説明

スケール用の保持具

スケール(2)用の保持具は、担持体(4)と、スケール(2)に沿ってスケール(2)の両側に配置された複数の固定要素(10)とから成る。担持体(4)と固定要素(10)の間に、それぞれ撓み継手(20)が配置されており、この撓み継手が、固定要素(10)を、したがってスケール(2)を、測定方向Xに変位可能に担持体(4)に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるスケール用の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の長さ測定装置のスケール用の保持具は、特許文献1に記載されている。この保持具は担持体から成り、その担持体には、測定方向に弾性的に変位可能な複数の支持部材区間が設けられている。この支持部材区間に、スケールがその長手側面の1つで固定されている。固定は、接着、パテ止め、またはねじ止めによって行われる。
【0003】
この措置は、温度変化によって生じる線膨張が担持体とスケールとで異なる場合に、長手方向の力がスケールの1つの面にかかり、スケールの歪みを引き起こすという欠点を有している。
【特許文献1】独国特許公開第3606754号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、スケールの歪みが回避される、スケール用の保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0006】
本発明による保持具は、非対称の長手方向の力が回避されるという利点を有している。スケールとその担持体の線熱膨張の差ならびにその固定の種類および方法から生じる横方向の力によるスケールの変形は、少なくともほぼ回避される。撓み継手を使用することにより、摩擦の影響が回避され、かつ温度補償後に、スケールが再現可能に最初の状態に戻ることも保証される。容易に作製可能な撓み継手により、スケールに対する担持体の線膨張が実現可能になり、撓み継手の変位によってスケールに作用する力が、スケールの歪みをもたらさなくなる。
【0007】
撓み継手(FLexure)は静止摩擦および滑り摩擦のない要素であり、撓み部の弾性的変形または湾曲に基づくもので、転がるまたは摺動する部分が全く要らない。撓み継手の利点は、磨耗しないこと、衝撃負荷および振動の影響を受けないことである。撓み継手は、静止摩擦、転がり摩擦、および滑り摩擦がなく、そのため潤滑剤を必要としない。
【0008】
撓み継手をスケールの中央に対して対称的に配置することによって、かつ桁材の長さ、桁材の断面、および材料を同じに選択することにより、各々向かい合う撓み継手の湾曲特性を等しく実施することによって、スケールに横方向の力がかかることが回避される。
【0009】
撓み継手として板ばねの平行四辺形を使用する場合、非常に良い結果が得られる。
【0010】
スケールがY方向に移動するのを、または(撓み継手の変位によって生じる)許容できない力がY方向にスケールにかかるのを防止する措置が設けられている。したがって、マルチリンク撓み誘導システム(Multilink-FLexurefuhrungssystem)とも呼ばれる二重ばねの平行四辺形を用いる場合、撓み継手の変位によって生じるばね桁材の短縮を、したがって横方向の力を、あるいは固定要素およびそれに固定されたスケールのY方向の運動を、完全に補償することができる。この二重ばねの平行四辺形の場合、各々1つの板ばねの短縮が、別の板ばねと平行接続されていることによって補償される。
【0011】
その代わりにまたはそれに加えて、担持体とスケールの間に補償要素が配置され、この補償要素は、固定要素を、または少なくともスケールの長手側面と協働するそのストッパ面を、測定方向Xに垂直なY方向に可動に収容する。この補償要素は、特に弾性的に形成されており、測定方向Xに垂直な力の成分Yによって、スケールをその長手側面で挟持する。さらに補償要素は、撓み継手の変位によって生じる測定方向Xに垂直なY方向の移動を補償するので、撓み継手がX方向に変位する際に発生する撓み継手の桁材の短縮によって、スケールがY方向に移動することはない。この補償要素は、特にY方向に有効な撓み継手として形成されており、この撓み継手により、固定要素の少なくともスケールと協働するストッパ面は、測定方向Xに働く撓み継手に弾性的に変位可能に支承する。Y方向へのこの変位の際に、再びストッパ面のX方向への移動を発生させないために、補償要素は、例えば対称的に構成された伸長要素として形成される。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0013】
