説明

スクリーン印刷用ポリエステルフィルム

【課題】 印刷物の表面形状によらず、耐刷力、穿孔感度、印刷時の解像度に優れたスクリーン印刷用感熱孔版フィルムを提供する。
【解決手段】 酸成分のうち3〜50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分のうち5〜70モル%が1,4ブタンジオール成分で構成されたポリエステル成分からなり、フィルムの融点が245℃以下、厚さ2.5〜7μmであることを特徴とするスクリーン印刷用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、シルク、ナイロン、ポリエステル等の繊維で織ったスクリーンに貼り合せて用いる、サーマルヘッド、キセノン製版方式、フラッシュバック方式等の感熱穿孔性、耐刷性に優れたスクリーン印刷用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感熱孔版フィルムを用いたスクリーン製版は、感光性油脂を用いないため、製版の工程数が少なく簡便な方法であり、コスト的にも有利な方法であるが、耐刷力、画線精度が劣る欠点がある。スクリーン製版に用いる感熱孔版フィルムに必要な特性としては、耐刷力、フィルムの巻き特性、穿孔感度、印刷時の画像の解像度などが挙げられるが、従来、スクリーン印刷の感熱孔版フィルムとして用いられている塩化ビニリレンは、機械的強度が弱く耐刷力が劣ったり、穿孔感度が悪いために、フィルムを穿孔する際の熱エネルギーが高かったりする等、上記の必要特性を全て満足するものではなかった。この問題を解決するために、特定の融点、収縮率、引張弾性率、厚みの二軸配向ポリエステルフィルムが提案されているが(特許文献1)、この方法では、デジタル孔版印刷等で使用する上質紙やプラスチックなどの表面が均一な薄い素材への印刷には支障は生じないが、Tシャツなどの布地や段ボール等の厚紙、表面の凹凸が比較的大きい素材への印刷に対しては、十分な耐刷力が得られていないという問題が残っている。
【特許文献1】特開平9−220867公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、印刷物の表面形状によらず、耐刷力、穿孔感度、印刷時の解像度に優れたスクリーン印刷用感熱孔版フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の二軸配向ポリエステルフィルムがスクリーン印刷用フィルムに好適であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、酸成分のうち3〜50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分のうち5〜70モル%が1,4ブタンジオール成分で構成されたポリエステル成分からなり、フィルムの融点が245℃以下、厚さ2.5〜7μmであることを特徴とするスクリーン印刷用ポリエステルフィルムに存する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスクリーン印刷とはシルク、ナイロン、ポリエステルなどの繊維で織ったスクリーンを枠に固定し、その上に各種の方法で開口部と非開口部を任意の形状に形成した後、船状になったスクリーン枠内にインキを入れ、スクイジー(Squeegee)と称するゴムのヘラで版内を加圧・摺動することにより、インキを画線部よりスクリーン目を通過して版裏面に押し出し印刷する方法である。一般に、スクリーン製版方法としては手工的方法によるスクリーン、フォトレジストスクリーン、感光性樹脂の変わりに感熱孔版フィルムを用いた本願発明の属する特殊スクリーンなどが挙げられる。
【0007】
特殊スクリーン製版も、原稿からの反射光を電気信号に変換し、増幅し、記録針からの放電により塩化ビニル、塩酢ビ共重合体など熱可塑性樹脂フィルムの中にカーボンを分散させ、導電性をもたせたシートを穿孔してスクリーン版とする放電式と、各種のスクリーンメッシュに、熱により穿孔される塩化ビニリデンなどの熱可塑性フィルムを貼り合わせたものを原稿に密着させ、サーマルヘッド、キセノン製版方式、フラッシュバルブ等の熱エネルギーにより孔をあけて版としたりする感熱方式があり、本願発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、スクリーン印刷の中でも、特殊スクリーン製版の感熱孔版方法に用いる。
【0008】
本発明のポリエステルフィルムは、スクリーン印刷用感熱孔版原紙として、シルク、ナイロン、ポリエステル等の繊維で織ったスクリーンに貼り合わせた後、サーマルヘッド、キセノン製版方式、フラッシュバルブ等の熱エネルギーにより穿孔され、スクリーン印刷用製版となる。
【0009】
本発明でいうポリエステルとは、上記したジカルボン酸成分、およびグリコール成分からなるポリエステルをさすが、それ以外の成分を含む共重合体であってもよい。かかる共重合可能成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸等のジカルボン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール成分等が挙げられる。
【0010】
かかるポリエステルを得る方法としては、重合時に所定量のジカルボン酸成分とグリコール成分とを仕込み、共重合により目的のポリエステルを得る方法、あるいは、異なる成分比の共重合ポリエステルの2種類以上をブレンドして溶融混練りにより所定の成分量になるように調節する方法が挙げられる。
