説明

スクリーン印刷装置

【課題】所定位置への基板(ワーク)の高精度な位置決めが可能なスクリーン印刷装置を提供する。
【解決手段】スクリーンを保持するフレーム34と、印刷ステージとを備えたスクリーン印刷装置である。フレーム34は、ベースフレーム30と、Xフレーム31と、Yフレーム32と、θフレーム33とが積層されてなるものであり、複数箇所に配設される円板状のカム35と、X、Y、及びθフレーム31,32,33のそれぞれに接続するとともに、それぞれのカム35の外周面上に当接して配設された、カム35の回転を受動してX、Y、及びθフレーム31,32,33のそれぞれに伝達する伝達部とを含んでなる、印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置されるワークに対する、フレーム34の相対位置の調整を行うフレーム位置調整手段を更に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置に関し、更に詳しくは、所定位置への基板(ワーク)の高精度な位置決めが可能な、例えば電子部品を構成する基板(ワーク)等の高い位置決め精度が要求される場合に好適なスクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックスをはじめとする材料よりなる基板(ワーク)の表面上に、例えばクリーム半田、圧電/電歪材料、或いはこの圧電/電歪材料等に接続される電極材料等の材料を所定の厚み・パターンで配設するに際しては、高い印刷精度を有するスクリーン印刷装置を用いたスクリーン印刷方法が採用されている。
【0003】
近年、電子機器の更なる小型化に伴い、これに搭載される電子部品を構成する基板の小型化、及び基板に配設される圧電/電歪材料等の印刷パターンの微細化が要求されており、これらの要求を満足すべくより高い印刷精度を有するスクリーン印刷装置の開発が求められている。
【0004】
一般的なスクリーン印刷装置は、所定のパターン形状の孔が形成されたスクリーンをその周囲から保持する枠状のフレームと、このフレームの下方に配設され、ワークを位置決めして固定・載置する位置決め手段を有する印刷ステージとを備えている(例えば、非特許文献1参照)。このようなスクリーン印刷装置を使用するには、先ずスクリーン上に所定の材料からなるペーストを載置する。次いで、スキージ等を用いてスクリーン上を摺動させることによりペーストを孔に押し込めば、スクリーンの下方に配設されたワーク表面上に所定の厚み・パターンでペーストを配設(印刷)することができる。
【0005】
但し、前述したような高い印刷精度を実現するためには、先ず、ワークがステージ上の所定の位置に、位置決め精度良好に載置される必要性がある。特に、多数のワークに対して印刷を行う場合には、この必要性は極めて高く、常にステージ上の同じ位置にワークが載置される必要がある。
【0006】
図5(a)、図5(b)は、従来のスクリーン印刷装置を構成するX軸押圧部材の一実施形態を概略的に示す図面であり、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図である。図5(a)、図5(b)に示すように、従来のスクリーン印刷装置におけるX軸押圧部材5は、エアシリンダ20と、これに連結してX軸方向に往復動するスライドベース22とを含んでなるものであり、スライドベース22の往復動と連動するチャックピン8を介してワーク3の端部を押圧することにより、ワーク3をX軸方向の所定の位置へと位置決めすることができる。なお、特に図示しないが、Y軸押圧部材も、上述のX軸押圧部材と同様の構成を有するものであり、これらを使用してワークの端部をX軸、及びY軸方向に押圧することにより、印刷ステージ上におけるワークの位置決めを行っていた。しかし、このX軸押圧部材15(及び、Y軸押圧部材)を用いてワーク3の位置決めを行うと、X軸方向への押圧と、Y軸方向への押圧とが影響し合い、ワーク3のいずれの方向への位置決めも僅かにズレてしまうという問題があった。
【0007】
また、高い印刷精度を実現するためには、ステージ上に載置されたワークに対する、スクリーンの相対的な位置も高精度とする必要性がある。特に、同一ワーク上に複数回の印刷を重ねる、いわゆる多層印刷を行う必要性がある場合には、ワークとスクリーンとの相対的位置のズレが極めて僅かであっても、上層に移行するに従ってズレ幅が顕著になるといった問題がある。
【0008】
