説明

スタビライザブッシュおよびその組付体の製造方法

【課題】スタビライザバーへの組付性を良好にするために切割部を備えつつ、切割部の拡開を抑制することができるスタビライザブッシュを提供する。
【解決手段】スタビライザブッシュ10は、スタビライザバー40を嵌め入れ可能な軸方向貫通孔21を有する筒状に形成されたゴム弾性体本体20と、補強部材30とを備える。ゴム弾性体本体20は、外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って形成された切割部24と、切割部24を介して連続するようにかつゴム弾性体本体20の軸方向端面に開口するように形成された空隙部25とを備える。補強部材30は、ゴム弾性体本体20をスタビライザバー40の外周面に装着した後に、切割部24を跨いで空隙部25内に軸方向端面の開口から挿入され、切割部24の拡開を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のゴム弾性体を備え、スタビライザバーを挿通保持するスタビライザブッシュ、および、当該スタビライザブッシュをスタビライザバーに組み付けた組付体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載されているように、スタビライザブッシュは、スタビライザバーへの組付を容易にするために、外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って切割部を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−46110号公報
【特許文献2】特開2004−257540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、切割部を有する構造においては、当該切割部から異物が侵入しやすくなり、異音の原因および耐久性低下の原因となる。特許文献1,2において、筒状のゴム弾性体の中に補強部材を埋設することによって、ゴム弾性体のみに比べると切割部の拡開を抑制することができている。しかし、切割部の拡開による異物侵入に対しては、改善の余地がある。特に、近年の車両の静粛性の向上により、スタビライザブッシュにおいても異音の発生をより抑制することが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スタビライザバーへの組付性を良好にするために切割部を備えつつ、切割部の拡開を抑制することができるスタビライザブッシュ、および、その組付体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ね、スタビライザバーへの装着前に補強部材をゴム弾性体に埋設するのではなく、ゴム弾性体本体をスタビライザバーに装着した後に、ゴム弾性体本体の切割部を跨ぐように補強部材を挿入することを思いつき、本発明を発明するに至った。
【0007】
(スタビライザブッシュ)
・本発明に係るスタビライザブッシュは、スタビライザバーを嵌め入れ可能な軸方向貫通孔を有する筒状に形成されたゴム弾性体本体であり、前記ゴム弾性体本体の外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って形成された切割部と、前記切割部を介して連続するようにかつ前記ゴム弾性体本体の軸方向端面に開口するように形成された空隙部とを備える前記ゴム弾性体本体と、前記ゴム弾性体本体を前記スタビライザバーの外周面に装着した後に、前記切割部を跨いで前記空隙部内に前記軸方向端面の開口から挿入され、前記切割部の拡開を規制する補強部材とを備える。
【0008】
本発明によれば、補強部材が切割部を跨いで配置されているため、切割部が拡開することを確実に規制できる。従って、切割部から異物が侵入することを抑制できる。ここで、補強部材がゴム弾性体本体の切割部を跨いで配置されるためには、補強部材をゴム弾性体本体に装着する前に、ゴム弾性体本体をスタビライザバーへ装着する必要がある。そこで、ゴム弾性体本体には、後から補強部材を挿入できるように、空隙部を形成することとしている。これにより、ゴム弾性体本体をスタビライザバーへ装着した後に、補強部材をゴム弾性体本体の内部へ挿入することができる。
【0009】
・また、前記空隙部は、前記ゴム弾性体本体の内周面に沿って形成され、かつ、軸直交方向断面がC字形状またはリング状に形成され、前記補強部材は、C字形状またはリング状に形成されるようにしてもよい。これにより、切割部の拡開を抑制することに加えて、さらに補強部材の内周側に存在するゴム弾性体本体の部分がスタビライザバーの外周面から離れることを抑制できる。つまり、補強部材によって、切割部の他、ゴム弾性体本体の端面の内周縁から異物が侵入することを抑制できる。
【0010】
