説明

スクリーン

【課題】コストを抑えて、環境光による影響を抑制してコントラストを改善することのできるスクリーンを提供する。
【解決手段】本発明のスクリーンは、基板上に長軸を略同一方向に配向させた複数の針状粒子を有する偏光層を備え、入射光に垂直な平面上に互いに直交する2つの偏光方向のうち、一方の偏光方向の光を反射し、他方の偏光方向の光を吸収する偏光選択性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プロジェクターに組み合わされた反射型の投影スクリーンの構成が開示されている。ここには、反射性偏光要素を有する投影スクリーンが偏光された光を生成するプロジェクターと共に用いられたとき、プロジェクターからの光の偏光状態が反射性偏光要素により反射される偏光状態であるときには、光の殆どがスクリーンにより反射されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−540445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1には反射性偏光要素の具体的な構成例として、多層反射性偏光材、連続/分散相反射性偏光材、コレステリック反射性偏光材(4分の1波長板と組み合わせられる)、ワイヤグリッド偏光材が挙げられている。これら偏光材の構造および製造工程は複雑であり、大判なスクリーンになるほどコストがかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、構造および製造工程を簡単にしてコストを抑え、環境光による影響を小さくしてコントラストを改善することのできるスクリーンを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーンは、基板と、前記基板上に長軸方向が略一方向に配向するように設けられた複数の針状粒子を有する偏光層と、を備え、第1の偏光状態の第1偏光光に対する光反射率が、該第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の第2偏光光に対する光反射率よりも高いことを特徴とする。
【0007】
これによれば、第1の偏光状態の光に対する光反射率が、該第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の光に対する光反射率よりも高いため、プロジェクターに組み合わせて用いた場合に、スクリーンに入射する環境光の反射率を大幅に低下させることが可能となり、画像コントラストを改善することができる。また、本発明のスクリーンは構成が簡単で製造も容易になるので、コストを抑えることができる。
【0008】
また、前記複数の針状粒子の各長軸が前記基板の表面に沿うように配向している構成としてもよい。
これによれば、スクリーンに入射する入射光のうち、偏光方向が線状粒子の短軸方向と一致する直線偏光を反射し、偏光方向が線状粒子の長軸方向と一致する直線偏光を吸収することが可能となる。あるいは、スクリーンに入射する入射光のうち、偏光方向が線状粒子の短軸方向と一致する直線偏光を吸収し、偏光方向が線状粒子の長軸方向と一致する直線偏光を反射することが可能となる。
【0009】
また、前記偏光層が、前記複数の針状粒子の短軸方向と偏光方向が一致する前記第1偏光光を透過するとともに、前記複数の針状粒子の長軸方向と偏光方向が一致する前記第2偏光光を吸収する特性を有しており、前記偏光層の前記基板側に光反射面が設けられている構成としてもよい。
これによれば、偏光方向が針状粒子の長軸方向と一致する偏光は針状粒子によって吸収される。一方、偏光方向が針状粒子の短軸方向と一致する偏光は、反射部材によって観察者に向かって反射される。
【0010】
また、前記偏光層が、前記複数の針状粒子の短軸方向と偏光方向が一致する前記第2偏光光を透過するとともに、前記複数の針状粒子の長軸方向と偏光方向が一致する前記第1偏光光を反射する特性を有しており、前記偏光層の前記基板側に光吸収部材が設けられている構成としてもよい。
これによれば、偏光方向が針状粒子の短軸方向と一致する偏光は光吸収部材によって吸収される。一方、偏光方向が針状粒子の長軸方向と一致する偏光は、針状粒子によって観察者に向かって反射される。
【0011】
また、前記針状粒子が、金属ナノロッドである構成としてもよい。
これによれば、針状粒子として金属ナノロッドを用いることにより、所望の偏光選択特性を有する偏光層を容易に製造することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態である反射型スクリーンの概略構成を示す断面図。
【図2】偏光層において光を透過および吸収する際の作用を示す説明図。
【図3】スクリーンに光が入射した際の作用を示す説明図。
【図4】(a)〜(d)は、第1実施形態のスクリーンの製造方法を示す工程図。
【図5】第2実施形態の反射型スクリーンの構成を示す断面図。
【図6】投射型プロジェクターシステムに用いた場合の概略構成を示す図。
【図7】(a)第1実施形態に係る反射型スクリーンを用いた場合の作用を示す図、(b)第2実施形態に係る反射型スクリーンを用いた場合の作用を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態である反射型スクリーンの概略構成を示す断面図である。
