説明

スクリーン印刷装置および印刷方法

【課題】 マスクシートの開口面積等の具体的な事情に応じてより適切なアタック角度で印刷処理を行い得るようにし、印刷状態の良好な基板を安定して生産する。
【解決手段】 スクリーン印刷装置は、ヘッドをマスクシートに沿って移動させながらスキージによりペーストを拡張し、スキージの回転によりアタック角度の切換えを行うように構成される。このスクリーン印刷装置は、主制御部511、角度設定部512および記憶部513等を含む制御部本体51を有する。角度設定部512は、マスクシートの開口面積、ペースト量およびヘッドの移動速度等の印刷条件に基づいてタック角度を設定し、主制御部511は、印刷動作中、角度設定部512により設定された設定角度に基づいてスキージを駆動制御するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等の基板にクリーム半田等のペーストを塗布するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステージ上にセットした基板にマスクシートを重装し、マスクシート上に供給されるクリームはんだ、導電ペースト等のペーストをスキージで拡張することにより、マスクシートに形成された開口(マスク開口)を介して基板上の所定位置にペーストを塗布(印刷)するようにしたスクリーン印刷装置が一般に知られている。
【0003】
この種のスクリーン印刷装置として、近年では、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されるように、ヘッドに対してスキージをその長手方向と平行な軸回りに回転(揺動)可能に支持したスクリーン印刷装置が提案されている。これらの装置は、スキージを前記軸回りに駆動するだけでマスクシートに対するスキージの傾き角度(アタック角度)を任意に設定でき、また単一の機構でスキージを昇降駆動できるため往時と復時の印刷荷重を均一に保ち易くなるという特徴を有している。
【特許文献1】特開平10−323964号公報
【特許文献2】特開2003−48304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスクリーン印刷装置において、アタック角度の設定は、従来、基板の生産前に印刷試験を行うことにより作業者がその経験に基づいて最適と思われるアタック角度を決定していた。そのため、作業者毎に最適なアタック角度が異なる場合もあり、基板の品質(印刷状態)を一定に保つ上で改善の余地がある。
【0005】
また、一旦印刷作業が開始されると、同じロットの基板は全て同じアタック角度で作業が進められており、印刷後の検査で印刷不良が発生しない限り印刷動作中にアタック角度が変更されることは殆どない。そのため、実際には、印刷不良が発生するまでの間、印刷不良に近い印刷状態の基板が多数生産されている場合も考えられ、この点を改善して、印刷状態の良好な基板を安定して生産できるようにすることが望まれる。
【0006】
さらに、マスク開口の数、大きさ及び配置はマスクシートの部分によって異なるが、従来のように一律に同じアタック角度で印刷処理を行う場合には、同じ基板でもマスク開口面積等の違いにより基板の印刷状態が部分的に異なる場合がある。従って、この点を改善することも望まれる。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、マスクシートの開口面積等の具体的な事情に応じてより適切なアタック角度で印刷処理を行い得るようにすること、より好ましくは、適切なアタック角度に加え、適切なヘッド移動速度又は押圧荷重で印刷処理を行い得るようにし、これを通じてより印刷状態の良好な基板を安定して生産できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のスクリーン印刷装置は、マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置において、マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、ヘッドの駆動に関する情報および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度を設定する設定手段と、この設定手段により設定された設定角度で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御する制御手段とを備えているものである(請求項1)。
【0009】
例えば、前記マスクシートに関する情報としてマスク開口面積、前記ペーストに関する情報として印刷時のペースト量、ヘッドの駆動に関する情報として印刷時のヘッド移動速度又はマスクシートを介して前スキージを基板に押圧する際の押圧荷重の少なくとも一方、印刷結果に関する情報としては印刷済み基板の印刷部分の印刷面積(請求項2)などを用いることができる。
【0010】
このスクリーン印刷装置によると、マスクシートに関する情報をはじめとする各種情報に基づき設定手段においてスキージの最適なアタック角度が設定され、この設定角度に基づき制御手段によりスキージ等が駆動制御される。そのため、信頼性の高いアタック角度を設定して印刷動作を進めることが可能となる。
【0011】
このスクリーン印刷装置においては、印刷処理が終了した基板の印刷面を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された印刷面の画像に基づいて印刷部分の印刷面積を認識する認識手段とをさらに有し、印刷結果に関する情報として前記認識手段の認識結果に基づいて前記アタック角度を設定するように設定手段が構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0012】
この装置によると、例えば前回の印刷状態(印刷部分の印刷面積)に基づいて次回印刷時のアタック角度が設定手段により設定される。そのため、例えば前回の印刷状態が悪い場合には、この印刷状態が改善されるようにアタック角度が補正されることとなる。
【0013】
また、上記のスクリーン印刷装置において、前記設定手段は、マスクシートに対して印刷時のヘッドの移動方向に並ぶ複数のエリアを設定するとともにエリア毎にアタック角度を設定し、前記制御手段は、前記エリア毎にそのエリアに対応するアタック角度で印刷を行うべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御するように構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0014】
