説明

スクロール部材用成形型

【課題】成形型の寿命を大幅に延ばすことが可能なスクロール部材用成形型および成形装置を提供する。
【解決手段】スクロール部材用成形型2は、渦巻き状の部分51を有するスクロール部材50を成形するための成形型である。渦巻き状の部分50の先端を押す渦巻き用押出ピン3は、渦巻き状の部分51における当接部分55に当接する。渦巻き状の部分51における当接部分55に対応する溝13cの幅は、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する溝13aの幅よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール部材用成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクロール圧縮機の固定スクロールまたは可動スクロール等、渦巻き状の部分を有するスクロール部材を鋳造やダイキャスト成形等により型成形している。例えば、特許文献1(特開2002−219553号公報)記載の成形装置を用いてスクロール部材の型成形が行われている。このような成形装置では、確実な型抜きと、成形時の空気抜きのために、スクロール渦巻き部先端に複数の押出しピンを設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、スクロール部材の成形品を押し出す時に押出ピンが変形しないように、押出ピンはある程度の大きさを確保する必要がある。また、これに伴って、スクロール部材の渦巻き状の部分も太くする関係上、成形品の設計要求以上に成形型内部の渦巻き状のキャビティー部分の溝幅を太くする必要があった。
【0004】
このように成形型内部の溝幅を太くした場合、渦巻き状のキャビティー部分の隣接する溝の間の部分の肉厚が薄くなる。その結果、成形型の強度が低下するため成形型の耐久性が低下し、成形型の寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
しかも、隣接する溝の間の壁の部分において、冷却配管の配置スペースを確保することが難しくなるので、成形型の冷却を十分に行なえなくなり、この点からみても成形型の寿命が短くなるおそれがある。
【0006】
また、渦巻き部充填不良の場合には、押出しピンが機能せず、成形品が型内に残り、金型に過大な熱負荷を与え、型寿命を短くする恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、成形型の寿命を大幅に延ばすことが可能なスクロール部材用成形型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のスクロール部材用成形型は、渦巻き状の部分を有するスクロール部材を成形するための成形型である。渦巻き状の部分の先端を押す渦巻き用押出ピンは、渦巻き状の部分における当接部分に当接する。当接部分に対応する溝の幅は、渦巻き状の部分における当接部分以外の部分に対応する溝の幅よりも大きい。
【0009】
このため、渦巻き用押出ピンが当接する当接部分の幅を確保しつつ当接部分以外の渦巻き状の溝の幅を狭くすることが可能になるので、隣接する溝の間の部分の肉厚も厚くなる。その結果、スクロール部材用成形型の強度が向上するために成形型の耐久性が向上し、成形型の寿命を延ばすことが可能である。
【0010】
第2発明のスクロール部材用成形型は、第1発明のスクロール部材用成形型であって、渦巻き状の部分における当接部分以外の部分に対応する溝の幅は、スクロール部材の完成品における渦巻き状の部分の肉厚に実質的に等しい。
【0011】
ここでは、渦巻き状の部分における当接部分以外の部分に対応する溝の幅がスクロール部材の完成品における渦巻き状の部分の肉厚に実質的に等しいので、スクロール部材の完成品とほぼ同じ寸法で成形することが可能になる。そのため第1発明と同様に、溝幅をより狭くすることが出来るため成形型の強度が向上し、寿命を延ばすことが可能となる。また、材料歩留まりが向上する。
【0012】
第3発明のスクロール部材用成形型は、第1発明のスクロール部材用成形型であって、冷却部をさらに備えている。第1発明のスクロール部材用成形型において、冷却部を設けるのに対して、溝間の壁を十分に厚くすることが可能となるため、スクロール部材用成形型を冷却するようにスクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に冷却部を設置する。
