説明

スケジュール表示装置

【課題】スケジュールを構成する図形や文字などを表示部に表示するスケジュール表示装置において、メンテナンスの手間がかからず、大画面であっても機構を単純にできるものを提供する。
【解決手段】所定の複数の枠内の定型に線図により表現される暦と、前記所定の枠とは別の所定の複数の枠内に任意に入力表示可能な不定形の線図と、を少なくとも表示するスケジュール表示装置1であって、前記スケジュール表示装置1の前記不定形の線図を入力表示する枠内の箇所は、分散媒10と前記分散媒10中に浮遊する電気泳動粒子11とが封入され、二次元的に配置されたカプセル5と、前記カプセル5の配置面を被う弾性板7と、前記カプセル5の配置面の両面を挟み、電界を加える第一及び第二の電極6と、前記弾性板7を押圧可能な筆記棒9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュールを構成する図形や文字などを表示部に表示するスケジュール表示装置に関するものであり、特にスケジュール表示装置の表示部に対して文字や図形などを手書き入力が可能なスケジュール表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケジュールを構成する図形や文字などを任意的に手書きで書き込むことができるものとして、黒板や、ホワイトボードなどの表示板がある。例えば黒板からなる表示板の場合は、無地の黒板に日付や実際のスケジュールを記入する欄を設けるために枠と、枠内の暦の日付をペンキなどで描く。そして、スケジュールを記入する欄はチョークで任意の図形や文字などを記入、消去できるようにする。ホワイトボードからなる表示板の場合も同様に、枠や暦の日付は消すことのできないインクなどで描き、スケジュールを記入する欄は水性ペンで任意の図形や文字などを記入、消去できるようにする。
【0003】
黒板やホワイトボードなどは、原則として所定の場所に設置されるため個人的に持ち運びはできない。しかし、近年、液晶パネルなどの素子でコンピュータからの情報を表示する表示部を構成し、表示部の表面に指や専用の筆記棒で圧力を加えることにより、画面上に入力された位置情報を処理して指定の動作を提供する機構(大抵はコンピュータによって処理される)へと伝達、その機構から制御される他の機構の機能を使って、指定の動作をさせる電子手帳やPDA(Personal Digital Assistant)がある。
【0004】
また、これらの電子手帳やPDAは、表示部の表面に筆記棒で圧力を加える際に、文字や図形を描くようにすると、その文字を表示部に表示したり、その文字を活字体に変換して表示されるものもある。
【0005】
上記指定の動作を提供する機構の例として、ペンタブレットやタッチパネル、そして、特許文献1に記載されているような電気泳動粒子と分散媒からなる分散系が封止されたマイクロカプセルによってなり、電界の作用によって電気泳動粒子を移動させ、自身が発光しない受光型いわゆる反射型の電気泳動表示を行う表示部と、この表示部の裏面に強磁性材または常磁性材の磁性層が裏打ちするように添設された2層構造とし、書込みと消去は電界を形成させる共通電極と入力ペン間に印加した電位差によって行うものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−047266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
黒板やホワイトボードでは、通常暦の日付は一月分の日数しか描かれておらず、月が替わるごとに、前月までに書き込み済みのスケジュールを一旦全て消す必要があった。その際に黒板消しで黒板をこするとチョークの粉が飛散したり、また、ホワイトボード用イレーサーでホワイトボードをこすると、消しカスが発生する恐れがある。そのために、黒板消しやホワイトボード用イレーサーを定期的に手入れする必要があり、その手間がかかるという問題があった。
【0008】