前述の非特許文献1において開示されたスクリーン印刷装置では、例えば、ワークに対して圧電/電歪材料等を印刷するに際し要求される、十数μm、又はそれ以下の位置決め精度が要求される場合においては、その位置決め精度は十分であるとはいえず、更なる位置決め精度の向上が要求されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】[online]、ニューロング精密工業株式会社、[平成15年6月24日検索]、インターネット<URL:http://www.newlong.co.jp/jp/ls150.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所定位置への基板(ワーク)の高精度な位置決めが可能なスクリーン印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
スクリーンをその周囲から保持する枠状のフレームと、前記フレームの下方に配設され、被印刷物であるワークを位置決めして固定・載置する位置決め手段を有する印刷ステージとを備えたスクリーン印刷装置であって、前記フレームは、ベースフレームと、X軸方向に往復動可能なXフレームと、前記X軸と直交するY軸方向に往復動可能なYフレームと、前記X軸及び前記Y軸と直交するZ軸を中心として回転可能なθフレームとが積層されてなるものであり、複数箇所に配設される円板状のカムと、前記X、Y、及びθフレームのそれぞれに接続するとともに、それぞれの前記カムの外周面上に当接して配設された、前記カムの回転を受動して前記X、Y、及びθフレームのそれぞれに伝達する伝達部とを含んでなる、前記印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置される前記ワークに対する、前記フレームの相対位置の調整を行うフレーム位置調整手段を更に備えるスクリーン印刷装置が提供される。
【0012】
本発明においては、フレームは、Xフレーム、Yフレーム、及びθフレームが、ベースフレーム上にこの順で配置されたものであることが好ましい。
【0013】
本発明においては、ベースフレーム、Xフレーム、Yフレーム、及びθフレームが、これらの積層方向に、緩衝材を介して押圧・挟持されて固定化されていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、緩衝材が板バネであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスクリーン印刷装置は、所定位置へのワークの高精度な位置決めが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの一例を概略的に示す図面である。
【図2】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するX軸押圧部材の一例を概略的に示す図面であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。
【図3】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するフレームの一例を概略的に示す図面であり、図3(a)は正面図、図3(b)は上面図、図3(c)は側面図である。
【図4】フレーム位置調整手段の一例を概略的に示す図面であり、図4(a)は上面図、図4(b)は側面図である。
【図5】従来のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するX軸押圧部材の一例を概略的に示す図面であり、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図である。
【図6】従来のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するフレームの一例を概略的に示す図面であり、図6(a)は正面図、図6(b)は上面図、図6(c)は側面図である。
【図7】従来のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの一例を示す模式図である。
【図8】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの別の例を示す模式図である。
【図9】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの更に別の例を示す模式図である。
【図10】従来のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する位置決めピンの、第2プレートへの配設状態の一例を模式的に示す図面である。
【図11】従来のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する位置決めピンの、第2プレートへの配設状態の他の例を模式的に示す図面であり、図11(a)は正面図、図11(b)は上面図である。
