説明

スケジュール情報変換装置、スケジュール情報変換方法

【課題】異なるプロジェクト管理手法により管理されたスケジュールを、比較可能に表現する。
【解決手段】スケジュール情報変換装置が、プロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに対して割り当てられた割当期間と、タスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されているCCPMスケジュール情報記憶部と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、タスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶されるWFスケジュール情報記憶部と、CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されているCCPMスケジュール情報に基づいて、WFスケジュール情報を生成し、WFスケジュール情報記憶部に記憶させるスケジュール情報変換部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクトの進捗を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生産活動における進捗を管理するプロジェクト管理手法として、CCPM(Critical Chain Project Management)と呼ばれる手法がある。従来型(ウォーターフォール開発)の管理では、タスクの割当期間として、予想外のことが起こっても対応できるよう、9割方終わるであろう期間を設定するのに対し、CCPMでは、チャレンジ見積もりとして、タスクが終わるかどうか五分五分の割当期間を設定する。チャレンジ見積もりを行うことで短くなった期間分をバッファとして、プロジェクトの後ろで集中管理するという方法をCCPMでは用いている。図13は、同様のタスクT1、T2、T3について、CCPMのプロジェクト管理手法による線表と、ウォーターフォール型のプロジェクト管理手法による線表との例を示す図である。図の(a)に示すように、CCPMの線表ではタスクT1、T2、T3の後にバッファが設けられることに対し、(b)に示すウォーターフォール型の線表ではタスクT1、T2、T3の期間にバッファが含まれる。このため、ウォーターフォール型の線表における各タスクの期間はCCPMの線表に比べて長くなっている。非特許文献1には、CCPMによるプロジェクト管理手法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】西原隆著、栗山潤著、「TOC/CCPM標準ハンドブック クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント入門」、株式会社秀和システム、2010年7月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば複数のプロジェクトを抱える組織が、ウォーターフォール型の線表により管理しているプロジェクトと、CCPMの線表により管理しているプロジェクトとを抱えている場合がある。この場合、ウォーターフォール型とCCPMとで進捗管理の方法と進捗度合を表す粒度が異なるため、双方のプロジェクトの相対的なスケジュールを把握することが困難であった。そこで、このように異なるプロジェクト管理手法により管理された線表を、比較可能に表現する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、異なるプロジェクト管理手法により管理されたスケジュールを、比較可能に表現するスケジュール情報変換装置、スケジュール情報変換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、管理対象であるプロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに対して割り当てられた割当期間と、タスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されているCCPMスケジュール情報記憶部と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、タスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶されるWFスケジュール情報記憶部と、CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されているCCPMスケジュール情報に基づいて、WFスケジュール情報を生成し、WFスケジュール情報記憶部に記憶させるスケジュール情報変換部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、スケジュール情報変換部が、CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されているCCPMスケジュール情報に含まれるバッファ期間を、CCPMスケジュール情報に含まれるタスク毎に対応付けられた複数の割当期間の比に応じてタスクに分配した期間を、WFスケジュール情報におけるタスク毎の割当期間として算出し、WFスケジュール情報に含まれるタスク毎の割当期間に対する残存期間の比に応じて、WFスケジュール情報の進捗率を算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、スケジュール情報変換部が、現在日付がCCPMスケジュール情報に含まれるタスクに対応する割当期間内であれば、割当期間に進捗率を乗じた値を、タスクの進捗点として算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、スケジュール情報変換部が、現在日付がCCPMスケジュール情報に含まれるタスクに対応する割当期間以降であってWFスケジュール情報に含まれる割当期間内であれば、WFスケジュール情報に含まれる割当期間の開始日から現在日付までの期間に進捗率を乗じた値を、タスクの進捗点として算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、WFスケジュール情報記憶部に記憶されているWFスケジュール情報に基づいて、タスク毎の割当期間に対応する進捗率に基づく進捗点を図示したグラフである線表を生成する線表生成部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、管理対象であるプロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに対して割り当てられた割当期間と、タスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されているCCPMスケジュール情報記憶部と、プロジェクトのタスク毎に、タスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、タスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶されるWFスケジュール情報記憶部と、を備えたスケジュール情報変換装置が、CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されているCCPMスケジュール情報に基づいて、WFスケジュール情報を生成するステップと、生成したWFスケジュール情報をWFスケジュール情報記憶部に記憶させるステップと、を備えることを特徴とするスケジュール情報変換方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本技術は、CCPMの線表からウォーターフォール型の線表を作成し、日数で管理されるCCPMと進捗率で管理されるウォーターフォールの、進捗度合の粒度を合わせる技術を提供することで、CCPM線表とウォーターフォール型線表においてイナズマ線を基準に、進捗率の比較を可能とする。これにより、チームごとに管理方法が異なる組織でも、組織全体の進捗状況を照らし合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるスケジュール情報変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるCCPMスケジュール情報のデータ例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるCCPMスケジュール情報に基づいて生成されるCCPM線表の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるWFスケジュール情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるWFスケジュール情報に基づいて生成されるWF線表の例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による進捗報告のデータ例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による進捗点の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による進捗点の例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による進捗点の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によるWF線表生成部が生成するWF線表の例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態によるスケジュール情報変換装置の動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態によるCCPM線表と、WF線表との例を示す図である。
【図13】CCPM線表と、WF線表との例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるスケジュール情報変換装置100の構成を示すブロック図である。スケジュール情報変換装置100は、CCPMスケジュール情報記憶部110と、WF(ウォーターフォール)スケジュール情報記憶部120と、入力部130と、スケジュール情報変換部140と、CCPM線表生成部150と、WF線表生成部160と、表示部170とを備えている。
【0015】
CCPMスケジュール情報記憶部110には、管理対象であるプロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、そのプロジェクトのタスク毎に、そのタスクに対して割り当てられた割当期間と、そのタスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されている。ここでは、割当期間、残存期間等の期間の単位を日によって表すこととするが、時、月等の単位によって表すこともできる。図2は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されているCCPMスケジュール情報のデータ例を示す図である。CCPMスケジュール情報には、タスクを識別するタスクID(Identification)毎に、タスク名と、割当期間と、開始日と、終了日と、残日数と、先行タスクと、リソースと、クリティカルチェーンとの情報が対応付けられて記憶される。
【0016】