図面に基づき本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図3には、保持具の第1の実施形態と、固定要素の第1の実施形態と、撓み継手の第1の構成とを含む本発明の第1の例示的実施形態が詳細に示されている。保持具1に保持されたスケール2は、膨張係数が非常に僅かでほぼゼロの材料、特にガラス・セラミックス、ケイ素、または炭化ケイ素から成る。断面が長方形のスケール2は、その上面に増分式の測定目盛3を備えており、この測定目盛は、光学的に検出可能な目盛線から成り、目盛間隔はサブマイクロメートルの範囲、例えば512Nmである。測定目盛3は、反射性の回折格子から、または測定方向Xに交互に配置された反射性および非反射性の領域から成り、これらの領域は、位置に依存する電気的検出信号を発生させるために、既知でありしたがって図示されていない光電式検出ユニットによって、スケール2の長手方向Xに走査される。その代わりにまたはそれに加えて、測定目盛は絶対コーディングを備えることもできる。
【0015】
保持具1は、機械の位置を測定すべき部分にスケール2を固定するための担持体4から成る。この固定は、例えばねじ止めによって行われるので、担持体4には孔5が設けられている。さらに保持具1は、スケール2を担持体4と連結する固定要素10から成る。さらに保持具1は、固定要素10を測定方向Xで担持体4に可動に支承するための、撓み継手20を備えている。
【0016】
担持体4は、金属、特にアルミニウムから成り、したがって温度変化の際の膨張挙動がスケール2とは異なる。温度変化の際に発生する担持体4とスケール2の間の相対運動により、スケール2が、その片面に束縛力がかからないよう、それによって伸長しないよう、かつそれから生じる歪みが起こらないように、スケール2を測定方向Xに変位可能に担持体4に保持する。そのために、スケール2の両方の長手側面L1、L2に、固定要素10付きの撓み継手20が配置されている。スケール2の長手側面L1およびL2側の、固定要素10付きの撓み継手20が、測定方向Xに互いに間隔をあけて配置されており、スケール2の長手側面L1側の固定要素10付き撓み継手20は、各々スケール2のもう一方の長手側面L2側の固定要素10付き撓み継手20と向かい合って配置されている。スケール2の長手側面L1側の固定要素10付き撓み継手20は、スケール2のこれと向かい合う長手側面L2側の固定要素付き撓み継手20に対して対称的に配置されている。
【0017】
各々の固定要素10と担持体4の間に撓み継手20が配置されており、固定要素10は、この撓み継手を介して測定方向Xに変位可能に担持体4に保持されている。撓み継手20および固定要素10を図3に基づき詳細に説明する。
【0018】
各固定要素10は、スケール2を力結合によって保持するための締付け要素として形成されている。この固定要素は、スケール2のための支持台11と、この支持台11にスケール2を弾性的に押圧するための湾曲ばね12の形の対向要素とを有する。さらに固定要素10は、支持台11に垂直で、測定方向Xに延びるストッパ13を有する。このストッパ13は、スケール2の測定方向Xに延びる長手側面の1つL1を、長手側面L1側に配置されたストッパ13に当てることによって、スケール2を測定方向Xに平行に容易に位置合わせするのに役立つ。図2の断面図から明らかなように、スケール2はその左の長手側面L1で、左側に配置された固定要素10のストッパ13と接触している。大きすぎる値が出るのを避けるために、この例では、スケール2の対向する長手側面L2が、長手側面L2に割り当てられた右の固定要素10のストッパ13から、僅かな遊びをとって間隔をあけて配置されるのが有利である。
【0019】
支持台11およびストッパ13は、一体的に形成される、つまり同じ部材を形成するのが有利である。スケール2を取り付けるには、スケール2の両側に配置された固定要素10の支持台11にスケールを載せる。長手側面L1を、この長手側面L1側の固定要素10のストッパ13に接触させることによって、スケールを測定方向Xに平行に向ける。固定要素10でスケール2を締付け固定するために、各々湾曲ばね12をスケール2に載せ、各々ストッパ13および支持台11を形成する部分と、ねじ14によってねじ止めする。スケール2を、その互いに平行に向かい合う平らな下面および上面の縁部領域で挟持することにより、湾曲ばね12によってスケール2に加えられる圧力が、支持台11からスケール2に作用する同等の反作用力を引き起こすので、スケール2は、その高さの中央で有効に固定される。スケール2を締め付けるために湾曲ばね12によって加えられる力は、測定方向Xに垂直で、スケール2の下面および上面にも垂直に、つまりZ方向に作用する。
【0020】
スケール2と担持体4の膨張の差を補償するために、各々撓み継手20を介して、固定要素10は測定方向Xで担持体4に変位可能に支承している。この支承は無摩擦での支承なので、歪みを生じさせる束縛力がスケール2に伝達されるのが、少なくとも大幅に回避される。撓み継手20は、少なくとも1つの桁状で弾性的な湾曲継手であり、この場合、少なくとも1つの桁材が測定方向Xに垂直に延びて配置されている。撓み継手20は、測定方向Xに比較的容易に(大きな復元力をかけずに)変位可能であるが、測定方向に垂直な方向には可能な限り剛直である。製造技術的には、撓み継手20は、支持台11およびストッパ13に接して一体的に成形することが好ましい。
