説明

スクリーンマスクの計測装置および印刷装置

【課題】開口部の寸法を正確に計測することが可能なスクリーンマスクの計測装置を提供する。
【解決手段】この印刷装置100は、スクリーンマスク90の上面90aを撮像して開口部91の画像を取得するカメラ15と、カメラ15からスクリーンマスク90の上面90aまでの距離Lを測定するために設けられたレーザポインタ16と、カメラ15およびレーザポインタ16を用いて測定された距離Lに基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数Sを調整する制御部85とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンマスクの計測装置および印刷装置に関し、特に、スクリーンマスクを撮像する撮像部を備えたスクリーンマスクの計測装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンマスクを撮像する撮像部を備えた印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電子部品が実装される基板にマスクを介して半田ペーストを印刷する機構を備えたスクリーン印刷装置が開示されている。この印刷装置には、スクリーンマスクの上方にマスクと平行な水平面内を移動するカメラが設けられている。また、シート状のスクリーンマスクは、外縁部が枠状のホルダ部材に貼り付けられており、マスクを水平に配置した状態でホルダ部材が装置本体の台座部に固定されている。そして、カメラを使用してスクリーンマスク上を走査しながらマスクの表面を撮像することにより、マスクが有する開口部の形状を計測することが可能に構成されている。
【0004】
ここで、一般的には、カメラからスクリーンマスク上面までの距離は、水平面内における撮像領域に関係なく略一定であることを前提として印刷装置は構成されている。したがって、マスクの表面を撮像するマスクスキャン中は、装置本体側に設定されているカメラ縮尺(カメラスケール)には、一定値が用いられる。これにより、全ての画像データに同じ倍率(縮尺率)を適用してデータ変換を行い開口部の実寸法を算出する処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−79783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスクリーン印刷装置では、ホルダ部材が装置本体の台座部に固定されるため、枠状のホルダ部材に貼り付けられたマスクには、マスク自身の自重に起因して外縁部よりも内側の部分に局所的な撓み(反り)が発生する場合があると考えられる。この場合、カメラからマスク上面までの距離は、マスクの撓み(反り)のために一定にはならず、ばらつく。この場合に、カメラ縮尺に一定値を用いた場合には、より遠くに写る開口部も、より近くに写る開口部も、同じ倍率で寸法値へと変換されてしまうため、開口部の寸法を正確に計測することができないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、開口部の寸法を正確に計測することが可能なスクリーンマスクの計測装置および印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるスクリーンマスクの計測装置は、スクリーンマスクの表面を撮像して画像を取得する撮像部と、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定する測定部と、測定部により測定された距離に基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部とを備える。
【0009】
この発明の第1の局面によるスクリーンマスクの計測装置では、上記のように、測定部により測定された距離に基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部を備えることによって、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離がスクリーンマスクに生じる撓み(反り)の範囲内でどのような長さであっても、その距離に応じて調整された換算係数を用いて撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算することができる。これにより、撮像された画像に含まれるスクリーンマスクが有する開口部の寸法を正確に計測することができる。
【0010】
上記第1の局面によるスクリーンマスクの計測装置において、好ましくは、換算係数は、撮像部と被写体との距離が基準距離で撮像された画像に基づくデータをもとに被写体の実寸法を換算する基準換算係数を含み、制御部は、測定部により測定された距離および基準換算係数に基づいて換算係数を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、調整される換算係数を、基準換算係数に関連付けて容易に導出することができる。
【0011】
上記換算係数が基準換算係数を含む構成において、好ましくは、換算係数は、測定部により測定された距離および基準換算係数に基づいて調整された調整換算係数をさらに含み、調整換算係数は、基準換算係数と、基準距離と撮像部から撮像中のスクリーンマスクの表面までの距離との差分に補正係数を乗じて得られる調整値との和として規定されている。このように構成すれば、調整換算係数を基準換算係数と調整値との和(調整値がマイナスの値の場合を含む)として規定することができる。これにより、数式上も簡単な表現(表記)を用いて制御プログラムを記述することができるので、制御プログラムが複雑になるのを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、補正係数は、予め定められた互いに異なる複数の参照距離間の差分と、複数の参照距離の各々に対応して予め設定された参照換算係数間の差分との比として定められた定数である。このように構成すれば、調整換算係数を求めるための調整値を、比例定数である補正係数を用いた関数の状態で規定することができるので、測定された距離に対する調整値を膨大な数表データなどを参照して数値的に求める場合と異なり、制御プログラムを構成するデータ量を軽減することができる。
【0013】
上記第1の局面によるスクリーンマスクの計測装置において、好ましくは、スクリーンマスクを固定する固定部をさらに備え、撮像部は、スクリーンマスクの表面に沿って複数の撮像位置に移動して複数の撮像領域を撮像可能に構成されており、制御部は、固定部から離間したスクリーンマスクの少なくとも略中央部に対応する撮像位置での撮像領域において、撮像部から撮像中のスクリーンマスクの表面までの距離に基づいて換算係数を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、スクリーンマスクは、固定部の近傍領域よりも固定部から離間したマスク中央部での撓み(反り)がより顕著となるので、撓み(反り)の大きな領域に対応する撮像領域において確実に換算係数を調整することができる。これにより、撓み(反り)の大きな領域に形成されている開口部の正確な実寸法を得ることができる。
【0014】
上記撮像部がスクリーンマスクの表面に沿って複数の撮像位置に移動して複数の撮像領域を撮像可能である構成において、好ましくは、制御部は、スクリーンマスク上に設定された複数の撮像領域の各々において、撮像部から撮像中のスクリーンマスクの表面までの距離に基づいて換算係数を調整することにより、撮像部が撮像領域毎に撮像した画像に基づくデータ実寸法を得る制御を行うように構成されている。このように構成すれば、個々の撮像領域で撮像された画像毎に個別に換算係数の調整を行うことができる。これにより、スクリーンマスクの略中央部のみならず、撮像領域の全体に亘って開口部の実寸法を正確に計測することができる。
【0015】
