説明

スクリーンマスクのプリセット装置およびスクリーン印刷方法

【課題】 スクリーン印刷装置におけるスクリーンマスクの迅速容易な交換を可能にするスクリーンマスクのプリセット装置を提供する。
【解決手段】 スクリーンマスク50を保持するスクリーン枠52をスクリーン枠保持部材54に位置決め固定するためのスクリーンマスクのプリセット装置1であって、スクリーン枠52およびスクリーン枠保持部材54を互いに対向するようにそれぞれ支持する第1の支持手段20および第2の支持手段30と、第1の支持手段20に支持されたスクリーン枠52に設けられたスクリーンマスク50の位置検出用マーク50bを撮像する撮像手段40と、撮像手段40により撮像された画像データを表示する表示手段72と、表示された位置検出用マーク50bが画面上の所定位置となるように、第1の支持手段20を移動可能な位置調整手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置で使用するスクリーンマスクの位置決めをスクリーン印刷装置への装着前に行うためのスクリーンマスクのプリセット装置およびスクリーン枠保持部材に関し、更に、スクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池基板等のワークの表面に導電性ペースト等の印刷材料をパターン形成する装置として、従来からスクリーン印刷装置が知られている。スクリーン印刷装置は、一般に、所定のパターン孔を有するスクリーンマスクを保持するスクリーン枠が装着され、スクリーン枠の下方に配置されたワークに対して、スクリーンマスクの上面に供給された印刷材料をスキージの作動により押し込み充填して、ワークに対するパターン形成を行う。
【0003】
上述したスクリーンマスクは、張力を作用させた状態でスクリーン枠に保持されることから、スクリーン枠にはねじれや歪み等の変形を生じる場合がある。また、スクリーン枠内におけるスクリーンマスクのパターン孔の位置は必ずしも一定ではなく、通常はスクリーン枠によってばらつきが生じる。これらの理由から、スクリーン印刷装置にスクリーン枠を正しく装着しても、ワークとパターン孔との間に位置ずれを生じるおそれがあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、装着されたスクリーンマスクのパターン孔を下方に配置したビデオカメラで撮影し、モニタで確認しながらスクリーン枠の位置合わせを手動で行うことができるスクリーン印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−240124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、スクリーン枠の位置合わせは、通常はX軸方向、Y軸方向およびθ軸方向の微調整をそれぞれ徐々に繰り返しながら行う必要があるため、従来のスクリーン印刷装置は、スクリーンマスクを交換した後の位置合わせに長時間を要するおそれがあった。特に、スクリーン印刷装置が一連の製造ラインに組み込まれる場合には、スクリーンマスクの位置合わせが完了するまでライン全体を停止しなければならず、生産性が低下するという問題があった。また、上記特許文献1の構成のようにスクリーン枠の下方にビデオカメラを配置すると、印刷後のスクリーンマスクの裏面側を清掃する際に障害になるおそれがあり、作業性が低下するという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、スクリーン印刷装置におけるスクリーンマスクの迅速容易な交換を可能にするスクリーンマスクのプリセット装置、スクリーン枠保持部材およびスクリーン印刷方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、スクリーンマスクを保持するスクリーン枠をスクリーン枠保持部材に位置決め固定するためのスクリーンマスクのプリセット装置であって、前記スクリーン枠およびスクリーン枠保持部材を互いに対向するようにそれぞれ支持する第1の支持手段および第2の支持手段と、前記第1の支持手段に支持された前記スクリーン枠に設けられたスクリーンマスクの位置検出用マークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像データを表示する表示手段と、表示された前記位置検出用マークが画面上の所定位置となるように、前記第1の支持手段および第2の支持手段の少なくとも一方を移動可能な位置調整手段とを備えるスクリーンマスクのプリセット装置により達成される。