このスクリーン印刷装置によると、一枚の基板の印刷動作中、マスクシートに沿って摺動するスキージのアタック角度がエリア毎にそのエリアに対応したアタック角度に切換えられる。そのため、マスクシートのマスク開口の数、大きさ、配置といった具体的な事情に応じたエリアを設定するようにしておくことにより、そのエリア毎に最適なアタック角度で印刷が行われることとなる。
【0015】
この場合、前記制御手段は、エリア間でアタック角度を変更する際には、マスクシートにスキージが圧接した状態を維持しながら前記アタック角度を切換えるべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御するように構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0016】
すなわち、スキージをマスクシートから一旦引き離して角度変更を行うようにしてもよいが、この場合、ペーストの性状によっては後側(スキージの進行方向後側)にペーストが流動して印刷不良を誘発することが考えられる。これに対して上記の構成によると、角度切換中もマスクシートに対してスキージが接触した状態が維持されるため、上記のようなトラブルの発生が未然に防止される。
【0017】
また、前記制御手段は、エリア間でアタック角度を変更する際には、ヘッドをマスクシートに摺動させながらアタック角度を切換える第1切換動作と、ヘッドの移動を一旦停止させてアタック角度を切換えた後に再度移動を開始する第2切換動作とを選択的に実行し得るように構成されているのが好ましい(請求項6)。
【0018】
この構成によると、隣設されるエリアの間隔等の具体的な状況に応じて応じて第1又は第2切換動作の何れかの切換え動作が選択的に実行される。これによりエリア毎にアタック角度を切換えるようにする一方で、印刷動作が適切に、かつ可及的速やかに進められる。
【0019】
なお、上記(請求項2)に係るスクリーン印刷装置において、前記設定手段は、アタック角度に加えてヘッド移動速度を設定するものであって、マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、押圧荷重および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度およびヘッド移動速度をそれぞれ設定するように構成され、前記制御手段は、設定手段よる設定角度および設定速度で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御するように構成されるものであってもよい(請求項7)。また、前記設定手段は、アタック角度に加えて前記押圧荷重を設定するものであって、マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、ヘッド移動速度および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度および押圧荷重をそれぞれ設定するように構成され、前記制御手段は、設定手段よる設定角度および設定荷重で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御するように構成されるものであってもよい(請求項8)。
【0020】
これらの構成によると、アタック角度に加えてヘッド移動速度、あるいは押圧荷重についても信頼性の高い設定が可能となる。
【0021】
一方、本発明に係る印刷方法は、マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置における印刷方法であって、所定のアタック角度に前記スキージを配置して基板に印刷を施した後、この印刷状態を画像認識し、この認識結果に基づいてアタック角度を補正し、この補正後のアタック角度で次回の印刷を行うようにしたものである(請求項9)。
【0022】
このように一旦設定したアタック角度を実際の印刷状態に応じて補正することにより、アタック角度の信頼性が向上する。
【0023】
また、本発明に係る印刷方法は、マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置における印刷方法であって、マスクシートに対して印刷時のヘッドの移動方向に並ぶ複数のエリアを設定するとともにエリア毎にアタック角度を設定し、前記アタック角度を、前記エリア毎にそのエリアに対応するアタック角度に切換えながら印刷を行うようにしたものである(請求項10)。
【0024】
この印刷方法によると、例えばマスクシートのマスク開口の数、大きさ、配置といった具体的な事情に応じてマスクシートに複数のエリアを設定し、エリア毎にアタック角度を切換えることにより、エリア毎にそのエリアに属するマスク開口等に応じたより最適なアタック角度で印刷を進めることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る請求項1〜8に係るスクリーン印刷装置によると、マスクシートに関する情報等の具体的な条件に基づいてアタック角度の設定を自動的に行うことが可能となるので、アタック角度の設定を作業者の経験に依存していた従来のこの種のスクリーン印刷装置に比べると、アタック角度設定の信頼性を高めることができる。従って、常に適切なアタック角度で印刷処理を行うことができ、その結果、印刷状態の良好な基板を安定して生産できるようになる。特に、請求項3に係るスクリーン印刷装置(又は請求項9に係る印刷方法)によると、前回の印刷状態が悪い場合には、その印刷状態に基づいて次回印刷時のアタック角度を修正(変更)することが可能となるため、より適切に印刷処理を進めることができるようになる。
【0026】
また、請求項4〜6に係るスクリーン印刷装置(又は請求項10に係る印刷方法)によると、マスクシートのエリア毎にアタック角度が切換可能なため、エリア毎に最適なアタック角度でもって印刷処理を行うことにより、基板の全体に対して適切に印刷処理を施すことができるようになる。
【0027】
さらに、請求項7,8に係るスクリーン印刷装置によると、アタック角度に加えてヘッド移動速度、あるいはスキージの押圧荷重の設定についてもその信頼性を高めることができるため、印刷状態の良好な基板をより一層安定して生産できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1及び図2は、本発明に係るスクリーン印刷装置(本発明に係る印刷方法が使用されるスクリーン印刷装置)を概略的に示しており、図1は側面図(印刷済み基板搬出側から見た側面図)で、図2は正面図でそれぞれスクリーン印刷装置を示している。
