説明

スクリーン印刷ラインおよびスクリーン印刷方法

【課題】より実用的なスクリーン印刷ラインを提供する。
【解決手段】複数台のスクリーン印刷機10と、それら複数台のスクリーン印刷機10の各々の上流側と下流側とのいずれかの複数台のシャトルコンベヤ12とを含むスクリーン印刷ラインにおいて、スクリーン印刷機10を、本体と、基板支持装置を有する前コンベヤ22と、回路基板の通過を許容する後コンベヤ24と、基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含むものとする。また、複数台のシャトルコンベヤ12を前コンベヤ22に連なる位置と後コンベヤ24に連なる位置とへ移動可能な可動コンベヤ152を含むものとする。基板支持装置と可動コンベヤ152との少なくとも一方に基板識別装置268を設け、その基板識別装置268の識別結果に基づいて、作動態様決定部によりスクリーン印刷機10とシャトルコンベヤ12との少なくとも一方の作動態様を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のスクリーン印刷機を含むスクリーン印刷ラインおよびそのスクリーン印刷ラインにおいて行われるスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、下記の特許文献1に記載されているように、印刷装置および基板搬送支持装置を備え、スクリーン印刷機内に回路基板が搬入され、被印刷剤が印刷される。印刷後、回路基板はスクリーン印刷機から搬出され、回路基板に作業を行う対基板作業機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−15307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、スクリーン印刷機から対基板作業機への回路基板の供給が間に合わない事態が発生するようになった。例えば、対基板作業機の一種である電子回路部品装着機を複数台含む電子回路部品装着ラインにおいて、回路基板への電子回路部品の装着サイクルタイムの短縮が図られており、装着サイクルタイムが回路基板への被印刷剤の印刷サイクルタイムより短くなれば、回路基板の供給が間に合わなくなるのである。
そこで、本出願人は、1つの電子回路部品装着ラインに対してスクリーン印刷機を2台設けることを考えた。各スクリーン印刷機を前部と後部とに2台のコンベヤを備えたものとし、一方のスクリーン印刷機では前部のコンベヤに基板支持装置を設け、他方のスクリーン印刷機では後部のコンベヤに基板支持装置を設けるのである。2台のスクリーン印刷機にはコンベヤを前同士,後同士で連なる状態で設け、回路基板の搬送方向において上流側のスクリーン印刷機の基板支持装置が設けられたコンベヤに供給された回路基板は、基板支持装置により支持されて印刷装置により被印刷剤が印刷され、下流側のスクリーン印刷機の基板支持装置が設けられていないコンベヤにより搬送されて電子回路部品装着ラインに供給されるようにする。また、上流側のスクリーン印刷機の基板支持装置が設けられていないコンベヤに供給された回路基板は、そのスクリーン印刷装置を通過して下流側のスクリーン印刷機の基板支持装置が設けられたコンベヤへ搬入され、被印刷剤が印刷された後、電子回路部品装着ラインに供給されるようにする。このように2台のスクリーン印刷機によってスクリーン印刷ラインを構成すれば、対基板作業ラインへの回路基板の供給サイクルタイムを短縮し得るのであるが、実用上、未だ十分とは言えない点があることが判明した。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、より実用的なスクリーン印刷ラインの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によって、(A)(a)本体と、(b)基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、(c)前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、(d)前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含むスクリーン印刷機と、(B)そのスクリーン印刷機の上流側と下流側とのいずれか一方に配設され、前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含むシャトルコンベヤと、(C)前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方に設けられ、回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置と、(D)その基板識別装置の識別結果に基づいて、前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部とを含むスクリーン印刷ラインが得られる。
また、左右に並んで配設され、それぞれ回路基板にスクリーン印刷を行う複数台のスクリーン印刷機と、それら複数台のスクリーン印刷機の各々の上流側と下流側とのいずれかに設置されて回路基板を搬送する複数台のシャトルコンベヤとを含むスクリーン印刷ラインであって、前記複数台のスクリーン印刷機の各々が、本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含み、前記複数台のシャトルコンベヤの各々が、少なくとも前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含み、かつ、前記複数台のスクリーン印刷機と前記複数台のシャトルコンベヤとの少なくとも一方が回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置を含むとともに、当該スクリーン印刷ラインが、前記基板識別装置の識別結果に基づいて前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部を含むスクリーン印刷ラインが得られる。
【発明の効果】
【0006】
上記スクリーン印刷機,シャトルコンベヤ,読取装置および作動状態決定部を含むスクリーン印刷ラインによれば、回路基板の種類の識別に基づいてスクリーン印刷機とシャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定することができるため、間違った回路基板に印刷が行われてしまうことと、シャトルコンベヤの可動コンベヤが不適設な位置へ移動させられてしまうこととの少なくとも一方を良好に防止することができる。
また、上記複数台のスクリーン印刷機と複数台のシャトルコンベヤとの少なくとも一方が読取装置を含むスクリーン印刷ラインによれば、印刷ライン中において一部の回路基板が作業者により抜き取られたり、挿入されたりする等により、印刷ラインを流れる回路基板の順序が予定と変わった場合でも、間違った回路基板に印刷が行われてしまうことと、シャトルコンベヤの可動コンベヤが不適設な位置へ移動させられてしまうこととの少なくとも一方を良好に防止することができる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、特許請求の範囲に記載された発明である本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(15)項が請求項1に相当し、(16)項が請求項2に、(17)項が請求項3に、(18)項が請求項4に、(19)項が請求項5にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)左右に並んで配設され、それぞれ回路基板にスクリーン印刷を行う複数台のスクリーン印刷機と、それらスクリーン印刷機のうちの互いに隣接するものである隣接スクリーン印刷機の間に配設されて回路基板を中継する1台以上のシャトルコンベヤとを含むスクリーン印刷ラインであって、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々が、基板支持装置を有して各スクリーン印刷機の前部に設けられた前コンベヤと、各スクリーン印刷機の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含み、前記1台以上のシャトルコンベヤの各々が、前記隣接スクリーン印刷機の少なくとも前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含むことを特徴とするスクリーン印刷ライン。
本態様のスクリーン印刷ラインにおいては、複数台のスクリーン印刷機のいずれについても前コンベヤに基板支持装置が設けられ、前部において印刷が行われるが、隣接するスクリーン印刷機の間にシャトルコンベヤが設けられているため、上流側のスクリーン印刷機において印刷の済んだ回路基板は下流側のスクリーン印刷機の後コンベヤによりその下流側のスクリーン印刷機を通過させられ、印刷の済んでいない回路基板は下流側のスクリーン印刷機の前コンベヤに搬入されて被印刷剤が印刷されるようにすることができ、複数台のスクリーン印刷機に並行して印刷を行わせることができる。したがって、本発明に係るスクリーン印刷ラインによれば、複数台のスクリーン印刷機によって印刷が並行して行われることによる効果が得られる上、複数台のスクリーン印刷機のいずれにおいても前部に基板支持装置および印刷装置が設けられるため、作業者はそれら装置に容易にアクセスすることができ、段取替え,清掃,被印刷剤の補給等の作業を容易に行うことができる。
(2)前記複数台のスクリーン印刷機が2台のスクリーン印刷機である(1)項に記載のスクリーン印刷ライン。
簡単な構成で(1)項に記載の発明の効果を有効に享受することができる。例えば、必要に応じて同種あるいは異種の印刷を並行して行うことができ、(a)印刷能率の向上,(b)印刷剤が印刷された異種の回路基板の供給可能、(c)印刷中断によるスクリーン印刷機からの基板供給中断の回避の少なくとも1つの効果が得られる。
(3)前記複数台のスクリーン印刷機が3台のスクリーン印刷機であり、それら3台のスクリーン印刷機のうちの前記隣接スクリーン印刷機の間に前記シャトルコンベヤが1台ずつ配設された(1)項に記載のスクリーン印刷ライン。
スクリーン印刷機の数が多いほど、供給能率の大幅な向上や、印刷態様の多様化を図ることが容易となる。
(4)前記複数台のスクリーン印刷機が4台のスクリーン印刷機であり、それら4台のスクリーン印刷機のうちの前記隣接スクリーン印刷機の間に前記シャトルコンベヤが1台ずつ配設された(1)項に記載のスクリーン印刷ライン。
(5)前記複数台のスクリーン印刷機のうちの最上流のものである最上流スクリーン印刷機の上流側に前記シャトルコンベヤが配設された(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のスクリーン印刷ライン。
最上流スクリーン印刷機の前コンベヤと後コンベヤとに選択的に回路基板を供給することができる。
(6)前記複数台のスクリーン印刷機のうちの最下流のものである最下流スクリーン印刷機の下流側に前記シャトルコンベヤが配設された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載のスクリーン印刷ライン。
スクリーン印刷ラインの下流側に配設される装置がコンベヤを1レーンのみ含む場合は勿論、スクリーン印刷ラインの下流側に配設される装置が前コンベヤと後コンベヤとの2レーンを含む場合であっても、それら両コンベヤの少なくとも一方の前後方向の位置と、スクリーン印刷機の前コンベヤと後コンベヤとの少なくとも一方の前後方向の位置とが互いに異なる場合に有効である。シャトルコンベヤは、最下流のスクリーン印刷機の前,後コンベヤおよび下流側に配設される装置の前,後コンベヤの全部に対応する位置へ可動コンベヤが移動可能な構成とされることが望ましい。
(7)前記シャトルコンベヤが、前記前コンベヤとの間で回路基板の授受を行う位置よりさらに前へ前記可動コンベヤを移動させ得る構成を有する(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷ライン。
作業者は可動コンベヤに対する作業、例えば、回路基板に対する印刷状態の点検や、回路基板の抜出しや、可動コンベヤの保守,点検を可動コンベヤの近くで行うことができ、作業が容易となる。
(8)前記前コンベヤが、(a)前記基板支持装置を有するメインコンベヤと、(b)そのメインコンベヤの上流側に配設されて回路基板を前記スクリーン印刷機に搬入するインコンベヤと前記メインコンベヤの下流側に配設されて回路基板を前記スクリーン印刷機から搬出するアウトコンベヤとの少なくとも一方とを含む(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のスクリーン印刷ライン。
回路基板をインコンベヤにより前コンベヤの基板支持装置近くまで搬入し、印刷が可能な状態になれば、直ちに基板支持装置に搬入し、支持させて印刷を行うことができ、あるいは、印刷の済んだ回路基板をアウトコンベヤにおいて搬出に備えて待機させておくことができ、それによって、回路基板の搬入,搬出に要する時間を短縮し、スクリーン印刷機の稼働率を向上させることができる。
(9)前記インコンベヤと前記アウトコンベヤとの少なくとも一方が、(a)その少なくとも一方の搬送幅方向を長手方向とするストッパ板と、(b)そのストッパ板を、前記少なくとも一方の搬送経路内に位置して回路基板に当接可能な作用位置と、前記搬送経路から退避して回路基板の通過を許容する退避位置とに移動させるストッパ板移動装置とを含む(8)項に記載のスクリーン印刷ライン。
インコンベヤやアウトコンベヤにおける回路基板の停止位置精度はメインコンベヤのそれに比較して低くて差し支えないのが普通である。その事実を利用して、回路基板が搬送幅方向において長くストッパ板に当接し、安定して停止するようにすること、あるいは、回路基板の搬送方向における下流側の端縁が単純な直線ではない場合でもストッパ装置の調節を行う必要がないようにすることができる。
本項に記載の特徴は(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の特徴とは別個に採用することができる。
(10)前記インコンベヤと前記アウトコンベヤとの前記少なくとも一方が、前記ストッパ板に回路基板が当接した状態でその回路基板が前記少なくとも一方の上流側の端からさらに上流側へ突出することを許容する構成とされた(9)項に記載のスクリーン印刷ライン。
インコンベヤとアウトコンベヤとの少なくとも一方を搬送方向においてコンパクトに構成することができる。
(11)(2)項に記載のスクリーン印刷ラインにより行うスクリーン印刷方法であって、
前記2台のスクリーン印刷機の各々に互いに同一であるマスクを取り付け、それら2台のスクリーン印刷機において同じ型番の回路基板の同じ側の面への印刷を並行して行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
本項に記載の方法によれば、回路基板の表裏一方の面についてのサイクルタイムを半減させることができる。また、一方のスクリーン印刷機において印刷が中断されても、他方のスクリーン印刷機において印刷が行われるため、表裏一方の面に被印刷剤が印刷された回路基板の次工程への供給が中断されず、次工程の作業が中断されることがない。
(12)(2)項に記載のスクリーン印刷ラインにより行うスクリーン印刷方法であって、
前記2台のスクリーン印刷機の各々に互いに異なるマスクを取り付け、それら2台のスクリーン印刷機において互いに型番を異にする回路基板への印刷、または互いに同一の型番の回路基板の表面と裏面とへの印刷を並行して行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
型番を異にし、被印刷剤が印刷された2種類の回路基板が並行して得られ、または型番が同じであるが、表面に印刷が行われた回路基板と裏面に印刷が行われた回路基板とが並行して得られる。そのため、被印刷剤が印刷された回路基板に電子回路部品が装着される場合、電子回路部品が装着された異種の回路基板が連続して得られる。あるいは、所定枚数の回路基板の全部について表面への電子回路部品の装着が行われることを待つことなく、裏面への電子回路部品の装着を行うことができ、表裏両面に電子回路部品が装着された回路基板が迅速に得られる。
(13)(3)項に記載のスクリーン印刷ラインにより行うスクリーン印刷方法であって、
前記3台のスクリーン印刷機の各々に互いに異なるマスクを取り付け、それら3台のスクリーン印刷機において互いに型番を異にする3種類の回路基板への印刷を並行して行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
型番を異にする3種類の回路基板についての被印刷剤の印刷に対応することができる。(14)(4)項に記載のスクリーン印刷ラインにより行うスクリーン印刷方法であって、
前記4台のスクリーン印刷機の2台ずつに互いに同一のマスクを取り付け、それら2台ずつのスクリーン印刷機において、互いに型番を異にする回路基板への印刷、または互いに同一の型番の回路基板の表面と裏面とへの印刷を並行して行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
スクリーン印刷ラインにおけるスループット、例えば、スクリーン印刷ラインにおいて単位時間当たりに印刷し得る回路基板の数が、(12)項に記載のスクリーン印刷方法が行われるスクリーン印刷ラインの倍になり、下流側の電子回路部品装着ライン等の対回路基板作業ラインの稼働率が向上する。また、同じ印刷を行う2台のスクリーン印刷機の印刷が同時に中断されない限り、種類を異にする印刷が行われた2種類の回路基板が必ず得られ、次工程においていずれかの種類の回路基板について供給を待つ可能性が低減される。
(15)本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含むスクリーン印刷機と、
