スクリーンシャッタ構造
【課題】 中空部を設けて断熱性を高めたスクリーンシャッタ構造であって、且つ、十分な気密性を確保することができるスクリーンシャッタ構造を提供する。
【解決手段】 スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2又は間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造1において、前記開口部2又は間仕切部には、両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向して突条8が形成されており、両側突条8の間に収まる幅の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体61と、中蛇腹体61の両側にそれぞれ固定され、開口部又は間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、開口部又は間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であって、両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、突条の間の距離よりも長い幅に形成された気密性を有する外蛇腹体62と、を具備する遮蔽スクリーン6を備える。
【解決手段】 スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2又は間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造1において、前記開口部2又は間仕切部には、両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向して突条8が形成されており、両側突条8の間に収まる幅の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体61と、中蛇腹体61の両側にそれぞれ固定され、開口部又は間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、開口部又は間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であって、両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、突条の間の距離よりも長い幅に形成された気密性を有する外蛇腹体62と、を具備する遮蔽スクリーン6を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設置され、上下方向又は水平方向に伸縮して当該開口部又は間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば建物開口部における遮光・遮熱の目的で多数のプリーツを施して交互に逆方向に折曲して、上下方向に蛇腹状に伸縮自在とし、その折り畳みにより建物開口部を開閉自在としたスクリーンシャッタ装置が知られており、また建物の間仕切部においても、水平方向に伸縮して必要に応じて建物内部の空間を仕切ることができる例えばアコーディオンカーテンと呼ばれる間仕切りカーテンが知られている。
【0003】
また、図12に示すように、このような蛇腹状のスクリーン100を折り畳み部101の山側が接するように複数接合して厚さ方向に多層化し、伸長したときに中空部102が形成されることにより、断熱性を高めたスクリーンシャッタ装置103も提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、ロールアップ式のスクリーンシャッタにおいて、冷暖房効率を高めるために開口部の両側縦材に溝状のレールが設けられ、このレール内にスクリーンの両側端を挿入して気密性を確保するスクリーンシャッタ装置も提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−208044号公報
【特許文献2】実開平5−77495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、中空部102を設けて断熱性を高めたスクリーンシャッタ装置は下側に引き伸ばして開口部を遮蔽するときと、上方に引き上げて開口部を開放したときとで、スクリーンの厚さが異なるので、すなわち、遮蔽したときは薄く、開放したときは厚くなるので、開口部の両側縦材に溝状のレールを設けてもスクリーンに密着させることができず、十分な気密性を確保することができない。
【0007】
そこで、本発明は、中空部を設けて断熱性を高めたスクリーンシャッタ構造であって、且つ、十分な気密性を確保することができるスクリーンシャッタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、前記開口部又は前記間仕切部には、その両側縦材に鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、両側の前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴としている。
【0009】
ここで、「間仕切部」とは、建物の内部空間を2以上に仕切る部分をいい、この間仕切部に設けられるスクリーンシャッタ構造は、例えば間仕切壁により仕切られた1室をさらに2つに分割するものの他、収納部の扉や室内に出入りするための屋内ドアとして機能するものであってもよい。
【0010】
また、外蛇腹体は少なくとも遮蔽スクリーンの両側の間の通気を阻害する程度に気密性を有していることが望ましい。
【0011】
請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、水平方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、前記開口部又は前記間仕切部には、その上下の横材に水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載のスクリーンシャッタ構造は、前記突出部は、その側面に前記外蛇腹体の端部が密接する密接部が設けられたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の前記外蛇腹体が断熱性及び/又は遮光性を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のスクリーンシャッタ構造によると、中蛇腹体の両側にそれぞれ気密性を有する外蛇腹体が形成されているので、筒状の空気層を形成することができ断熱性に優れる。そして、遮蔽スクリーンを上方に引き上げて開口部又は間仕切部を開放したときには、中蛇腹体が折り畳まれることにより、この中蛇腹体の両側に固定された外蛇腹体は互いに離反し、遮蔽スクリーンを下方に引き下げて開口部又は間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体は互いに接近する。また、中蛇腹体の形状は開口部又は間仕切部の両側縦材にそれぞれ形成された突出部の間に収まる形状であって、外蛇腹体の幅は両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、突出部の間の距離よりも長い幅であるので、外蛇腹体の側端は中蛇腹体の側端よりも側方に突出している。下方に引き下げて開口部又は間仕切部を遮蔽したときに、両側の外蛇腹体が互いに接近することにより、これら外蛇腹体がその側端で、突出部を挟んだ状態で保持されるので、開口部又は間仕切部の両側縦材と遮蔽スクリーンの両側部との間で空気が移動する間隙を少なくすることができ、気密性を高めることができる。このようにスクリーンシャッタ構造の両側の間の気密性を高めて空気の流動を減らすことにより、より断熱性を高めて冷暖房効率を高めることができるとともに、特に建物の開口部に設けた場合には断湿性を高めて窓ガラスの結露を防止することができる。
