説明

スコープ加温装置

【課題】先行技術における上記の欠点に対処する幾らかの助けとなり、或いは少なくとも有用な選択肢を当該業界に提供する、レンズ温度を周囲温度よりも高く加温するためのレンズ加温及び清浄システムを提供する。
【解決手段】腹腔鏡のような光学器械1のレンズ部分2を周囲温度よりも高い温度に加温してレンズの曇りを防止する加温装置30であって、該加温装置が、内壁3bと、外壁3aと、上面と、これらの間に中央キャビティ4を備えた及び開放遠位部7とを有する二重壁円筒状管体3と、上面から延び、レンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部9と、二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップ5と、中央キャビティ内に密閉され断熱層に熱結合される加熱要素15とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ加温及び清浄装置に関し、詳細には、限定ではないが、腹腔鏡のような光学器械の遠位部を体腔内に挿入する前に加温及び清浄することによってレンズの曇りを防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡の遠位部を体腔内に挿入する前に加温して清浄化することによって、腹腔鏡が最初に患者に挿入されたときに腹腔鏡の遠位部に組み込まれたレンズが曇ることで患者の内臓に関する外科医の視界が妨げられるのを防止する幾つかの製品は、当該技術分野において公知である。この曇りの原因は、腹腔鏡レンズに水分が凝結した結果である。レンズ温度は、体腔内における外科医の施術スペースを広げるために、患者の体内にポンプ輸送する送気ガスの露点温度よりも低い。人体によって送気ガスが相対湿度約100%まで加湿され、ガス温度が体温まで上昇するので、ガス温度は約37°Cとなり、より低温の腹腔鏡レンズ上で微小水滴が凝結する。
【0003】
University of MassachussetsのWO01/60239号では、腹腔鏡のような光学器械の遠位部でレンズを加温及び清浄するレンズ加温・清浄装置を開示している。レンズ加温・清浄装置は、腹腔鏡のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた熱伝導管と、該熱伝導管の外面に熱結合された加熱要素と、熱伝導管内に設置された清浄部材とを含む。好ましい加熱要素は加熱パッドであり、該加熱パッドは化学混合物を入れた空気透過性の可撓性アウターバッグを含む。前記化学混合物は、活性化されると発熱反応を起こすので、腹腔鏡のレンズを45〜60°Cまで温めるのに十分な熱を発生する。開示された清浄部材は、熱伝導管の遠位部に挿入されるスポンジであり、塩水に曇り止め添加剤又は界面活性剤のような添加剤を加えたもので湿潤される。加温・清浄装置は自己完結型であり、動作するための動力を必要としない。発熱パッドは、最大で6時間又はそれ以上の間十分な熱を供給することができるが、1回の手術処置を行った後に交換する必要があり、更に機器の他のものは再使用のために滅菌される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Michael R. Seitzlinger及びDavid Plattsに付与された米国特許第6,234,635号明細書には、腹腔鏡の近位レンズの領域を周囲温度よりも高い温度に維持して使用時のレンズの曇りを防止する装置が開示されている。この加熱装置は、予め滅菌された化学的熱パックであり、活性時に、手術処置の時間期間に腹腔鏡の近位レンズ端部領域に取り付けられることで、レンズ温度が周囲温度よりも確実に高く維持される。加熱装置は使い捨てである。しかしながら、加熱装置がレンズに近接した腹腔鏡の領域に取り付けられる場合、この領域における追加の重量により使用時の装置の平衡が崩れることになる。
【0005】
Il G. Kimに付与された米国特許第5,549,543号では、腹腔鏡のレンズ及び端部部分を周囲温度よりも高く加熱し維持する曇り除去装置が開示されている。本装置は、加熱プレート上に取り付けられた第2の注水容器によって囲まれたレンズ及び腹腔鏡の端部部分を受ける内部注水容器を含む。該加熱プレートは、内側貯蔵器内の水を保護し、外側容器が一定温度に維持される温度制御機構を含む。効果的且つ制御された加熱装置を提供するが、本機器は動作させるために電源を必要とするため携帯性が低下し、使用する前に容器を滅菌する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、先行技術における上記の欠点に対処する幾らかの助けとなり、或いは少なくとも有用な選択肢を当該業界に提供する、レンズ温度を周囲温度よりも高く加温するためのレンズ加温及び清浄システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、手術環境内で使い捨てることができ、且つ持ち運びができるレンズ加温装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、第1の態様において、本発明は、レンズ部分を備えた光学器械の遠位部を加温することができる加温装置からなり、該加温装置は、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
