説明

スクリーン版とこれを用いた正孔注入層の形成方法および有機発光デバイス

【課題】均一な厚膜の正孔注入層をスクリーン印刷により所望のパターンで形成するためのスクリーン版と、これを用いた正孔注入層の形成方法と、高品質な表示が可能で信頼性が高い有機発光デバイスを提供する。
【解決手段】有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるスクリーン版を、メッシュ数が200〜700メッシュ/インチであり、線径が10〜70μmの範囲であるスクリーンを使用したものとし、このスクリーン版を用い、正孔注入層用インキとして、少なくとも正孔注入材料と溶媒とを含有し、せん断速度100/秒における粘度が1〜100cPの範囲で、かつ、2Hzにおける動的表面張力が20〜60dyne/cmの範囲であり、溶媒は水とアルコール系溶媒との混合溶媒であり、この混合溶媒中のアルコール系溶媒の含有量は5〜70重量%の範囲である正孔注入層用インキを用いて、有機発光デバイスの正孔注入層をスクリーン印刷により形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光デバイスを構成する正孔注入層をスクリーン印刷法で形成するためのスクリーン版と、これを用いた正孔注入層の形成方法と有機発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機のエレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機発光素子)は、自発光により視認性が高いこと、液晶ディスプレーと異なり全固体ディスプレーであること、温度変化の影響をあまり受けないこと、視野角が大きいこと等の利点をもっており、近年、フルカラー表示装置、エリアカラー表示装置、照明等の有機発光デバイスとして実用化が進んでいる。
このような有機発光デバイスは、例えば、正孔注入層と発光層と電子注入層の積層構造である発光素子層を備えるものであり、発光素子層を構成する正孔注入層の形成は、正孔注入材料を含有する正孔注入層用インキを使用して種々の印刷方式、あるいはインキジェット方式により行われていた。上記の印刷方式の一つとしてスクリーン印刷法を用いた方法があり、また、インクジェット方式を用いた方法では、溶媒の表面張力、沸点等を最適な範囲としたインク組成物を用いた方法がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−204114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のスクリーン印刷法による正孔注入層の形成は、所望のパターン形状での正孔注入層の形成が容易であるものの、スクリーンのメッシュ目が発生し易く、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難であった。この問題を解消するためにインキを低粘度化すると、インキの低濃度化を来たし、50nm以上の厚みの正孔注入層の形成が困難であり、このため、複数回の成膜を行う必要があり、工程が煩雑なものであった。
【0004】
また、インクジェット方式では、パターン形状での正孔注入層の形成が容易であるが、吐出されたインクの流動性や表面張力等の制御が不十分であると、均一な厚みの正孔注入層を形成することが困難であった。
さらに、従来のフルカラー、あるいはエリアカラーの表示装置としての有機発光デバイスは、上述のような正孔注入層の厚みムラ、厚み不足により、輝度、効率が不十分であり表示品質の向上に限界があり、信頼性も低いものであった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、均一な厚膜の正孔注入層をスクリーン印刷により所望のパターンで形成するためのスクリーン版と、これを用いた正孔注入層の形成方法と、高品質な表示が可能で信頼性が高い有機発光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明は、スクリーン印刷による有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるスクリーン版において、スクリーンのメッシュ数が200〜700メッシュ/インチであり、線径が10〜70μmの範囲であるような構成とした。
また、本発明は、スクリーン印刷による有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるスクリーン版において、複数の孔部を備えたメタルマスクであり、厚みが0.05〜0.2mmの範囲であるような構成とした。
【0006】
本発明は、対向する電極と、該電極間に配設され少なくとも正孔注入層と発光層を有する発光素子層と、を備えた有機発光デバイスの正孔注入層をスクリーン印刷により形成する方法において、請求項1に記載のスクリーン版を使用し、正孔注入層用インキとして、少なくとも正孔注入材料と溶媒とを含有し、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が1〜100cPの範囲で、かつ、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)が20〜60dyne/cmの範囲であり、前記溶媒は水とアルコール系溶媒との混合溶媒であり、該混合溶媒中の前記アルコール系溶媒の含有量は5〜70重量%の範囲である正孔注入層用インキを用いるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記アルコール系溶媒は、沸点が60〜250℃の範囲であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記正孔注入層用インキにおける前記正孔注入材料の含有量は、0.3〜10重量%の範囲であるような構成とした。
【0007】
本発明の有機発光デバイスは、透明基材と、該透明基材上に所望のパターンで形成された透明電極層と、前記透明基材上に形成され前記電極層の所望の部位が露出する複数の開口部を有する絶縁層と、前記開口部内の前記透明電極層を被覆するように形成され少なくとも発光層と正孔注入層を有する発光素子層と、所望の前記開口部内に位置する前記発光素子層と接続するように形成された電極層と、を備え、前記発光素子層の正孔注入層は、上述のいずれかの方法により形成されたものであるような構成とした。
【0008】
また、本発明の有機発光デバイスは、基材と、該基材上に所望のパターンで形成された電極層と、前記基材上に形成され前記電極層の所望の部位が露出する複数の開口部を有する絶縁層と、前記開口部内の前記電極層を被覆するように形成され少なくとも発光層と正孔注入層を有する発光素子層と、所望の前記開口部内に位置する前記発光素子層と接続するように形成された透明電極層と、を備え、前記発光素子層の正孔注入層は、上述のいずれかの方法により形成されたものであるような構成とした。
【0009】
本発明の他の態様として、上述のいずれかの方法により正孔注入層用の塗膜を形成した直後1分以内にウエットパターニング法により発光層用の塗膜を形成し、これら2層を100〜200℃の範囲で同時に一括乾燥して形成した正孔注入層と発光層とを備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記発光素子層を構成する前記正孔注入層の厚みが50nm以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記発光素子層は、前記開口部の周縁の前記絶縁層に乗り上げるように形成されたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記発光素子層は、透明電極層側から少なくとも正孔注入層/発光層/電子注入層がこの順に積層されたものであるような構成とした。
【0010】
本発明の他の態様として、パッシブマトリックス型であるような構成とした。
本発明の他の態様として、アクティブマトリックス型であるような構成とした。
本発明の他の態様として、最大開口幅が10mm以上の前記開口部を前記絶縁層に備えた有機発光ポスターであるような構成とした。
本発明の他の態様として、カラーフィルタ層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記カラーフィルタ層と前記透明電極との間に色変換蛍光体層を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記発光素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記発光素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えているような構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスクリーン版は、正孔注入層をメッシュムラなく均一な厚みで、かつ、所望の厚みで形成することができる。
また、本発明の正孔注入層の形成方法は、正孔注入層を均一な厚みで、かつ、50nm以上の厚膜として所望のパターンで形成することができ、工程の簡略化が可能で有機発光デバイスの製造コスト低減も可能である。