【0009】
また、本発明の前記目的は、前記スクリーンマスクのプリセット装置に使用されるスクリーン枠保持部材であって、前記スクリーン枠を保持する枠本体と、前記スクリーン枠を前記枠本体に固定する締結手段とを備えるスクリーン枠保持部材により達成される。
【0010】
また、本発明の前記目的は、前記スクリーンマスクのプリセット装置を用いたスクリーン印刷方法であって、前記スクリーンマスクのプリセット装置により前記スクリーン枠保持部材に前記スクリーン枠を位置決め固定するステップと、前記第2の支持手段と同様の構成を有する装着手段を備えるスクリーン印刷装置の前記装着手段に前記スクリーン枠保持部材を装着するステップと、装着された前記スクリーン枠保持部材に設けられたスクリーンマスクを用いてワークにスクリーン印刷を施すステップとを備えるスクリーン印刷方法により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スクリーン印刷装置におけるスクリーンマスクの迅速容易な交換を可能にするスクリーンマスクのプリセット装置、スクリーン枠保持部材およびスクリーン印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスクリーンマスクのプリセット装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すスクリーンマスクのプリセット装置の一部側面図である。
【図3】図1に示すスクリーンマスクのプリセット装置で使用されるスクリーン枠保持部材の一例を示す平面図である。
【図4】図1に示すスクリーンマスクのプリセット装置の使用方法を説明するための要部断面図である。
【図5】図1に示すスクリーンマスクのプリセット装置を用いたスクリーン印刷方法を実施するためのスクリーン印刷装置の一例を示す概略平面図である。
【図6】図5に示すスクリーン印刷装置の要部側面図である。
【図7】図1に示すスクリーンマスクのプリセット装置で使用されるスクリーン枠保持部材の他の例を示す側面図である。
【図8】図7に示すスクリーン枠保持部材にスクリーン枠を固定する方法を説明するための要部断面図である。
【図9】図7に示すスクリーン枠保持部材の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスクリーンマスクのプリセット装置の概略構成を示す正面図である。図1に示すように、スクリーンマスクのプリセット装置1は、ベース2に立設された複数の支柱4にブラケット4aを介して取り付けられた位置調整装置10を備えている。位置調整装置10は、下から順に、X軸テーブル12、Y軸テーブル14、Z軸テーブル16、θ軸テーブル18および支持台20が段積み状に配置されて構成されている。各テーブルにはハンドル12a,14a,16aおよび18aが設けられ、水平方向であるX軸方向およびY方向、垂直方向であるZ軸方向、並びに水平回転方向であるθ軸方向に支持台20を移動させることができ、クランプねじ(図示せず)の操作により任意の位置で固定することができる。位置調整手段10の構成は、必ずしも本実施形態のものに限定されず、公知の各種手動ステージや電動ステージ等を使用することができる。
【0014】
支持台20の上面には、固定片22および移動片24から構成されるクランプが設けられている。スクリーンマスク50を保持するスクリーン枠52は、スクリーンマスク50が下方となるように支持台20に載置され、固定片22および移動片24により挟持されて、支持台20の上面に固定される。支持台20の上方には、スクリーン枠保持部材54を支持する保持部材支持部30が設けられている。
【0015】
図2は、図1に示す保持部材支持部30の近傍を矢示A方向に見た一部側面図である。図1および図2に示すように、保持部材支持部30は、支柱4の上端に設けられた天板6の下面に固定された一対のガイド部材32,32と、ガイド部材32,32に沿って案内されたスクリーン枠保持部材54の先端面と当接する当接片34と、スクリーン枠保持部材54を一対のガイド部材32,32間に固定する押圧クランプ36とを備えている。
【0016】