・また、前記空隙部は、軸直交方向断面がC字形状に形成され、前記ゴム弾性体本体の軸方向に貫通形成され、前記補強部材は、C字形状に形成され、前記ゴム弾性体本体の軸方向全体に亘って配置されるようにしてもよい。補強部材は、切割部の軸方向全体に亘って配置されているため、切割部の軸方向の全ての位置について拡開することを抑制できる。従って、切割部の軸方向の全てについて、異物の侵入を抑制できる。また、補強部材が切割部の軸方向全体に亘って配置されるということは、補強部材は、ゴム弾性体本体の両端にも配置されているということになる。そのため、補強部材は、ゴム弾性体本体の端面の内周縁がスタビライザバーの外周面から離れることを抑制している。従って、ゴム弾性体本体の両端面の内周縁から異物が侵入することを抑制できる。
【0011】
・また、前記ゴム弾性体本体と前記補強部材とは非接着であり、前記補強部材は、両端に径方向に張り出し、前記空隙部内に挿入された後に前記ゴム弾性体本体の両端面のそれぞれに係止される突起部を備えるようにしてもよい。これにより、補強部材が空隙部に挿入された後に、補強部材のそれぞれの突起部がゴム弾性体本体の両端面のそれぞれに係止される。つまり、補強部材がゴム弾性体本体に接着されていないとしても、補強部材がゴム弾性体本体から離脱することを抑制できる。
【0012】
(スタビライザブッシュ組付体の製造方法)
・本発明に係るスタビライザブッシュの組付体の製造方法は、スタビライザバーを嵌め入れ可能な軸方向貫通孔を有する筒状に形成されたゴム弾性体本体であり、前記ゴム弾性体本体の外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って形成された切割部と、前記切割部を介して連続するようにかつ前記ゴム弾性体本体の軸方向端面に開口するように形成された空隙部とを備える前記ゴム弾性体本体を、前記スタビライザバーの外周面に装着するゴム装着工程と、前記ゴム装着工程の後に、前記切割部の拡開を規制する補強部材を、前記切割部を跨いで前記空隙部内に前記軸方向端面の開口から挿入する挿入工程とを備える。
【0013】
本発明によれば、補強部材が切割部を跨いで配置されているため、切割部が拡開することを確実に規制できる。従って、切割部から異物が侵入することを抑制できる。ここで、補強部材がゴム弾性体本体の切割部を跨いで配置されるためには、補強部材をゴム弾性体本体に装着する前に、ゴム弾性体本体をスタビライザバーへ装着する必要がある。そこで、ゴム弾性体本体には、後から補強部材を挿入できるように、空隙部を形成することとしている。これにより、ゴム弾性体本体をスタビライザバーへ装着した後に、補強部材をゴム弾性体本体の内部へ挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態:スタビライザブッシュ組付体の径方向から見た図である。
【図2】図1のA−A断面図、すなわち図5のS3の状態の組付体の径方向断面図である。
【図3】図2のB−B断面図、すなわち図5のS3の状態の組付体の軸方向断面図である。
【図4】図4(a)は図1の組付体を構成するスタイビライザブッシュの径方向断面図である。図4(b)は図4(a)のC−C断面図、すなわちスタビライザブッシュの軸方向断面図である。
【図5】組付体の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)は図5のS1の状態の組付体の径方向断面図である。図6(b)は図6(a)のD−D断面図、すなわち図5のS1の状態の組付体の軸方向断面図である。
【図7】図7(a)は図5のS2の状態の組付体の径方向断面図である。図7(b)は図7(a)のE−E断面図、すなわち図5のS2の状態の組付体の軸方向断面図である。
【図8】第二実施形態:図8(a)はスタビライザブッシュ組付体の軸方向から見た図である。図8(b)は図8(a)のF−F断面図、スタビライザブッシュ組付体の軸方向断面図である。
【図9】第三実施形態:図9(a)はスタビライザブッシュ組付体の径方向断面図である。図9(b)は図9(a)のG−G断面図、スタビライザブッシュ組付体の軸方向断面図である。
【図10】第四実施形態:スタビライザブッシュ組付体の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第一実施形態>
(スタビライザブッシュ組付体の構成)
第一実施形態のスタビライザブッシュ組付体の構成について、図1〜図4を参照して説明する。スタビライザブッシュ組付体とは、スタビライザブッシュ10をスタビライザバー40に装着し、スタビライザブッシュ10の外周面に当該組付体を車両ボディ60に固定するためのブラケット50を配置した構造である。
【0016】
図1〜図3に示すように、スタビライザブッシュ10は、筒状のゴム弾性体本体20を備えており、軸方向貫通孔21にスタビライザバー40を挿通保持している。スタビライザバー40は、車両上方から見た場合にコの字型に形成されており、そのコの字型の両端が、それぞれ左右の車輪(図示せず)を支持するサスペンションアーム(図示せず)に連結されている。スタビライザバー40のコの字連結部分の外径は同径の丸棒状に形成されている。