【0015】
また、請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造も請求項1のものと、同様に、中蛇腹体の両側にそれぞれ気密性を有する外蛇腹体が形成されているので、筒状の空気層を形成することができ断熱性に優れる。そして、遮蔽スクリーンを水平方向に折り畳んで開口部又は間仕切部を開放したときには、中蛇腹体が折り畳まれることにより、この中蛇腹体の両側に固定された外蛇腹体は互いに離反し、遮蔽スクリーンを引き伸ばして開口部又は間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体は互いに接近する。また、中蛇腹体の形状は開口部又は間仕切部の上下の横材にそれぞれ形成された突出部の間に収まる形状であって、外蛇腹体の幅は上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、突出部の間の距離よりも長い幅であるので、外蛇腹体の上下端は中蛇腹体の上下端よりも上方及び下方に突出している。遮蔽スクリーンを水平方向に引き伸ばして開口部又は間仕切部を遮蔽したときに、両側の外蛇腹体が互いに接近することにより、これら外蛇腹体がその上下端で、突出部を挟んだ状態で保持されるので、開口部又は間仕切部の上下の横材と遮蔽スクリーンの上下の端部との間で空気が移動する間隙を少なくすることができ、気密性を高めることができる。このようにスクリーンシャッタ構造の両側の間の気密性を高めて空気の流動を減らすことにより、水平方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造であっても、より断熱性を高めて冷暖房効率を高めることができるとともに、特に建物の開口部に設けた場合には断湿性を高めて窓ガラスの結露を防止することができる。
【0016】
請求項3に記載のスクリーンシャッタ構造によると、突出部は、その側面に密接部が固定されているので、外蛇腹体がわずかに凹凸していても密接部がフィットすることができるので、より気密性を高めることができる。
【0017】
請求項4に記載のスクリーンシャッタ構造によると、建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の外蛇腹体が断熱性を有する場合は、遮蔽スクリーン内の空間に熱が入り込まず寄り高い断熱性を保持することができる。また、遮光性を有する場合は、遮光スクリーンシャッタとしての機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】開口部を遮蔽した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略鉛直断面図。
【図2】開口部を開放した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略鉛直断面図。
【図3】(A)は、伸長した状態の遮蔽スクリーンの形状を説明する図、(B)は縮退した状態の遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図4】開口部を遮蔽した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略水平断面図。
【図5】開口部を開放した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略水平断面図。
【図6】(A)は図4のA部分拡大図、(B)は図5のB部分拡大図
【図7】2つの蛇腹状シートを組み合わせて形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図8】3つの蛇腹状シートを組み合わせて形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図9】連続しない交互に逆方向に傾斜するシート体により形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図10】遮蔽スクリーンが水平方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造を上方から見た水平断面図。
【図11】2本の平行な突条からなる突出部を説明する水平断面図及びその一部拡大図。
【図12】従来のスクリーンシャッタ装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のスクリーンシャッタ構造1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。このスクリーンシャッタ構造1は、例えば建物の開口部2に設けられて、上下方向に伸縮して開口部2を開放及び遮蔽可能なものである。なお、本実施形態においては、建物の開口部2に設置されるスクリーンシャッタ構造1を例示して説明するが、スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2に限られず、建物の内部空間を仕切る間仕切部にも設置することができる。建物開口部2は上下一対の横材3bと両側縦材3aとを有する矩形の額縁3により構成される例えば窓又はドアである。図1に示すように、額縁3の屋外側には引き違い窓ガラス4が嵌められた窓枠5が形成されており、屋内側にスクリーンシャッタ構造1が形成されている。
【0020】