一対のガイド部材32,32は、スクリーン枠保持部材54の両側部を支持する切欠部32a,32aを有している。切欠部32aは、スクリーン枠保持部材54の下面側が摺動する水平部32bと、スクリーン枠保持部材54の上縁角部と当接するテーパ部32cとを有している。押圧クランプ36は、一方のガイド部材32に設けられ、手動または電動で水平方向に進退可能な押圧片36aを備えており、押圧片36aと他方のガイド部材32との間でスクリーン枠保持部材54を挟持できるように構成されている。押圧片36aは、スクリーン枠保持部材54の上縁角部と当接するテーパ部36cを有している。押圧クランプ36は、スクリーン枠保持部材54の側部を部分的に押圧可能であることが好ましく、本実施形態では2つの押圧クランプ36が互いに間隔をあけて配置されている。
【0017】
また、ベース2の上面には、位置調整装置10に形成された空間部を介して、支持台20に載置されたスクリーンマスク50を撮像する撮像装置40が設けられている。撮像装置40は、例えばCCDカメラからなり、本実施形態ではスクリーンマスク50の2か所を同時に撮像できるように2個配置されている。各撮像装置40の直上には、LED等のスポット照明を行う照明装置42が配置されている。照明装置42は、天板6にブラケット44を介して取り付けられている。ブラケット44は、図2に示すように、ヒンジ部44aにおいて回動可能とされており、把持部44bを持って矢示方向に引き起こすことにより、破線で示すように天板6の上方位置から照明装置42を退避させて、後述するスクリーン枠52とスクリーン枠保持部材54との締結作業を容易にすることができる。撮像装置40による撮像は操作盤70の操作により行うことができ、撮像装置40により撮像された画像データは、表示部72にリアルタイムで画面表示される。
【0018】
上記の構成を備えるスクリーンマスクのプリセット装置1は、スクリーンマスク50を備えるスクリーン枠52を、スクリーン枠保持部材54に位置決め固定することができる。本実施形態のスクリーン枠保持部材54は、図3に平面図で示すように、外縁が矩形状に形成された平板枠からなる枠本体54aに複数の貫通孔54bが形成されて構成されている。枠本体54aは、スクリーン枠52の全体を搭載できるように、スクリーン枠52の枠幅よりも大きな枠幅を有することが好ましく、これによって、スクリーン枠52をスクリーン枠保持部材54に対して強固に固定できると共に、スクリーン枠52の補強効果を高めることができる。
【0019】
貫通孔54bは、スクリーン枠52に複数形成されたねじ孔に対応して設けられており、大きさや形状が異なる複数種類のスクリーン枠52を取り付け可能となるように、多数形成されていることが好ましい。図3に示すスクリーン枠保持部材54は、大小2種類のスクリーン枠52を取り付けることができ、裏面側に配置された小サイズのスクリーン枠52が、ワッシャ62を介してボルト60により取り付けられた状態を示している。スクリーン枠52に設けられたスクリーンマスク50は、後述するワークに対する所定のパターン形成を行うためのパターン孔50aと、撮像装置40により撮像して位置合わせに用いられる位置検出用マーク50bとが設けられており、これらパターン孔50aおよび位置検出用マーク50bは、枠本体54aの中央開口を介して露出している。スクリーン枠保持部材54は、軽量で高剛性であることが好ましく、例えば、アルミニウム合金等の金属材料により形成することができる。
【0020】
次に、上記の構成を備えるスクリーンマスクのプリセット装置1を用いて、スクリーン枠52をスクリーン枠保持部材54に位置決め固定する方法を説明する。まず、図1に示すように、スクリーン枠52をスクリーンマスク50が下方となるように支持台20に載置して固定すると共に、スクリーン枠保持部材54を保持部材支持部30のガイド部材32に矢示A方向に挿入し、スクリーン枠保持部材54の先端面を当接片34に当接させた状態で、押圧クランプ36によりガイド部材32に固定する。こうして、スクリーン枠52およびスクリーン枠保持部材54が、互いに対向するように配置される。
【0021】