上記撮像部が撮像領域毎に撮像した画像の実寸法を得る制御を制御部が行う構成において、好ましくは、制御部は、1つの撮像領域において、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定した後、スクリーンマスクの表面を撮像するとともに、測定された距離に基づいて換算係数を調整して撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する一連の処理を行うとともに、各々の撮像領域において、一連の処理を繰り返す制御を行うように構成されている。このように構成すれば、1つの撮像領域において、距離の測定から撮像された画像の実寸法への換算処理までの一連のデータ処理を完結させることができる。これにより、個々の撮像領域における開口部の実寸法をより迅速に得ることができる。また、撮像領域毎に一連の処理を繰り返すことによって、スクリーンマスク上の一度の一筆書き状の走査(スキャン動作)により、スクリーンマスク全体の開口部の実寸法を計測することができる。これにより、スキャニング時の撮像部および測定部の無駄な動きを減らせることができる分、マスクスキャンの時間短縮を図ることができる。
【0016】
上記撮像部がスクリーンマスクの表面に沿って複数の撮像位置に移動して複数の撮像領域を撮像可能である構成において、好ましくは、制御部は、複数の撮像領域のうちの第1撮像領域で撮像された第1画像と、第1撮像領域に隣接する第2撮像領域で撮像された第2画像との一部がオーバラップするように撮像部を移動させる制御を行うように構成されている。このように、第1撮像領域と第2撮像領域とで、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離が異なる場合には、第1画像と第2画像とに写り込む被写体の大きさが異なる(撮像部により近く配置された被写体ほど画像に写り込む範囲が狭められる)ことにに起因して、各々の画像を平面的に繋げても画像の外縁部において被写体が連続的に撮像されない不都合が生じる。この点において、制御部により第1画像と第2画像との一部が重なるように撮像されるので、上記した「撮像もれ」をなくすことができる。その結果、撮像領域の全体に亘って開口部の実寸法が正確に計測された結果を得ることができる。
【0017】
上記第1の局面によるスクリーンマスクの計測装置において、好ましくは、撮像部が取り付けられ、スクリーンマスクの表面に沿って移動可能なヘッド部をさらに備え、測定部は、ヘッド部に固定されることにより、撮像部と一体的に移動した状態で撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定するように構成されている。このように構成すれば、撮像部と測定部との相互の位置関係を維持した状態で撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定することができる。これにより、撮像部がスクリーンマスク上をどのような撮像位置に移動して撮像を行っても、撮像部と測定部とを同じ条件で機能させることができるので、調整される換算係数の精度を、異なる撮像位置に関係なく均一化することができる。
【0018】
上記ヘッド部をさらに備える構成において、好ましくは、測定部は、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光により対象物の一点を指し示すレーザポインタ、または、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を線状に照射するラインレーザを含み、測定部は、撮像部が撮像するレーザポインタまたはラインレーザから出射されたレーザ光のスクリーンマスク上の照射点位置に基づいて、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定するように構成されている。このように構成すれば、元来、マスクスキャン時やフィデューシャルマーク検出時に使用することを目的として設けられた撮像部に加えて、比較的構成が簡素なレーザポインタまたはラインレーザを追加するだけで、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を精度よく測定することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、撮像部の光軸は、スクリーンマスクにおける撮像部が撮像する撮像領域の略中央部に配置されており、レーザポインタまたはラインレーザは、レーザポインタまたはラインレーザから出射されるレーザ光が、撮像領域に対応するスクリーンマスクの表面の中央部近傍に照射されるようにヘッド部に固定されている。このように構成すれば、撮像領域のうちの被写体の形状が最も正確に撮像される中央部において、撮像部からスクリーンマスクの表面までの光軸に沿った距離を精度よく求めることができる。したがって、より正確に測定された距離を用いて換算係数が得られる分、スクリーンマスクが有する開口部の寸法をより正確に計測することができる。
【0020】
この発明の第2の局面における印刷装置は、スクリーンマスクを固定する固定部と、スクリーンマスクの表面を撮像して画像を取得する撮像部と、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離を測定する測定部と、撮像部により表面を撮像するマスクスキャン動作を行う際に、測定部により測定された距離に基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部とを備える。
【0021】
この発明の第2の局面による印刷装置では、上記のように、測定部により測定された距離に基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部を備えることによって、撮像部からスクリーンマスクの表面までの距離がスクリーンマスクに生じる撓み(反り)の範囲内でどのような長さであっても、その距離に応じて調整された換算係数を用いて撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算することができる。これにより、スクリーンマスクが有する開口部の寸法を正確に計測する機能を兼ね備えた印刷装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による印刷装置の構成を示した斜視図である。
【図2】図1における印刷装置をX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【図3】図1に示した印刷装置の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による印刷装置においてマスクスキャンを行う際のカメラ縮尺について説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態による印刷装置において撮像部からスクリーンマスクの上面までの距離を計測する際の測定原理を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態による印刷装置においてカメラ縮尺を算出する際の補正係数の導出過程を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態による印刷装置におけるマスクスキャンを行う順序について示した図である。
【図8】本発明の一実施形態による印刷装置におけるマスクスキャンを行う際の詳細な構成について示した図である。
【図9】本発明の一実施形態による印刷装置においてマスクスキャンを行う際の処理フローを説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態の変形例による印刷装置の構造を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による印刷装置100の構造について説明する。
【0025】
本発明の一実施形態による印刷装置100は、図1に示すように、基台10と、基台10上に設けられ、プリント基板(配線基板)150を搬送する基板搬送部20と、基板搬送部20の上方(Z1側)に設けられ、プリント基板150に対して半田の印刷を行う印刷部30とを備えている。また、図3に示すように、この印刷装置100には、以下に説明する各部の動作制御を行うために、CPUと基板回路とにより構成された制御部85が装置本体に内蔵されている。
【0026】
