説明

スクロール圧縮機

【課題】滑り軸受が固定された軸受ハウジングを備えたスクロール圧縮機において、軸受ハウジングに弾性溝部を形成した場合でも、滑り軸受の信頼性を確保できるようにする。
【解決手段】軸受ハウジング1は、中空部を有する筒状に形成し且つ軸受ハウジング1の内周面1bに固定した滑り軸受部2の熱を放出することが可能である。そして、軸受ハウジング1に、軸受ハウジング1の外面7aと弾性溝部の内面との間を貫通して弾性溝部内の潤滑油を軸受ハウジング1の外部へ排出する排油通路4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に駆動軸を回転支持する滑り軸受の信頼性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクロール圧縮機構と該スクロール圧縮機構を駆動する電動機とを備えたスクロール圧縮機が知られている。そして、これらのスクロール圧縮機の中には、特許文献1に示すように、スクロール圧縮機構と電動機とを連結する主軸(駆動軸)が回転支持されるジャーナル軸受(滑り軸受)を備えたものが開示されている。
【0003】
上記ジャーナル軸受の軸受隙間(ジャーナル軸受の内周面と主軸の外周面との間の隙間)には潤滑油が流れている。この潤滑油によって軸受隙間に形成される油膜には、上記主軸の回転に伴って、くさび効果による圧力が生じる。この油膜の圧力によって、上記ジャーナル軸受が主軸を回転支持している。又、この軸受隙間を潤滑油が通過することで、上記ジャーナル軸受を冷却する冷却効果もある。
【0004】
特許文献1のスクロール圧縮機において、上述したジャーナル軸受の信頼性を向上させるため、上記ジャーナル軸受が一体形成されたハウジング(軸受ハウジング)には、上記主軸の周囲に位置する環状のスリット溝(弾性溝部)が形成されている。そして、このスリット溝の内周壁が、上記ジャーナル軸受とともに上記主軸を径方向から弾性的に支持するように構成されている。
【0005】
このように、上記ハウジングにスリット溝を設けると、上記主軸が傾いた場合でも、その傾きに応じて、スリット溝の内周壁が弾性変形する。この結果、上記ジャーナル軸受が上記主軸の傾きになじみ、上記ジャーナル軸受と上記主軸との間の片当たりを緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−97458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したように、上記弾性溝部は上記滑り軸受における外周囲の近傍に形成されている。このことから、上記滑り軸受の軸受隙間から流出した潤滑油が上記弾性溝部へ流入しやすい構造になっている。
【0008】
この弾性溝部に潤滑油が溜まってしまうと、該弾性溝部が滑り軸受の外周囲を囲うように形成されていることもあり、この潤滑油が滑り軸受の放熱を阻害する断熱部材として作用することが考えられる。こうなると、滑り軸受の放熱がうまく行われなくなり、滑り軸受の温度が必要以上に上昇する。この温度上昇は、滑り軸受における不具合の要因となり、好ましくない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、滑り軸受が固定された軸受ハウジングを備えたスクロール圧縮機において、上記軸受ハウジングに弾性溝部を形成した場合でも、滑り軸受の信頼性を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)を有するスクロール圧縮機構(30)と、該スクロール圧縮機構(30)を駆動する電動機(20)と、該電動機(20)と上記可動スクロール(35)との間を上下方向で連結する駆動軸(23)と、上記固定スクロール(40)に固定される軸受ハウジング(1)とを備えたスクロール圧縮機を前提としている。
【0011】
そして、 上記スクロール圧縮機の軸受ハウジング(1)は、中空部を有する筒状に形成され、且つ上記軸受ハウジング(1)の内周面(1b)に固定されて上記駆動軸(23)を回転支持する滑り軸受部(2)で構成され、上記軸受ハウジング(1)の上端面(8f)に開口し、且つ該駆動軸(23)と上記滑り軸受部(2)との間に形成された軸受隙間部(2a)の外周囲に位置する環状の弾性溝部(3)と、上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)と上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)との間を貫通して上記弾性溝部(3)内の潤滑油を上記軸受ハウジング(1)の外部へ排出する排油通路(4)とを備えていることを特徴としている。
【0012】