【0013】
ここでは、スクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に設置されたスクロール部材用成形型を冷却する冷却部をさらに備えているので、スクロール部材用成形型の熱負荷を従来より効果的に低減し、スクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【0014】
第4発明のスクロール部材用成形型は、渦巻き状の部分、および渦巻き状の部分の根元側に形成された板状の鏡板を有するスクロール部材を成形するための成形型である。この成形型は、スクロール部材用成形型と、渦巻き用押出ピンと、鏡板用押出ピンとを備えている。渦巻き用押出ピンは、渦巻き状の部分の先端を押す。鏡板用押出ピンは、鏡板の表面を押す。
【0015】
ここでは、スクロール部材用成形型と、渦巻き用押出ピンと、鏡板用押出ピンとを備えているので、スクロール部材の渦巻き部が充填不良のときでも、成形品を確実にスクロール部材用成形型から押し出すことが可能であり、スクロール部材の取り出し不良をなくし、成形型への過大な熱負荷を防止するため、スクロール部材用成形型の寿命を延ばすことが出来る。また、設備稼働率が向上する。さらに、新たに鏡板用の押し出しピンが加わったことにより、渦巻き用押し出しピンにかかる力が低減される。そのため、従来必要とされていた押し出しピンの大きさを、より小さくすることが可能となる。その結果、隣接する溝の間の部分の肉厚を厚くすることが可能となり、スクロール部材用成形型の強度が向上するために成形型の耐久性が向上し、成形型の寿命を延ばすことが可能である。
【0016】
第5発明のスクロール部材用成形型は、第4発明のスクロール部材用成形型であって、冷却部をさらに備えている。スクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に冷却部を設置する。
【0017】
ここでは、スクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に設置されたスクロール部材用成形型を冷却する冷却部をさらに備えているので、スクロール部材用成形型の熱負荷を従来より効果的に低減し、スクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【0018】
第6発明のスクロール部材用成形型は、渦巻き状の部分および渦巻き状の部分の根元側に形成された板状の鏡板を有するスクロール部材を成形するための成形型であって、渦巻き状部分の先端を押す渦巻き用押出しピンを貫通穴の埋め栓として使用し、かつ鏡板の表面を押す鏡板用押出しピンを備えている。渦巻き部先端の押出しピンを埋め栓とするため、空気抜き用の通路としてのみ使用する。また、スクロール部材押出しについては、鏡板用押出しピンを使用する。
【0019】
このため渦巻き先端部押出しピンの強度を考慮する必要が無くなり、従来の押出しピンと比較し、大幅に小さなピンを使用することが可能となる。そのため、スクロール部材用の溝幅をより狭くする事が可能となり、成形型の強度が向上し、寿命を延ばすことが可能となる。この場合、空気抜きの通路とするため、埋め栓でなくても、押出しの力がかからないように、押出しタイミングを遅らせるだけでもよい。また、鏡板用押出しピンを備えているため、スクロール部材の渦巻き部が充填不良のときでも、成形品を確実にスクロール部材用成形型から押し出すことが可能であり、スクロール部材の取り出し不良をなくし、成形型への過大な熱負荷を防止するため、スクロール部材用成形型の寿命を延ばすことが出来る。
【0020】
第7発明のスクロール部材用成形型は、第6発明のスクロール部材用成形型であって、冷却部をさらに備えている。第5発明のスクロール部材用成形型において、冷却部を設けるのに対して、溝間の壁を十分に厚くすることが可能となるため、スクロール部材用成形型を冷却するようにスクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に冷却部を設置する。
【0021】
ここでは、スクロール部材用成形型における渦巻き状の部分に対応する溝の近傍に設置されたスクロール部材用成形型を冷却する冷却部をさらに備えているので、スクロール部材用成形型の熱負荷を従来より効果的に低減し、スクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