【0017】
また、スタビライザブッシュ10は、その外周面がブラケット50により押圧されて、車両ボディ60(サスペンションメンバ)に固定されている。ここで、図2に示すように、ブラケット50は、金属製からなり、U字型形状部51と、フランジ部52,53とを備えている。U字型形状部51は、スタビライザブッシュ10の外周面を押圧するU字型形状からなる。このU字型形状部51の押圧面(U字型の内側面)の軸方向断面形状は、中心軸に平行な直線状をなしている。フランジ部52,53は、U字型形状部51の開口両端から外側へ向かって延びるようにそれぞれ設けられ、ボルト(図示せず)により車両ボディ60に取付けるための部分である。
【0018】
以下に、スタビライザブッシュ10の詳細について、図1〜図3に加えて、図4(a)(b)を参照して説明する。スタビライザブッシュ10は、ゴム弾性体本体20と、補強部材30とを備えて構成される。ゴム弾性体本体20のゴム材料としては、摺動性の良好な自己潤滑ゴム等が好適に用いられる。このゴム弾性体本体20は、図4(a)(b)に示すように、筒状に形成されており、スタビライザバー40のコの字連結部分を嵌め入れ可能な軸方向貫通孔21を有する。軸方向貫通孔21の内径は、スタビライザバー40の外径と同程度、もしくは僅かに小径に形成されている。また、ゴム弾性体本体20の外周面は、平坦部22と、U字型湾曲部23とを有する。U字型湾曲部23の軸方向中央には、ブラケット50のU字型形状部51を嵌め込むことができるようにU字型溝23aが形成されている。つまり、U字型溝23aの両端には、ブラケット50のU字型形状部51を軸方向に係止する径方向張出部23b、23cが形成されている。
【0019】
ゴム弾性体本体20には、ゴム弾性体本体20の外周面のU字型湾曲部23から軸方向貫通孔21の内周面に亘り、かつ、軸方向全体に亘って切割部24が形成されている。本実施形態では、切割部24は、周方向に1箇所形成されている。つまり、切割部24を拡開することにより、ゴム弾性体本体20は、C字型形状に変形できる。
【0020】
さらに、ゴム弾性体本体20には、軸直交方向断面形状がC字形状の空隙部25が形成されている。本実施形態においては、空隙部25は、ゴム弾性体本体20の軸方向貫通孔21の内周面に沿って形成されている。また、空隙部25は、ゴム弾性体本体20の軸方向に貫通形成されており、ゴム弾性体本体20の軸方向両端面に開口するように形成されている。
【0021】
そして、空隙部25は、切割部24を介して連続するように形成されている。つまり、空隙部25は、切割部24を跨いで両側に形成され、空隙部25における切割部24の開口部同士が対向するように形成されている。ここでは、切割部24は、空隙部25のC字形状の位相中央部に位置するように形成されている。また、ゴム弾性体本体20において、空隙部25より径方向内方の厚みが空隙部25より径方向外方の厚みより薄くなるように、空隙部25の位置を設定している。
【0022】
補強部材30は、図2〜図3に示すように、樹脂または金属により形成され、空隙部25に挿入可能であり空隙部25を隙間なく埋めるように配置されている。つまり、補強部材30の軸直交方向断面形状は、空隙部25の軸直交方向断面形状に対応するC字形状に形成されている。従って、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の切割部24を跨いで配置されており、切割部24の拡開を規制するように機能する。これにより、切割部24から異物が侵入することを抑制できる。
【0023】
さらに、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の軸方向貫通孔21の内周面に沿って配置されていることに加えて、切割部24は補強部材30のC字形状の位相中央部に位置する。これにより、切割部24の拡開を規制する力は非常に大きくなる。従って、切割部24から異物が侵入することをより抑制できる。
【0024】
さらに、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の軸方向貫通孔21の内周面に沿って配置されていることは、以下の効果も奏する。すなわち、補強部材30は、補強部材30とスタビライザバー40との間に介在するゴム弾性体本体20を、スタビライザバー40の外周面の大部分に押し付けることができる。従って、当該ゴム弾性体本体20がスタビライザバー40の外周面から離れることを抑制できる。つまり、補強部材30によって、切割部24の他に、ゴム弾性体本体20の端面の内周縁から異物が侵入することを抑制できる。
【0025】
特に、ゴム弾性体本体20において、空隙部25より径方向内方の厚みが空隙部25より径方向外方の厚みより薄くなるようにされている。これにより、ブラケット50により締め付けられた状態において、補強部材30によってゴム弾性体本体20をスタビライザバー40の外周面に押し付ける力が十分に伝わるようにできる。そのため、ゴム弾性体本体20の軸方向貫通孔21の内周面によるスタビライザバー40の外周面への押付力を十分に発揮できるため、異物の侵入をより抑制できる。