また、本発明の有機発光デバイスは、発光素子層の正孔注入層が本発明の方法で製造されているので、正孔注入層が均一な厚膜であり、発光素子層の発光時の輝度、効率が高く、高品質の表示が可能であるとともに、信頼性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
[スクリーン版]
図1は、本発明のスクリーン版の一実施形態を説明するための図である。本発明のスクリーン版は、有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるものであり、1インチあたりのメッシュ2の数が200〜700個(200〜700メッシュ/インチ)、好ましくは300〜600個(300〜600メッシュ/インチ)であり、線径dが10〜70μm、好ましくは15〜60μmの範囲であるスクリーン1を備え、非画線部をマスキングしたものである。メッシュ数が200メッシュ/インチ未満であったり、線径dが70μmを超えると精密なパターン形状での正孔注入層の形成が困難となり好ましくない。また、メッシュ数が700メッシュ/インチを超えたり、線径dが10μm未満であると、塗り残しが発生し易く均一な厚みの塗膜形成が困難である。
スクリーン1の材質は、例えば、ステンレススチール、ポリアミド樹脂、テトロン(登録商標)、ナイロン(登録商標)、ポリエステル、ポリアリレート繊維等であってよい。
【0013】
図2は、本発明のスクリーン版の他の実施形態を説明するための図である。本発明のスクリーン版は、複数の孔部を備えたメタルマスクであり、厚みTが0.05〜0.2mm、好ましくは0.05〜0.175mmの範囲のものである。図2(A)に示される例では、スクリーン版1′は円形状の孔部2′を複数備えたものである。また、図2(B)に示される例では、スクリーン版2″はストライプ状の孔部2″を複数備えたものである。このようなメタルマスク状のスクリーン版の厚みTが0.05mm未満であると、精密なパターン形状での正孔注入層の形成が困難となり好ましくない。また、厚みが0.2mmを超えると、塗り残しが発生し易く均一な厚みの塗膜形成が困難である。
【0014】
スクリーン版1′の円形状の孔部2′は、所望の正孔注入層のパターンを微細な円形ドットで構成するものであり、孔部2′の開口直径Dや形成ピッチPは適宜設定することができる。
一方、スクリーン版1″のストライプ状の孔部2″は、形成しようとする正孔注入層のパターン形状に対応したものとすることができる。
スクリーン1′,1″の材質は、例えば、SUS304、SUS301等のステンレススチール、ニッケル等であってよい。
尚、複数の孔部を備えたメタルマスク型のスクリーン版では、孔部の形状は図2に示されるものに限定されない。
【0015】
[正孔注入層の形成方法]
本発明の正孔注入層の形成方法は、スクリーン版として上述の本発明のスクリーン版を使用して、スクリーン印刷により正孔注入層を形成する。
本発明で使用する正孔注入層用インキは、少なくとも正孔注入材料と溶媒とを含有し、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が1〜100cP、好ましくは7〜60cPの範囲で、かつ、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)が20〜60dyne/cm、好ましくは25〜50dyne/cmの範囲である。溶媒は水とアルコール系溶媒との混合溶媒であり、混合溶媒中のアルコール系溶媒の含有量は5〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲のものである。また、アルコール系溶媒の沸点は60〜250℃、好ましくは85〜200℃の範囲である。
【0016】
本発明で使用する正孔注入層用インキのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が1cP未満であると、インキダレが生じたり、所望の厚みの正孔注入層の形成が困難となる。一方、100cPを超えると、スクリーンのメッシュ目による凹凸大きくなり、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難となる。尚、上記の粘度測定は、Physica社製の粘弾性測定装置MCR301型により、測定温度23℃で定常流測定モードにより行うものとする。
また、正孔注入層用インキの2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)が20dyne/cm未満であると、濡れ性が不十分となりインキダレが生じ、60dyne/cmを超えると、スクリーンのメッシュ目による凹凸大きくなり、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難となる。上記の動的表面張力の測定は、SITA t60/2(SITA Messtechnik GmbH社製)を用い、測定温度23℃で気泡を2Hz周期にて発生させたときの動的表面張力値を読み取るものとする。
【0017】
さらに、正孔注入層用インキの混合溶媒中のアルコール系溶媒の含有量が5重量%未満であると、インキ乾燥が困難でダレが顕著となり、所望のパターンでの正孔注入層の形成が困難となり、70重量%を超えると、インキ乾燥が速すぎて、スクリーンのメッシュ目による凹凸大きくなり、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難となる。
尚、正孔注入層用インキは、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)V1と、せん断速度1000/秒における粘度(インキ温度23℃)V2との比(V1/V2)が0.9〜1.5程度となることが好ましい。さらに、正孔注入層用インキは、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)を10Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)で除した値が0.8〜1.2程度となり、ほぼニュートン流動を示すことが好ましい。
【0018】
また、本発明の正孔注入層用インキの混合溶媒に使用するアルコール系溶媒の沸点が60℃未満であると、インキ乾燥が速すぎて、スクリーンのメッシュ目による凹凸大きくなり、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難となる。また、250℃を超えると、インキ乾燥が困難でダレが顕著となり、所望のパターンでの正孔注入層の形成が困難となる。
正孔注入層用インキに用いる正孔注入材料としては、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。
【0019】
さらに、正孔注入材料として、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物を挙げることもできる。上記のポリフィリン化合物としては、ポリフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、銅オクタメチルフタロシアニン等を挙げることができる。また、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等を挙げることができる。
【0020】
正孔注入層用インキにおける上述のような正孔注入材料の含有量は、例えば、0.3〜10重量%の範囲で設定することができる。正孔注入材料の含有量が0.3重量%未満であると、ダレが顕著となり、所望のパターンでの正孔注入層の形成が困難となり、10重量%を超えると、スクリーンのメッシュ目による凹凸大きくなり、均一な厚みの正孔注入層の形成が困難となる。
【0021】
また、正孔注入層用インキの混合溶媒に用いるアルコール系溶媒としては、沸点が上記の範囲(60〜250℃)を満足するもの、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、n−プロパノール、sec−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタジオール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート等を例示することができ、これらを単独で使用することができる。また、2種以上のアルコール系溶媒を使用する場合には、混合比に応じた割合で計算した沸点が上記の範囲を満足するものを使用する。例えば、沸点がA℃の溶媒1と、沸点がB℃の溶媒2とを3:7の重量比で混合した混合溶媒の場合、混合比に応じた割合で計算した沸点[(A×3/10)+(B×7/10)]が上記の範囲(60〜250℃)を満足することが必要となる。したがって、混合溶媒を構成する個々のアルコール系溶媒は、沸点が上記の範囲から外れるものであってもよい。
【0022】
尚、正孔注入層用インキには、メッシュムラの改善のために、消泡剤、レベリング剤等を添加してもよい。消泡剤としては、破泡性ポリシロキサンの非水エマルジョン、レベリング剤としては、非イオン系活性剤等が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
本発明の正孔注入層の形成方法では、作製する有機発光デバイスに応じて、形成する正孔注入層の形状、パターンを適宜設定することができる。