【0011】
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、酸性分のうち2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が3〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは5〜30モル%の範囲から構成されるものであり、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が3モル%未満では、同一厚みでの腰の強さが弱く、本発明の目的とする耐刷性の向上が発現しない。一方50モル%以上では十分な感度が得られない。
【0012】
さらに、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分として、テレフタル酸が50〜97モル%、さらには60〜95モル%、特に70〜95モル%となるように構成するのが好ましい。
【0013】
また、グリコール成分のうち1,4−ブタンジオール成分が5〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは10〜50モル%の範囲で構成される。1,4−ブタンジオール成分が5モル%未満では高感度のフィルムが得られず、70モル%を超えた場合は、フィルムの耐熱寸法安定性が悪化して、マスターフィルム保管中やマスターフィルム搬送時にカール、局部タルミが発生し、印刷画像の階調性が劣るようになるので好ましくない。
【0014】
さらに、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分として、エチレングリコールが30〜95モル%、さらには40〜90モル%、特に50〜90モル%となるように構成するのが好ましい。
【0015】
本発明のフィルムの厚さは2.5〜7μm、好ましくは3〜5μmの範囲である。フィルムの厚さが薄いほど熱伝導距離が短縮され、その結果、穿孔時に必要な熱エネルギーが減少して穿孔性が向上し、印刷時の解像度や印字品位性が向上する。しかしながら、フィルムの厚さが2.5μm未満の場合は、フィルムの腰が低下するため、繊維や段ボール等の厚紙、表面の凹凸が比較的大きい素材への印刷では濃淡むらが生じやすく、耐刷性も著しく低下する傾向がある。逆に、フィルムの厚さが7μmを超える場合は、十分な穿孔径、穿孔確率を確保することができず未穿孔が発生する。
【0016】
なお、本発明において、製膜に供するポリエステル全量に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド等)を含有させることができる。また必要に応じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料、顔料等の添加剤を配合してもよい。
【0017】
上記の添加剤の配合方法は、特に限定されず、例えば、添加剤とポリエステルチップとを直接ブレンドする方法、添加剤をあらかじめポリエステル中に高濃度に配合したマスターバッチチップを得、それを再度ポリエステルにブレンドする所謂マスターバッチ法などを採用することができる。
【0018】
本発明におけるフィルムの融点は245℃以下、好ましくは140〜240℃、さらに好ましくは170〜230℃の範囲である。フィルムの融点が245℃より高い場合は、本発明の目的とする高度な穿孔感度が得られ難く、フィルムの融点が140℃未満の場合は、フィルムの耐熱寸法安定性の悪化により、マスターフィルムを製造する工程やマスターフィルムの保存中にカールが発生したり、印刷画像の階調性が劣ったりする傾向がある。
【0019】
また、本発明においては最も高い融点(Tm2)と最も低い融点(Tm1)との差は50℃未満、さらには30℃未満であることが好ましいが、Tm1とTm2が同一であってもよい。かかる温度差が50℃以上では、短時間で均一な穿孔が起こらず印刷画像の階調性が劣るようになる傾向がある。
【0020】
本発明のフィルムのガラス転移温度は40〜85℃が好ましく、さらに好ましくは50〜74℃、さらにより好ましくは55〜74℃である。ガラス転移温度が40℃未満では、耐熱寸法安定性が悪化して、マスターフィルム保管中や、マスターフィルム搬送時にカール、局部タルミが発生しやすく、印刷画像の階調性が劣ることがある。ガラス転移温度が85℃より高い場合は、穿孔感度が悪くなることがある。
【0021】
本発明のフィルムの固有粘度[η]は0.55dl/g以上、好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度[η]が0.55dl/gより低い場合は、マスターフィルム保管中や、マスターフィルム搬送時にカールしたり、十分な耐刷力が得られなくなったりすることがある。
【0022】
本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻き上げ工程、フィルムマスター作成時のコーテング、および印刷時の作業性を向上させるため、あるいは、サーマルヘッドとフィルムとの融着を防止するため、フィルムに適度な滑り性を付与する。
【0023】
具体的には、表面を適度に粗面化するためにフィルムに、例えば平均粒径0.05〜5.0μmの微粒子を0.01〜3.0重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%含有させる。