第1発明によれば、スクロール部材用成形型の強度が向上するとともに成形型の耐久性が向上する。これにより、成形型の寿命を延ばすことができる。
【0023】
第2発明によれば、スクロール部材の完成品とほぼ同じ寸法で成形することが可能になり、第1発明同様に、よりスクロール部材用成形型の強度が向上するとともに成形型の耐久性が向上する。これにより、成形型の寿命を延ばすことができ、また、材料歩留まりが向上する。
【0024】
第3発明によれば、スクロール部材用成形型の熱負荷の低減を十分に行うことが出来る。これによりスクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【0025】
第4発明によれば、充填不良のときでも、成形品を確実にスクロール部材用成形型から押し出すことが可能であり、成形品取り出し不良による過大な熱負荷を防止するため、成形型の寿命を延ばすことが出来る。また設備稼働率が向上する。さらに、スクロール部材用成形型の強度が向上するとともに成形型の耐久性が向上し成形型の寿命を延ばすことが出来る。
【0026】
第5発明によれば、スクロール部材用成形型の熱負荷の低減を十分に行うことが出来る。これによりスクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【0027】
第6発明によれば、スクロール部材用成形型の強度が向上するとともに成形型の耐久性が向上し成形型の寿命を延ばすことが出来る。また、充填不良のときでも、成形品を確実にスクロール部材用成形型から押し出すことが可能であり、成形品取り出し不良による過大な熱負荷を防止するため、成形型の寿命を延ばすことが出来る。
【0028】
第7発明によれば、スクロール部材用成形型の熱負荷の低減を十分に行うことが出来る。これによりスクロール部材用成形型の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係わるスクロール部材用成形型を備えた成形装置の構成図。
【図2】図1の可動型の渦巻き状溝近傍の拡大断面図。
【図3】図2の矢視A図。
【図4】図3の渦巻き状溝13aおよび当接部分用溝13cを概略的に示した図。
【図5】図1の冷却水配管の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
つぎに本発明のスクロール部材用成形型の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0031】
<スクロール部材用成形装置1の構成>
図1〜3に示されるスクロール部材用成形装置1(以下、成形装置1という)は、スクロール圧縮機の固定スクロールまたは可動スクロール等の、渦巻き状の部分51、および渦巻き状の部分51の根元側に形成された板状の鏡板52を有するスクロール部材50を成形するための成形装置である。
【0032】
なお、本実施形態では、スクロール部材50の一例として、渦巻き状の部分51、鏡板52およびボス53を有する可動スクロールを例に挙げて説明しているが、成形装置1のキャビティ13の形状を適宜変更して固定スクロールを成形してもよい。
【0033】
成形装置1は、スクロール部材用成形型2(以下、成形型2という)と、押出ピン機構7と、可動型ステージ8とを備えている。成形型2は、渦巻き用押出ピン3と、鏡板用押出ピン4と、冷却用配管5と、ビレット充填機構6とを有している。
【0034】
この成形装置1では、ビレット充填機構6によって半溶融あるいは半凝固金属材料のビレットCを成形型2内部に圧力をかけて充填することにより、スクロール部材50を型成形することが可能である。
【0035】
スクロール部材50を成形した後には、成形型2を構成する一方の可動型11は、可動型ステージ8に沿って他方の固定型12から引き離される。その後、渦巻き用押出ピン3および鏡板用押出ピン4が可動型11内部に押出ピン機構7によって押し込まれることにより、可動型11内部からスクロール部材50を取り出すことができる。
【0036】
以下、成形型2について、別項目でさらに詳細に説明する。
【0037】
<スクロール部材用成形型2の構成>
成形型2は、主要部として、図1に示されるように、可動型ステージ8に沿って往復移動する可動型11と、固定型12とを有している。なお、成形型2の他の構成要素である、渦巻き用押出ピン3、鏡板用押出ピン4、および冷却用配管5については、別項目でさらに詳細に説明する。
【0038】