そのスクリーン印刷機の上流側と下流側とのいずれか一方に配設され、前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含むシャトルコンベヤと、
前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方に設けられ、回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置と、
その基板識別装置の識別結果に基づいて、前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部と
を含むスクリーン印刷ライン。
基板識別装置は、スクリーン印刷機とシャトルコンベヤとのうち少なくとも上流側に設置されるものに配設されることが望ましい。シャトルコンベヤが上流側に設置される場合には、作動態様決定部は、少なくともシャトルコンベヤの可動コンベヤがスクリーン印刷機の前コンベヤと後コンベヤとのいずれに連なる位置へ移動すべきかを決定するものとされる。また、スクリーン印刷機が上流側に設置される場合には、作動態様決定部は、少なくともスクリーン印刷機が回路基板に印刷を行うべきか否かを決定するものとされる。基板識別装置がスクリーン印刷機とシャトルコンベヤとの両方に配設される場合については後述する。
基板識別装置としては、例えば、回路基板に付されたバーコード,二次元コード等の識別コードを読み取る光学的読取装置や、回路基板に付されたRFID(Radio Frequency Identification)タグとの通信により回路基板の識別コードを取得するRFIDタグリーダライタ等の通信型認識装置を採用することができる。また、識別コードとしては、回路基板の種類を表すものとしたり、種類のみならず個々の回路基板を識別可能なものとしたりすることができる。
本項のスクリーン印刷ラインは単独で使用することも、下記のスクリーン印刷ラインの一構成単位として使用することも可能である。いずれにしても、回路基板の種類の識別に基づいてスクリーン印刷機とシャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様が決定されるため、間違った回路基板に印刷が行われてしまったり、可動コンベヤが前コンベヤと後コンベヤとのうち不適切なものに連なる位置へ移動させられてしまったりすることを良好に防止することができる。
(16)左右に並んで配設され、それぞれ回路基板にスクリーン印刷を行う複数台のスクリーン印刷機と、それら複数台のスクリーン印刷機の各々の上流側と下流側とのいずれかに設置されて回路基板を搬送する複数台のシャトルコンベヤとを含むスクリーン印刷ラインであって、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々が、本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含み、前記複数台のシャトルコンベヤの各々が、少なくとも前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含み、かつ、前記複数台のスクリーン印刷機と前記複数台のシャトルコンベヤとの少なくとも一方が回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置を含むとともに、当該スクリーン印刷ラインが、前記基板識別装置の識別結果に基づいて前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部を含むことを特徴とするスクリーン印刷ライン。
前記 (2)項ないし(10)項に記載の特徴は、本(16)項から下記(21)項までに記載のスクリーン印刷ラインにも適用可能である。
(17)当該スクリーン印刷ラインが、前記複数台のスクリーン印刷機の各々を制御する複数の制御コンピュータと、それら制御コンピュータに接続されたホストコンピュータとを含み、前記基板識別装置が前記複数台のシャトルコンベヤの各々に設けられるとともに前記ホストコンピュータに接続され、そのホストコンピュータが前記作動態様決定部を含み、その作動態様決定部が決定した作動態様で前記スクリーン印刷機を作動させることを前記制御コンピュータに指令する(16)項に記載のスクリーン印刷ライン。
制御コンピュータをシャトルコンベヤをも制御するものとすることが可能であり、その場合には、制御コンピュータが、ホストコンピュータの指令に基づいて、シャトルコンベヤを作動態様決定部が決定した作動態様で作動させるようにすることも可能である。
(18)前記基板識別装置が前記複数台のシャトルコンベヤの各々に設けられ、前記作動態様決定部が、前記基板識別装置の各々による識別結果に基づいて、前記可動コンベヤの各々がそれらの下流側に配設されている前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置とのいずれに移動させられるべきかを決定する(16)に記載のスクリーン印刷ライン。
前コンベヤに供給された回路基板には必ず印刷が行われるようにすれば、可動コンベヤがスクリーン印刷機の前コンベヤに連なる位置と後コンベヤに連なる位置とのいずれに移動させられるべきかを決定することは、取りも直さず、下流側に配設されたスクリーン印刷機により印刷が行われるべきか否かを決定することになる。
(19)当該スクリーン印刷ラインが、前記複数台のスクリーン印刷機の各々を制御する複数の制御コンピュータを含み、前記基板識別装置が前記複数台のスクリーン印刷機の各々の前記前コンベヤに設けられ、前記作動態様決定部が前記複数の制御コンピュータの各々に設けられ、当該制御コンピュータに対応する前記スクリーン印刷機が前記基板識別装置により識別された回路基板に印刷を行うべきか否かを決定する(16)項に記載のスクリーン印刷ライン。
基板識別装置をスクリーン印刷機の前コンベヤに設ければ、スクリーン印刷ラインの途中で回路基板の抜取りや挿入が行われた場合でも、間違った印刷が行われることを防止することができる。
また、印刷装置には、回路基板の基準マークを認識する基準マーク認識装置が設けられるのが普通であるため、その基準マーク認識装置を基板識別装置として利用すれば、装置コストの低減を図ることができる。あるいは、基準マーク認識装置とは別に基板識別装置を設ける場合でも、基準マーク認識装置を移動させるための移動装置を基板識別装置の移動装置として利用すれば、装置コストの低減を図ることができる。
(20)前記基板識別装置が、前記複数台のシャトルコンベヤの各々と前記複数台のスクリーン印刷機の各々との両方に設けられ、前記作動態様決定部が、
前記複数台のシャトルコンベヤの各々に設けられた基板識別装置による識別結果に基づいて、各シャトルコンベヤの可動コンベヤが下流側の前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤと前記後コンベヤとのいずれに連なる位置移動させられるべきかを決定する移動位置決定部と、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々に設けられた前記基板識別装置による識別結果に基づいて、それら基板識別装置により識別された回路基板に、各基板識別装置が設けられた前記スクリーン印刷機により印刷が行われるべきか否かを決定する印刷決定部と
を含む(16)項に記載のスクリーン印刷ライン。
本項の構成を採用すれば、前コンベヤと後コンベヤとへの回路基板の引渡しが間違って行われることを防止することができるとともに、シャトルコンベヤにおいて回路基板の識別が行われた後に回路基板の抜取りや挿入が行われた場合でも間違った印刷が行われることを防止することができる。
(21)左右に並んで配設され、それぞれ回路基板にスクリーン印刷を行う複数台のスクリーン印刷機と、それら複数台のスクリーン印刷機の互いに隣り合うものの間に配設されて上流側のスクリーン印刷機から下流側のスクリーン印刷機に回路基板を中継する1台以上のシャトルコンベヤとを含むスクリーン印刷ラインであって、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々が、本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含み、かつ、当該スクリーン印刷ラインが、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々に設けられ、回路基板の少なくとも種類を識別する複数の基板識別装置と、
それら基板識別装置による識別結果に基づいて、その識別された回路基板に、それら基板識別装置の各々が設けられている前記スクリーン印刷機が印刷を行うべきか否かを決定する印刷決定部と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷ライン。
本項の構成を採用すれば、スクリーン印刷ラインの途中で回路基板の抜取りや挿入が行われた場合でも間違った印刷が行われることを確実に防止することができる。
