説明

スクリーン機能を有する壁紙

【課題】OHPやホームシアター用プロジェクタで投写された画像、映像等を鮮明に映すことができ、且つ、一般家庭のリビングルーム等にも違和感なく用いることができる室内装飾性、意匠性、多様性に富んだ新規なスクリーン壁紙を提供する。
【解決手段】ポリ塩化ビニル系発泡樹脂からなる合成樹脂層1の裏面に、裏打紙からなる紙製裏打ち材2を積層してなる壁紙Aにおいて、合成樹脂層表面1aが明度:L*82.0以上、光沢:6%以下であると共に、該表面1aに深さ:0.1〜0.6mmの絞加工を施し、且つ石目調又は塗壁調の絞柄を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一般家庭、会社、学校等における居室、会議室、教室等の内壁面を構成する壁紙に関し、詳しくは、オーバーヘッドプロジェクタや投写型テレビジョンシステムのプロジェクタによる投写画像,映像等を写すスクリーンとしての機能を併せ持った壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、学校、会社、講演会等でオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)が幅広く使用されている。また近年、一般家庭等において大型スクリーンでテレビやビデオ等の映像を見るシステムとして、投写型テレビジョンシステム(所謂ホームシアタープロジェクタ)が市販されている。
これらOHPや投写型テレビジョンシステムで投写画像や映像を見る際には、スクリーンが別途必要である。通常、スクリーンとしては、表面の白い塩化ビニル樹脂製のフィルム又はシートからなるスクリーンが多用されている。また、前記フィルム又はシートの表面にガラスビーズ加工を施して反射輝度を上げたものは、明るい場所でも投写画像や映像を見ることができるという利点があり、高級スクリーンとして市販されている。
【0003】
ところで、これらスクリーンを使用するには、それを設置、収納する手間やスペース等が必要であり、また、使用場所を考えると、スクリーンの大きさにも限度がある。そこで、スクリーンをいちいち用意しなくとも、プロジェクタを使用したいときにすぐに対応できる手段として、特許文献1には、プロジェクタスクリーン機能を持つ壁紙が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−281098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された壁紙は、所望の反射輝度を得るために、パール顔料や透明ビーズ等を含有することを要件とし、OHPを頻繁に使用する会議室やホームシアター専用ルーム等の壁紙、すなわち、専らスクリーンとして使用する壁面の壁紙として用いる場合は違和感がないが、一般家庭のリビングルーム等に用いた場合、室内装飾性、意匠性、多様性等といった壁紙本来の機能に乏しく、使用者のニーズを満足し得ない虞れがあった。
【0006】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、OHPやホームシアター用プロジェクタで投写された画像、映像等を鮮明に映すことができ、且つ、一般家庭のリビングルーム等にも違和感なく用いることができる室内装飾性、意匠性、多様性に富んだ新規なスクリーン壁紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、通常の壁紙として要求される要素とスクリーンとして要求される要素の内、表面の明度、光沢、絞加工、絞柄等に着目し、これらの要素を所定の範囲に規定することで前述の課題を達成し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る壁紙は、発泡又は未発泡の合成樹脂層の裏面に紙製裏打ち材を積層してなる壁紙であって、前記合成樹脂層の表面が明度:L*82.0以上、光沢:6%以下であると共に、該合成樹脂層の表面に深さ:0.1〜0.6mmの絞加工が施されており、該絞加工による合成樹脂層表面の絞柄が石目調又は塗壁調であることを特徴とするものである。
ここで、合成樹脂層の表面とは、室壁に壁紙を貼った際に室内に臨む壁紙表面であり、OHPや投写型テレビジョンシステムのプロジェクタによる投写画像,映像等を写すスクリーン機能面であることは言うまでもない。
【0009】
合成樹脂層表面の明度をL*82.0以上とするには、合成樹脂層に白系、黒系、グレー系などのモノトーン色の顔料や、黄系、ピンク系、青系などの淡い彩度の顔料を所定量含有し所定彩度の着色を施すことが好ましい。
合成樹脂層表面の明度がL*82.0未満だと壁紙表面上で明るい画像,映像を得られなくなり、投写画像,映像が不鮮明になるため好ましくない。該明度は、L*84.0以上であることが好ましく、L*87.0以上であることがより好ましい。
尚、壁紙表面が明るすぎると投写画像,映像が見にくくなるので、合成樹脂層表面の明度は、L*98.0未満、好ましくはL*95.0以下であることが良く、L*92.0以下であるとより好ましい。