【図12】本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する位置決めピンの、第2プレートへの配設状態の一例を模式的に示す図面であり、図12(a)は正面図、図12(b)は側面図である。
【図13】フレームの固定方法の一例を概略的に示す図面であり、図13(a)は上面図、図13(b)は図13(a)のA部断面図である。
【図14】フレームの固定方法の別の例を概略的に示す図面であり、図14(a)は上面図、図14(b)は図14(a)のB部断面図である。
【図15】フレームの固定方法の更に別の例を概略的に示す図面であり、図15(a)は上面図、図15(b)は図15(a)のC部断面図である。
【図16】フレームの固定方法の更に別の例を概略的に示す上面図である。
【図17】フレームの位置決め精度測定方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0018】
本発明のスクリーン印刷装置は、スクリーンをその周囲から保持する枠状のフレームと、フレームの下方に配設され、被印刷物であるワークを位置決めして固定・載置する位置決め手段を有する印刷ステージとを備えたスクリーン印刷装置であり、フレームは、ベースフレームと、X軸方向に往復動可能なXフレームと、X軸と直交するY軸方向に往復動可能なYフレームと、X軸及びY軸と直交するZ軸を中心として回転可能なθフレームとが積層されてなるものであり、複数箇所に配設される円板状のカムと、X、Y、及びθフレームのそれぞれに接続するとともに、それぞれのカムの外周面上に当接して配設された、カムの回転を受動してX、Y、及びθフレームのそれぞれに伝達する伝達部とを含んでなる、印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置されるワークに対する、フレームの相対位置の調整を行うフレーム位置調整手段を更に備えるものである。以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、図面において、同一の符号は同一の部分等を示す。
【0019】
図1は、本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの一例を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態のスクリーン印刷装置を構成する印刷ステージ1は、ワーク3が固定・載置される第1プレート11と、第1プレート11の下方に上下動可能に並設された第2プレートとを有している。第1プレート11には、複数の位置決め孔2が形成されており、第2プレートの表面には、位置決め孔2に挿抜されて、それぞれの先端が第1プレート11上に突出し得る複数の位置決めピン4が配設されている。
【0020】
また、図2(a)、図2(b)は、本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するX軸押圧部材の一例を概略的に示す図面であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。なお、特に図示しないが、Y軸押圧部材も、上述のX軸押圧部材と同様の構成を有するものである。図1、図2(a)、及び図2(b)に示すように、本実施形態のスクリーン印刷装置を構成する印刷ステージ1は、X軸押圧部材5と、Y軸押圧部材6とを有する位置決め手段を備えており、この位置決め手段を使用して、印刷ステージ1(第1プレート11)上におけるワーク3の位置決めを行うことができる。具体的には、第1プレート11上に載置されたワーク3の端部を、X軸押圧部材5によってX軸方向に、及びY軸押圧部材6によってX軸と直交するY軸方向にそれぞれ押圧し、第1プレート11上に突出した位置決めピン4にワーク3を当接させてワーク3の位置決めをする。なお、ワーク3には、予め位置決めピンに当接する位置決め用切欠13等のマーカーが複数箇所に形成されている。
【0021】
本実施形態のスクリーン印刷装置は、これを構成する印刷ステージ1における、X軸押圧部材5、及びY軸押圧部材6のそれぞれの一部が弾性体7により形成されている。即ち、ワーク3の端部を押圧するチャックピン8の圧力が過剰になることなく、適度な圧力でワーク3の端部を押圧することができる。従って、X軸方向への押圧と、Y軸方向への押圧との相互影響を極めて効果的に回避することができ、これまで問題となっていたワーク3の位置決めの僅かなズレを解消し得るという効果を奏する。
【0022】
