移動することにより障害物を避けることができることを意味する。どの構成が選択されるかは、とりわけ、チャンバにおける構成要素の配置に依存する。
【0020】
当該手段は、好ましくは、スクリーンの向きおよび/または横方向の変位が、第1の位置から第2の位置に移動する途中のスクリーンの位置に依存するよう構成される。スクリーンの位置と、特に当該スクリーンとアクセス用窓との間の距離(言い換えれば、スクリーンがどのくらいの高さにあるか)と、スクリーンを回転または変位させる程度との間の関係により、第2の位置への移動のすべての段階中に障害物との衝突が防止される。スクリーンの位置はさまざまな方法で決定可能であり、回避手段は適切に調整され得る。
【0021】
スクリーンの向きの変更および/または当該スクリーンの横方向の変位は、機械的に、たとえば特に重力またはばね力の作用によってもたらされてもよい。たとえば、冷却ユニットの表面などの支持面からスクリーンを単に持上げることにより、スクリーンが回転しつつカソードから遠ざかり得る。このために必要なことは、保持装置が持上げられる際に好適なトルクがスクリーンに作用し、これによりピボットを中心にしてスクリーンを所望の角度だけ回転させるようにスクリーンの重心を選択することである。この構成は、製造および動作の点では特に単純で経済的である。外部からのエネルギおよび制御は不要である。
【0022】
向きを変えるためのおよび/またはスクリーンを横方向に変位させるための別のオプションは、これを機械的に実施することである。
【0023】
第1の位置から第2の位置への移動中のスクリーンの向きの変更および/またはスクリーンの横方向の変位は自己作動式に(in self-acting manner)実施されることが好ましい。これは、たとえば、支持面からスクリーンを持上げてこれを重力の作用にさらすか、その途中の或る点でばねを自動的に作動させるか、スクリーンに案内手段を設けるか、スクリーンが特定のゾーンを通過する際にスイッチを自動的に作動させるか、または当業者によく知られている他の方法を用いることによって実現可能である。
【0024】
スクリーンの向きの変更および/またはスクリーンの横方向の変位は、特にスクリーンが第1の位置から第2の位置に移動することによってもたらされる。スクリーンは、障害物を通り過ぎる際にその動きの自由度が制限される。
【0025】
第1の位置から第2の位置への移動中のスクリーンの向きの変更および/またはスクリーンの横方向の変位は自動的に(automatically)実施されることが好ましい。この点に関して、「自動的(automatically)」という語は、ユーザ側の介入なしにもたらされる
いかなる変更をも指す。こうして、人為ミスまたは不注意によるシステムのいかなる故障も排除される。
【0026】
第1の位置は、典型的には、コーティングチャンバ内における動作位置であり、コーティング動作中のスクリーンに対する所期の位置である。
【0027】
第2の位置は、典型的には、本質的にスクリーンに自由にアクセスできるメンテナンス位置である。これはコーティングチャンバの内部または外部であり得る。第2の位置は、コーティングチャンバのアクセス用窓付近の位置であり得るかまたはコーティングチャンバ外の位置であり得る。
【0028】
特にスクリーンが第1の位置から第2の位置に移動する間、保持装置は本質的には直線的に移動する。保持装置がたとえば窓を閉じるためのフランジに取付けられる場合、フランジを垂直に持上げて窓を開くことにより、支持部が本質的に直線的に移動することとなる。こうして、妨害エッジが明瞭に規定され、スクリーンは、衝突を防ぐために保持装置に対する正確な移動を自動的に実行し得る。
【0029】
スクリーンは、第1の位置に位置するとき、コーティングチャンバの内部に装着されるカソードを少なくとも部分的に囲み得る。特に、当該スクリーンはカソードの後ろに突き出て妨害エッジを生じさせるが、この発明の装置において提供される保持装置に対するスクリーンの付加的な動きにより、スクリーンを取外す際に妨害エッジがなくされる。
【0030】
スクリーンは、第1の位置に装着される場合、好ましくは冷却ユニットと接触する。コーティングプロセス中に生成された熱は適切な冷却ユニットによって放散させることができる。冷却ユニットは典型的には水冷ユニットであるだろう。スクリーンの一部分は、最良の熱的接触をもたらすために冷却面上で支持され得る。この接触は、たとえば蓋の重みによって、またはコーティングラインが排気されている場合には圧力差によって達成され得る。こうして十分な下向きの力が与えられる。比較的均一であり調節することもできる接触圧力を得るために、ばねを付加的に用いてもよい。
【0031】
スクリーンは、第1の位置から第2の位置に移動する際に、好ましくは冷却ユニットから離れる。論理的には水冷ユニットは永久的にスクリーンと接続されてもよいが、この場合、スクリーンとともにコーティングチャンバから取外されなければならない。しかしながら、冷却ユニットは、スクリーンにしか接触しないのであればコーティングチャンバに残されてもよい。この実施例では、スクリーンは洗浄する目的で極めて迅速に交換することができる。というのも、これらのスクリーンは単純なヒンジピンで固定されるだけでよく、従来の機器におけるように多数のボルトで冷却ユニットに接続されなくてもよいからである。