本実施形態の反射型スクリーン(以下、単にスクリーンとする)1は、フレキシブル基板(基板)2上に、反射膜(反射部材)3および偏光層4がこの順に積層されて構成され、所定の波長の光を反射あるいは吸収する偏光選択特性を有するスクリーンである。
【0015】
フレキシブル基板2の具体的な材質は特に限定されるものではなく、公知のいかなる樹脂を用いても良い。なお、特にフレキシブル基板に限定されるものではなく、ガラス基板、石英基板、サファイア基板等を用いても良い。さらに、透光性のもの以外にも、不透光性の材料を用いてもよい。
【0016】
偏光層4は、透明層6中に、複数のナノロッド(針状粒子)5が長軸を略同一の方向に揃えて分散されている。ここでは、ナノロッド5の長軸がフレキシブル基板2の表面に沿うように配向している。
ナノロッド5は、所定のアスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)を有するナノサイズの棒状金属微粒子であって、凡そ、長軸の平均長さが数十nmから数百nm、短軸の平均長さが数nmから数十nmの寸法を有する。ナノロッド5は、振動方向がナノロッド5の短軸方向と一致した直線偏光成分に対する吸収特性と、振動方向がナノロッド5の長軸方向と一致した直線偏光成分に対する吸収特性とが異なる。
本実施形態のナノロッド5としては、異方性金属ナノ粒子である金属ナノロッド、カーボンナノチューブ等が挙げられる。金属ナノロッドの金属種としては、Au,Ag等が挙げられ、微粒子であるため光反射性の低い金属が選択され、含有量は適宜設定される。
そして、長軸を略同一方向に配向させた複数のナノロッド5により、所望の偏光選択特性を有する偏光層4が得られる。「偏光選択性」とは、入射光に垂直な平面上において互いに直交する2つの偏光方向を有する入射光に対し、特定の偏波面を有する直線偏光を選択的に吸収し、他の偏波面を有する直線偏光を透過させる性質を意味する。
【0017】
透明層6の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂や、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリシラン等を主成分とした無機質の材料を用いることができる。
【0018】
図2は、偏光層において光を透過および吸収する際の作用を示す説明図である。
このようなスクリーンは、図2に示すように、複数のナノロッド5が略同一方向に配向されていることにより、スクリーン1に入射した光の偏光状態に応じて偏光選択が行なわれる。具体的には、本実施形態のナノロッド5は吸収型ナノロッドであり、ナノロッド5の長軸方向と平行な方向(X方向)に偏光軸を有する直線偏光Xを吸収し、ナノロッド5の短軸方向(Y方向)に偏光軸を有する直線偏光Yを透過させる。
【0019】
本実施例において、ナノロッド5の短軸方向と平行な方向に光が偏光している状態が第1の偏光状態であり、ナノロッド5の長軸方向と平行な方向に光が偏光している状態が第2の偏光状態である。また、第1の偏光状態の直線偏光Yが第1偏光光であり、第2の偏光状態の直線偏光Xが第2偏光光である。
【0020】
図1に示した反射膜3は、Al膜からなり、偏光層4を透過した第1偏光光を入射光軸AXに平行な方向に反射する。また、反射膜3として、Al膜の他に、Ag膜、AlとAgとの積層膜等からなるものを用いてもよい。この反射膜3は、光反射面3Aとなる表面の平坦性を確保することができる厚さで形成される。
【0021】
図3は、スクリーンに光が入射した際の作用を示す説明図である。
上述したように、図3において、スクリーン1に入射した光のうち、偏光層4を透過した直線偏光Yは偏光層4の裏面側(フレキシブル基板2側)に配置された反射膜3において反射される。一方、偏光層4内のナノロッド5において吸収された直線偏光Xは偏光層4において吸収されるため、反射膜3に入射することもない。
したがって、第1の偏光状態の直線偏光(第1偏光光)Yに対する光反射率が、該第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の直線偏光(第2偏光光)Xに対する光反射率よりも高いスクリーン1となっている。
【0022】
[製造方法]
図4(a)〜(d)は、第1実施形態のスクリーンの製造方法を示す工程図である。
まず、図4(a)に示すように、フレキシブル基板2の表面に金属材料(Al)を蒸着して加熱硬化処理を行い、反射膜3を形成する。
【0023】
次に、図4(b)に示すように、反射膜3の表面に、有機溶媒溶液6A中にAg,Au等からなる複数のナノロッド5を含む偏光層形成材料4Aを塗布する(塗布工程)。偏光層形成材料4Aは、シリコン酸化物の原料であるポリシラザンを任意の有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液である。偏光層形成材料4Aを塗布する手段としては、公知の印刷技術等を用いることができる。
偏光層形成材料4Aを塗布した段階では、複数のナノロッド5の各長軸はランダムな方向を向いている。
【0024】
