説明

スタッド溶接装置

【課題】駆動主軸の軸方向動を阻害することなく、この駆動主軸300の軸周りの回転を適正に規制し、長期間安定した溶接作業が可能なスタッド溶接装置を提供する。
【解決手段】本体ハウジング200と、この本体ハウジング200内に所定の行程を軸方向移動可能に保持された駆動主軸300と、この駆動主軸300の先端側に連結固定され、スタッド保持チャック450が取り付けられるチャックアダプタ400と、このチャックアダプタ400に接続された給電ケーブル370と、を備えたスタッド溶接装置であって、上記駆動主軸300には、その側方に延出するガイド突起340が設けられ、このガイド突起340には、所定の回転軸心周りに自由回転する回転体362が支持されている一方、上記本体ハウジング200には、上記回転体362が接触転動するガイドスロット270が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、スタッド溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるスタッド溶接ガンと称されるスタッド溶接装置の構成は、たとえば、特許文献1に開示されている。このようなスタッド溶接装置は、本体ハウジング内にたとえばフロントシャフトと呼ばれる駆動主軸が内装されており、この駆動主軸の先端側にチャックアダプタを介してチャックが取り付けられる。このチャックは通常、溶接に用いられるスタッドの一端側の太さ等の形態に対応した種々のものが準備され、スタッドの形態に対応させて適当なものに交換される。このスタッド溶接装置は、上記のチャックにスタッドの一端が保持された状態で使用される。
【0003】
上記駆動主軸は通常、本体ハウジング内に軸方向に所定の行程をもって移動可能に保持されているとともに、ばねによって常時押し出し方向に付勢されている一方、適時、電磁力によって引き上げ駆動されるようになっている。上記チャックアダプタは、その基端側に対して絶縁された先端側の導体部分に給電ケーブルが接続されている。
【0004】
上記のスタッド溶接装置を用いた溶接は、大略、次のようにして行われる。上記チャックに所定のスタッドがその基端において保持される。本体ハウジングを把持した作業者は、本体ハウジングに付設されているフェルール押しつけガイドによって、スタッドの先端に外嵌させたフェルールを母材に押しつけるようにする。フェルールは、スタッドに対して軸方向相対移動可能に外嵌されているので、このとき、スタッドは、駆動主軸を押し出し方向に付勢するばねの弾力により、先端が母材に押しつけられた格好となる。この状態を保持したまま本体ハウジングの適部に配置された起動スイッチを押すと、駆動主軸ないしスタッドは、電磁力によって所定距離引き上げられ、スタッドの先端と母材との間には所定のすきまができる。次いで、給電ケーブルから溶接電流が給電される。スタッドの先端と母材との間にアーク放電が起こり、この放電エネルギによってスタッド先端が溶融する。上記の電磁力は適時オフされ、上記のばねにより、スタッドには母材に向けた押しつけ力が作用させられる。そして、溶融金属がフェルールの内部空間を満たすとともにやがて固化し、母材に対するスタッド先端の溶接が完了する。
【0005】
【特許文献1】特開2002−307167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本体ハウジングに対して駆動主軸は軸方向往復移動可能となっているが、チャックアダプタ、およびチャックを介して保持されるスタッドの保持安定性を確保する等のためには、この駆動主軸は、本体ハウジングに対して軸周りに回転不能とするべきである。この種のスタッド溶接装置においてはまた、電磁力を解除したとたん、駆動主軸ないしスタッドがばねの弾力によって急激に押し出し方向に移動してスタッド先端が母材に衝撃的に当接することを防止するために、本体ハウジングの外側に付設したショックアブソーバによって上記駆動主軸の押し出し方向の動きを緩衝する構成を付加する場合がある。この場合、駆動主軸から延出したストッパアームをショックアブソーバのプッシュロッドに確実に当接させるためにも、上記駆動主軸の軸周り回転を規制する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記したように、駆動主軸と一体的な上記のチャックアダプタには、給電ケーブルが接続されており、かつ、この給電ケーブルは大きな電流容量を確保するために比較的重量をもったケーブルであるため、このスタッド溶接装置に採らせる姿勢によってはこの給電ケーブルの重量あるいはこれに作用する引っ張り力により、駆動主軸に大きな回転力が作用することがある。したがって、たとえば、駆動主軸から延出させた回動規制突起、あるいはストッパアームを本体ハウジングに設けたガイドスロットに摺動係合させてこの駆動主軸の回転を規制するだけでは、上記回動規制突起あるいはストッパアームとガイドスロットとの間に作用する摩擦力により、駆動主軸の円滑な軸方向移動が阻害される虞がある。そうすると、スタッド溶接装置による溶接作業が不可能となる。