第1の発明では、上記滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)から上方へ流出した潤滑油の大部分が、上記駆動軸(23)の径方向内方側から外方側へ向かって流れ、上記軸受隙間部(2a)の外周囲に位置する環状の弾性溝部(3)へ流入する。この潤滑油は、上記弾性溝部(3)内を流れた後で上記排油通路(4)を通じて上記軸受ハウジング(1)の外部へ排出される。このように、上記排油通路(4)を設けることにより、上記弾性溝部(3)内を上記潤滑油が流通するようになる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記駆動軸(23)は、上記滑り軸受部(2)の上端面から上方へ延出する偏心部(25)を有し、 上記偏心部(25)の外面には、上記駆動軸(23)の内部に形成された給油路(27)の流出端となる給油孔(6b)が開口していることを特徴としている。
【0014】
第2の発明では、上記滑り軸受部(2)における軸受隙間部(2a)の上端開口面よりも上側に上記偏心部(25)の給油孔(6b)が位置している。そして、この給油孔(6b)から流出した潤滑油は、上記軸受隙間部(2a)から流出した潤滑油と共に上記弾性溝部(3)へ流入する。ここで、上記駆動軸(23)の給油路(27)を流れる潤滑油は、上記軸受隙間部(2a)を通過しないため、上記給油路(27)の給油孔(6b)から流出する潤滑油の温度は、上記軸受隙間部(2a)から流出する潤滑油の温度よりも低いと考えられる。このことから、上記弾性溝部(3)へ流入する潤滑油の温度を下げることができるようになる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記排油通路(4)の流入端(4a)は、上記弾性溝部(3)の底部に開口していることを特徴としている。
【0016】
第3の発明では、上記弾性溝部(3)に流入した潤滑油が、該弾性溝部(3)の外側へスムーズに流出される。仮に、上記排油通路(4)の流入端(4a)が上記弾性溝部(3)の底部よりも上側に開口しているとする。この場合、この排油通路(4)の流入端(4a)よりも下側に潤滑油が溜まり込みやすくなる。第3の発明では、この潤滑油の滞留は、上述したように、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能を低下させてしまうので好ましくない。第3の発明では、上記弾性溝部(3)内の潤滑油が滞留するのを抑えることができるようになる。
【0017】
第4の発明は、第1から第3の何れか1つの発明において、上記軸受ハウジング(1)の上端面(8f)には、該上端面(8f)の外縁部よりも内縁部の方が低くなるように段差部(8a)が形成され、上記段差部(8a)の側周面(8e)で囲まれた空間に油溜まり部(5)が形成されるとともに、上記滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)及び上記弾性溝部(3)が該油溜まり部(5)へ向かって開口し、上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びていることを特徴としている。
【0018】
第4の発明では、上記軸受隙間部(2a)からの潤滑油が、上記軸受ハウジング(1)の油溜まり部(5)に一時的に貯留される。又、上記駆動軸(23)の偏心部(25)に給油孔(6a)が形成されている場合には、この給油孔(6a)からの潤滑油も上記軸受ハウジング(1)の油溜まり部(5)に一時的に貯留される。
【0019】
ここで、上記油溜まり部(5)において、上記弾性溝部(3)よりも上方に油面がある場合、上記弾性溝部(3)は、上記油溜まり部(5)の潤滑油でシールされた状態となる。この状態において、上記駆動軸(23)が回転すると、該駆動軸(23)における偏心部(25)の偏心回転運動によって上記油溜まり部(5)内の潤滑油に旋回流れが生じる。この旋回流れは、駆動軸(23)の回転方向に沿う流れであり、この旋回流れが、上記弾性溝部(3)内の潤滑油にも生じる。
【0020】
そして、上記弾性溝部(3)内の潤滑油に旋回流れが生じることにより、記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びている排油通路(4)へ潤滑油がスムーズに流入するようになる。
【0021】
第5の発明は、第1から第4の何れか1つの発明において、上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)から上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)へ向かって斜め下方に傾斜していることを特徴としている。
【0022】
第5の発明では、上記排油通路(4)を斜め下方へ傾斜させることにより、該排油通路(4)の流入端(4a)よりも下側に上記排油通路(4)の流出端(4b)が位置するようになる。これにより、上記排油通路(4)の流入端(4a)から流入した潤滑油が、該排油通路(4)の流出端(4b)へ向かってスムーズに流れるようになる。
【0023】