【0032】
この発明の付加的な特徴および利点は特定の実施例の以下の記載から明らかとなるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1はコーティングライン1の一部を示す。これは、側壁3と上部壁区域4とを備えたコーティングチャンバ2を有する。上部壁区域はアクセス用窓5によって穿孔されており、これによりコーティングチャンバ2へのアクセスが可能となる。特に、アクセス用窓5は、カソード本体8の交換や、コーティングライン1の他の構成要素、特にスクリーン9に対するメンテナンス作業のためにアクセスできるようにする。
【0034】
図1に図示のとおり、アクセス用窓5は、コーティングライン1の動作中にカバーフラ
ンジ6で閉じられる。シール7、たとえば、溝に収容される封止リングによって、確実にコーティングライン2が真空気密に閉じられる。
【0035】
当該実施例においては、回転するカソードとして設計される2つのカソード本体8がコーティングチャンバ2に設けられる。カソード本体8は本質的には円筒形である。しかしながら、明らかに、回転するカソードではなく平面のカソードをコーティングチャンバ2において用いることも可能である。
【0036】
図示される断面図においては、スクリーン9はx−y平面に対して垂直な方向に対して角度が付けられている。スクリーンの一部分9aはy軸に対して平行に延び、隣接する部分9bは目標8の方に傾斜し、一部分9cは中心線Mの方に向かいx軸に対して平行に延びる。この構成は、目標8が関連するスクリーン9によって部分的に囲まれていることを意味する。
【0037】
カソード本体8の各々は、スクリーン9の部分9aおよび9bによってx軸に対して平行に横方向に覆われる。加えて、カソード8は、スクリーン9の部分9cによって、基板に向かって下方向(すなわちy方向)にわずかに覆われている。上方から、すなわちアクセス用窓5から見ると、スクリーン9の末端部分9cは動作状態にあるときカソード本体8の後方に位置し、この結果、カソード8の妨害エッジ11を越えて延在する突き出た端部10が形成される。妨害エッジ11はy軸に対して平行に延びている。
【0038】
スクリーン9は、動作位置にある場合、フランジ9dを介して水冷ユニット14と接触する。コーティングプロセス中に生成された熱は冷却ユニット14によって放散させることができる。強い下向きの圧力のために、スクリーン9と冷却ユニット14との間に良好な熱的接触が確立される。この接触は、たとえば、フランジ6の重みによって、またはコーティングチャンバ2が排気されている場合には圧力差によって達成可能である。
【0039】
図2は、カバーフランジ6を取外すことによってコーティングチャンバ2を開く最中のコーティングライン1を示す。カバーフランジ6は矢印Bで示される方向に上げたり下げたりすることができる。
【0040】
支持部12はカバーフランジ6と接続される。したがって、カバーフランジ6が垂直に持上げられると、それとともに支持部12が垂直に上昇する。
【0041】
カバーフランジ6および支持部12が上方に移動すると、動作位置にある場合に冷却ユニット14の接触面上に載っているスクリーン9が当該接触面から持上げられ、窓5の方に上昇する。
【0042】
図1に示されるスクリーン部分9cの突き出た端部10はカソード8の妨害エッジ11を越えて中心線Mに向かって延在しており、カバーフランジ6とスクリーン9との間が全く堅固に接続されている場合、当該突き出た端部10は上方への移動中にカソード本体8と衝突することとなる。カソード本体8に衝突するかまたは当該カソード本体8と接触するだけでも、コーティングチャンバ2からのスクリーン9の取外しが妨げられ、さらには損傷がもたらされるおそれがある。
【0043】
このため、保持装置12は継手、たとえばピボット13を備える。支持部12の一方の部分にはその上方端部にフランジ6が接続され、支持部12のもう一方の部分12aにはスクリーン9が堅固に接続される。部分12aは、スクリーン9の部分9aおよび9dによって形成される角度に配置される。
【0044】
保持装置12の2つの部分はヒンジ継手によってともに接続されているので、相対的に回転可能である。この目的のために、ピボット13が支持部12の下方端部に設けられてもよく、これにより、ピボットは支持部12のもう一方の部分12aにおける対応する軸受ブシュ(図示せず)と相互作用する。当該図面においては、ピボットはx−y平面に対して垂直に延びる。
【0045】
カバーフランジ6が持上げられると、上述のとおり、スクリーン9が冷却ユニット14の接触面から持上げられる。アセンブリは、スクリーン9と支持部12の部分12aとを含む組合せの重心がピボット13に対して中心線Mの方に変位するように設計された。したがって、スクリーンが持上げられると、アセンブリ9、12aに作用する重力がピボットに対して横方向に変位し、アセンブリにトルクをかける。結果として、アセンブリ9、12aが下方に振動する。図2においては、回転方向は矢印Sで示される。こうして、スクリーン9がx−y平面において十分に外側に遠く中心線Mおよびカソード8から離れて振動して、カソードとの重なり10をなくす。結果として、スクリーン9はカソード8に接触せずに当該カソード8を通り過ぎ得る。さらに、回転する量は、スクリーン9と部分12aとを含むアセンブリが上壁4のエッジ4aに接触せずに窓5を通って案内され得るように計算される。これらの措置により、最初にカソード本体8を取外さなくてもコーティングチャンバ2からスクリーン9を安全に取外すことが可能となる。