【0008】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、駆動主軸の軸方向動を阻害することなく、この駆動主軸の軸周りの回転を適正に規制し、長期間安定した溶接作業が可能なスタッド溶接装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を採用している。
【0010】
すなわち、本願発明によって提供されるスタッド溶接装置は、本体ハウジングと、この本体ハウジング内に所定の行程を軸方向移動可能に保持された駆動主軸と、この駆動主軸の先端側に連結固定され、スタッド保持チャックが取り付けられるチャックアダプタと、このチャックアダプタに接続された給電ケーブルと、を備えたスタッド溶接装置であって、上記駆動主軸には、その側方に延出するガイド突起が設けられ、このガイド突起には、所定の回転軸心周りに自由回転する回転体が支持されている一方、上記本体ハウジングには、上記回転体が接触転動するガイドスロットが形成されていることを特徴とする。
【0011】
好ましい実施の形態では、上記ガイドスロットは、互いに平行に対向する2つのガイド面を有している。
【0012】
好ましい実施の形態ではまた、上記回転体は、1つ設けられており、上記ガイドスロットの2つのガイド面間距離は、上記1つの回転体が上記2つのガイド面のいずれか一方に接触転動しうるように設定されている。
【0013】
他の好ましい実施の形態では、上記回転体は、2つ設けられており、一方の回転体が上記ガイドスロットの2つのガイド面の一方に接触転動し、他方の回転体が上記ガイドスロットの2つのガイド面の他方に接触転動するように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、駆動主軸ないしチャックアダプタ、ないしはさらにその先端側にチャックを介して保持されるスタッドが本体ハウジングに対して軸方向に移動するに際し、ガイド突起に支持されて自由回転する回転体がガイドスロットのガイド面を転動する。したがって、上記駆動主軸が軸方向に移動する際に回転方向の外力が作用しても、この駆動主軸の回転は阻止される。また、回転体とガイドスロットのガイド面との間には転がり摩擦が作用するだけであるので、駆動主軸の軸方向移動が阻害されることもない。
【0015】
したがって、このスタッド溶接装置は、その姿勢により給電ケーブルの重量あるいは張力によってチャックアダプタないし駆動主軸に回転力が作用しても、これによって駆動主軸が不用意に回転することもなければ、軸方向の移動が阻害することもなく、適正な溶接作業を継続することができる。
【0016】
好ましい実施の形態ではまた、上記回転体は、上記ガイド突起に内輪が固定されたベアリングの外輪によって構成されている。
【0017】
このようにすれば、市販のベアリングを採用することができるので、製作コストを低減することができる。
【0018】
好ましい実施の形態ではさらに、上記本体ハウジングには、上記駆動主軸の軸線と平行な軸線をもつショックアブソーバが付設されており、上記ガイド突起は、上記ショックアブソーバの作用ロッドに当接しうるように形成されている。
【0019】
このようにすれば、上記ガイド突起に、ショックアブソーバと協働した駆動主軸の緩衝移動作用を実現するための部材を兼用させることができる。
【0020】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本願発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1ないし図4に、本願発明のスタッド溶接装置100の一実施形態を示す。図1に表れているように、このスタッド溶接装置100は、円筒状をした本体ハウジング200と、この本体ハウジング200内に軸方向移動可能に保持された駆動主軸300と、この駆動主軸300の先端側に連結されたチャックアダプタ400とを備える。このチャックアダプタ400には、使用されるスタッド500の基端側の太さ等の形態に対応させてこのスタッド500の基端側を外嵌保持できるチャック450が取り付けられる。本体ハウジング200には、作業者が把持するグリップ部210が一体延出させられている。
【0023】