第6の発明は、第1から第4の何れか1つの発明において、上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)から上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)へ水平且つ直線的に延びていることを特徴としている。
【0024】
第6の発明では、上記排油通路(4)が水平且つ直線的に延びている。このため、上記軸受ハウジング(1)に排油通路(4)を形成しやすい。又、排油通路(4)が斜め上方へ延びている場合に比べて、上記排油通路(4)内における潤滑油の流速が速くなり、上記弾性溝部(3)内の潤滑油の流れがスムーズになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記排油通路(4)を設けることにより、上記弾性溝部(3)内を上記潤滑油が流通するようになる。これにより、上記弾性溝部(3)内に潤滑油が留まっている状態に比べて、潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進される。この熱伝達の促進により、上記軸受ハウジング(1)の放熱部材としての性能を高めることができる。以上より、滑り軸受部(2)の温度上昇を抑制することができ、滑り軸受部(2)の信頼性を確保することができる。
【0026】
また、上記第2の発明によれば、上記偏心部(25)の外面に給油路(27)の給油孔(6b)を形成することにより、上記給油孔(6b)を形成しない場合に比べて、上記弾性溝部(3)内を通過する潤滑油の温度を下げることができる。このように、上記潤滑油の温度を下げることで、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進される。これにより、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能を高めることができる。
【0027】
また、上記第3の発明によれば、上記排油通路(4)の流入端(4a)を上記弾性溝部(3)の底部に開口させることにより、この流入端(4a)を上記弾性溝部(3)の底部より上側に設ける場合に比べて、上記弾性溝部(3)における潤滑油の滞留を抑えることができる。この潤滑油の滞留に起因するハウジングの放熱性能の低下を抑制することができる。
【0028】
また、上記第4の発明によれば、上記弾性溝部(3)内に旋回流を生じさせることにより、該弾性溝部(3)内の潤滑油がスムーズに排油通路(4)へ流出する。これにより、上記弾性溝部(3)内における潤滑油の流速が速まり、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能をさらに高めることができる。
【0029】
また、上記第5の発明によれば、上記排油通路(4)を斜め下方へ傾斜させることにより、該排油通路(4)を傾斜させない場合に比べて、該排油通路(4)内における流出端(4b)と流入端(4a)との間のヘッド差を大きくすることができる。排油通路(4)のヘッド差が大きくなればなるほど、排油通路(4)内における潤滑油の流速が速くなって上記弾性溝部(3)内の潤滑油の流れがスムーズになる。これにより、上記弾性溝部(3)内における潤滑油の流速が速まり、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能をより一層高めることができる。
【0030】
また、上記第6の発明によれば、上記排油通路(4)が水平且つ直線的に延びているため、上記軸受ハウジング(1)に排油通路(4)を比較的に容易に形成することができる。又、排油通路(4)が斜め上方へ延びている場合に比べて、上記排油通路(4)内における潤滑油の流速が速くなり、上記弾性溝部(3)内の潤滑油の流れをスムーズにすることができる。これにより、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係るスクロール圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】軸受ハウジングの斜視断面図である。
【図3】軸受ハウジングの上面図である。
【図4】軸受ハウジングにおける排油通路付近の縦断面図である。
【図5】実施形態の変形例に係る軸受ハウジングの排油通路付近の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本実施形態に係るスクロール圧縮機(10)を示す図である。上記スクロール圧縮機(以下、圧縮機という。)(10)は、例えば、空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されるものである。この圧縮機(10)は、ケーシング(11)とモータ(電動機)(20)とスクロール圧縮機構(30)とを備えている。
【0034】
〈ケーシング〉
上記ケーシング(11)は、両端を閉塞した縦長円筒状の密閉容器で構成されており、円筒状の胴部(12)と該胴部(12)の上端側に固定された上部鏡板(13)と該胴部(12)の下端側に固定された下部鏡板(14)とを備えている。
【0035】