基板搬送部20は、図1および図2に示すように、印刷前のプリント基板150の搬入を行う一対のコンベア21と、印刷後のプリント基板150の搬出を行う一対のコンベア22と、コンベア21および22の間に設けられた基板位置決め昇降装置70とを含んでいる。基板位置決め昇降装置70は、プリント基板150を保持した状態のコンベア75を昇降する機能と、プリント基板150をマスクプレート90の下面に当接する印刷位置P(図2参照)に配置する機能とを有している。また、コンベア21および22は、基台10上を基板搬送方向(X方向)に延びるように設けられている。なお、マスクプレート90は、本発明の「スクリーンマスク」の一例である。
【0027】
また、基板位置決め昇降装置70は、Y軸テーブル71と、X軸テーブル72と、R軸テーブル73と、Z軸テーブル74とを含んでいる。これにより、プリント基板150は、基板搬送方向(X方向)、印刷方向(Y方向)、上下方向(Z方向)および水平面内での回転方向(R方向)に自在に移動されるように構成されている。
【0028】
また、図2に示すように、基台10上にはY方向に延びるレール71aが設けられている。また、Y軸テーブル71は、図示しないサーボモータおよびボールネジ機構によってレール71a上をY方向に移動可能に構成されている。また、Y軸テーブル71上には、X方向に延びるレール72aが設けられている。そして、X軸テーブル72は、Y軸テーブル71に対してレール72a上をX方向に移動可能に構成されている。
【0029】
X軸テーブル72上には支持機構73aが設けられている。そして、R軸テーブル73は、図示しないサーボモータおよびボールネジ機構によってX軸テーブル72上で回転駆動されるように構成されている。また、R軸テーブル73には複数のガイド軸74aが挿入されており、Z軸テーブル74は、図示しないサーボモータおよびボールネジ機構74bによってR軸テーブル73に対してZ方向に昇降可能に構成されている。
【0030】
また、Z軸テーブル74上には一方向(X方向)に延びる一対のコンベア75が配置されている。これにより、印刷前のプリント基板150が、コンベア21からコンベア75まで搬入されるとともに、印刷後のプリント基板150は、コンベア75からコンベア22に移動されて印刷装置100外に搬出されるように構成されている。
【0031】
また、Z軸テーブル74には、Z方向に昇降可能な昇降テーブル76(図2参照)と、プリント基板150を一時的に保持するクランプ片77aおよび77bとが設けられている。昇降テーブル76は、Z方向に延びるスライド軸76aを介してZ軸テーブル74に対してZ方向にスライド可能に取り付けられている。なお、クランプ片77aはZ軸テーブル74に対して固定的に設けられている一方、クランプ片77bはY方向に移動可能に設けられている。これにより、コンベア75上では、クランプ片77bがプリント基板150のY1側の側端面をY2方向に押圧しながらクランプ片77bをY2方向に移動させることにより、プリント基板150のY2側の側端面がクランプ片77aに当接される。このようにして、プリント基板150が挟み込まれて印刷方向(Y方向)の位置決めが行われるように構成されている。
【0032】
印刷部30は、半田印刷に用いられるマスクプレート90を支持するマスク支持部31と、プリント基板150に半田を印刷する印刷ユニット40と、印刷時に印刷ユニット40を印刷方向(Y方向)に駆動する駆動部80とを含んでいる。ここで、マスクプレート90は、約20μm以上約150μm以下の厚みを有する板状(シート状)の部材からなり、複数の開口部91(図4参照)がパターニングされた開口領域92を有している。このようにシート状のマスクプレート90は屈曲性を有するため、マスクプレート90は、周囲が剛性の高い部材からなるフレーム95に固定されている。フレーム95は、最大で約750mm角(縦×横)の大きさを有しており、マスクプレート90のサイズに応じて、フレーム95のサイズも適宜決定される。なお、マスク支持部31は、本発明の「固定部」の一例であり、フレーム95は、本発明の「スクリーンマスク」の一例である。
【0033】
X方向の両側に設けられたマスク支持部31は、基板位置決め昇降装置70の上方(Z1側)において基台10のフレーム部材11および12を介して固定的に設置されている。また、各々のマスク支持部31は、フレーム95の外縁部を下方(Z2側)から支持する支持板31aと、支持板31a上に載置されたフレーム95の上面を上方から押圧するクランプ片31b(4箇所)とを有している。なお、フレーム95がマスク支持部31を介して固定されることにより、マスクプレート90の下面は、印刷位置P(図2参照)に配置されるように構成されている。
【0034】
また、印刷ユニット40は、マスクプレート90の上面90aに対して半田を押圧しながら摺動するスキージユニット50と、上面90a上に半田を供給する半田供給部60と、スキージユニット50および半田供給部60を支持するように構成され、マスクプレート90上を印刷方向(Y方向)に往復移動可能な支持部材41とを含んでいる。スキージユニット50は、マスクプレート90に形成された開口部91を介して半田をプリント基板150上に押し出す機能を有している。なお、上面90aは、本発明の「スクリーンマスクの表面」の一例である。
【0035】
また、スキージユニット50は、図2に示すように、支持部材41のY1側の側面に設けられており、プリント基板150がマスクプレート90に接した状態で上面90aを摺動するスキージ51と、スキージ51を上下方向に移動させる昇降機構部52と、X方向に延びる回動軸53bを中心にスキージ51を回動させる回動機構部53とを含んでいる。また、図1および図2に示すように、昇降機構部52のY1側の側面のスキージユニット50とは異なる高さ位置(Z方向)には、印刷時に半田供給部60をX方向に駆動するための駆動部87が設けられている。
【0036】
ここで、本実施形態では、マスクプレート90の上方にカメラ15を備えている。具体的には、カメラ15は、半田供給部60のX1側に隣接した状態で半田供給部60を固定する後述する支持部材62に取り付けられている。制御部85(図3参照)が駆動部80および87を制御することにより、カメラ15は、マスクプレート90の上方において上面90aと所定の距離を隔てた状態でX−Y平面内を移動することが可能に構成されている。なお、カメラ15は、本発明の「撮像部」の一例である。また、支持部材62は、本発明の「ヘッド部」の一例である。
【0037】
印刷装置100では、プリント基板150への半田印刷機能に加えて、マスクプレート90の上面90aを撮像して、複数の開口部91(図4参照)を有する開口領域92(図2参照)の画像を撮像した後、画像処理に基づいて開口部91の実寸法(開口サイズや形成位置など)が得られるように構成されている。この機能は、マスクスキャンと呼ばれる。通常、マスクプレート90が有する開口部91の大きさや形成位置などを含む製造データ(ガーバデータ)がマスク製造元より提供されるので、この製造データに基づいて印刷後の検査が行われる。一方、マスクの製造データが製造元より供給されない場合には、マスクプレート90を直接観察して開口部91の大きさや形成位置を計測するマスクスキャンを行う必要がある。したがって、カメラ15は、このマスクスキャンを行う場合に使用される。そして、このマスクスキャンにより取得した開口部91の実寸法に基づいて、半田印刷後の検査が行われる。なお、印刷装置100は、本発明の「スクリーンマスクの計測装置」の一例である。
【0038】
このマスクスキャンについてさらに説明を加える。カメラ15により撮像された画像を画像処理する際、撮像された開口部91の画像が有するデータ(寸法データなど)を実寸法に換算する処理が制御部85によって実行される。具体的には、「カメラ縮尺」と称される制御パラメータを用いて撮像された画像に基づくデータから実寸法データへの変換が行われる。カメラ縮尺は、カメラ15が有する視野領域(視野角または画角)が所定の画素数からなる場合、1画素あたりのX方向およびY方向の各々の長さとして定義されている。たとえば、カメラ縮尺が1画素=10μm角に設定された状態で、開口部91がX方向に5画素分およびY方向に8画素分の矩形領域を有した画像として撮像された場合、画像処理の結果、開口部91の実寸法は、50μm×80μmの大きさとして認識される。また、視野領域が有するX方向およびY方向の画素数から、視野領域全体の大きさも実寸法で把握される。なお、カメラ縮尺は、本発明の「撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数」の一例である。
【0039】