スクリーンシャッタ構造1は、開口部2を覆う遮蔽スクリーン6と、遮蔽スクリーン6を上下に伸縮させる滑車7と、遮蔽スクリーン6の両側縁に当接するように額縁3の両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ形成される1本の突条からなる突出部8と、を主要構成として形成されている。図1及び図3に示すように、遮蔽スクリーン6は、例えば樹脂製のシートであって、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した中蛇腹体61と、中蛇腹体61の折曲部分で屋内側及び屋外側に接合した蛇腹状の外蛇腹体62と、を備えている。また、遮蔽スクリーン6の下端には座板63が中蛇腹体61及び外蛇腹体62に固定されており、遮蔽スクリーン6で開口部2を覆ったときに下部に間隙ができることを防いでいる。屋内側及び屋外側の外蛇腹体62と中蛇腹体61とはそれぞれの折曲部分の山側同士が互いに当接するように接合されており、中蛇腹体61の折曲部分から隣接する折曲部分までの長さは、外蛇腹体62の折曲部分から隣接する折曲部分までの長さよりも長く形成されている。
【0021】
これにより、遮蔽スクリーン6を引き下げて開口部2を覆う状態にしたときに、図1及び図3(A)に示すように、外蛇腹体62は略平面状となるが、中蛇腹体61は折曲部分が広がるものの60度程の鋭角を維持し、中蛇腹体61の隣接する2辺と外蛇腹体62とにより構成される中空の略3角筒状を上下方向に連設した形状となる。また、遮蔽スクリーン6を引き上げて開口部2を開放したときには、図2及び図3(B)に示すように、中蛇腹体61及び外蛇腹体62がそれぞれ折曲部分で折り畳まれて、開口部2の上部に保持される。
【0022】
遮蔽スクリーン6は、図3(A)によく表わされているように、遮蔽スクリーン6を引き下げて開口部2を覆っているときには、中蛇腹体61の折曲部分の角度が広がって中蛇腹体61の各辺が傾斜することにより、屋内側の外蛇腹体62の折曲部分と屋外側の外蛇腹体62の折曲部分との間の距離イは接近する。また、遮蔽スクリーン6を引き上げて開口部2を開放しているときは、図3(B)に示すように、中蛇腹体61の折曲部分の角度が狭まって中蛇腹体61の各辺が水平に近づくことにより、屋内側の外蛇腹体62の折曲部分と屋外側の外蛇腹体62の折曲部分との間の距離ロが広がる。中蛇腹体61は額縁3の両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ形成される1本の突条からなる突出部8の間に収まる形状の蛇腹状に形成されており、外蛇腹体62の幅は両側縦材3aの間の距離よりも短く、且つ、突出部8の間の距離よりも長く形成されている。
【0023】
滑車7は、一端が座板63に固定された牽引紐9の他端側が固定されており、滑車7の回転によってこの牽引紐9を巻き取って座板63を上方に引き上げることにより、遮蔽スクリーン6を上方に折り畳みつつ引き上げるものである。なお、スクリーンシャッタ構造1の滑車7は電動でも手動でもよく、また、遮蔽スクリーン6を折り畳みつつ引き上げることができる構成であれば滑車7以外の構成であってもよい。
【0024】
突出部8は、図4から図6に示すように、額縁3の両側縦材3aの上端から下端まで鉛直方向に沿って突出しており水平断面が四角く形成されている。この突出部8は、屋内側及び屋外側の外蛇腹体62の側端の間に挟まれる位置に配置されており、開口部2を遮蔽したときに両側の外蛇腹体62の側端にそれぞれの側面が当接する形状である。突出部8の両側の側面には密接部10が固定されており、当接した外蛇腹体62の側端の形状にフィットするように変形する。この密接部10は例えば密に植わった繊毛により形成されており、この密接部10が外蛇腹体62の側端の形状にフィットして突出部8の側面と外蛇腹体62の側端との間に間隙ができるのを防いでいる。なお、密接部10はこれに限定されるものではなく、空気が透過することを抑制でき、外蛇腹体62の形状に応じて変形できるものであれば、例えば樹脂又はゴムなどの他の材料であってもよい。
【0025】
また、本実施形態においては突出部8は水平断面が四角い柱状に形成されているが、そのほかの形状であっても良く、また図11に示すように、突出部8は互いに間隔を開けて平行な2本の突条により形成されていてもよい。すなわち外蛇腹体62の側端と密接することができる側面を有した形状であれば、通気を抑制することができる。なお、図11においては、中蛇腹体61はその側縁が直線状に形成され突出部8に収まる幅に形成されているが、2本の突条と干渉しない形状であればこれに限定されるものではなく、中蛇腹体61の中間部の幅が例えば外蛇腹体62の幅と等しく形成されていてもよい。
【0026】
このように構成されるスクリーンシャッタ構造1は、図1に示すように、開口部2を遮蔽したときに、中蛇腹体61及び外蛇腹体62で構成される中空の略3角筒状体を上下方向に連設した形状であるので、内部に空気を保持することができ断熱性に優れる。また、図3(A)に示すように、遮蔽スクリーン6を下方に引き下げて開口部2を遮蔽したときには、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体62は互いに接近することとなる。これにより、図4及び図6(A)に示すように、外蛇腹体62はその側端が突出部8の側面に固定された密接部10に当接するので、遮蔽スクリーン6と額縁3の両側縦材3aとの間に空気が通り抜けることができる間隙ができることを抑制でき、スクリーンシャッタ構造1の屋内側と屋外側との間の気密性を高めることができる。
【0027】
これにより夏の暑い外気や冬の冷たい外気が屋内側に流入することがなく、高い断熱性を発揮して冷暖房効率を高めることができる。また、スクリーンシャッタ構造1の屋内側と屋外側との間の気密性を高めることにより、冬に屋内側の湿度の高い空気が窓ガラス4に直接触れることがないので、窓ガラス4の結露を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、開口部2を開放するときには、中蛇腹体61が折り畳まれることにより、図3(B)に示すように、この中蛇腹体61の屋内側と屋外側に固定された外蛇腹体62の折曲部分は互いに離反することになる。これにより図5及び図6(B)に示すように、外蛇腹体62はその側端が突出部8の側面から離れることになる。したがって、遮蔽スクリーン6と突出部8との間に摩擦力が発生することがなく、遮蔽スクリーン6をスムーズに引き上げることができる。
【0029】
なお、少なくとも屋外側の外蛇腹体62は断熱性を有することが好ましい。前述の通り、スクリーンシャッタ構造1は高い気密性を有し、屋外側の空気が直接屋内側に流入して屋外の気温を屋内に伝えることを防いでいるが、このように外蛇腹体62が断熱性を有することで、外気温が外蛇腹体62から中蛇腹体61に伝達されて屋内側に伝わることも抑制することができる。また、屋外側の外蛇腹体62として遮光性を有するものを選択することで、遮光スクリーンシャッタとしての機能を発揮することもできる。外蛇腹体62が断熱性や遮光性を有する構成としては、外蛇腹体62自体を断熱性や遮光性の高い不織布や樹脂シートで形成しても良く、また、外蛇腹体62に断熱性や遮光性を有する材料をコーティングしてもよい。
【0030】