また、本発明の正孔注入層の形成方法において使用するスキージは、特に制限はなく、例えば、材質はポリウレタン、シリコン等であってよく、硬度は50〜100度程度のものを使用することができる。さらに、スキージの速度、角度は適宜設定することができる。
【0023】
[有機発光デバイス]
図3は、本発明の有機発光デバイスの一実施形態を示す部分断面斜視図である。図3において、有機発光デバイス11は、透明基材12と、この透明基材12上に矢印a方向に延設さられた帯状パターンの複数の透明電極層13と、ストライプ形状の開口部15を有する絶縁層14と、各透明電極層13上に位置するストライプ形状の開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された発光素子層16と、この発光素子層16上に透明電極層13と直交するように矢印b方向に延設された帯状パターンの複数の電極層20とを備えている。
上記の絶縁層14の開口部15は、矢印a方向に沿ったストライプ形状の開口部であり、各透明電極層13上に位置している。
【0024】
また、発光素子層16は、各開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された正孔注入層17と発光層18と電子注入層19とからなる。図示例では、発光層18は、帯状パターンの赤色発光層18R、緑色発光層18G、青色発光層18Bが、この順で矢印b方向に繰り返し配列されている。尚、正孔注入層17、発光層18、電子注入層19とからなる発光素子層16が、開口部15の周縁の絶縁層14に乗り上げるように形成されたものであってもよい。
このような有機発光デバイス11は、帯状パターンの透明電極層13と電極層20とが交差する部位が発光領域となるパッシブマトリックス型であり、発光素子層16の正孔注入層17は、本発明の正孔注入層の形成方法により形成されたものである。このため、正孔注入層17の厚みが50nm以上であり、発光素子層16の発光時の輝度、効率が高く、高品質の表示が可能である。また、開口部15の周縁の絶縁層14に乗り上げるように発光素子層16を形成した場合には、発光素子層16を挟持する位置に存在する透明電極層13と電極層20との短絡が確実に防止され、信頼性が更に高いものである。
【0025】
次に、本発明の有機発光デバイス11の各構成部材について説明する。
有機発光デバイス11を構成する透明基材12は、通常、観察者側の表面に設けられ、発光層18からの光を観察者が容易に視認することができる程度の透明性を有するものである。尚、後述するように、発光層18からの光を取り出す方向を反対方向とする場合には、透明基板12に替えて不透明な基板を使用してもよい。
透明基板12(これに替わる不透明な基板も含む)としては、ガラス材料、樹脂材料、または、これらの複合材料からなるもの、例えば、ガラス板に保護プラスチックフィルムもしくは保護プラスチック層を設けたもの等が用いられる。
【0026】
上記の樹脂材料、保護プラスチック材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。この他の樹脂材料であっても、有機発光デバイス用として使用できる高分子材料であれば、使用可能である。
透明基板12の厚さは、通常、50μm〜1.1mm程度である。
【0027】
このような透明基板12においては、その用途にもよるが、水蒸気や酸素等のガスバリアー性の良好なものであれば更に好ましい。また、透明基板12に、水蒸気や酸素等のガスバリアー層を形成してもよい。このようなガスバリアー層としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物をスパッタリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法により形成したものであってよい。
また、有機発光デバイス11を構成する透明電極層13は、図示例では陽極であり、発光層18に正電荷(正孔)を注入するために、正孔注入層17に隣接して配設されている。尚、透明電極層13は陰極であってもよく、この場合、発光素子層16を構成する正孔注入層17と電子注入層19とが入れ替わって配設される。
【0028】
透明電極層13は、通常の有機発光デバイスに使用されるものであれば特に限定されず、金属、合金、これらの混合物等を使用することができ、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化第二錫、または金等の薄膜電極材料を挙げることができる。中でも、正孔が注入し易いように、仕事関数の大きい(4eV以上)透明、または半透明材料であるITO、IZO、酸化インジウム、金が好ましい。
透明電極層13は、シート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、材質にもよるが、透明電極層13の厚みは、例えば、0.005〜1μm程度とすることができる。
この透明電極層13は、周辺の端子部から中央の画素領域まで所望のパターン形状で配設されている。このようなパターン形状の透明電極層13は、スパッタリング法や真空蒸着法等によりメタルマスクを用いてパターン形状、または、全面に成膜した後、感光性レジストをマスクとしてエッチングすることにより形成される。
【0029】
有機発光デバイス11を構成する絶縁層14は、各透明電極層13上に位置するストライプ形状の開口部15を有している。この絶縁層14は、例えば、透明電極層13を覆うように全面に感光性樹脂材料を塗布し、パターン露光、現像を行って形成したり、熱硬化性樹脂材料を用いて形成することができ、この絶縁層14が形成された部分は非発光部となる。絶縁層14の厚みは、絶縁層14を構成する樹脂固有の絶縁抵抗に応じて適宜設定できるが、例えば、0.05〜5.0μm程度とすることができる。また、上述の樹脂材料にカーボンブラックや、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物等のチタン系黒色顔料の1種、あるいは2種以上の遮光性微粒子を混合することにより、ブラックマトリックスを形成して絶縁層14としてもよい。
尚、このような絶縁層14の形状は、上述の形状に限定されるものではない。
【0030】
有機発光デバイス11を構成する発光素子層16は、図示例では、透明電極層13側から正孔注入層17、発光層18、および電子注入層19が積層された構造であるが、正孔注入層17と発光層18とからなる構造、正孔注入層17と発光層18との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層18と電子注入層19との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。
また、発光波長を調整したり、発光効率を向上させる等の目的で、上記の各層に適当な材料をドーピングすることもできる。
【0031】
発光素子層16の発光層18は、図示例では、赤色発光層18R、緑色発光層18G、青色発光層18Bからなっているが、有機発光デバイスの使用目的等に応じて、所望の発光色(例えば、黄色、水色、オレンジ色)である発光層を単独で、また、赤色発光、緑色発光、青色発光以外の他の複数の発光色の所望の組み合わせ等、いずれであってもよい。
発光素子層16の正孔注入層17に用いる正孔注入材料は、上述の本発明の正孔注入層の形成方法で挙げた正孔注入材料を使用することができる。
発光素子層16の他の層に用いる有機発光材料、ドーピング材料、正孔輸送材料、電子注入材料等は、下記に例示するような無機材料、有機材料いずれでもよい。発光素子層16を構成する各層の厚みは特に制限はなく、例えば、10〜1000nm程度とすることができる。
【0032】
(有機発光材料)
有機発光材料としては、例えば、下記のような色素系、金属錯体系、高分子系のものを挙げることができる。
(1)色素系発光材料
シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
【0033】
(2)金属錯体系発光材料
アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
(3)高分子系発光材料
ポリパラフェニレンビニレン錯体、ポリチオフェン錯体、ポリパラフェニレン錯体、ポリシラン錯体、ポリアセチレン錯体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン錯体等が挙げられる。
【0034】
(ドーピング材料)
ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等が挙げられる。
【0035】
(正孔輸送材料)
オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等が挙げられる。
また、π共役系高分子として、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(P−フェニレン)、ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポリ(P−フェニレンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタジエン)、ポリ(P−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレン)、ポリ(2,5−ピロール)、ポリ(m−フェニレンスルフィド)、ポリ(4,4′−ビフェニレン)等が挙げられる。