ここで、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離(垂直距離)がマスクプレート90全体に亘って一定である場合には、カメラ縮尺には一定値を使用してもよい。一方、マスクプレート90の撓みや反り(約2mm程度)に起因して、カメラ15から上面90aまでの距離にばらつきが生じる場合には、カメラ縮尺も、距離のばらつきに応じて適宜調整される必要がある。
【0040】
たとえば、図4に示すように、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでが距離Lである場合には、カメラ15の撮像領域(視野領域)内には2つの開口部91と、各々に隣接する開口部91の一部分のみが写る。一方、マスクプレート90に撓みが生じて、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでが距離L(L>L)に変化した場合には、カメラ15の撮像領域(視野領域)内には4つの開口部91の全てが写り込む。両者を比較すると、距離Lで撮像された開口部91の画像は、距離Lで撮像された開口部91の画像よりも小さく撮像されてしまう。したがって、各々の画像から同じ開口部91の実寸法を得るためには、距離Lの場合のカメラ縮尺Sと距離Lの場合のカメラ縮尺Sとを異ならせる(S>Sとする)必要がある。これにより、カメラ縮尺Sで換算された開口部91の実寸法と、カメラ縮尺Sで換算された開口部91の実寸法とを同じにすることが可能になる。本実施形態では、この原理を適用することにより、制御部85は、マスクスキャン時にカメラ15から上面90aまでの距離(垂直距離)に応じて、カメラ縮尺を調整する制御を行うことが可能に構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、図1に示すように、カメラ15よりもX1側の支持部材62の部分にレーザポインタ16が取り付けられている。これにより、カメラ15とレーザポインタ16とがX−Y平面内で一体的に移動されるように構成されている。レーザポインタ16は、内蔵された半導体レーザ装置から出射されたレーザ光により対象物の一点を指し示す機能を有している。また、レーザポインタ16は、レーザ光16aがカメラ15の光軸15aに対して交差する方向(下方斜め方向)に出射されるように取り付けられている。なお、カメラ15およびレーザポインタ16により、本発明の「測定部」が構成されている。ここで、レーザポインタ16は、レーザ光16aの傾き角度θ(図5参照)が、約20度以上約45度以下となるように設定されるのが好ましい。
【0042】
したがって、図5に示すように、マスクプレート90が撓まずに所定の高さ位置(Z方向)に配置された状態でカメラ15の光軸15aがマスクプレート90の上面90aに投影された位置Pから、マスクプレート90が下方(Z2側)に撓んだ場合にレーザポインタ16のレーザ光が上面90aに照射された位置QまでのX−Y平面内における水平距離Dを計測することによって、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lが計測可能であるように構成されている。ここで、マスクプレート90が撓まない状態でのカメラ15から上面90aまでの距離Lと、光軸15aに対するレーザポインタ16のレーザ光16aの傾きθとが既知である場合、距離Lは、図5に示した式:L=L+D/tanθによって算出される。したがって、カメラ15とレーザポインタ16とを用いてカメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lが得られることにより、距離Lに基づいてカメラ縮尺を調整することが可能に構成されている。印刷装置100では、距離Lは、約85mmに設定されている。なお、距離Lは、本発明の「基準距離」の一例である。また、位置Qは、本発明の「照射点位置」の一例である。
【0043】
なお、レーザポインタ16は、レーザポインタ16から出射されるレーザ光16aの照射点位置Qは、カメラ15が撮像する撮像領域R〜R40(図7参照)の各々に対応するマスクプレート90の上面90aの中央部近傍(位置P近傍)に照射されるように昇降機構部52に固定されている。
【0044】
また、本実施形態では、上記した既知の距離Lに対応するカメラ縮尺Sが装置本体側で予め設定されている。そして、マスクプレート90が撓んでカメラ15から上面90aまでの距離がLからLに変化したときのカメラ縮尺Sは、図6に示した式:S=S+k×(L−L)によって導出されるように構成されている。ここで、上式におけるkは、印刷装置100側で予め設定された比例定数である。すなわち、距離Lでのカメラ縮尺Sは、既知のカメラ縮尺Sと、撓み変化量(距離Lと距離Lとの差分)に比例定数kを乗じた調整値(ΔS)との和によって規定されている。なお、図5のようにマスクプレート90が下方に撓む場合には、L>Lであるので、S>Sである。また、マスクプレート90が上方に反る場合には、L<Lであるので、調整値ΔSは負の値となり、S<Sとなる。なお、カメラ縮尺Sは、本発明の「基準換算係数」の一例であり、カメラ縮尺Sは、本発明の「調整換算係数」の一例である。また、比例定数kは、本発明の「補正係数」の一例である。また、k×(L−L)によって示される値が、本発明の「調整値」となる。
【0045】
また、本実施形態では、印刷装置100側で比例定数kを予め設定する際には、以下のような手法を用いている。具体的には、既知の距離Lに対応するカメラ縮尺Sと、距離Lとは異なる別な既知の距離Lに対応するカメラ縮尺Sとが予め設定されている場合、距離L(横軸)とカメラ縮尺S(縦軸)との関係は、図6に示した直線関係(1次関数)を有して規定される。ここで、同じ被写体を距離Lで撮像した画像にカメラ縮尺Sを適用して算出された実寸法と、距離Lで撮像した画像にカメラ縮尺Sを適用して算出した実寸法とは同じである。この場合、比例定数kは、図6に示した直線の傾き(ΔS/ΔL)に相当する。つまり、比例定数kは、予め定められた互いに異なる2種類の距離LおよびL間の差分(L−L)と、距離LおよびLの各々に対応して予め設定されたカメラ縮尺SおよびS間の差分(S−S)との比である。したがって、印刷装置100では、マスクスキャンを行う前に、マスクスキャンとは別に、少なくとも2種類の既知の距離に対応するカメラ縮尺の設定値に基づいて比例定数kを予め求めておく必要がある。これにより、マスクスキャン時には、図6に示した式:S=S+k×(L−L)を使用して、任意の距離Lに対応するカメラ縮尺Sを算出する処理を行うことが可能とされている。比例定数kは、印刷装置100側の後述するメモリ88などに記憶させておけばよい。なお、既知の距離LおよびLは、本発明の「参照距離」の一例であり、カメラ縮尺SおよびSは、本発明の「参照換算係数」の一例である。
【0046】
また、上述したマスクスキャンは、マスクプレート90が有する開口領域92を複数の撮像領域R〜R40に分割した状態で、隣接する撮像領域間を所定の方向に順次移動しながら行われる。また、移動時のピッチは、X方向およびY方向に沿って、それぞれ約5mmに設定されている。つまり、撮像領域R〜R40は、各々が約5mm角の大きさである。
【0047】
たとえば、図7に示すように、開口領域92は、X方向に5区画、Y方向に8区画の合計40区画に分割されているとする。この場合、カメラ15は、図7の紙面における左隅(X1側かつY2側)の撮像領域Rを撮像した後、図中の矢印方向に一筆書き状に順次移動しながら各撮像領域R(N=1〜40)での撮像を繰り返す。そして、最終的に図7の紙面における右隅(X1側かつY1側)の撮像領域R40を撮像して一連の動作を終了するように構成されている。
【0048】
