説明

スクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置

【課題】細い線幅で肉厚、層厚の電極等を密着性良く形成することのできるスクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、印刷トレイに載置された被印刷物上に、所定パターンを有するスクリーン版を配し、このスクリーン版を介して導電性ペーストを前記被印刷物に塗布する装置において、スクリーン版上の導電性ペーストと被印刷物の間に電圧を印加する電源回路を備えたスクリーン印刷装置である。また、導電性ペーストの温度を調節する第1温度調節部と、被印刷物の温度を調節する第2温度調節部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷技術に関するものであり、より詳細には、被印刷物に導電性ペーストを比較的均一にかつ密着性良く印刷することの可能なスクリーン印刷方法及びスクリーン印刷装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、タッチパネル、その他の画像表示装置やプリント基板等の電子部品の製造工程では、一般に、Ag、AlやCu等の導電性金属を含む導電性ペーストをスクリーン印刷により所定パターンに印刷することで電極や回路パターン等を形成することが行われている。特に、太陽電池では、その光電変換効率の向上のため、その集電極を細く形成するのに加え、肉厚、層厚に形成することでその低抵抗化を図ることが必要である。このため、この電極形成には、一般に、生産性、信頼性の面で優位なスクリーン印刷技術が用いられている。
【0003】
図7(a)から(c)は一般的なスクリーン印刷の概略図を示している。同図に示したように、所定パターンを有するスクリーン版104をスクリーン版枠103に張り付け、これを印刷トレイ101に保持された被印刷物102上に適切な間隔を保って位置合わせする(図7(a))。続いてスキージ105を図中の矢印Aの方向へ押圧移動させることで、ペースト107をスクリーン版104上に広げ、かつスクリーン版104に設けられた空隙部分を通して被印刷物102上に所定パターンのペースト層を形成する(図7(b)(c))。次に、乾燥、焼成、キュアー等の処理を施すことで(図示せず)、被印刷物上に所定パターンの電極、回路等を形成する。電極や回路パターンが複雑な場合や基板の表裏両面に印刷する場合などでは、上記工程を必要に応じて繰り返すことで、所望パターンの電極、回路等を形成することができる。
【0004】
ところで、一般のスクリーン印刷では、印刷インキがペースト状であるため、これを印刷しても、乾燥、キュアー等して仕上げ処理する前にだれ崩れてしまい、細い線幅で肉厚、層厚な電極等を形成することが困難であった。このため、例えば、スクリーン印刷処理を複数回繰り返すことで、厚く、表面凹凸のばらつきの少ない電極を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この技術は製造工程が複雑であり、生産性が著しく悪い。また、形成される電極等の凹凸のばらつきを抑えることも困難である。
【0005】
また、被印刷物をペルチェ素子によるペルチェ効果によって温度を自在に調整できる治具に取り付けることで、被印刷物を所定温度に急速冷却した状態で印刷し、これにより肉厚、層厚の印刷を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この技術のように被印刷物を冷却するのみでは、密着性の良い電極を形成することが困難な場合がある。
【0006】
さらに、形成する電極等の凹凸のばらつきを抑えるために、例えば、スキージ105を被印刷物102上での移動方向に対して最適化した所定のバイアス角度(縦角度)で移動させることで、ペーストを均一に塗布する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、このようなバイアス角度の調整だけではペーストを均一な厚さに塗布することが困難な場合もある。例えば、被印刷物102の表面に凹凸がある場合などでは困難が予想される。塗布厚が不均一な場合には、ペースト塗布厚の薄い領域で抵抗が高くなり電流ロスを生じてしまう問題を生じる。
【0007】