CCPMスケジュール情報は、プロジェクトが開始される前にプロジェクト管理者等によって生成されてスケジュール情報変換装置100に入力され、スケジュール情報変換装置100に記憶される。CCPMスケジュール情報に含まれるタスク名は、対応するタスクの内容等を示す名称である。割当期間は、対応するタスクに割り当てられた期間である。割当期間の単位は日である。以下、CCPMスケジュール情報に含まれる割当期間をCCPM割当期間といい、WFスケジュール情報に含まれる割当期間をWF割当期間という。開始日は、対応するタスクが開始される予定日である。タスクに対応する作業が開始された後には、開始日には対応するタスクが開始された日が対応付けられる。終了日は、対応するタスクが修了する予定日である。タスクに対応する作業が終了した際には、終了日には対応するタスクが終了した日が対応付けられる。
【0017】
残日数は、対応するタスクが終了するまでの期間である。CCPMにおいては、作業者がタスクに対応する作業を開始すると、作業の進捗状況が残日数として報告され、スケジュール情報変換装置100に入力される。CCPMでは、プロジェクト管理者はこのように進捗状況を残日数によって把握する。先行タスクは、対応するタスクに先行するタスクを識別するタスクIDであり、先行タスクが完了した後にそのタスクが開始されることを示す。リソースは、対応するタスクに対応する作業を行う作業員を識別する情報である。クリティカルチェーンは、対応するタスクがクリティカルチェーンであるか否かを示す情報であり、ここでは、「○」であれば対応するタスクがクリティカルチェーンであることを示し、空白であれば対応するタスクがクリティカルチェーンでないことを示す。
【0018】
ここでは、バッファ期間についてもタスクとして対応付けて記憶している。例えば、タスクID「3」には「合流バッファ1」が対応付けられており、タスクID「3」には「合流バッファ1」が対応付けられており、タスクID「9」には「合流バッファ2」が対応付けられており、タスクID「10」には「プロジェクトバッファ」が対応付けられている。合流バッファとは、クリティカルチェーン以外からなるタスク群に対して、クリティカルチェーンを保護するためにタスク群の後ろに設けられるバッファ期間のことである。プロジェクトバッファは、プロジェクト全体に対して設けられたバッファ期間であり、クリティカルチェーンであるタスクに対するバッファ期間である。本実施形態では、このようにバッファ期間をタスクとしてCCPMスケジュール情報に記憶する例を説明するが、バッファ期間についてはタスクとは別に記憶することもできる。図3は、このようなCCPMスケジュール情報に基づいて生成されるCCPM線表の例を示す図である。図における符号aは合流バッファを示し、図における符号bはプロジェクトバッファを示している。
【0019】
WFスケジュール情報記憶部120は、プロジェクトのタスク毎に、そのタスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、そのタスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶される。WFスケジュール情報は、ウォーターフォールモデルに基づくスケジュール情報である。図4は、WFスケジュール情報記憶部120に記憶されるWFスケジュール情報のデータ例を示す図である。WFスケジュール情報には、タスクを識別するタスクID(Identification)毎に、タスク名と、割当期間と、開始日と、終了日と、残日数と、先行タスクと、リソースと、進捗率との情報が対応付けられて記憶される。
【0020】
WFスケジュール情報は、CCPMスケジュール情報がCCPMスケジュール情報記憶部110に記憶された段階で、基スケジュール情報としてのWFスケジュール情報がスケジュール情報変換部140によって生成され、WFスケジュール情報記憶部120に記憶される。CCPMスケジュール情報に含まれる情報と同名の項目については、CCPMスケジュール情報と同様である。進捗率は、対応するタスクの全体量に対して終了したタスクの量の比率を示す情報である。進捗率の単位は%である。一般的に、WFにおいては、作業の進捗状況は進捗率として表される。進捗率は、例えばプログラミングのタスクであれば、完了時の予定コード行数に対する作成したコード行数の比率で表され、テストのタスクであれば、定められたテスト項目に対する完了したテスト項目の項目数で表される。WFでは、プロジェクト管理者はこのように進捗状況を進捗率によって把握する。図5は、このようなWFスケジュール情報に基づいて生成されるWF線表の例を示す図である。
【0021】
入力部130は、キーボードやマウス等の入力デバイスを備えており、作業員やプロジェクト管理者からのデータ入力を受け付ける。例えば、図6は、作業員またはプロジェクト管理者から入力部130に入力されるCCPMに基づく進捗報告のデータ例を示す図である。進捗報告には、タスク名と、リソース名と、ステータスと、着手日と、報告日と、承認日と、残日数との情報が含まれる。タスク名は、作業を行ったタスクを示す。リソース名は、作業を行った作業員を識別する情報である。ステータスは、作業員によって入力された進捗報告がプロジェクト管理者によって承認されたか否かを示す情報であり、例えば承認されていなければ「未承認」の情報が対応付けられ、承認されていれば「承認済み」の情報が対応付けられる。着手日は、対応する作業が着手された日を示す。報告日は、進捗報告が入力された日を示す。承認日は、進捗報告がプロジェクト管理者によって承認された日を示す。残日数は、対応するタスクの残日数の見込みを示す。
【0022】
スケジュール情報変換部140は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されているCCPMスケジュール情報に基づいて、WFスケジュール情報を生成し、WFスケジュール情報記憶部120に記憶させる。スケジュール情報変換部140は、期間算出部141と、進捗率算出部142とを備えている。