なお、図1においては、X軸押圧部材5、及びY軸押圧部材6のそれぞれの一部が弾性体7により構成された状態を示しているが、チャックピンを含むX軸押圧部材、Y軸押圧部材のそれぞれの全体が弾性体により構成されていてもよい。但し、X軸押圧部材、Y軸押圧部材のそれぞれの少なくとも一部が弾性体により形成されていることが必要である。なお、X軸押圧部材、及びY軸押圧部材のそれぞれの少なくとも一部を形成する弾性体の材質としては、バネ材(スプリング)、ゴム、樹脂等を好適例として挙げることができる。
【0023】
また、本実施形態のスクリーン印刷装置においては、これを構成する印刷ステージ1の、X軸押圧部材5の一部を形成する弾性体7(第1の弾性体)の弾性率と、Y軸押圧部材6の一部を形成する弾性体7(第2の弾性体)の弾性率とが異なることが好ましい(図1)。例えば、X軸押圧部材5の一部を形成する弾性体7(第1の弾性体)の弾性率を、Y軸押圧部材6の一部を形成する弾性体7(第2の弾性体)の弾性率よりも高く設定しておき、X軸方向、Y軸方向の順にワーク3の端部を押圧してワーク3の位置決めをする場合を想定する。この場合、X軸押圧部材5のチャックピン8でワーク3の端部を押圧した状態とし、次いで、Y軸押圧部材6のチャックピン8でワーク3の端部を押圧することとなるが、本実施形態においては、X軸押圧部材5の一部を形成する弾性体7(第1の弾性体)の弾性率が、Y軸押圧部材6の一部を形成する弾性体7(第2の弾性体)の弾性率よりも高いため、Y軸方向への押圧の際に生ずるX軸方向への影響を効果的に緩衝することができ、ワーク3の位置決めの僅かなズレを更に効果的に解消することができる。
【0024】
また、Y軸方向への押圧が、X軸方向への押圧により阻害され難く、いずれの方向についても所望とする位置決めを正確に行うことができる。なお、ワーク3の端部を押圧する順序はX軸、Y軸の順に限定されるものではなく、先に押圧する軸方向の押圧部材の少なくとも一部を形成する弾性体の弾性率をより高く設定しておけばよい。
【0025】
図3(a)〜図3(c)は、本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成するフレームの一例を概略的に示す図面であり、図3(a)は正面図、図3(b)は上面図、図3(c)は側面図である。図3(a)〜図3(c)に示すように、フレーム34は、ベースフレーム30と、ベースフレーム30上に配置され、X軸方向に往復動可能なXフレーム31と、Xフレーム31上に配置され、X軸と直交するY軸方向に往復動可能なYフレーム32と、Yフレーム32上に配置され、X軸及びY軸と直交するZ軸を中心として回転可能なθフレーム33とを有するものである。なお、図3(b)における符号39は、スクリーン(スクリーン製版)が配設される窓部を示す。
【0026】
また、本実施形態のスクリーン印刷装置において、フレームは、図4(a)、図4(b)に示すように、複数箇所に配設される円板状のカム35と、フレームを構成する各フレーム要素(Xフレーム、Yフレーム、及びθフレーム)のそれぞれに接続するとともにカム35の外周面上に当接して配設された、各フレーム要素のそれぞれに対してカム35の回転を受動して伝達する伝達部36とを含んでなる、印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置されるワークに対する、フレームの相対位置の調整を行うフレーム位置調整手段を更に備えることが好ましい。
【0027】
従来のスクリーン印刷装置を構成するフレームは、図6(a)〜図6(c)に示すように、カム35と、その回転を受動して伝達する伝達部(図示せず)からなるフレーム位置調整手段をθフレーム33にのみ備え、Xフレーム31及びYフレーム32は、凸条部とキー溝とにより構成されるフレームガイド41により、キー溝の方向にスライドされてそれぞれの位置が調整されていた。しかしながら、フレームガイド41を構成する凸条部とキー溝には嵌合のための余剰の空間(遊び)があるため、一のフレーム要素(例えば、Yフレーム)を独立に動かして位置調整しようとした場合であっても、他のフレーム要素(例えば、Xフレーム)が前述の遊びの分だけズレてしまい、フレームの正確な位置調整が困難であるという問題があった。
【0028】
これに対して、図3(a)〜図3(c)に示す本実施形態のスクリーン印刷装置を構成するフレームにおいては、Xフレーム、Yフレーム、及びθフレームのいずれもが、カム35と伝達部36(図4(a)参照)とを含んでなるフレーム位置調整手段によって、ワークに対するフレームの相対位置の調整を行うため、各々のフレーム要素を別個独立して動かすことができ、一のフレーム要素の動きが他のフレーム要素の動きに影響を及ぼすことなく、フレームの位置調整を正確に行うことができる。なお、図4(a)、図4(b)中、符号37は固定用ネジ、符号38は位置調整用ネジを示し、固定用ネジ37は伝達部36を所定の位置に固定する役割を有し、位置調整用ネジ38は伝達部36の、カム35に対する相対的な位置を微調整する役割を有する。