また、成形装置1は、可動型11と固定型12とが結合したときに形成されるスクロール部材50の形状をした空間、すなわちキャビティ13に半溶融あるいは半凝固金属材料を充填するための流路であるランナー54を形成している。
【0039】
可動型11は、図1〜3に示されるように、スクロール部材50を形成するためのキャビティ13のうち、渦巻き状の部分51を形成するための渦巻き状溝13aと、鏡板52を形成するための平板状溝13bとを有している。
【0040】
しかも、可動型11には、渦巻き状の部分51の先端51a(図1参照)を押す渦巻き用押出ピン3が当接する渦巻き状の部分51における当接部分55に対応する当接部分用溝13cが形成されている。この当接部分用溝13cの幅は、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する渦巻き状溝13aの幅よりも大きくなっている。
【0041】
これにより、スクロール部材50を成形したときに、渦巻き状の部分51の全体の厚さを薄く成形しても、渦巻き用押出ピン3に当接する当接部分55を部分的に広く確保することが可能になる。
【0042】
その結果、渦巻き用押出ピン3が当接する当接部分55の幅を確保しつつ当接部分55以外の渦巻き状溝13aの幅を狭くすることが可能になるので、可動型11における隣接する溝13aの間の部分の肉厚も厚くなる。これにより、成形型2の強度が低下することによる成形型2の耐久性が低下するおそれがなくなり、成形型2の寿命を延ばすことが可能である。
【0043】
当接部分55およびそれを形成するための当接部分用溝13cの幅は、渦巻き用押出ピン3の直径よりも大きい幅であればよい。
【0044】
また、本実施形態では、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する渦巻き状溝13aの幅は、スクロール部材50の完成品における渦巻き状の部分51の肉厚に実質的に等しくなるように寸法設定されているので、完成品とほぼ同じ寸法で成形(いわゆるニアネットシェイプ成形)が可能になり、より溝幅を狭く出来るため成型型の耐久性が上がり、寿命を伸ばすことが可能となる。また、材料歩留まりが向上する。
【0045】
なお、スクロール部材50の表面仕上げのための切削加工を行う関係上、好ましくは、渦巻き状溝13aの幅は、スクロール設計肉厚+必要切削加工代や金型のズレ量、精度を考慮しておく方がよい。
【0046】
ここで、図4には、概略的に、渦巻き状の部分51に対応する渦巻き状溝13aおよび当接部分55に対応する当接部分用溝13cが示されている。従来では、渦巻き用押出ピン3に当接する必要上、渦巻き用押出ピン3の直径以上の幅の溝幅を確保するために、全体的に幅広の渦巻き状溝Bを形成する必要があったが、本実施形態では、渦巻き状溝13a全体はほぼスクロール部材50の完成品の幅と同程度の厚さまで狭くして、当接部分55に対応する当接部分用溝13cだけ部分的に膨らませた形状になるように成形するので、完成品と実質的に等しい寸法のニアネットシャイプ化が可能になっている。
【0047】
なお、成形後のスクロール部材50は、渦巻き状の部分51に形成された当接部分55をエンドミル等で部分的に切削すればよいので、材料歩留まりがよい。また、当接部分55を切削した後、軸付き砥石、エアロラップ等によって表面仕上げを施すことにより、スクロール部材50の完成品に要求される寸法および表面粗さに仕上げることができる。
【0048】
<渦巻き用押出ピン3の構成>
図1および図3に示される渦巻き用押出ピン3は、可動型11に形成された貫通孔15(図2参照)を通って、キャビティ13の渦巻き状溝13aの先端に出没できるように押出ピン駆動機構7に取り付けられている。
【0049】
渦巻き用押出ピン3は、スクロール部材50の成形後にスクロール部材50の渦巻き状の部分51の先端51aのうち当接部分55を押して、スクロール部材50を可動型11から押し出すことが可能である。
【0050】
<鏡板用押出ピン4の構成>
図1に示される鏡板用押出ピン4は、可動型11に形成された貫通孔16(図2参照)を通って、キャビティ13の平板状溝13bに出没できるように押出ピン機構7に取り付けられている。
【0051】
鏡板用押出ピン4は、スクロール部材50の成形後にスクロール部材50の鏡板52を押して、スクロール部材50を可動型11から押し出すことが可能である。
【0052】