上記ケーシング(11)の内部空間は、該ケーシング(11)の内周面に接合された軸受ハウジング(1)によって上下に区画されている。上記軸受ハウジング(1)よりも上側の空間が上部空間部(15)を構成し、上記軸受ハウジング(1)よりも下側の空間が下部空間部(16)を構成する。この軸受ハウジング(1)の構成については、詳しく後述する。上記ケーシング(11)における下部空間部(16)の底部には、上記圧縮機(10)の摺動部分を潤滑する潤滑油が貯留される油貯留部(17)が形成されている。
【0036】
上記ケーシング(11)には、吸入管(18)及び吐出管(19)が取り付けられている。上記吸入管(18)は、上記上部鏡板(13)の上部を貫通している。この吸入管(18)の一端部は、上記スクロール圧縮機構(30)が有する吸入管継手(65)に接続されている。上記吐出管(19)は、上記胴部(12)を貫通している。この吐出管(19)の端部は、上記ケーシング(11)の下部空間部(16)に開口している。
【0037】
〈モータ〉
上記モータ(20)は、上記ケーシング(11)の下部空間部(16)に収容されている。このモータ(20)は、共に円筒状に形成されたステータ(21)及びロータ(22)を備えている。上記ステータ(21)は、上記ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。このステータ(21)の中空部に上記ロータ(22)が配置されている。このロータ(22)の中空部には、該ロータ(22)を貫通するように駆動軸(23)が固定されており、ロータ(22)と駆動軸(23)が一体で回転するようになっている。
【0038】
上記駆動軸(23)は、主軸部(24)と該主軸部(24)の上側に偏心部(25)とを有し、それらが一体的に形成されている。上記偏心部(25)は、主軸部(24)の最大径よりも小径に形成されており、該偏心部(25)の軸心は主軸部(24)の軸心に対して所定距離だけ偏心している。
【0039】
この駆動軸(23)における主軸部(24)の下端部分は、上記ケーシング(11)における胴部(12)の下端付近に固定された下部軸受部(28)に回転自在に支持されている。又、上記主軸部(24)の上端部分は、上記軸受ハウジング(1)が有する第1滑り軸受部(滑り軸受部)(2)に回転自在に支持されている。又、上記偏心部(25)は、後述する可動スクロール(35)が有するボス部(38)の内周面に形成された第2滑り軸受部(29)に回転自在に支持されている。
【0040】
又、上記駆動軸(23)の下端部には給油ポンプ(26)が設けられている。この給油ポンプ(26)の吸込口は、上記ケーシング(11)の油貯留部(17)に開口している。上記給油ポンプ(26)の吐出口は、上記駆動軸(23)の内部に設けられた給油路(27)に連通している。
【0041】
この給油路(27)は、第1から第3の流出端(6a,6b,6c)を有している。第1から第3の流出端(6a,6b,6c)が第1から第3の給油孔(6a,6b,6c)を構成する。第1給油孔(6a)は、上記第1滑り軸受部(2)の内周面に面する位置で上記主軸部(24)の外周面に開口している。第2給油孔(6b)は、後述する油溜まり部(5)に面する位置で上記偏心部(25)の外周面に開口している。第3給油孔(6c)は、上記偏心部(25)の上端面と上記可動スクロール(35)が有するボス部(38)との隙間に面する位置で上記偏心部(25)の上端面に開口している。
【0042】
〈スクロール圧縮機構〉
上記スクロール圧縮機構(30)は、可動スクロール(35)と固定スクロール(40)と軸受ハウジング(1)とを備えている。上記軸受ハウジング(1)及び固定スクロール(40)は互いにボルトで締結されており、その間に可動スクロール(35)が旋回自在に収容されている。
【0043】
−可動スクロール−
上記可動スクロール(35)は、略円板状の可動側鏡板部(36)を有している。この可動側鏡板部(36)の上面に可動側ラップ(37)が立設している。この可動側ラップ(37)は、可動側鏡板部(36)の中心付近から径方向外方へ渦巻き状に延びる壁体である。又、上記可動側鏡板部(36)の下面から突出するようにボス部(38)が設けられている。又、図示していないが、上記可動側鏡板部(36)と上記軸受ハウジング(1)との間には、上記可動スクロール(35)の自転を阻止するオルダム継手が配設されている。
【0044】
−固定スクロール−
上記固定スクロール(40)は、略円板状の固定側鏡板部(41)を有している。この固定側鏡板部(41)の下面に固定側ラップ(42)が立設している。この固定側ラップ(42)は、固定側鏡板部(41)の中心付近から径方向外方へ渦巻き状に延び、且つ上記可動スクロール(35)の可動側ラップ(37)と噛み合うように形成された壁体である。この固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)との間に圧縮室(31)が形成されている。
【0045】