【0029】
図8は、本発明のスクリーン印刷装置の一実施形態を構成する印刷ステージの別の例を示す模式図である。図8に示すように、本実施形態のスクリーン印刷装置においては、これを構成する印刷ステージの第1プレート11の下面と、第2プレート12の上面とに、第2プレート12が上昇して嵌合することにより、位置決めピン4の先端4aが第1プレート11上の所定の突出位置まで突出して保持される、複数の嵌合手段50を更に備えることが好ましい。なお、図8中、符号45はワーク載置面を示す。
【0030】
従来のスクリーン印刷装置を構成する印刷ステージは、図7に示すように、位置決めピン4の先端4aを第1プレート11上に突出させるに際しては、単に第2プレート12の上昇端まで上昇させることにより先端4aの突出位置を制御していた。しかしながら、複数の位置決めピン4を一の第2プレート12の上下動によって同時に制御するため、第2プレート12が僅かに傾いた状態で上昇端まで上昇し、位置決めピン4毎の突出位置に僅かなバラツキを生ずる場合もあった。
【0031】
これに対して、図8に示す本実施形態のスクリーン印刷装置を構成する印刷ステージは、複数の嵌合手段50により位置決めピン4の先端4aの突出位置を制御するため、位置決めピン4毎の突出位置に僅かなバラツキをも生ずることがなく、また、第2プレート12の上下動を繰り返し多数回行う場合であっても、位置決めピン4の先端4aの突出位置を、常に同じ位置に制御することができる。なお、嵌合手段としては、図8に示すような第2プレート12の上面に配設されたテーパーピン50aと、第1プレート11の下面に配設されたテーパー穴50bとからなるものを一例として挙げることができるが、テーパーピンとテーパー穴の配設箇所は上下逆でもよい。
【0032】
更に、本発明においては図9に示すように、第2プレート12の上下動を、一の第2プレート12につき、これに連動する一の駆動源(エアシリンダ46)の往復動により実施することが好ましい。このことにより、一の第2プレートにつき複数の駆動源(エアシリンダ)を接続して第2プレートの上下動を行う場合に比べて、駆動源毎の往復スピード等のバラツキに起因する第2プレートの傾いた状態での上下動を抑止することができ、位置決めピン毎の突出位置に僅かなバラツキをも生ずることがなく、より正確な位置に位置決めピンの先端を突出させることができる。
【0033】
次に、本発明のスクリーン印刷装置の使用方法について概説する。先ず、印刷ステージ上に、被印刷物となる基板(ワーク)を位置決めして固定・載置する。図1に示す印刷ステージ1を用いた場合を例に挙げて説明すると、所定の箇所に位置決め用切欠13等のマーカーが複数箇所に形成されたワーク3を、位置決め用切欠13が第1ステージ11の位置決め孔2に概ね対応するように載置する。載置後、第1プレート11の下方に並設された第2プレートを上昇させ、第2プレートに配設された位置決めピン4を位置決め孔2に挿入させて、各々の先端を第1プレート11上に突出させる。なお、位置決めピン4の各々の先端を予め第1プレート11上に突出させた状態で、第1プレート11上にワーク3を載置してもよい。なお、種々の大きさ・形状のワークについて適用可能とすべく、第2プレート、X軸押圧部材5、及びY軸押圧部材6を、クリアランスホール9とこれに挿入される締結具10とからなる配設手段により配設可能とし、このクリアランスホール9の形状を、図1に示すような長円形、或いは楕円形等とすることが好ましい。
【0034】
第1プレート11上にワーク3を載置した後、X軸押圧部材5のチャックピン8でワーク3の端部をX軸方向に押圧し、ワーク3を位置決めピン4に当接させる。次いで、適当な押圧の圧力でワーク3の端部をX軸方向に押圧した状態で、Y軸押圧部材6のチャックピン8でワーク3の端部をY軸方向に押圧し、ワーク3を位置決めピン4に当接させることにより、印刷ステージ1(第1プレート11)上におけるワーク3の載置される位置が決定される。なお、押圧の順序は、Y軸方向、X軸方向の順でもよい。また、X軸押圧部材は、図2(a)、図2(b)に示すように、そのチャックピン8が、エアシリンダ20と、このエアシリンダ20の往復動に連動して前後動するLMガイド21により前後動することが、ワーク3の端部を所望とする方向により正確に押圧することができるために好ましく、Y軸押圧部材についても同様に好ましい。
【0035】