また、電子手帳やPDAにおいて、表示部の表面に指や専用の筆記棒で圧力を加えることにより、画面上に入力された位置情報を処理して指定の動作を提供する機構は、コンピューターによる処理によって実現されるものである。すなわち、表示部表面のセンサで検知した筆記棒の圧力の軌跡をコンピュータで追跡しながら、追跡した情報に基づいてさらに、表示部の画面に表示させるような処理をコンピュータで行い、処理結果に基づいて表示部の画面に文字などを表示させる。こういった処理は、複雑であり、表示部の画面が大きくなるほど、コンピュータの処理能力が求められコストの増大につながる。そのため、大画面化には不向きである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、スケジュールを構成する図形や文字などを表示部に表示するスケジュール表示装置において、メンテナンスの手間がかからず、大画面であっても機構を単純にできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定の複数の枠内の定型に線図により表現される暦と、前記所定の枠とは別の所定の複数の枠内に任意に入力表示可能な不定形の線図と、を少なくとも表示するスケジュール表示装置であって、前記スケジュール表示装置の前記不定形の線図を入力表示する枠内の箇所は、分散媒と前記分散媒中に浮遊する電気泳動粒子とが封入され、二次元的に配置されたカプセルと、前記カプセルの配置面を被う弾性板と、前記カプセルの配置面の両面を挟み、電界を加える第一及び第二の電極と、前記弾性板を押圧可能な筆記棒と、を有する。
【0011】
好適には、前記第一及び第二の電極の少なくともいずれかの一方の側の電極は、前記不定形の線図を入力表示する枠内の箇所毎に独立に分割されている。
【0012】
さらに好適には、前記表示装置の定型の線図により表現される暦が表示される枠内の箇所は液晶表示素子である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスケジュール表示装置は、メンテナンスの手間がかからず、機構を単純にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るスケジュール表示装置1について図面を参照しながら説明する。
図1は、スケジュール表示装置1の斜視図を示したものであり、スケジュール表示装置1は、例えばキャスター付の2本の支柱(符号なし)で、表示部2の両側面を支える形式をなしている。そして、図示はしていないが、表示部2の下部の裏面には、表示部2の表示を制御する制御部が備えられている。
【0015】
図2は、図1に示したスケジュール表示装置1の表示部2の平面図を示したものである。
図2に示したように、表示部2は、複数の枠を2次元的に並べたものであり、その枠の中には、例えば、日にちを表示する暦表示部3やスケジュール表示部4が割り当てられている。
【0016】
図2に示した表示部2では、横方向に一月分の日にちが記載された複数の暦表示部3の枠が並べられ、各暦表示部3の下には、スケジュール表示部4の枠が並べられている。
暦表示部3に表示される日にちは所定の字体からなっており、暦に変化が無い限り常時同一の表示がされるようになっている。また、スケジュール表示部4の枠は通常は空白になっており、後で説明するように、その枠には任意の不定形な線図を書き込み表示可能となっている。
【0017】
図2に示した表示部2において、暦表示部3には既に2006年1月の日付の1〜31までが既に表示されており、さらに、休日に該当する箇所には枠の上部のラインが強調され、休日であることがわかるようにしている。また、スケジュール表示部4には、いくつかの予定が(元日、仕事始め、七草粥、成人の日、月次報告会)が書き込みにより既に表示されている。なお、各スケジュール表示部4は、暦表示部3の日付毎に対応した独立したモジュールとなっている。
【0018】
図2に示したスケジュール表示部4は、スケジュールを構成する図形や文字などの線図を任意的に手書きで書き込むことができるようになっている。このため、スケジュール表示部4は、電気泳動粒子を分散媒中に浮遊させるカプセルを使用する。
【0019】
図3に、スケジュール表示部4の断面図を示した。
スケジュール表示部4は、そのスケジュール表示部4の表示面の全面にわたって2次元的にカプセル5を配置するようにしている(図3では2次元的に配置されているカプセルのうち一次元の方向に配列されたカプセル5を示している)。そして、2次元的に配置されたカプセル5の配置面は弾性板7で覆われている。
【0020】
また、2次元的に配置されたカプセル5の上下方向に電界を加えるために、上部電極6aと下部電極6bとで、カプセル5の配置面の両側を挟んでいる。なお、図3に示したスケジュール表示部4においては、上部電極6aは二次元的に配置されたカプセル5の全面を覆うように一枚の透明な電極6aからなっているが、下部電極6bは二次元的に配置されたカプセル5のそれぞれに個別に電界を加えることができるように、各カプセル5毎に独立した電極となっている。
【0021】
このことは、表示部2において複数並べられたスケジュール表示部4の下部電極6bが、表示部2に二次元的に並べられた枠内の箇所ごとに独立に分割されていることをも意味する。