鏡板用押出ピン4は、渦巻き用押出ピン3よりも太くなっている。しかも、成形品を押し出すときには、鏡板用押出ピン4に対して渦巻き用押出ピン3よりも成形品との接触面積を大きくし、より大きな荷重をかける方が、細い渦巻き用押出ピン3の損傷防止のために好ましい。
【0053】
<冷却用配管5の構成>
図1および図5に示される冷却用配管5は、可動型11に形成された注水穴17(図2参照)に挿入された冷却水を供給するための配管である。注水穴17は、可動型11のうち、渦巻き状溝13aの隣接する溝の間の壁18に形成されている。
【0054】
具体的には、図5に示されるように、冷却用配管5は、二重管の構造になっており、注水穴17の奥端近くまで挿入された注水用の内管21と、排水用の外管22とを有している。外管22は、注水穴17に液密的に嵌合している。
【0055】
したがって、スクロール部材50の成形時には、高温・高圧のビレットCがキャビティ13に圧入されることによって可動型11へ熱が伝導されるが、冷却用配管5によって連続的に供給される冷却水によって可動型11は十分に冷却される。このため、可動型11ならびに成形型2全体の寿命を延ばすことが可能である。
【0056】
<実施形態の特徴>
(1)
実施形態の成形型2では、渦巻き用押出ピン3が当接する当接部分55に対応する当接部分用溝13cの幅は、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する渦巻き状溝13aの幅よりも大きい。
【0057】
これにより、渦巻き用押出ピン3が当接する当接部分55の幅を確保しつつ当接部分55以外の渦巻き状溝13aの幅を狭くすることが可能になるので、可動型11における隣接する溝13aの間の壁18の部分の肉厚も厚くなる。その結果、成形型2(より具体的には、可動型11)の強度が向上するとともに成形型2の耐久性が向上するので、成形型2の寿命を大幅に延ばすことが可能である。また、それに伴って、成形型2にかかる製造およびメンテナンス等のコストも低減可能である。
【0058】
(2)
また、実施形態の成形型2では、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する渦巻き状溝13aの幅を小さくすることができるので、ニアネットシェイプ化が可能である。また、渦巻き状溝13aの幅が細くなることによって、渦巻き状溝13aの間の壁18が厚くなるので、冷却用配管5の配置スペースが確保することが可能である。
【0059】
(3)
また、実施形態の成形型2では、渦巻き状の部分51における当接部分55以外の部分に対応する渦巻き状溝13aの幅は、スクロール部材50の完成品における渦巻き状の部分51の肉厚に実質的に等しくなるように寸法設定されている。これにより、スクロール部材50の完成品とほぼ同じ寸法で成形するいわゆるニアネットシェイプ成形が可能になり、材料歩留まりが向上する。
【0060】
(4)
また、近年、鋳鉄材料(FC材)やアルミダイキャスト品と比べて材料強度が高く、渦巻状の部分の壁厚を薄くしても設計強度を満足し、完成品とほぼ同じ寸法で成形するいわゆるニアネットシェイプ成形が可能な半溶融ダイキャスト材による成形法が、スクロール部材の成形に採用されている。
【0061】
本実施形態では、渦巻き状の部分51の成形に対しては、渦巻き用押出ピン3が当接する幅広の当接部分55を渦巻き状の部分51の途中に部分的に形成することにより、渦巻き状の部分51全体について渦巻き用押出ピン3の直径以上の幅を確保する必要がなくなっている。このため、渦巻き状の部分51の全体を設計要求厚さよりも厚く成形する必要がなくなり、半溶融ダイキャスト材による成形法の薄壁成形できる特徴を生かすことができる。
【0062】
(5)
さらに、実施形態の実施形態の成形型2では、成形後のスクロール部材50の渦巻き状の部分51に渦巻き用押出ピン3が当接する幅広の当接部分55が形成されるので、渦巻き状の部分51の薄型化にともなって渦巻き用押出ピン3を細くする必要がなくなる。このため、渦巻き用押出ピン3が曲がったり折れたりするなどの不具合が生じない。
【0063】
(6)
実施形態の成形装置1では、上述のように成形後のスクロール部材50の渦巻き状の部分51に渦巻き用押出ピン3が当接する幅広の当接部分55を形成するための当接部分用溝13cを有する成形型2と、渦巻き状の部分51の先端51aを押す渦巻き用押出ピン3と、鏡板52の表面を押す鏡板用押出ピン4とを備えている。
【0064】
このように、渦巻き用押出ピン3の他に鏡板用押出ピン4を両方備えているので、充填不良のときでも、成形品を確実に成形型2から押し出すことが可能であり、設備稼働率が向上する。