次に、ワーク3を、例えばエアーチャック等の固定手段により第1プレート11に固定する。具体的には、第1プレート11に吸引孔等を形成しておき、減圧ポンプ等の減圧手段を用いて固定すればよい。ワーク3を固定した後、X軸押圧部材5及びY軸押圧部材6の各々のチャックピン8をワーク3の端部から離隔するとともに、第1プレート11上に突出した位置決めピン4を位置決め孔2から抜出する。位置決めピン4の抜出に際しては、位置決めピン4がワーク3の端部に当接した状態で第2プレートを下降させるのではなく、位置決めピン4をワーク3の端部から離隔した後に第2プレートを下降させることが好ましい。
【0036】
従来、図10に示すような、先端4aと基部4bとからなる位置決めピン4が配設された第2プレート12は、位置決めピン4がワークの端部に当接した状態で下降することで、位置決め孔から位置決めピンが抜出されていた。しかしながら、繰り返し多数のワークに対して印刷を実施するに当っては、位置決めピン4の先端4aの磨耗に伴う劣化・変形を無視できない場合もあり、高精度の位置決め精度を維持しようとするには、短期間のうちに位置決めピン4を交換しなければならず、メンテナンス性に問題を有する場合があった。
【0037】
また、このような問題を解消するため、従来、例えば図11(a)、図11(b)に示すように、第2プレート12に、回転支点57を中心としてその両端部に位置決めピン4とエアシリンダ56を配設し、このエアシリンダ56の動きにより位置決めピン4をワーク3の端部から離隔させるように構成し、位置決めピン4の近傍に配設されたテーパーピン60aと、ストッパー55に形成されたテーパー穴60bとを含んでなる嵌合手段60を設けることにより、位置決めピン4の離隔距離を調整していた。しかしながら、回転支点57のクリアランスを十分に確保する必要があること、及び、テーパーピン60aはテーパー穴60bに向かって正面から接触せず、回転しつつ僅かに斜め方向から接触して嵌合すること等の理由により、位置決めピン4の位置決め精度を十分に高めることができない場合があった。
【0038】
このような問題を解消すべく、図12に示すように、ワーク3の端部(位置決め用切欠)に相対する位置決めピン4の動きを、エアシリンダ20と、このエアシリンダ20と連動するLMガイド21とを備え、位置決めピン4が、ワーク3の端部(位置決め用切欠)に対して直線的に接近・離隔する方式(直動式)とすることが、位置決めピン4の位置決め精度をより高めることができるために好ましい。
【0039】
以上の操作により、印刷ステージ上にワークを位置決めして固定・載置することができる。次いで、このワークに対する、スクリーン(スクリーン製版)が配設されたフレームの相対位置の調整を行う。具体的には、図3(a)〜図3(c)に示すような構成のフレームを使用すればよい。即ち、既述の如く、図3(a)〜図3(c)に示す実施形態のスクリーン印刷装置を構成するフレームによれば、Xフレーム、Yフレーム、及びθフレームのいずれもが、カム35と伝達部36(図4(a)参照)とを含んでなるフレーム位置調整手段によって、相互に影響を及ぼすことなく別個独立して位置調整することができ、ワークに対するフレームの相対位置の調整を正確に行うことができる。
【0040】
印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置されたワークに対する、スクリーンが配設されたフレームの相対位置の調整が完了した後には、各フレーム要素が動かないように、フレームを一体化させて固定する。フレームの固定は、図14(a)、図14(b)に示すような、エアシリンダ68のような駆動源を用いて、積層されたベースフレーム30、Xフレーム31、Yフレーム32、及びθフレーム33を、これらの積層方向に押圧・挟持して固定化する、フレーム固定手段により行うことが好ましい。なお、図14(b)中、符号69はナットを示す。
【0041】
従来、図13(a)、図13(b)に示すような、その端部にネジ部66が形成され、レバー部67を介したネジ締めによる固定手段である手動式クランプ65によってフレーム34を固定していたが、レバー部67を回転させるに際して、位置決めが完了した各フレーム要素を僅かにずらしてしまう場合があり、ワークに対するフレーム34の相対位置の調整に正確性を欠く場合もあった。しかしながら、図14(a)、図14(b)に示すようなフレーム固定手段を備えたフレーム34を使用すれば、フレーム34を固定するに際しても位置決めが完了した各フレーム要素をずらしてしまうといったことがなく、ワークに対するフレーム34の相対位置の調整を正確かつ確実に行うことができる。
【0042】