図4(c)に示すように、偏光層形成材料4Aに対してフレキシブル基板2の主面に略平行な方向の電界を印加する(電界印加工程)。このとき、第1電極11と第2電極12とが交互に配置されたステージ(図示略)上にフレキシブル基板2を載置する。
第1電極11と第2電極12とは相互間に所定の間隔をおいて交互に配置されている。第1電極11には高周波電源16を接続し、第2電極12は接地する。この状態で、第1電極11と第2電極12との間に高周波電圧を印加すると、偏光層形成材料4Aの内部に、フレキシブル基板2の主面に略平行、かつ第1電極11と第2電極12とが対向する方向に電界が発生する。ナノロッド5は全て針状の形状を呈しており、ナノロッド5には分極が生じている。そのため、第1電極11および第2電極12に所定の電圧が印加されると、これら第1電極11と第2電極12との間に形成される電気力線(電界方向)に長軸が倣うようにしてナノロッド5が配向する。これにより、有機溶媒溶液6A中の複数のナノロッド5の長軸方向が略一方向に配向する。各ナノロッド5の長軸は基板面に略平行である。
【0025】
図4(d)に示すように、ナノロッド5の長軸が同一方向に揃った状態で、例えばオーブン9等を用いて所定の加熱温度および加熱時間で有機溶媒溶液6Aを焼成する(焼成工程)。これにより、有機溶媒が除去されるとともに、ポリシラザンが大気中の水分や酸素と反応して固化し、シリコン酸化物に変化する。このとき、ナノロッド5が略同一方向に配向した状態で固定される。このようにして、図1に示したような本実施形態の偏光層4を形成する。
【0026】
本実施形態のスクリーン1は、長軸を略同一方向に配向させた複数のナノロッド5を分散させてなる偏光層4により、スクリーン1に入射する入射光のうち、ナノロッド5の短軸方向に沿う直線偏光Yを入射側へ反射し、ナノロッド5の長軸方向に沿う直線偏光Xを吸収することができる。
これにより、入射光のうち、第1偏光光(直線偏光Y)に対する光反射率が第2偏光光(直線偏光X)に対する光反射率よりも高いスクリーン1となる。そのため、スクリーン1を後述するプロジェクターに組み合わせて用いた場合、スクリーン1に入射する環境光によって起こりうるコントラスト比の低下を低減することができる。
【0027】
また、本実施形態では、公知の印刷技術等を用いて反射膜3の表面に偏光層形成材料4Aを塗布することができるため、大判のスクリーンを製作するのは容易である。さらに、フレキシブル基板2の裏面側に交互に配置された複数の第1電極11と複数の第2電極12とに所定の電圧を印加することにより、透明層6中の複数のナノロッド5を略同一方向に配向させることが可能である。スクリーンのサイズに応じてこれら第1電極11および第2電極12の数を増加させればいいので、大判のスクリーンを製作するのも容易である。また、スクリーン構成も簡単であるため製造コストを大幅に削減することが可能である。
【0028】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の反射型スクリーンの構成を示す断面図である。
以下に示す本実施形態の反射型スクリーンの基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、偏光層の構成において異なる。よって、以下の説明では、偏光層について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる図面において、上記実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0029】
図5に示すように、本実施形態の反射型スクリーン(以下、単にスクリーンとする)20は、透明層6中に、長軸が略同一方向に配向された反射型のナノロッド15を複数有する偏光層14と、その裏面(フレキシブル基板2)側に配置された光吸収層(光吸収部材)8とを備えている。
【0030】
反射型スクリーン20では、フレキシブル基板2と偏光層14との間に光吸収層8が設けられている。光吸収層8はその表面に形成された偏光層14を透過した光成分を吸収する層である。光吸収層8の材料には塩化ビニル系の樹脂材料が好適に用いられる。光吸収層8には、必ずしも黒色の材料を用いなくてもよい。例えば、透明な樹脂層の表面を黒色に塗ることで光吸収性を付与しても良い。また、所定の樹脂層や板状体にAR(Anti Reflection)コート等による反射防止加工を行うことで、光吸収層8を形成してもよい。
【0031】
偏光層14はこの光吸収層8の表面に形成されており、偏光層14を透過した光成分のみが光吸収層8に入射することになる。ここで、本実施形態の偏光層14では、透明層6中にAlからなる複数のナノロッド(針状粒子)15が分散されている。ナノロッド15の材料としては、Alの他にも、十分な光反射特性が得られる金属であればよい。
【0032】
このように、偏光層14とフレキシブル基板2との間に光吸収層8を設けることにより、スクリーン20に入射した入射光のうち、偏光層14を透過した直線偏光Y(ナノロッド5の短軸方向に沿う光)が光吸収層8において吸収されることになる。また、ナノロッド15の長軸方向に沿う直線偏光Xは、ナノロッド15によって反射されて入射側へと反射される。
【0033】