上記固定スクロール(40)は、上記固定側ラップ(42)の最外周壁から径方向外方へ連続する外縁部(43)を有している。この外縁部(43)には、上方に開口する開口部(44)が形成されている。そして、この開口部(44)の内部と上記圧縮室(31)の最外周端とを連通する連通孔(34)が外縁部(43)に形成されている。この連通孔(34)が吸入ポート(34)を構成する。この吸入ポート(34)は、上記圧縮室(31)の吸入位置に開口している。尚、この外縁部(43)の開口部(44)に、上述した吸入管継手(65)が接続されている。
【0046】
又、上記固定スクロール(40)の固定側鏡板部(41)には、上記固定側ラップ(42)の中心付近に位置して上下方向へ貫通する貫通孔(32)が形成されている。この貫通孔(32)が吐出ポート(32)を構成する。この吐出ポート(32)の下端は、上記圧縮室(31)の吐出位置に開口している。上記吐出ポート(32)の上端は、上記固定スクロール(40)の上部に区画された吐出室(46)に開口している。尚、この吐出室(46)の底面には、上記吐出ポート(32)の上端開口部を開閉する吐出リード弁(45)が取り付けられている。又、図示しないが、この吐出室(46)は、上記ケーシング(11)の下部空間部(16)に連通している。
【0047】
−軸受ハウジング−
上記軸受ハウジング(1)は、図2又は図3に示すように、中空部を有する筒状に形成されている。この中空部に面する内周面には、該内周面の全周に亘って、上述した第1滑り軸受部(2)が設けられ、上記軸受ハウジング(1)は、この第1滑り軸受部(2)で発生した摩擦熱を放出することが可能に構成されている。
【0048】
上記軸受ハウジング(1)の外周部は、その下側部分よりも上側部分の方が大径になるように形成されている。そして、この外周部の上側部分が上記ケーシング(11)の内周面に固定されている。又、この外周部の下側部分は、全周に亘って径方向外方側から内方側へ傾斜する傾斜面(外面)(7a)を有している。
【0049】
上記軸受ハウジング(1)の上端面(8c,8d,8f)には、該上端面(8c,8d,8f)の外縁部よりも内縁部の方が低くなるように下側段差部(8a)が形成されている。又、上記下側段差部(8a)の上段面(8c,8d)には、該上段面(8c,8d)の外縁部分よりも内縁部分の方が低くなるように上側段差部(8b)が形成されている。
【0050】
上記上側段差部(8b)の上段面(8c)に、上記固定スクロール(40)の下端面が固定されている。又、上記上側段差部(8b)の内側に、上記可動スクロール(35)の可動側鏡板部(36)が嵌め込まれている。尚、この可動スクロール(35)の旋回運動によって、上記可動側鏡板部(36)の下面と上側段差部(8b)の下段面(8d)とが摺接する。
【0051】
(油溜まり部)
上記下側段差部(8a)の側周面(8e)で囲まれた空間が油溜まり部(5)を構成する。この油溜まり部(5)に、上記第1滑り軸受部(2)における軸受隙間部(2a)の上端が開口している。これにより、上記第1滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)からの潤滑油が、上記油溜まり部(5)へ流入する。
【0052】
又、この油溜まり部(5)には、上記第1滑り軸受部(2)の上端面から延出する上記駆動軸(23)の偏心部(25)が収容されている。この偏心部(25)の第2及び第3給油孔(6b,6c)からの潤滑油が、上記油溜まり部(5)へ流入する。
【0053】
又、上記下側段差部(8a)の側周面(8e)と上記軸受ハウジング(1)の外周面(1a)との間を貫通する貫通路(9)が形成されている。この貫通路(9)は、水平且つ直線状に延びている。この貫通路(9)は、上記油溜まり部(5)に溜まった潤滑油を上記軸受ハウジング(1)の外側へ排出する排油路(9)である。
【0054】
(弾性溝部)
上記下側段差部(8a)の下段面(8f)には、上記油溜まり部(5)に開口する環状の弾性溝部(3)が形成されている。この弾性溝部(3)は、上記第1滑り軸受部(2)における軸受隙間部(2a)の外周囲の近傍に配置されている。上記弾性溝部(3)の内周面(内面)(3b)と上記軸受ハウジング(1)の内周面(1b)との間の壁体が、上記弾性溝部(3)の内周壁(3a)を構成する。そして、この内周壁(3a)が、上記第1滑り軸受部(2)とともに上記駆動軸(23)を径方向から弾性的に支持する。
【0055】
尚、この内周壁(3a)の厚みは、上記弾性溝部(3)の位置が上記軸受ハウジング(1)の内周面(1b)へ近づくほど薄くなり、該内周面(1b)から離れるほど厚くなる。そして、この内周壁(3a)の厚みは、該内周壁(3a)が弾性変形可能となるように設定されている。つまり、上記弾性溝部(3)は、この内周壁(3a)が弾性変形可能となるような位置に形成されている。
【0056】
(排油通路)
上記軸受ハウジング(1)には、該軸受ハウジング(1)の傾斜面(外面)(7a)と上記弾性溝部(3)の外周面(内面)(3c)との間を貫通する貫通路(4)が複数形成されている。これらの貫通路(4)が、上記弾性溝部(3)に溜まった潤滑油を上記軸受ハウジング(1)の外部へ排出する排油通路(4)を構成する。