【0022】
下部電極6bにおいて、カプセル5のそれぞれに個別に電界を加えるために、各下部電極6bに対しては、配線を通じてコントローラ8が接続される。コントローラ8は、例えば図1に示したスケジュール表示装置1の表示部2の下部の裏面に内蔵し、半導体集積回路により構成されたものとする。
【0023】
また、上部電極6aと下部電極6bとは、配線を通して電源が接続されており、上部電極6aと下部電極6bの間に電界が加わるようにする。なお、図3に示したスケジュール表示部4において、表示面は上部電極6aの面側であり、この面に対して、筆記棒9を接触させるようにする。
【0024】
図3に示したスケジュール表示部4を構成するカプセル5についてさらに説明するため、二次元的に配置されたカプセル5のうち一つについての断面図を図4(a)に示した。カプセル5の内部には分散媒10と帯電した複数個の電気泳動粒子11とが封入されている。なお、表示部2を白黒表示させるためには、分散媒10の色を白色とし、電気泳動粒子11を黒色とする。
【0025】
図4(a)に示したカプセル5の上面には透明な弾性板7と上部電極6aで順に被い、カプセル5の下面には下部電極6bで被われている。ここで、電気泳動粒子11をマイナスに帯電させ、上部電極6aにプラスの電圧、下部電極6bにマイナスの電圧を加えると、電界Eaが発生し、電気泳動粒子11は上部電極6aの側に移動しようとする。しかし、電界Eaの強度が十分でない場合は、電気泳動粒子11は上部電極6a側に移動せず、下部電極6bの側にとどまったままになる。そのため、表示面側の上部電極6aの側から見ると、白色に見える。
【0026】
ところが、図4(a)の状態において、筆記棒9で上部電極6aに力を加えると、図4(b)に示したように弾性板7は薄くなる。そのため、上部電極6aと下部電極6b間の距離が縮まり、これらの電極間の電界Ebは強くなり、Eb>Eaとなる。そうすると、帯電した電気泳動粒子11は上部電極6aの側に移動する。電気泳動粒子11は、黒色に着色されているので、表示面側の上部電極6aの側から見ると、黒色に見える。
【0027】
図4では、スケジュール表示部4を構成する二次元的に配置された複数のカプセル5のうち一つのカプセル5に着目して、表示面の色が変化することについて説明した。しかし、図3において、筆記棒9を滑らすようにカプセル5の上面に覆われた上部電極6aに力を加えていった場合であっても、力を加えられた箇所の表示面を黒色に変化させることができる。
【0028】
このように、表示装置1の表示部2に対して筆記棒9で押圧しながらなぞることで、筆記棒9をなぞった表示部2の痕跡を黒くすることができる。すなわち、図形や文字などをスケジュール表示部4に対して任意的に手書きで書き込むことができるようになる。
【0029】
さらに、筆記棒9は表示装置1と電気的に接続する電線が接続されていない独立したものであるため、筆記の際に、その電線に邪魔されることなく、通常の筆記具を使用するように快適な使用感を得ることができる。また、筆記棒9を表示部2に押圧させてなぞることにより、なぞった箇所の痕跡を黒くすることができるようになっているが、その原理は上記のようにタッチパネルのような電子的な制御を行っていない。そのため、表示部2の機構を単純にすることができる。
【0030】
なお、図2に示した表示部2の暦表示部3は、2006年1月の日付の1〜31日までが既に表示されている。しかし、スケジュール表示装置1の暦表示部3の表示を月が変わるごとに変更できるようにすれば、スケジュール表示装置1を何年にもわたって使用することができる。
【0031】
例えば、暦表示部3に液晶表示素子を用い、スケジュール表示装置1の制御部のメモリーにカレンダーのデータを内蔵させておけば、月が変わるごとに暦表示部3の日付の表示を変化させる制御を行わせることができる。すなわち、暦表示部3の日付を表示するための数字に対応するパターンの液晶電極を形成し、月が変わるごとに液晶電極に加える電圧のかけ方を変化させればよい。
【0032】
さらに休日に該当する箇所の暦表示部3の枠の上部のラインが強調されるように、当該ラインに対応するパターンの液晶電極を形成する。そして、月が変わって、暦表示部3に表示される日付が変わった場合に、休日に当たる日の暦表示部3の枠の上部のラインが強調されるような表示をさせる。
以上の方法は通常の液晶表示素子の表示において使用する方法を適用することができる。
【0033】