【0010】
合成樹脂層表面の光沢が6%を超えると、OHP又はホームプロジェクタ内の光源(ライト)からの投射光が壁紙表面に映っててかりとして視認され、投写画像,映像が不鮮明になるため好ましくない。
鮮明な投写画像,映像を得るには合成樹脂層表面の光沢が少ないほど好ましいが、室内装飾性、意匠性、多様性等といった壁紙本来の機能を得るには、合成樹脂層表面の光沢が1%以上であることが好ましい。
合成樹脂層表面の光沢度合いは、表面処理剤の種類や、該表面処理剤を合成樹脂層表面に塗布する割合等により調整することができる。
表面処理剤としては、アクリル系バインダーにシリカ微粒子(粒径1〜20μm)を混合したものや、塩化ビニル樹脂又はウレタン樹脂やエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)系バインダーに、ウレタンやアクリルスチレンの微粒子を混合したものを好ましく用いることができ、このような表面樹脂剤を、表面目付量:0.5〜10g/mの条件となるよう、グラビア印刷、その他の印刷、コーティング等により、合成樹脂層表面に塗布する。
【0011】
合成樹脂層表面に絞加工が施されていない又は絞加工が施されていてもその深さが0.1mm未満だと、壁紙としての意匠性が低く、一般家庭のリビングルーム等に用いた場合、室内装飾性、意匠性、多様性等といった壁紙本来の機能に乏しくなるため好ましくない。また、絞加工の深さが0.6mmを超えると壁紙表面の凹凸の差が大きすぎ、投写画像,映像が不鮮明になるため好ましくない。
絞加工による凹凸の影響を受けずに、より鮮明な投写画像,映像を得るには、絞加工の深さが0.4mm以下であることが好ましい。
【0012】
合成樹脂層表面の絞柄が石目調又は塗壁調以外の柄、例えば、幾何調のように多数の凹凸を有し且つ各凹部と凸部の面積が大きい絞柄である場合、凹凸の境界線(段部)が画像や映像と重なってしまい、何れの場合も投写画像,映像が不鮮明になるため好ましくない。
石目調又は塗壁調の絞柄である場合、壁紙表面に多数の線や境界線が現出するようなことがないので、より鮮明な投写画像,映像を得ることができ、塗壁調であるとより好ましい。
合成樹脂層表面の絞柄が織物調である場合、その織物柄を構成する多数の糸柄の幅が1.0mm以上だと、各糸柄が画像や映像と重なってしまい、投写画像,映像が不鮮明になるため好ましくないが、各糸柄の幅が1.0mm未満であれば、投写画像,映像が鮮明になるため好ましい。
【0013】
合成樹脂層表面は、絞柄による立体的な意匠で装飾される場合と、プリント印刷による平面的な意匠で装飾される場合と、これら双方の意匠で装飾される場合があるが、より鮮明な投写画像,映像を得るには、絞柄のみによって装飾されている、すなわち、プリン柄が印刷されていない方が好ましい。
プリント柄を印刷する場合は、該プリント柄が視覚的に柄として認識されない程度、すなわち、プリント柄により着色された部分と、該プリント柄が印刷されていない部分との色差がΔE1.5以下であると、プリント柄が投写画像,映像の邪魔にならないので好ましい。
【0014】
以上の理由から、合成樹脂層表面の明度、光沢、絞加工の深さ、絞柄、プリント柄などの各条件を、各請求項記載のように規定した。
合成樹脂層としては、壁紙として通常用いられる塩化ビニル(PVC)樹脂層とすることが好ましいが、それ以外の合成樹脂、例えばエチレンメチルメタアクリレート(EMMA)樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)などからなる合成樹脂層としても良い。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、優れたプロジェクタスクリーン機能を併せ持った壁紙が得られ、OHPや投写型テレビジョンシステム等を使用したいときに、別途スクリーンを用意しなくてもその場で直接壁面に投写画像、映像等を鮮明に写し出すことができる。しかも、壁紙としての室内装飾性、意匠性、多様性等にも優れるので、一般家庭のリビングルーム等の壁面を構成する壁紙としても十分に機能し、特に、ホームシアター用プロジェクタによる映像を映し出すリビングルーム用の壁紙として有効に使用できる等、多くの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しながら説明する。図1は本例の壁紙Aの断面図で、合成樹脂層1の裏面に紙製裏打ち材2を積層した構成となっており、合成樹脂層の表面1aは、明度:L*82.0以上〜L*98.0未満、光沢:1〜6%で、且つその表面1aに深さ:0.1〜0.6mmの絞加工が施されている。
【0017】