また、遮蔽スクリーン6の形状は、上述のものに限定されるものではない。例えば図7に示すように、遮蔽スクリーン6を構成する中蛇腹体61は、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した第1蛇腹状シート61aと、同様に交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した第2蛇腹状シート61bと、を互いの折曲部分の山側で接合して形成し、菱形の筒状体を連設した形状に形成してもよい。この場合も中蛇腹体61の屋外側及び屋内側の折曲部分にそれぞれ外蛇腹体62を接合して形成した遮蔽スクリーン6とすることができる。このように形成したとしても、開口部2を遮蔽した場合には、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することで、外蛇腹体62は互いに接近し、その側端が突出部8を挟んで突出部8の側面に当接することにより気密性を高め、開口部2を開放する場合には、中蛇腹体61が折り畳まれることにより、外蛇腹体62は互いに離反して突出部8から離れるので、遮蔽スクリーン6をスムーズに引き上げることができる。
【0031】
なお、遮蔽スクリーン6の形状は図8に示すように、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した3以上の蛇腹状シート61cをその折曲部分の山側同士で順次接合して中蛇腹体61を形成してもよい。このように構成しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、中蛇腹体61は交互に逆方向に傾斜する形状であればよく、例えば図9に示すように、互いに連続しない交互に逆方向に傾斜するシート体61dにより蛇腹状に形成した中蛇腹体61であっても良く、この場合外蛇腹体62が接合されて、開口部2を覆うように伸長した場合に断面概略台形の筒状体を連設した形状であってもよい。中蛇腹体61及び外蛇腹体62は1枚のシートにより構成されるものに限定されず、中蛇腹体61と外蛇腹体62と組み合わせたときに、断熱性を有する遮蔽スクリーン6の形状となっていればよい。
【0033】
なお、上述のとおり、スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2に限られず、建物の内部空間を仕切る間仕切部にも設置することができる。すなわち、間仕切部の両側に突出部8を備える両側縦材3aを設けておき、この間仕切部を覆う遮蔽スクリーン6を設置することでスクリーンシャッタ構造1を構成することができる。このような間仕切部に設置されるスクリーンシャッタ構造1は、上下方向に伸縮して間仕切部を開放及び遮蔽可能となるので、例えば、広い部屋が必要な場合には間仕切部を開放し、2室必要な場合には間仕切部を遮蔽して部屋を仕切ることができ、建物の内部空間をフレキシブルに使用することができる。また、このスクリーンシャッタ構造を建物の収納部の扉や室内に出入りするための屋内ドアとして機能させることで高気密且つ高断熱の扉や屋内ドアとして機能させることができる。
【0034】
また、スクリーンシャッタ構造1としては、例えば建物の開口部2又は間仕切部に設けられるものであって、遮蔽スクリーン6が水平方向に伸縮して開口部2又は間仕切部を開放及び遮蔽可能なものであってもよい。このようなスクリーンシャッタ構造1としては、図10に示すように、例えば建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、この間仕切部の上下に設けられる横材3bに水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ突出部8が形成されており、この間仕切部を遮蔽可能な遮蔽スクリーン6が設置されたものがある。遮蔽スクリーン6の一方の側端は間仕切部の一方の縦材31に固定されている。そして、間仕切部の他方の縦材32には永久磁石の受部64が固定されており、遮蔽スクリーン6の他方の側端に間仕切部に沿って水平方向に移動可能に設けられた框65には、受部64に着脱自在な永久磁石の着脱部66が固定されている。遮蔽スクリーン6は前述の上下方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造1と同様に、突出部8の間に収まる幅の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体61と、中蛇腹体61の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、間仕切部を開放するときには折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、突出部8の間の距離よりも長い気密性を有する外蛇腹体62と、を具備している。
【0035】
このように構成されたスクリーンシャッタ構造1は、間仕切部を遮蔽するときには、図10(A)に示すように、框65を他方の縦材62まで移動させて受部64に着脱部66を固定して、間仕切部を遮蔽スクリーン6で覆い、間仕切部を開放するときには、図10(B)に示すように、他方の縦材32の受部64から着脱部66を外して框を一方の縦材31側に移動させる。
【0036】
これにより間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体61及び外蛇腹体62で構成される中空の略3角筒状体を水平方向に連設した形状となって、内部に空気を保持することができ断熱性に優れるとともに、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体62は互いに接近して上下に設けられた突出部8に当接して、遮蔽スクリーン6と上下の横材3bとの間に空気が通り抜けることができる間隙ができることを抑制でき、スクリーンシャッタ構造1の両側の間の気密性を高めることができる。
【0037】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るスクリーンシャッタ構造1は、建物の窓などの開口部2に目隠し・断熱・遮光・遮音などの目的で設置されるスクリーンシャッタ構造1又は建物の内部空間を仕切るために設置されるスクリーンシャッタ構造1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 スクリーンシャッタ構造
2 開口部
3a 両側縦材
6 遮蔽スクリーン
8 突出部
61 中蛇腹体
62 外蛇腹体
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設置され、上下方向又は水平方向に伸縮して当該開口部又は間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば建物開口部における遮光・遮熱の目的で多数のプリーツを施して交互に逆方向に折曲して、上下方向に蛇腹状に伸縮自在とし、その折り畳みにより建物開口部を開閉自在としたスクリーンシャッタ装置が知られており、また建物の間仕切部においても、水平方向に伸縮して必要に応じて建物内部の空間を仕切ることができる例えばアコーディオンカーテンと呼ばれる間仕切りカーテンが知られている。