【0036】
また、電荷移動高分子錯体として、ポリスチレン・AgC104、ポリビニルナフタレン・TCNE、ポリビニルナフタレン・P−CA、ポリビニルナフタレン・DDQ、ポリビニルメシチレン・TCNE、ポリナフタアセチレン・TCNE、ポリビニルアントラセン・Br2、ポリビニルアントラセン・I2、ポリビニルアントラセン・TNB、ポリジメチルアミノスチレン・CA、ポリビニルイミダゾール・CQ、ポリ−P−フェニレン・I2、ポリ−1−ビニルピリジン・I2、ポリ−4−ビニルピリジン・I2、ポリ−P−1−フェニレン・I2、ポリビニルピリジウム・TCNQ等が挙げられ、さらに、電荷移動低分子錯体として、TCNQ−TTF等が、高分子金属錯体としては、ポリ銅フタロシアニン等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、イオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく、特に、ブタジエン系、エナミン系、ヒドラゾン系、トリフェニルアミン系が好ましい。
【0037】
(電子注入材料)
カリウム、バリウム、アルミリチウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、上記のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
【0038】
発光素子層16を構成する各層の形成は、正孔注入層17については、上述の本発明の形成方法により形成する。
また、発光層18は、上述の有機発光材料を含有したインキを用いて、スピンコーティング、グラビアオフセット印刷、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、熱転写法等のウエットパターニング法により形成することができる。また、本発明の形成方法により正孔注入層用の塗膜を形成した直後1分以内に、ウエットパターニング法により発光層用の塗膜を形成し、これら2層を100〜200℃の範囲で同時に一括乾燥して正孔注入層と発光層とを形成してもよい。
【0039】
電子注入層19は、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスク(周辺部の透明電極層13からなる電極端子への成膜を防止するためのマスク)を介して真空蒸着法等により成膜して形成することができる。また、スクリーン印刷法等の印刷方法により電子注入層19を形成することもできる。
有機発光デバイス11を構成する電極層20は、図示例では陰極であり、発光層18に負電荷(電子)を注入するために、電子注入層19に隣接して配設されている。尚、電極層20は陽極であってもよく、この場合、発光素子層16を構成する正孔注入層17と電子注入層19とが入れ替わって配設される。
【0040】
このような電極層20の材料としては、通常の有機発光デバイスに使用されるものであれば特に限定されず、上述の透明電極層13と同様に、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化第二錫、または金等の薄膜電極材料、さらに、マグネシウム合金(例えば、MgAg等)、アルミニウムまたはその合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、銀等を挙げることができる。中でも、電子が注入し易いように仕事関数の小さい(4eV以下)マグネシウム合金、アルミニウム、銀等が好ましい。このような電極層20はシート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、このため、電極層20の厚みは、例えば、0.005〜0.5μm程度とすることができる。
上記の電極層20は、上述の電極材料を用いてマスクを介したスパッタリング法や真空蒸着法等の方法によりパターン形状に成膜して形成することができる。
【0041】
本発明の有機発光デバイスは、例えば、上述の有機発光デバイス11において、電極層20を透明な電極層とすることにより、光を取り出す方向を反対方向とした有機発光デバイスが可能である。この場合、基材12は透明でなくてもよく、また、透明電極層13は不透明な電極層であってもよい。
また、本発明の有機発光デバイスは、アクティブマトリックス型であってもよい。図4および図5は、アクティブマトリックス型の本発明の有機発光デバイスの一例を説明するための図である。図4は電極配線パターンを示す図であり、透明基材(図示せず)上に形成された電極配線パターン33は、信号線33A、走査線33B、TFT(薄膜トランジスタ)33C、透明電極(画素電極)層33Dからなる。また、これらの電極配線パターン33を被覆するように絶縁層34(図4で斜線を付した部位)が形成されており、この絶縁層34は、各透明電極層33D上に位置する開口部35を備えている。また、絶縁層34には、各開口部35内の透明電極層33Dを被覆するように発光素子層(図示せず)が形成され、この発光素子層上に電極(共通電極)層(図示せず)が配設される。
【0042】
上記の発光素子層は、絶縁層34と各開口部35内の透明電極層33Dとを被覆するように配設された正孔注入層と、開口部35内の透明電極層33D(正孔注入層)を被覆するように各開口部35毎に配設された複数の発光層と、これらを被覆するように配設された電子注入層と、から構成することができる。図5は、絶縁層34の開口部35と発光層との関係を示す図である。図5では、発光層は、開口部35よりも大きい所望のパターン形状の赤色発光層38R、緑色発光層38G、青色発光層38Bからなっている。
【0043】
このようなアクティブマトリックス型の本発明の有機発光デバイスも、正孔注入層は、本発明の形成方法により形成されたものである。このため、正孔注入層の厚みが50nm以上であり、発光素子層の発光時の輝度、効率が高く、高品質の表示が可能である。また、開口部35の周縁の絶縁層34に乗り上げるように発光素子層を形成した場合、発光素子層を挟持する位置に存在する透明電極層33Dと電極層(図示せず)との短絡を生じることがなく、信頼性が更に高いものとなる。
尚、上記の発光素子層は、上述の実施形態と同様に、正孔注入層と発光層とからなる構造、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。
【0044】
図6は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分斜視図であり、図7は図6に示される有機発光デバイスのA−A線における断面図である。図6および図7において、有機発光デバイス41は、透明基材42と、この透明基材42上に長方形状に形成された透明電極層43と、ひし形開口部45aと長方形状開口部45bとを有する絶縁層44と、各開口部45a、45b内の透明電極層43を被覆するように配設された発光素子層46と、この発光素子層46を被覆するように形成された電極層50とを備えている。
上記の発光素子層46は、積層配設された正孔注入層47、発光層48、電子注入層49からなっている。尚、発光素子層46が各開口部45a、45bの周縁の絶縁層44に乗り上げるように形成されたものであってもよい。
【0045】
このような有機発光デバイス41は、各開口部45a、45bが存在する部位が表示領域となるエリアカラー表示であり、正孔注入層47は、本発明の形成方法により形成されたものである。このため、正孔注入層47の厚みが50nm以上であり、発光素子層46の発光時の輝度、効率が高く、高品質の表示が可能である。また、開口部45a、45bの周縁の絶縁層44に乗り上げるように発光素子層46を形成した場合、発光素子層46を挟持する位置に存在する透明電極層43と電極層50との短絡を生じることがなく、信頼性が更に高いものとなる。
【0046】
尚、各開口部45a、45bに位置する各発光層の発光色が異なるものであってもよく、さらに、各開口部45a、45b上に配設される電極層50を電気的に独立したものとして、各発光層毎に発光できるようにしてもよい。
また、上記の発光素子層46は、上述の実施形態と同様に、正孔注入層と発光層とからなる構造、発光層と電子注入層からなる構造、さらに、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。
【0047】
図8は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。図8示される有機発光デバイス51は、透明基材52と、この透明基材52上に設けられた帯状パターンの赤色着色層53R、緑色着色層53G、青色着色層53Bからなるカラーフィルタ層53と、このようなカラーフィルタ層53を覆うように配設された透明平滑化層55と、この透明平滑化層55上に、上述の実施形態の有機発光デバイス11と同様に形成された帯状パターンの複数の透明電極層13と、各透明電極層13上にストライプ形状の開口部15が位置するように配設された絶縁層14と、各開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された発光素子層16と、この発光素子層16上に透明電極層13と直交するように延設された帯状パターンの複数の電極層20とを備えている。