【0021】
撓み継手20は、互いに平行に配置された曲げ弾性的な2つの桁材21、22から成るのが有利である。この両方の桁材21、22は、固定要素10に、したがってスケール2に対する平行四辺形の誘導部として働く。この両方の桁材21、22は各々、一方の端部で、ストッパ13および支持台11を形成している部分と結合され、もう一方の端部で担持体4と結合されている。担持体4とのこの結合は、図1から図3に示されているように担持体4とのねじ止めによって、あるいは図4に示した変形態様に従って、撓み継手20、つまり桁材21、22を、レール状の担持体4.1に接して一体的に成形することによって行うことができる。
【0022】
両方の桁材21、22およびストッパ13は、ねじ14を省スペースで配置するための空間を取り囲んでいる。
【0023】
撓み継手20、つまり桁材21、22は、スケール2の高さ(Z方向)の中央の線(スケール2の中立面N1)に配置されるか、または中央の線に対して対称的に配置され、つまりスケール2の各長手側面L1またはL2のすぐ隣に、スケール2の高さで配置されるのが有利である。これは、撓み継手20が変位する際に、スケール2にかかる力がスケール2の中立面N1にかかるので、スケールが歪まないという利点を有している。その上、非対称の曲げモーメントがスケール2に作用しないので、邪魔な横方向の力が発生し得ない。
【0024】
上に説明したどちらの例示的実施形態の場合も、スケール2の測定目盛3は、担持体4の中立面Nに配置されている。図2に断面図で示されるこの中立面N(中立軸とも言う)は、担持体が歪んだときに長さが変化しない領域(平面)である。これを実現するために、担持体4はH字形またはU字形に形成される。
【0025】
図5には、固定要素の第2の実施形態10.1示してある。図1、図2および図4において、スケール2の右の長手側面L2側に示された固定要素10を、ここで図5に示した固定要素10.1で置き換えるのが有利である。
【0026】
基本構造は図3に示した固定要素10に対応しており、したがって同じ要素には同じ符号を使用し、上に説明した例とは異なる特徴だけを以下に補足して説明する。本質的な違いは、スケール2を力結合によって保持するための固定要素10.1の構造である。固定要素10.1も、スケール2のための支持台11と、この支持台11にスケール2を押し付けるための対向要素とを有する。この対向要素は、スケール2を支持台11に押付け可能な2つのアーム15、16と、スケール2を向かい側に配置されている固定要素10のストッパ13に押し付けるための折り曲げられたさらなるアーム17とを備える、湾曲ばね12.1である。これにより、スケール2が、支持台11に接し、かつ向かい側に配置されている固定要素10のストッパ13に長手側面L1で接して、測定方向Xに向けられ、湾曲ばね12.1のアーム15、16、および17の僅かな初期張力により、この位置に保持されることが保証される。スケール2と担持体4のX方向の熱膨張の差は、撓み継手20によって補償され、Y方向は、曲げ弾性アーム17によって補償される。固定要素10.1は、例えば板金部品である。
【0027】
図6は、固定要素10.2の第3の実施形態を示している。この場合も、図1、図2、および図4でスケール2の右の長手側面L2側に示された固定要素10を、ここで図6に示した以下に説明する固定要素10.2で置き換えることができる。
【0028】
基本構造は図3に示した固定要素10に対応しているので、この場合も同じ要素には同じ符号を使用し、異なる要素だけを補足して説明する。固定要素10.2もまた、スケール2のための支持台11と湾曲ばね12の形の対向要素とを有する。固定要素10の構造に対する本質的な違いは、この場合は、撓み継手18を介してY方向に弾性的に変位可能なストッパ面19の構成である。固定要素10.2は、図3に基づく固定要素10がスケール2を間に挟んで向かい側に配置されたものであり、スケール2の長手側面L1を固定要素10のストッパ13に押し付ける。これによりスケール2は、測定方向Xを横切る、つまりY方向の力の成分によって挟持され、締め付けて保持されている。この締付け力を最適にかけるために、固定要素10.2のストッパ面19は盛り上がった凸面19であり、この面がスケール2の長手側面L2と接触する。
【0029】