【0024】
かかる微粒子の例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
この際、配合する微粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが好ましい。
【0025】
平均粒径が0.05μm未満、微粒子の含有量が0.01重量%未満である場合は、フィルム表面の粗面化が不足し、十分に効果が得られないことがある。また平均粒径が5.0μmを超える場合や含有量が3.0重量%を超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大き過ぎて熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣ったり、印字品位性が損なったりすることがある。
【0026】
原料ポリエステルに対する前記各粒子の配合方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルの重合工程に各粒子を添加する方法または原料ポリエステルと各粒子を溶融混練する方法などが好適である。
【0027】
本発明のフィルムは、作業性、印刷時の解像度、印字品位性などの特性を高度に満足させるため、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜0.20μmの範囲であることが好ましく、0.02〜0.15μmの範囲であることがさらに好ましい。Raが0.01μm未満の場合は、フィルムの巻き取り時にフィルムにシワが入りやすくなる傾向があり、また、Raが0.20μmを超える場合は、フィルム表面の平面性が損なわれ、熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣り、印字品位性が損なわれる傾向がある。
【0028】
本発明のフィルム熱収縮率は、150℃3分間で通常30〜70%、好ましくは40〜70%である。150℃での熱収縮率が30%未満では、低エネルギーでの穿孔性の点から十分な穿孔径、穿孔確率を確保することができず未穿孔が発生することがあり、70%より大きいと原紙の保存中に発生するカール、印刷画像の階調性のレベルが悪くなる傾向がある。
【0029】
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、ポリマーをエクストルーダーに代表される周知の押出装置に供給し、ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、通常、静電印加密着法を採用する。
【0030】
本発明においては、上記のようにして得られた未延伸シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。具体的には、まず、ロールまたはテンター方式の延伸機により、前記未延伸シートを一方向に延伸する。この一段目において、延伸温度は、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜7倍とする。次に、テンター方式の延伸機により、一段目と直交する方向に延伸する。この二段目において、延伸温度は、通常20〜100℃、好ましくは25〜90℃、延伸倍率は、通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜7.0倍、さらに好ましくは4.0〜7.0倍とする。
【0031】
一方向の延伸を2段階以上で行う方法も採用することができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが好ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能である。得られたフィルムの熱処理は、任意に行うことができ、また、必要に応じ、熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
【0032】
本発明においては、前記した熱収縮特性を有するフィルムを得るため、延伸倍率を面積倍率として15倍以上とし、熱処理温度を次の条件を採用するのが好ましい。すなわち、熱処理温度は、通常130℃以下、好ましくは110℃以下とし、熱処理時間は1秒から5分間とする。そして、定長下または30%以内の伸長下のフィルムについて熱処理を施す。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、印刷物の表面形状によらず、耐刷力、穿孔感度、印刷時の解像度に優れたスクリーン印刷用感熱孔版フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法は以下に示すとおりである。
【0035】
(1)試料成分含有量の測定
ポリマー試料を重水素トルフルオロ酢酸溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液を調整した。核磁気共鳴装置(ブルカ−バイオスピン製DRX−500)を用い、この溶液の1H−NMRスペクトルを得、各ピークを帰属し、ピークの積分値から各成分の含有量を算出した。
【0036】
(2)融点およびガラス転移温度
示差走査熱量計(DSC)を用いる方法で、具体的にはテイー・エイ・インスルメント社製DSC−2920を使用して測定した。