加えて、これまでのスクリーン印刷技術(例えば、特許文献1乃至3参照)では、スキージの押圧力によりペーストを被印刷物へ付着させるものが一般的であった。このため、例えば、被印刷物が薄い場合や脆い場合など、十分な押圧力を被印刷物に加えることができない場合や、導電性ペーストの粘度が高い場合には、被印刷物に密着性良くペーストを付着させることが困難な場合があった。特に、近年、太陽電池等のデバイスでは、薄型化が進んでいるため、薄型の被印刷物に密着性良く印刷することの可能なスクリーン印刷技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−103084号公報
【特許文献2】特開平2001−239738号公報
【特許文献3】特開平2005−353998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の通り、一般的なスクリーン印刷技術では、細い線幅で肉厚、層厚の電極等を生産性、信頼性良く形成することが困難であった。また、例えば、被印刷物が凹凸を有する場合などでは、形成する電極等の表面凹凸のばらつきを抑えることが困難な場合もあった。さらに、被印刷物とペースト(形成する電極等)との良好な密着性を確保することが困難な場合もあった。
【0010】
本発明はこれらの問題を解決するもので、細い線幅で肉厚、層厚の電極等を、表面凹凸のばらつきを抑えるとともに、被印刷物へのペースト(電極等)の密着性も良好に形成することのできるスクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明のスクリーン印刷技術では、印刷トレイに載置された被印刷物上に、所定パターンを有するスクリーン版を配し、このスクリーン版を介して導電性ペーストを前記被印刷物に塗布する装置において、スクリーン版(スクリーン版上の導電性ペースト)と印刷トレイ(印刷トレイ上の被印刷物)の間に電圧を印加する電源回路を備えている。このように、スクリーン印刷の際に導電性ペーストと被印刷基板(基板裏側)の間に電圧を印加することで、導電性ペーストを被印刷基板へ引き込む力を加えることができる。
【0012】
さらに、本発明のスクリーン印刷装置では、導電性ペーストの温度を調節する第1温度調節部と、被印刷物の温度を調節する第2温度調節部とを備えると良い。第1温度調節部では、印刷前の導電性ペーストの温度(粘度)を調整することができ、第2温度調節部では、印刷後の被印刷基板上の導電性ペーストの温度(粘度)を調整することができる。従って、転写性の良好な印刷ができるものと期待できる。
【0013】
その具体的構成の一例としては、スクリーン版上に供給された導電性ペーストをスクリーン版に対し押圧移動することで被印刷物に導電性ペーストを塗布するスキージと、このスキージの押圧移動により下流側に移動された導電性ペーストを上流側に戻すスクレッパーとを有し、このスクレッパーに第1温度調節部を設け、印刷トレイに第2温度調節部を設けると良い。
【0014】
また、スキージ及びスクレッパーの別形態として、導電性ペーストをスクリーン版上に予め供給するのではなく、保持部内部に保持された導電性ペーストを押出供給する手段を有する押出式スキージを設けた構成が考えられる。この場合、押出式スキージの保持部に第1温度調節部を設けることで、保持部内部の導電性ペーストの温度調節をすることができる。また、導電性ペーストが保持部内部に保持されているため、導電性ペースト中の溶剤が揮発することを抑制することもできる。さらに、導電性ペーストを押し出す押出手段を有するため、必ずしもスキージングによりペーストを押圧する構成とする必要がない。即ち、本構成では、スキージ角度(縦角度)を90度にすることも可能であり、より細線で厚い印刷が可能になるものと期待できる。本発明の導電性ペーストとしてはAgペーストが好ましい。特に、太陽電池の電極形成の際に本発明の印刷技術を採用することで、変換効率の優れた太陽電池の電極形成が可能になることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明のスクリーン印刷装置の具体的構成を示す概略図である。本発明のスクリーン印刷装置10は、スクリーン版枠15に保持された任意のパターン孔16を有するスクリーン版(メッシュ)14上を、図中矢印±X方向に移動可能なスキージ11と、同じく±X方向に移動可能な(ドクター)スクレッパー12と、このスクレッパー12に取り付けられた第1温度調節部17と、被印刷物20を保持する印刷トレイ21と、この印刷トレイ21に取り付けられた第2温度調節部22と、スクリーン版14と印刷トレイ21間に任意の電圧を印加することの可能な電源回路25とを備えている。