詳しくは、合成樹脂層1は、ポリ塩化ビニル系発泡樹脂からなる層であって、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、フタル酸エステル系可塑剤:30〜100重量部、金属石ケン:1〜6重量部、充填剤:40〜150重量部、酸化チタン:5〜50重量部、発泡剤:1〜7重量部、セル調整剤として数平均重合度10〜800の(メタ)アクリル酸エステルポリマー:適量、を夫々含有した、溶剤を含まない組成物をカレンダー成形して得たものである。
上記の金属石ケンは、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、脂肪酸亜鉛:0.5〜3.0重量部、並びに脂肪酸バリウム、脂肪酸カルシウム及び脂肪酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の脂肪酸塩:0.5〜3.0重量部からなるものが好ましい。
【0018】
この合成樹脂層1に用いるポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの単独重合体、或いは塩化ビニルと少量の他のビニル化合物との共重合体である。本例において、フタル酸エステルは可塑剤として用いるが、安定剤である金属石ケンや発泡セル調整剤である(メタ)アクリル酸エステルポリマーの分散助剤の作用もする。フタル酸エステルはフタル酸ジブチル、フタル酸ジカブリル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチル−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどである。これは、ポリ塩化ビニル100重量部に対し30〜100重量部用いる。
【0019】
金属石ケンは安定剤として用いる。この金属石ケンとしては、脂肪族カルボン酸の金属塩で、脂肪酸亜鉛、脂肪酸マグネシウム塩、脂肪酸カルシウム塩又は脂肪酸バリウム塩、或いはこれらの組合せが好ましく用いられ、ポリ塩化ビニル100重量部に対し1〜6重量部用いる。特に、脂肪酸亜鉛と、脂肪酸バリウム、脂肪酸カルシウム及び脂肪酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の脂肪酸塩との組合せが好ましい。特に、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、脂肪酸亜鉛0.5〜3.0重量部、並びに脂肪酸バリウム、脂肪酸カルシウム及び脂肪酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の脂肪酸塩0.5〜3.0重量部からなるものが好ましい。
【0020】
充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、マイカ、合成珪酸、珪石粉、硫酸バリウムなどが用いられる。炭酸カルシウムが好ましい。これらの充填剤はポリ塩化ビニル100重量部に対し40〜150重量部を用いる。また、酸化チタンは白色の着色剤であり、隠蔽性が良い。そのため光による変色を防ぐとともに、変色してもその変色を分かりにくくするために用いる。酸化チタンはポリ塩化ビニル100重量部に対し5〜50重量部用いる。また、必要に応じて、着色のために他の顔料を適宜の量で併用してもよい。
【0021】
発泡剤はアゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、p,p'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)など、或いはこれらの混合物であり、その配合量はポリ塩化ビニル100重量部に対し1〜7重量部である。発泡セル調整剤は発泡セルの細かさ、均一さを調整するもので、本例では、数平均重合度で10〜800の(メタ)アクリル酸エステルポリマーを用いる。この(メタ)アクリル酸エステルポリマーは、例えばアクリル酸イソブチルエステルポリマー、アクリル酸−2−エチルヘキシルエステルポリマー、アクリル酸イソデシルエステルポリマー、アクリル酸ノニルエステルポリマー、アクリル酸ドデシルエステルポリマー、メタクリル酸イソブチルエステルポリマー、メタクリル酸−2−エチルヘキシルエステルポリマー、メタクリル酸イソデシルエステルポリマー、メタクリル酸ノニルエステルポリマー、メタクリル酸ドデシルエステルポリマーなどである。この発泡セル調整剤は、ポリ塩化ビニル100部に対して0.6〜1.5重量部用いる。
【0022】
表面処理剤は、合成樹脂層表面1aに、特殊インキからなる艶消し層を形成したり、反射特性改善のためにパール顔料やビースを含有するようなことなく、通常の壁紙の製造条件の範囲内において本発明の課題を達成するために用いるもので、合成樹脂層表面1aの光沢が1〜6%となるよう、合成樹脂層表面1aに所定の条件で塗布される。
具体的には、アクリル系バインダーにシリカ微粒子(粒径1〜7μm)を混合し、シリカ微粒子:アクリル系バインダーの比率(dry)が1:1〜1:6としたものを、目付量:0.5〜10g/m(dry)の条件で塗布する。
【0023】