ここで、本実施形態では、開口領域92内に設定された複数の撮像領域Rの各々において、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離に基づいてカメラ縮尺Sが調整されるように構成されている。この際、制御部85は、カメラ15が撮像する1つの撮像領域Rにおいて、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定した後に開口領域92を撮像するとともに、撮像された画像(画像に基づくデータ)を実寸法に換算する一連の処理を行うように構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、図8に示すように、撮像領域Rを中心にして見た場合、撮像領域Rで撮像された画像Gと、撮像領域Rに隣接する撮像領域R、R、R、R、R、R12、R13およびR14で撮像された画像G、G、G、G、G、G12、G13およびG14との一部がそれぞれオーバラップするようにカメラ15を移動させる制御を行うように構成されている。具体的には、たとえば、カメラ15が撮像領域Rから撮像領域RへX1方向に移動する際、撮像領域Rで撮像された画像GのX1側の端部領域と、撮像領域Rで撮像される画像GのX2側の端部領域とが重なり合う領域Uを有するようにカメラ15は移動される。同様に、カメラ15が撮像領域Rから撮像領域Rへ移動する際も、撮像領域Rで撮像された画像GのX1側の端部領域と、撮像領域Rで撮像される画像GのX2側の端部領域とが重なり合う領域Uを有するように移動される。また、カメラ15は撮像領域RからRへは直接移動しないものの、撮像領域Rで撮像された画像GのY1側の端部領域と、撮像領域Rで撮像される画像GのY2側の端部領域とが重なり合う領域Uを有するように構成されている。
【0050】
これは、図4に示すように、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lが撮像領域RとRとで異なる場合、撮像される画像GとGとでは、各々に写り込む被写体の大きさが異なる(カメラ15により近く配置された被写体ほど、画像に写り込む範囲が狭められる)不都合が生じる。上記したカメラ15の移動手法は、このような「撮像もれ」をなくして開口部91の画像に写り込まない部分を生じさせないことを図るための構成である。なお、撮像領域Rは、本発明の「第1撮像領域」の一例であり、撮像領域Rの周囲に位置する撮像領域R、R、R、R、R、R12、R13およびR14は、本発明の「第2撮像領域」の一例である。また、画像Gは、本発明の「第1画像」の一例であり、画像Gの周囲に位置する画像G、G、G、G、G、G12、G13およびG14は、本発明の「第2画像」の一例である。なお、隣接する画像間で重なり合う領域Uは、画像面積(カメラ15の1つの撮像領域)の約4%以上約5%以下であるのが好ましい。
【0051】
また、通常の半田印刷を行う際には、図2に示すように、昇降機構部52によりスキージ51を下降させてマスクプレート90の上面90aに当接させるとともに、印刷方向を転換する場合には、昇降機構部52によりスキージ51を一時的に上昇させてスキージ51を回動機構部53により回動させる。回動機構部53は、Y1方向への印刷時には半田押圧面51aがY1側を向くようにスキージ51を回動し、Y2方向への印刷時には半田押圧面51aがY2側を向くようにスキージ51を回動するように構成されている。
【0052】
昇降機構部52は、支持部材41の側面に固定された固定部52aと、固定部52aのX方向の側方に設けられたサーボモータ52b(図1参照)と、ボールネジ軸52cと、サーボモータ52bのモータ軸の回転をボールネジ軸52cに伝達するベルト52dとを含んでいる。また、固定部52aの側面にはボールネジ軸52cと螺合することにより固定部52aに対して上下方向に移動可能な可動部52eが設けられている。また、サーボモータ52bの駆動力は、プリント基板150がマスクプレート90の下面に当接した状態において、スキージ51が上方からマスクプレート90の上面90aを押圧する際の荷重となるように構成されている。
【0053】
回動機構部53は、可動部52e内に設けられたサーボモータ53aと、スキージ51が固定される回動軸53bとを含んでいる。サーボモータ53aのモータ軸の回転は、図示しない複数のギアにより回動軸53bに伝達されるように構成されている。
【0054】
また、図1および図2に示すように、半田供給部60は、半田が収容されたシリンジ61と、シリンジ61を支持するとともに駆動部87のボールネジ軸87bに移動可能に取り付けられた支持部材62とを含んでいる。また、シリンジ61の下部には半田を吐出する供給口61a(図1参照)が設けられている。シリンジ61にはピストン(図示せず)が内蔵されているとともに、支持部材41に取り付けられた吐出バルブ63を用いてシリンジ61内のピストンを加圧して半田が吐出されるように構成されている。また、シリンジ61の側方には静電容量型のセンサ64(図1参照)が設けられている。
【0055】
駆動部80は、図1に示すように、支持部材41を移動可能に支持する一対のガイドレール81と、ボールネジ軸82と、サーボモータ83とを含んでいる。また、支持部材41にはボールネジ軸82が螺合されるボールナット42が設けられている。支持部材41は、サーボモータ83によりボールネジ軸82が回転されてY方向に移動するように構成されている。また、スキージユニット50と半田供給部60とが支持部材41に支持された状態で支持部材41を駆動部80により駆動することによって、スキージユニット50のスキージ51と半田供給部60のシリンジ61とが一体的に駆動されるように構成されている。
【0056】
また、駆動部87は、半田供給部60をX方向に移動可能に支持するガイドレール87aと、Y方向に延びるボールネジ軸87bと、ボールネジ軸87bを回転させるサーボモータ87cとを含んでいる。また、半田供給部60の支持部材62には、ボールネジ軸87bが螺合されるボールナット(図示せず)が設けられている。
【0057】
また、図3に示すように、制御部85は、サーボモータ52b、53a、83および87cおよび吐出バルブ63などの駆動制御を行うように構成されている。また、制御部85は、マスクスキャン時には、駆動部80および87を駆動して、カメラ15およびレーザポインタ16をX−Y平面に沿って移動させる制御を行うように構成されている。また、制御部85が設けられた基板(図示せず)には、メモリ88が実装されている。メモリ88には、マスクスキャン時に計測される距離Lやカメラ縮尺Sのデータに加えて、撮像された画像データやカメラ縮尺Sを用いて実寸法に換算された開口部91のデータなどが書き込み可能に構成されている。このようにして、印刷装置100は構成されている。
【0058】
次に、図1および図3〜図9を参照して、本実施形態による印刷装置100により行われるマスクスキャンの動作について説明する。なお、以下の説明では、オペレータがマスクプレート90が取り付けられたフレーム95をマスク支持部31に固定してマスクスキャンの準備が完了した後の印刷装置100の動作について説明する。
【0059】
まず、ステップS1では、カメラ15がマスクプレート90上の最初の撮像位置へ移動される。この場合、図7に示すように開口領域92のうちの撮像領域Rを撮像する位置にカメラ15およびレーザポインタ16(図1参照)が一体的に移動される。
【0060】
そして、本実施形態では、ステップS2において、カメラ15とレーザポインタ16とによってカメラ15から撮像領域Rにおけるマスクプレート90の上面90aまでの垂直距離Lが計測される。具体的には、図5に示すように、制御部85の指令に基づいてレーザポインタ16から出射されたレーザ光16aがマスクプレート90の上面90aに照射される。そして、制御部85の指令に基づいて、カメラ15の光軸15aが存在する位置Pからレーザ光16aが上面90aに照射された位置Qまでの水平距離Dがカメラ15によって計測される。そして、図5に示した式(L=L+D/tanθ)により距離Lが算出される。
【0061】
その後、本実施形態では、ステップS3において、計測された距離Lに基づいて、カメラ縮尺Sが制御部85により決定される。この際、図6に示した式(S=S+k×(L−L))を適用してカメラ縮尺Sは算出される。そして、ステップS4において、カメラ15によりマスクプレート90の上面90aが撮像される。これにより、撮像領域Rに対応する画像G(図7参照)が取得される。
【0062】
また、本実施形態では、次のステップS5において、設定中のカメラ縮尺Sを用いて、撮像された画像Gが有するデータを実寸法に換算する画像処理が制御部85により行われる。これにより、画像Gに開口部91(図4参照)少なくとも一部が写り込んでいる場合には、その部分の開口部91の実寸法が得られる。
【0063】