なお、前記(11)項ないし(14)項に記載のスクリーン印刷方法は、上記(16)項ないし(21)項に記載のスクリーン印刷ラインを使用して実施することもできる。
また、上記(16)項ないし(21)項に記載のスクリーン印刷ラインにおいて、スクリーン印刷機を、本体の前部に設けられた前コンベヤと後部に設けられた後コンベヤとの両方に基板支持装置が設けられ、それら両方の基板支持装置に支持された回路基板に対してスクリーン印刷を行い得る印刷装置を含むものとすることも可能である。その場合、スクリーン印刷機に基板識別装置が設けられる態様においては、2つの基板支持装置の各々に対して基板識別装置が設けられることが望ましい。上記「前コンベヤと後コンベヤとの両方の基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う得る印刷装置」としては、例えば、両方の基板支持装置にそれぞれ対応した2つの印刷装置や、両方の基板支持装置に対応する位置へ移動可能な1つの印刷装置を採用することができる。
また、上記(16)項ないし(21)項に記載のスクリーン印刷ラインにおいて、複数台のスクリーン印刷機を、本体の前部に設けられた前コンベヤに基板支持装置が設けられたスクリーン印刷機と、本体の後部に設けられた後コンベヤに基板支持装置が設けられたスクリーン印刷機との両方を含むものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインを示す斜視図である。
【図2】上記スクリーン印刷ラインを構成する2台ずつのスクリーン印刷機およびシャトルコンベヤのうちの1台ずつを示す平面図である。
【図3】上記スクリーン印刷機を示す側面図である。
【図4】上記スクリーン印刷機のインコンベヤを概略的に示す平面図である。
【図5】上記インコンベヤを示す側面図であり、図5(a)はストッパ板が退避位置に位置する状態を示す図であり、図5(b)は作用位置に位置する状態を示す図である。
【図6】上記電子回路組立ラインを概略的に示す平面図である。
【図7】上記電子回路組立ラインにおける回路基板へのはんだの印刷および電子回路部品の装着の一態様を説明する図である。
【図8】上記電子回路組立ラインにおける回路基板へのはんだの印刷および電子回路部品の装着の別の態様を説明する図である。
【図9】別の実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインにおける回路基板へのはんだの印刷および電子回路部品の装着を説明する図である。
【図10】さらに別の実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインにおける回路基板へのはんだの印刷および電子回路部品の装着を説明する図である。
【図11】さらに別の実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインを概略的に示す平面図である。
【図12】さらに別の実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインを概略的に示す平面図である。
【図13】さらに別の実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインを概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に、請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷ラインを含む電子回路組立ラインを図示する。本電子回路組立ラインは、複数台、本実施形態においては2台のスクリーン印刷機10(以後、印刷機10と略称する)と、1台以上、本実施形態においては2台のシャトルコンベヤ12と、1台以上、本実施形態においては複数台、例えば、4台の電子回路部品装着機14(以後、装着機14と略称する)とを備えている。印刷機10および装着機14は、回路基板に対して作業を施す対基板作業機の一種であり、電子回路組立ラインは対基板作業ラインの一種である。2台の印刷機10は、4台の装着機14に対して、電子回路組立ラインにおける回路基板の搬送方向において上流側に互いに隣接し、搬送方向に平行に左右に並んで配設され、2台のシャトルコンベヤ12の一方は2台の印刷機10の間に設けられ、他方は、最下流の印刷機10である下流側の印刷機10の下流側であって、その印刷機10に隣接する装着機14との間に設けられている。本実施形態においては、左右方向が回路基板の搬送方向であり、搬送方向と直交する方向を前後方向とする。本実施形態においては、左右方向および前後方向はいずれも水平である。
【0013】
2台ずつの印刷機10およびシャトルコンベヤ12はそれぞれ、同様に構成されており、上流側の印刷機10およびシャトルコンベヤ12を代表して説明する。
印刷機10は、図2および図3に示すように、印刷機本体20,前コンベヤ22,後コンベヤ24,マスク保持装置26,印刷装置28および制御装置30を備えている。本マスク保持装置26は、印刷機本体20の、前コンベヤ22の後述するメインコンベヤの上方に設けられ、マスク支持台32上に載置されたマスク34を水平な姿勢で保持する。印刷装置28は、1対のスキージ42,それらスキージ42をマスク34に沿って前後方向に移動させるスキージ移動装置44およびスキージ42を昇降させ、マスク34に接触,離間させるスキージ昇降装置46を含み、印刷機本体20のマスク保持装置26の上方に
設けられている。
【0014】
前記前コンベヤ22は、図2に示すように、印刷機本体20の前部に設けられ、後コンベヤ24は後部に設けられている。前コンベヤ22はメインコンベヤ50と、搬送方向においてメインコンベヤ50の上流側に配設されたインコンベヤ52と、下流側に配設されたアウトコンベヤ54とを含む。メインコンベヤ50は、コンベヤ装置60および基板支持装置62を含む。コンベヤ装置60は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、1対のコンベヤベルト64と、それらコンベヤベルト64をそれぞれ周回させるベルト周回装置66とを含む。1対のコンベヤベルト64はそれぞれ、サイドフレーム68により周回可能に支持され、周回用モータ70を駆動源とするベルト周回装置66により同期して周回させられ、回路基板をその被印刷面が水平となる姿勢で搬送する。
【0015】
1対のサイドフレーム68の一方(図2においては下側のサイドフレーム68)は位置を固定して設けられた固定サイドフレーム68とされ、他方は固定サイドフレーム68に対して接近,離間可能に設けられた可動サイドフレーム68とされ、搬送幅変更装置78により移動させられる。本搬送幅変更装置78は、図2に示すように、駆動源たる幅変更用モータ80と、可動サイドフレーム68が連結されたベルト82と、固定サイドフレーム68およびメインコンベヤ50の本体83にそれぞれ取り付けられ、ベルト82が巻き掛けられたプーリ84とを含む。ベルト82およびプーリ84はそれぞれ、タイミングベルトおよびタイミングプーリとされている。複数のプーリ84のうちの1つが幅変更用モータ80によって回転させられることによりベルト82が移動させられ、可動サイドフレーム68が案内装置(図示省略)により案内されつつ移動させられる。それにより、1対のサイドフレーム68の間隔が変更され、搬送幅が自動で変更される。
【0016】
本実施形態において基板支持装置62は、図3に概略的に示すように、支持部材たる複数の支持ピン90,ピン支持台92および支持台昇降装置94を含み、回路基板96を下方から支持する。また、本実施形態においては、基板支持装置62はコンベヤ装置60と共同して基板クランプ装置を構成し、メインコンベヤ50が昇降装置(図示省略)によって昇降させられることにより、回路基板96がマスク34の下面に接触離間させられる。さらに、図示は省略するが、メインコンベヤ50にはストッパ装置が設けられている。このストッパ装置は、ストッパ部材と、ストッパ部材を水平面内の任意の位置へ移動させるストッパ部材移動装置とを備え、ストッパ部材が所定の位置に位置させられ、回路基板の下流側端に当接して、その移動を止める。
【0017】
前記インコンベヤ52は、図2に示すように、メインコンベヤ50と同様にコンベヤ装置100および搬送幅変更装置102を備えており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。インコンベヤ52のストッパ装置110は、図4および図5に示すように、矩形状のストッパ板112と、ストッパ板移動装置たるストッパ板昇降装置114とを含み、インコンベヤ52の搬送方向において下流側端部に設けられている。
【0018】
ストッパ板昇降装置114はエアシリンダ116により構成されている。エアシリンダは流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダであり、駆動源を構成する。エアシリンダ116は、図4および図5に示すように、インコンベヤ52の本体118に上向きに設けられ、ピストンロッド120の突出端部にストッパ板112が取り付けられている。ストッパ板112は、その長手方向が搬送幅方向に平行となり、板面が搬送方向と直角であって、鉛直となる姿勢でピストンロッド120に取り付けられている。ストッパ板112はまた、搬送方向においては、固定サイドフレーム68および可動サイドフレーム68から下流側へ外れた位置に配設され、ストッパ板昇降装置114はストッパ板112より上流側に配設されている。