なお、第2実施形態においては、ナノロッド15の長軸方向と平行な方向に光が偏光している状態が第1の偏光状態であり、ナノロッド15の短軸方向と平行な方向に光が偏光している状態が第2の偏光状態である。また、第1の偏光状態の直線偏光Xが第1偏光光であり、第2の偏光状態の直線偏光Yが第2偏光光である。
【0034】
よって、Alからなるナノロッド15を用いてなる偏光層14であっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。つまり、入射光のうち、第1偏光光(直線偏光X)に対する光反射率が第2偏光光(直線偏光Y)に対する光反射率よりも高いスクリーン20となり、後述するプロジェクターに組み合わせて用いた場合、スクリーン20に入射する環境光によって起こりうるコントラスト比の低下を低減することができる。
【0035】
以上述べた各実施形態のように、ナノロッドの材料を変えるだけで、該ナノロッドにおいて吸収あるいは反射させる偏光成分を異ならせることができる。よって、吸収性および反射性を有するいずれの特性を有するナノロッドを用いる場合でも、同一の製造装置や製造方法を用いて製作することが可能である。
【0036】
[投射型プロジェクターシステム]
図6は、本発明に係る反射型スクリーンを投射型プロジェクターシステムに用いた場合の概略構成を示す図である。図7は、投射型プロジェクターシステムに用いられた場合の各実施形態のスクリーンの作用を示す図であって、(a)第1実施形態のスクリーンの作用、(b)第2実施形態のスクリーンの作用を示す。
【0037】
図6に示すように、投射型プロジェクター(投射型表示装置)200は、光源201と、ダイクロイックミラー202、203と、液晶装置100からなる赤色光用光変調手段204、緑色光用光変調手段205及び青色光用光変調手段206と、導光手段207と、反射ミラー210〜212と、クロスダイクロイックプリズム213と、投射レンズ214と、を備えて構成されている。投射型プロジェクター200から出射した画像光Zは、スクリーン215上に投影されるようになっている。図7に示すように、投射型プロジェクター200から出射した画像光Zはスクリーン215において反射され、スクリーン215の前方(光入射側)にいるユーザーの眼に入射する。したがって、スクリーン215には上述した第1実施形態および第2実施形態の反射型スクリーンが用いられる。
【0038】
ここで、投射型プロジェクター200からスクリーン215に向けて投射される画像光Zは偏光方向が予め調整された光であり、スクリーン215において反射される光となっている。具体的には、スクリーン215として第1実施形態のスクリーン1を用いた場合には、偏光層4のナノロッド5の短軸方向に沿う直線偏光Yとなるように調整され、スクリーン215として第2実施形態のスクリーン20を用いた場合には、偏光層14のナノロッド15の長軸方向に沿う直線偏光Xとなるように偏光される。
【0039】
光源201は、メタルハライドなどのランプ201aと、ランプ201aの光を反射するリフレクタ201bとを備えている。
ダイクロイックミラー202は、光源201からの白色光に含まれる赤色光を透過させると共に、緑色光と青色光とを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー203は、ダイクロイックミラー202で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。
【0040】
赤色光用光変調手段204は、ダイクロイックミラー202を透過した赤色光が入射され、入射した赤色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。また、緑色光用光変調手段205は、ダイクロイックミラー203で反射された緑色光が入射され、入射した緑色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。そして、青色光用光変調手段206は、ダイクロイックミラー203を透過した青色光が入射され、入射した青色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。
【0041】
導光手段207は、入射レンズ207aとリレーレンズ207bと出射レンズ207cとによって構成されており、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。
反射ミラー210は、ダイクロイックミラー202を透過した赤色光を赤色光用光変調手段204に向けて反射する構成となっている。また、反射ミラー211は、ダイクロイックミラー203及び入射レンズ207aを透過した青色光をリレーレンズ207bに向けて反射する構成となっている。また、反射ミラー212は、リレーレンズ207bを出射した青色光を出射レンズ207cに向けて反射する構成となっている。
【0042】
クロスダイクロイックプリズム213は、4つの直角プリズムが貼り合わされて形成されたもので、その界面には赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これら誘電体多層膜により3つの色の光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。