【0023】
期間算出部141は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されているCCPMスケジュール情報に含まれるバッファ期間を、そのCCPMスケジュール情報に含まれるタスク毎に対応付けられた複数のCCPM割当期間の比に応じてタスクに分配した期間を、WFスケジュール情報におけるタスク毎のWF割当期間として算出する。例えば、クリティカルチェーンであるタスクに対しては、そのタスクの期間をクリティカルチェーンであるタスクの合計期間で割った値に、プロジェクトバッファ期間を乗じた期間((タスク期間/クリティカルチェーン合計期間)×プロジェクトバッファ期間)が加算される。例えば、図2の例においてタスクT3に分配されるプロジェクトバッファ期間は、(4/12)×6=2(日)である。このように、期間算出部141は、CCPMスケジュール情報におけるタスクT3のCCPM割当期間(4日)に分配されるプロジェクトバッファ期間(2日)を加算した値(6日)を、WFスケジュール情報におけるタスクT3のWF割当期間として算出する。
【0024】
クリティカルチェーンでないタスクに対しては、そのタスクの期間を、そのタスクに後続する合流バッファまでに先行または後続する一連のタスクの合計期間で割った値に、合流バッファ期間を乗じた期間((タスク期間/合流バッファ前のタスクの合計期間)×合流バッファ期間)が加算される。例えば、図2の例においてタスクT2に分配される合流バッファ期間は、(2/4)×2=1(日)である。このように、期間算出部141は、CCPMスケジュール情報におけるタスクT2のCCPM割当期間(2日)に分配される合流バッファ期間(1日)を加算した値(3日)を、WFスケジュール情報におけるタスクT2のWF割当期間として算出する。期間算出部141は、このように算出したWF割当期間を、WFスケジュール情報記憶部120に記憶させる。また、期間算出部141は、プロジェクトの計画変更が行われた場合、変更されたCCPMスケジュール情報に基づいてWFスケジュール情報を更新する。
【0025】
進捗率算出部142は、WFスケジュール情報に含まれるタスク毎のWF割当期間に対する残日数の比に応じて、WFスケジュール情報の進捗率を算出する。すなわち、進捗率算出部142は、残日数をWFスケジュール情報に含まれるタスク毎のWF割当期間で割った値を1から引いた値に100を乗じた値((残日数/WF割当期間)×100)を、進捗率として算出する。進捗率がマイナスになる場合は、進捗率をゼロとする。例えば、図2と図6との例においてタスクT3の進捗率は、(2/6)×100=33.3である。進捗率算出部142は、このように算出した進捗率を、WFスケジュール情報記憶部120に記憶させる。
【0026】
また、進捗率算出部142は、CCPMスケジュール情報におけるタスクの進捗点に対応するWFスケジュール情報におけるタスクの進捗点を算出する。進捗点とは、タスクの割当期間において、タスクの開始日を0(%)とし、タスクの終了日を100(%)とした場合のタスクの進捗を示す値である。上述のように、線表によりプロジェクトの進捗を管理する際、ウォーターフォール型の線表では、作業者によって報告されるタスクに対する進捗率により管理することに対し、CCPMの線表では、作業者によって報告されるタスクが完了するまでの残日数により管理する。例えば、WFにおいては、進捗は上述のような進捗率で表されるが、CCPMにおいては、プログラミングのタスクであれば、作成したコード行数自体は完了時の予定コード行数に対して9割完了しているとしても、残り1割の作業が困難な作業である場合、完了した作業に対して多くの残日数が進捗として報告される場合がある。このように、ウォーターフォール型の線表とCCPMの線表とでは進捗の表現が異なる。そこで、進捗率算出部142は、CCPMスケジュール情報における進捗が、WFにおける進捗として適切であるような進捗点を算出する。
【0027】
進捗率算出部142は、自身の計時機能から取得した現在日付がCCPMスケジュール情報に含まれるタスクに対応するCCPM割当期間内であれば、そのCCPM割当期間に進捗率を乗じた値を、そのタスクのWFスケジュール情報における進捗点として算出する。図7は、このような進捗点の例を示す図である。(a)のCCPM線表に示すように、ここでは、現在日付が9月6日であり、CCPM線表におけるタスクT1のCCPM割当期間が2(日)であり、残日数が1(日)であるとする。符号a1は現在日付のイナズマ線を示し、符号a3は進捗点を示し、符号a2はタスクの開始日から進捗点にまで延びる線である。ここで、(b)に示すWF線表において、WF割当期間のうち、CCPM割当期間と同一の期間をWFタスク期間とし、バッファとして分配された期間をWFバッファ期間とする。このとき、符号b1に示す現在日付のイナズマ線は、タスクT1のWF割当期間内にある。ここで、タスクT1の進捗率は((残日数/WF割当期間)×100)であり、1/4=25(%)である。このとき、進捗率算出部142は、CCPM割当期間(=WFタスク期間)である2(日間)に進捗率(25%)を乗じた値を、進捗点b3として算出する。進捗率算出部142は、算出した進捗点を、自身の記憶領域に記憶させる。
【0028】
また、進捗率算出部142は、現在日付がCCPMスケジュール情報に含まれるタスクに対応するCCPM割当期間以降であってWFスケジュール情報に含まれるWF割当期間内であれば、WFスケジュール情報に含まれるWF割当期間の開始日から現在日付までの期間に進捗率を乗じた値を、そのタスクの進捗点として算出する。図8は、このような進捗点の例を示す図である。(a)のCCPM線表に示すように、ここでは、現在日付が9月8日であり、CCPM線表におけるタスクT1のCCPM割当期間が2(日)であり、残日数が1(日)であるとする。このとき、(b)に示すWF線表において、符号b1に示す現在日付のイナズマ線は、タスクT1のCCPM割当期間(=WFタスク期間)以降であって、WF割当期間内、すなわちWFバッファ期間内にある。タスクT1の進捗率は25(%)であるから、進捗率算出部142は、WF割当期間の開始日である9月5日から現在日付である9月8日までの期間に進捗率である25%を乗じた値を、そのタスクの進捗点b3として算出する。