【0003】
また、図12に示すように、このような蛇腹状のスクリーン100を折り畳み部101の山側が接するように複数接合して厚さ方向に多層化し、伸長したときに中空部102が形成されることにより、断熱性を高めたスクリーンシャッタ装置103も提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、ロールアップ式のスクリーンシャッタにおいて、冷暖房効率を高めるために開口部の両側縦材に溝状のレールが設けられ、このレール内にスクリーンの両側端を挿入して気密性を確保するスクリーンシャッタ装置も提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−208044号公報
【特許文献2】実開平5−77495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、中空部102を設けて断熱性を高めたスクリーンシャッタ装置は下側に引き伸ばして開口部を遮蔽するときと、上方に引き上げて開口部を開放したときとで、スクリーンの厚さが異なるので、すなわち、遮蔽したときは薄く、開放したときは厚くなるので、開口部の両側縦材に溝状のレールを設けてもスクリーンに密着させることができず、十分な気密性を確保することができない。
【0007】
そこで、本発明は、中空部を設けて断熱性を高めたスクリーンシャッタ構造であって、且つ、十分な気密性を確保することができるスクリーンシャッタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、前記開口部又は前記間仕切部には、その両側縦材に鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、両側の前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴としている。
【0009】
ここで、「間仕切部」とは、建物の内部空間を2以上に仕切る部分をいい、この間仕切部に設けられるスクリーンシャッタ構造は、例えば間仕切壁により仕切られた1室をさらに2つに分割するものの他、収納部の扉や室内に出入りするための屋内ドアとして機能するものであってもよい。
【0010】
また、外蛇腹体は少なくとも遮蔽スクリーンの両側の間の通気を阻害する程度に気密性を有していることが望ましい。
【0011】
請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、水平方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、前記開口部又は前記間仕切部には、その上下の横材に水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載のスクリーンシャッタ構造は、前記突出部は、その側面に前記外蛇腹体の端部が密接する密接部が設けられたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のスクリーンシャッタ構造は、建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の前記外蛇腹体が断熱性及び/又は遮光性を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のスクリーンシャッタ構造によると、中蛇腹体の両側にそれぞれ気密性を有する外蛇腹体が形成されているので、筒状の空気層を形成することができ断熱性に優れる。そして、遮蔽スクリーンを上方に引き上げて開口部又は間仕切部を開放したときには、中蛇腹体が折り畳まれることにより、この中蛇腹体の両側に固定された外蛇腹体は互いに離反し、遮蔽スクリーンを下方に引き下げて開口部又は間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体は互いに接近する。また、中蛇腹体の形状は開口部又は間仕切部の両側縦材にそれぞれ形成された突出部の間に収まる形状であって、外蛇腹体の幅は両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、突出部の間の距離よりも長い幅であるので、外蛇腹体の側端は中蛇腹体の側端よりも側方に突出している。下方に引き下げて開口部又は間仕切部を遮蔽したときに、両側の外蛇腹体が互いに接近することにより、これら外蛇腹体がその側端で、突出部を挟んだ状態で保持されるので、開口部又は間仕切部の両側縦材と遮蔽スクリーンの両側部との間で空気が移動する間隙を少なくすることができ、気密性を高めることができる。このようにスクリーンシャッタ構造の両側の間の気密性を高めて空気の流動を減らすことにより、より断熱性を高めて冷暖房効率を高めることができるとともに、特に建物の開口部に設けた場合には断湿性を高めて窓ガラスの結露を防止することができる。
【0015】
また、請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造も請求項1のものと、同様に、中蛇腹体の両側にそれぞれ気密性を有する外蛇腹体が形成されているので、筒状の空気層を形成することができ断熱性に優れる。そして、遮蔽スクリーンを水平方向に折り畳んで開口部又は間仕切部を開放したときには、中蛇腹体が折り畳まれることにより、この中蛇腹体の両側に固定された外蛇腹体は互いに離反し、遮蔽スクリーンを引き伸ばして開口部又は間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体は互いに接近する。また、中蛇腹体の形状は開口部又は間仕切部の上下の横材にそれぞれ形成された突出部の間に収まる形状であって、外蛇腹体の幅は上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、突出部の間の距離よりも長い幅であるので、外蛇腹体の上下端は中蛇腹体の上下端よりも上方及び下方に突出している。遮蔽スクリーンを水平方向に引き伸ばして開口部又は間仕切部を遮蔽したときに、両側の外蛇腹体が互いに接近することにより、これら外蛇腹体がその上下端で、突出部を挟んだ状態で保持されるので、開口部又は間仕切部の上下の横材と遮蔽スクリーンの上下の端部との間で空気が移動する間隙を少なくすることができ、気密性を高めることができる。このようにスクリーンシャッタ構造の両側の間の気密性を高めて空気の流動を減らすことにより、水平方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造であっても、より断熱性を高めて冷暖房効率を高めることができるとともに、特に建物の開口部に設けた場合には断湿性を高めて窓ガラスの結露を防止することができる。
【0016】
請求項3に記載のスクリーンシャッタ構造によると、突出部は、その側面に密接部が固定されているので、外蛇腹体がわずかに凹凸していても密接部がフィットすることができるので、より気密性を高めることができる。