【0019】
本印刷機10において回路基板96は、図4に示すように、その長手方向が前コンベヤ22の搬送幅方向に平行となる姿勢で搬送され、ストッパ板112は、被印刷剤たるクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)の印刷が予定されている複数種類の回路基板のうち、長さが最も長い回路基板以上の長さとされている。ストッパ板112は、長手方向の一端部が固定サイドフレーム68側に位置し、他端部は可動サイドフレーム68を超えて延び出させられ、いずれの種類の回路基板についても、その下流側端部の全体に当接して移動を止めることができる。板状のストッパ板112は薄く、インコンベヤ52の下流側端部に設けてもメインコンベヤ50側へはみ出すことがなく、また、インコンベヤ52の幅を大きくすることなく、ストッパ装置を設けることができる。
【0020】
ストッパ板112は、ピストンロッド120の伸縮により、図5(a)に示すように、イ
ンコンベヤ52による回路基板96の搬送経路から下方へ退避して回路基板96の通過を許容する退避位置と、図5(b)に示すように、搬送経路内に位置して回路基板96に当接
し、その移動を止める作用位置とに移動させられる。ストッパ板112の昇降は、案内装置122により案内される。案内装置122は、図5に示すように、ストッパ板112の長手方向の両端部にそれぞれ、鉛直方向に延びる姿勢で設けられた1対の被案内部材としてのガイドロッド124と、固定サイドフレーム68と、本体118の支持部125とにそれぞれ設けられ、ガイドロッド124が昇降可能に嵌合された案内部材としてのガイドブロック126とを含む。前記アウトコンベヤ54は、インコンベヤ52と同様に構成されている。
【0021】
本印刷機10においては、インコンベヤ52およびアウトコンベヤ54の搬送方向の寸法は、はんだの印刷が予定されている全部の種類の回路基板の搬送方向の寸法のうちの最大寸法より短くされている。そのため、回路基板の種類によっては、ストッパ装置110により移動を停止させられた状態において、図2に二点鎖線で示す回路基板96のように、その搬送方向において上流側の端部がコンベヤ52,54から上流側へはみ出す場合がある。このはみ出し量によってはコンベヤ52,54の上流側に配設された装置、本実施形態においてはインコンベヤ52についてはシャトルコンベヤ12、アウトコンベヤ54についてはメインコンベヤ50を作動させることができない場合があり、そのような場合にはコンベヤ52,54から回路基板が搬出されるまで上流側装置の作動が禁止される。
【0022】
前記後コンベヤ24は前コンベヤ22と平行に設けられ、図2に示すように、印刷機10の搬送方向において一方の端から他方の端に至る長さを備えている。後コンベヤ24は、コンベヤ52,54と同様に、コンベヤ装置130,搬送幅変更装置132およびストッパ装置134を備えており、同じ作用を成す構成用要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0023】
印刷機本体20に設けられた各種装置は、図1に示すようにハウジング140により覆われている。ハウジング140の天壁部142の前部は、開閉可能なカバー144とされており、作業者はカバー144を開いてハウジング140内の装置について作業を行う。
【0024】
前記制御装置30は制御コンピュータを主体として構成され、印刷機10を構成する各種装置の駆動源等を制御する。駆動源を構成するモータの多くは、電動モータの一種であり、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであるサーボモータにより構成される。リニアモータにより構成されてもよい。制御装置30は、電子回路組立ライン全体を制御する統括制御装置148(図1参照)により統括して制御される。統括制御装置148はホストコンピュータを主体として構成されている。
【0025】
前記シャトルコンベヤ12は、図2に示すように、コンベヤ本体150と、可動コンベ
ヤ152と、可動コンベヤ移動装置154とを含む。可動コンベヤ152は、コンベヤ装置160,搬送幅変更装置162およびストッパ装置164を備えている。コンベヤ装置160は、前記コンベヤ52,54のコンベヤ装置100と同様に構成され、1対のサイドフレーム166にそれぞれ支持されたコンベヤベルト168と、周回用モータ169を駆動源とし、1対のコンベヤベルト168をそれぞれ周回させるベルト周回装置170とを含む。
【0026】
搬送幅変更装置162は、幅変更用モータ174,ベルト176および複数のプーリ178を含み、固定サイドフレーム166(図2においては下側のサイドフレーム166)と支持フレーム180とにわたって設けられている。幅変更用モータ174の駆動によってベルト176が移動させられることにより、ベルト176に連結された可動サイドフレーム166が固定サイドフレーム166と支持フレーム180とに対して搬送幅方向ないし前後方向の任意の位置へ移動させられる。なお、サイドフレーム166の固定,可動は搬送幅変更上でのことである。
【0027】
可動コンベヤ移動装置154は、図2に示すように、駆動源たるシャトル用モータ190,ベルト192および複数のプーリ194を含む。ベルト192はタイミングベルトとされ、プーリ194はタイミングプーリとされている。複数のプーリ194のうちの1つがシャトル用モータ190により回転させられ、ベルト192が移動させられることにより、ベルト192に連結された固定サイドフレーム166および支持フレーム180が移動させられるとともに、搬送幅変更装置162を介して可動サイドフレーム166が共に移動させられ、可動コンベヤ152が前後方向の任意の位置へ移動させられる。
【0028】
1対のサイドフレーム166および支持フレーム180の移動は、図2に示すように案内装置200により案内される。案内装置200は前後方向に配設された1対のガイドロッド202を含む。本実施形態においては、ベルト192および1対のガイドロッド202は前後方向において、印刷機10の後コンベヤ24の後方側から前コンベヤ22を超えて、前コンベヤ22より前方へ延び出させられ、可動コンベヤ152の移動ストロークは、印刷機10の後コンベヤ24の後端から前コンベヤ22の前端までの距離より長くされている。そのため、可動コンベヤ152は、図2に実線で示すように、前コンベヤ22に連なり、回路基板の授受を行う位置より更に前側の位置へ移動させることができる。その状態で作業者は、シャトルコンベヤ12の前部に設けられたカバー204(図1参照)を開き、可動コンベヤ152の近くで可動コンベヤ152に対する作業を容易に行うことができる。カバー204が設けられたシャトルコンベヤ12のハウジングおよび印刷機10のハウジング140にはそれぞれ、回路基板の受渡しのための開口が設けられている。
【0029】
ストッパ装置164は、図2に示すように、ストッパ部材たるストッパ片210と、ストッパ片移動装置たるストッパ片昇降装置212とを備え、可動サイドフレーム166の下流側端部に設けられている。ストッパ片昇降装置212はエアシリンダにより構成され、ストッパ片210を、搬送経路内に位置して回路基板に当接可能な作用位置へ下降させ、搬送経路の上方に退避して回路基板の通過を許容する退避位置へ上昇させる。本実施形態においては、シャトルコンベヤ12は、上流側に隣接する印刷機10の制御装置30により制御される。シャトルコンベヤ12に制御装置を設けてもよい。
【0030】
前記4台の装着機14は、本実施形態においては特開2004−104075号公報に記載の電子回路部品装着機と同様に構成され、モジュール化されており、図1に一部を示すように、それぞれ、装着機本体228,基板搬送装置230,基板支持装置232(図6参照),部品供給装置234,部品装着装置236および制御装置238等を含み、1枚の回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。基板搬送装置230は、1対のコンベヤ240を備えている。これらコンベヤ240は、図6に示すように、装着
機本体228の前後方向に並んで平行に設けられており、前側のコンベヤ240(図6においては下側のコンベヤ240)を前コンベヤ240、後側のコンベヤ240を後コンベヤ240と称する場合がある。コンベヤ240は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、図示を省略する搬送幅変更装置により、搬送幅が自動的に調節される。基板支持装置232は2つのコンベヤ240の各々について設けられ、いずれのコンベヤ240により搬送される回路基板も、基板支持装置232により支持され、電子回路部品の装着が行われる。制御装置238はコンピュータを主体として構成され、前記統括制御装置148により統括して制御される。
【0031】
以上のように構成された電子回路組立ラインにおいては、種々の態様で回路基板へのはんだの印刷が行われる。その1つを図7に基づいて説明する。
この態様は、2台の印刷機10において互いに同一の型番の回路基板の表面と裏面とへのはんだの印刷を並行して行う態様であり、装着機14においては、はんだが印刷された面に応じた電子回路部品の装着が行われる。
【0032】
本実施形態においては、2台の印刷機10のうち、上流側の印刷機10(以後、上流印刷機10と略称する)により回路基板の表面へのはんだの印刷が行われ、下流側の印刷機10(以後、下流印刷機10と略称する)により回路基板の裏面へのはんだの印刷が行われる。2台の印刷機10においてそれぞれ、回路基板のはんだが印刷される面に応じたマスク34が保持される。
【0033】
2台の印刷機10においてはいずれも、前コンベヤ22のインコンベヤ52,アウトコンベヤ54および後コンベヤ24に回路基板が搬入されるとき、ストッパ板112が作用位置にあって回路基板を止め、回路基板の搬出時には退避位置へ退避させられる。本実施形態においては、ストッパ板112が各コンベヤ52,54,24の下流端に設けられているため、回路基板をインコンベヤ52に、メインコンベヤ50に隣接する位置まで搬入し、後コンベヤ24およびアウトコンベヤ54に、シャトルコンベヤ12に隣接する位置まで搬入し、待機させておくことができる。そのため、回路基板のメインコンベヤ50およびシャトルコンベヤ12への搬入を迅速に行うことができる。
【0034】
また、2台のシャトルコンベヤ12のうち、隣接する2台の印刷機10の間に配置された上流側のシャトルコンベヤ12の可動コンベヤ152(以後、上流可動コンベヤ152と称する場合がある)は、図7(a)に実線で示すように、上流側,下流側の両印刷機10
の各前コンベヤ22との前後方向の位置が一致し、前コンベヤ22に連なる前コンベヤ対応位置と、二点鎖線で示すように、両印刷機10の各後コンベヤ24との前後方向の位置が一致し、後コンベヤ24に連なる後コンベヤ対応位置とに移動させられる。なお、隣接する印刷機10の前同士のコンベヤ22間,後同士のコンベヤ24間に前後方向の位置ずれがあっても、上流可動コンベヤ152を上,下流の各前コンベヤ22、上,下流の各後コンベヤ24にそれぞれ連なる位置に停止させることにより、位置ずれを補って回路基板の受渡しを行うことができる。前同士、後同士のコンベヤ22,24間の位置ずれは、印刷機10の位置ずれと、コンベヤ22,24の印刷機10における位置ずれとの少なくとも一方により生じるが、いずれによる位置ずれも補われ、コンベヤ22,24の印刷機10における設置も、印刷機10の設置も容易となる。
【0035】
さらに、下流印刷機10と、最上流の装着機14との間に配置された下流側のシャトルコンベヤ12の可動コンベヤ152(以後、下流可動コンベヤ152と称する場合がある)は、図7(b)に実線で示すように、下流印刷機10の後コンベヤ24と連なる印刷機後
コンベヤ対応位置と、一点鎖線で示すように最上流の装着機14の後コンベヤ240と連なる装着機後コンベヤ対応位置と、破線で示すように下流印刷機10の前コンベヤ22と連なる印刷機前コンベヤ対応位置と、二点鎖線で示すように最上流の装着機14の前コン
ベヤ240と連なる装着機前コンベヤ対応位置とに移動させられる。いずれの可動コンベヤ152においても、回路基板の搬入時にはストッパ片210が作用位置に位置させられ、搬出時には退避位置へ退避させられる。下流可動コンベヤ152の移動位置が任意であり、位置ずれが補われることにより、下流印刷機10におけるコンベヤ22,24の設置,下流印刷機10の設置,最上流の装着機14(下流印刷機10から回路基板が供給される装着機14)における前,後のコンベヤ240の設置およびその装着機14の設置が容易となる。
【0036】
1種類目の型番甲の回路基板(以後、基板甲と略称する)は、まず、図7(a)に示すよ
うに、上流印刷機10に表面を上にして供給され、インコンベヤ52により、その下流端まで搬入される。メインコンベヤ50への基板甲の搬入が可能な状態になれば、ストッパ板112が退避させられ、インコンベヤ52およびメインコンベヤ50が作動させられて、基板甲がインコンベヤ52からメインコンベヤ50に搬入され、はんだが印刷される。印刷装置28によるはんだの印刷はよく知られており、説明を省略する。
【0037】
印刷終了後、基板甲はメインコンベヤ50からアウトコンベヤ54へ搬出され、アウトコンベヤ54の下流端においてストッパ板112に当接し、停止させられる。基板甲は、上流可動コンベヤ152が前コンベヤ対応位置に位置する状態で、アウトコンベヤ54から可動コンベヤ152へ搬出され、可動コンベヤ152の下流端まで搬送される。回路基板の移載後、上流可動コンベヤ152は後コンベヤ対応位置へ移動させられ、はんだの印刷が済んだ基板甲を下流印刷機10の後コンベヤ24に移載する。移載は後コンベヤ24が空の状態で行われ、回路基板は後コンベヤ24の下流端まで搬送され、下流可動コンベヤ152への移載に備えて待機させられる。そして、下流可動コンベヤ152が印刷機後コンベヤ対応位置に位置させられた状態において、基板甲が後コンベヤ24から下流可動コンベヤ152に移載される。印刷の済んだ回路基板は後コンベヤ24により印刷機10の通過を許容され、印刷装置28が設けられた印刷部をバイパスさせられるのであり、回路基板の搬送と印刷とが並行して行われる。
【0038】
回路基板の移載後、下流可動コンベヤ152は装着機後コンベヤ対応位置へ移動させられ、基板甲を最上流の装着機14の後コンベヤ240へ送り込み、部品装着装置236により、基板甲の表面に電子回路部品の装着が行われる。以後、基板甲は、4台の装着機14の各後コンベヤ240により搬送され、電子回路部品が装着される。
【0039】
表面への電子回路部品の装着が済んだ基板甲は、図7(b)に破線の矢印で示すように、
裏面を上向きにされ、上流印刷機10の後コンベヤ24に供給され、その下流端まで搬送される。基板甲は後コンベヤ24により上流印刷機10を通過させられるのであり、上流可動コンベヤ152が後コンベヤ対応位置に位置する状態で上流可動コンベヤ152に移載される。移載後、上流可動コンベヤ152が前コンベヤ対応位置へ移動させられ、基板甲は下流印刷機10のインコンベヤ52に移載され、インコンベヤ52からメインコンベヤ50に搬入されて裏面にはんだが印刷される。
【0040】
印刷後、基板甲はメインコンベヤ50からアウトコンベヤ54へ搬出され、さらに下流可動コンベヤ152が印刷機前コンベヤ対応位置に位置させられた状態で下流可動コンベヤ152に移載される。移載後、下流可動コンベヤ152が装着機前コンベヤ対応位置へ移動させられ、基板甲が装着機14の前コンベヤ240へ送り込まれ、部品装着装置236により、裏面に電子回路部品が装着される。基板甲は4台の装着機14の各前コンベヤ240により搬送され、順次、裏面に電子回路部品が装着される。基板甲の表面と裏面とへのはんだの印刷が並行して行われ、はんだが表面に印刷された基板甲および裏面に印刷された基板甲が装着機14に供給される。これら基板甲への電子回路部品の装着は、複数台、本実施形態においては4台の装着機14を含む装着機列において並行して行われる。
なお、以上の説明においては、基板甲の表面への電子回路部品の装着が後コンベヤ240において、裏面への装着が前コンベヤ240においてそれぞれ行われるものとしたが、逆にすることも可能である。その場合には、基板甲の表面への印刷が下流印刷機10において行われるようにする方が、上流および下流のシャトルコンベヤ12における可動コンベヤ152の移動距離が少なくて済み、搬送能率が高くなる。
【0041】
設定枚数の基板甲の表面への電子回路部品の装着が終了すれば、次に、異なる型番乙の回路基板の表裏両面への電子回路部品の装着が行われる。そのため、図7(c)に示すよう
に、上流印刷機10において段取替えが行われ、マスク34の交換,回路基板の搬送幅の変更等が行われる。搬送幅の変更は、上流印刷機10の前コンベヤ22および下流印刷機10の後コンベヤ24について行われる。この間、段取替えと並行して、基板甲の裏面へのはんだの印刷および電子回路部品の装着が行われる。
【0042】
段取替えが終了すれば、図7(d)に示すように、基板乙の表面へのはんだの印刷および
電子回路部品の装着が開始され、2種類の回路基板へのはんだの印刷が並行して行われる。そのため、2台のシャトルコンベヤ12の各可動コンベヤ152については、基板甲と乙とのいずれを搬送するかに応じて搬送幅が変更される。変更は、可動コンベヤ152が回路基板の受取りを行うコンベヤ対応位置に到達する前、すなわち、コンベヤ対応位置への移動中と移動開始前との少なくとも一方において行われる。それにより、幅変更のために回路基板の移載に要する時間が増大することが回避され、スクリーン印刷ラインの稼働率の低下が抑制される。
【0043】
全部の基板甲の裏面への電子回路部品の装着が終了すれば、図7(e)に示すように下流