【0048】
上記の帯状パターンの複数の透明電極層13は、帯状パターンの赤色着色層53R、緑色着色層53G、青色着色層53B上に位置するものである。また、発光素子層16は、各開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された正孔注入層17と、開口部15内の透明電極層13(正孔注入層17)を被覆するように各開口部15毎に配設された複数の発光層18と、これらを被覆するように配設された電子注入層19と、からなる。図示例では、発光層18は、帯状パターンの白色発光層である。尚、発光素子層16を開口部15の周縁の絶縁層14に乗り上げるように形成したものであってもよい。
このような有機発光デバイス51は、カラーフィルタ層53と透明平滑化層55とを備え、発光層18が白色発光層である点を除いて、上述の有機発光デバイス11と同様である。したがって、同様の部材には、同じ部材番号を付し、ここでの説明は省略する。尚、上記の発光素子層16は、上述の実施形態と同様に、正孔注入層と発光層とからなる構造、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。
【0049】
上記のカラーフィルタ層53は、発光素子層16からの光を色補正したり、色純度を高めるものである。カラーフィルタ層53を構成する赤色着色層53R、緑色着色層53G、青色着色層53Bは、発光素子層16の発光特性に応じて適宜材料を選択することができ、例えば、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂、反応性化合物および溶媒を含有する顔料分散組成物で形成することができる。このようなカラーフィルタ層53の厚みは、各着色層の材料、有機EL素子層の発光特性等に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜3μm程度の範囲で設定することができる。
【0050】
また、透明平滑化層55は、カラーフィルタ層53以下の構成により段差(表面凹凸)が存在する場合に、この段差を解消して平坦化を図り、発光素子層16の厚みムラ発生を防止する平坦化作用をなす。このような透明平滑化層55は、透明(可視光透過率50%以上)樹脂により形成することができる。具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。また、透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
このような透明平滑化層55の厚みは、使用する材料を考慮し、平坦化作用が発現できる範囲で設定することができ、例えば、1〜5μm程度の範囲で適宜設定することができる。
【0051】
また、図9は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。図9に示される有機発光デバイス61は、透明基材62と、この透明基材62上に設けられた帯状パターンの赤色着色層63R、緑色着色層63R、青色着色層63Bからなるカラーフィルタ層63と、このようなカラーフィルタ層63の赤色着色層63R、緑色着色層63R、青色着色層63Bを覆うように帯状パターンの赤色変換蛍光体層64R(青色光を赤色蛍光に変換する層)、緑色変換蛍光体層64G(青色光を緑色蛍光に変換する層)、青色変換ダミー層64B(青色光をそのまま透過する層)からなる色変換蛍光体層64が設けられ、さらに、これらを覆うように配設された透明平滑化層65と、この透明平滑化層65上に、上述の実施形態の有機発光デバイス11と同様に形成された帯状パターンの複数の透明電極層13と、各透明電極層13上にストライプ形状の開口部15が位置するように配設された絶縁層14と、各開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された発光素子層16と、この発光素子層16上に透明電極層13と直交するように延設された帯状パターンの複数の電極層20とを備えている。
【0052】
上記の帯状パターンの複数の透明電極層13は、帯状パターンの赤色変換蛍光体層64R、緑色変換蛍光体層64G、青色変換ダミー層64B上に位置するものである。また、発光素子層16は、各開口部15内の透明電極層13を被覆するように配設された正孔注入層17、発光層18、電子注入層19とからなる。図示例では、発光層18は、帯状パターンの青色発光層である。尚、発光素子層16は、開口部15の周縁の絶縁層14に乗り上げるようなものであってもよい。
【0053】
このような有機発光デバイス61は、カラーフィルタ層63と色変換蛍光体層64と透明平滑化層65とを備え、発光層18が青色発光層である点を除いて、上述の有機発光デバイス11と同様である。したがって、同様の部材には、同じ部材番号を付し、ここでの説明は省略する。また、カラーフィルタ層63、透明平滑化層65は、上述のカラーフィルタ層53、透明平滑化層55と同様であり、ここでの説明は省略する。尚、上記の発光素子層16は、上述の実施形態と同様に、正孔注入層と発光層とからなる構造、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。
【0054】
上記の赤色変換蛍光体層64Rおよび緑色変換蛍光体層64Gは、蛍光色素単体からなる層、あるいは、樹脂中に蛍光色素を含有した層である。青色発光を赤色蛍光に変換する赤色変換蛍光体層64Rに使用する蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。また、青色発光を緑色蛍光に変換する緑色変換蛍光体層64Gに使用する蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2′−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド色素等が挙げられる。さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等の各種染料も蛍光性があれば使用することができる。上述のような蛍光色素は単独、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。赤色変換蛍光体層64Rおよび緑色変換蛍光体層64Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、蛍光色素の含有量は、使用する蛍光色素、色変換蛍光体層の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、使用する樹脂100重量部に対し0.1〜1重量部程度とすることができる。
【0055】
また、青色変換ダミー層64Bは、発光素子層16で発光された青色光をそのまま透過してカラーフィルタ層63に送るものであり、赤色変換蛍光体層64R、緑色変換蛍光体層64Gとほぼ同じ厚みの透明樹脂層とすることができる。
赤色変換蛍光体層64Rおよび緑色変換蛍光体層64Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等の透明(可視光透過率50%以上)樹脂を使用することができる。また、色変換蛍光体層64のパターン形成をフォトリソグラフィー法により行う場合、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト樹脂を使用することができる。さらに、これらの樹脂は、上述の青色変換ダミー層64Bに使用することができる。
【0056】
色変換蛍光体層64を構成する赤色変換蛍光体層64Rと緑色変換蛍光体層64Gは、蛍光色素単体で形成する場合、例えば、所望のパターンマスクを介して真空蒸着法、スパッタリング法により帯状に形成することができる。また、樹脂中に蛍光色素を含有した層として形成する場合、例えば、蛍光色素と樹脂とを分散、または可溶化させた塗布液をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、上記の塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により赤色変換蛍光体層64Rや緑色変換蛍光体層64Gを形成することができる。また、青色変換ダミー層64Bは、所望の感光性樹脂塗料をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、所望の樹脂塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により形成することができる。
【0057】
このような色変換蛍光体層64の厚みは、赤色変換蛍光体層64Rおよび緑色変換蛍光体層64Gが発光素子層16で発光された青色光を十分に吸収し蛍光を発生する機能が発現できるものとする必要があり、使用する蛍光色素、蛍光色素濃度等を考慮して適宜設定することができ、例えば、10〜20μm程度とすることができ、赤色変換蛍光体層64Rと緑色変換蛍光体層64Gとの厚みが異なる場合があってもよい。
青色発光である有機発光材料としては、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリディン系化合物等を挙げることができる。
