説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置における画像認識方法

【課題】単一のカメラを備えた簡略な構成の認識装置を用いて、スクリーンマスクおよび基板の認識精度を確保することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置における画像認識方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スクリーン印刷装置において基板およびスクリーンマスクを撮像する撮像部17を、入射光軸A1を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラ41と、下側撮像光軸A3を介して入射する撮像光をカメラ41に入射させるハーフミラー44と、上側撮像光軸A2を介して入射する撮像光をハーフミラー44を透過させてカメラ41に入射させるミラー45とを備え、さらにそれぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部46A、下側照明部46Bとを有する構成として、マスク撮像工程,基板撮像工程においてそれぞれ上側照明部46A、下側照明部46Bを個別に作動させた状態で撮像光をカメラ41に取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にクリーム半田などのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置において基板やマスクを撮像して認識する画像認識方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装ラインにおいて、基板上にクリーム半田などの部品接合用のペーストを供給する方法として、スクリーン印刷が用いられている。このスクリーン印刷では、ペーストの印刷部位に対応してパターン孔が設けられたスクリーンマスクに基板を当接させ、スクリーンマスク上にペーストを供給してスキージを摺動させるスキージング動作を行うことにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷する。このスクリーン印刷においてペーストを正しく印刷するためには、基板をスクリーンマスクに対して正しく位置合わせする必要がある。
【0003】
この基板位置合わせは、一般に基板およびスクリーンマスクにそれぞれ設けられた認識マークをカメラによって撮像して位置認識することにより行われる。このとき、基板を撮像する際の座標系とスクリーンマスクを撮像する際の座標系とは位置基準が異なるため、これらの座標系間の位置関係を特定する位置基準データを求める必要がある。このため従来より、基板とスクリーンマスクを撮像して座標系間の位置基準データを求めるキャリブレーション処理機能を備えたスクリーン印刷装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、プリズムを備えた光学系によって、スクリーンマスクおよび基板を単一のカメラによって撮像する構成例が示されており、スクリーンマスクおよび基板から上下同軸方向で入射するそれぞれの撮像光を、カメラの撮像視野の上半分、下半分によって分割して認識するようにしている。このような構成を採用することにより、単一のカメラによってスクリーンマスクおよび基板の双方の認識を行うことが可能となり、認識装置の構成を簡略化することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,752,446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に示す先行技術においては、撮像光学系の構成に起因して、次のような問題点があった。すなわち、上述の先行技術では、スクリーンマスクおよび基板をカメラの撮像視野の上半分、下半分によって分割して認識する構成であることから撮像範囲が狭く、解像度が低くて認識精度が低下するという難点がある。また撮像光は上下同軸方向から入射する構成となっていることから、基板側のマーク認識時においてマスク側の光軸はマスク用の認識マークとして設けられたマスク開口に一致している。このため、上方に位置するマスク開口から入射した光が基板側のマーク認識時において外乱光として作用し、認識精度を低下させる要因となっていた。このように、従来のスクリーン印刷装置においては、単一のカメラを備えた簡略な構成の認識装置を用いると、スクリーンマスクおよび基板の認識精度を確保することが困難であるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、単一のカメラを備えた簡略な構成の認識装置を用いて、スクリーンマスクおよび基板の認識精度を確保することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置における画像認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたスクリーンマスクに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、ペーストが供給された前記スクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向であって平面位置が所定距離だけオフセットされた上側撮像光軸および下側撮像光軸を有し、前記上側撮像光軸を介して前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークを撮像し、前記下側撮像光軸を介して前記基板に形成された基板認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、前記撮像部を前記基板およびスクリーンマスクに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構とを備え、前記撮像部は、撮像光が入射する入射光軸を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラと、斜め下向きの半反射面を前記カメラ側に向けて配設され、前記下側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して、前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるハーフミラーと、斜め上向きの全反射面を前記カメラ側に向けて且つ前記ハーフミラーよりも前記カメラから隔てられた位置に配設され、前記上側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して前記ハーフミラーを透過させ、次いで前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるミラーと、前記上側撮像光軸を介しての撮像時および前記下側撮像光軸を介しての撮像時に,それぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部および下側照明部とを有し、さらに前記撮像対象に応じて前記上側照明部および下側照明部を切り替えて作動させる照明制御部とを備えた。
【0008】
本発明のスクリーン印刷装置における画像認識方法は、上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、ペーストが供給された前記スクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向であって平面位置が所定距離だけオフセットされた上側撮像光軸および下側撮像光軸を有し、前記上側撮像光軸を介して前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークを撮像し、前記下側撮像光軸を介して前記基板に形成された基板認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、前記撮像部を前記基板およびスクリーンマスクに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構とを備え、パターン孔が設けられたスクリーンマスクに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置において、前記撮像部によって前記基板認識マークおよびマスク認識マークを撮像して認識する画像認識方法であって、前記撮像部は、撮像光が入射する入射光軸を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラと、斜め下向きの半反射面を前記カメラ側に向けて配設され、前記下側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して、前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるハーフミラーと、斜め上向きの全反射面を前記カメラ側に向けて且つ前記ハーフミラーよりも前記カメラから隔てられた位置に配設され、前記上側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して前記ハーフミラーを透過させ、次いで前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるミラーと、前記上側撮像光軸を介しての撮像時および前記下側撮像光軸を介しての撮像時に,それぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部および下側照明部とを有し、前記マスク認識マークを撮像するマスク撮像工程において、前記上側照明部を作動させた状態で、前記マスク認識マークの撮像光を前記上側撮像光軸を介して前記ミラーに入射させ、前記基板認識マークを撮像する基板撮像工程において、前記下側照明部を作動させた状態で、前記基板認識マークの撮像光を前記下側撮像光軸を介して前記ハーフミラーに入射させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上側撮像光軸を介してマスク認識マークを撮像し、下側撮像光軸を介して基板認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部を、撮像光が入射する入射光軸を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラと、下側撮像光軸を介して入射する撮像光をカメラに入射させるハーフミラーと、上側撮像光軸を介して入射する撮像光をハーフミラーを透過させてカメラに入射させるミラーとを備え、さらに上側撮像光軸を介しての撮像時および下側撮像光軸を介しての撮像時にそれぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部および下側照明部とを有する構成として、マスク撮像工程,基板撮像工程においてそれぞれ上側照明部、下側照明部を個別に作動させた状態で撮像光をカメラに取り込む撮像方式を採用することにより、単一のカメラを備えた簡略な構成の認識装置を用いて、スクリーンマスクおよび基板の認識精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置に用いられる撮像部の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における撮像部の機能説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマーク撮像動作の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマーク撮像動作の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2、図3を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷部11を配設して構成されている。基板位置決め部1は、上流側から搬入された基板を保持して水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする機能を有し、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。