駆動主軸300は、図3に表れているように、先端側軸部310と、この先端側軸部310の基端側に隣接する大径部320と、この大径部320よりさらに基端側に延出する小径の引き上げロッド部330とを備える。本体ハウジング200内には、上記駆動主軸300を軸方向移動可能に保持する保持孔220が形成されている。この保持孔220は、上記駆動主軸300の先端側軸部310を滑り軸受221を介して軸方向摺動可能かつ軸転可能に支持する先端側小径部222と、この先端側小径部222と基端側に連続して上記大径部320を収容する大径部223とを有する。この保持孔220の大径部223は、駆動主軸300の大径部320の軸方向長さ寸法よりも大の軸方向長さ寸法を有している。駆動主軸300の軸方向移動行程は、大径部320が上記保持孔220の小径部222と大径部223とを境界する段部224に当接することによって、その前端が規定される。こうして移動行程前端が規定される上記駆動主軸300は、その大径部320が上記保持孔220の大径部223の軸方向長さ寸法が許容する範囲で所定距離引き上げ動可能となる。また、この駆動主軸300は、上記保持孔220の上記大径部223内に配置した圧縮コイルばね230の前端を上記大径部320の基端側の面に弾接させることにより、常時押し出し方向に弾力付勢されている。
【0024】
上記本体ハウジング200内の基端側には、ベアリングを介して、前端側に上記引き上げロッド部330の基端側の部位を収容しうる有底孔241を設けた、磁性体からなる引き上げピース240が軸方向移動可能に保持されている。この引き上げピース240はまた、比較的弾力の弱いばね250により、常時先端方向に付勢されている。上記本体ハウジング200の基端側にはまた、上記引き上げピース240を取り囲むようにして電磁コイル260が組み込まれている。この電磁コイル260が取り囲む空間の後端部には、上記引き上げピース240の移動行程後端を規定するためのストッパ軸261が設けられている。
【0025】
上記引き上げピース240の有底孔241の入り口部位には、ねじ251によってこの引き上げピース240に固定された所定厚みのクランプ板252が揺動可能に設けられている。このクランプ板252には、上記駆動主軸300の引き上げロッド部330が挿通される保持孔253が設けられている。
【0026】
図3に表れているように、駆動主軸300の大径部320には、軸直交方向に延出する軸状のガイド突起340が設けられている。このガイド突起340にはまた、内輪361と、外輪362と、これら内輪361と外輪362との間に介装された複数のボール363からなるベアリング、すなわち、転がり玉軸受360が、その内輪361を外嵌圧入することによって取り付けられている。このベアリング360の外輪362は、上記ガイド突起340に対して、その軸心を中心として回転する回転体として機能する。上記ガイド突起340はまた、上記ベアリング360よりもさらに延出して、後記するショックアブソーバ280の作用ロッド281に当接しうるストッパ部341を備える。
【0027】
一方、上記本体ハウジング200には、図3および図4に表れているすように、上記ベアリング360の外輪362(回転体)が接触転動しうるガイドスロット270が形成されている。このガイドスロット270は、互いに平行に対向し、かつ上記駆動主軸300の軸線と平行な直線状に延びる2つのガイド面271,272を内面に備えており、これら2つのガイド面271,272間に上記ベアリング360の外輪362が位置させられる。これら2つのガイド面271,272どうしの間隔は、上記ベアリング360の外輪362の外径寸法に対してわずかに大の寸法とされる。
【0028】
図3に表れているように、上記本体ハウジング200には、ショックアブソーバ280が付設される。このショックアブソーバ280は、シリンダ282と、このシリンダ内に組み込まれた作用ロッド281とを備え、この作用ロッド281に対する軸方向の衝撃力を内部のオイルの粘性によって緩和し、この作用ロッド281の滑らかな軸方向動を実現する公知のものである。このショックアブソーバ280はまた、その軸線が上記駆動主軸300の軸線と平行となるようにして、かつ、後方に向けて延びる作用ロッド281の端部に上記ストッパ部341が当接しうる位置において、上記本体ハウジング200に対して付設される。
【0029】
図1に表れているように、上記チャックアダプタ400は、ねじによって上記駆動主軸300の先端側に接続固定されており、その後端側の部分に対して絶縁された先端側部分410に、給電ケーブル370が接続されている。このチャックアダプタ400の先端側には、スタッド500の一端に外嵌されてこのスタッド500を保持するためのチャック450が着脱可能に装着される。このチャック450は、スタッド500の基部の形状等に対応し、種々のスタッド500を保持できる種々のものが準備される。図に示す例では、このチャック450の先端側には、スリットを設けたソケット部451が形成されており、このソケット部451に所定のスタッド500の基部が嵌合保持されるようになっている。
【0030】