【0030】
これらの図に示すように、スクリーン印刷装置の基台1上には、搬入用コンベア2aと搬出用コンベア2bとが印刷ステージ3Aを挟んで配設されており、プリント基板W(以下、基板Wと略す)が搬入用コンベア2aにより印刷ステージ3Aに搬入され、ここで印刷処理に施された後、搬出用コンベア2bにより搬出されるように構成されている。
【0031】
なお、以下の説明では、これらコンベア2a,2bによる基板Wの搬送方向をY軸方向、これと水平面上で直交する方向をX軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めるものとする。
【0032】
印刷ステージ3Aには4軸ユニット10が配設されている。
【0033】
この4軸ユニット10は、基板Wを支持して後記マスクシート4トに対してその下側から位置決めするもので、搬入用コンベア2aにより搬入された基板Wを水平に、かつX軸、Y軸、Z軸およびR軸(Z軸回りの回転)に変位可能に支持する。
【0034】
すなわち、この4軸ユニット10は、前記基台1上に固定される固定テーブル11と、この固定テーブル11に対して相対的にX軸方向に移動可能に支持されてサーボモータにより駆動されるX軸テーブル12と、このX軸テーブル12に対して相対的にY軸方向に移動可能に設けられてサーボモータにより駆動されるY軸テーブル13と、このY軸テーブル13に対して相対的に回転可能に設けられてサーボモータにより駆動されるR軸テーブル14と、このR軸テーブル14に対して昇降可能に設けられてサーボモータにより駆動される昇降テーブル15とを階層的に備えている。そしてこの昇降テーブル15に設けられた支持ユニット16により基板Wを支持することにより、各テーブル12,13,14,15の駆動に応じて基板WをX軸、Y軸、Z軸およびR軸(Z軸回りの回転)方向の任意の位置に移動し得るようになっている。
【0035】
支持ユニット16は、Z軸方向に出没可能な複数の支持ピンを備え、基板Wを直接支持する基板支持機構17と基板WをX軸方向両側からクランプするクランプ機構18とから構成されており、搬入用コンベア2aから支持ユニット16上に基板Wが搬入されると基板支持機構17の各支持ピンが突出して基板Wをその下側(裏面側)から支持するとともにクランプ機構18により基板WをX軸方向両側からクランプし、これにより基板Wを支持ユニット16に対して位置決め固定するようになっている。
【0036】
なお、基台1上において印刷ステージ3AのX軸方向側方(図1の右側)には検査ステージ3Bが設けられており、前記X軸テーブル12の駆動により4軸ユニット10が印刷ステージ3Aと検査ステージ3Bとの間を移動できるように構成されている。
【0037】
この検査ステージ3Bには、その上方に撮像ユニット8が配設されている。この撮像ユニット8は、CCDエリアセンサ等の撮像素子をもつカメラ8aおよびLED等の照明光源からなる照明装置8b(何れも図5に示す)等からなり、撮像方向を下向きにした状態で検査ステージ3Bの上方に配置されており、支持ユニット16に支持された基板Wの印刷面をその上側から撮像しその画像信号を後記制御装置50に出力するようになっている。
【0038】
印刷ステージ3Aの上方にはマスクシート4が張設されており、このマスクシート4の上方に、該シート4上に供給されるクリームはんだ、導電ペースト等のペーストを拡張するスキージ6aを備えた印刷用ヘッド6が配設されている。
【0039】
ヘッド6はX軸方向及びZ軸方向に移動可能に支持されておりサーボモータにより駆動されるようになっている。すなわち、マスクシート4の上方にはX軸方向に延びる一対の固定レール7が設けられ、ヘッド支持部材5がこれら固定レール7に横架された状態で装着されるとともにサーボモータにより駆動されるボールねじ(共に図示省略)に対して連結されている。また、ヘッド6がヘッド支持部材5に設けられたZ軸方向の固定レール22に装着されるとともにサーボモータ23に回転駆動されるボールねじ24に連結されている。これにより、前記2つのサーボモータのうち図外のサーボモータの駆動によりヘッド6がヘッド支持部材5と一体的にX軸方向に所定の設定速度で移動する一方、残りのサーボモータ23の駆動によりヘッド6がヘッド支持部材5に対してZ軸方向に移動し、この移動によりスキージ6aがマスクシート4を介して基板Wに所定の設定荷重で押圧される。そして、上記のヘッド6のX軸方向の移動に伴いスキージ6aがマスクシート4に沿って摺動し、この摺動によりマスクシート4上でペーストが拡張されるようになっている。
【0040】
図3,図4はヘッド6の具体的な構成を示しており、図3は斜視図で、図4は正面図(図3のA方向矢視図)でそれぞれヘッド6を示している。
【0041】
これらの図に示すように、ヘッド6は板状のメインフレーム20を有しており、このフレーム20を介して前記ヘッド支持部材5に支持されている。このフレーム20には、断面逆L字型のアーム部材25が図外のばね部材を介して接続されており、さらにロードセル等の圧力センサ26が介装された支持部28がこのアーム部材25に垂設され、前記支持部28にサブフレーム30が揺動自在に支持されている。具体的には、Y軸方向に延びる第1支持軸29が支持部28に突設され、この第1支持軸29にベアリング等を介してサブフレーム30が支持されることにより、当該サブフレーム30がこの第1支持軸29回りに揺動自在に支持されている。
【0042】
なお、圧力センサ26には不図示のばね部材が上下直列に設けられており、印刷開始時には、上記の通りヘッド6を下降させてスキージ6aを接触ポイントに接触させ、さらに前記ばね部材の弾性力に抗してヘッド6を下降させつつ、圧力センサ26による出力値が所定値(押付荷重)となる高さ位置でヘッド6を停止させるように後記制御装置50によりサーボモータ23が駆動制御される。これによりスキージ6aが所定の設定荷重でマスクシート4に圧接させるようになっている。
【0043】
サブフレーム30には、後記スキージユニット45が着脱可能に組付けられるユニット組付部材32が回転可能に支持されるとともにこのユニット組付部材32を駆動する駆動機構が搭載されている。
【0044】
ユニット組付部材32は、Y軸方向に細長い長方形の板状の部材であって、その長手方向途中分部に突設されるアーム部32aを介してサブフレーム30に回転可能に支持されている。具体的には、前記サブフレーム30にY軸方向に延びる第2支持軸34がその軸回りに回転可能な状態で支持され、この第2支持軸34に対して前記アーム部32aが固定(キー結合)されることにより、サブフレーム30に対してユニット組付部材32が揺動自在に支持されている。