【0046】
記載される例においては、部分12aは重力によって回転させられる。しかしながら、代替的には、ばね力または他の機械的もしくは電子的手段を用いて、支持部12の上方部分に対してスクリーン9を強制的、自動的または少なくとも自己作動式に動かすことによって、カソード8との衝突を防ぐことができる。たとえば、制御システムが組込まれてもよく、当該制御システムは、スクリーン9がカソード本体8またはコーティングライン1の構成要素と衝突することなくアクセス用窓5に案内され得るような態様で平行移動Bの関数として回転移動Sを調整する。平行移動Bの関数として回転移動Sを調整するメカニズムは、たとえば、ピボット13のy座標の関数としてSを制御することにあり得、特定のy座標に特定の回転角を割当てることが好ましい。支持部12の移動Bにより、スクリーン9がピボット13を中心にして強制的に回転させられる。言い換えれば、回転移動Sは移動Bによって自動的にもたらされる。これは、コーティングチャンバ2からスクリーン9を取外す最中に人為ミスとコーティングライン1の構成要素への損傷とが殆ど排除されることを意味する。制御システムおよび回転移動自体はともに、機械的かつ電子的に実現可能である。
【0047】
コーティングプロセス中にスクリーン9において生成される熱は冷却要素14によって放散させることができる。図2に図示のとおり、水冷ユニット14は、スクリーン9が取外されてもコーティングチャンバに留まり得る。当該実施例においては、スクリーン9は、冷却ユニット14の接触面から持上げられると冷却要素から離れる。冷却ユニット14とスクリーン9との間、特に冷却ユニット14とスクリーン9の部分9dとの間の良好な熱的接触は、バランスのとれた強い下向きの力によって保証される。支持部12の長さは好ましくは調節可能である。下向きの力を調整するために、支持部12は、スクリーン部分9d上に均一な圧力を生成するばねを付加的に備えてもよい。
【0048】
しかしながら、理論的には、水冷ユニット14をスクリーン9と堅固に接続することも可能であり、この場合、当該水冷ユニット14はスクリーンとともにコーティングチャンバ2から取外される。
【0049】
図示のコーティングラインは、洗浄またはメンテナンスのために、特にカソード本体8を取外す必要なしにスクリーン9を迅速に交換する可能性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】動作位置にありさまざまな構成要素を備えたコーティングラインの一部を示す縦断面図である。
【図2】コーティングチャンバが開かれるときのコーティングラインを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 コーティングライン、2 コーティングチャンバ、3 側壁、4 上部壁区域、5
アクセス用窓、6 カバーフランジ、7 シール、8 カソード本体、9 スクリーン、10 突き出た端部、11 妨害エッジ、12 保持装置、13 ピボット、14 冷却ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、特にガラス基板をコーティングするための装置のコーティングチャンバ(2)において少なくとも1つのスクリーン(9)を装着するための保持装置(12)であって、前記保持装置は、保持装置(12)の動きによりコーティングチャンバ(2)からであって、少なくともコーティングチャンバ(2)内における動作位置からコーティングチャンバ外における位置に、保持装置(12)によって保持されるスクリーン(9)が動かされ得るように構成され、前記保持装置(12)は、コーティングチャンバから取外される間にスクリーン(9)が障害物を避けることを可能にするような手段(13)を有することを特徴とする、保持装置(12)。
【請求項2】
前記手段(13)は、スクリーン(9)がコーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置に動かされる間に、保持装置(12)に対して少なくとも1回の付加的な動きを実行し得るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の保持装置(12)。
【請求項3】
前記手段(13)は、スクリーン(9)が、コーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置に動かされる間に、スクリーン(9)がコーティングチャンバ(2)内において向きを変え得るように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の保持装置(12)。
【請求項4】
前記手段(13)は、保持装置(12)に対するスクリーン(9)の回転を可能にするよう構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項5】