また、フレームの固定は、図15(a)、図15(b)に示すような、エアシリンダ68のような駆動源を用いて、積層されたベースフレーム30、Xフレーム31、Yフレーム32、及びθフレーム33を、これらの積層方向に、板バネ70等の緩衝材を介して押圧・挟持することにより固定化する、フレーム固定手段により行うことが、位置決めが完了した各フレーム要素に対する駆動手段(エアシリンダ68)の動きの影響をより軽減することができ、ワークに対するフレーム34の相対位置の調整を、より正確かつ確実に行うことができるために好ましい。なお、図15(b)中、符号71はネジを示す。
【0043】
更に、図16に示すように、スクリーン上におけるスキージの摺動方向(図16における上下方向)に直交して配設された板バネ90と、平行して配設された板バネ91とによってフレームを押圧・挟持するフレーム固定手段とすることが、スキージの摺動に起因してフレームにかかる応力により発生する、各フレーム要素の位置ズレを抑制することができるために好ましい。
【0044】
図14(a)、図14(b)に代表されるようなフレーム固定手段を使用してフレームを固定した後、ワークが固定・載置された印刷ステージと、ワークに対する相対位置の調整が完了したフレームとを、ワークをスクリーンが被覆する位置関係となるように配設する。印刷ステージとフレームとを近接させるには、印刷ステージを上昇させてもよいし、フレームを下降させてもよく、或いは同時に行ってもよい。ワークをスクリーンが被覆する位置関係とした後は、通常のスクリーン印刷の手法に従うことにより、ワークに対して印刷を実施することができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
(参考例1〜5)
(X軸・Y軸)押圧部材、第2プレート、及び位置決めピンのそれぞれが、表1に示す図番の組み合わせである印刷ステージを備えたスクリーン印刷装置(参考例1〜5)を用意した。なお、フレームは、いずれも図6(a)〜図6(c)に示すフレーム34と同様のものを備えている。
【0047】
(ワークの位置決め精度の測定)
参考例1〜5のスクリーン印刷装置を使用し、それぞれの印刷ステージに、所定の箇所に測定基準孔が形成されたワークを位置決めして固定・載置した。印刷ステージ上に載置された各ワークの測定基準孔について、二次元座標測定器を使用し、その重心座標(測定基準孔重心座標(μm(3σ))を20回繰り返し測定した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示すように、参考例4,5のスクリーン印刷装置は、参考例1〜3のスクリーン印刷装置に比べて、ワークの位置決め精度が明らかに高いものであることが判明した。
【0050】
(実施例1及び比較例1)
表2に示す図番のフレーム(位置調整手段)を備えたスクリーン印刷装置(実施例1及び比較例1)を用意した。なお、印刷ステージは、いずれも参考例4と同様のものを備えている。
【0051】
(フレームの位置決め精度の測定)
実施例1及び比較例1のスクリーン印刷装置について、図17に示すように、それぞれのベースフレーム30に、分解能0.5μmのマグネスケール(Xフレーム評価用マグネスケール80、Yフレーム評価用マグネスケール81)を固定した。次いで、マイクロヘッド(Xフレーム調整用マイクロヘッド82、Yフレーム調整用マイクロヘッド83)を使用して、Xフレーム31、及びYフレーム32をそれぞれ1mmずつ移動させ、θフレーム33のX、及びY方向への移動量を「位置ズレ量(μm)」として測定した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2に示すように、全てのフレーム要素(Xフレーム、Yフレーム、及びθフレーム)の位置調整手段を、図3(a)〜図3(c)に示すカム35と伝達部36とを含む位置調整手段とした実施例1のスクリーン印刷装置は、比較例1のスクリーン印刷装置に比べて、フレームの位置決め精度がより高いものであることが判明した。
【0054】
(参考例6〜9)
表3に示す図番のフレーム固定方法を有するフレームを備えたスクリーン印刷装置(参考例6〜9)を用意した。なお、印刷ステージは、いずれも参考例4と同様のものを備えている。
【0055】
(フレームの固定による位置ズレの測定)
参考例6〜9のスクリーン印刷装置について、図17に示すように、それぞれのベースフレーム30に、分解能0.5μmのマグネスケール(Xフレーム評価用マグネスケール80、Yフレーム評価用マグネスケール81)を固定した。次いで、印刷ステージ上へのワークの固定・載置、フレームの位置決め、フレームの固定を行い、定法に従って、Y軸方向にスキージを摺動させることによりスクリーン印刷を行った。このとき、フレームの固定、印刷、及びフレームの固定解除の各動作後における、θフレーム33のX、及びY方向への移動量を「最大位置ズレ量(μm)」として測定した。結果を表3に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