【0045】
ユニット組付部材32を支持する上記第2支持軸34は、サブフレーム30を貫通して反対側に突出しておりこの突出部分にはギア44が固定(キー結合)されている。そして、サブフレーム30に駆動源としてのサーボモータ40が固定され、このモータ40の出力軸に駆動ギア41が装着されるとともに、この駆動ギア41と前記ギア44との間にアイドルギア42,43が介装されている。つまり、サーボモータ40、ギア41〜44及び第2支持軸34等により上記駆動機構が構成されており、サーボモータ40が作動すると、その回転駆動力がギア41〜44を介して第2支持軸34に伝達され、これによってユニット組付部材32が第2支持軸34回りに回転駆動されるようになっている。なお、アイドルギア42,43は、サブフレーム30に対して回転自在に軸支されている。
【0046】
ユニット組付部材32には、スキージユニット45が着脱自在に組付けられている。このスキージユニット45は、スキージ6aとこれを保持するスキージホルダ46とから構成されており、スキージホルダ46に設けられた一対のねじ軸をユニット組付部材32に形成された案内溝32bに通し、さらにスキージホルダ46をユニット組付部材32に重ね合わせた状態で、前記各ねじ軸にナット部材48が螺合装着されることにより、ユニット組付部材32に対して固定されている。なお、図4では便宜上ナット部材48は図示を省略している。
【0047】
スキージ6aは、例えば硬質ウレタン、あるいはステンレスからなるY軸方向に細長い長方形の板状部材で、同図に示すように、同様にY軸方向に細長い前記スキージホルダ46に重ね合わされた状態で当該ホルダ46に固定されている。スキージホルダ46の長手方向両端には、横漏れ防止板47がそれぞれ設けられており、印刷作業時には、スキージ6a側方(Y軸方向外側方)へのペーストの流動による漏洩がこの横漏れ防止板47により防止されるようになっている。なお、各横漏れ防止板47はスキージホルダ46に対してY軸回りに回転可能で、かつスキージ6aに対して中立の位置(図4に示す位置)に弾性的に保持されており、この構成により印刷動作中はマスクシート4に対するスキージ6aの傾き角度(以下、アタック角度という)に拘わらず横漏れ防止板47がマスクシート4に隙間無く摺接し得るようになっている。
【0048】
なお、このスクリーン印刷装置には、前記ヘッド6、4軸ユニット10および撮像ユニット8等の駆動を統括的に制御する図5に示すような制御装置50が設けられている。
【0049】
この制御装置50は、制御部本体51、キーボード・マウス等の入力手段58、LCDモニタ等の表示手段59、モータ制御回路61、画像処理回路62、照明制御回路63および光磁気ディスクなどの外部記憶装置57等を備えている。
【0050】
制御部本体51は、論理演算を実行する周知のCPU52、そのCPU52を制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROM53、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM54、種々のプログラムやOS、さらに各種データを記憶するHDD55およびI/Oコントローラ(IOC)56等を備え、これらCPU62等が互いに内部バスにより接続された構成となっている。
【0051】
IOC56には、前記入力手段58および表示手段59が接続されるとともに、サーボモータ23,40等のモータ制御回路61、カメラ8aの画像処理回路62、照明装置8bの照明制御回路63等が接続されている。そして、入力手段58により入力される所定の入力情報に基づくCPU52からの指令に従い、制御回路61等と制御部本体51との間の各種制御信号および各種データの入力がこのIOC56により制御され、これによりヘッド6および4軸ユニット10の動作等が制御部本体51により制御されるようになっている。
【0052】
なお、同図では、サーボモータとして便宜上2つのモータ23,40のみ図示しているが、ここにはこれ以外の各種サーボモータ、例えば4軸ユニット10の各テーブル駆動用のサーボモータ、ヘッド支持部材駆動用のサーボモータ等も含まれている。
【0053】
図6は、制御部本体51に含まれる機能構成のうちアタック角度の制御に関する部分をブロック図で概略的に示している。同図に示すように、制御部本体51は、主制御部511、角度設定部512(本発明に係る設定手段に相当)および記憶部513を含んでいる。
【0054】
主制御部511は、予め記憶されたプログラムに従って所定の印刷処理および検査処理を実行すべくモータ制御回路61を介してサーボモータ40等を統括的に制御するとともに、これら印刷処理および検査処理に必要な各種演算を行うものである。検査処理においては撮像ユニット8から出力される基板W(印刷面)の画像データに基づき印刷状態、具体的には各印刷ポイントのペースト塗布量(印刷面積)とその塗布状態とを認識し、これに基づき印刷処理の合否を判定する。
【0055】
角度設定部512は、印刷時のマスクシート4に対するスキージ6aのアタック角度を設定するもので、記憶部513に記憶されているマスクシートデータ、ペーストデータ等の各種データおよび印刷プログラムに基づきアタック角度を設定する。例えば角度設定部512には、図7に示すような複数のパラメータ、具体的にはマスク開口面積(アスペクト比)、ペースト量、スキージ6aの移動速度(印刷速度)、スキージ6aの押圧荷重(図示せず)および印刷面積等のパラメータとアタック角度(最適値)との相関関係を予め試験的に調べた相関データが記憶されており、角度設定部512は、印刷処理における各パラメータと前記相関データとからパラメータ毎の最適なアタック角度を求め、これらの最適値に基づき最終的なアタック角度を設定するようになっている。なお、印刷面積については、被処理基板と共通の基板Wについて既に検査処理が実施されて検査データが取得されている場合にのみアタック角度の設定パラメータとして用いる。
【0056】
なお、角度設定部512は、マスクシート4のマスク開口の位置、数、大きさ等に基づき、必要に応じて、マスクシート4に対して複数の印刷エリアを設定し、そのエリア毎にアタック角度を設定するようになっている。具体的には、記憶部513に記憶されているマスクシートデータに基づき、例えば図10に示すようにマスクシート4に形成されるマスク開口4a〜4cのうち略同サイズのマスク開口4a〜4cが共通のエリアに属するように、マスクシート4に対してヘッド6の移動方向(X軸方向)に複数のエリアP1〜P3を設定し、エリアP1〜P3毎にアタック角度を設定する。