【0016】
スキージ11は、スクリーン版14の表面上を適度な押圧を加えてX方向に移動することで、スクリーン版14の表面上に供給された導電性ペースト13(印刷材料)を、スクリーン版14表面に形成されたパターン孔16を介して被印刷物20に塗布(印刷)する部材である。
【0017】
また、スクレッパー12は、このスキージ11と共に移動し、スキージ11により上流側から下流側へ(+X方向へ)移動された導電性ペースト13を上流側へ(−X方向へ)戻すとともに、スクリーン版14のパターン孔16に導電性ペースト13を埋め込む働きをする部材である。本実施形態では、このスクレッパー12に第1温度調節部17を設けた構成を示している。この第1温度調節部17により、スクリーン版14表面上に供給された導電性ペースト13の温度調整をすることができる。導電性ペースト13としては、Ag、Cu、Al、Crなどの導電性金属を含む種々の粘性を有するペーストが用いられるが、この導電性ペースト13の粘度は第1温度調節部17によるペースト13の温度調整により制御することができる。従って、例えば、常温で粘度の高い導電性ペースト13を用いる場合には、これを常温より高い温度に加熱することで粘度を下げ、これによって、スキージングの際のパターン孔16を介した導電性ペースト13の抜け(転移)を改善することができる。
【0018】
ところで、導電性ペースト16の粘度を低くすると、スキージングにより被印刷物20に印刷(塗布)された導電性ペースト16は、だれて崩れやすくなるため、その塗布膜の厚さを確保することが困難となる。そこで、本発明では、被印刷物20を載置する印刷トレイ21に、被印刷物20の温度を調整することの可能な第2温度調節部22が設けられている。つまり、この第2温度調節部22によって、被印刷物20を冷却すると、スキージングにより印刷(塗布)された導電性ペーストは、被印刷物20と密着した面から順に粘度が高くなる。このため、塗布膜のだれ・くずれによる印刷精度の悪化や塗布膜厚が低くなることを防止、抑制することができる。
【0019】
このように、印刷前の導電性ペースト13の温度調整をする第1温度調節部17と、印刷後の導電性ペースト13の温度調整をする第2温度調節部22を設けることで、細線(例えば、100μm以下)のパターンを再現性良く形成できるとともに、比較的厚い(高い)塗布膜厚(例えば、30μm以上)を確保することができる。なお、使用する導電性ペースト13の使用適正温度内(適正粘度内(例えば、20000cPから30000cP))に導電性ペースト13の温度(粘度)を調整するため、場合によって、第1温度調節部17や第2温度調節部22を適宜加熱手段又は冷却手段として使用することができる。
【0020】
なお、図1に示した実施形態では、第1温度調節部17をスクレッパー12に取り付けた構成を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。上述の通り、この第1温度調節部17は、導電性ペースト13の温度調節をするためのものであるため、この役割を担うことが可能な場所に取り付ければ良い。例えば、スキージ11に設けても良い。同様に、第2温度調節部22も、必ずしも図1に示したように印刷トレイ21の下部に設ける必要はない。例えば、印刷トレイ21内部に設け、被印刷物20を直接冷却又は加熱するような構成としても良い。
【0021】
スクリーン版14は、印刷トレイ21に載置された被印刷物20の印刷位置上方の所定位置に配される。このスクリーン板14は、任意形状のパターン孔16を有するが、これは、ステンレス等の金属、プラスチック、又は繊維の細線を織ったスクリーン紗に感光性乳剤を塗布し、この乳剤上部に任意のパターンを形成したマスクを設け、これを露光・エッチングすることで形成されたものである。この際、ステンレス製の金属紗を用いたスクリーン板14は、伸縮が少ないため、印刷精度が要求される太陽電池の電極等のスクリーン印刷に用いるのに好ましい。
【0022】