【0065】
また、充填不良のときでも、渦巻き用押出ピン3および鏡板用押出ピン4の両方でスクロール部材50の成形品を押し出すので、渦巻き用押出ピン3の損傷の発生率を低減することが可能である。
【0066】
(7)
実施形態の成形装置1では、成形型2の可動型11における渦巻き状の部分51に対応する渦巻き状溝13aの近傍の壁18に設置された成形型2を冷却する冷却部として冷却用配管5を備えている。これにより、成形型2の冷却を十分に行え、成形型2の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0067】
(8)
とくに本実施形態の成形型2は、冷却部として冷却用配管5をさらに備えている。冷却用配管5を設けるのに対して、溝間の壁を十分に厚くすることが可能となるため、成形型2を冷却するように成形型2における渦巻き状の部分51に対応する渦巻き状溝13aの近傍に冷却用配管5を設置する。
【0068】
ここでは、成形型2における渦巻き状の部分51に対応する渦巻き状溝13aの近傍に設置された成形型2を冷却する冷却用配管5をさらに備えているので、成形型2の熱負荷を従来より効果的に低減し、成形型2の寿命を延ばすことができる。
【0069】
(9)
しかも、本実施形態の成形型2は、渦巻き状の部分51、および渦巻き状の部分51の根元側に形成された板状の鏡板52を有するスクロール部材50を成形するための成形型である。この成形型2は、成形型2の主要部分(すなわち、可動型11と固定型12)と、渦巻き用押出ピン3と、鏡板用押出ピン4とを備えている。渦巻き用押出ピン3は、渦巻き状の部分51の先端を押す。鏡板用押出ピン4は、鏡板52の表面を押す。
【0070】
ここでは、成形型2と、渦巻き用押出ピン3と、鏡板用押出ピン4とを備えているので、スクロール部材50の渦巻き状の部分51が充填不良のときでも、成形品を確実に成形型2から押し出すことが可能であり、スクロール部材50の取り出し不良をなくし、成形型2への過大な熱負荷を防止するため、成形型2の寿命を延ばすことが出来る。また、設備稼働率が向上する。
【0071】
(10)
しかも、本実施形態の成形型2は、渦巻き状の部分51および渦巻き状の部分51の根元側に形成された板状の鏡板52を有するスクロール部材50を成形するための成形型であって、渦巻き状の部分51の先端を押す渦巻き用押出しピン3を貫通孔15の埋め栓として使用し、かつ鏡板52の表面を押す鏡板用押出しピン4を備えている。渦巻き部先端の押出しピン3を埋め栓とするため、空気抜き用の通路としてのみ使用する。また、スクロール部材50の押出しについては、鏡板用押出しピン4を使用する。
【0072】
このため渦巻き先端部押出しピン3の強度を考慮する必要が無くなり、従来の押出しピンと比較し、より小さなピンを使用することが可能となる。そのため、スクロール部材50用の溝幅をより狭くする事が可能となり、成形型2の強度が向上し、寿命を延ばすことが可能となる。この場合、空気抜きの通路とするため、埋め栓でなくても、押出しの力がかからないように、押出しタイミングを遅らせるだけでもよい。また、鏡板用押出しピン4を備えているため、スクロール部材50の渦巻き状の部分51が充填不良のときでも、成形品を確実に成形型2から押し出すことが可能であり、スクロール部材50の取り出し不良をなくし、成形型2への過大な熱負荷を防止するため、成形型2の寿命を延ばすことが出来る。
【0073】
(11)
しかも、本実施形態の成形型2は、冷却用配管5をさらに備えている。冷却用配管5を設けるのに対して、溝間の壁を十分に厚くすることが可能となるため、成形型2を冷却するように成形型2における渦巻き状の部分51に対応する溝13aの近傍に冷却用配管5を設置する。
【0074】
ここでは、成形型2における渦巻き状の部分51に対応する溝13aの近傍に設置された成形型2を冷却する冷却用配管5をさらに備えているので、成形型2の熱負荷を従来より効果的に低減し、成形型2の寿命を延ばすことができる。
【0075】
<実施形態の変形例>
(A)
上記の実施形態では、成形型2を冷却する冷却部の一例として、冷却水を連続的に供給する冷却用配管5を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の冷却手段を種々採用することが可能である。例えば、水以外の種々の液冷媒やガス冷媒を供給する配管、またはペルチェ素子等の電気的に冷却する素子等を採用することも可能である。