【0017】
請求項4に記載のスクリーンシャッタ構造によると、建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の外蛇腹体が断熱性を有する場合は、遮蔽スクリーン内の空間に熱が入り込まず寄り高い断熱性を保持することができる。また、遮光性を有する場合は、遮光スクリーンシャッタとしての機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】開口部を遮蔽した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略鉛直断面図。
【図2】開口部を開放した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略鉛直断面図。
【図3】(A)は、伸長した状態の遮蔽スクリーンの形状を説明する図、(B)は縮退した状態の遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図4】開口部を遮蔽した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略水平断面図。
【図5】開口部を開放した状態のスクリーンシャッタ構造を示す省略水平断面図。
【図6】(A)は図4のA部分拡大図、(B)は図5のB部分拡大図
【図7】2つの蛇腹状シートを組み合わせて形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図8】3つの蛇腹状シートを組み合わせて形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図9】連続しない交互に逆方向に傾斜するシート体により形成した中蛇腹体を有する遮蔽スクリーンの形状を説明する図。
【図10】遮蔽スクリーンが水平方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造を上方から見た水平断面図。
【図11】2本の平行な突条からなる突出部を説明する水平断面図及びその一部拡大図。
【図12】従来のスクリーンシャッタ装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のスクリーンシャッタ構造1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。このスクリーンシャッタ構造1は、例えば建物の開口部2に設けられて、上下方向に伸縮して開口部2を開放及び遮蔽可能なものである。なお、本実施形態においては、建物の開口部2に設置されるスクリーンシャッタ構造1を例示して説明するが、スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2に限られず、建物の内部空間を仕切る間仕切部にも設置することができる。建物開口部2は上下一対の横材3bと両側縦材3aとを有する矩形の額縁3により構成される例えば窓又はドアである。図1に示すように、額縁3の屋外側には引き違い窓ガラス4が嵌められた窓枠5が形成されており、屋内側にスクリーンシャッタ構造1が形成されている。
【0020】
スクリーンシャッタ構造1は、開口部2を覆う遮蔽スクリーン6と、遮蔽スクリーン6を上下に伸縮させる滑車7と、遮蔽スクリーン6の両側縁に当接するように額縁3の両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ形成される1本の突条からなる突出部8と、を主要構成として形成されている。図1及び図3に示すように、遮蔽スクリーン6は、例えば樹脂製のシートであって、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した中蛇腹体61と、中蛇腹体61の折曲部分で屋内側及び屋外側に接合した蛇腹状の外蛇腹体62と、を備えている。また、遮蔽スクリーン6の下端には座板63が中蛇腹体61及び外蛇腹体62に固定されており、遮蔽スクリーン6で開口部2を覆ったときに下部に間隙ができることを防いでいる。屋内側及び屋外側の外蛇腹体62と中蛇腹体61とはそれぞれの折曲部分の山側同士が互いに当接するように接合されており、中蛇腹体61の折曲部分から隣接する折曲部分までの長さは、外蛇腹体62の折曲部分から隣接する折曲部分までの長さよりも長く形成されている。
【0021】
これにより、遮蔽スクリーン6を引き下げて開口部2を覆う状態にしたときに、図1及び図3(A)に示すように、外蛇腹体62は略平面状となるが、中蛇腹体61は折曲部分が広がるものの60度程の鋭角を維持し、中蛇腹体61の隣接する2辺と外蛇腹体62とにより構成される中空の略3角筒状を上下方向に連設した形状となる。また、遮蔽スクリーン6を引き上げて開口部2を開放したときには、図2及び図3(B)に示すように、中蛇腹体61及び外蛇腹体62がそれぞれ折曲部分で折り畳まれて、開口部2の上部に保持される。
【0022】
遮蔽スクリーン6は、図3(A)によく表わされているように、遮蔽スクリーン6を引き下げて開口部2を覆っているときには、中蛇腹体61の折曲部分の角度が広がって中蛇腹体61の各辺が傾斜することにより、屋内側の外蛇腹体62の折曲部分と屋外側の外蛇腹体62の折曲部分との間の距離イは接近する。また、遮蔽スクリーン6を引き上げて開口部2を開放しているときは、図3(B)に示すように、中蛇腹体61の折曲部分の角度が狭まって中蛇腹体61の各辺が水平に近づくことにより、屋内側の外蛇腹体62の折曲部分と屋外側の外蛇腹体62の折曲部分との間の距離ロが広がる。中蛇腹体61は額縁3の両側縦材3aに鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ形成される1本の突条からなる突出部8の間に収まる形状の蛇腹状に形成されており、外蛇腹体62の幅は両側縦材3aの間の距離よりも短く、且つ、突出部8の間の距離よりも長く形成されている。
【0023】
滑車7は、一端が座板63に固定された牽引紐9の他端側が固定されており、滑車7の回転によってこの牽引紐9を巻き取って座板63を上方に引き上げることにより、遮蔽スクリーン6を上方に折り畳みつつ引き上げるものである。なお、スクリーンシャッタ構造1の滑車7は電動でも手動でもよく、また、遮蔽スクリーン6を折り畳みつつ引き上げることができる構成であれば滑車7以外の構成であってもよい。
【0024】
突出部8は、図4から図6に示すように、額縁3の両側縦材3aの上端から下端まで鉛直方向に沿って突出しており水平断面が四角く形成されている。この突出部8は、屋内側及び屋外側の外蛇腹体62の側端の間に挟まれる位置に配置されており、開口部2を遮蔽したときに両側の外蛇腹体62の側端にそれぞれの側面が当接する形状である。突出部8の両側の側面には密接部10が固定されており、当接した外蛇腹体62の側端の形状にフィットするように変形する。この密接部10は例えば密に植わった繊毛により形成されており、この密接部10が外蛇腹体62の側端の形状にフィットして突出部8の側面と外蛇腹体62の側端との間に間隙ができるのを防いでいる。なお、密接部10はこれに限定されるものではなく、空気が透過することを抑制でき、外蛇腹体62の形状に応じて変形できるものであれば、例えば樹脂又はゴムなどの他の材料であってもよい。