【0057】
これらの排油通路(4)は、図4に示すように、その流入端(4a)が上記弾性溝部(3)における外周面(3c)の底部に開口し、流出端(4b)が上記軸受ハウジング(1)における外面の下側部分に位置する傾斜面(7a)に開口している。又、これらの排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びている。又、これらの排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)の外周面(3c)から上記軸受ハウジング(1)の外周面(1a)へ向かって斜め下方に傾斜している。
【0058】
−運転動作−
次に、上述した圧縮機(10)の運転動作について説明する。
【0059】
上記圧縮機(10)のモータ(20)へ通電されると、上記ロータ(22)とともに駆動軸(23)が回転し、上記可動スクロール(35)が旋回する。この可動スクロール(35)の旋回運動によって、上記圧縮室(31)の容積が周期的に増減を繰り返す。この圧縮室(31)の容積増加によって上記吸入管(18)から圧縮室(31)へ吸入された冷媒が、圧縮室の容積減少によって圧縮される。そして、この冷媒が所定の圧力に達すると上記圧縮室(31)から上記吐出管(19)を通じて上記ケーシング(11)の外部へ吐出される。
【0060】
次に、上記圧縮機(10)における潤滑油の流れについて説明する。
【0061】
上記駆動軸(23)の回転により、該駆動軸(23)の給油ポンプ(26)が、ケーシング(11)内の油貯留部(17)の潤滑油を吸い上げる。この潤滑油は、上記駆動軸(23)の給油路(27)を通過した後で、該給油路(27)の第1から第3給油孔(6a,6b,6c)から流出する。
【0062】
上記第1給油孔(6a)から流出した潤滑油は、上記第1滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)へ供給される。この潤滑油により軸受隙間部(2a)に形成される油膜には、上記駆動軸(23)の回転に伴って、くさび効果による圧力が生じる。この油膜の圧力によって、上記駆動軸(23)が回転支持される。
【0063】
又、上記第1滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)へ流入した潤滑油のうち、一方は上記軸受隙間部(2a)を下方へ向かって流れ、他方は上記軸受隙間部(2a)を上方へ向かって流れる。下方側へ流れた潤滑油は、第1滑り軸受部(2)で発生する摩擦熱を受け取りつつ、上記第1滑り軸受部(2)の下端から流出する。
【0064】
一方、上方側へ流れた潤滑油は、第1滑り軸受部(2)で発生する摩擦熱を受け取りつつ、上記第1滑り軸受部(2)の上端から流出する。上記第1滑り軸受部(2)の上端から流出した潤滑油は、上記軸受ハウジング(1)の油溜まり部(5)へ流入する。
【0065】
又、上記第2給油孔(6b)から流出した潤滑油は、上記油溜まり部(5)へ流入する。ここで、上記第2給油孔(6b)からの潤滑油は、上記ケーシング(11)の油貯留部(17)から直接供給されるものであるため、上記第1滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)から流出した潤滑油よりも温度が低い。これにより、上記油溜まり部(5)に溜まった潤滑油の温度を下がり、上記弾性溝部(3)へ流入する潤滑油の温度が下がる。
【0066】
又、上記第3給油孔(6c)から流出した潤滑油は、上記第2滑り軸受部(29)の軸受隙間部(29a)を通過した後で、該軸受隙間部(29a)の下端から流出する。この潤滑油は、上記油溜まり部(5)へ流入する。
【0067】
上記油溜まり部(5)へ流入したこれらの潤滑油のうち、その一部が上記弾性溝部(3)へ流入し、該弾性溝部(3)内を通過した後で上記排油通路(4)を通じて上記軸受ハウジング(1)の外部へ排出される。このように、上記排油通路(4)を設けることにより、上記弾性溝部(3)内を上記潤滑油が流通する。一方、上記弾性溝部(3)へ流入しなかった潤滑油は、上記軸受ハウジング(1)の排油路(9)を通じて該軸受ハウジング(1)の外部へ排出される。
【0068】
上記排油通路(4)及び上記排油路(9)を通じて上記軸受ハウジング(1)の外側へ排出された潤滑油は、上記ケーシング(11)の下部空間部(16)を通過して上記油貯留部(17)へ戻る。この油貯留部(17)の潤滑油は、上記駆動軸(23)の給油ポンプ(26)によって、再び上方へ吸い上げられる。そして、この潤滑油は、上記駆動軸(23)の給油路(27)を通過した後で、該給油路(27)の第1から第3給油孔(6a,6b,6c)から流出する。上記ケーシング(11)内では、このような潤滑油の循環が繰り返される。
【0069】