本発明では、スクリーン版14(実質的にはスクリーン版14上の導電性ペースト13)と印刷トレイ21(実質的には印刷トレイ21上の被印刷物20の裏面)の間に電圧を印加するための電極回路25が設けられ、スクリーン版14には+側電極が接続され、印刷トレイ21には−側電極が接続されている。この電極回路25は変換器(AC/DC)23と高圧電源(DC−DC)24を備えており、スクリーン版14と印刷トレイ間に印加する電圧を調整することができる。ここで本実施形態では、スクリーン版14はSUS製メッシュからなり、スキージングにより導電性ペースト13がスクリーン版14に配した+側電極と接触することで電圧が印加される。なお、電極の配置は、スクリーン版14上に供給される導電性ペースト13と被印刷物間に電圧が印加されるように配置すれば良い。例えば、スクリーン版枠15に+側電極を配置しても良く、また、導電性ペースト13に直接接触するように配置しても良い。また、−側電極は、印刷トレイ21(導電性)以外に、被印刷物の裏面に設けた導電性被膜に直接接続するように配置しても良い。
【0023】
この電極回路25により印加される電圧によって、導電性金属を含む導電性ペースト13が、スキージングによりスクリーン版14に設けられたパターン孔16を介して被印刷物20に転移(転写)される際、導電性ペースト13が被印刷物20側に引き込まれる力が働く。即ち、本発明のスクリーン印刷技術では、スキージ11による物理的な押圧力だけでなく、電気的に導電性ペースト13を被印刷物20表面に密着させる方向に力が加えられる。このため、本発明のスクリーン印刷技術では、導電性ペースト13と被印刷物20との密着性の良好な印刷を行うことが可能であると考えられる。
【0024】
図2は、この電圧印加により、導電性ペースト13が被印刷物20にどの程度の力が加えられて密着するのかを試算するためのモデル図である。ここで、被印刷物20として多結晶シリコン(厚さt=0.2×10−3m、比誘電率ε=4)、印加する電圧を1000(V)として試算すると、
電極間に働く力Fは
F=εE/2(N/m
E=V/t(V/m)
ε=εε
ε=8.854×10−12(F/m)
より、F=εε・(V/t)/2=8.854×10−12×4×{(1000/0.2×10−3)}/2=442.5(N/m)=4.5(g/cm
となる。つまり、印加電圧として1kVを印加することで、1cmあたり4.5gの力が加わると試算できる。この力Fは、印加する電圧Vの2乗に比例するので、例えば2kVを印加するとF=18g/cmとなる。このため、印加する電圧を調整することで、導電性ペースト13を被印刷基板20に密着させる電気的な力を調整することができる。また、この原理を利用し、導電性ペースト13に電圧を印加した状態のままスキージングによるペーストの転写を行うことで、導電性ペースト13の転写性を大幅に向上させることができると考えられる。
【0025】
このため、被印刷物20が薄い場合や脆い場合など、スキージ11により物理的な押圧力を十分に加えることができない場合や、被印刷物20の表面に凹凸があり、スキージ11による物理的な押圧力のみでは十分な密着性が得られないような場合であっても、密着性の良い印刷が可能になると期待できる。特に近年、太陽電池などの電子デバイスの薄型化に伴って、被印刷物の薄型化が進んでいる。また本技術では、表面凹凸を有する安価な多結晶シリコン基板であっても密着性良く電極を印刷することができる。このため、太陽電池等の電極印刷技術として本発明のスクリーン印刷技術を採用することの優位性が大きいと考えられる。
【0026】
次に、本発明のスクリーン印刷方法を図3を用いて具体的に説明する。まず、スクリーン版14上に導電ペースト13が供給され、スクレッパー12を−X方向に移動させることで導電性ペースト13を上流側へ移動させると共に、スクリーン版14に設けられたパターン孔16にこの導電性ペースト13が埋め込まれる。この際、スクリーン版14上に供給された導電性ペースト13は、スクレッパー12に取り付けられた第1温度調節部17により加熱(又は冷却)され適切な温度(粘度)に調整される(図3(a))。次に、スキージ11をスクリーン版14に押圧しながらX方向に移動させる(図3(b))。こうしてスキージ11をX方向に押圧移動させると、スクリーン版14に設けられたパターン孔16を介して導電性ペースト13が被印刷物20に転写される(図3(c))。この際、上述の通り、本発明では導電性ペースト13を適切な温度(粘度)に調整することができるため、パターン孔16からのペースト13の抜け(転写品質)の改善が期待できる。また、被印刷物20が印刷トレイ20に設けられた第2温度調節部により冷却(適切な温度に調節)されているため、この被印刷物20表面に転写された導電性ペースト13は、その接触面から順に粘度が高くなると考えられる。このため、被印刷物20に転写された導電性ペースト13がだれ崩れることを防止、抑制できるものと考えられる。さらに、本発明では、導電性ペースト13をスキージングにより被印刷物20に転写させる際、スクリーン版14と印刷トレイ21間に電圧を印加した状態で行う。これによって、導電性ペースト13を被印刷物20に引き付ける力を電気的に与えることができ、被印刷物20と転写される導電性ペースト13との密着性の改善が期待できる。