【0057】
記憶部513は、上記の通りマスクシート4、ペーストおよび基板W等に関する各種データを格納するものである。
【0058】
次に、上記制御装置50による基板Wの印刷動作制御について図10、図11を参照しつつ図8、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
4軸ユニット10の前記支持ユニット16に基板Wが搬入され、マスクシート4に対して基板Wが重装されると図8のフローチャートがスタートする。
【0060】
まず、ステップS1において、印刷に用いるマスクシート4のマスクシートデータを読込むことによりこのデータに基づきマスクシート4に対して印刷エリアの設定(マスクエリアの分割)を行う。この際、図10に示すようにマスクシート4にサイズが異なる複数のマスク開口4a〜4cが形成されているような場合には、上述したように、略同サイズのマスク開口がそれぞれ共通のエリアに属するようにマスクシート4にエリアP1〜P3を設定する。図示の例ではマスクシート4を3つのエリアP1〜P3(分割数N=3)を設定する。なお、マスク開口4a〜4cの大きさが1種類、あるいは複数サイズのマスク開口がマスクシート4全体に入り乱れた状態で略均等に存在するような場合にはマスクシート4全体を1つのエリアとして設定する(分割数N=1)。
【0061】
次いで、エリアのカウンタ値iに初期値「1」をセットし、スキージ6aをマスクシート4上の所定の初期位置に配置するとともに、必要であればペースト供給装置(図示せず)によりマスクシート4上にペーストを供給する。具体的には、予め定められたアタック角度の初期値(初期角度という)にスキージ6aをセットした後、ヘッド6をヘッド支持部材5に対して下降させ、これによりスキージ6aのエッジ部分を所定圧でマスクシート4に圧接させ、この状態で、スキージ6aの前方、すなわち印刷時のヘッド6の進行方向前方であってマスクシート4のうちマスク開口4a〜4cが存在しない部分に予め定められた量のペーストを供給する。これにより印刷待機状態となる。
【0062】
印刷待機状態に入ると、次にマスクシート4の最初のエリアP1、すなわち印刷時にヘッド6が最初に通過するエリアのアタック角度を求める(ステップS2,S3)。
【0063】
図9はアタック角度を求める処理のサブルーチンを示している。この処理では、今回の印刷処理に関するマスクシートデータ、ペースト量データ、印刷速度データおよび印刷結果データを順次角度設定部512に読込み、これらデータと前記相関データとに基づいてアタック角度を求める(ステップS21〜S25)。
【0064】
ここで、ペースト量データは、主制御部511において演算により求める。具体的にはマスクシート4上に供給されるペーストの初期投入量から消費量(基板1枚当りの消費量×印刷済み枚数)を減算することにより求める。また、印刷速度データとしては、予め記憶されている印刷プログラムの設定値を用い、印刷結果データは主制御部511による検査結果を用いる。なお、印刷結果データは、例えば同一ロット内で直前に印刷及び検査処理が行われた基板Wのデータを用いる。
【0065】
図8に戻って、最初のエリアP1のアタック角度が求まると、スキージ6aの現在位置とエリアP1の印刷開始位置P1s(図10参照)とに基づき、当該印刷開始位置P1sまでにアタック角度の変更が可能か否かを判断する(ステップS4)。
【0066】
ここで、YESと判断した場合には、スキージ6aを駆動してアタック角度の変更を開始するとともにヘッド支持部材5を駆動してヘッド6の移動を開始し、これによりエリアP1に対してスキージ6aをステップS3で求められたアタック角度で摺動させる(ステップS5〜S7)。このようにスキージ6aを摺動させることにより、マスクシート4上のペーストがスキージ6aにより拡張されつつエリアP1に形成されたマスク開口4aを介して基板W上に塗布されることとなる。
【0067】
なお、スキージ6aのアタック角度を変更すると、図11に示すように、スキージ6aのエッジ部分、つまりマスクシート4に対する圧接部分はY軸方向にΔY、Z軸方向にΔZだけ変位することとなる。そのため、ステップS6のヘッド6の移動時には、主制御部511において初期角度(現在のアタック角度)と変更後のアタック角度との偏差から上記変位量ΔY,ΔZを求め、スキージ6aのエッジ部分が常に設定圧でマスクシート4に圧接した状態が維持されるように、主制御部511によりヘッド6のX軸方向の移動速度およびZ軸方向の位置を制御する。
【0068】
これに対してステップS4でNOと判断した場合には、ヘッド6の移動を停止させ(ヘッド6が停止している場合には停止状態を維持し)、この状態でスキージ6aを駆動してアタック角度を変更する(ステップS10〜S12)。この場合も、初期角度(現在のアタック角度)と変更後のアタック角度との偏差から上記変位量ΔY,ΔZを求め、アタック角度の変更中、スキージ6aのエッジ部分がマスクシート4の定位置に、設定圧で圧接するように主制御部511によりヘッド6を駆動制御する。
【0069】
アタック角度の変更が完了すると(ステップS12でYES)、ヘッド支持部材5を駆動してヘッド6の移動を再開し(ステップS13)、これによりスキージ6aをステップS3で求められたアタック角度でエリアP1に対して摺動させ、基板Wに対してペーストを塗布する(ステップS8)。
【0070】
そして、スキージ6aがエリアP1の印刷終了位置P1eに到達すると、印刷エリアのカウンタ値iが設定数(分割数N)以上か否かを判断し(ステップS9)、ここでNOと判断した場合には、ステップS14に移行してエリアのカウンタ値iをインクリメントした後、ステップS3に移行し、次のエリアP2のアタック角度を求めてスキージ6a等を駆動制御する。
【0071】
このようにして最終的にステップS9でYESと判断すると、すなわちマスクシート4の全てのエリアP1〜P3に亘ってスキージ6aが移動したと判断すると、基板Wに対する印刷処理を終了し、4軸ユニット10を駆動して基板Wをマスクシート4から離間させ、これにより本フローチャートを終了する。
【0072】
ここで、図10に示すマスクシート4を用いる場合のヘッド6(スキージ6a)の動作を簡単にまとめると次のようになる。まず、スキージ6aは、初期角度の状態でマスクシート4a(初期位置)に圧接され、その後、アタック角度がエリアP1に対応したアタック角度に切換えられる。