【0012】
第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cをモータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。
【0013】
ベースプレート5aには垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8が保持されている。基板搬送機構8は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設された2条の搬送レールを備えており、これらの搬送レールによって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、基板搬送機構8とともに後述するスクリーン印刷部に対して昇降させることができる。図2、図3に示すように、基板搬送機構8は上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出し、上流側から搬入された基板10は基板搬送機構8によって搬送され、さらに基板位置決め部1によって位置決めされる。そして後述するスクリーン印刷部11によって印刷が行われた後の基板10は、基板搬送機構8によって下流側に搬出される。
【0014】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cをモータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、上面に基板10を保持する下受け面が設けられた基板下受け部7が配設されている。
【0015】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受け部7は基板搬送機構8に保持された状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受け部7の下受け面が基板10の下面に当接することにより、基板下受け部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aを駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する。
【0016】
次に基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷部11について説明する。スクリーン印刷部11は、ペーストが供給されたスクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷する機能を有している。図1,図2において、マスク枠12aにはスクリーンマスク12が展張されており、スクリーンマスク12には基板10において印刷対象となる電極10aの形状・位置(図3参照)に対応して、パターン孔12bが設けられている。スクリーンマスク12上にはスキージヘッド13が配設されており、スキージヘッド13は、水平なプレート14にスキージ16を昇降させるスキージ昇降機構15を配設した構成となっている。スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージ16は昇降して、スクリーンマスク12の上面に当接する。
【0017】
図2に示すように、縦フレーム25上に配置されたブラケット26上にはガイドレール27がY方向に配設されており、ガイドレール27にスライド自在に嵌合したスライダ28は、プレート14の両端に結合されている。これにより、スキージヘッド13はY方向にスライド自在となっている。プレート14は、ナット30、送りねじ29および送りねじ29を回転駆動するスキージ移動用モータ(図示省略)より成るスキージ移動手段によりY方向に水平移動する。縦フレーム25上にはガイドレール31がY方向に配設されており、ガイドレール31にスライド自在に嵌合したスライダ32は、ヘッドX軸テーブル19にブラケット19aを介して結合されている。これにより、ヘッドX軸テーブル19はY方向にスライド自在となっている。
【0018】
図3に示すように、ヘッドX軸テーブル19には、基板10、スクリーンマスク12を撮像する撮像部17およびスクリーンマスク12の下面をクリーニングするクリーニング機構18が結合されている。また図3に示すように、クリーニング機構18は水平なユニットベース18aに未使用のクリーニングペーパを巻回したペーパロール18bと、使用済みのクリーニングペーパを巻回したペーパロール18cおよびクリーニングペーパをスクリーンマスク12の下面に押し付けるクリーニングヘッド18dを配設した構成となっており、ペーパロール18bから引き出されたクリーニングペーパは、クリーニングヘッド18dを経由してペーパロール18cに回収される。
【0019】