【0029】
また、進捗率算出部142は、現在日付がWFスケジュール情報に含まれるタスクに対応するWF割当期間以降であれば、WFスケジュール情報に含まれるWF割当期間に進捗率を乗じた値を、そのタスクの進捗点として算出する。図9は、このような進捗点の例を示す図である。(a)のCCPM線表に示すように、ここでは、現在日付が9月12日であり、CCPM線表におけるタスクT1のCCPM割当期間が2(日)であり、残日数が1(日)であるとする。このとき、(b)に示すWF線表において、符号b1に示す現在日付のイナズマ線は、タスクT1のWF割当期間以降にある。タスクT1の進捗率は25(%)であるから、進捗率算出部142は、WF割当期間である9月5日から9月8日までの4日の期間に進捗率である25%を乗じた値を、そのタスクの進捗点b3として算出する。
【0030】
CCPM線表生成部150は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されているCCPMスケジュール情報に基づいて、図3に示したようなCCPM線表を生成し、表示部170に表示させる。
WF線表生成部160は、WFスケジュール情報記憶部120に記憶されているWFスケジュール情報に基づいて、タスク毎の割当期間に対応する進捗率に基づく進捗点を図示したグラフである、図5に示したようなWF線表を生成する。ここで、WF線表生成部160は、各タスクの進捗点が現在日付からどの程度離れているかを示すイナズマ線を引くことにより、当初計画に応じた進捗を把握しやすくする。図10は、WF線表生成部160が生成するWF線表の例を示す図である。(a)は、図7に対応するWF線表であり、(b)は、図8に対応するWF線表であり、(c)は、図9に対応するWF線表である。
表示部170は、CCPM線表、WF線表等の各種情報を表示するディスプレイである。
【0031】
次に、図面を参照して、本実施形態によるスケジュール情報変換装置100の動作例を説明する。図11は、スケジュール情報変換装置100の動作例を示すフローチャートである。
スケジュール情報変換装置100は、プロジェクト管理者からの操作に応じて、プロジェクトを生成する(ステップS1)。ここで、入力部130は、CCPMにおけるタスク毎のCCPM割当期間の入力を受け付け(ステップS2)、プロジェクトバッファや合流バッファの入力を受け付けて(ステップS3)、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶させる。CCPM線表生成部150は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されたCCPMスケジュール情報に基づいてCCPM線表を生成し、表示部170に表示させるとともに、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶させる(ステップS4)。
【0032】
CCPMスケジュール情報記憶部110にCCPMスケジュール情報が記憶されると、スケジュール情報変換部140の期間算出部141は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されたCCPMスケジュール情報を読み出し、読み出したCCPMスケジュール情報に基づいてWFスケジュール情報を生成し、WFスケジュール情報記憶部120に記憶させる(ステップS5)。プロジェクトが開始すると、スケジュール情報変換装置100の入力部130は、プロジェクト作業者からの進捗報告の入力を受け付け、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶させる(ステップS6)。進捗報告には、残日数が含まれる。
【0033】
スケジュール情報変換部140の進捗率算出部142は、CCPMスケジュール情報記憶部110に記憶されたCCPMスケジュール情報と、WFスケジュール情報記憶部120に記憶されたWFスケジュール情報とに基づいて、進捗率を算出する(ステップS8)。進捗率算出部142は、現在日付がCCPM線表のCCPM割当期間内であるか否かを判定する(ステップS9)。進捗率算出部142は、現在日付がCCPM線表のCCPM割当期間内であると判定すると(ステップS9:YES)、WFタスク期間と進捗率とを乗じた値を、進捗点として算出する。WF線表生成部160は、WFスケジュール情報記憶部120に記憶されているWFスケジュール情報と、進捗率算出部142によって算出された進捗点に基づいてWF線表を表示し(ステップS15)、処理を終了する。ステップS9において、進捗率算出部142が、現在日付がCCPM線表のCCPM割当期間内でないと判定すると(ステップS9:NO)、現在日付がWFバッファ期間内であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0034】
進捗率算出部142が、現在日付がWFバッファ期間内であると判定すると(ステップS11:YES)、(現在日付−WFタスク開始日)×進捗率の値を進捗点として算出し(ステップS12)、ステップS15に進む。進捗率算出部142は、現在日付がWFバッファ期間内でないと判定すると(ステップS11:NO)、現在日付がWF割当期間以降であると判定し(ステップS13)、(WF割当期間)×進捗率の値を進捗点として算出し(ステップS14)、ステップS15に進む。