印刷機10について段取替えが行われ、基板乙の裏面へのはんだの印刷が行われるようにされる。この際、下流印刷機10の前コンベヤ22および上流印刷機10の後コンベヤ24について搬送幅の変更が行われる。この段取替えと並行して基板乙の表面へのはんだの印刷および電子回路部品の装着が行われており、段取替えが終了すれば、図7(f)に示す
ように、表面への電子回路部品の装着が済んだ基板乙が裏面を上向きにして上流印刷機10の後コンベヤ24に供給される。このように2台の印刷機10の一方の段取替えと他方の印刷とが並行して行われるため、印刷機10の都合により、装着機14における電子回路部品の装着を停止させずに済む。
【0044】
本電子回路組立ラインにおいては、図8(a)に示すように、2台の印刷機10により、
同じ型番の回路基板の同じ側の面へのはんだの印刷を並行して行うこともできる。この場合、2台の印刷機10においてそれぞれ、同一のマスク34が保持され、例えば、基板甲の表面にはんだが印刷される。そして、上流印刷機10と下流印刷機10とに交互に基板甲が供給される。上流印刷機10においてはんだが印刷された基板甲は、上流シャトルコンベヤ12,下流印刷機10の後コンベヤ24および下流シャトルコンベヤ12によって装着機14の後コンベヤ240へ搬送され、電子回路部品が装着される。
【0045】
下流印刷機10においてはんだが印刷される基板甲は、上流印刷機10の後コンベヤ24に供給され、上流シャトルコンベヤ12によって下流印刷機10の前コンベヤ22に搬入され、はんだが印刷される。そして、基板甲は下流シャトルコンベヤ12によって装着機14の前コンベヤ240に搬入され、電子回路部品が装着される。
【0046】
このように2台の印刷機10により、同じ型番の回路基板の同じ側の面に並行してはんだの印刷が行われる場合、図8(b)に示すように、一方の印刷機10において印刷が中断
される場合、例えば、マスク34の清掃あるいはマスク34上へのはんだの供給が行われる場合でも、表面にはんだが印刷された回路基板が得られる。
【0047】
スクリーン印刷ラインは、スクリーン印刷機を3台含むラインとしてもよい。そのスクリーン印刷ラインにおけるはんだ印刷の一態様を図9に基づいて説明する。
本実施形態の電子回路組立ラインは、印刷機10が3台、1列に並んで設けられるとともに、隣接する印刷機10の間と、最上流の印刷機10の上流側と、最下流の印刷機10の下流側とにそれぞれ、シャトルコンベヤ12が1台ずつ設けられている。最上流のシャトルコンベヤ12は、最上流の印刷機10の制御装置30により制御される。また、最上流シャトルコンベヤ12の上流側に基板供給装置260が設けられるとともに、それらの間にコンベヤ266が設けられている。基板供給装置260およびコンベヤ266は統括制御装置148により制御される。
【0048】
基板供給装置260により、例えば、それぞれ型番を異にする3種類の回路基板A,B,Cが供給される。これら基板A,B,Cは、搬送幅方向の寸法は同じである。また、図示は省略するが、基板A,B,Cにはそれぞれ、基板識別子たる基板識別コードが設けられ、基板識別情報が付与されている。基板識別コードは、例えば、二次元コードにより構成され、回路基板の型番,寸法等が記録されている。コンベヤ266には、二次元コードを読み取る基板識別装置たる読取装置268が設けられている。読取装置268は、例えば、撮像装置を含む。3台の印刷機10においてはそれぞれ、上流側から順に、基板A,B,Cにはんだを印刷するための異なるマスク34が保持される。
【0049】
基板供給装置260による基板A,B,Cの供給は、順序を定めることなく行われる。そのため、回路基板はまず、部品供給装置260からコンベヤ266に供給され、読取装置268によって基板識別コードが読み取られる。この読取結果は統括制御装置148へ送られ、回路基板の種類が取得される。基板種類の取得により、3台の印刷機10のうちのいずれがはんだの印刷を行うべきか、および4台のシャトルコンベヤ12がいずれのコンベヤとの間で回路基板の受渡しを行うべきかが決まり、統括制御装置148から3台の印刷機10の各制御装置30に制御指令が出力される。
【0050】
最上流のシャトルコンベヤ12の可動コンベヤ152は、コンベヤ266に連なるコンベヤ対応位置へ移動させられ、回路基板を受け取る。例えば、基板Aが供給されたのであれば、最上流印刷機10においてはんだが印刷され、図9に実線の矢印で示すように、下流側の2台の印刷機10においては後コンベヤ24により搬送されて通過させられ、装着機14の後コンベヤ240に搬入される。また、基板Cが供給されたのであれば、図9に二点鎖線の矢印で示すように、上流側の2台の印刷機10においては後コンベヤ24により搬送されて通過させられ、最下流の印刷機10においてはんだが印刷され、装着機10の前コンベヤ240に搬入される。基板Bが供給されたのであれば、図8に破線の矢印で示すように中流の印刷機10において印刷が行われ、最上流および最下流の印刷機10は通過させられ、装着機14の後コンベヤ240に搬入される。このように、4台のシャトルコンベヤ12の各可動コンベヤ152は基板A,B,Cへのはんだの印刷,印刷機10の通過,装着機14への搬入が行われるように作動させられる。
印刷機を4台以上設け、4種類以上の回路基板が順序不定で供給されて印刷剤が印刷されるようにしてもよい。
【0051】
後コンベヤ24および可動コンベヤ152は搬送幅が自動的に変更されるため、搬送幅方向の寸法が異なる複数種類の回路基板について任意の順序で、あるいは順序を定めることなく、はんだの印刷を行うことができる。この場合、基板供給装置が、複数種類の回路基板のうち任意の順序で指定されるものを供給し得るものとされるか、基板供給装置内に基板識別装置が設けられ、現に供給される回路基板の種類が取得されるようにされることが望ましい。いずれにしても搬送すべき回路基板の種類に応じて4台の可動コンベヤ152および3台の後コンベヤ24の搬送幅が変更されつつ、回路基板の受渡しが行われる。
【0052】
また、最上流の印刷機の上流側に配設されたシャトルコンベヤに基板識別装置を設けてもよい。搬送幅が同じである複数種類の回路基板が順序不定で最上流シャトルコンベヤの可動コンベヤに搬入され、基板識別コードの読取りが行われ、搬入された回路基板の種類が取得される。そして、回路基板の種類に応じて、複数台の印刷機およびシャトルコンベヤの作動が決められる。
【0053】
スクリーン印刷ラインはスクリーン印刷機を4台含むラインとしてもよい。そのスクリーン印刷ラインにおけるはんだ印刷の一態様を図10に基づいて説明する。
本スクリーン印刷ラインは、4台の印刷機10のうち、隣接する印刷機10の間にそれぞれシャトルコンベヤ12が設けられるとともに、最下流の印刷機10の下流側にシャトルコンベヤ12が設けられている。そして、上流側の2台の印刷機10に互いに同一のマスクが取り付けられ、基板甲の表面へのはんだの印刷が行われ、下流側の2台の印刷機10に互いに同一のマスクが取り付けられ、基板甲の裏面へのはんだの印刷が行われる。
【0054】
まず、図10(a)に示すように、基板甲の表面へのはんだの印刷が行われる。この印刷
は、図8に基づいて説明した印刷と同様に行われ、表面への印刷の済んだ基板甲は、下流側の印刷機10を通過して装着機14の前,後コンベヤ240に交互に供給される。表面へのはんだの印刷が済んだ基板甲は、図10(b)に破線の矢印で示すように、上流側の2
台の印刷機10を通過し、下流側の2台の印刷機10に交互に供給され、裏面にはんだが印刷される。印刷が済んだ基板甲は、装着機14の前,後コンベヤ240に交互に供給される。本実施形態は、図8に示す印刷態様を回路基板の表裏両面について行う形態であり、2枚ずつの回路基板の表面と裏面とへのはんだの印刷が並行して行われ、4枚の回路基板について印刷が並行して行われる。
【0055】
前記図9の電子回路組立ラインにおいては、部品供給装置260と最上流のシャトルコンベヤ12との間にコンベヤ266が設けられ、そのコンベヤ266に読取装置268が設けられ、その読取結果に基づいて統括制御装置148のホストコンピュータにより各回路基板96への印刷がどの印刷機10により印刷が行われるべきかが決定され、各制御装置30に指令が出されるようになっていた。このようにすれば、1つの読取装置268による読取結果に基づいてスクリーン印刷ライン全体を制御し得る利点があるのであるが、スクリーン印刷ラインの途中で回路基板96の抜取りや挿入が行われる場合には、回路基板96に不適切な(間違った)印刷が行われてしまう可能性がある。特に、前記各実施形態におけるシャトルコンベヤ12は、可動コンベヤ152が前コンベヤ22に連なって回路基板96の授受を行う位置より更に前側の位置へ移動させることができるようにされているため、回路基板96に対する印刷状況等を観察するために回路基板96が抜き取られ、観察後に挿入されることがあり、それによって、各印刷機10に供給される回路基板96が予定のものと異なることがあり得る。
【0056】