尚、上述したように、上記弾性溝部(3)から延びる排油通路(4)は、その弾性溝部(3)側の流入端(4a)が上記弾性溝部(3)における外周面(3c)の下側に開口している。仮に、上記排油通路(4)の流入端(4a)が上記外周面(3c)の上側に開口しているとする。この場合、この排油通路(4)の流入端(4a)よりも下側に潤滑油が溜まり込みやすくなる。このように、上記排油通路(4)の流入端(4a)を外周面(3c)の下側に開口させることにより、上記弾性溝部(3)内における潤滑油の滞留が抑えられる。
【0070】
ここで、上記軸受ハウジング(1)の油溜まり部(5)において、上記弾性溝部(3)よりも上方に油面がある場合、上記弾性溝部(3)は、上記油溜まり部(5)の潤滑油でシールされた状態となる。この状態において、上記駆動軸(23)が回転すると、該駆動軸(23)における偏心部(25)の偏心回転運動によって上記油溜まり部(5)内の潤滑油に旋回流れが生じる。この旋回流れは、駆動軸(23)の回転方向に沿う流れであり、この旋回流れが、上記弾性溝部(3)の潤滑油にも生じる。
【0071】
そして、上記弾性溝部(3)内に旋回流れが生じることにより、記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びている排油通路(4)へ潤滑油がスムーズに流入するようになる。
【0072】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記排油通路(4)を設けることにより、上記弾性溝部(3)内を潤滑油が流通するようになる。これにより、上記弾性溝部(3)内に潤滑油が留まっている状態に比べて、潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進される。この熱伝達の促進により、上記軸受ハウジング(1)の放熱部材としての性能を高めることができる。以上より、第1滑り軸受部(2)の温度上昇を抑制することができ、第1滑り軸受部(2)の信頼性を確保することができる。
【0073】
又、本実施形態によれば、上記偏心部(25)の外面に給油路(27)の給油孔(6b)を形成することにより、上記給油孔(6b)を形成しない場合に比べて、上記弾性溝部(3)内を通過する潤滑油の温度を下げることができる。このように、上記潤滑油の温度を下げることで、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進される。これにより、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能を高めることができる。
【0074】
又、本実施形態によれば、上記排油通路(4)の流入端(4a)を上記弾性溝部(3)の底部に開口させることにより、この流入端(4a)を上記弾性溝部(3)の底部より上側に設ける場合に比べて、上記弾性溝部(3)における潤滑油の滞留を抑えることができる。これにより、この潤滑油の滞留に起因する軸受ハウジング(1)の放熱性能の低下を抑制することができる。
【0075】
又、本実施形態によれば、上記偏心部(25)の偏心回転運動によって、上記弾性溝部(3)内の潤滑油に旋回流を生じさせることにより、該弾性溝部(3)内の潤滑油がスムーズに排油通路(4)へ流出する。これにより、上記弾性溝部(3)内における潤滑油の流速が速まり、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能をさらに高めることができる。
【0076】
又、本実施形態によれば、上記排油通路(4)を斜め下方へ傾斜させることにより、該排油通路(4)を傾斜させない場合に比べて、該排油通路(4)内における流出端(4b)と流入端(4a)との間のヘッド差を大きくすることができる。排油通路(4)のヘッド差が大きくなればなるほど、排油通路(4)内における潤滑油の流速が速くなって上記弾性溝部(3)内の潤滑油の流れがスムーズになる。これにより、上記弾性溝部(3)内における潤滑油の流速が速まり、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能をより一層高めることができる。
【0077】
−実施形態の変形例−
上記実施形態では、上記軸受ハウジング(1)の排油通路(4)が斜め下方に傾斜していたが、この変形例では、図5に示すように、上記排油通路(4)が水平且つ直線的に延びている。これにより、上記軸受ハウジング(1)に排油通路(4)を比較的に容易に形成することができる。又、例えば上記排油通路(4)が斜め上方に傾斜している場合に比べて、弾性溝部(3)内における潤滑油の流れをスムーズにすることができ、弾性溝部(3)内における潤滑油の流速が速まる。これにより、この潤滑油と弾性溝部(3)の内面(3a,3b)との間の熱伝達が促進され、上記軸受ハウジング(1)の放熱性能を確実に高めることができる。
【0078】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0079】