なお、図3に示したように、下部電極6bは二次元的に配置されたカプセル5のそれぞれに個別に電界を加えることができるように、各カプセル5毎に独立した電極となっている。そのため、上記のように文字や図形をスケジュール表示部4に書き込んだ箇所のうち、特定の箇所のみを消去したい場合は、その箇所のみの下部電極6bに加える電圧を変化させることで、いったん上部電極6aの側に移動した電気泳動粒子11を再び下部電極6bの側に移動させることができる。
【0034】
こうすることにより、一旦書き込みが行われたスケジュール表示部4の箇所の図形や文字などを消去することができる。かかる消去は、黒板やホワイトボードなどのように、黒板消しやホワイトボード用イレーサーを使用しないので、これらの手入れが不要であり、メンテナンスの手間がかからない。なお、特定箇所のみの下部電極6bに加える電圧を変化させる制御は、コントローラ8が行う。スケジュール表示部4に一旦書き込みが行われた図形や文字を消去することができるようにすることで、誤書き込みや、後のスケジュール変更があった場合に、再度の書き込みができるようになる。
【0035】
また、上記のように、暦表示部3の日付の表示を変化させた場合に、スケジュール表示部4に書き込まれた図形や文字を全て消去する制御を行うこともできる。さらに、コントローラ8において、上部電極6aと下部電極6bの間に加わる電圧の極性を反転させる制御を行うことで、スケジュール表示部4の白黒表示を黒白表示に反転表示させることもできる。
【0036】
スケジュール表示部4に書き込まれた図形や文字を全て消去する制御や、スケジュール表示部4の反転表示をさせる場合は、図5に示したように下部電極6bは、各日ごとにスケジュール表示部4の枠に対応した分割電極となるようにすることが望ましい。そのようにすることで、スケジュール表示部4における書き込みを、日ごとに消去させることができるようになる。
【0037】
上述した説明では、暦表示部3の日付の表示は、月が変わるごとに変化するようになっていた。しかし、暦表示部3の日付の表示は、日が変わるごとに、又は、週が変わるごとに変化させることもできる。
【0038】
そこで、図2に示したスケジュール表示装置1における表示部2の暦表示部3の表示を、日が変わるごとに、又は、週が変わるごとに変化させるようにした場合は、表示が変化するたびに、日の文字の位置が左にシフトしていくようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るスケジュール表示装置の斜視図である。
【図2】本発明に係るスケジュール表示装置の表示部の平面図である。
【図3】本発明に係るスケジュール表示装置のスケジュール表示部の断面図である。
【図4】本発明に係るスケジュール表示装置のスケジュール表示部を構成する一つのカプセルについての断面図である。
【図5】本発明に係るスケジュール表示装置のスケジュール表示部の下部電極のパターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…スケジュール表示装置, 2…表示部, 3…暦表示部, 4…スケジュール表示部, 5…カプセル, 6…電極, 7…弾性板, 8…コントローラ, 9…筆記棒, 10…分散媒, 11…電気泳動粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の複数の枠内に定型の線図により表現される暦と、
前記所定の枠とは別の所定の複数の枠内に任意に入力表示可能な不定形の線図と、
を少なくとも表示するスケジュール表示装置であって、
前記スケジュール表示装置の前記不定形の線図を入力表示する枠内の箇所は、
分散媒と前記分散媒中に浮遊する電気泳動粒子とが封入され、二次元的に配置されたカプセルと、
前記カプセルの配置面を被う弾性板と、
前記カプセルの配置面の両面を挟み、電界を加える第一及び第二の電極と、
前記弾性板を押圧可能な筆記棒と、
を有する、スケジュール表示装置。
【請求項2】
前記第一及び第二の電極の少なくともいずれかの一方の側の電極は、前記不定形の線図を入力表示する枠内の箇所毎に独立に分割されている請求項1記載のスケジュール表示装置。
【請求項3】
前記表示装置の定型の線図により表現される暦が表示される枠内の箇所は液晶表示素子である請求項1又は請求項2に記載のスケジュール表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−298730(P2007−298730A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126340(P2006−126340)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】