その後、ステップS6では、開口領域92が有する全ての撮像領域が撮像されたか否かが判断される。ステップS6において、開口領域92が有する全ての撮像領域が撮像されていないと判断された場合は、ステップS7に進み、図7に示すように、カメラ15(図1参照)が、撮像領域Rを撮像した位置からX2方向に隣接する撮像領域Rを撮像する位置へ移動される。そして、ステップS2に戻り、以降の撮像動作を繰り返す。
【0064】
本実施形態では、マスクスキャン開始から数えてステップS2〜S6までを40回繰り返すことにより、カメラ15は、撮像領域R、R、R〜R39、R40の順で、各々の撮像領域に対応する開口領域92を撮像する。また、各々の撮像領域を撮像した際に、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lに基づいて個別に調整されたカメラ縮尺Sを用いて、撮像された画像を実寸法に換算する画像処理が行われる。これにより、各撮像領域における画像の実寸法が順次得られる。
【0065】
撮像領域R40の撮像および実寸法への換算処理が終了することによって、ステップS6において、開口領域92が有する全ての撮像領域R〜R40が撮像されたと制御部85により判断される。そして、ステップS8に進む。ステップS8では、カメラ15が撮像領域Rとなる初期位置まで戻される。これにより、印刷装置100におけるマスクスキャンが終了される。
【0066】
本実施形態では、上記のように、カメラ15およびレーザポインタ16により測定された距離Lに基づいて、撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算するカメラ縮尺Sを調整する制御部85を備えることによって、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lがマスクプレート90に生じる撓み(反り)に起因してばらつく場合にも、距離Lに応じて調整されたカメラ縮尺Sを用いて、撮像された画像が有するデータを実寸法に換算することができる。これにより、撮像された画像に含まれるマスクプレート90が有する開口部91の実寸法を正確に計測することができる。
【0067】
また、本実施形態では、カメラ15から撮像中のマスクプレート90の上面90aまでの距離Lが、基準距離であるLとは異なる場合に、カメラ15およびレーザポインタ16により測定された距離Lおよびカメラ縮尺Sに基づいてカメラ縮尺Sを調整する制御を行うように制御部85を構成している。これにより、距離Lとは異なる距離が計測された場合に調整されるカメラ縮尺Sを、カメラ縮尺Sに関連付けて容易に導出することができる。また、このような手法でカメラ縮尺Sを規定することができるので、カメラ縮尺Sに基づいてカメラ縮尺Sを調整するというアルゴリズムを逸脱することなく制御プログラムを記述することができる。
【0068】
また、本実施形態では、カメラ縮尺Sを、カメラ縮尺Sと、距離Lとカメラ15から撮像中のマスクプレート90の上面90aまでの距離Lとの差分に比例定数kを乗じて得られる調整値との和として規定している。これにより、カメラ縮尺Sをカメラ縮尺Sと調整値(ΔS)との和として規定することができる。これにより、数式上も簡単な表現(表記)を用いて制御プログラムを記述することができるので、制御プログラムが複雑になるのを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、比例定数kは、予め定められた互いに異なる2つの距離LおよびLの差分と、2つの距離LおよびLの各々に対応して予め設定されたカメラ縮尺SとSとの差分(ΔS=S−S)との比として定められた定数である。これにより、カメラ縮尺Sを求めるための調整値ΔSを、比例定数である補正係数kを用いた関数の状態で規定することができるので、測定された距離Lに対する調整値ΔSを膨大な数表データなどを参照して数値的に求める場合と異なり、メモリ88を占有する制御プログラムのデータ量を軽減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、マスクプレート90の開口領域92内に設定された複数の撮像領域R〜R40の各々において、カメラ15から撮像中のマスクプレート90の上面90aまでの距離Lに基づいてカメラ縮尺Sを調整することにより、カメラ15が撮像領域R毎に撮像した画像の実寸法を得る制御を行うように制御部85を構成している。これにより、個々の撮像領域R〜R40で撮像された画像毎に個別にカメラ縮尺Sの調整を行うことができる。その結果、マスクプレート90の略中央部のみならず、撮像領域R〜R40の全体に亘って開口部91の実寸法を正確に計測することができる。
【0071】
また、本実施形態では、1つの撮像領域Rにおいて、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定した後、上面90aを撮像するとともに、測定された距離Lに基づいてカメラ縮尺Sを調整して撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する一連の処理を行うように制御部85を構成している。これにより、1つの撮像領域Rにおいて、距離Lの測定から撮像された開口部91の実寸法への換算処理までの一連のデータ処理を完結させることができる。その結果、個々の撮像領域における開口部91の実寸法値をより迅速に得ることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記した一連の処理を複数の撮像領域R〜R40の全てに亘って順次繰り返す制御を行うように制御部85を構成している。これにより、マスクプレート90上の一度の一筆書き状の走査(スキャン動作)により、マスクプレート90全体の開口部91の実寸法を計測することができる。これにより、スキャニング時のカメラ15の無駄な動きが減る分、マスクスキャンの時間短縮を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態では、撮像領域Rで撮像された画像Gと、撮像領域Rに隣接する撮像領域R、R、R、R、R、R12、R13およびR14の各々で撮像された画像G、G、G、G、G、G12、G13およびG14との一部がそれぞれオーバラップするようにカメラ15を移動させる制御を行うように制御部85を構成している。これにより、画像Gと画像Gの周囲に位置する画像G、G、G、G、G、G12、G13およびG14との一部が重なるように撮像されるので、撮像もれをなくすことができる。この結果、撮像領域R〜R40の全体に亘って開口部91の実寸法を正確に計測することができる。
【0074】
また、本実施形態では、カメラ15およびレーザポインタ16が支持部材62に固定されることにより、カメラ15と一体的に移動した状態でカメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定するように構成されている。これにより、カメラ15とカメラ15およびレーザポインタ16との相互の位置関係を維持した状態でカメラ15から上面90aまでの距離Lを測定することができる。これにより、カメラ15がマスクプレート90上をどのような撮像位置に移動して上面90aの撮像を行っても、カメラ15とレーザポインタ16とを同じ条件で機能させることができるので、調整されるカメラ縮尺Sの精度を、異なる撮像位置に関係なく均一化することができる。
【0075】
また、本実施形態では、カメラ15およびレーザポインタ16は、カメラ15が撮像するレーザポインタ16から出射されたレーザ光16aのマスクプレート90上の位置Qに基づいて、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定するように構成されている。これにより、元来、マスクスキャン時やフィデューシャルマーク検出時に使用することを目的として設けられたカメラ15に加えて、比較的構成が簡素なレーザポインタ16を追加するだけで、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを精度よく測定することができる。
【0076】