【0025】
また、本実施形態においては突出部8は水平断面が四角い柱状に形成されているが、そのほかの形状であっても良く、また図11に示すように、突出部8は互いに間隔を開けて平行な2本の突条により形成されていてもよい。すなわち外蛇腹体62の側端と密接することができる側面を有した形状であれば、通気を抑制することができる。なお、図11においては、中蛇腹体61はその側縁が直線状に形成され突出部8に収まる幅に形成されているが、2本の突条と干渉しない形状であればこれに限定されるものではなく、中蛇腹体61の中間部の幅が例えば外蛇腹体62の幅と等しく形成されていてもよい。
【0026】
このように構成されるスクリーンシャッタ構造1は、図1に示すように、開口部2を遮蔽したときに、中蛇腹体61及び外蛇腹体62で構成される中空の略3角筒状体を上下方向に連設した形状であるので、内部に空気を保持することができ断熱性に優れる。また、図3(A)に示すように、遮蔽スクリーン6を下方に引き下げて開口部2を遮蔽したときには、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体62は互いに接近することとなる。これにより、図4及び図6(A)に示すように、外蛇腹体62はその側端が突出部8の側面に固定された密接部10に当接するので、遮蔽スクリーン6と額縁3の両側縦材3aとの間に空気が通り抜けることができる間隙ができることを抑制でき、スクリーンシャッタ構造1の屋内側と屋外側との間の気密性を高めることができる。
【0027】
これにより夏の暑い外気や冬の冷たい外気が屋内側に流入することがなく、高い断熱性を発揮して冷暖房効率を高めることができる。また、スクリーンシャッタ構造1の屋内側と屋外側との間の気密性を高めることにより、冬に屋内側の湿度の高い空気が窓ガラス4に直接触れることがないので、窓ガラス4の結露を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、開口部2を開放するときには、中蛇腹体61が折り畳まれることにより、図3(B)に示すように、この中蛇腹体61の屋内側と屋外側に固定された外蛇腹体62の折曲部分は互いに離反することになる。これにより図5及び図6(B)に示すように、外蛇腹体62はその側端が突出部8の側面から離れることになる。したがって、遮蔽スクリーン6と突出部8との間に摩擦力が発生することがなく、遮蔽スクリーン6をスムーズに引き上げることができる。
【0029】
なお、少なくとも屋外側の外蛇腹体62は断熱性を有することが好ましい。前述の通り、スクリーンシャッタ構造1は高い気密性を有し、屋外側の空気が直接屋内側に流入して屋外の気温を屋内に伝えることを防いでいるが、このように外蛇腹体62が断熱性を有することで、外気温が外蛇腹体62から中蛇腹体61に伝達されて屋内側に伝わることも抑制することができる。また、屋外側の外蛇腹体62として遮光性を有するものを選択することで、遮光スクリーンシャッタとしての機能を発揮することもできる。外蛇腹体62が断熱性や遮光性を有する構成としては、外蛇腹体62自体を断熱性や遮光性の高い不織布や樹脂シートで形成しても良く、また、外蛇腹体62に断熱性や遮光性を有する材料をコーティングしてもよい。
【0030】
また、遮蔽スクリーン6の形状は、上述のものに限定されるものではない。例えば図7に示すように、遮蔽スクリーン6を構成する中蛇腹体61は、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した第1蛇腹状シート61aと、同様に交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した第2蛇腹状シート61bと、を互いの折曲部分の山側で接合して形成し、菱形の筒状体を連設した形状に形成してもよい。この場合も中蛇腹体61の屋外側及び屋内側の折曲部分にそれぞれ外蛇腹体62を接合して形成した遮蔽スクリーン6とすることができる。このように形成したとしても、開口部2を遮蔽した場合には、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することで、外蛇腹体62は互いに接近し、その側端が突出部8を挟んで突出部8の側面に当接することにより気密性を高め、開口部2を開放する場合には、中蛇腹体61が折り畳まれることにより、外蛇腹体62は互いに離反して突出部8から離れるので、遮蔽スクリーン6をスムーズに引き上げることができる。
【0031】
なお、遮蔽スクリーン6の形状は図8に示すように、交互に逆方向に折曲して上下方向に伸縮自在な蛇腹状に形成した3以上の蛇腹状シート61cをその折曲部分の山側同士で順次接合して中蛇腹体61を形成してもよい。このように構成しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、中蛇腹体61は交互に逆方向に傾斜する形状であればよく、例えば図9に示すように、互いに連続しない交互に逆方向に傾斜するシート体61dにより蛇腹状に形成した中蛇腹体61であっても良く、この場合外蛇腹体62が接合されて、開口部2を覆うように伸長した場合に断面概略台形の筒状体を連設した形状であってもよい。中蛇腹体61及び外蛇腹体62は1枚のシートにより構成されるものに限定されず、中蛇腹体61と外蛇腹体62と組み合わせたときに、断熱性を有する遮蔽スクリーン6の形状となっていればよい。
【0033】
なお、上述のとおり、スクリーンシャッタ構造1は、建物の開口部2に限られず、建物の内部空間を仕切る間仕切部にも設置することができる。すなわち、間仕切部の両側に突出部8を備える両側縦材3aを設けておき、この間仕切部を覆う遮蔽スクリーン6を設置することでスクリーンシャッタ構造1を構成することができる。このような間仕切部に設置されるスクリーンシャッタ構造1は、上下方向に伸縮して間仕切部を開放及び遮蔽可能となるので、例えば、広い部屋が必要な場合には間仕切部を開放し、2室必要な場合には間仕切部を遮蔽して部屋を仕切ることができ、建物の内部空間をフレキシブルに使用することができる。また、このスクリーンシャッタ構造を建物の収納部の扉や室内に出入りするための屋内ドアとして機能させることで高気密且つ高断熱の扉や屋内ドアとして機能させることができる。
【0034】