ついで、移動調整装置10のZ軸テーブル16を作動させて、撮像装置40によるスクリーンマスク50のピントが合うように、スクリーン枠52とスクリーン枠保持部材54との近接位置まで支持台20を上昇させる。そして、表示部72を見ながら位置調整装置10のX軸テーブル12、Y軸テーブル14およびθ軸テーブル18を操作し、2つの位置検出用マーク50bがいずれも画面上の所定位置となるように支持台20を移動させる。この操作により、スクリーン枠52は、例えば図4(a)に断面図で示す位置から矢示方向に移動して、図4(b)に示す状態になる。この後、図4(c)に示すように、スクリーン枠保持部材54の上方から貫通孔54bにワッシャ62を介してボルト60(或いはフランジボルト)を挿入し、スクリーン枠保持部材54の下方に位置決めされたスクリーン枠52のねじ孔52aに螺合することにより、スクリーン枠52がスクリーン枠保持部材54に固定される。
【0022】
上述したように、スクリーン枠52に対するスクリーンマスク50のパターン孔50aの位置は、スクリーン枠52によってばらつきを生じる場合があり、また、スクリーン枠52自体もねじれや変形などを生じる場合があるため、スクリーン枠52を基準とする場合には、パターン孔50aの位置は必ずしも一定にはならない。これに対し、本実施形態のスクリーンマスクのプリセット装置1によれば、スクリーン枠保持部材54に対するパターン孔50aの位置合わせを行うことができるため、スクリーン枠保持部材54を基準とするパターン孔50aの位置を一定に維持することができる。また、スクリーン枠52自体もスクリーン枠保持部材54に締結されることで補強され、スクリーン枠52のねじれ等によるパターン孔50aの位置ずれの問題も解消される。したがって、スクリーンマスク50のパターン孔50aの位置が正確なスクリーン枠保持部材54を得ることができる。
【0023】
本実施形態においては、スクリーン枠保持部材54を固定した状態でスクリーン枠52を移動可能に構成することで、スクリーン枠保持部材54に対するスクリーン枠52の位置決めを可能にしているが、スクリーン枠52を固定した状態で、スクリーン枠保持部材54を支持する支持手段を移動可能に構成することも可能である。この場合は、スクリーン枠保持部材54の支持手段に撮像装置を設けて、撮像装置がスクリーン枠保持部材54と一体的に移動するように構成することで、本実施形態と同様に、スクリーン枠52をスクリーン枠保持部材54に位置決め固定することができる。
【0024】
スクリーン枠保持部材54の貫通孔54bは、スクリーン枠保持部材54に対するスクリーン枠52の取付位置や向きを調整できるように、図4に示すようにスクリーン枠52のねじ孔52aに螺合されるボルト60の径よりも大径となるように形成されている。スクリーン枠52とスクリーン枠保持部材54との締結は、ボルト60に限定されるものではなく、例えば、磁石、クリップ、リング、ピンなど他の締結具を使用することもできる。
【0025】
本実施形態のスクリーン枠保持部材54をスクリーン印刷装置で使用する場合には、スクリーンマスクのプリセット装置1が備える保持部材支持部30と同様の構成を有するスクリーン枠保持部材54の装着部を備えることが好ましい。スクリーン印刷装置がこのような装着部を備える場合には、スクリーン枠保持部材54を単に装着するだけでスクリーンマスク50のパターン孔50aが所定位置に正確に配置されるため、従来のようにスクリーンマスクの交換後にパターン孔の位置調整を行う必要がなく、スクリーンマスクの交換作業を迅速容易に行うことができる。パターン孔50aの位置調整が行われたスクリーン枠保持部材54は、スクリーンマスクのプリセット装置1を使用して予め多数ストックしておくことができるため、スクリーン印刷装置が工場内に多数設置されてスクリーンマスクの交換が順次必要になった場合にも迅速な対応が可能になり、製造ラインの停止時間を最小限に抑制することができる。
【0026】
図5は、スクリーン枠保持部材54を使用するスクリーン印刷装置100の一例を示す概略構成図である。図5に示すように、スクリーン印刷装置100は、保持テーブル110と、保持テーブル110に保持されたワークwの位置を検出する位置検出部120と、保持テーブル110に保持されたワークwに印刷を施す印刷部130とを備えている。
【0027】
保持テーブル110は、基板等の平板状のワークを真空吸引等により保持する複数の保持部112を有しており、各保持部112は円周方向に沿って等間隔に配置されている。この保持テーブル110は、例えば、機械式など公知のインデックステーブルにより構成され、不図示のモータにより水平回転可能に支持されて、ロータリーエンコーダの検出に基づく所定角度の割出回転によって各保持部112を各割出位置に位置決めすることができる。本実施形態の保持テーブル110は、4つの保持部112を備えており、90°の割出回転によって4か所の割出位置に順次位置決めされるように、矢示方向に間欠回転駆動される。保持部112は、保持したワークwをX方向、Y方向およびθ方向に移動可能な移動機構を備えている。