固定要素の第4の実施形態10.3が、図7から図10に示されている。固定要素10.3もまた、撓み継手18を介してY方向に変位可能である。固定要素10.3の向かい側には、支持台11およびストッパ13を備えた図3に基づく固定要素10が配置されている。前述の例示的実施形態とは異なり、撓み継手20.1は、スケール2.1の下の担持体4.2内に、省スペースに配置されている。これは、桁材21、22の長さを長くすることができ、それにより曲げ剛性が低減するという利点を有しており、これは特定の応用例で有利であり得る。担持体4.2と、固定要素10と10.3の間に挟持されたスケール2.1との熱膨張挙動が異なることにより、固定要素10および10.3がX方向に変位する際に、ストッパ面13と19の間隔(Y方向)が縮小する。この縮小は、固定要素10.3のY方向での柔軟性によって補償され、許容できない力がスケール2.1に作用することはない。
【0030】
桁材21、22がスケール2.1の中立面N1からZ方向に間をあけて配置されていることにより、スケール2.1に曲げモーメントが伝達される可能性があるという、これに関連する欠点は、H字形またはU字形のスケール2.1を使用すること、ならびに測定目盛3をスケール2.1の中立面N1に配置することによって補償可能である。このH字形またはU字形のスケール2.1は、単一構造で実施してもよく、あるいはスケール2.1の作製を簡単にするために、側部2.11を、測定目盛3が設置された基体2.12にリンギング結合させてもよく、その場合は、測定目盛3を、側部2.11と結合する前に、基体2.12に取り付ける。
【0031】
図9および図10には、どのようにしてスケール2.1の取付けを容易にすることができるかの可能性が示されている。各々向かい合う2つの固定要素10と10.3の間の余地を広げるために、取付け装置30が設けられている。この取付け装置30を用いて、固定要素10.3のストッパ面19が、撓み継手18が引っ張られて変位し、スケール2と凸状のストッパ面19の間に間隔があく位置に移動し、それにより両方の向かい合う固定要素10と10.3の間にスケール2.1が挿入可能になる。取付け装置30を取り外すと、図10に示されているように、固定要素10.3の凸状のストッパ面19が第2の位置に跳ね返り、スケール2.1を締め付けて保持する。このために取付け装置30は突出部31、32を有しており、この突出部によって形状結合されることにより、取付け装置と固定要素10.3が協働する。
【0032】
図7から図10に基づく実施形態では、図示していないやり方で、図3または図6に基づく対向要素として湾曲ばね12を追加的に設けることもできる。
【0033】
長手側面L1側に固定要素10、長手側面L2側に対向する固定要素10.1または10.2または10.3という上述の組合せの代わりに、他の組合せを使用することもできる。例えば両方の長手側面L1およびL2に、固定要素10.1または10.2または10.3を使用することもできる。
【0034】
上述の特に有利な実施形態では、スケールは保持具に締め付けて固定されている。これは、機械(工作機械または測定機械)に保持具を取り付けた後に初めて、利用者がスケールを保持具と組み合わせることができ、かつスケールが交換可能であるという利点を有する。それが必要ない場合は、この力結合による固定を、接着または他の物質結合によって代替または補足することができる。
【0035】
各々向かい合って配置された2つのストッパ面13および17または13および19の少なくとも1つが変位可能であることは、上に説明した例によれば、ストッパ面17、19が、支持台11に対してY方向に可動に、撓み継手20、20.1上に配置されることによって保証される。その代わりに、付属のストッパ面13、17、19と支持台11と対向要素(湾曲ばね12、アーム15、16)とを含む固定要素10、10.1、10.2、10.3の全体をY方向に変位可能に、撓み継手20、20.1に保持してもよい。その例は図11に示されている。図7に示した例とは違って、ここでは、撓み継手20.1の端部に配置され、ストッパ19および支持台11.1を備えた固定要素10.4が、Y方向に変位可能である。この変位は、Y方向移動の際に、支持台11.1およびストッパ19が、X方向には移動しないように形成されているので、測定方向Xの束縛力がスケール2にかかることはない。そのために、支持台11.1およびストッパ19は、対称的に配置された伸長要素18.1および18.2を介して、撓み継手20.1に固定されている。支持台11.1およびストッパ19の両側に配置された伸長要素18.1、18.2は、X方向に延びる薄い桁材である。
【0036】