また、スクリーンシャッタ構造1としては、例えば建物の開口部2又は間仕切部に設けられるものであって、遮蔽スクリーン6が水平方向に伸縮して開口部2又は間仕切部を開放及び遮蔽可能なものであってもよい。このようなスクリーンシャッタ構造1としては、図10に示すように、例えば建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、この間仕切部の上下に設けられる横材3bに水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ突出部8が形成されており、この間仕切部を遮蔽可能な遮蔽スクリーン6が設置されたものがある。遮蔽スクリーン6の一方の側端は間仕切部の一方の縦材31に固定されている。そして、間仕切部の他方の縦材32には永久磁石の受部64が固定されており、遮蔽スクリーン6の他方の側端に間仕切部に沿って水平方向に移動可能に設けられた框65には、受部64に着脱自在な永久磁石の着脱部66が固定されている。遮蔽スクリーン6は前述の上下方向に伸縮するスクリーンシャッタ構造1と同様に、突出部8の間に収まる幅の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体61と、中蛇腹体61の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、間仕切部を開放するときには折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、突出部8の間の距離よりも長い気密性を有する外蛇腹体62と、を具備している。
【0035】
このように構成されたスクリーンシャッタ構造1は、間仕切部を遮蔽するときには、図10(A)に示すように、框65を他方の縦材62まで移動させて受部64に着脱部66を固定して、間仕切部を遮蔽スクリーン6で覆い、間仕切部を開放するときには、図10(B)に示すように、他方の縦材32の受部64から着脱部66を外して框を一方の縦材31側に移動させる。
【0036】
これにより間仕切部を遮蔽したときには、中蛇腹体61及び外蛇腹体62で構成される中空の略3角筒状体を水平方向に連設した形状となって、内部に空気を保持することができ断熱性に優れるとともに、中蛇腹体61が展開しつつ伸長することにより、外蛇腹体62は互いに接近して上下に設けられた突出部8に当接して、遮蔽スクリーン6と上下の横材3bとの間に空気が通り抜けることができる間隙ができることを抑制でき、スクリーンシャッタ構造1の両側の間の気密性を高めることができる。
【0037】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るスクリーンシャッタ構造1は、建物の窓などの開口部2に目隠し・断熱・遮光・遮音などの目的で設置されるスクリーンシャッタ構造1又は建物の内部空間を仕切るために設置されるスクリーンシャッタ構造1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 スクリーンシャッタ構造
2 開口部
3a 両側縦材
6 遮蔽スクリーン
8 突出部
61 中蛇腹体
62 外蛇腹体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、
前記開口部又は前記間仕切部には、その両側縦材に鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、
両側の前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴とするスクリーンシャッタ構造。
【請求項2】
建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、水平方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、
前記開口部又は前記間仕切部には、その上下の横材に水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、
前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴とするスクリーンシャッタ構造。
【請求項3】
前記突出部は、その側面に前記外蛇腹体の端部が密接する密接部が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造。
【請求項4】
建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の前記外蛇腹体が断熱性及び/又は遮光性を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクリーンシャッタ構造。
【請求項1】
建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、上下方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、
前記開口部又は前記間仕切部には、その両側縦材に鉛直方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、
両側の前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記両側縦材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴とするスクリーンシャッタ構造。
【請求項2】
建物の開口部又は建物の内部空間を仕切る間仕切部に設けられ、水平方向に伸縮して当該開口部又は当該間仕切部を開放及び遮蔽可能なスクリーンシャッタ構造において、
前記開口部又は前記間仕切部には、その上下の横材に水平方向に沿って互いに対向してそれぞれ1以上の突条からなる突出部が形成されており、
前記突出部の間に収まる形状の蛇腹状に形成された1又は複数層の中蛇腹体と、該中蛇腹体の両側の折曲部分にそれぞれ固定され、前記開口部又は前記間仕切部を遮蔽するときに略平面状で、前記開口部又は前記間仕切部を開放するときに折り重ねられる蛇腹状であり、その幅は前記上下の横材の間の距離よりも短く、且つ、前記突出部の間の距離よりも長い外蛇腹体と、を具備する遮蔽スクリーンを備えることを特徴とするスクリーンシャッタ構造。
【請求項3】
前記突出部は、その側面に前記外蛇腹体の端部が密接する密接部が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクリーンシャッタ構造。
【請求項4】
建物の開口部に設けられるスクリーンシャッタ構造であって、少なくとも屋外側の前記外蛇腹体が断熱性及び/又は遮光性を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクリーンシャッタ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−87534(P2013−87534A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230351(P2011−230351)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
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