この問題に対処するための一実施形態を図11に示す。本電子回路組立ラインにおいては、各印刷機10の上流側のシャトルコンベヤ12の可動コンベヤ152の各々に読取装置268が設けられ、統括制御装置148に接続されている。したがって、回路基板96が可動コンベヤ152に搬入されれば、その回路基板96の二次元コードが読取装置268により読み取られ、その読取結果が統括制御装置148に、厳密にはその統括制御装置148の主体を成すホストコンピュータに送られる。ホストコンピュータは送られた読取結果に基づいて回路基板96の種類を判別し、その回路基板96に対する印刷がどの印刷機により行われるべきかを決定し、その結果を各印刷機10およびシャトルコンベヤ12を制御する各制御装置30に、厳密には制御装置30の主体を成す制御コンピュータに供給する。なお、本実施形態においては、各制御装置30は各印刷機10とそれの上流側のシャトルコンベヤ12とを制御するようにされており、最下流の印刷機10を制御する制御装置30は、その最下流の印刷機10の下流側に設置されたシャトルコンベヤ12をも制御するようにされている。本電子回路組立ラインにおいては、作動態様決定部がホストコンピュータの一部により構成されているのである。なお、作動態様決定部が、ホストコンピュータと制御コンピュータとの一部ずつにより構成されていると考えることもできる。
【0057】
制御コンピュータはホストコンピュータからの情報ないし指令に基づいて、現に可動コンベヤ152上にある回路基板96がそれの下流にある印刷機10によって印刷されるべきものである場合には、可動コンベヤ152を印刷機10の前コンベヤ22に連なる位置へ移動させ、印刷されるべきものではない場合には後コンベヤ24に連なる位置へ移動させる。そして、その回路基板96が印刷機10に引き渡され、前コンベヤ22に引き渡されて基板支持装置62に支持された回路基板96には印刷装置28に印刷を行わせ、後コンベヤ24に引き渡された回路基板96には印刷機10を通過させる。
そのため、本電子回路組立ラインにおいては、スクリーン印刷ラインの途中で回路基板96の抜取りや挿入が行われた場合にも、印刷機10において間違った印刷が行われることが良好に防止される。
【0058】
電子回路組立ラインを図12に示す形態とすることも可能である。この電子回路組立ラインにおいては、各印刷機10の上流側のシャトルコンベヤ12の可動コンベヤ152に読取装置268が設けられることは上記実施形態と同様であるが、それら読取装置268が制御装置30の制御コンピュータに接続されている点において異なっている。したがって、本電子回路組立ラインにおいては、読取装置268から送られた読取結果に基づいて制御コンピュータが回路基板96の種類を判別し、各制御コンピュータが制御する印刷機10において印刷が行われるべきか否かを判定し、その判定結果に基づいてシャトルコンベヤ12と印刷機10とを制御する。本電子回路組立ラインにおいては、制御コンピュータの一部により作動態様決定部が構成されているのである。
【0059】
さらに別の電子回路組立ラインを図13に示す。この電子回路組立ラインにおいては、各印刷機10の基板支持装置62に読取装置268が設けられている。ただし、前コンベヤ22、例えばインコンベヤ52に読取装置268を設けることも可能である。
読取装置268は制御装置30の制御コンピュータに接続されており、制御コンピュータは読取装置268の読取結果に基づいて、その制御コンピュータが制御する印刷機10において印刷が行われるべきか否かを決定し、印刷が行われるべきである場合には印刷を行わせ、印刷が行われるべきではない場合には、印刷を行わせることなく、アウトコンベヤ54を経て下流側のシャトルコンベヤ12へ排出させる。本電子回路組立ラインにおいては、制御コンピュータの一部により作動態様決定部が構成されているのである。
【0060】
さらに別の電子回路組立ラインとして、図11と図13との合わせたもの、すなわち、シャトルコンベヤ12と印刷機10との両方に読取装置268等の基板識別装置を設けた電子回路組立ラインも有効である。電子回路組立ラインにおいても、読取装置268をホストコンピュータに接続することも制御コンピュータに接続することも可能である。
【0061】
以上は、印刷機10を3台含む電子回路組立ラインにおいて、3種類の回路基板96に対して印刷が行われる場合について説明したが、2台あるいは4台以上の印刷機10を含むスクリーン印刷ライン、例えば、図7や図10に示した電子回路組立ラインに読取装置268等の基板認識装置を設け、上記図11ないし13の電子回路組立ラインに類似の制御を行えば、類似の効果を得ることができる。
また、1台ずつのシャトルコンベヤ12と印刷機10とを含むスクリーン印刷ラインのシャトルコンベヤ12と印刷機10との少なくとも一方に読取装置268等の基板認識装置を設けることも可能であり、さらに、そのスクリーン印刷ラインを、印刷機10を複数台含むスクリーン印刷ラインの一構成単位とすることもできる。
【符号の説明】
【0062】
10:スクリーン印刷機 12:シャトルコンベヤ 22:前コンベヤ 24:後コンベヤ 50:メインコンベヤ 52:インコンベヤ 54:アウトコンベヤ
110:ストッパ装置 152:可動コンベヤ 268:読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含むスクリーン印刷機と、
そのスクリーン印刷機の上流側と下流側とのいずれか一方に配設され、前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含むシャトルコンベヤと、
前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方に設けられ、回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置と、
その基板識別装置の識別結果に基づいて、前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部と
を含むスクリーン印刷ライン。
【請求項2】
左右に並んで配設され、それぞれ回路基板にスクリーン印刷を行う複数台のスクリーン印刷機と、それら複数台のスクリーン印刷機の各々の上流側と下流側とのいずれかに設置されて回路基板を搬送する複数台のシャトルコンベヤとを含むスクリーン印刷ラインであって、
前記複数台のスクリーン印刷機の各々が、本体と、基板支持装置を有して前記本体の前部に設けられた前コンベヤと、前記本体の後部に設けられて回路基板の通過を許容する後コンベヤと、前記基板支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置とを含み、前記複数台のシャトルコンベヤの各々が、少なくとも前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置との間で移動可能な可動コンベヤを含み、かつ、前記複数台のスクリーン印刷機と前記複数台のシャトルコンベヤとの少なくとも一方が回路基板の少なくとも種類を識別する基板識別装置を含むとともに、当該スクリーン印刷ラインが、前記基板識別装置の識別結果に基づいて前記スクリーン印刷機と前記シャトルコンベヤとの少なくとも一方の作動態様を決定する作動態様決定部を含むことを特徴とするスクリーン印刷ライン。
【請求項3】
当該スクリーン印刷ラインが、前記複数台のスクリーン印刷機の各々を制御する複数の制御コンピュータと、それら制御コンピュータに接続されたホストコンピュータとを含み、前記基板識別装置が前記複数台のシャトルコンベヤの各々に設けられるとともに前記ホストコンピュータに接続され、そのホストコンピュータが前記作動態様決定部を含み、その作動態様決定部が決定した作動態様で前記スクリーン印刷機を作動させることを前記制御コンピュータに指令する請求項2に記載のスクリーン印刷ライン。
【請求項4】
前記基板識別装置が前記複数台のシャトルコンベヤの各々に設けられ、前記作動態様決定部が、前記基板識別装置の各々による識別結果に基づいて、前記可動コンベヤの各々がそれらの下流側に配設されている前記スクリーン印刷機の前記前コンベヤに連なる位置と前記後コンベヤに連なる位置とのいずれに移動させられるべきかを決定する請求項2に記載のスクリーン印刷ライン。
【請求項5】
当該スクリーン印刷ラインが、前記複数台のスクリーン印刷機の各々を制御する複数の制御コンピュータを含み、前記基板識別装置が前記複数台のスクリーン印刷機の各々の前記前コンベヤに設けられ、前記作動態様決定部が前記複数の制御コンピュータの各々に設けられ、当該制御コンピュータに対応する前記スクリーン印刷機が前記基板識別装置により識別された回路基板に印刷を行うべきか否かを決定する請求項2に記載のスクリーン印刷ライン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−99619(P2012−99619A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245587(P2010−245587)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】