【0027】
次に、スキージ11が下流側まで移動されると、スキージ11による押圧は解除される(図3(d))。そして、下流側に移動された導電性ペースト13は、再度スクレッパー12により−X方向へ移動され、上流側へ戻される(図3(e))。この際、上述のスキージングにより導電性ペースト13が抜けて空となっているパターン孔16には、再度導電性ペースト13が充填される(図3(e))。このように、図3(a)から図3(e)の操作を繰り返すことで、複数回のスクリーン印刷を行うことができる。その後、乾燥処理を施し(図示せず)、さらに、焼成処理を施すことで電極を形成する(図示せず)。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、さらに様々な改良が考えられる。図4はスキージの構成に改良を加えた本発明の更に別の実施形態を示したものである。同図に示したように、本実施形態の押出式スキージ30は、導電性ペースト35を保持する保持部31と、この保持部31に保持された導電性ペースト35の温度を調節するための第1温度調節部32と、導電性ペースト35を供給する際に、導電性ペースト35に押出力を加える押出手段33とを備えている。本実施形態では、導電性ペースト35が保持部31の内部に保持されているため、導電性ペースト35に含まれる溶剤が揮発するのを抑制することができる。このため、導電性ペーストがスクリーン版上に供給される場合(上述の実施形態の場合)に比べ、高価な導電性ペースト(例えばAgペースト等)を経済性良く使用することができる。また、導電性ペースト35を供給する際には、押出手段33によって押出力を加えて導電性ペースト35を供給することが可能である。従って、図4に示したように、スキージ30をスクリーン版34に対して垂直に(スキージの縦角度90°で)押し当てることで導電性ペースト35を供給することが可能である。このため、スクリーン版の34のパターン孔の深さが厚い(スクリーン版34の乳剤厚が厚い)場合でも、パターン孔内に導電性ペースト35を充填することが可能になると期待される。この厚さは塗布する導電性ペーストの層厚に関係してくるので、本実施形態の押出式スキージ30を用いることで細線でより高い層厚の電極の形成が期待できる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明の実施例を具体的に説明するが、これは単なる例示であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
被印刷基板として6インチ×6インチ(156mm×156mm)、厚さ0.2mmの多結晶シリコン基板上に、導電性ペーストとしてAgペースト(デュポン社製)を使用し、図1に示した構成の装置を用いて各種条件により電極パターンを形成した。パターン形成の際に用いたスクリーン版としては、2.5mm間隔で100μm幅、30μm厚の細線を形成する目的で作製した所定パターンを有するものを用いた。スクリーン印刷方法として、以下のA〜Cの条件で行い、形成した電極の塗布量の増減割合を測定した。以下、その結果を表1に示す。
A:導電性ペーストの温度調節なし、印刷トレイ(被印刷物)の温度調節なし、
スクリーン版と印刷トレイ間の印加電圧なし、
B:導電性ペーストの温度調節あり、印刷トレイ(被印刷物)の温度調節あり、
スクリーン版と印刷トレイ間の印加電圧なし、
C:導電性ペーストの温度調節あり、印刷トレイ(被印刷物)の温度調節あり、
スクリーン版と印刷トレイ間への印加電圧あり、
各条件のサンプルを複数形成し、その電極の増減量(相対値)を測定した。
【0031】
【表1】

【0032】