【0026】
また、補強部材30の軸方向長さは、空隙部25の軸方向長さに対して同一もしくは僅かに長く形成されている。つまり、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の軸方向全体に亘って配置されている。これにより、切割部24の軸方向の全ての位置について拡開することを抑制できる。従って、切割部24の軸方向の全てについて、異物の侵入を抑制できる。さらに、補強部材30がゴム弾性体本体20の軸方向全体に亘って配置されているということは、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の両端にも配置されていることになる。そのため、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の端面の内周縁がスタビライザバー40の外周面から離れることを抑制している。従って、ゴム弾性体本体20の両端面の内周縁から異物の侵入を抑制できる。
【0027】
(スタビライザブッシュ組付体の製造方法)
次に、スタビライザブッシュ組付体の製造方法について、図5のフローチャート、図2〜図3、および図6(a)(b)〜図7(a)(b)を参照して説明する。図6(a)(b)に示すように、ゴム弾性体本体20をスタビライザバー40に装着する(ステップS1:ゴム装着工程)。具体的には、ゴム弾性体本体20の切割部24を拡開して、スタビライザバー40を切割部24から軸方向貫通孔21に嵌め入れる。そして、切割部24を閉塞する。そうすると、図6(a)(b)に示すように、ゴム弾性体本体20の軸方向貫通孔21にスタビライザバー40が装着される。このように、切割部24を備えることで、ゴム弾性体本体20をスタビライザバー40へ装着することが容易となる。
【0028】
続いて、図7(a)(b)に示すように、補強部材30を空隙部25内にゴム弾性体本体20の軸方向端面の開口から挿入する(ステップS2:挿入工程)。具体的には、補強部材30のC字形状の開口部を拡開して、スタビライザバー40の外周に配置する。このように、補強部材30をC字形状とすることで、補強部材30をスタビライザバー40へ装着することが容易となる。続いて、補強部材30を空隙部25内に挿入し軸方向へ移動して、補強部材30を空隙部25の軸方向全体に挿入される状態とする。
【0029】
ここで、補強部材30は、ゴム弾性体本体20に対して非接着とされている。つまり、補強部材30は、ゴム弾性体本体20の空隙部25に単に挿入するのみである。なお、補強部材30をゴム弾性体本体20に接着するようにしてもよい。この場合、補強部材30に接着剤を塗布した後に、補強部材30を空隙部25に挿入することになる。
【0030】
続いて、図2〜図3に示すように、ブラケット50のU字型形状部51をゴム弾性体本体20のU字型溝23aに嵌め込み、車両ボディ60にブラケット50のフランジ部52,53をボルトにより固定する(ステップS3:車両取付工程)。このようにしてスタビライザブッシュ組付体を製造することにより、上述したスタビライザブッシュ組付体の構造とすることができる。
【0031】
<第二実施形態>
第二実施形態のスタビライザブッシュ組付体の構成について、図8(a)(b)を参照して説明する。ここで、第二実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。第二実施形態は、第一実施形態に対して、補強部材130の形状が相違する。
【0032】
図8(a)(b)に示すように、補強部材130は、C字型軸方向延在部131と、C字型突起部132,133とを備える。C字型軸方向延在部131は、第一実施形態の補強部材30と同一形状からなる。C字型突起部132,133は、C字型軸方向延在部131の両端から径方向に張り出すように形成されている。ここでは、C字型突起部132,133は径方向外方に張り出しているが、径方向内方に張り出すようにしてもよい。そして、C字型突起部132,133は、補強部材130が空隙部25内に挿入された後の状態において、ゴム弾性体本体20の両端面のそれぞれに対して軸方向に係止される。
【0033】
ここで、補強部材130は、ゴム弾性体本体20に対して非接着とされている。非接着であったとしても、C字型突起部132,133がゴム弾性体本体20に係止されるため、補強部材130がゴム弾性体本体20から離脱することを抑制できる。
【0034】
<第三実施形態>
第三実施形態のスタビライザブッシュ組付体の構成について、図9(a)(b)を参照して説明する。ここで、第三実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。第三実施形態は、第一実施形態に対して、空隙部225の形状および補強部材230の形状が相違する。