図1において符号290は、フェルール押し付けガイドを示しており、このフェルール押し付けガイド290は、本体ハウジング200の適部に基端が支持されて前方に所定距離延びるロッド状の支持部材291の先端に、スタッド500を横方向から抱くように形成されたホーク状の押し付け部292を形成したものである。フェルール510とは、図1に示すように、スタッド500の先端に嵌合させた所定の軸方向長さをもつ筒状の部材であり、耐熱セラミック等で形成される。このフェルール510は、基端側がスタッド500の外周にスライド可能な程度に嵌合する一方、先端側には、スタッド500の径より大の内径で先端側に開放する空間が確保されている。
【0031】
本体ハウジング200から延びるグリップ部210には、起動ボタン211が設けられている。また、このグリップ部210の内部には、電磁コイル260に給電するためのケーブル212が内装されている。このケーブル212は、起動ボタン211に連携するスイッチ回路213から延びるケーブル214と束ねられて、グリップ部210の下端部から延ばされている。
【0032】
次に、上記構成のスタッド溶接装置100の動作について説明する。
【0033】
作業者は、このスタッド溶接装置100を把持し、スタッド500の先端に嵌合させたフェルール510を母材Mに押し付けるような姿勢をとる。フェルール510は、上記したようにフェルール押し付けガイド290によって押し付けられるので、このとき、フェルール510およびフェルール押し付けガイド290を介して、母材Mに対するスタッド溶接装置100のスタッド500の軸線方向の位置が規定される。このとき、スタッド500は、駆動主軸300を押圧する圧縮コイルばね230によって押し出し方向への弾力を受けているので、その先端が母材Mに対して弾性的に突き当てられた格好となる。
【0034】
起動ボタン211を押すと、まず、電磁コイル260に通電され、電磁力によって引き上げピース240が後方に向けて移動させられる。これに伴い、クランプ板252が揺動し、このクランプ板252に引き上げロッド部330が引っかけ状にクランプされる。以後、引き上げピース240の動きに応じて駆動主軸300が所定距離引き上げられ、これにともなってチャックアダプタ400、チャック450ないしスタッド500が所定距離引き上げられる。このとき、フェルール510が母材Mに押し付けられたまま、母材Mとスタッド500の先端との間には、上記の引き上げ量に応じたすきまが生じる。
【0035】
次いで、給電ケーブル370からの給電が行われ、母材Mとスタッド500の先端との間にアーク放電が起こり、そのエネルギによってスタッド先端が溶融する。次のタイミングで電磁コイル260への通電が遮断され、引き上げピース240はばねの弾力によって元に戻り、クランプ板252による引き上げロッド部330のクランプも解除されて、駆動主軸300ないしスタッド500は、圧縮コイルばね230によって所定の弾力で母材Mに向けて押し付けられる。なお、このときの駆動主軸300の動きは、ガイド突起340の先端に形成したストッパ部341がショックアブソーバ280の作用ロッド281の端部に当接してこの作用ロッド281を押し込むようにすることにより、緩やかなものとなる。これにより、フェルール510の内部空間はスタッド先端が溶融したことによる溶融金属で満たされ、やがてこの溶融金属がフェルール510の内部空間に鋳込まれた格好で固化する。チャック450をスタッド500の基端から離脱させ、フェルール510を打ち壊して除去すれば、母材Mに対するスタッド500の溶接が完了する。
【0036】
上記のように、このスタッド溶接装置100においては、動作の過程において、駆動主軸300はいったん引き上げられ、次にばねの弾力によって押し出されるという、軸方向往復運動を行う。このとき、どの方向にスタッド500を向けて溶接するかを選択する場合や、スタッド500の装着時等において、このスタッド溶接装置100の位置を変更する場合に比較的重量のある給電ケーブル370からの力を受けて、駆動主軸300には軸周り方向の回転力を頻繁に受ける。
【0037】
しかしながら、上記構成のスタッド溶接装置100においては、駆動主軸300は、そのガイド突起340に設けた回転体(外輪362)が本体ハウジング200のガイドスロット270のガイド面271,272に当接することにより、軸周りに回転することはない。また、この駆動主軸300が軸方向に移動する際にも、上記回転体がガイドスロット270のガイド面271,272に接触転動する。したがって、駆動主軸300の軸方向移動を阻害する抵抗が発生することは、ほとんどない。
【0038】
これにより、上記構成のスタッド溶接装置100によれば、長期間安定した溶接作業を継続して行うことが可能となる。
【0039】
なお、上記した実施形態では、回転体を取り付けるべきガイド突起340の一部を、ショックアブソーバ280の作用ロッド281を押し込むためのストッパ部341として用いるようにしているので、溶接動作において、いったん引き上げたスタッド500を、アーク放電後に母材Mに押し付ける動作をショックアブソーバ280によって緩和するように構成する場合、部品点数を削減し、スタッド溶接装置100としての全体的な構成を簡略化することができる。
【0040】
もちろん、この発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内でのあらゆる変更は、すべて本願発明の範囲に含まれる。
【0041】
実施形態では、本体ハウジング200に形成したガイドスロット270内に入り込んで駆動主軸300の回転を防止する回転体として、市販のベアリング(転がり玉軸受)を利用したが、回転体の具体的構成は、これに限られない。
【0042】
また、実施形態では、上記回転体としてのベアリングを、ガイド突起340に対して1つ設けたが、回転体の数はこれに限定されない。たとえば、図5に示すように、2つのベアリング360を用い、その一方をガイドスロット270の一方の内面に接触転動し、他方を上記ガイドスロット270の他方の内面に接触転動させる場合も、もちろん本願発明の範囲に含まれる。
【0043】
さらに、駆動主軸300を引き上げるための構成、また、引き上げ力を解除して母材方向に押し付けるための構成等もまた、実施形態において具体的に説明したものに限られるものではない。
【0044】
さらに、実施形態は、本体ハウジング200にグリップ部210を設けて作業者がグリップ部210を把持して作業をする、いわゆるスタッド溶接ガンとしての構成を採用しているが、本願発明はかかる構成に限定されるものでもなく、本体ハウジングをたとえば溶接ロボットに支持させる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本願発明に係るスタッド溶接装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図3のIV-IV線矢視図である。
【図5】他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
100 スタッド溶接装置
200 本体ハウジング
210 グリップ部
211 起動ボタン
220 保持孔
230 圧縮コイルばね
240 引き上げピース
260 電磁コイル
270 ガイドスロット
280 ショックアブソーバ
281 作用ロッド
290 フェルール押し付けガイド
300 駆動主軸
310 先端側軸部
320 大径部
330 引き上げロッド部
340 ガイド突起
341 ストッパ部
360 転がり玉軸受(ベアリング)
361 内輪
362 外輪(回転体)
370 給電ケーブル
400 チャックアダプタ
450 チャック
500 スタッド
510 フェルール
M 母材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングと、この本体ハウジング内に所定の行程を軸方向移動可能に保持された駆動主軸と、この駆動主軸の先端側に連結固定され、スタッド保持チャックが取り付けられるチャックアダプタと、このチャックアダプタに接続された給電ケーブルと、を備えたスタッド溶接装置であって、
上記駆動主軸には、その側方に延出するガイド突起が設けられ、このガイド突起には、所定の回転軸心周りに自由回転する回転体が支持されている一方、
上記本体ハウジングには、上記回転体が接触転動するガイドスロットが形成されていることを特徴とする、スタッド溶接装置。
【請求項2】
上記ガイドスロットは、互いに平行に対向する2つのガイド面を有している、請求項1に記載のスタッド溶接装置。
【請求項3】
上記回転体は、1つ設けられており、上記ガイドスロットの2つのガイド面間距離は、上記1つの回転体が上記2つのガイド面のいずれか一方に接触転動しうるように設定されている、請求項2に記載のスタッド溶接装置。
【請求項4】
上記回転体は、2つ設けられており、一方の回転体が上記ガイドスロットの2つのガイド面の一方に接触転動し、他方の回転体が上記ガイドスロットの2つのガイド面の他方に接触転動するように構成されている、請求項2に記載のスタッド溶接装置。
【請求項5】
上記回転体は、上記ガイド突起に内輪が固定されたベアリングの外輪によって構成されている、請求項3または4に記載のスタッド溶接装置。
【請求項6】
上記本体ハウジングには、上記駆動主軸の軸線と平行な軸線をもつショックアブソーバが付設されており、上記ガイド突起は、上記ショックアブソーバの作用ロッドに当接しうるように形成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のスタッド溶接装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−209990(P2007−209990A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29514(P2006−29514)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)