また、本実施形態では、カメラ15の光軸15aが、スクリーンマスクにおけるカメラ15が撮像する撮像領域Rの略中央部(図5の位置P)に配置されており、レーザポインタ16は、レーザポインタ16から出射されるレーザ光16aが、撮像領域Rに対応するマスクプレート90の上面90aの中央部近傍(図5の位置P近傍)に照射されるように昇降機構部52に固定されている。これにより、撮像領域Rのうちの被写体の形状が最も正確に撮像される中央部において、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの光軸15aに沿った距離Lを精度よく求めることができる。したがって、より正確に測定された距離Lを用いてカメラ縮尺Sが得られる分、マスクプレート90が有する開口部91の寸法をより正確に計測することができる。
【0077】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0078】
たとえば、上記実施形態では、カメラ縮尺Sを調整する手法として、装置本体側に予め設定されているカメラ縮尺S(基準距離Lでのカメラ縮尺)と、実測された距離Lに基づいて算出された調整値ΔSとを用いてカメラ縮尺Sを決定した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定部により測定された距離に基づいて撮像された画像を実寸法に換算するための換算係数を求める手法であれば、上記以外の手法を適用してもよい。たとえば、カメラ縮尺Sを用いることなく実測された距離Lから直接的にカメラ縮尺Sを算出するアルゴリズムを適用してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、カメラ15およびレーザポインタ16により本発明の「測定部」を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定部が内蔵されたカメラを用いて、カメラからマスクプレート90の上面90aまでの距離を直接測定するように構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、撮像領域R毎に撮像された開口領域92の画像を開口部91が写り込んでいるか否かに関係なく実寸法に換算する画像処理を行うように制御部85が実行する制御フロー(図9のステップS5)を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、撮像された画像に開口部91の少なくとも一部が含まれていることを判断した場合に、距離Lに基づいてカメラ縮尺Sを調整して開口部91の大きさを実寸法に換算する処理を行うように制御部85を構成してもよい。この変形例のように構成すれば、撮像された画像に開口部91が全く含まれていない場合には、その画像を実寸法に換算する処理を省略してもよいので、処理が省略される分、制御部85の負荷を抑制することができる。さらには、画像処理が省略される分、次の撮像領域へカメラ15を迅速に移動させることができるので、マスクスキャンに要する合計時間をより短縮することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、撮像領域毎にカメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定して、距離Lに基づいたカメラ縮尺Sの調整処理を行うように制御部85を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の撮像領域R〜R40のうちの「特定の撮像領域」についてのみ距離Lを測定してカメラ縮尺Sの調整を行うようにしてもよい。この場合、距離Lが測定された現在の撮像領域から次に距離Lが測定される撮像領域までの間は、現在の撮像領域を基準に調整されたカメラ縮尺Sを維持するようにしてもよい。
【0082】
なお、上記変形例における「特定の撮像領域」としては、たとえば、図1に示すように、マスク支持部31(フレーム95)から離間したマスクプレート90の略中央部に対応する撮像領域R18またはR23(図7における開口領域92の中央部)を選択するのが好ましい。この変形例のように構成すれば、マスクプレート90は、マスク支持部31の近傍領域よりもマスク支持部31から離間したマスク中央部での撓み(反り)がより顕著となるので、撓み(反り)の大きな領域に対応する撮像領域において確実にカメラ縮尺Sを調整することができる。これにより、撓み(反り)の大きな領域に形成されている開口部91の正確な実寸法を確実に得ることができる。
【0083】
また、上記実施形態では、予め定められた互いに異なる2つの距離(参照距離)LおよびLと、各々の距離で予め設定されたカメラ縮尺(参照換算係数)SおよびSとに基づいて一次関数としての比例定数(補正係数)kを定めた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、参照距離をさらに増やして参照換算係数の数をより多く設定しておき、補正係数を、距離に応じた変数としてきめ細かく設定するように構成してもよい。補正係数を比例定数ではなく変数として設定することにより、撮像部の特性(撮像距離の変化に応じた撮像特性)に応じて調整された補正係数を使用して、調整換算係数(カメラ縮尺S)をより精度よく得ることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、1台のレーザポインタ16を用いて位置P−Q間の水平距離Dを計測する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、カメラ15の側方に複数のレーザポインタを設けてもよい。レーザポインタが1台の場合、レーザ光16aが開口部91の内部に照射された場合には、照射点を示す位置Qが上面90aに正確に現れない。したがって、複数のレーザポインタを用いることにより、位置Qが確実に上面90aに現れる確率を向上させることができるので、水平距離Dをより確実に計測することができる。また、複数のレーザポインタを用いる代わりに、位置決め用に用いられるラインレーザを使用してもよい。ラインレーザでは、レーザ光の照明箇所が線状(直線状)になるので、レーザ光の一部が開口部91に重なる場合にも、開口部91に重ならないレーザ光の照射部分に基づいて、水平距離Dを計測することが可能である。また、レーザポインタ以外の測定部として、たとえば、レーザ変位計などを用いてカメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを直接計測するように構成してもよい。この場合、レーザ変位計から出射されるレーザ光をカメラ15の光軸15aに極力接近させ、かつ、光軸15aと略平行に出射されるようにレーザ変位計を配置するのが好ましい。また、レーザ変位計から出射されるレーザ光をレーザポインタ16の場合と同様に傾斜させてもよい。ただし、レーザ変位計が上面90aからの反射光(戻り光)を検知可能である範囲での傾斜角度に限られる。
【0085】
また、上記実施形態では、開口領域92の撮像領域を40分割(R〜R40)した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、40分割よりも少ない分割数で開口領域92を分割してマスクスキャンを行うように構成してもよい。この場合、カメラ15により撮像される個々の撮像領域は40分割の場合(約5mm角)よりも広範囲となるが、調整されたカメラ縮尺Sを用いて開口部91の寸法を正確に計測することができる分、より広範囲な撮像領域(視野領域)を有するカメラを使用することが可能である。この結果、マスクスキャンに要する時間をより短縮することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、マスクプレート90の上方にカメラ15を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図10に示す変形例のように印刷装置200を構成してもよい。具体的には、基板搬送部20と印刷部30との間にマスクプレート90を下方(Z2側)から観察するようにカメラ15およびレーザポインタ16を設けてもよい。この場合、印刷部30は、マスク支持部31の下面側に設けられ、Y方向に沿って移動可能に取り付けられたビーム部材201を備えている。また、カメラヘッド部202が、ビーム部材201に対してX方向に移動可能に取り付けられている。そして、カメラ15は、レンズを上向き(Z1方向)の状態にしてカメラヘッド部202のY1側の側面に固定されている。これにより、カメラ15およびレーザポインタ16は、コンベア75および昇降テーブル76がカメラ15よりも下方(Z2側)に位置した状態で、X−Y平面内の任意の位置に移動することが可能となる。このように構成しても、マスクプレート90のマスクスキャンを行うことが可能であるので、上記実施形態に例示した制御部85の画像処理を印刷装置200にも適用することができる。なお、半田印刷時には、マスクプレート90の下方にプリント基板150が配置されるので、プリント基板150に印刷された半田のサイズは、プリント基板150に接するマスクプレート90の下面での開口部91のサイズに対応する。したがって、カメラ15が下方から撮像することにより下面での開口サイズを計測する方が、上面90a側での開口サイズを計測する場合よりも印刷される半田の形状によりよく対応した計測データを得ることができる。なお、印刷装置200は、本発明の「スクリーンマスクの計測装置」の一例である。