これまでに説明した撓み継手20、20.1は各々、平行に配置された2つの桁材21および22から成っている。桁材21、22のX方向の変位から生じる桁材21、22の短縮に基づくストッパ13、17、19のY方向の移動は、二重ばね構成、特に二重ばねの平行四辺形を用いることにより完全に補償できる。このような構成は図12に示されている。基本構造は図4に基づく構成に対応しており、したがってここでも、それとの違いだけを詳細に説明する。図には湾曲ばね12は示されていない。担持体4.1内で、測定方向Xに垂直に互いに向かい合う撓み継手20.2が、一体的に形成されるのが有利である。これまでに説明した実施形態の各桁材21、22に、さらなる桁材21.1、22.1が補足され、その際、両方の桁材21および21.1ならびに22および22.1が、各々が互いに、Y方向に自由に移動可能な連結部40を介して互いに結合されている。変位の際に引き起こされる桁材21、21.1、22、22.1の短縮は、連結部40によって補償され、固定要素10に影響を及ぼすことはない。撓み継手20.2の両方の連結部40を、各々互いに剛的に結合することもできる。
【0037】
熱的固定点を形成するため、特にスケール2または2.1を担持体4、4.1または4.2に振動しないように固定するために、スケール2または2.1を、測定方向Xの1箇所で、担持体4、4.1、または4.2に移動不能に固定することができる。スケール2または2.1の目盛全長の真ん中で固定すると、それによって温度変化または加速の際の線膨張を最小限に抑えることができるので、特に有利である。
【0038】
このような固定点の実施形態は、図13において、担持体4の1つおよびスケール2の1つに、概略的に示してある。その際、スケール2は、目盛全長(X方向)の真ん中で、支持台50(支持台11に匹敵)上に両側に載っている。スケール2は、長手側面L1およびL2の向かい合う領域で、剛的な接着51を介して担持体4と剛的に結合されている。スケール2と担持体4の間のこの剛的な結合51も、スケール2の中立面N1にあるか、または中立面N1に対して対称的であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】固定要素の第1の実施形態および撓み継手の第1の構成を含むスケールを備えた保持具の透視図である。
【図2】図1に基づく保持具の断面図である。
【図3】図1に基づく保持具の固定要素の拡大図である。
【図4】固定要素の第1の実施形態および撓み継手の第1の構成を含むスケールを備えた保持具の第2の変形実施形態の透視図である。
【図5】固定要素の第2の実施形態および撓み継手の第1の構成を示す図である。
【図6】固定要素の第3の実施形態および撓み継手の第1の構成を示す図である。
【図7】固定要素の第4の実施形態および撓み継手の代替的な第2の構成を示す図である。
【図8】スケールを備えた、図7に基づく固定要素の作動方式の原理を示す図である。
【図9】第1の取付け位置にある取付け装置を備えた、図7に基づく固定要素を示す図である。
【図10】第2の取付け位置にある図9に基づく取付け装置を備えた固定要素を示す図である。
【図11】撓み継手の第2の構成を備えた固定要素の第5の実施形態を示す図である。
【図12】撓み継手の代替的な第3の構成を示す図である。
【図13】固定点の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持体(4,4.1,4.2)と、
スケール(2,2.1)を測定方向Xに変位可能に担持体(4,4.1,4.2)に支承可能な、スケール(2,2.1)の第1の長手側面(L1)と担持体(4,4.1,4.2)の間の結合部としての撓み継手(20,20.1,20.2)とを備えたスケール(2,2.1)用の保持具において、
スケール(2,2.1)を測定方向Xに変位可能に担持体(4,4.1,4.2)に支承可能な、スケール(2,2.1)の第2の長手側面(L2)と担持体(4,4.1,4.2)の間の結合部としてのさらなる撓み継手(20,20.1,20.2)を備え、第2の長手側面(L2)と第1の長手側面(L1)が、互いに向かい合って配置されていることを特徴とする保持具。
【請求項2】
撓み継手(20,20.1,20.2)が各々、測定方向Xに垂直に延びる少なくとも1つの桁材(21,22,21.1,22.1)から成ることを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
撓み継手(20,20.1,20.2)が、担持体(4.1)に接して一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保持具。
【請求項4】
撓み継手(20,20.2)がスケール(2)の平面内でスケール(2)の横に配置されている、スケール(2)を備えた記請求項1〜3のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項5】
撓み継手(20.1)がスケール(2,2.1)の下の平面内に配置されている、スケール(2)を備えた請求項1から3のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項6】