【0058】
具体的には、2−2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスヘンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系; 2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系; 2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等のベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤を挙げることができる。
また、上記の金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げることができる。
【0059】
また、上記のスチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を挙げることができる。
また、上記のジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等を挙げることができる。
【0060】
また、上記の芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびその誘導体を挙げることができる。
【0061】
さらに、発光層の材料として、一般式(Rs−Q)2−AL−O−Lで表される化合物も挙げることができる(上記式中、ALはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート置換基を表す)。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラーフェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
尚、上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ層53,63の非形成部位にブラックマトリックスを備えるものであってもよい。
【実施例】
【0062】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
下記表1に示すメッシュ数、線径を有するスクリーンを用いて、70mm×16mmの長方形状の画線部を6mmのスペースを介して格子形状に配した10種のスクリーン版(S1−1〜S1−10)を作製した。尚、スクリーンの材質はステンレスであり、非画線部のマスキングはジアゾ系の乳剤を用いて行った。
【0063】
また、下記組成の正孔注入層用のインキA1を調製した。このインキA1のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)をPhysica社製の粘弾性測定装置MCR301型により定常流測定モードで測定した結果、14cPであった。また、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)を、SITA t60/2(SITA Messtechnik GmbH社製)で測定した結果、28dyne/cmであった。
(正孔注入層用のインキA1の組成)
・PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)/PSS
(ポリスチレンスルフォネート)(混合比=1/20) … 3重量部
(バイエル社製 Baytron PCH8000)
・混合溶媒(沸点=94.5℃) … 97重量部
(水:イソプロピルアルコール(沸点82.4℃)=70:30)
【0064】
次に、上記の各スクリーン版(S1−1〜S1−10)をスクリーン印刷機に装着し、上記の正孔注入層用のインキA1を用いて下記の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。尚、乾燥条件は200℃、30分間とした。
(スクリーン印刷条件)
・版−ガラスギャップ : 2mm
・スキージ材質 : ポリウレタン
・スキージ硬度 : 70度
・スキージ速度 : 200mm/秒
・スキージ角度 : 70°
【0065】
上記のように、メッシュ数、線径が異なるスクリーン版を使用した正孔注入層形成時の印刷適性を観察した。また、正孔注入層の平均厚みを測定して、結果を下記の表1に示した。尚、正孔注入層の厚みは、Zygo社製 New View 5000を用いて測定した。
【0066】
【表1】

表1に示されるように、メッシュ数が200〜700メッシュ/インチ、線径が10〜70μmの範囲にあるスクリーン版S1−4〜S1−8を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0067】
[実施例2]
実施例1で使用した正孔注入層用のインキA1をもとに、PEDOTとポリスチレンスルフォネートの配合比は変えずに、これらの含有量を1.5〜3重量%の範囲で適宜変更し、また、混合溶媒の水とイソプロピルアルコールの混合比を95:5〜30:70の範囲で適宜変更して、下記表2に示されるように、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)を0.5cP〜110cPまで振った10種の正孔注入層用のインキA2−1〜A2−10を調製した。
一方、スクリーン版として、実施例1のスクリーン版S1−5を準備した。
【0068】
次に、上記の各正孔注入層用のインキ(A2−1〜A2−10)とスクリーン版S1−5を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、粘度が異なる正孔注入層用インキを使用した正孔注入層の形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表2に示した。
【0069】
【表2】

表2に示されるように、インキ粘度が1〜100cPであるインキ(A2−2〜A2−9(これらの2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は20〜60dyne/cmの範囲であった))を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0070】
[実施例3]
実施例1で使用した正孔注入層用のインキA1をもとに、PEDOTとポリスチレンスルフォネートの配合比は変えずに、正孔注入層用のインキ中のこれらの含有量を0.3〜10重量%の範囲で適宜変更し、また、混合溶媒の水とイソプロピルアルコール(IPA)の混合比を95:5〜30:70の範囲(IPA含有量5〜70重量%)で適宜変更して、下記表3に示されるように、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)を10〜70dyne/cmの範囲で振った8種の正孔注入層用のインキA3−1〜A3−8を調製した。
一方、スクリーン版として、実施例1のスクリーン版S1−5を準備した。
【0071】
次に、上記の各正孔注入層用のインキ(A3−1〜A3−8)とスクリーン版S1−5を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、動的表面張力が異なる正孔注入層用インキを使用した正孔注入層の形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表3に示した。
【0072】
【表3】

表3に示されるように、2Hzにおける動的表面張力が20〜60dyne/cmの範囲であるインキ(A3−2〜A3−6(これらのインキのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は1〜100cPの範囲であった。))を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0073】
[実施例4]
実施例1で使用した正孔注入層用のインキA1をもとに、組成を変更せずに、溶媒として、下記の表4に示す沸点の水−アルコール系混合溶媒を用いて、9種の正孔注入層用のインキA4−1〜A4−9を調製した。使用したアルコール系溶媒は下記のものであり、水とアルコール系溶媒の混合比は95:5〜30:70の範囲(水−アルコール系混合溶媒中のアルコール系溶媒の含有量5〜70重量%)で適宜変更した。
・メタノール(沸点=64.5℃)
・エタノール(沸点=82.3℃)
・イソプロピルアルコール(沸点=82.4℃)
・1−メトキシ−2−プロパノール(沸点=120℃)
・1−エトキシ−2−プロパノール(沸点=132.2℃)
・2−n−ブトキシエタノール(沸点=171.2℃)
・プロピレングリコール(沸点=188.2℃)
・エチレングリコール(沸点=197.9℃)
・ジプロピレングリコール(沸点=231.8℃)
・meso−エリスリトール(沸点=331℃)
一方、スクリーン版として、実施例1のスクリーン版S1−5を準備した。
【0074】
次に、上記の各正孔注入層用のインキ(A4−1〜A4−9)とスクリーン版S1−5を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、溶媒の沸点が異なる正孔注入層用インキを使用した正孔注入層の形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表4に示した。