尚、合成樹脂層表面1aは、室壁に壁紙Aを貼った際に室内に臨む壁紙表面であり、且つ、OHPや投写型テレビジョンシステムのプロジェクタによる投写画像,映像等を写すスクリーン機能面となる。
【0024】
また、合成樹脂層1は、その表面1aの明度がL*82.0以上となるよう、白系、黒系、グレー系などのモノトーン色、又は、黄系、ピンク系、青系などの淡い彩度に着色されている。これら色彩は、合成樹脂層表面1aの明度がL*82.0以上となるものであれば何れであっても良く、所望の顔料を所定量含有することで、表面1aの明度がL*82.0以上の合成樹脂層1を得ることができる。
【0025】
合成樹脂層表面1aには、深さ0.1〜0.6mmの範囲で絞加工が施されている。このような絞加工は、合成樹脂層1をカレンダー加工でシート状に成形した後、そのシート表面に、深さが前記範囲となると共に所望の絞柄が得られるよう表面加工されたエンボスロールを用いて施すことができる。
【0026】
合成樹脂層の表面1aには、前記絞加工により、石目調又は塗壁調の柄が形成されており、スクリーン上(合成樹脂層表面1a)に、投写画像や映像と重なる多数の線や凹凸の境界線(段部)が現出しないようになっている。
【0027】
尚、合成樹脂層1は、前述したポリ塩化ビニル系発泡樹脂からなる層に限定されず、未発泡のポリ塩化ビニル系樹脂からなる層としたり、発泡又は未発泡のエチレンメチルメタアクリレート(EMMA)樹脂やエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)からなる層としても良い。
また、紙製裏打ち材2としては、壁紙として通常用いられる着色又は無着色の裏打紙を用いることができる。
【0028】
以下に、本例の壁紙Aの製造方法を実施例に基づき簡単に説明する。
まず、ジイソノニルフタレート(可塑剤):50重量部に、バリウムステアレート(金属石ケン):1重量部、ジンクステアレート(金属石ケン):1重量部、アクリル系セル調整剤(昭島化学工業社製300J):1重量部を添加し、良く攪拌して混合パックを作成した。
【0029】
次に、重合度800のポリ塩化ビニル:100重量部に、上記の混合パック、炭酸カルシウム(充填剤:日東粉化工業社製 NS#100):63重量部、二酸化チタン:14重量部、発泡剤(アゾジカルボンアミドと4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジンとの1:1混合物):4重量部、顔料(酸化チタン):6.8重量部を添加し、良く混練した。
この混練物を、ロール温度160℃の4本カレンダーを用いてカレンダー成形により、厚さ0.13mmの発泡性ポリ塩化ビニルシートを成形し、裏打紙に積層して、発泡性ポリ塩化ビニルシートからなる合成樹脂層1の裏面に裏打紙からなる紙製裏打ち材2が積層された積層体を得た。
その合成樹脂層1の表面に、アクリル系バインダーにシリカ微粒子(粒径1〜3μm)を混合した表面処理剤を目付量3g/m(dry)塗布した。尚、シリカ微粒子とアクリル系バインダーの比率は1:3(dry)とした。
次いで、この積層体を、エンボスローラーとゴムローラー間を200℃で通して、合成樹脂層1中の発泡剤を発泡させると共に、合成樹脂層1の表面に、前述の深さ、柄となるよう絞加工を施して壁紙を製造した。
【0030】
このようにして得られる壁紙において、顔料、表面処理剤、エンボスロール、プリント印刷の条件等を変えることで、合成樹脂層表面1aの明度、光沢、絞加工の深さ、絞柄、プリント柄の有無とその色差等を調整し実施例1〜14を得た。
また、前述の製造方法において、前記明度、光沢、絞加工の深さ、絞柄、プリント柄における色差の何れかが本発明から外れるようにして比較例1〜7を得た。各実施例と比較例の詳細を表1に記す。
【0031】
【表1】

【0032】
尚、表中にa〜jで表した顔料、表面処理剤の詳細は以下の通りとした。
(顔料)
a 酸化チタン:6.8重量部
b 酸化チタン:6.8重量部+カーボンブラック:0.001重量部
c 酸化チタン:6.8重量部+カーボンブラック:0.0016重量部
d 酸化チタン:6.8重量部+カーボンブラック:0.0025重量部
e 酸化チタン:6.8重量部+カーボンブラック:0.004重量部
f 酸化チタン:6.8重量部+カーボンブラック:0.006重量部
g 酸化チタン:10.2重量部
(表面処理剤)
h 粒子径1〜3μmのシリカ微粒子をアクリル系バインダに対し1:3(dry)の比率で混合し、目付け量3g(dry)で塗布
i 粒子径1〜3μmのシリカ微粒子をアクリル系バインダに対し1:3(dry)の比率で混合し、目付け量1g(dry)で塗布
j 粒子径10〜50μmのアルミナ微粒子をアクリル系バインダに対し1:2(dry)の比率で混合し、目付け量8g(dry)で塗布
【0033】
これら各実施例、比較例について、Avio社製のホームシアター用プロジェクタ multi purojector MP−50 を用いて、通常の使用レベルである30ルックスの明るさ、壁紙との距離3mの条件でビデオ映像を投写し、映し出された映像の状態を目視により観察し評価を行った。結果を表1中に記す。