ヘッドX軸テーブル19は、ナット34、送りねじ33および送りねじ33を回転駆動するヘッド移動用モータ(図示省略)より成るヘッドY軸移動機構20によりY方向に水平移動する。ヘッドX軸テーブル19,ヘッドY軸移動機構20を駆動することにより、撮像部17、クリーニング機構18はX方向、Y方向へ水平移動し、これにより基板10、スクリーンマスク12の任意位置の撮像およびスクリーンマスク12の下面の全範囲をクリーニングすることができる。ヘッドX軸テーブル19およびヘッドY軸移動機構20は、撮像部17を基板10およびスクリーンマスク12に対して水平方向に移動させる撮像部移動機構21を構成する。
【0020】
次にスクリーン印刷部11による印刷動作について説明する。まず基板搬送機構8によって基板10が印刷位置に搬入されると、第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受け部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。そしてこの状態で基板位置決め部1を駆動して基板10をスクリーンマスク12に対して位置合わせする。この後、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板搬送機構8とともに上昇させてスクリーンマスク12の下面に当接させ、次いで基板10をクランプ機構9によってクランプする。これにより、スキージヘッド13によるスキージングにおいて、基板10の水平位置が固定される。そしてこの状態で、ペーストであるクリーム半田が供給されたスクリーンマスク12上でスキージ16を摺動させることにより、パターン孔12bを介して基板10にはクリーム半田が印刷される。
【0021】
次に図4を参照して、ヘッドX軸テーブル19に結合された撮像部17の構成を説明する。図4に示すように、撮像部17は、筐体40の一方側の側端部に単一のカメラ41を撮像光が入射する入射光軸A1を水平方向に向けた姿勢で配設し、筐体40の内部に撮像光学系42および上側照明部46A、下側照明部46Bを配設した構成となっている。撮像光学系42は、入射光軸A1の延長上に、カメラ41側から撮像レンズ43、ハーフミラー44およびミラー45を配置して構成されている。上側照明部46A、下側照明部46Bの点灯作動は、照明制御部51によって制御される。
【0022】
ハーフミラー44は、斜め下向きの半反射面44aをカメラ41側に向けて配設され、下側撮像光軸A3を介して入射する撮像光を水平方向に反射して撮像レンズ43に入射させ、入射光軸A1を介してカメラ41に入射させる。ミラー45は、斜め上向きの全反射面45aをカメラ41側に向けて且つハーフミラー44よりも所定距離dだけカメラ41から隔てられた位置に配設され、上側撮像光軸A2を介して入射する撮像光を水平方向に反射してハーフミラー44を透過させて撮像レンズ43に入射させ、次いで入射光軸A1を介してカメラ41に入射させる。すなわち撮像部17は、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向であって平面位置がハーフミラー44とミラー45の配置間隔である所定距離dだけオフセットされた上側撮像光軸A2および下側撮像光軸A3を有する構成となっている。
【0023】
撮像光学系42の上方に配置された上側照明部46Aは上側撮像光軸A2を介しての撮像時に撮像対象を照明する機能を有しており、水平な基板47aの上面に複数のLED49を配列した照明基板47A、垂直な基板48aの内側面に複数のLED49を配列した照明基板48Aおよび照明基板48Aと斜めに対向するハーフミラー50を備えている。
【0024】
基板47aには撮像開口部47bが貫通して設けられており、上側照明部46Aは上側撮像光軸A2がハーフミラー50を下方から透過しさらに撮像開口部47bを貫通するように配置されている。照明基板47Aを作動させることにより照明光が上方の撮像対象に照射され、さらに照明基板48Aを作動させることにより、ハーフミラー50によって上方に反射された照明光が上側撮像光軸A2の同軸方向から撮像対象に照射される。
【0025】
撮像光学系42の下方に配置された下側照明部46Bは下側撮像光軸A3を介しての撮像時に撮像対象を照明する機能を有しており、水平な基板47aの下面に複数のLED49を配列した照明基板48B、垂直な基板48aの内側面に複数のLED49を配列した照明基板48Bおよび照明基板48Bと斜めに対向するハーフミラー50を備えている。
【0026】
基板47aには撮像開口部47cが貫通して設けられており、下側照明部46Bは下側撮像光軸A3がハーフミラー50を上方から透過しさらに撮像開口部47cを貫通するように配置されている。照明基板47Bを作動させることにより照明光が下方の撮像対象に照射され、さらに照明基板48Bを作動させることにより、ハーフミラー50によって下方に反射された照明光が下側撮像光軸A3の同軸方向から撮像対象物に照射される。上側照明部46A、下側照明部46Bを照明制御部51によって制御することにより、上下の撮像対象に応じて上側照明部46A、下側照明部46Bを切り替えて個別に作動させることができる。
【0027】
上側照明部46Aの上方、下側照明部46Bの下方には、それぞれ上側シャッター機構52A、下側シャッター機構52Bが配設されている。上側シャッター機構52A、下側シャッター機構52Bは、それぞれ上側シャッター部材53A、下側シャッター部材53Bを進退駆動機構54によって進退させる構成となっており、上側シャッター部材53Aを進退させる(矢印a)ことにより、撮像開口部47bの上方の遮蔽・開放が切り替えられる。下側シャッター部材53Bを進退させる(矢印b)ことにより、撮像開口部47cの下方の遮蔽・開放が切り替えられる。
【0028】
撮像部17によってマスク認識マーク12m、基板認識マーク10mを撮像して認識する画像認識方法においては、図5(a)に示すように、撮像部移動機構を駆動して撮像部17を基板10とスクリーンマスク12との間に進出させる(矢印c)。これにより、図5(b)に示すように、上側撮像光軸A2を介してスクリーンマスク12に形成されたマスク認識マーク12mを撮像し、下側撮像光軸A3を介して基板10に形成された基板認識マーク10mを撮像するマーク撮像動作を行う。