試料を温度0℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し結晶融解吸熱ピーク温度を融点[Tm]とした。ガラス転移温度[Tg]は300℃に加熱した試料を急冷した後、昇温速度10℃/分で昇温した時、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲する温度範囲の中心値とした。
【0037】
(3)厚さ
試料の重量、長さ、幅、密度より次式にて測定した。
厚さ=(試料の重量 )÷(試料の長さ×試料の幅×試料の密度)
【0038】
(4)固有粘度の測定
試料1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、30℃で測定した。
【0039】
(5)感熱孔版印刷原紙実用特性
フィルムにポリエステル性のスクリーンを貼り合わせて原紙を作製した。得られた原紙をサーマルヘッドにより、印字エネルギー0.12mJおよび0.18mJにて文字画像および16段階の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察し、以下の項目について評価した。
(a)穿孔感度
◎…所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分である
○…所定の穿孔がほぼ確実に行われる、穿孔の大きさも十分である
×…所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不揃があり、実用上支障がある
【0040】
(b)印刷耐久性
印刷機でTシャツをフィルムが破損するまでに刷れる枚数で評価した。
◎…2000枚以上印刷可能
○…1000枚以上印刷可能
△…500枚以上印刷可能
×…500枚以上でフィルムが破損
【0041】
実施例1:
テレフタル酸ジメチル88重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル12重量部、エチレングリコール33重量部、1,4−ブタンジオール24重量部、テトラブチルチタネート0.005重量%を反応器に取り、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後210℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に平均粒子1.1μmの球状シリカを分散させたエチレングリコールスラリーとして1.0重量部添加し、テトラブチルチタネート0.005重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。この時、温度は220℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により固有粘度0.75dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの固有粘度は0.75dl/gであった。上記ポリエステルを265℃に設定した押出機によりシート状に押出し、表面温度20℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を使用して急冷固化させ厚み48μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートを縦方向に65℃で4.0倍、横方向に70℃で4.0倍に延伸し85℃のテンター内で熱処理を施し、厚み3.0μmの二軸配向フィルムを製造した。次いで得られたフィルムを常法に従い、ポリエステル製のスクリーンに貼り合わせ、感熱孔版印刷用原紙を作成し、綿100%の市販の無地Tシャツにスクリーン印刷を行った。
【0042】
実施例2〜6、比較例1〜6:
実施例1において、ポリエステルの創世を下記表1および2に示すように変更した以外は、実施例1の製造と同じ方法で感熱孔版印刷用原紙を作製し、スクリーン印刷を行った。
以上得られたフィルムの物性および評価結果をまとめて下記表1および表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のフィルムは、スクリーン印刷用として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分のうち3〜50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分のうち5〜70モル%が1,4ブタンジオール成分で構成されたポリエステル成分からなり、フィルムの融点が245℃以下、厚さ2.5〜7μmであることを特徴とするスクリーン印刷用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
酸性分のうち50〜100モル%がテレフタル酸成分で、グリコール成分のうち30〜95モル%がエチレングリコール成分で構成されたポリエステル成分からなる請求項1に記載のスクリーン印刷用ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2010−155420(P2010−155420A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335829(P2008−335829)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】