【0034】
合成樹脂層表面の明度、光沢、絞深さの測定、評価の判断基準は以下の通りとした。
(明度)
JIS Z8729「色の表示方法−L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系」に基づき、大日精化社製の分光光度計:カラコムCを用いて、合成樹脂層表面1aの明度を測定した。
【0035】
(光沢)
JIS Z8741−1997、方法3「60度鏡面光沢」に基づき、スガ試験機社製のデジタル変角光沢計 UGV−5を用いて、合成樹脂層表面1aの光沢を測定した。
【0036】
(絞深さ)
壁紙Aを複数箇所で裁断し、合成樹脂層表面1aにおける絞加工の最低高さ点と最高高さ点の寸法を測定し、その測定値を絞加工の深さ(S)とした。
【0037】
(色差)
JIS Z8730、「色の表示方法−物体色の色差」に基づき、大日精化社製の分光光度計:カラコムCを用いて、合成樹脂層表面1aにおける、プリント印刷による着色部分と、プリント印刷されていない部分との色差を測定した。
【0038】
(評価)
5:投写映像が極めて鮮明に見える
4:投写映像に多少の陰影やチラツキ等が稀に生じる場合も有るが、ほとんど気にならない。
3:投写映像に多少の陰影やチラツキ等が生じる場合も有るが、あまり気にならない。
2:投写映像を見ることはできるが、本来の色や鮮明度が損なわれており、不適。
1:投写映像が見にくく、不適
【0039】
以上の測定結果から、本発明に係る壁紙の優位性を確認することができた。
以上、本発明に係る壁紙の実施形態例を図面、実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求範囲の各請求項に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の壁紙の実施形態の一例を示す断面図。
【図2】絞深さの測定方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0041】
1:合成樹脂層
1a:合成樹脂層の表面(スクリーン機能面)
2:紙製裏打ち材
S:合成樹脂層表面の絞深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡又は未発泡の合成樹脂層の裏面に紙製裏打ち材を積層してなる壁紙であって、前記合成樹脂層の表面が明度:L*82.0以上、光沢:6%以下であると共に、該合成樹脂層の表面に深さ:0.1〜0.6mmの絞加工が施されており、該絞加工による合成樹脂層表面の絞柄が石目調又は塗壁調であることを特徴とするスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項2】
発泡又は未発泡の合成樹脂層の裏面に紙製裏打ち材を積層してなる壁紙であって、前記合成樹脂層の表面が明度:L*82.0以上、光沢:6%以下であると共に、該合成樹脂層の表面に深さ:0.1〜0.6mmの絞加工が施されており、該絞加工による合成樹脂層表面の絞柄が織物調であって、該織物調による絞柄の糸幅が1.0mm未満であることを特徴とするスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項3】
前記合成樹脂層表面が前記絞柄のみによって装飾されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項4】
前記合成樹脂層表面が、前記絞柄と、該合成樹脂層表面に印刷されたプリント柄によって装飾されており、該プリント柄により着色された部分と、該プリント柄が印刷されていない部分との色差が、ΔE1.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項5】
前記明度がL*84.0〜95.0、前記絞加工の深さが0.1〜0.4mmであることを特徴とする請求項3又は4記載のスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項6】
前記明度がL*87.0〜92.0、前記絞柄が塗壁調であることを特徴とする請求項5記載のスクリーン機能を有する壁紙。
【請求項7】
前記合成樹脂層が塩化ビニル樹脂又はエチレンメチルメタアクリレート樹脂又はエチレンビニルアセテート樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載のスクリーン機能を有する壁紙。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−181712(P2006−181712A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351181(P2004−351181)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】