【0028】
保持部112の4つの割出位置には、搬入ステーションS1、検出ステーションS2、印刷ステーションS3および搬出ステーションS4がそれぞれ配置されており、各ステーションS1〜S4に、搬入部102、位置検出部120、印刷部130および搬出部104が設けられている。搬入部102は、ベルトコンベア等の搬送装置103により搬送されるワークwを、吸盤やベルヌーイチャック等からなる吸着部102aにより吸引保持し、割出位置に停止中の保持部112に向けて搬送することができる。こうして、搬入ステーションS1において、保持部112に向けてワークwが順次供給され、保持部112に保持される。
【0029】
位置検出部120は、検出ステーションS2で停止中の保持部112に保持されたワークwの外縁の一部やアライメントマーク等を検出することにより、ワークwの表面と平行なXY平面におけるワークwの位置検出を行う。本実施形態においては、検出対象となるワークwが矩形状の基板であることから、ワークwの角部cをそれぞれ検出できるように、4つの検出部120aを備えている。検出部120aとしては、CCDカメラなどの撮像装置を例示することができる。検出部120aの数は特に限定されるものではなく、ワークwの特徴箇所を検出して、ワークwのX方向、Y方向およびθ方向(XY平面における回転方向)のずれ量を検出可能であれば、他の配置であってもよい。
【0030】
印刷部130は、印刷ステーションS3で停止中の保持部112に保持されたワークwに対してスクリーン印刷を施すことにより、ワークwの表面に配線やマーキングなどの所定のパターンを形成する。印刷部130は、図6に示すように、スクリーンマスク50を保持するスクリーン枠52が固定されたスクリーン枠保持部材54を装着可能な保持部材装着部131を備えており、停止したワークwの直上にスクリーンマスク50を支持する。保持部材装着部131は、図2に示す保持部材支持部30と同様の構成を備えており、支柱130aの上端に設けられた天板130bの下面に固定された一対のガイド部材132,132と、ガイド部材132,132に沿って案内されたスクリーン枠保持部材54の先端面と当接する当接片(図示せず)と、スクリーン枠保持部材54を一対のガイド部材132,132間に固定する押圧クランプ136とを備えている。
【0031】
一対のガイド部材132,132は、スクリーン枠保持部材54の両側部を支持する切欠部132a,132aを有している。切欠部132aは、スクリーン枠保持部材54の下面側が摺動する水平部132bと、スクリーン枠保持部材54の上縁角部と当接するテーパ部132cとを有している。押圧クランプ136は、一方のガイド部材132に設けられ、手動または電動で水平方向に進退可能な押圧片136aを備えており、押圧片136aと他方のガイド部材132との間でスクリーン枠保持部材54を挟持できるように構成されている。押圧片136aは、スクリーン枠保持部材54の上縁角部と当接するテーパ部136cを有している。押圧クランプ136は、スクリーン枠保持部材54の側部を部分的に押圧可能であることが好ましく、本実施形態では2つの押圧クランプ136が互いに間隔をあけて配置されている。
【0032】
また、印刷部130は、スクリーン枠保持部材54が保持部材装着部131に装着された状態で、スクリーンマスク50の上方に位置するスキージ138a,138bを備えている。スキージ138a,138bは、水平方向に往復動可能に構成されており、スクリーンマスク50の上方に導電性ペースト等の印刷材料を供給した後、先端をスクリーンマスク50の上面に沿って摺動させることにより、パターン孔50aを介してワークwに印刷材料を印刷することができる。
【0033】
搬出部104は、搬入部102と同様に、ワークwを吸引保持する吸引部104aを備えており、搬出ステーションS4で停止中の保持部112がワークwの吸引を解除した後に、ワークwを吸引して、ベルトコンベア等の搬送装置105に載置する。
【0034】