【0029】
すなわち、マスク認識マーク12mを撮像するマスク撮像工程においては、図6(a)に示すように、上側撮像光軸A2をマスク認識マーク12mに位置合わせし、上側シャッター機構52Aを開放した状態で、上側照明部46Aを作動ON状態、下側照明部46Bを作動OFF状態にする。これにより上側照明部46Aの照明光がスクリーンマスク12の下面によって反射されたマスク認識マーク12mの撮像光を上側撮像光軸A2を介してミラー45に入射させる。そしてミラー45によって全反射された撮像光はミラー45を透過して入射光軸A1を介してカメラ41に入射し、カメラ41の撮像視野の全範囲にマスク認識マーク12mの画像が結像される。このとき、下側照明部46Bが作動OFF状態であることから下側の撮像開口部47cから外乱光として入射する光は極めて少なく、カメラ41にはマスク認識マーク12mの鮮明な画像が結像される。
【0030】
また基板認識マーク10mを撮像する基板撮像工程においては、図6(b)に示すように、下側撮像光軸A3を基板認識マーク10mに位置合わせし、下側シャッター機構52Bを開放した状態で、下側照明部46Bを作動ON状態、上側照明部46Aを作動OFF状態にする。これにより下側照明部46Bの照明光が基板10の上面によって反射された基板認識マーク10mの撮像光をハーフミラー44に入射させる。そしてハーフミラー44によって半反射された撮像光は入射光軸A1を介してカメラ41に入射し、カメラ41の撮像視野の全範囲に基板認識マーク10mの画像が結像される。このとき、上側照明部46Aが作動OFF状態であることから上側の撮像開口部47bから外乱光として入射する光は極めて少なく、カメラ41には基板認識マーク10mの鮮明な画像が結像される。
【0031】
なお、撮像部17の構成において、上側撮像光軸A2と下側撮像光軸A3とは所定距離dだけオフセットされているため、図6(b)に示す基板認識マーク10mを対象とする基板撮像工程において以下のような効果を得る。すなわちスクリーンマスク12の上方は開放状態にあるためマスク認識マーク12mから外乱光が常に入光するが、基板認識マーク10mを対象とする基板撮像工程においては撮像開口部47bの位置はマスク認識マーク12mからオフセットされている。このため、マスク認識マーク12mからの外乱光が撮像開口部47bから直接入光することはなく、したがって外乱光が下側撮像光軸A3を介して行われるマスク認識マーク12mの撮像に与える影響が少ない。
【0032】
さらに基板認識マーク10mを対象とする基板撮像工程において、図7に示すように、上側シャッター機構52Aにおいて上側シャッター部材53Aを撮像開口部47bの上方を遮蔽する位置に進出させる(矢印d)ことにより、撮像開口部47bから入光する外乱光の光量を大幅に減少させることができ、上述の効果がさらに改善される。
【0033】
上記説明したように、本実施の形態に示すスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置における画像認識方法は、上側撮像光軸A2を介してマスク認識マーク12mを撮像し、下側撮像光軸A3を介して基板認識マーク10mを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部17を、撮像光が入射する入射光軸A1を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラ41と、下側撮像光軸A3を介して入射する撮像光をカメラ41に入射させるハーフミラー44と、上側撮像光軸A2を介して入射する撮像光をハーフミラー44を透過させてカメラ41に入射させるミラー45とを備え、さらに上側撮像光軸A2を介しての撮像時および下側撮像光軸A3を介しての撮像時にそれぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部46Aおよび下側照明部46Bとを有する構成として、マスク撮像工程,基板撮像工程においてそれぞれ上側照明部46A、下側照明部46Bを個別に作動させた状態で撮像光をカメラ41に取り込む撮像方式を採用している。
【0034】
これにより、単一のカメラによって上下両方向を撮像する先行技術における課題点、すなわち、スクリーンマスクおよび基板をカメラの撮像視野の上半分、下半分によって分割して認識することに起因する解像度、認識精度の低下や、撮像光が上下同軸方向から入射することに起因する外乱光の影響による認識精度の低下を防止することができる。これにより、単一のカメラ41を備えた簡略な構成の認識装置を用いて、スクリーンマスク12および基板10の認識精度を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置における画像認識方法は、単一のカメラを備えた簡略な構成の認識装置を用いて、スクリーンマスクおよび基板の認識精度を確保することができるという特徴を有し、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷の分野において有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 基板位置決め部
8 基板搬送機構
10 基板
10m 認識マーク
11 スクリーン印刷部
12 スクリーンマスク
12m 認識マーク
17 撮像部
21 撮像部移動機構
41 カメラ
42 撮像光学系
44 ハーフミラー
45 ミラー
46A 上側照明部
46B 下側照明部
A1 入射光軸
A2 上側撮像光軸
A3 下側撮像光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたスクリーンマスクに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、