ここで、導電性ペーストの温度調節(上記表の「ペースト温度」)は、スクレッパーに取り付けた第1温度調節部(ヒーター)によりスクレッパー温度を調節することで行った。印刷トレイ温度(上記表の「トレイ温度」)の調節は印刷トレイに取り付けた第2温度調節部(冷却装置)により行った。印加電圧は+側をスクリーン版に接続し、−側を印刷トレイ(アルミ製)に接続した高圧電源により加えた。表1の「塗布重量割合」は、条件Aで形成したAg電極重量(平均値)を基準とした場合の各条件(B,C)で形成したAg電極重量(平均値)の増加重量割合(%)を示している。いずれの条件も複数のサンプルを形成し、印刷乾燥後のAg塗布重量の増加割合を算出してその平均値を示したものである。なお、スクリーン印刷の際のスキージアタック角度(縦角度)は70°で行った。またスクリーン印刷を実施した際の環境条件は、室温25〜27℃、湿度51〜57%であった。
【0033】
表1の結果から、スクリーン印刷の際に、トレイ温度、ペースト温度を調整すること、さらに、印加電圧を加えることで、形成される電極の塗布重量が増加することがわかる。
【0034】
図5及び図6は、それぞれ上記の条件A及び条件C(本発明)で作製した細線のデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX)による画像を示している。図5及び図6は共に基板中央部分(印刷むらの比較的少ない部分)の画像である。両者を比較すると、図5の線幅は図6の線幅に比べ幅広となっている。また、線の高さの最大値と最小値の差が図5の方が大きい、即ち、印刷むらが大きいことがわかる。即ち、本発明のスクリーン印刷方法は、従来の方法に比べ細線でむらの少ない均一な印刷が可能であることが期待できる。
【0035】
以上の通り、本発明のスクリーン印刷技術は、導電性ペーストをスクリーン版を介して印刷する際に、導電性ペーストと被印刷物の間に電圧(例えば数kV)を印加した状態で行うものである。こうすることで、導電性ペーストが被印刷物に密着性良く印刷されることが期待できる。さらに、本発明のスクリーン印刷技術では、上記に加えて、スクリーン版に供給される導電性ペーストを適切な温度(粘度)に調節する手段と、被印刷物を適切な温度に調節する手段とを有する。これにより、スクリーン版を介した導電性ペーストの転写(転移)を良好にすることができ、また、細線で厚い電極形成が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のスクリーン印刷装置の概略を示す構成図である。
【図2】本発明の電圧を印加して印刷する状態を示すモデル図である。
【図3】本発明のスクリーン印刷方法を示す概略図である。
【図4】本発明のスキージの改良例を示す概略図である。
【図5】従来の方法により作製したAg電極の観察画像である。
【図6】本発明の方法により作製したAg電極の観察画像である。
【図7】従来のスクリーン印刷方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0037】
10・・・スクリーン印刷装置
11、30、105・・・スキージ
12、106・・・スクレッパー
13、35、107・・・導電性ペースト
14、34、104・・・スクリーン版
15、103・・・スクリーン版枠
16、36・・・パターン孔
17、32・・・第1温度調節部
20、37、102・・・被印刷物
21、101・・・印刷トレイ
22・・・第2温度調節部
23・・・変換器(AC/DC)
24・・・高圧電源
25・・・電源回路
31・・・保持部
33・・・押出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷トレイに載置された被印刷物上に、所定パターンを有するスクリーン版を配し、該スクリーン版を介して導電性ペーストを前記被印刷物に塗布するスクリーン印刷装置において、
前記スクリーン版と前記印刷トレイ間に電圧を印加する電源回路を備えるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
印刷トレイに載置された被印刷物の表面に、所定パターンを有するスクリーン版を配し、該スクリーン版を介して導電性ペーストを前記被印刷物に塗布するスクリーン印刷装置において、
前記導電性ペーストと前記被印刷物裏面の間に電圧を印加する電源回路を備えるスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記導電性ペーストの温度を調節する第1温度調節部と、
前記被印刷物の温度を調節する第2温度調節部と、