投射レンズ214は、クロスダイクロイックプリズム213によって合成されたカラー画像を拡大してスクリーン215上に投影する構成となっている。
【0043】
このような構成の投射型プロジェクター200にあっては、スクリーン215として上記各実施形態のいずれかの反射型スクリーンを具備している。スクリーン215が偏光層4(上記第1実施形態)を備えている場合は、偏光層4によって外光のうち第2偏光光(直線偏光X)が吸収され(図3)、スクリーン215が偏光層14(上記第2実施形態)を備えている場合は、光吸収層8によって外光のうち第2偏光光(直線偏光Y)が吸収される(図5)。このため、画像光成分に外光成分がノイズとして混入することを低減することができる。
【0044】
投射型プロジェクター200からスクリーン215上に投射される画像光Zはスクリーン215によって反射されるように偏光方向が予め調整された光であるため、投射型プロジェクター200からスクリーン215に向けて投射された画像光成分は全てユーザー側へと反射される。ユーザーの眼に入射する光のうち、投射型プロジェクターからの画像光Zの光量に比べて外光量が少ないほど画像のコントラストを高めることができ、良好な画像を視認することが可能となる。
外光は、室内の蛍光灯や室外の太陽光等の環境光であり、特定の偏光状態を有していない。スクリーン215として用いる上記各実施形態のスクリーン1(20)は、上記構成の偏光層4(14)により外光の約半分程度を吸収することが可能なため、従来の反射型スクリーンよりも、視認性の良好な画像を映し出すことができる。これにより、投射型プロジェクターから投影された画像のコントラストは上記した各実施形態のスクリーン1(20)により改善される。したがって、投射型プロジェクター自体も高品位なものとなる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】
例えば、上記実施例では短軸方向に偏光している偏光光を透過し、長軸方向に偏光している偏光光を反射または吸収するナノロッドを用いたが、長軸方向に偏光している偏光光を透過し、短軸方向に偏光している偏光光を反射または吸収するナノロッドを用いてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ナノロッドの材料として、金や銀を用いたが、これに限定されない。ナノロッドの材料としては、金と銀の複合体を用いてもよいし、半導体材料を用いてもよい。
【0048】
また、光吸収層8の機能をフレキシブル基板2に持たせて光吸収層8を省略してもよい。この場合、例えば、黒色の光吸収部材を含んだ形成材料を用いてフレキシブル基板2を形成することにより、光吸収性を有した基板としてもよい。
また、光吸収層8をフレキシブル基板2の偏光層4とは反対側に設けてもよいし、反射膜3をフレキシブル基板2の偏光層4とは反対側に設けてもよい
【符号の説明】
【0049】
1,20,215…スクリーン、2…フレキシブル基板(基板)、3…反射膜(反射部材)、3A…光反射面、4…偏光層、5,15…ナノロッド(針状粒子)、6…透明層、8…光吸収層(光吸収部材)、Y…直線偏光(第1偏光光,第2偏光光)、X…直線偏光(第1偏光光,第2偏光光)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に長軸方向が略一方向に配向するように設けられた複数の針状粒子を有する偏光層と、を備え、
第1の偏光状態の第1偏光光に対する光反射率が、該第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態の第2偏光光に対する光反射率よりも高い
ことを特徴とするスクリーン。
【請求項2】
前記複数の針状粒子の各長軸が前記基板の表面に沿うように配向している
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記偏光層が、前記複数の針状粒子の短軸方向と偏光方向が一致する前記第1偏光光を透過するとともに、前記複数の針状粒子の長軸方向と偏光方向が一致する前記第2偏光光を吸収する特性を有しており、
前記偏光層の前記基板側に光反射面が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記偏光層が、前記複数の針状粒子の短軸方向と偏光方向が一致する前記第2偏光光を透過するとともに、前記複数の針状粒子の長軸方向と偏光方向が一致する前記第1偏光光を反射する特性を有しており、
前記偏光層の前記基板側に光吸収部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン。
【請求項5】
前記針状粒子が、金属ナノロッドである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15615(P2013−15615A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147187(P2011−147187)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】