ペーストが供給された前記スクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、
撮像方向がそれぞれ上方向および下方向であって平面位置が所定距離だけオフセットされた上側撮像光軸および下側撮像光軸を有し、前記上側撮像光軸を介して前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークを撮像し、前記下側撮像光軸を介して前記基板に形成された基板認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、
前記撮像部を前記基板およびスクリーンマスクに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構とを備え、
前記撮像部は、撮像光が入射する入射光軸を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラと、
斜め下向きの半反射面を前記カメラ側に向けて配設され、前記下側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して、前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるハーフミラーと、
斜め上向きの全反射面を前記カメラ側に向けて且つ前記ハーフミラーよりも前記カメラから隔てられた位置に配設され、前記上側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して前記ハーフミラーを透過させ、次いで前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるミラーと、
前記上側撮像光軸を介しての撮像時および前記下側撮像光軸を介しての撮像時に,それぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部および下側照明部とを有し、
さらに前記撮像対象に応じて前記上側照明部および下側照明部を切り替えて作動させる照明制御部とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記撮像部は、シャッター部材を進退駆動機構によって進退させることにより、前記上側撮像光軸が貫通する撮像開口部の遮蔽・開放を切り替えるシャッター機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、ペーストが供給された前記スクリーンマスク上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向であって平面位置が所定距離だけオフセットされた上側撮像光軸および下側撮像光軸を有し、前記上側撮像光軸を介して前記スクリーンマスクに形成されたマスク認識マークを撮像し、前記下側撮像光軸を介して前記基板に形成された基板認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、前記撮像部を前記基板およびスクリーンマスクに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構とを備え、パターン孔が設けられたスクリーンマスクに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置において、前記撮像部によって前記基板認識マークおよびマスク認識マークを撮像して認識する画像認識方法であって、
前記撮像部は、撮像光が入射する入射光軸を水平方向に向けた姿勢で配設された単一のカメラと、斜め下向きの半反射面を前記カメラ側に向けて配設され、前記下側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して、前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるハーフミラーと、斜め上向きの全反射面を前記カメラ側に向けて且つ前記ハーフミラーよりも前記カメラから隔てられた位置に配設され、前記上側撮像光軸を介して入射する撮像光を水平方向に反射して前記ハーフミラーを透過させ、次いで前記入射光軸を介して前記カメラに入射させるミラーと、前記上側撮像光軸を介しての撮像時および前記下側撮像光軸を介しての撮像時に,それぞれの撮像対象を個別に照明する上側照明部および下側照明部とを有し、
前記マスク認識マークを撮像するマスク撮像工程において、前記上側照明部を作動させた状態で、前記マスク認識マークの撮像光を前記上側撮像光軸を介して前記ミラーに入射させ、
前記基板認識マークを撮像する基板撮像工程において、前記下側照明部を作動させた状態で、前記基板認識マークの撮像光を前記下側撮像光軸を介して前記ハーフミラーに入射させることを特徴とするスクリーン印刷装置における画像認識方法。
【請求項4】
前記撮像部は、シャッター部材を進退駆動機構によって進退させることにより、前記上側撮像光軸が貫通する撮像開口部の遮蔽・開放を切り替えるシャッター機構をさらに有し、
前記基板撮像工程において、前記シャッター機構を作動させて前記シャッター部材を前記上側撮像光軸が貫通する撮像開口部を遮蔽する位置に進出させることを特徴とする請求項3記載のスクリーン印刷装置における画像認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10240(P2013−10240A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144033(P2011−144033)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】