【0075】
【表4】

表4に示されるように、アルコール系溶媒の沸点が60〜250℃の範囲であるインキ(A4−1〜A4−8(これらのインキのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は1〜100cPの範囲であり、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は20〜60dyne/cmの範囲であった))を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0076】
[実施例5]
実施例1で使用した正孔注入層用のインキA1をもとに、PEDOTとポリスチレンスルフォネートの配合比は変えずに、正孔注入層用のインキ中のこれらの含有量を0.1〜15重量%の範囲で適宜変更して、下記表5に示される9種の正孔注入層用のインキA5−1〜A5−9を調製した。
一方、スクリーン版として、実施例1のスクリーン版S1−5を準備した。
次に、上記の各正孔注入層用のインキ(A5−1〜A5−9)とスクリーン版S1−5を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、濃度が異なる正孔注入層用インキを使用した正孔注入層の形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表5に示した。
【0077】
【表5】

表5に示されるように、正孔注入層用のインキ中の正孔注入材料(PEDOTとポリスチレンスルフォネート)の濃度が0.3〜10重量%の範囲であるインキ(A5−2〜A5−8(これらのインキのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は1〜100cPの範囲であり、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は20〜60dyne/cmの範囲であった))を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0078】
[実施例6]
実施例1で使用した正孔注入層用のインキA1をもとに、組成を変更せずに、水−アルコール系混合溶媒として、混合溶媒中のイソプロピルアルコール(IPA)の含有量が下記の表6に示すような7種の水−IPA混合溶媒を用いて、6種の正孔注入層用のインキA6−1〜A6−7を調製した。
一方、スクリーン版として、実施例1のスクリーン版S1−5を準備した。
次に、上記の各正孔注入層用のインキ(A6−1〜A6−7)とスクリーン版S1−5を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、IPA含有量が異なる正孔注入層用インキを使用した正孔注入層の形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表6に示した。
【0079】
【表6】

表6に示されるように、混合溶媒中のIPAの含有量が5〜70重量%の範囲であるインキ(A6−2〜A6−6(これらのインキのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は1〜100cPの範囲であり、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は20〜60dyne/cmの範囲であった))を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0080】
[実施例7]
(透明電極層の形成)
まず、ガラス基板(厚み0.7mm)に対して、イオンプレーティング法により膜厚200nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、幅2.2mmのストライプ形状の透明電極層を4mmピッチで10本形成した。
【0081】
(絶縁層の形成)
次に、上記のガラス基板(厚み0.7mm)に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ネガ型感光性樹脂をスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、各透明電極層上に2mm×2mmの発光エリア(開口部)が4mmピッチで存在するような絶縁層(厚み1μm)を形成した。
【0082】
(正孔注入層の形成)
メッシュ数が325メッシュ/インチであり、線径が25μmのスクリーンを用いて、50mm×50mmの画線部が形成されたスクリーン版を作製した。
また、正孔注入層用のインキとして、実施例1の正孔注入層用インキA1を準備した。尚、このインキA1のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は16cP、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は30dyne/cm、混合溶媒の沸点は94.5℃であった。
上記のスクリーン版をスクリーン印刷機に装着し、正孔注入層用インキA1を用いて実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によって、50mm×50mmの正孔注入層(平均厚み110nm)を形成した。この正孔注入層は、透明電極層、絶縁層を覆うものであった。
【0083】
(赤色発光層の形成)
グラビア版として、50mm×50mmの正方形のセル(セルの深さ25μm、L/Sが1)が周方向(印刷方向)に沿って形成されたグラビア版を作製した。
また、赤色発光層用のインキとして、下記組成のインキを調製した。
(赤色発光層用インキの組成)
・ポリフルオレン誘導体系の赤色発光材料 … 2.5重量部
・メシチレン … 48.75重量部
・テトラリン … 48.75重量部
次に、上記のグラビア版と赤色発光層用インキを用いてグラビアオフセット印刷により、50mm×50mmの赤色発光層(平均厚み85nm)を形成した。この赤色発光層は、正孔注入層を覆うものであった。
【0084】
(電子注入層の形成)
赤色発光層を形成した面側に、2.2mm幅のストライプ状の開口部を4mmピッチで備えたメタルマスクを、この開口部が上記のストライプ形状の透明電極層と直交し、かつ、上記の絶縁層の発光エリア(開口部)上に位置するように配置した。次に、このマスクを介して真空蒸着法によりカルシウムを蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜して電子注入層(厚み10nm)を4mmピッチで10本形成した。
【0085】
(電極層の形成)
次に、電子注入層の形成に用いたメタルマスクをそのまま使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)して成膜した。これにより、電子注入層上に、アルミニウムからなる幅2.2mmのストライプ形状の電極層(厚み300nm)を形成した。
最後に、電極層を形成した面側に、紫外線硬化型接着剤を介して封止板を貼り合わせることにより、本発明の有機発光デバイスを得た。
この有機発光デバイスについて、透明電極層と背面電極層に直流10.6Vの電圧を7.53mA/cm2の一定電流密度で印加して発光させたところ、最高輝度が15000cd/m2、発光効率が0.83cd/A、寿命が78000時間であった。尚、寿命は、輝度が100cd/m2となる電流条件で連続発光させたときの輝度の半減時間を意味する。
【0086】
[実施例8]
正孔注入層用のインキとして、下記組成の正孔注入層用インキBを使用した他は、実施例7と同様にして、有機発光デバイスを得た。この有機発光デバイスでは、正孔注入層の平均厚みが50nmであった。尚、正孔注入層用インキBのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は14cPであり、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は28dyne/cmであった。
(正孔注入層用のインキBの組成)
・PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)/PSS
(ポリスチレンスルフォネート)(混合比=1/6) … 1.5重量部
(バイエル社製 Baytron P AI4083)
・混合溶媒(沸点=94.5℃) … 98.5重量部
(水:イソプロピルアルコール(沸点82.4℃)=70:30)
【0087】
上記のように作製した有機発光デバイスについて、実施例7と同様の条件で発光させたところ、最高輝度が20000cd/m2、発光効率が0.9cd/A、寿命が36000時間であった。
【0088】
[実施例9]
下記表7に示す厚みの異なる7種のメタルマスク型のスクリーン版(S2−1〜S2−7)を準備した。このメタルマスクは、材質がニッケルであり、70mm×16mmの孔部を6mmのスペースを介して格子状に配したものであった。
次に、上記のスクリーン版(S2−1〜S2−7)を用いて、実施例1と同様の条件でスクリーン印刷によってガラス基板上に正孔注入層の形成を行った。