【0035】
図9(a)(b)に示すように、空隙部225は、リング状に形成されており、ゴム弾性体本体20の一方端面のみに開口している。つまり、ゴム弾性体本体20の他方端面には、空隙部225が開口していない。この場合、ゴム弾性体本体20における空隙部225の径方向内方の部位と径方向外方の部位は、ゴム弾性体本体20の他方端面側で連結されている。
【0036】
また、補強部材230は、空隙部225に対応するリング状に形成されている。この場合、補強部材230をスタビライザバー40の外周に配置するためには、スタビライザバー40の端から挿入することになる。本実施形態によれば、補強部材230が存在している軸方向部位においては、切割部24の拡開を確実に規制できる。
【0037】
<第四実施形態>
第四実施形態のスタビライザブッシュ組付体の構成について、図10を参照して説明する。ここで、第四実施形態において、第三実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。第四実施形態は、第三実施形態に対して、空隙部325の形状および補強部材330の形状が相違する。
【0038】
図10に示すように、空隙部325は、リング状に形成されており、ゴム弾性体本体20の一方端面から軸方向中央部までと、他方端面から軸方向中央部までの2箇所に形成されている。つまり、ゴム弾性体本体20における空隙部325の径方向内方の部位と径方向外方の部位は、ゴム弾性体本体20の軸方向中央部で連結されている。
【0039】
また、2個の補強部材330は、空隙部325のそれぞれに対応するリング状に形成されている。この場合、一方の補強部材330をゴム弾性体本体20の一方端面から挿入し、他方の補強部材330をゴム弾性体本体20の他方端面から挿入する。この場合、切割部24のうちゴム弾性体本体20の両端面付近における拡開を確実に規制できる。
【符号の説明】
【0040】
10:スタビライザブッシュ、 20:ゴム弾性体本体、 21:軸方向貫通孔、 24:切割部、 25,225,325:空隙部、 30,130,230,330:補強部材、 40:スタビライザバー、 50:ブラケット、 60:車両ボディ、 131:C字型軸方向延在部、 132,133:C字型突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタビライザバーを嵌め入れ可能な軸方向貫通孔を有する筒状に形成されたゴム弾性体本体であり、前記ゴム弾性体本体の外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って形成された切割部と、前記切割部を介して連続するようにかつ前記ゴム弾性体本体の軸方向端面に開口するように形成された空隙部とを備える前記ゴム弾性体本体と、
前記ゴム弾性体本体を前記スタビライザバーの外周面に装着した後に、前記切割部を跨いで前記空隙部内に前記軸方向端面の開口から挿入され、前記切割部の拡開を規制する補強部材と、
を備えるスタビライザブッシュ。
【請求項2】
請求項1において、
前記空隙部は、前記ゴム弾性体本体の内周面に沿って形成され、かつ、軸直交方向断面がC字形状またはリング状に形成され、
前記補強部材は、C字形状またはリング状に形成されるスタビライザブッシュ。
【請求項3】
請求項2において、
前記空隙部は、軸直交方向断面がC字形状に形成され、前記ゴム弾性体本体の軸方向に貫通形成され、
前記補強部材は、C字形状に形成され、前記ゴム弾性体本体の軸方向全体に亘って配置されるスタビライザブッシュ。
【請求項4】
請求項3において、
前記ゴム弾性体本体と前記補強部材とは非接着であり、
前記補強部材は、両端に径方向に張り出し、前記空隙部内に挿入された後に前記ゴム弾性体本体の両端面のそれぞれに係止される突起部を備えるスタビライザブッシュ。
【請求項5】
スタビライザバーを嵌め入れ可能な軸方向貫通孔を有する筒状に形成されたゴム弾性体本体であり、前記ゴム弾性体本体の外周面から内周面に亘りかつ軸方向全体に亘って形成された切割部と、前記切割部を介して連続するようにかつ前記ゴム弾性体本体の軸方向端面に開口するように形成された空隙部とを備える前記ゴム弾性体本体を、前記スタビライザバーの外周面に装着するゴム装着工程と、
前記ゴム装着工程の後に、前記切割部の拡開を規制する補強部材を、前記切割部を跨いで前記空隙部内に前記軸方向端面の開口から挿入する挿入工程と、
を備えるスタビライザブッシュ組付体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−100042(P2013−100042A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245405(P2011−245405)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】