上記の構成を備えるスクリーン印刷装置100は、搬入ステーションS1でワークwが装着された保持部112が、検出ステーションS2の割出位置に位置決めされる毎に、位置検出部120によるワークwの位置検出が行われる。位置検出部120は、ワークwの検出位置と基準位置とのX方向、Y方向およびθ方向のずれを検出することができる。本実施形態では、4つの検出部120aにより、ワークwの検出箇所である角部cの位置と、基準位置(例えば、撮像領域の中心位置)とのX方向およびY方向のずれ量を検出することにより、ワークwのX方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量を容易且つ正確に把握することができる。
【0035】
ワークwが装着された保持部112は、印刷ステーションS3に搬送される間に位置検出部120の検出データに基づいてワークwの位置修正を行い、印刷ステーションS3の正確な位置にワークwを位置決めする。一方、スクリーンマスク50のパターン孔50aは、スクリーンマスクのプリセット装置1によってスクリーン枠保持部材54に対する位置合わせが予め行われているため、スクリーンマスク50を交換した場合にも、所定の位置に正確に配置される。したがって、ワークwの所定位置に正確なパターン形成を行うことができる。パターン形成が終了したワークwは、搬出ステーションS4において搬出装置104により順次搬出される。
【0036】
保持テーブル110の芯振れや割出角度の誤差に起因して、ワークwの表面におけるパターンの形成位置と基準位置との間に生じる位置ずれが問題になる場合には、保持部112毎に個別補正データを予め設定しておき、位置検出部120の検出データを個別補正データにより補正して、保持部12の駆動によるワークwの位置修正を行うようにしてもよい。また、本実施形態では保持部112の駆動によりワークwの位置修正を行っているが、この代わりに保持部材装着部131を移動可能に構成することで、ワークwとパターン孔50aとの相対的な位置修正を行うことも可能である。
【0037】
スクリーン枠保持部材54の構成は本実施形態のものに限定されず、スクリーン枠52を位置決め固定可能であれば、他の構成であってもよい。例えば図7に示すように、鉤状の係合ブロック54cが固定ボルト(図示せず)等で固定されたスクリーン枠保持部材54を使用することも可能である。係合ブロック54cは、枠本体54aの下面側における左右両側の縁部に沿ってそれぞれ設けられており、鉤状の先端部にスクリーン枠52の下面側と係合してスクリーン枠52を保持する係合部54dを備えている。各係合ブロック54cは、スクリーン枠52の下面側に設けられたスクリーンマスク50が枠本体54aの下面と平行になるように、スクリーン枠52を保持することが好ましい。枠本体54aには、複数の貫通ねじ孔54eが形成されており、締結手段であるボルト60を貫通ねじ孔54eに螺合させて、ボルト60の先端でスクリーン枠52を係合ブロック54cに固定することができる。
【0038】
図7に示すスクリーン枠保持部材54は、図1等に示すプリセット装置1を使用して、スクリーン枠52を位置決め固定することができる。まず、図8(a)に示すように、スクリーン枠保持部材54をガイド部材32に固定すると共に、スクリーン枠52を、係合ブロック54cの係合部54dよりも上方位置でスクリーンマスク50が下面側となるように支持台20に載置して固定する。ついで、位置調整装置の操作によりスクリーンマスク50のパターン孔の位置合わせを行った後、支持台20を降下させて、図8(b)に示すように、スクリーン枠52の下面側を係合部54dに当接させる。そして、図8(c)に示すように、スクリーン枠保持部材54の貫通ねじ孔54eにボルト60を螺合して枠本体54aの下面側に突出させ、ボルト60の先端でスクリーン枠52の上面を押圧することにより、スクリーン枠52の下面側を係合部54dに密着固定する。
【0039】
図7に示すスクリーン枠保持部材54は、枠本体54aが、スクリーン枠52の下面側(すなわち、対向面の裏面側)と係合する係合ブロック54cを備えており、ボルト60の押圧によってスクリーン枠52の下面側を係合ブロック54cに密着させることができるので、スクリーン枠52のねじれが大きい場合や左右の高さが異なる場合であっても、スクリーンマスク50を枠本体54aの下面と平行な水平状態に確実に保持することができる。したがって、スクリーン印刷装置におけるワークへの印刷を正確に行うことができる。スクリーン枠52の下面側を係合ブロック54cに密着させる手段としては、上記のようにボルト60による上方からの押圧に限定されない。例えば図9に示すように、スクリーン枠52の下面側にねじ孔52aを形成すると共に、枠本体54aの係合ブロック54cの係合部54dにねじ孔52aよりも大径の貫通孔54bを形成した構成であってもよい。そして、貫通孔54bに下方からワッシャ62を介してボルト60を挿入し、ねじ孔52aに螺合することにより、スクリーン枠52の下面側を係合ブロック54cに密着させることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 スクリーンマスクのプリセット装置