をさらに備える請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記スクリーン版上に供給された前記導電性ペーストを該スクリーン版に対し押圧移動することで前記被印刷物に該導電性ペーストを塗布するスキージと、
該スキージの押圧移動により下流側に移動された前記導電性ペーストを上流側に戻すスクレッパーと、
該スクレッパーに設けられ、前記導電性ペーストの温度を調節する第1温度調節部と、
前記印刷トレイに設けられ、前記被印刷物の温度を調節する第2温度調節部と、をさらに備える請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
導電性ペーストを保持する保持部と、該保持された導電性ペーストを押出供給する押出手段を有する押出式スキージと、
該押出式スキージに設けられ、該押出式スキージに保持された前記導電性ペーストの温度を調節する第1温度調節部と、
前記印刷トレイに設けられ、前記被印刷物の温度を調節する第2温度調節部と、をさらに備える請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記導電性ペーストがAgペーストである請求項1乃至5のいずれかに記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
印刷トレイに被印刷物を載置する工程と
該被印刷物上に所定パターンを有するスクリーン版を配する工程と、
該スクリーン版上に供給された導電性ペーストと前記印刷トレイに載置された被印刷物間に電圧を印加する工程と、
スキージにより前記導電性ペーストを前記スクリーン版に対して押圧移動させることで該スクリーン版を介して該導電性ペーストを前記被印刷物に塗布する工程と、を含むスクリーン印刷方法。
【請求項8】
前記スクリーン版上に供給された前記導電性ペーストの温度を調節する工程と、
前記被印刷物の温度を調節する工程と、を更に含む請求項7に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項9】
前記スキージの押圧移動により下流側に移動された前記導電性ペーストをスクレッパーにより上流側に戻す工程をさらに含み、
該工程において、前記スクレッパーに取り付けられた温度調節部により前記導電性ペーストの温度が調整される請求項7又は8に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項10】
印刷トレイに被印刷物を載置する工程と、
該被印刷物上に所定パターンを有するスクリーン版を配する工程と、
該スクリーン版に対して、押出式スキージの保持部に保持された導電性ペーストを押出供給する工程と、
該供給された前記導電性ペーストと前記被印刷トレイに載置された前記被印刷物の間に電圧を印加する工程と、
前記押出式スキージから前記導電性ペーストを押出供給することで、該導電性ペーストを前記スクリーン版を介して前記被印刷物に塗布する工程と、を含むスクリーン印刷方法。
【請求項11】
前記押出式スキージの保持部に保持された前記導電性ペーストの温度を調節する工程と、
前記被印刷物の温度を調節する工程と、をさらに含む請求項10に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項12】
前記押出式スキージから前記導電性ペーストを押出供給する工程において、前記押出式スキージの縦角度を90度としてスキージングする請求項10又は11に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項13】
前記導電性ペーストがAgペーストであり、前記被印刷基板がシリコン基板であり、前記スクリーン印刷方法が太陽電池のAg電極を形成するものである請求項7乃至12のいずれかに記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−179483(P2010−179483A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22579(P2009−22579)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(591218167)日本文化精工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】