【0073】
そして、エリアP1の印刷開始位置P1sから印刷終了位置P1eまでスキージ6aが摺動すると、アタック角度が次のエリアP2に対応したアタック角度に切換えられる。この際、エリアP1の印刷終了位置P1eからエリアP2の印刷開始位置P2sまでは同図に示すように離間しており余裕があるため、終了位置P1eから開始位置P2sまでスキージ6aが移動する間にアタック角度の切換えが行われる。このとき、マスクシート4aに対してスキージ6aを摺動させながらアタック角度の切換えが行われることにより(本発明の第1切換動作に相当)、スキージ6aの後側(進行方向後側)にペーストが漏れ出すことが防止される。
【0074】
そして、切換え後のアタック角度でエリアP2の印刷開始位置P2sから印刷終了位置P2eまでスキージ6aが移動すると、スキージ6aのアタック角度がさらに次のエリアP3に対応したアタック角度に切換えられる。この場合、図示の例では、エリアP2の印刷終了位置P2eとエリアP3の印刷開始位置P3sとが同位置であるため、スキージ6aが終了位置P2eで一旦停止し、この停止状態でアタック角度の切換えが行われる(本発明の第2切換動作に相当)。このときにも、印刷終了位置P2eにスキージ6aを圧接させた状態でアタック角度の切換えが行われることにより、スキージ6aの進行方向後側へのペーストの漏出が防止される。
【0075】
こうしてアタック角度の切換えが終了すると、スキージ6aが切換え後のアタック角度でエリアP3の印刷開始位置P3s(=P2e)から印刷終了位置P3eまで移動し、これにより印刷が完了することとなる。
【0076】
以上のようなスクリーン印刷装置によると、マスクシート4の開口面積やペースト量等の具体的な情報に基づいて角度設定部512により自動的にアタック角度を設定し、この設定アタック角度に基づいてスキージ6aを主制御部511により駆動制御するように構成されているので、このようなアタック角度の設定を作業者の経験に基づいて行っていた従来のこの種のスクリーン印刷装置に比べるとアタック角度のバラツキが少なく信頼性が高い。従って、常に適切なアタック角度で印刷処理を行うことができ、これによって印刷状態の良好な基板を安定して生産できるようになる。
【0077】
特に、この装置では、印刷処理が施された基板Wの印刷面を撮像ユニット8により撮像し、その画像に基づき印刷状態(特に印刷面積)を検査する一方、その検査結果データを角度設定部512にフィードバックし、この結果をさらに踏まえて次回処理時のアタック角度を求めるように構成されているので、例えば前回の基板Wの印刷状態が悪い場合には、その印刷状態に基づいて次回のアタック角度が補正(変更)されることにより印刷状態が早期に改善されることとなる。そのため、同じアタック角度で継続的に作業が進められる従来のスクリーン印刷装置のように、印刷不良が発生するまでの間、印刷不良には至らないがそれに極めて近い印刷状態の基板が多数生産されるといった事態の発生を有効に防止することができ、その結果、印刷状態の良好な基板をより安定して生産できるようになる。
【0078】
しかも、この装置では、マスク開口の位置、大きさ、数等のマスクシート4の具体的な形状に基づき略同サイズのマスク開口が共通のエリアに属するようにマスクシート4に複数の印刷エリアを設定するとともにエリア毎に最適なアタック角度を設定し、印刷動作中は、エリア毎にそのエリアに対応するアタック角度でスキージ6aを駆動するように構成されているので、マスクシート4の具体的な開口状態に応じて合理的に印刷処理を行うことができる。すなわち、マスクシートの開口面積とアタック角度とは印刷状態に密接な関係があることは周知であるが、マスク開口の位置、大きさ、数等はマスクシートの部分によって異なるため、従来のように一律に同じアタック角度で印刷処理を行う場合には、同じ基板でもマスク開口の大きさ等の違いに起因して印刷状態が部分的に異なる場合が生じる。これに対して上記装置によると、部分的にサイズの異なるマスク開口を有するマスクシート4については、その部分と他の部分を別の印刷エリアに設定してエリア毎に最適なアタック角度でもって印刷処理を進めることができるため、基板Wの何れの印刷ポイントについても良好に印刷処理を施すことができるようになる。従って、基板Wの全体に亘ってより良好に印刷処理を施すことができるようになる。
【0079】
その上、エリア間でアタック角度を切換える際には、マスクシート4aに対して常にスキージ6aを設定圧で圧接させた状態でアタック角度を切換えるように構成されているので、アタック角度の切換時に、スキージ6aの後側、すなわち進行方向後側にペーストが漏出し印刷不良を招くことが一切ない。そのため、上記のように複数のエリアを設定してエリア毎にアタック角度を切換えるようにしながらも、ペーストの漏出による印刷不良の発生を未然に防止することができる。
【0080】
さらに、エリア間でのアタック角度の切換えは、上記のようにスキージ6aをマスクシート4に沿って摺動させつつその移動途中でアタック角度を切換えることを基本とし(図7のステップS4参照)、隣接する印刷エリア同士が重複している(すなわち先のエリアの印刷終了位置と次のエリアの印刷開始位置とが同じ)ような場合にのみ、スキージ6aを停止させた状態でアタック角度の切換えを行うように構成されているので、上記のようにエリア毎にスキージ6aのアタック角度を切換えるといった印刷動作を可及的速やかに行いながら効率的に印刷処理を進めることができる。
【0081】
ところで、上述したスクリーン印刷装置は、本発明に係るスクリーン印刷装置(本発明に係る印刷方法)の実施形態の一例であって、その具体的な構成および印刷方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば以下のような態様を採用することもできる。
【0082】
(1)実施形態のスクリーン印刷装置は、印刷後の基板Wを撮像ユニット8により撮像して印刷状態を検査し得るように構成されているが、すなわちスクリーン印刷装置が検査装置としての機能を兼ね備えた構成となっているが、勿論、検査機能を備えていない構成であってもよい。なお、このような場合には、スクリーン印刷装置に別体の印刷検査装置が隣設されるのが一般的であるため、角度設定部512によるアタック角度の設定に際しては、この印刷検査装置の検査データ(印刷面積)を取得するようにすればよい。
【0083】