【0076】
(B)
上記の実施形態では、押出しピンおよび埋栓に関し、ピンと記載しているが、これらのピンは円柱形状でなくても良い。また先端形状についても、平坦でなくてもよい。押出しまたは埋栓用のブロック、ブレード等の変則的な押出し形状を使用することにより、成形品の成形後の加工がより容易となるような溝形状を形成する事が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、渦巻き状の部分を有するスクロール部材用成形型に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 スクロール部材用成形装置(成形装置)
2 スクロール部材用成形型(成形型)
3 渦巻き用押出ピン
4 鏡板用押出ピン
5 冷却用配管
6 ビレット充填機構
7 押出ピン機構
8 可動型ステージ
11 可動型
12 固定型
13 キャビティ
13a 渦巻き状溝
13b 平板状溝
13c 当接部分用溝
15 貫通孔
16 貫通孔
17 注水穴
18 壁
21 内管
22 外管
50 スクロール部材
51 渦巻き状の部分
51a 先端
52 鏡板
53 ボス
54 ランナー
55 当接部分
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2002−219553号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻き状の部分(51)を有するスクロール部材(50)を成形するための成形型(2)であって、
前記渦巻き状の部分(51)の先端を押す渦巻き用押出ピン(3)が当接する前記渦巻き状の部分(51)における当接部分(55)に対応する溝(13c)の幅は、前記渦巻き状の部分(51)における前記当接部分(55)以外の部分に対応する溝(13a)の幅よりも大きい、
スクロール部材用成形型(2)。
【請求項2】
前記渦巻き状の部分(51)における前記当接部分(55)以外の部分に対応する溝(13a)の幅は、前記スクロール部材(50)の完成品における前記渦巻き状の部分(51)の肉厚に実質的に等しい、
請求項1に記載のスクロール部材用成形型(2)。
【請求項3】
前記スクロール部材用成形型(2)における前記渦巻き状の部分(51)に対応する溝(13a)の近傍に設置された前記スクロール部材用成形型(2)を冷却する冷却部(5)をさらに備えている、請求項1に記載のスクロール部材成形型(2)。
【請求項4】
渦巻き状の部分(51)、および前記渦巻き状の部分(51)の根元側に形成された板状の鏡板(52)を有するスクロール部材(50)を成形するためのスクロール部材成形型(2)であって、
前記渦巻き状の部分(51)の先端を押す渦巻き用押出ピン(3)と、
前記鏡板(52)の表面を押す鏡板用押出ピン(4)と
を備えているスクロール部材成形型(1)。
【請求項5】
前記スクロール部材用成形型(2)における前記渦巻き状の部分(51)に対応する溝(13a)の近傍に設置された前記スクロール部材用成形型(2)を冷却する冷却部(5)をさらに備えている、
請求項4に記載のスクロール部材成形型(2)。
【請求項6】
渦巻き状の部分(51)を有するスクロール部材(50)を成形するための成形型(2)であって、前記渦巻き状の部分(51)の先端を押す渦巻き用押出ピン(3)を貫通穴(15)の埋め栓として使用し、かつ前記鏡板(52)の表面を押す鏡板用押出ピン(4)とを備えているスクロール部材成形型(2)。
【請求項7】
前記スクロール部材用成形型(2)における前記渦巻き状の部分(51)に対応する溝(13a)の近傍に設置された前記スクロール部材用成形型(2)を冷却する冷却部(5)をさらに備えている、
請求項6に記載のスクロール部材成形型(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−58423(P2011−58423A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209055(P2009−209055)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.エアロラップ
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(000125842)虹技株式会社 (26)
【Fターム(参考)】