上記実施形態では、排油通路(4)が斜め下方へ傾斜していたが、これに限定される必要はなく、例えば、排油通路(4)が、上記弾性溝部(3)の底面から上記軸受ハウジング(1)の下端面へ向かって鉛直下向きに延びていてもよい。この場合であっても、上記弾性溝部(3)内を上記潤滑油が流通するようになり、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
上記実施形態では、複数の排油通路(4)の各々が上記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びているが、これに限定される必要はなく、例えば、複数の排油通路(4)の各々が放射状に延びていてもよい。この場合であっても、上記弾性溝部(3)内を上記潤滑油が流通するようになり、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に駆動軸を回転支持する滑り軸受の信頼性を向上させる技術について有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 軸受ハウジング
1a 外周面
1b 内周面
2 滑り軸受部(第1滑り軸受部)
2a 軸受隙間部
3 弾性溝部
3a 内周壁
3b 内周面
3c 外周面
4 排油通路
4a 流入端
4b 流出端
5 油溜まり部
8a 下側段差部(段差部)
8b 上側段差部
8c 下側段差部の上段面
8d 下側段差部の下段面
8e 下側段差部の側周面
8f 上側段差部の下段面(上端面)
9 排油路
10 スクロール圧縮機
20 モータ(電動機)
30 スクロール圧縮機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)を有するスクロール圧縮機構(30)と、該スクロール圧縮機構(30)を駆動する電動機(20)と、該電動機(20)と上記可動スクロール(35)との間を上下方向で連結する駆動軸(23)と、上記固定スクロール(40)に固定される軸受ハウジング(1)とを備えたスクロール圧縮機であって、
上記軸受ハウジング(1)は、中空部を有する筒状に形成され、且つ上記軸受ハウジング(1)の内周面(1b)に固定されて上記駆動軸(23)を回転支持する滑り軸受部(2)で構成され、
上記軸受ハウジング(1)の上端面(8f)に開口し、且つ該駆動軸(23)と上記滑り軸受部(2)との間に形成された軸受隙間部(2a)の外周囲に位置する環状の弾性溝部(3)と、
上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)と上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)との間を貫通して上記弾性溝部(3)内の潤滑油を上記軸受ハウジング(1)の外部へ排出する排油通路(4)とを備えていることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
請求項1において、
上記駆動軸(23)は、上記滑り軸受部(2)の上端面から上方へ延出する偏心部(25)を有し、
上記偏心部(25)の外面には、上記駆動軸(23)の内部に形成された給油路(27)の流出端となる給油孔(6b)が開口していることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記排油通路(4)の流入端(4a)は、上記弾性溝部(3)の底部に開口していることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1つにおいて、
上記軸受ハウジング(1)の上端面(8f)には、該上端面(8f)の外縁部よりも内縁部の方が低くなるように段差部(8a)が形成され、
上記段差部(8a)の側周面(8e)で囲まれた空間に油溜まり部(5)が形成されるとともに、上記滑り軸受部(2)の軸受隙間部(2a)及び上記弾性溝部(3)が該油溜まり部(5)へ向かって開口し、
上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)が構成する円環の接線方向且つ上記駆動軸(23)の回転方向へ延びていることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)から上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)へ向かって斜め下方に傾斜していることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項6】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記排油通路(4)は、上記弾性溝部(3)の内面(3b,3c)から上記軸受ハウジング(1)の外面(7a)へ水平且つ直線的に延びていることを特徴とするスクロール圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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