上記のように、厚みが異なるスクリーン版を使用した正孔注入層形成時の印刷適性を観察し、また、正孔注入層の平均厚みを実施例1と同様に測定して、結果を下記の表7に示した。
【0089】
【表7】

表7に示されるように、厚みが0.05〜0.2mmの範囲にあるスクリーン版S2−2〜S2−6を使用することにより、実用レベル(厚み50nm以上)の正孔注入層を形成できることが確認された。
【0090】
[比較例]
正孔注入層用のインキとして、実施例6の正孔注入層用インキA6−1(溶媒=水)を使用し、スピンコート法を用いて有機発光デバイスを得た。この有機発光デバイスでは、正孔注入層の平均厚みが90μmであった。尚、正孔注入層用インキA6−1のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)は7cPであり、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)は57yne/cmであった。
上記のように作製した有機発光デバイスについて、実施例7と同様の条件で発光させたところ、最高輝度が4300cd/m2、発光効率が0.8cd/A、寿命が6800時間であり、最高輝度、発光効率、寿命のいずれも実施例7、8の有機発光デバイスに比べて劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
フルカラー表示装置、エリアカラー表示装置、照明等の種々の有機発光デバイスの製造において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明のスクリーン版の一実施形態を説明するための図である。
【図2】本発明のスクリーン版の他の実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明の有機発光デバイスの一実施形態を示す部分断面斜視図である。
【図4】本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す平面図である。
【図5】発光層と絶縁層の開口部との関係を示す図である。
【図6】本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6に示される有機発光デバイスのA−A線での断面図である。
【図8】本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。
【図9】本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1…スクリーン
2…メッシュ目
11,41,51,61…有機発光デバイス
12,42,52,62…透明基材
13,33D,43…透明電極層
14,34,44…絶縁層
15,35,45a,45b…開口部
16,46…発光素子層
17,47…正孔注入層
18,18R,18G,18B,38R,38G,38G、48…発光層
19,49…電子注入層
20,50…電極層
33…電極配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷による有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるスクリーン版において、
スクリーンのメッシュ数が200〜700メッシュ/インチであり、線径が10〜70μmの範囲であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項2】
スクリーン印刷による有機発光デバイスの正孔注入層の形成に用いるスクリーン版において、
複数の孔部を備えたメタルマスクであり、厚みが0.05〜0.2mmの範囲であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項3】
対向する電極と、該電極間に配設され少なくとも正孔注入層と発光層を有する発光素子層と、を備えた有機発光デバイスの正孔注入層をスクリーン印刷により形成する方法において、
請求項1または請求項2に記載のスクリーン版を使用し、正孔注入層用インキとして、少なくとも正孔注入材料と溶媒とを含有し、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が1〜100cPの範囲で、かつ、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)が20〜60dyne/cmの範囲であり、前記溶媒は水とアルコール系溶媒との混合溶媒であり、該混合溶媒中の前記アルコール系溶媒の含有量は5〜70重量%の範囲である正孔注入層用インキを用いることを特徴とする正孔注入層形成方法。
【請求項4】
前記アルコール系溶媒は、沸点が60〜250℃の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の正孔注入層形成方法。
【請求項5】
前記正孔注入層用インキにおける前記正孔注入材料の含有量は、0.3〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の正孔注入層形成方法。
【請求項6】
透明基材と、該透明基材上に所望のパターンで形成された透明電極層と、前記透明基材上に形成され前記電極層の所望の部位が露出する複数の開口部を有する絶縁層と、前記開口部内の前記透明電極層を被覆するように形成され少なくとも発光層と正孔注入層を有する発光素子層と、所望の前記開口部内に位置する前記発光素子層と接続するように形成された電極層と、を備え、前記発光素子層の正孔注入層は、請求項3乃至請求項5のいずれかの方法により形成されたものであることを特徴とする有機発光デバイス。
【請求項7】
基材と、該基材上に所望のパターンで形成された電極層と、前記基材上に形成され前記電極層の所望の部位が露出する複数の開口部を有する絶縁層と、前記開口部内の前記電極層を被覆するように形成され少なくとも発光層と正孔注入層を有する発光素子層と、所望の前記開口部内に位置する前記発光素子層と接続するように形成された透明電極層と、を備え、前記発光素子層の正孔注入層は、請求項3乃至請求項5のいずれかの方法により形成されたものであることを特徴とする有機発光デバイス。
【請求項8】
請求項3乃至請求項5のいずれかの方法により正孔注入層用の塗膜を形成した直後1分以内にウエットパターニング法により発光層用の塗膜を形成し、これら2層を100〜200℃の範囲で同時に一括乾燥して形成した正孔注入層と発光層とを備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記発光素子層を構成する前記正孔注入層の厚みが50nm以上であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記発光素子層は、前記開口部の周縁の前記絶縁層に乗り上げるように形成されたものであることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記発光素子層は、透明電極層側から少なくとも正孔注入層/発光層/電子注入層がこの順に積層されたものであることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
パッシブマトリックス型であることを特徴とする請求項6乃至請求項11のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
アクティブマトリックス型であることを特徴とする請求項6乃至請求項11のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
最大開口幅が10mm以上の前記開口部を前記絶縁層に備えた有機発光ポスターであることを特徴とする請求項6乃至請求項13のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
カラーフィルタ層を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項14のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
前記カラーフィルタ層と前記透明電極との間に色変換蛍光体層を備えることを特徴とする請求項15に記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
前記発光素子層は、白色発光、青色発光、赤色発光、緑色発光のいずれか、あるいは、青色発光、赤色発光、緑色発光が所定のパターンで組み合わされたものであることを特徴とする請求項6乃至請求項16のいずれかに記載の有機発光デバイス。
【請求項18】
前記発光素子層は、青色発光であり、前記色変換蛍光体層は青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えていることを特徴とする請求項16に記載の有機発光デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−95627(P2007−95627A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286639(P2005−286639)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】