撓み継手(20,20.1,20.2)が各々、1つの固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)を有しており、前記固定要素を介して各々スケール(2,2.1)との結合が作成可能であり、その際、固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)のうちの2つが、各々スケール(2,2.1)の両方の長手側面(L1,L2)に互いに向かい合って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項7】
固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)が、スケール(2,2.1)を力結合によって保持するために形成されていることを特徴とする請求項6に記載の保持具。
【請求項8】
固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)が、スケール(2,2.1)のための支持台(11,11.1)と、スケール(2,2.1)を前記支持台(11,11.1)に押し付けるための対向要素(12,12.1,15)とを有することを特徴とする請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
対向要素が湾曲ばね(12、12.1)であることを特徴とする請求項8に記載の保持具。
【請求項10】
互いに向かい合って配置された固定要素(10)の少なくとも1つがストッパ(13)を有しており、スケール(2)が、測定方向Xに延びるその第1の長手側面(L1)で、前記ストッパに接触可能であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項11】
互いに向かい合う固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)が、測定方向Xを横切る力の成分Yによってスケール(2,2.1)を挟持することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項12】
互いに向かい合って配置された固定要素(10.1,10.2,10.3,10.4)の少なくとも1つが、対向する固定要素(10,10.1,10.2,10.3,10.4)の方向に向いた締付け力をスケール(2,2.1)にかけるように形成されていることを特徴とする請求項11に記載の保持具。
【請求項13】
湾曲ばね(12.1)が、スケール(2)を支持台(11)に押付け可能な少なくとも1つのアーム(15,16)を有し、かつスケール(2)を対向する固定要素(10)の方向に押付け可能なさらなるアーム(17)を有することを特徴とする請求項9または12に記載の保持具。
【請求項14】
スケール(2,2.1)の第1の長手側面(L1)側の固定要素(10)が、スケール(2,2.1)の第1の長手側面(L1)用の、支持台(11)および測定方向Xを横切る方向に働くストッパ(13)を形成しており、対向する固定要素(10.1,10.2,10.3,10.4)が、スケール(2,2.1)を前記ストッパ(13)のY方向に押し付けるように形成されていることを特徴とする請求項12に記載の保持具。
【請求項15】
さらなる固定要素(10.1,10.2,10.3,10.4)のストッパ面(19)が、更に撓み継手(18,18.1,18.2)を介して、測定方向Xを横切る方向に移動可能であることを特徴とする請求項12に記載の保持具。
【請求項16】
さらなる固定要素(10.1,10.2,10.3,10.4)のストッパ面(19)が、取付け装置(30)を用いて、両方の向かい合う固定要素(10,10.3)の間にスケール(2.1)を挿入するためにさらなる撓み継手(18)が引っ張られて変位される位置に移動可能であり、取付け装置(30)を取り外すと、ストッパ面(19)が第2の位置に跳ね返って、この位置でスケール(2,2.1)を締め付けて保持することを特徴とする請求項15に記載の保持具。
【請求項17】
スケール(2)の測定目盛(3)が、担持体(4)の中立面(N)に配置されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の保持具。
【請求項18】
測定目盛(3)が、スケール(2.1)の中立面(N1)に配置されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−545978(P2008−545978A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515061(P2008−515061)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002486
【国際公開番号】WO2006/133753
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】