(2)実施形態では、アタック角度を設定するための設定パラメータとしてマスクシート4の開口面積、ペースト量、スキージ6aの移動速度(印刷速度)、スキージ6aの押圧荷重および印刷面積(検査結果)を用いているが、必ずしもこれら全てのパラメータを用いてアタック角度を設定する必要はなく、いずれか1つのパラメータ、例えばマスクシート4の開口面積のみに基づいてアタック角度を設定するようにしてもよい。
【0084】
なお、実施形態では、角度設定部512によるアタック角度の設定に際し、マスクシート4の開口面積についてはマスクシートデータ、すなわちマスク製作時のCADデータ等を用いるが、例えばマスクシート4を撮像するマスク撮像手段を設け、このマスク撮像手段によりマスクシート4を実際に撮像することによりその画像データに基づいてマスク開口面積を求め、そのデータを用いるようにしてもよい。
【0085】
また、ペースト量については、実施形態のように主制御部511により演算に基づいて求めたデータを用いる代わりに、実際のペースト量をセンサにより検出し、その検出データを用いるようにしてもよい。
【0086】
また、印刷速度については、印刷プログラムの設定値を用いる代わりに、例えば前回印刷時の印刷速度データを記憶しておき、その印刷速度データを用いるようにしてもよい。
【0087】
勿論、マスク開口面積、ペースト量及び印刷速度をそれぞれ入力手段58の操作に基づきオペレータが数値入力することにより、この入力データに基づいてアタック角度を求めるように構成してもよい。
【0088】
また、マスクシート4に関する情報として開口面積以外の情報(例えばマスク開口の位置、配列等)、ペーストに関する情報としてペースト量以外の情報(例えばペーストの種類等)、ヘッドの駆動に関する情報としてスキージ6aの移動速度以外の情報(例えばヘッドの加減速度等)、印刷結果に関する情報として印刷面積以外の情報(例えば印刷位置ずれ、体積、にじみ、欠け等)に基づいてアタック角度を設定するようにしてもよい。また、実施形態では、マスクシート4の開口面積等のパラメータと最適なアタック角度との相関データを取得しておき、この相関データを使ってアタック角度を設定しているが、勿論、これ以外の方法で角度設定部512においてアタック角度を設定するようにしてもよい。
【0089】
(3)実施形態では、エリア間のアタック角度の切換えの際には、スキージ6aをマスクシート4に圧接させた状態で切換えを行うようにしているが、例えばペーストの流動性が低い場合等、可能な場合には、スキージ6aを一旦マスクシート4aから離した状態(上昇させた状態)でアタック角度の切換えを行うようにしてもよい。
【0090】
(4)実施形態では、スキージ6aの回転半径方向に対してスキージ6aの作業面(つまりペーストを拡張させる(押圧する)ための面)が直交するように構成されたスクリーン印刷装置の例であるが、勿論、従来技術の特許文献1に開示されるように、スキージの作業面が回転半径方向とほぼ平行となるようにスキージが設けられるスクリーン印刷装置についても本発明は適用可能である。
【0091】
なお、上記の実施形態においては、本発明の設定手段として、マスクシートの開口面積、ペースト量、スキージ6aの移動速度(印刷速度)、スキージ6aの押圧荷重および印刷面積(検査結果)等に基づいてアタック角度を設定する角度設定部512を設けているが、例えば、上記のようなアタック角度の設定機能に加え、スキージ6aの移動速度(印刷速度)又は押圧荷重の少なくとも一方の設定機能を兼ね備えた設定手段を設けるようにしてもよい。この場合、制御負担を軽減するために、印刷速度を設定する場合には設定パラメータから印刷速度を外し、同様に、押圧荷重を設定する場合には設定パラメータから押圧荷重を外すようにする。印刷速度および押圧荷重の双方を設定する場合も同様である。なお、アタック角度の設定に関しては印刷速度および設定荷重の何れのパラメータも使用可能であることは言うまでもない。
【0092】
定性的には、アタック角度を小さくすると、マスクシート4の開口から基板W上にペーストが移動し易くなるので、印刷済み基板Wにおいては印刷範囲からペーストがはみ出し易くなり、これに対してアタック角度を大きくすると、印刷済み基板Wにおいては逆に印刷範囲に対してペースト不足(欠け)が発生し易くなる。また、押圧荷重を大きくすればアタック角度を大きくできるが、印刷速度を速くすればアタック角度を小さくする必要がある。さらに、押圧荷重と印刷速度との関係で言えば、印刷速度を速くすれば印刷の効率化を図ることができるが押圧荷重を大きくする必要があり、押圧荷重を大きくすることは、スキージ6aやマスクシート4の耐久性低下につながる。
【0093】
すなわち、パラメータとして印刷速度が速い場合には、アタック角度を小さく設定する。この際、押圧荷重は大きく設定するとよい。これによれば印刷効率を高めつつ印刷品質の適正化を図ることができる。逆に、印刷速度が遅い場合には、アタック角度を大きく設定し、押圧荷重を小さく設定するとよい。これによれば印刷品質の適正化を図りつつスキージ6aやマスクシート4の耐久性を向上させることができる。
【0094】
また、パラメータとして押圧荷重が小さい場合には、アタック角度を大きく設定する。これにより印刷品質の適正化を図ることができる。この際、印刷速度は遅く設定するのがよい。これによれば摩擦を軽減してスキージ6aやマスクシート4の耐久性を向上させることができる。
【0095】
また、印刷結果においてにじみがある場合には、アタック角度を大きく設定することによりにじみの発生を解消することができる。この場合には、押圧荷重を小さくすることも可能なため、これによりスキージ6aやマスクシート4の耐久性を向上させることができ、あるいは印刷速度を高かめて印刷効率を向上させることもできる。
【0096】
また、印刷結果において欠けがある場合には、アタック角度を小さく設定することにより欠けの発生を解消することができる。この場合には、同時に印刷速度を遅く設定することによりアタック角度の変化量を抑える(小さくする)ことができる。あるいは、押圧荷重を大きく設定することにより、スキージ6aの浮き上がりを防止することができ、より確実に欠けの発生を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係るスクリーン印刷装置(本発明に係る印刷方法が使用されるスクリーン印刷装置)を示す側面概略図(印刷済み基板搬出側から見た側面図)である。
【図2】スクリーン印刷装置を示す正面概略図である。
【図3】スクリーン印刷装置のヘッドの具体的な構成を示す斜視図である。
【図4】ヘッドの具体的な構成を示す正面図(図3のA矢視図である)。
【図5】スクリーン印刷装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】制御部本体の機能構成を示すブロック図である。