図12のaは、このように生成されるCCPM線表の例を示し、図12のbは、aに対応してこのように生成されるWF線表の例を示している。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、スケジュール情報変換装置100が、CCPMスケジュール情報に基づいてWFスケジュール情報を生成し、進捗率に応じたWF線表を生成して出力することができる。このため、例えば複数のプロジェクトを抱える組織が、ウォーターフォール型の線表により管理しているプロジェクトと、CCPMの線表により管理しているプロジェクトとを抱えている場合、双方のプロジェクトの相対的なスケジュール、進捗を把握することが可能となる。
【0036】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりスケジュール情報の変換を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0037】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
100 スケジュール情報変換装置
110 CCPMスケジュール情報記憶部
120 WFスケジュール情報記憶部
130 入力部
140 スケジュール情報変換部
141 スケジュール情報変換部
141 期間算出部
142 進捗率算出部
150 CCPM線表生成部
160 WF線表生成部
170 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象であるプロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、当該プロジェクトのタスク毎に、当該タスクに対して割り当てられた割当期間と、当該タスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されているCCPMスケジュール情報記憶部と、
前記プロジェクトの前記タスク毎に、当該タスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、当該タスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶されるWFスケジュール情報記憶部と、
前記CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されている前記CCPMスケジュール情報に基づいて、前記WFスケジュール情報を生成し、前記WFスケジュール情報記憶部に記憶させるスケジュール情報変換部と、
を備えることを特徴とするスケジュール情報変換装置。
【請求項2】
前記スケジュール情報変換部は、前記CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されている前記CCPMスケジュール情報に含まれるバッファ期間を、当該CCPMスケジュール情報に含まれる前記タスク毎に対応付けられた複数の割当期間の比に応じて当該タスクに分配した期間を、前記WFスケジュール情報におけるタスク毎の割当期間として算出し、前記WFスケジュール情報に含まれるタスク毎の前記割当期間に対する前記残存期間の比に応じて、前記WFスケジュール情報の進捗率を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のスケジュール情報変換装置。
【請求項3】
前記スケジュール情報変換部は、現在日付が前記CCPMスケジュール情報に含まれる前記タスクに対応する前記割当期間内であれば、当該割当期間に前記進捗率を乗じた値を、当該タスクの進捗点として算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のスケジュール情報変換装置。
【請求項4】
前記スケジュール情報変換部は、現在日付が前記CCPMスケジュール情報に含まれる前記タスクに対応する前記割当期間以降であって前記WFスケジュール情報に含まれる割当期間内であれば、当該WFスケジュール情報に含まれる割当期間の開始日から現在日付までの期間に前記進捗率を乗じた値を、当該タスクの進捗点として算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のスケジュール情報変換装置。
【請求項5】
前記WFスケジュール情報記憶部に記憶されている前記WFスケジュール情報に基づいて、前記タスク毎の前記割当期間に対応する前記進捗率に基づく進捗点を図示したグラフである線表を生成する線表生成部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスケジュール情報変換装置。
【請求項6】
管理対象であるプロジェクトに対して割り当てられたバッファ期間と、当該プロジェクトのタスク毎に、当該タスクに対して割り当てられた割当期間と、当該タスクが完了するまでの残存期間とが対応付けられたCCPMスケジュール情報が記憶されているCCPMスケジュール情報記憶部と、前記プロジェクトの前記タスク毎に、当該タスクに割り当てられたバッファ期間が含まれる割当期間と、当該タスクの進捗率とが対応付けられたWFスケジュール情報が記憶されるWFスケジュール情報記憶部と、を備えたスケジュール情報変換装置が、
前記CCPMスケジュール情報記憶部に記憶されている前記CCPMスケジュール情報に基づいて、前記WFスケジュール情報を生成するステップと、
生成した前記WFスケジュール情報を前記WFスケジュール情報記憶部に記憶させるステップと、
を備えることを特徴とするスケジュール情報変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114386(P2013−114386A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258920(P2011−258920)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】