前記手段(13)はスクリーン(9)の回転を可能にするヒンジ継手(13)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の保持装置(12)。
【請求項6】
前記スクリーン(9)は保持装置(12)の回転可能な部分(12a)に取付けられることを特徴とする、請求項5に記載の保持装置(12)。
【請求項7】
前記手段(12a)は、スクリーン(9)がコーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置に動かされる間に、保持装置(12)に対して横方向の変位を実行し得るように構成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項8】
前記手段(13)は、スクリーンがコーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置へと動かされる際にスクリーン(9)の向きおよび/または横方向の変位がコーティングチャンバにおけるスクリーン(9)の位置に依存するように構成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項9】
スクリーン(9)の向きの変更および/または横方向の変位は、機械的に、特に重力またはばね力の作用によってもたらされることを特徴とする、請求項3から8のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項10】
スクリーン(9)の向きの変更および/または横方向の変位が電子的にもたらされることを特徴とする、請求項3から8のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項11】
スクリーン(9)の向きの変更および/または横方向の変位は、スクリーン(9)がコ
ーティングチャンバ(2)における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置へと動かされる間に自己作動式にもたらされることを特徴とする、請求項3から10のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項12】
スクリーン(9)の向きの変更および/または横方向の変位は、スクリーンがコーティングチャンバ(2)における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置へと動かされる間に強制的にもたらされることを特徴とする、請求項3から11のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項13】
スクリーン(9)の向きの変更および/または横方向の変位は、スクリーン(9)がコーティングチャンバ(2)における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置へと動かされる間に自動的にもたらされることを特徴とする、請求項3から12のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項14】
前記動作位置は、コーティングチャンバ(2)内においてコーティング動作中のスクリーン(9)についての所期の位置であることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項15】
コーティングチャンバ外における前記位置は、本質的にスクリーン(9)に自由にアクセスできるメンテナンス位置であることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項16】
前記メンテナンス位置は、コーティングチャンバ(2)のアクセス用窓(5)付近の位置および/またはコーティングチャンバ(2)外における位置であることを特徴とする、請求項15に記載の保持装置(12)。
【請求項17】
前記保持装置(12)は、スクリーン(9)がコーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からコーティングチャンバ外における前記位置へと動かされる間に本質的に直線的な動きを実行することを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項18】
スクリーン(9)は、前記動作位置に位置する場合、コーティングチャンバ(2)の内部に装着されるカソード(8)を少なくとも部分的に囲むことを特徴とする、請求項1から17のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項19】
スクリーン(9)は、前記動作位置に装着される場合、冷却ユニット(14)と接触することを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の保持装置(12)。
【請求項20】
スクリーン(9)は、コーティングチャンバ(2)内における前記動作位置からメンテナンス位置に動かされると冷却ユニット(14)から離れることを特徴とする、請求項19に記載の保持装置(12)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate