説明

スタチン副作用の処置

【課題】本願発明は、筋肉疼痛および/または疲労の処置、およびスタチン治療の副作用の処置のための方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本願は、スタチン治療の副作用の治療におけるある種の置換ベンゾキノン、例えば補酵素Q、特に補酵素Q10(Q10)と、例えばウリジン、その生物学的前駆体またはその塩、エステル、互変異性体または類似体(ウリジン関連化合物)との組み合わせを提供することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概括的に、筋肉疼痛および/または疲労の処置に、およびスタチン治療の副作用の処置のための方法に関する。特に、発明は治療におけるある種の置換ベンゾキノン、例えば補酵素Q、特に補酵素Q10(Q10)の使用に関する。本発明はまた、他の剤、例えばウリジン、その生物学的前駆体またはその塩、エステル、互変異性体または類似体(「ウリジン関連化合物」)との組み合わせ治療におけるQ10の使用に関する。本発明はまた、処置方法に関連する組成物、使用および組み合わせ包装品またはキットを指向する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの薬物治療、例えばAZT、コルチコステロイド、癌化学的治療剤、および高コレステロール血症薬物であって、可能性として深刻な副作用を生じ得ることが知られるものがある。これらの影響は無力化(disabling)であり得、そして原因薬物処置の期間の間、または該薬物処置が完了後なお継続し、個体の作業の能力だけでなく、日常生活に関係する単純な仕事を実行することに影響する。副作用が良く認識されるある特定の群の薬物はスタチンであって、これは一般に心臓血管疾患の主要な原因である高コレステロール血症の処置に使用される。
【0003】
心臓血管疾患は、心臓および体内のそれに関連する血管のネットワークの機能の欠損に関連する広範囲の疾患および症候群を包含する用語である。先進国世界での何十年もの死亡率減少にもかかわらず、心臓血管疾患はなお、1997年に合衆国のすべての死亡の約3分の1を占める死亡の、単一のもっとも一般的な原因である。心臓血管疾患は、多くの原因を有し、そして心臓、血管、末梢臓器および組織の間の複雑な相互作用によって特徴付けられる。ある型の心臓血管疾患、例えば、冠状動脈心臓疾患または発作は警告なく急性に発生し、しばしば死亡を含む重症の結果を起こし得る。医学的に、これらは侵略的な処置(薬物および外科)次いで再発を予防するため慢性処置で処置される。他の型の心臓血管疾患、田追えば高血圧(high blood pressure)および高脂血症(高コレステロール)はゆっくり、しばしば明白な症状なく進行し、そして食事および長期間慢性薬物治療によって処置しなければならない。
【0004】
コレステロールは健康に機能している体の不可欠な構成成分であり、機能性膜、ステロイドホルモンおよび胆汁酸の形成のため要求され、特に低密度リポタンパク質(LDL)と関連するときに、過剰レベルは健康の危険を構成する。高コレステロール血症(過剰血液コレステロールレベル)および疾患および冠状動脈(心臓)疾患による死亡の間の原因および効果関連性があることはよく確立されている。心臓血管疾患に起因する死亡のうち、4分の3より多くはアテローム性動脈硬化症およびその合併症に帰すことができる。
【0005】
アテローム性動脈硬化症は、動脈の一般的な疾患であり、多くの年数にわたる症状のない態様で発生する。最も一般的なアテローム性動脈硬化症の結果は、冠状心臓疾患、次いで発作および末梢血管疾患である。上昇血液コレステロール濃度は、アテローム制動脈硬化症の発生の主要な寄与要因である。過剰の血液コレステロールレベルの状況では、コレステロールは徐々に、他の脂肪と一緒に動脈壁に沈着し、潜在的に重度の結果をともなう血液の自由流を崩壊させる蓄積を生じる。より低い高コレステロールレベルに、患者はスタチンとして一般に知られるある範囲の薬物で処置され、これはアトロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、セリバスタチンおよびフルバスタチンを含む。これらは、コレステロール血液/組織レベルを減少させるように作用する。
【0006】
スタチンはまた、最近、痴呆(The Lancet, 2000: 356; 1627-1631)および種々の癌、例えば、前立腺、皮膚、肺、結腸、膀胱、子宮および腎臓(Arch. Intern. Med. 2000, 160: 2363-2368)の処置における潜在的利用性が報告された。
【0007】
しかし、横紋筋融解、頭痛、関節疼痛、発熱、筋肉疼痛、背疼痛、腹部筋痙攣、睡眠障害、鼻炎、副鼻腔炎、咳反射の刺激、めまいおよび疲労を含む、スタチン治療と関連する多数の深刻な副作用がある。この群の薬物の副作用の中で、最も一般的な2つは、疲労および/または筋肉疼痛(しばしば「筋肉痛」と呼ばれる)である。重症の場合は、これらの症状は、重要な治療の望ましくない休止につながり得る。まれな場合には、重症筋肉消耗(横紋筋融解)が報告された。スタチンでの処置の間の不利な副作用のリスクは、ある種の他の薬物、例えば、シクロスポリン、フィブリン酸および誘導体(例えばゲムフィブロジル)、エルシロマイシン、ナイアシンまたは他の抗真菌剤との同時投与で増加する。スタチン治療を経験する患者によって経験されるものに類似の症状はまた、他の薬物での治療を経験する患者によって経験され得、または疾患状態の結果として経験され得る。
【0008】
こうして、筋肉疼痛および疲労の処置のための、および特に、ある種の薬物治療、特にスタチン治療と関連する副作用の処置のための必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、ある種の置換ベンゾキノン、例えば補酵素Q、特にQ10を、筋肉疼痛および疲労を処置するときに、およびある薬物治療と関連する不利な副作用を処置するために使用できることが見出された。特に、不利なスタチン治療関連性副作用の逆化または予防は、ある種の置換ベンゾキノンを、ウリジン、その生物学的前駆体またはその塩、エステル、互変異性体または類似体の投与と同時に、逐次的にまたは別個に投与することによって達成できる。これらの化合物はしたがって、ある種の薬物治療に有用な補助治療を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明の1実施態様にしたがって、スタチン治療の1または2以上の副作用の処置の方法であって、そのような処置の必要な対象に、有効量のウリジン、その生物学的前駆体のいずれか、その塩、エステル、互変異性体または類似体を、有効量の式(I)
【化1】

[式中、
はHまたはC1−16アルキルであり、
およびRはそれぞれ独立的に、H、ヒドロキシ、C1−16アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルケニル、C1−6アルケンオキシ、C1−6アルキニルまたはC1−6アルキンオキシから選択され、そして
は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキルオールまたはアルケニルオールである]
の少なくとも1つの化合物の投与と同時的に、逐次的にまたは別個に投与することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明の別の実施態様にしたがって、スタチン治療の1または2以上の副作用の処置の方法であって、そのような処置の必要な対象に、オロチン酸マグネシウムの有効量を、補酵素Q10の有効量の投与と同時的に、逐次的にまたは別個に、所望により1または2以上の薬学的に許容される添加剤と組み合わせて、投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明の更なる実施態様では、ウリジン、その生物学的前駆体のいずれかまたはそれらの塩、エステル、互変異性体または類似体、および式(I)の化合物の少なくとも1つの、スタチン治療の1または2以上の副作用の処置のための医薬の製造における使用を提供する。
【0013】
なお更なる実施態様では、オロチン酸マグネシウム、補酵素Q10、および所望により1または2以上の薬学的に許容される添加剤の、スタチン治療の1または2以上の副作用の処置のための医薬の製造における使用を提供する。本発明の更なる実施態様では、ウリジン、その生物学的前駆体、またはその塩、エステル、互変異性体または類似体、および式(I)の化合物の少なくとも1つを含む組成物を提供する。
【0014】
本発明のさらなる実施態様では、オロチン酸マグネシウム、補酵素Q10および所望により1または2以上の薬学的に許容される添加剤を含む組成物を提供する。
【0015】
本発明のなおさらなる実施態様では、ウリジン、その生物学的前駆体のいずれかまたはその塩、エステル、互変異性体または類似体および式(I)の化合物の少なくとも1つを含む組み合わせ包装品またはキットであって、ここで当該包装品またはキットは、ウリジン、その生物学的前駆体のいずれか、その塩、エステル、互変異性体または類似体と、式(I)の化合物の同時的、逐次的、または別個の投与のために適合化されている組み合わせ包装品またはキットを提供する。
【0016】
本発明のさらなる実施態様では、少なくとも1つのスタチン、ウリジン、その生物学的前駆体のいずれかまたはそれらの塩、エステル、互変異性体または類似体、および式(I)の少なくとも1つの化合物を含む、組み合わせ包装品またはキットであって、ここで当該包装品またはキットは、スタチン、ウリジン、その生物学的前駆体のいずれかまたはその塩、エステル、互変異性体または類似体、および式(I)の化合物の同時的、逐次的または別個投与に適合化されている、包装品またはキットを提供する。
【0017】
本発明のさらなる実施態様では、少なくとも1つのスタチン、オロチン酸マグネシウムおよび補酵素Q10を含む組み合わせ包装品またはキットであって、当該包装品またはキットは、スタチン、オロチン酸マグネシウムおよび補酵素Q10の同時的、逐次的または別個投与のために適合されている、組み合わせ包装品またはキットを提供する。
【0018】
本発明のさらなる実施態様では、筋肉疼痛および/または疲労の処置方法であって、そのような処置の必要な対象に有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明の更なる実施態様では、薬物治療の副作用の処置方法であって、そのような処置の必要な対象に、有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。該薬物治療は、例えば、高コレステロール血症のための治療、高脂血症のための治療、コルチコステロイド治療、または癌化学治療であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】30日の期間にわたり定量された、Q10を服用する患者の筋肉疼痛の不存在の増加を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な記載
以下に続く本明細書および請求の範囲を通じて、文脈が特に要しない限り、用語「含む」および活用形、例えば「含む」および「含んでいる」は、言及されている整数または工程または整数の群の包含を意味するが、他の整数または工程または整数の群を除外することを意味しないと理解される。
【0022】
ここで使用するように、用語アルキルは、直鎖または分枝環状完全に飽和炭化水素残基、好ましくは直鎖または分子アルキルをいう。直鎖および分枝アルキルの例は、C1−20アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−、または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、3−、4−、6−、7−および8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−、または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル等を含む。アルキルの他の例は、C21−25アルキル、C26−30アルキル、C31−35アルキル、C36−40アルキル、C41−46アルキル、C50−55アルキルおよびC56−60アルキルを含む。環式アルキルの例は、モノ−またはポリ環式アルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等を含む。
【0023】
ここで使用する用語「アルケニル」は、直鎖、分枝または環式炭化水素残基であって少なくとも1の炭素−炭素二重結合を含むものであって、先に定義したエチレン性モノ、ジ、またはポリ不飽和アルキル、またはシクロアルキル基を含む。アルケニルの例は、C1−20アルケニル、例えば、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、および1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルを含む。
【0024】
アルケニル基の他の例は、C10−15−アルケニル、C16−C20−アルケニル、C21−C25アルケニル、C26−C30アルケニル、C31−C35アルケニル、C36−C35アルケニル、C36−C40アルケニル、C41−C45アルケニル、C46−C50アルケニル、C51−C55アルケニル、C56−C60アルケニル、C61−C65アルケニル、C66−C70アルケニル、およびC71−C80アルケニルを含む。これらのそれぞれは、1または2以上のアルキルまたはアルケニル分枝を含み得る。
【0025】
アルケニルの特定の例は、
式(a)のイソプレノイド鎖:
【化2】

ここでn=1−20
【0026】
式(b)、(c)、(d)、(e)または(f)の(ポリ)アルケニル鎖
【化3】

ここでn=1−20
【0027】
【化4】

ここでn=1−20
【0028】
【化5】

ここでn=1−20
【0029】
【化6】

ここでn=1−20、および
【0030】
【化7】

ここでn=1−20
を含む。
【0031】
ここで使用するように用語「アルキニル」は、直鎖、分枝または環式炭化水素残基であって、少なくとも1の炭素−炭素3重結合を含むもので、エチニル性モノ、ジまたはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基であり前定義のものを含む。炭素原子の数は特記しないかぎり、好ましくはC1−20アルキニルを意味する。例はエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル異性体およびペンチニル異性体を含む。
【0032】
用語「アルコキシ」、「アルケンオキシ」および「アルキンオキシ」はそれぞれ前定義の酸素に連結されたときのアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を意味する。用語「アルキルオール」および「アルケニルオール」は、1または2以上の位置がヒドロキシルによって置換されたそれぞれアルキルおよびアルケニル基を意味する。
【0033】
式(I)の化合物または他の本発明の化合物の1または2以上は、不斉中心を有することができ、したがって1より多い立体異性体形態として存在することができることが認識される。本発明は、これらの形態のそれぞれに個々におよび、そしてラセミ体を含むその混合物に及ぶ。
【0034】
本発明の好ましい形態では、式(I)で、Rが水素、メチル、エチルまたはプロピル、好ましくは水素またはメチルである。
【0035】
さらなる好ましい形態では、RおよびRは、独立的に、H、C1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ、特にH、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシまたはプロピル、好ましくは、H、メチルまたはメトキシから選択される。さらなる好ましい形態では、RおよびRは、同じであり、そして両方H、メチルまたはメトキシであり得る。
【0036】
なおさらなる好ましい形態では、Rは、式(a)のイソプレノイド側鎖である。特に好ましくは、式(a)の側鎖がnが6ないし10であるものである。好ましい形態は、nは10である。
【0037】
特に好ましい化合物は、Rが水素またはメチル、かつRおよびRが両方水素またはメチルまたはメトキシであるものである。特に好ましい化合物は、Rがメチルであり、そしてRおよびRが両方メトキシであるものである。
【0038】
式(I)の化合物のもう1つの好ましい種類は、ユビキノンとしても知られる補酵素Q化合物であり、これらは、補酵素Q6、Q7、Q8、Q9、Q10およびQ11を含む。特に好ましい化合物は、補酵素Q10であり、これはまた、補酵素Q10と呼ばれ、そしてこれはここでQ10と称する。
【0039】
式(I)の化合物は、商業的に入手可能であり得(例えばQ10)、または有機化学の既知の方法を使用して合成し、または微生物学的手段によって取得され、または任意の1または2以上のこれらの手段によって取得される化合物から誘導し得る。
【0040】
「ウリジン、その生物学的前駆体またはその塩、エステル、互変異性体または類似体」というフレーズによって、ウリジンおよびヒトまたは動物に投与されると、インビボでウリジンに、またはヒトまたは動物系内でウリジンと同等な活性を有する化合物に変換されるすべての化合物を含むことを意図する。ウリジンまたはウリジンと同等な活性を有する化合物へのインビボでの変換は、1個以上の化学変換工程を含み得る。便宜のために、本明細書を通じて、このクラスの化合物を「ウリジン関連化合物」と称する。明確には、ウリジンの生物学的前駆体、これらの生物学的前駆体の塩、エステル、互変異性体または類似体を含む多数のウリジン関連化合物のサブクラスがこのクラス内に存在する。当業者によって十分理解される通り、用語「生物学的前駆体」は、ヒトまたは動物系内で、1または2以上の工程によりウリジンに変換される化合物を定義することを意図する。好ましくは、該変換は1ないし4工程、好ましくは1または2工程である。ウリジンの生物学的前駆体のある例は、ウリジン一リン酸、ウリジン三リン酸、オロチン酸、ジヒドロオロチン酸、トロアセチルウリジン、およびN−カルバモイルアスパルテートを含む。そのような化合物の塩と、生物学的に許容可能なカチオン、例えばマグネシウム、ナトリウム、カリウムのイオン、並びに互変異性体、例えばケトエノール互変異性体およびそのような化合物のエステルはまた、本発明に含まれる。特に好ましいオロチン酸の塩は、オロチン酸マグネシウムである。
【0041】
本発明の方法および組成物を使用し、ヒト、哺乳動物または他の動物対象を処置する。本発明は、ヒト対象の処置のために特に好適であると考えられる。非ヒト対象は霊長類、家畜動物、家庭コンパニオンアニマルおよび実験試験動物を含み得る。
【0042】
式(I)の化合物を、処置有効量で投与する。処置有効量へのここでの言及は、望まれる投与養生法にしたがって投与するとき、少なくとも部分的に望まれる治療効果を達成し、または疲労、筋肉疼痛または関連する薬物処置の副作用の開始を阻害、停止またはそのほかには遅延する量を含む。用語「処置」はしたがって、予防処置を含む。
【0043】
投与は、時間、日または週の間隔で起こり得、そして望まれる治療効果が維持または要求される限り継続し得る。好適な投与および投与養生法は、適当な健康専門職によって決定でき、そして副作用の特定の原因、状態の重度、並びに全般的健康、年齢および対象の体重に依存し得る。
【0044】
式(I)の化合物の好適用量は、1日あたり(すなわち24時間あたり)10mgないし4000mg、例えば1日あたり50ないし2000mgの範囲内であり得る。特に好適な用量は、1日あたり100ないし1000mgの範囲内であり得る。好ましくは、式(I)の化合物を1日あたり1回ないし4回投与し得る。ある例示的投与養生法は以下の通りである:1日あたり、1x200mg、1x250mg、1x300mgまたは1x400mg、または1日2回、例えば2x100mg、2x150mgまたは2x200mg。投与形態は、任意の好適な大きさ(例えば10mg、50mgまたは100mg)であり得る。本発明の好ましい実施態様では、Q10を、それぞれ150mgの2投与(例えば3x50mgのソフトゲルカプセルを含み得る)として1日2回投与し、1日あたり300mgの総投与を与える。
【0045】
ウリジン関連化合物の好適な用量は、1日あたり10mgないし10g、例えば1日あたり500ないし5gの範囲内であり得る。特に好適な用量は、1日あたり1000ないし4000mgの範囲内であり得る。好ましくはウリジンまたはウリジン関連化合物を、1日あたり1回ないし4回投与する。ある例示的投与養生法は、以下の通りである:1日あたり、1x800mg、1x1200mg、1x1600mgまたは1x2000mgまたは1日2回、例えば2x400mg、2x600mg、2x800mgまたは2x1000mg。投与形態は、任意の好適な大きさ(例えば200mg、400mgまたは1000mg)であり得る。本発明の好ましい実施態様では、オロチン酸マグネシウムを、それぞれ800mg(これは例えば2x400mg錠剤であり得る)の2用量として1日2回投与し、1日あたり1600mgの総投与を与える。
【0046】
本発明の方法は、ある種の状態または疾患、外科手術、傷害から、またはある種の薬物治療の副作用として生じる筋肉疲労または疼痛の任意の型を処置するために使用し得る。状態または疾患、例えばCFS、繊維筋痛、筋肋膜疼痛症候群、ウイルス性感染、筋変性、横紋筋融解、および神経筋疾患のような状態または疾患と関連する筋肉疼痛および/または疲労はまた、式(I)の化合物によって、好ましくはウリジン関連化合物と共用して(in conjunction with)処置し得る。
【0047】
本発明によって処置可能な副作用によって特徴付けられる治療薬物の群の1例は、スタチンであり、著明な数例は、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、セリバスタチンおよびフラバスタチンである。上記の通り、スタチン治療と関連する一般的な副作用は、横紋筋融解、頭痛、関節疼痛、発熱、筋肉疼痛、背痛、腹部筋痙攣、睡眠障害、鼻炎、副鼻腔炎、反射性咳の刺激、めまいおよび疲労を含む。筋肉疼痛および/または疼痛または本発明方法によって処置可能な他の症状が副作用であり得る、治療的薬物の他の例は、AZT、高コレステロール血症治療薬物(スタチン以外の、例えば胆汁酸結合剤、例えばコレスチラミンおよびコレスチポルまたはその他、例えばナイアシン、プロブコールまたはスタチン以外のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤)、高脂血症治療薬物、コルチコステロイドおよび癌化学治療薬物である。本発明の方法によって治療可能な副作用を生じ得る薬物の他の具体例は、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、シプロフィブレート、ベザフィブレート、ベタメタゾン、コルチゾン、プレドニソロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルダラビン、ミトザントロン、エピルビシン、タモキシフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、シスプラチンおよびエトポシドまたはそれらの塩、類似体または誘導体である。こうして式(I)の化合物、特にQ10は、好ましくはウリジン関連化合物と組み合わせて、薬物、例えばスタチンまたはその他を使用して、例えばAIDS、高コレステロール血症、高脂血症、痴呆症または癌、例えば前立腺、皮膚、肺、乳、結腸、膀胱、子宮および腎臓癌を処置する場合の有用な補助的処置であり得る。
【0048】
式(I)の少なくとも1つの化合物はまた、(別個に、同時的にまたは逐次的に)他の活性物質、そして特に1または2以上の更なる抗酸化剤化合物(複数含む)、例えばビタミンCまたはE、カロテノイド、カルニチン、またはそれらの誘導体または類似体と共同させて(in conjunction with)投与し得る。
【0049】
式(I)の化合物を、ウリジン関連化合物と組み合わせておよび/または治療薬物(例えばスタチン化合物)と共同させて、そして所望によりさらなる活性物質または抗酸化剤とともに投与できる。処置を構成する要素の組み合わせを、同時的に(別個の用量形態としてまたは単一組成物として)、逐次的に、または好適な時間間隔によって分離して投与し得る。成分が、別個の用量形態、すなわちじかに接触しない形態として投与される場合、それぞれの成分は同じ形態または異なる形態、例えば経口、経鼻、非経腸、経腸、経膣、または経皮で投与し得る。該化合物を、同時的、逐次的または別個に投与するとき、成分を別個投与形態として提供し得る。所望により、組み合わせの成分は、キット形態で提供し得、ここで該キットは好ましくは成分の別個の投与のために適合化された区画化された形態である。
【0050】
代替的には、組み合わせの成分が同時的に投与されるとき、これらを、2または3以上の成分を含む単一組成物として提供し得、またはキット形態で提供し得、ここで該キットは、成分の同時的投与のために区画化されている。
【0051】
式(I)の化合物、ウリジン関連化合物および/または抗酸化剤または他の活性物質、および/または治療薬物が、別個の用量形態で投与される場合、それぞれは、1または2以上の薬学的に許容される添加剤と一緒に製剤化し、組成物を形成し得る。治療の成分が単一組成物として投与される場合、組成物はまた、所望により1または2以上の薬学的許容添加剤を含み得る。
【0052】
医薬組成物の製剤化は、当業者に周知である。そのような組成物は、任意の好適な添加物、例えば担体、希釈剤、または賦形剤を含み得、これらは組成物の他の成分と両立可能であり、対象に無害である意味で薬学的に許容される。好適な添加物は、すべての慣行溶媒、油、分散媒体、充填剤、固体担体、被覆剤、抗真菌剤、抗細菌剤、経皮調製剤(適当な場合に)、乳化剤、等浸透圧および吸収剤などを含む。本発明の組成物はまた、他の補足的生理学的活性物質を含み得る。薬学的許容添加剤のさらなる詳細は、RemingtonのPharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania, USAに見出され得、引用によりその全体をここに含める。
【0053】
組成物は簡便には、単位用量形態で提供し得、そして製薬学の当業界周知方法によって製造し得る。そのような方法は、1種以上の補助成分を含む担体と活性成分の混合をもたらす工程を含む。一般には、組成物を、均一にかつ密接に、活性成分と、液体担体または微粉砕固体担体または両方を混合し、それから必要により製品に成形する。
【0054】
本発明の化合物および組成物を、経口投与のために提供し得(他の形態、たとえば非経腸、経腸、経膣、および経皮も、適当な状況下でまた企図され得るが)そして別個の単位、例えばカプセル、粉末または顆粒のサシェットまたはそれぞれが活性成分の予め決定された量を含む錠剤;粉末または顆粒として;水性または非水性液体の溶液または懸濁液として;油;ペースト;または水中油液体乳化液または油中水液体乳化液として提示し得る。錠剤を、所望により1または2以上の補助成分と、圧縮または成形によって作成し得る。圧縮された錠剤は、好適な機械で、自由流動形態、例えば粉末または顆粒の活性成分を、所望により結合剤(例えば不活性希釈剤、保存料崩壊剤(例えばグリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポリビニルプロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散剤と混合して圧縮することによって製造し得る。成形された錠剤を、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって、成形することにより製造し得る。錠剤を、所望により被覆または割線を付し、そして例えば種々の比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の活性成分のゆっくりしたまたは制御された放出を提供するように製剤化し、望まれる放出プロファイルを提供し得る。錠剤を所望により腸溶カプセルと共に提供し、消化管の胃以外の部分での放出を提供し得る。化合物をまた、ハードまたはソフトゼラチンカプセルの形態で提供し得る。
【0055】
前特記の活性成分に加えて、本発明の組成物は、問題の組成物のタイプを考慮して当業界で慣行の他の剤または添加剤を含み得、例えば経口投与のため好適なものは、結合剤、甘味料、濃厚剤、香味剤、崩壊剤、被覆剤、保存料、滑沢剤、および/または時間遅延剤のようなさらなる物質を含み得る。好適な甘味料は、スクロール、ラクトース、グルコース、アスパルテート、またはサッカリンを含む。好適な崩壊剤は、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸またはアガーを含む。好適な香味剤は、ペッパーミントオイル、ヒメコウジの油、チェリー、オレンジまたはラズベリー香料を含む。好適な被覆剤は、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはこれらのエステルのポリマーまたはコポリマー、ワックス、脂肪族アルコール、ゼイン、シェラック、またはグルテンを含む。好適な保存料は、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは重亜硫酸ナトリウムを含む。好適な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクを含む。好適な時間遅延剤は、モノステアリン酸グリセリル、ジアステアリン酸グリセリルを含む。
【0056】
本発明の化合物はまた、獣医学組成物での使用を提示し得る。これらは、当業界既知の任意の好適な手段によって製造し得る。そのような組成物の例は、以下のものに適合されるものを含む:
(a)経口投与、外部適用(例えば水性および非水性溶液または懸濁液を含む水薬)、錠剤、丸薬、粉末、顆粒、食品との混合用の球粒、舌への適用のためのペースト;
(b)非経腸投与、例えば皮下、筋肉内、または滅菌溶液または懸濁液としての静脈内注射、
(c)局所適用、例えばクリーム、軟膏、ゲル、ローション等。
【0057】
当業者は、ここに記載の本発明が、特に記載のものと異なる変形および修飾が可能であることを認識する。本発明は、この全般的記載の精神および範囲内に入る、すべてのそのような変形および修飾を含み得る。本発明は、個別にまたは集合的に、明細書で言及または指摘の、すべての工程、特徴、組成物および化合物、そして任意の2または3以上の当該工程または特徴のいずれかまたは全部の組み合わせを含む。
【0058】
本発明はここで、以下の例を引用して記載するが、例示の目的のみのためを異とし、そして前記全般を限定することを意図しない。
【実施例】
【0059】
実施例1
白人男性の約54歳の患者は、長年、脚にはじまり他の骨格筋に徐々に広がる原因不明の筋肉疼痛に罹患していた。症状の最悪時に、患者はその腕を頭より上に持ち上げることができず、そして車を運転できなかった。歩行はまた困難であった。
【0060】
患者は、抗炎症性薬物および鎮痛薬を処方され、これらは、顕著な軽減は提供しなかった。患者は、最終的に多数のウイルス感染症:サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)およびA型肝炎に罹患していると診断された。
【0061】
患者は、1日あたり150mgの補酵素Q10の養生法を開始した。数日内に、患者は筋肉疼痛が顕著に鎮まり、そして一般的な健康感が改善されたことを報告した。改善は、患者がQ10を摂取している限り、永続的であるとして報告された。あるとき、患者はQ10服用を停止し、そして筋肉疼痛が再帰した。患者がQ10処置を再開始したとき、疼痛は短期間で軽減した。
【0062】
実施例2
白人女性の約44歳の患者は、長年、慢性疲労症候群に罹患していた。状態は彼女が職業の教職を遂行できなかったほど十分重症であり、そして毎日の仕事は全般に、一般的な意味の疲労および筋肉疼痛を有しつつ実施された。筋肉疼痛は全般に、500mgのパラセタモルおよび8mgのリン酸コデインを含む店頭販売(すなわち非処方)鎮痛剤を1日あたり2−4錠剤で制御された。
【0063】
表1は、患者の1日あたり2x10mgのQ10(それぞれ朝食および夕食時に50mg服用)の投与養生法の間の自己評価レベルの一般的な健康感、毎日の仕事を実施する能力および筋肉疼痛の(または比較的不存在の)レベルの要約を提供する。レベルは患者によって0−10のスケールで評価され、0は重症の無力または疼痛を示し、そして10は、疼痛または疲労の完全な不存在/優れた動作を示す。
【0064】
図1は、30日の期間にわたり1−10のスケールの、患者にとって自己評価疼痛(の不存在)のレベルを示す。ここで0は重症疼痛であり、10は疼痛の不存在(健康)に関連する。第1日に、患者は1日あたり100mgのQ10を、第10日まで服用開始し、その時点で1日あたり200mgまで用量を増加した。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例3
パイロット臨床試験−補酵素Q10の、スタチン誘導性疲労および筋肉疼痛に罹患する患者への投与
表2は、高コレステロール血症の処置のためスタチン治療を経験し、かつ種々のレベル筋肉疼痛および疲労に罹患していると報告していた、4人の患者(#1−#4と番号を付す)についてのデータを概説する。この試験は継続中であるが、以下の結果は、第−1週(WK(−1))から第+4週(WK(+4))までのこれら4人の患者の試験を追う。
【0067】
患者は、第−1、0、+1、+2および+4週に病院に連絡するかまたは来院した。病院では最初の週(WK(−1))に、患者のスタチン投薬の詳細が記録され、そして1日用量を記録した。患者はまた、Pain Rating Index(PRI)およびPresent Pain Intensity(PPI)のためのMcGill疼痛問診表(Melzack, R., 1975 “The McGill Pain Questionnaire: Major Properties and Scoring Methods”. Pain 1:277-299, この開示を引用によりその全体をここに含める)スケールを使用して疼痛をスコアー化した。2つのスコアーを含む、PRI指数では、スコアーが上がる程、疼痛のレベルが上がることを示す。PPI指数において疼痛存在は、0ないし5のスコアーをあたえ、ここで0は疼痛なしおよび5は耐え難い疼痛を示す。患者はまたWK(−1)に疲労について、Fatigue Impact Scale(Fisk, J. D. et al., 1994,“Mesuring the functional impact of fatigue: Initial Validation of the Fatigue Impact Scale”, Clinical Infectious Disease, 18(Suppl 1): S79-83, 引用によりその全体の開示をここに含める)を使用してスコアー化した。PRI、PPIおよびFISスコアーを決定するための問診は、その後第+1、+2および+4週に実施した。第+1週および+2週に、患者に電話で連絡し、そして病院に自己評価問診表を郵送するよう要求した。
【0068】
WK(0)およびWK(+4)に、血液サンプルを患者から採取し、個体のQ10(Q10)(μg/ml)のベースラインレベル(患者コンプライアンスを監視するため)、クレアチンキナーゼ濃度(CK)(単位/L)(筋肉傷害の血液測定として)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ濃度(ALT)(単位/L)(肝臓傷害の測定のため)、並びに血清脂質レベルを決定した。患者#1ないし#4において、Q10の投与は、血清コレステロール、HDL−コレステロールまたはLDL−コレステロールおよびトリグリセリドのレベルについてスタチン治療に有意には影響しなかった。
【0069】
血液クレアチンキナーゼ濃度の正常範囲は、0−200単位/Lであり、そしてアラニンアミノトランスフェラーゼの血液濃度の正常範囲は、0−40単位/Lであることが注目されるべきである。
【0070】
WK(0)に開始し、試験中継続して、患者は、300mgの1日用量の補酵素Q10(Q10)を服用することを求められ、それは3x50mgのソフトゲルカプセル(商業的にR. P. Schereから入手可能)として、朝晩に、投与された。
【0071】
上記パラメータの結果は表2に示すとおりである。PRIおよびFISスコアーのほんのわずかな減少が、いくらかの患者について記されたが、これらの減少は、あまり顕著ではなかった。患者疼痛および疲労指標は、長期処置によって減少し得ることが可能である。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例4
パイロット臨床試験−補酵素Q10およびオロチン酸マグネシウムの、スタチン誘導性疲労および筋肉疼痛に罹患する患者への投与
表3は、高コレステロール血症の処置のためのスタチン治療を経験し、かつ、種々のレベルの筋肉疼痛および疲労に罹患していると報告していた4人の患者(#i−#ivと番号を付す)についてのデータを概説する。この試験は、継続中であるが、以下の結果は第−1週(WK(−1))ないし第+4週(WK(+4))のこれら4人の患者に関する試験を追う。
【0074】
患者は、第−1、0、+1、+2および+4週に病院に連絡するかまたは来院した。病院での最初の週に(WK(−1))、患者のスタチン投薬の詳細を記録し、そして1日用量を記録した。患者はまた、Pain Rating Index(PRI)およびPresent Pain Intensity(PPI)のためのMcGill Pain Questionnarire(Melzack, R., 1975''The McGill Pain Questionnaire: Major Properties and Scoring Methods''. Pain 1:277-299, 引用によりその開示を全体としてここに含める)スケールを使用して、疼痛についてスコアー化した。2つのスコアーを含むPPI指数では、スコアーが上がる程、疼痛のレベルが上がることを示す。PPI指数では疼痛存在は、0ないし5のスコアーを与え、ここで0は疼痛なし、そして5は耐え難い疼痛を示す。患者はまた、WK(−1)に疲労について、Fatigue Impact Scale(Fisk, J.D. et al., 1994“Measuring the functional impact of fatigue:Initial Validation of the Fatigue Impact Scale”, Clinical Infections Disease, 18(Suppl 1):S79-83, 引用によりその開示を全体としてここに含める)を使用してスコアー化した。PRI、PPIおよびFISスコアーを決定するための問診は、その後第+1、+2および+4週に実施した。第+1および+2週に、患者に電話で連絡し、そして病院に自己評価問診表を郵送するよう要求した。
【0075】
WK(0)に、患者は、300mgの補酵素Q10(実施例3に記載の通り)および朝晩2×400mg錠として投与される1600mgのオロチン酸マグネシウムの1日用量を服用することを開始した。
【0076】
血液サンプルを、WK(0)およびWK(+4)に採取し、個体のQ10(Q10)(μg/ml)レベルを決定し、これによって患者のコンプライアンスを監視した。実施例3と同様、WK(0)およびWK(+4)に取得された血液サンプルをまた使用し、クレアチンキナーゼ濃度(CK)(単位/L)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ濃度(ALT)(単位/L)、並びに血清脂質レベルを決定した。患者#i−#ivにおいて、実施された共投与は、血清コレステロール、HDL−コレステロールまたはLDL−コレステロールおよびトリグリセリドのレベルについては有意にはスタチン治療に影響しなかった。
【0077】
表3に示される結果からみることができるように、PRIおよびPPI疼痛スコアーおよびFIS疲労スコアーの有意な改善が、組み合わせ治療を経験する事実上すべての患者において記録され、これは、Q10およびオロチン酸マグネシウムの組み合わせ投与に起因する、疼痛および疲労の処置における相乗的活性を実証するように思われる。
【0078】
血液クレアチンキナーゼ濃度の正常範囲が0−200単位/Lであり、そして、アラニンアミノトランスフェラーゼの血液濃度の正常範囲は0−40単位/Lであることが注目されるべきである。
【0079】
患者#iは、異常に高い血清クレアチンキナーゼレベルをWK(0)に示し、筋肉傷害を示した(411単位/L)。4週間の組み合わせQ10およびオロチン酸マグネシウム処置後、CKレベルは正常範囲(181単位/L)以内に低下した。これらの結果は、筋肉傷害への該組み合わせ治療の有益な影響を強調する。
【0080】
患者#iおよび#iiは、異常に高い血清ALTを、WK(0)に示し(42単位/L)、肝臓傷害を示す。4週間の組み合わせたQ10およびオロチン酸マグネシウム処置後、ALTレベルは正常範囲以内に低下した(それぞれ31、32単位/L)。これらの結果は組み合わせ治療の肝臓傷害への有益な影響を強調する。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタチン治療の副作用の1または2以上の副作用の処置の方法であって、そのような処置の必要な対象に、有効量のウリジン、そのいずれかの生物学的前駆体またはそれらの塩、エステル、互変異性体または類似体を、式(I)
【化1】

[式中、
はHまたはC1−16アルキルから選択され、
およびRはそれぞれ独立的に、H、ヒドロキシ、C1−16アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルケニル、C1−6アルケンオキシ、C1−6アルキニルまたはC1−6アルキンオキシから選択され、そして
は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキルオールまたはアルケニルオールである]
の少なくとも1つの化合物の有効量の投与と同時的、逐次的または別個に投与することを含む方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−248230(P2010−248230A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151665(P2010−151665)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2002−545692(P2002−545692)の分割
【原出願日】平成13年11月29日(2001.11.29)
【出願人】(504204797)マグラル・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MAGRAL LIMITED
【Fターム(参考)】