10 位置調整装置
20 テーブル(第1の支持手段)
30 保持部材支持部(第2の支持手段)
32 ガイド部材
36 押圧クランプ
40 撮像装置
50 スクリーンマスク
50a パターン孔
50b 位置検出用マーク
52 スクリーン枠
52a ねじ孔
54 スクリーン枠保持部材
54a 枠本体
54b 貫通孔
54c 係合ブロック
54d 係合部
60 ボルト
62 ワッシャ
70 操作盤
72 表示部
100 スクリーン印刷装置
131 保持部材装着部
w ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクを保持するスクリーン枠をスクリーン枠保持部材に位置決め固定するためのスクリーンマスクのプリセット装置であって、
前記スクリーン枠およびスクリーン枠保持部材を互いに対向するようにそれぞれ支持する第1の支持手段および第2の支持手段と、
前記第1の支持手段に支持された前記スクリーン枠に設けられたスクリーンマスクの位置検出用マークを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データを表示する表示手段と、
表示された前記位置検出用マークが画面上の所定位置となるように、前記第1の支持手段および第2の支持手段の少なくとも一方を移動可能な位置調整手段とを備えるスクリーンマスクのプリセット装置。
【請求項2】
前記第2の支持手段は、前記スクリーン枠保持部材の両側部を摺動可能に保持する一対のガイド部材と、保持された前記スクリーン枠保持部材を挟持するクランプ手段とを備え、
前記位置調整手段は、前記第1の支持手段を移動可能に構成された請求項1に記載のスクリーンマスクのプリセット装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスクリーンマスクのプリセット装置に使用されるスクリーン枠保持部材であって、
前記スクリーン枠を保持する枠本体と、
前記スクリーン枠を前記枠本体に固定する締結手段とを備えるスクリーン枠保持部材。
【請求項4】
前記締結手段は、前記スクリーン枠に形成されたねじ孔に螺合するボルトであり、
前記枠本体には、前記ボルトの径よりも大径の貫通孔が形成されている請求項3に記載のスクリーン枠保持部材。
【請求項5】
前記枠本体は、前記スクリーン枠における対向面の裏面側と係合する係合ブロックを備えており、
前記締結手段は、前記スクリーン枠の前記裏面側を前記係合ブロックに密着させる請求項3または4に記載のスクリーン枠保持部材。
【請求項6】
請求項1または2に記載のスクリーンマスクのプリセット装置を用いたスクリーン印刷方法であって、
前記スクリーンマスクのプリセット装置により前記スクリーン枠保持部材に前記スクリーン枠を位置決め固定するステップと、
前記第2の支持手段と同様の構成を有する装着手段を備えるスクリーン印刷装置の前記装着手段に前記スクリーン枠保持部材を装着するステップと、
装着された前記スクリーン枠保持部材に設けられたスクリーンマスクを用いてワークにスクリーン印刷を施すステップとを備えるスクリーン印刷方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−236294(P2012−236294A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105563(P2011−105563)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【特許番号】特許第4889133号(P4889133)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(505095224)
【Fターム(参考)】