上面から延び、光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
中央キャビティ内に密閉され、断熱層に熱結合される加熱要素と、
を含む。
【0009】
第2の態様において、本発明は、腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温することができる加温装置からなり、該加温装置が、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
上面から延び、光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
中央円形突出部を被覆する材料と、
を含む。
【0010】
第3の態様において、本発明は、腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温することができる加温装置からなり、該加温装置が、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
上面から延び、光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
突出部を被覆する材料と、
使用時に少なくとも加熱送気ガスが加温装置を通過することにより、中央キャビティを加温するように二重壁円筒状管体に取り付けられた入口及び出口ガス管状コネクタと、
を含む。
【0011】
第4の態様において、本発明は、腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温しながら光学器械を較正する装置からなり、該光学器械を較正する装置が、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
上面から延び、光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
突出部の遠位部内に挿入される白色化ブロックと、
中央キャビティ内に密閉され、断熱層に熱結合される加熱要素と、
を含む。
【0012】
本発明は、上記から構成され、以下により実施例が与えられる構成が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の断熱式医療用レンズ加温装置の断面図である。
【図2】図1の断熱式レンズ保温装置に取り付けられたハンドルクリップの斜視図である。
【図3】図1の断熱式レンズ保温装置の分解図である。
【図4】本発明の断熱式レンズ保温装置の第2の形態の断面である。
【図5】本発明の断熱式レンズ保温装置の第3の形態の断面である。
【図6】図5の断熱式レンズ保温装置の斜視図である。
【図7】本発明の断熱式レンズ保温装置の第4の形態の断面である。
【図8】図7の断熱式レンズ加温器の斜視図である。
【図9】本発明の別の実施形態の断熱式レンズ加温装置の上面に取り付けられた可撓性グロメットの使用を示す断面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで本発明の好ましい形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0015】
本発明は、腹腔鏡のような光学器械のレンズ部分を周囲温度よりも高い温度に加温してレンズの曇りを防止することができる加温装置と、外科手術中にレンズを清浄化して該レンズに付着する可能性のあるあらゆる生体物質を除去する手段とを提供する。このレンズ加温装置は自己完結型のものであり、どのような電源用の取付装置も必要としないので、本装置を外科手術環境内の任意の場所で使用するため携帯可能になる。
【0016】
具体的には、光学器械のレンズ部分を長時間にわたって周囲温度よりも高い温度まで加温する手段を提供するレンズ加温装置について述べる。手術処置中のあるあらゆる段階で、外科医が腹腔鏡を体腔から取り出す必要がある場合には、レンズ部分がレンズ加温器内に再挿入されて、該レンズ部分の温度を周囲温度よりも高い温度に維持し、更に、清浄部材がレンズ加温装置の遠位端部に配置されている場合、レンズは清浄部材と接触して清浄化されることになる。手術処置の終わりに、レンズ加温装置は廃棄することができるので、場合によってはオートクレーブ又は他の滅菌工程を行う機器の要件が排除される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態で説明されるようなレンズ加温装置は、一般的に外科用光学器械の多くの形態で使用することができることは理解されるであろうが、ここでは腹腔鏡である外科用光学器械に関連して以下に説明される。
【0018】
図1及び図3を参照すると、遠位端部にレンズ2を有する腹腔鏡の遠位部1が、本発明の断熱型レンズ加温装置30内に挿入された状態で示してある。断熱型レンズ加温装置30は、ABS、ポリエチレン、又は他の適切な材料などの熱可塑性又は熱硬化性プラスチック材料で構成するのが好ましい。断熱型レンズ加温装置30は、中央キャビティ4を備えた二重壁円筒状管体3a及び3bであり、超音波溶接、摩擦嵌合、スナップ嵌合、又は当該技術分野で公知の他の適切な固定具によって円形キャップ5が取り付けられる開放遠位部7を有する。二重壁円筒状管体3の内壁3bと外壁3aとの間には空気を含む断熱層6がある。二重壁円筒状管体3の近位端部8は閉鎖され、二重壁円筒状管体3の遠位部7に向かって中央キャビティ4内に延び、光学器械1のレンズ部分2を受入れる大きさ及び形状にされた突出部9を有している。突出部9は、二重壁円筒状管体3の近位端部8の中央部分の周りに配置された円筒形突出部であるのが好ましい。中央キャビティ4には、水、塩水、コムギ、オートムギ又はオオムギの粒、米、或いは他の適切な熱伝導材料などの伝導性加熱要素が充填された後、二重壁円筒状管体3の遠位部7に対し円形キャップ5が恒久的に装着される。
【0019】
腹腔鏡1のレンズ部分2が円筒形突出部9内に挿入された時に、レンズ部分2が清浄部材12と接触するように、アクリル、ポリプロピレン又は他の適切なフィルタ材料で作られた不織清浄部材12を円筒形突出部9の遠位端部14に配置することができる。本明細書で説明されるようなレンズ加温装置の実施形態のいずれにおいても同様の清浄部材を備えることができる。
【0020】
図9に示すように、レンズ加温装置39は、円筒形突出部42の近位端部41に取り付けられるシリコンなどのプラスチック系材料で作られた可撓性グロメットを有することができる。該可撓性グロメット40により、異なる寸法の光学器械1を円筒形突出部42内に挿入することが可能となり、同時に該光学器械1に対してある程度の支持を与えることができる。代替的に、又は可撓性グロメット40と組み合わせて、円筒形突出部42の断面は、近位端部分41から遠位部まで延びる複数の漸減ステップ部を含むことができる。これにより、光学器械1が断熱型レンズ加温装置39内に挿入された時に該光学器械に対してより大きな支持をもたらすことになる。レンズ加温装置39は、図1に関して上述したものと同様な二重円筒形構造のものである。
【0021】
図2を参照すると、断熱型レンズ加温装置30は、該断熱型レンズ加温装置30の上面8に取り付けられる好ましくはL型形状のハンドル11を有することができる。ハンドル11は、プラスチック成形工程注に形成される断熱型レンズ加温装置30の一体形部品であるのが好ましいが、超音波溶接、接着又は他の好適な付付着機構などの他の付着技法を用いることもできる。該ハンドル11は、断熱型レンズ加温装置30を手術環境の周りに移送する手段を提供すると同時に、該断熱型レンズ加温装置30を外科手術用ドレープ又はテーブルに着脱可能に取り付ける手段を提供する。或いは、該ハンドル11は、断熱型レンズ加温装置30が外科手術用ドレープ又はテーブル上に確実に把持することができるように、開閉式のハンドルクリップ型機構を含むことができる。
【0022】
本明細書で説明する実施形態のいずれもが図2に関して上記で説明したようにハンドルを備えることができる点に留意されたい。
【0023】
使用する前に、断熱型レンズ加温装置30は、マイクロ波式外科手術用加温装置又は他の従来型のオーブン式外科手術用加温装置内に配置され、加熱要素15の温度を周囲の体温よりも高い温度まで上昇させるようにする。次に、清浄部材12を円筒形突出部9の遠位部14に向かって挿入することができる。この後、腹腔鏡2のレンズ部分2が円筒形突出部9内に挿入され、レンズ部分2が清浄部材12と接触することができるようになる。加熱要素15によって生成された熱エネルギーにより、レンズ部分2が周囲温度よりも高い温度まで加温され、この結果、該レンズ部分2を体腔内に挿入した際にレンズの凝結を防止するのに十分な程度までレンズ部分が温められると同時に、清浄部材12が外科手術での使用に備えてレンズ部分2を清浄化することができるようになる。
【0024】
断熱層6は、加熱要素の温度が少なくとも外科手術の継続時間中に維持されるように加熱要素15と熱接触状態にある。従って、レンズ部分2が体腔から取り出されたときには、レンズ部分は断熱型レンズ加温装置30内に再挿入され、レンズ部分2の温度を少なくとも周囲温度よりも高い温度に維持することができる。また、清浄部材12が円筒形突出部9内に挿入されると、レンズ部分2はまた、体腔内への再挿入に備えて清浄することができる。
【0025】
本発明の断熱型レンズ加温装置43の第2の実施形態が、図4に示されている。ここでは、光学器械1のレンズ部分2は、断熱型レンズ加温装置の円筒形突出部44内に挿入される。円筒形突出部44の壁20は、プラスチック成形及び形成工程中に染料のような黒色材料を含浸させることができる。断熱型レンズ加温装置43は、光学器械1のレンズ部分2から放射する光源が円筒形突出部44の黒色に被覆されている遠位部14に衝突し、光エネルギーを吸収して伝導によって光エネルギーを熱エネルギーに変換するので、使用前には予熱されない。従って、熱エネルギーは、光学器械1のレンズ部分2を体腔内で使用される送気ガスの露点より高い温度まで加温し、これによりレンズの曇りが阻止される。
【0026】
或いは、プラスチック成形及び形成工程中に円筒形突出部に黒色染料を含浸させる代わりに、閉じた遠位部22を有する好ましくは円筒断面の着脱可能な黒色プラスチック成形インサート21を円筒形突出部44内に挿入することができる。黒色インサート21は、光学器械1のレンズ部分2から放射する光源を利用した伝導によって光エネルギーを熱エネルギーに変換する代替手段を提供する。
【0027】
本発明の第3の実施形態の断熱型レンズ加温装置が、図5及び図6に示されている。ここでは、レンズ加温装置31は、二重壁円筒状管体32と流体連通した2つのガス管状コネクタ23,24を有する。入口ガス管状コネクタ23は、近位部分33に向けて位置付けられ、出口ガス管状コネクタ24は、互いにほぼ180度で配置された遠位部に向けて位置付けられ、二重壁円筒状管体32の本体を貫入している。光学器械1のレンズ部分2を体腔内に挿入する前に、体腔に吹き入れるのに使用される同一供給源から加熱され且つ好ましくは加湿されたガスを供給するガス管体が、入口ガス管状コネクタに向けられ入口ガス管状コネクタに取り付けられ、これにより少なくとも加熱されたガスが中央キャビティ34内に入れられる。中央キャビティ34内で発生した結果として得られる熱エネルギーは、ガスの露点温度よりも高い温度まで上昇される。発生した熱エネルギーは、円筒形突出部35内の温度を上昇させ、光学器械1のレンズ部分2が円筒形突出部35内に挿入されたときに、該レンズ部分2は、体腔内に挿入する前に光学器械を加熱する熱エネルギーを吸収し、これによりレンズの曇りが防止されるようになる。
【0028】
ガスは、断熱型レンズ加温装置31の遠位部36に向けて位置付けられた出口ガス管状コネクタ24を介して中央キャビティ34から流出することができる。ガスは、自由大気空間に流出することが許されるので、第2のガス管状コネクタ24にガス管体を取り付ける必要性はない。
【0029】
図7に示す第4の実施形態では、レンズ加温装置37は、好ましくは円筒形突出部45の遠位端部38に配置された白色状インサート26を有する。該白色状インサート26は、光学器械1のレンズ部分2を挿入する前に円筒形突出部45内に挿入することができる。手術の開始時に、光学器械1は、該光学器械1の遠位部から光が放射するように切り替えられる。次いで、レンズ部分2が、断熱型レンズ加温装置37内に挿入される。事前に加温されるだけでなく、光学器械1の遠位部の周りから放射する光が白色状インサート26に衝突してレンズ部分2に反射して戻り、該機器は、光学器械1の遠位部が体腔内に挿入される際に体組織が正確な色に確実に見えるように較正することができる。レンズ加温装置37の一般的な構造は、該レンズ加温装置37が二重壁円筒状管体構造体46を有する点で図1の加温装置の構造と類似している点に留意されたい。
【0030】
或いは、図8に示すように、キャビティ27は、二重壁円筒状管体の外面及び内面から円筒形突出部(図示しないが、図7の符号45に類似している)の遠位部を越えて反対側の内面壁へ向けて延びる開口を提供するようにプラスチック成形工程中に形成することができる。従って、着脱可能な白色化ブロック28を二重壁円筒状管体のキャビティ27開口に挿入することができ、この結果、光学器械1のレンズ部分2が断熱型レンズ加温装置47内に挿入されたときに、体腔内に挿入する前にスコープを較正し加温することができるようになる。このことは、光学器械1のレンズ部分2が、白色化ブロック1からの光反射を受けるように光学器械の光源を作動させることによって達成される。この場合もまた、レンズ加温装置47の一般的な構造は、該レンズ加温装置47が二重壁円筒状管体構造48を有している点で図1の加温装置のものと類似している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部分を備えた光学器械の遠位部を加温することができる加温装置であって、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面および開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
前記上面から延び、前記光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
前記二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
前記二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
前記中央キャビティ内に密閉され、前記断熱層に熱結合される加熱要素と、を備えている、
ことを特徴とする加温装置。
【請求項2】
前記加温装置が、熱可塑性タイプ材料で構成される請求項1に記載の加温装置。
【請求項3】
前記加温装置が、熱硬化性プラスチック材料で構成される請求項1に記載の加温装置。
【請求項4】
前記突起部が、前記加温装置内への挿入時に前記光学器械に対して支持強化を与えるように、前記突起部の遠位部に向かって漸減した円周部の複数の段部を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項5】
前記加熱要素が、導電材料を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項6】
前記導電材料が、水又は塩水である請求項5に記載の加温装置。
【請求項7】
前記導電材料が、コムギクサの種である請求項5に記載の加温装置。
【請求項8】
前記導電材料が、オオムギクサの種である請求項5に記載の加温装置。
【請求項9】
前記導電材料が、オートムギの種である請求項5に記載の加温装置。
【請求項10】
前記導電材料が、米である請求項5に記載の加温装置。
【請求項11】
前記加熱要素が、前記加温装置をマイクロ波加熱することによって使用前に加熱されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項12】
前記加熱要素が、前記加温装置を従来型のオーブン式外科用加温器内に挿入することによって使用前に加熱されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項13】
前記断熱層が空気を含む請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項14】
前記加温装置が使い捨てであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項15】
前記二重壁円筒状管体が、前記加温装置を外科手術用ドレープ又はテーブルに着脱可能に取り付けるように構成された、前記上面に取り付けられる取付機構を有する請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項16】
前記取付機構が、ハンドルである請求項15に記載の加温装置。
【請求項17】
前記取付機構が、ハンドルクリップである請求項15に記載の加温装置。
【請求項18】
前記突出部が、前記上面の少なくとも一部を囲み、異なる寸法の光学器械の遠位部を受けるように適合可能な可撓性グロメットを有する請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項19】
前記可撓性グロメットが、シリコンで構成される請求項18に記載の加温装置。
【請求項20】
前記突出物が、前記遠位部に配置された清浄部材を有する請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項21】
前記清浄部材が、不織フィルタタイプの材料である請求項20に記載の加温装置。
【請求項22】
腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温することができる加温装置であって、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
前記上面から延び、前記光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
前記二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
前記二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
前記中央円形突出部を被覆する材料と、を備えている、
ことを特徴とする加温装置。
【請求項23】
前記突起部が、前記加温装置内への挿入時に前記光学器械に対して支持強化を与えるように、前記突起部の遠位部に向かって漸減した円周部の複数の段部を含むことを特徴とする請求項22に記載の加温装置。
【請求項24】
前記材料被覆が、光エネルギーを熱エネルギーに変換するのに使用されることを特徴とする請求項22又は請求項23に記載の加温装置。
【請求項25】
前記材料被覆が、前記加温装置の製造時に前記熱可塑性タイプの材料中に含浸される黒色染料である請求項22から請求項24のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項26】
前記材料被覆が、前記加温装置の製造時に前記熱硬化性プラスチック材料中に含浸される黒色染料である請求項22から請求項24のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項27】
前記材料被覆が、前記遠位部で閉じられ且つ前記突出部の遠位部に向かって挿入される黒色プラスチック円筒状管体を構成することを特徴とする請求項22から請求項24のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項28】
前記断熱層が空気を含む請求項22から請求項27のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項29】
前記加温装置が、使い捨てであることを特徴とする請求項22から請求項28のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項30】
前記二重壁円筒状管体が、前記加温装置を外科手術用ドレープ又はテーブルに着脱可能に取り付けるように構成された、前記上面に取り付けられる取付機構を有する請求項22から請求項29のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項31】
前記取付機構が、ハンドルである請求項30に記載の加温装置。
【請求項32】
前記取付機構が、ハンドルクリップである請求項30に記載の加温装置。
【請求項33】
前記突出部が、前記上面の少なくとも一部を囲み、異なる寸法の光学器械の遠位部を受けるように適合可能な可撓性グロメットを有する請求項22から請求項32のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項34】
腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温することができる加温装置であって、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
前記上面から延び、前記光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
前記二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
前記二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
前記突出部を被覆する材料と、
使用時に少なくとも加熱送気ガスが前記加温装置を通過することにより、前記中央キャビティを加温するように前記二重壁円筒状管体に取り付けられた入口及び出口ガス管状コネクタと、を備えている、
ことを特徴とする加温装置。
【請求項35】
前記突起部が、前記加温装置内への挿入時に前記光学器械に対して支持強化を与えるように、前記突起部の遠位部に向かって漸減した円周部の複数の段部を含むことを特徴とする請求項34に記載の加温装置。
【請求項36】
前記材料被覆が、光エネルギーを熱エネルギーに変換するように使用されることを特徴とする請求項34又は請求項35に記載の加温装置。
【請求項37】
前記材料被覆が、前記加温装置の製造時に前記熱可塑性タイプの材料中に含浸される黒色染料である請求項34から請求項36のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項38】
前記材料被覆が、前記加温装置の製造時に前記熱硬化性プラスチック材料中に含浸される黒色染料である請求項34から請求項36のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項39】
前記材料被覆が、前記遠位部で閉じられ且つ前記突出部の遠位部に向かって挿入される黒色プラスチック円筒状管体を構成することを特徴とする請求項34から請求項36のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項40】
前記断熱層が空気を含む請求項34から請求項39のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項41】
前記加温装置が、使い捨てであることを特徴とする請求項34から請求項40のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項42】
前記二重壁円筒状管体が、前記加温装置を外科手術用ドレープ又はテーブルに着脱可能に取り付けるように構成された、前記上面に取り付けられる取付機構を有する請求項34から請求項41のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項43】
前記取付機構が、ハンドルである請求項42に記載の加温装置。
【請求項44】
前記取付機構が、ハンドルクリップである請求項42に記載の加温装置。
【請求項45】
前記突出部が、前記上面の少なくとも一部を囲み、異なる寸法の光学器械の遠位部を受けるように適合可能な可撓性グロメットを有する請求項34から請求項44のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項46】
前記可撓性グロメットが、シリコンで構成される請求項45に記載の加温装置。
【請求項47】
前記送気ガスが、前記加温装置に流入する前に加熱されることを特徴とする請求項34から請求項46のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項48】
前記送気ガスが、前記加温装置に流入する前に加熱及び加湿されることを特徴とする請求項34から請求項46のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項49】
腹腔鏡のような光学器械の遠位部を加温しながら光学器械を較正する装置であって、
内壁と、外壁と、中央キャビティを間に備えた上面及び開放遠位部とを有する二重壁円筒状管体と、
前記上面から延び、前記光学器械のレンズ部分を受けるような大きさ及び形状にされた突出部と、
前記二重壁円筒状管体の遠位部に取り付けるような大きさにされた円形キャップと、
前記二重壁円筒状管体の内壁と外壁との間の断熱層と、
前記突出部の遠位部内に挿入される白色化ブロックと、
前記中央キャビティ内に密閉され、前記断熱層に熱結合される加熱要素と、を備えている、
ことを特徴とする光学器械を較正する装置。
【請求項50】
前記装置が、熱可塑性タイプの材料で構成される請求項49に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項51】
前記装置が、熱硬化性プラスチック材料で構成される請求項49に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項52】
前記装置における前記二重壁円筒状管体が、前記外壁から前記突出部の遠位部を貫通して延び、前記白色化ブロックに嵌合するような大きさ及び形状にされた水平キャビティを有することを特徴とする請求項49から請求項51のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項53】
前記突出部が、前記装置内への挿入時に前記光学器械に対して支持強化を与えるように、前記突出部の遠位部に向かって漸減した円周部の複数の段部を含むことを特徴とする請求項52に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項54】
前記加熱要素が導電材料を含む請求項49から請求項53のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項55】
前記導電材料が、水又は塩水である請求項49から請求項54のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項56】
前記導電材料が、コムギクサの種である請求項49から請求項54のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項57】
前記導電材料が、オオムギクサの種である請求項49から請求項54のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項58】
前記導電材料が、オートムギの種である請求項49から請求項54のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項59】
前記導電材料が、米である請求項49から請求項54のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項60】
前記白色化ブロックが、熱硬化性プラスチック材料で構成される請求項49か請求項59のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項61】
前記白色化ブロックが、熱成形プラスチック材料で構成される請求項49から請求項59のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項62】
前記白色化ブロックが、セラミック材料で構成される請求項49から請求項59のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項63】
前記白色化ブロックが、不織材料で構成される請求項49から請求項59のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項64】
前記白色化ブロックが、織成の繊維材料で構成される請求項49から請求項59のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項65】
前記加熱要素が、前記装置をマイクロ波加熱することによって使用前に加熱されることを特徴とする請求項49から請求項64のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項66】
前記加熱要素が、前記装置を従来型オーブン式外科用加温器内に挿入することによって使用前に加熱されることを特徴とする請求項49から請求項64のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項67】
前記断熱層が空気を含む請求項49から請求項66のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項68】
前記装置が使い捨てである請求項49から請求項67のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項69】
前記二重壁円筒状管体が、前記加温装置を外科手術用ドレープ又はテーブルに着脱可能に取り付けるように構成された、前記上面に取り付けられる取付機構を有する請求項49から請求項68のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項70】
前記取付機構が、ハンドルである請求項69に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項71】
前記取付機構が、ハンドルクリップである請求項69に記載の光学器械を較正する装置。
【請求項72】
前記突出部が、前記上面の少なくとも一部を囲み、異なる寸法の光学器械の遠位部を受けるように適合可能な可撓性グロメットを有する請求項49から請求項71のいずれか1項に記載の光学器械を較正する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−229924(P2011−229924A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114921(P2011−114921)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2007−507266(P2007−507266)の分割
【原出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
【Fターム(参考)】