表3に示すように、エアシリンダ68で直接的に(図14(a)、図14(b))、又は板バネ70を介して間接的に(図15(a)、図15(b)、図16)フレームを固定するフレーム固定方法を有するフレームを備えた、参考例7〜9のスクリーン印刷装置は、参考例6のスクリーン印刷装置に比べて、フレームの固定による位置ズレ量がより小さいものであることが判明した。また、板バネを介して間接的にフレームを固定すること(参考例8)によって、より位置ズレ量を小さくすることができ、更に、スキージの摺動方向(Y軸方向)に直交して配設された板バネ90と、平行して配設された板バネ91とによってフレームを固定すること(参考例9)によって、実際に印刷を行った場合であっても、位置ズレ量を更に小さくすることが可能であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のスクリーン印刷装置は、例えば電子部品を構成するワーク等の位置決めに際して、高い精度が要求される場合等において好適である。
【符号の説明】
【0059】
1…印刷ステージ、2…位置決め孔、3…ワーク、4a…先端、4b…基部、4…位置決めピン、5,15…X軸押圧部材、6…Y軸押圧部材、7…弾性体、8…チャックピン、9…クリアランスホール、10…締結具、11…第1プレート、12…第2プレート、13…位置決め用切欠、20…エアシリンダ、21…LMガイド、22…スライドベース、30…ベースフレーム、31…Xフレーム、32…Yフレーム、33…θフレーム、34…フレーム、35…カム、36…伝達部、37…固定用ネジ、38…位置調整用ネジ、39…窓部、41…フレームガイド、45…ワーク載置面、46…エアシリンダ、50a…テーパーピン、50b…テーパー穴、50…嵌合手段、55…ストッパー、56…エアシリンダ、57…回転支点、60a…テーパーピン、60b…テーパー穴、60…嵌合手段、65…手動式クランプ、66…ネジ部、67…レバー部、68…エアシリンダ、69…ナット、70,90,91…板バネ、71…ネジ、80…Xフレーム評価用マグネスケール、81…Yフレーム評価用マグネスケール、82…Xフレーム調整用マイクロヘッド、83…Yフレーム調整用マイクロヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンをその周囲から保持する枠状のフレームと、前記フレームの下方に配設され、被印刷物であるワークを位置決めして固定・載置する位置決め手段を有する印刷ステージとを備えたスクリーン印刷装置であって、
前記フレームは、ベースフレームと、X軸方向に往復動可能なXフレームと、前記X軸と直交するY軸方向に往復動可能なYフレームと、前記X軸及び前記Y軸と直交するZ軸を中心として回転可能なθフレームとが積層されてなるものであり、
複数箇所に配設される円板状のカムと、前記X、Y、及びθフレームのそれぞれに接続するとともに、それぞれの前記カムの外周面上に当接して配設された、前記カムの回転を受動して前記X、Y、及びθフレームのそれぞれに伝達する伝達部とを含んでなる、前記印刷ステージ上に位置決めされて固定・載置される前記ワークに対する、前記フレームの相対位置の調整を行うフレーム位置調整手段を更に備えるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記Xフレーム、前記Yフレーム、及び前記θフレームが、前記ベースフレーム上にこの順で配置されたものである請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記ベースフレーム、前記Xフレーム、前記Yフレーム、及び前記θフレームが、これらの積層方向に、緩衝材を介して押圧・挟持されて固定化されている請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記緩衝材が板バネである請求項3に記載のスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−292153(P2009−292153A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178537(P2009−178537)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【分割の表示】特願2003−193375(P2003−193375)の分割
【原出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】