【0087】
また、上記実施形態では、印刷装置100が有する諸機能を利用するとともに印刷装置100にカメラ15およびレーザポインタ16を組み込んでマスクプレート90のマスクスキャンを担わせる例について示したが、本発明はこれに限られない。マスクプレート90のスキャン動作を行う専用の計測装置に、本発明を適用してもよい。すなわち、マスクプレート90を固定する固定部と、マスクプレート90を撮像するカメラ15と、カメラ15からマスクプレート90の上面90aまでの距離Lを測定するために使用されるレーザポインタ16と、カメラ15により上面90aを撮像するマスクスキャン動作を行う際に、カメラ15とレーザポインタ16とにより測定された距離Lに基づいて、撮像された画像を実寸法に換算するカメラ縮尺Sを調整する制御部85とを備えたスクリーンマスクの計測装置を、印刷装置100とは別に単体で構成してもよい。印刷装置におけるマスクスキャンは、印刷動作と比較した場合にもその使用頻度が低い傾向にある。したがって、上記構成を備えた専用の計測装置を実現することにより、マスクスキャンのための準備作業などが省かれて、オペレータの負担が軽減される。
【符号の説明】
【0088】
15 カメラ(撮像部、測定部)
16 レーザポインタ(測定部)
31 マスク支持部(固定部)
62 支持部材(ヘッド部)
85 制御部
90 マスクプレート(スクリーンマスク)
90a 上面(スクリーンマスクの表面)
91 開口部
95 フレーム(スクリーンマスク)
100、200 印刷装置(スクリーンマスクの計測装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクの表面を撮像して画像を取得する撮像部と、
前記撮像部から前記スクリーンマスクの表面までの距離を測定する測定部と、
前記測定部により測定された前記距離に基づいて、撮像された前記画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部とを備える、スクリーンマスクの計測装置。
【請求項2】
前記換算係数は、前記撮像部と被写体との距離が基準距離で撮像された画像に基づくデータをもとに前記被写体の実寸法を換算する基準換算係数を含み、
前記制御部は、前記測定部により測定された前記距離および前記基準換算係数に基づいて前記換算係数を調整する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項3】
前記換算係数は、前記測定部により測定された前記距離および前記基準換算係数に基づいて調整された調整換算係数をさらに含み、
前記調整換算係数は、前記基準換算係数と、前記基準距離と前記撮像部から撮像中の前記スクリーンマスクの表面までの距離との差分に補正係数を乗じて得られる調整値との和として規定されている、請求項2に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項4】
前記補正係数は、予め定められた互いに異なる複数の参照距離間の差分と、前記複数の参照距離の各々に対応して予め設定された参照換算係数間の差分との比として定められた定数である、請求項3に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項5】
前記スクリーンマスクを固定する固定部をさらに備え、
前記撮像部は、前記スクリーンマスクの表面に沿って複数の撮像位置に移動して複数の撮像領域を撮像可能に構成されており、
前記制御部は、前記固定部から離間した前記スクリーンマスクの少なくとも略中央部に対応する撮像位置での撮像領域において、前記撮像部から撮像中の前記スクリーンマスクの表面までの距離に基づいて前記換算係数を調整する制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記スクリーンマスク上に設定された複数の撮像領域の各々において、前記撮像部から撮像中の前記スクリーンマスクの表面までの距離に基づいて前記換算係数を調整することにより、前記撮像部が前記撮像領域毎に撮像した画像に基づくデータの実寸法を得る制御を行うように構成されている、請求項5に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項7】
前記制御部は、1つの前記撮像領域において、前記撮像部から前記スクリーンマスクの表面までの距離を測定した後、前記スクリーンマスクの表面を撮像するとともに、測定された前記距離に基づいて前記換算係数を調整して撮像された画像に基づくデータを実寸法に換算する一連の処理を行うとともに、各々の前記撮像領域において、前記一連の処理を繰り返す制御を行うように構成されている、請求項6に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の撮像領域のうちの第1撮像領域で撮像された第1画像と、前記第1撮像領域に隣接する第2撮像領域で撮像された第2画像との一部がオーバラップするように前記撮像部を移動させる制御を行うように構成されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項9】
前記撮像部が取り付けられ、前記スクリーンマスクの表面に沿って移動可能なヘッド部をさらに備え、
前記測定部は、前記ヘッド部に固定されることにより、前記撮像部と一体的に移動した状態で前記撮像部から前記スクリーンマスクの表面までの距離を測定するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項10】
前記測定部は、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光により対象物の一点を指し示すレーザポインタ、または、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を線状に照射するラインレーザを含み、
前記測定部は、前記撮像部が撮像する前記レーザポインタまたは前記ラインレーザから出射されたレーザ光の前記スクリーンマスク上の照射点位置に基づいて、前記撮像部から前記スクリーンマスクの表面までの距離を測定するように構成されている、請求項9に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項11】
前記撮像部の光軸は、前記スクリーンマスクにおける前記撮像部が撮像する撮像領域の略中央部に配置されており、
前記レーザポインタまたは前記ラインレーザは、前記レーザポインタまたは前記ラインレーザから出射されるレーザ光が、前記撮像領域に対応する前記スクリーンマスクの表面の中央部近傍に照射されるように前記ヘッド部に固定されている、請求項10に記載のスクリーンマスクの計測装置。
【請求項12】
スクリーンマスクを固定する固定部と、
前記スクリーンマスクの表面を撮像して画像を取得する撮像部と、
前記撮像部から前記スクリーンマスクの表面までの距離を測定する測定部と、
前記撮像部により前記表面を撮像するマスクスキャン動作を行う際に、前記測定部により測定された前記距離に基づいて、撮像された前記画像に基づくデータを実寸法に換算する換算係数を調整する制御部とを備える、印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−112779(P2012−112779A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261542(P2010−261542)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】