【図7】各種パラメータとアタック角度との関係(相関データ)を示す図である。
【図8】制御装置による印刷動作制御の一例を示すフローチャートである。
【図9】アタック角度算出処理を示すフローチャート(図8のステップS3のサブルーチン)である。
【図10】印刷エリアの設定例を示すマスクシートの平面模式図である。
【図11】アタック角度の変更に伴うエッジ部分の変位を説明するためのスキージの模式図である。
【符号の説明】
【0098】
3A 印刷ステージ
3B 検査ステージ
4 マスクシート
5 ヘッド支持部材
6 ヘッド
6a スキージ
10 4軸ユニット
16 支持ユニット
50 制御装置
51 制御部本体
511 主制御部
512 角度設定部
513 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置において、
マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、ヘッドの駆動に関する情報および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度を設定する設定手段と、
この設定手段により設定された設定角度で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御する制御手段とを備えている
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置において、
前記マスクシートに関する情報はマスク開口面積であり、前記ペーストに関する情報は印刷時のペースト量であり、ヘッドの駆動に関する情報は印刷時のヘッド移動速度又はマスクシートを介して前スキージを基板に押圧する際の押圧荷重の少なくとも一方であり、印刷結果に関する情報は印刷済み基板の印刷部分の印刷面積である
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置において、
印刷処理が終了した基板の印刷面を撮像する撮像手段と、
この撮像手段により撮像された印刷面の画像に基づいて印刷部分の印刷面積を認識する認識手段とを有し、
前記設定手段は、印刷結果に関する情報として前記認識手段の認識結果に基づいて前記アタック角度を設定する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のスクリーン印刷装置において、
前記設定手段は、マスクシートに対して印刷時のヘッドの移動方向に並ぶ複数のエリアを設定するとともにエリア毎にアタック角度を設定し、
前記制御手段は、前記エリア毎にそのエリアに対応するアタック角度で印刷を行うべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御することを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、エリア間でアタック角度を変更する際には、マスクシートにスキージが圧接した状態を維持しながら前記アタック角度を切換えるべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御することを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、エリア間でアタック角度を変更する際には、ヘッドをマスクシートに摺動させながらアタック角度を切換える第1切換動作と、ヘッドの移動を一旦停止させてアタック角度を切換えた後に再度移動を開始する第2切換動作とを選択的に実行する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項7】
請求項2に記載のスクリーン印刷装置において、
前記設定手段は、アタック角度に加えてヘッド移動速度を設定するものであって、マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、押圧荷重および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度およびヘッド移動速度をそれぞれ設定するように構成され、前記制御手段は、設定手段よる設定角度および設定速度で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項8】
請求項2に記載のスクリーン印刷装置において、
前記設定手段は、アタック角度に加えて前記押圧荷重を設定するものであって、マスクシートに関する情報、ペーストに関する情報、ヘッド移動速度および印刷結果に関する状態のうち少なくとも一つの情報に基づいてアタック角度および押圧荷重をそれぞれ設定するように構成され、前記制御手段は、設定手段よる設定角度および設定荷重で印刷動作を実施すべく前記ヘッドおよびスキージを駆動制御する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項9】
マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置における印刷方法であって、
所定のアタック角度に前記スキージを配置して基板に印刷を施した後、この印刷状態を画像認識し、この認識結果に基づいてアタック角度を補正し、この補正後のアタック角度で次回の印刷を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
マスクシートに対して相対的に移動可能なヘッドにスキージが回転可能に設けられ、この回転よりスキージの傾き角度であるアタック角度が切換可能に構成され、前記ヘッドの移動に伴い所定のアタック角度でスキージをマスクシートに沿って摺動させながらはんだ等のペーストをマスクシートの開口を介して基板に塗布するスクリーン印刷装置における印刷方法であって、
マスクシートに対して印刷時のヘッドの移動方向に並ぶ複数のエリアを設定するとともにエリア毎にアタック角度を設定し、前記アタック角度を、前記エリア毎にそのエリアに対応するアタック角度に切換えながら印刷を行うことを特徴とする印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−315329(P2006−315329A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141143(P2005−141143)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】