説明

スタンド治具およびそれを備えるコンベア装置

【課題】 コンベア装置の設置の自由度を低下させないようにコンベア装置に装着されるスタンド治具、およびそれを備えるコンベア装置を提供する。
【解決手段】 スタンド治具6は、被搬送物を乗載して搬送するコンベア装置1の走行体2に固定される基部11と、被搬送物を支持する支持面13aを有する長尺の可動部であって、長手方向の一端部が基部11に角変位可能に連結され、支持面13aが伏臥した伏臥位置と支持面13aが伏臥位置から角変位して起立した起立位置との間で角変位する可動部12と、起立位置を超える可動部12の角変位を阻止する角変位阻止手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置に装着可能なスタンド治具およびそれを備えるコンベア装置に関し、特に、液晶表示装置などの表示装置の検査をする際に、その表示装置を起立状態に支持するスタンド治具、およびそれを備えるコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型かつ大型の大画面テレビとして液晶表示装置やプラズマ表示装置などの表示装置が普及してきている。図7は、液晶表示装置20の外観を示す正面図である。図7に示すように、液晶表示装置20は、液晶パネルおよびバックライトユニットを備える表示部21だけでなく、起立状態で自立することができない表示部21を、起立状態に保持するためのスタンド部22を含んで構成される。
【0003】
液晶表示装置20を検査する工程は、スタンド部22が取り付けられる前の表示部21を、コンベア装置で搬送しながら行われている。この検査工程では、表示部21を起立状態に保持する必要があるが、表示部21はそれ自体では自立不能であるため、従来から、表示部21を起立状態に支持するためにスタンド治具25が用いられている。図8は、従来から用いられているスタンド治具25の一例を示す斜視図である。
【0004】
従来の検査工程では、コンベア装置の搬送方向の最上流部で、前記のようなスタンド治具25がコンベア装置上に順次載置され、その下流側で、スタンド治具25に対して表示部21が移載され、さらにその下流側で、スタンド治具25によって起立状態に支持された表示部21に対して所定の検査が行われている。そして、その下流側で、検査済みの表示部21がスタンド治具25から取り除かれ、コンベア装置の搬送方向の最下流部で、スタンド治具25が回収される。
【0005】
このような従来の検査工程では、コンベア装置上にスタンド治具25を順次載置する作業者、コンベア装置上からスタンド治具25を順次回収する作業者、および、回収されたスタンド治具25を、台車などを用いて、コンベア装置の最上流部まで運搬する作業者をそれぞれ配置しなければならず、作業者の数が多くなり、生産コストが増大してしまっているという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するための従来技術が、たとえば特許文献1で提案されている。図9は、特許文献1に開示される従来技術に係るコンベア装置30を概略的に示す図である。コンベア装置30は、電子複写機などに用いられるローラ31を製造する工程において用いられ、ローラ31を個別に支持する複数の搬送治具32が、搬送方向に沿って所定間隔で固定設置されて構成されている。この特許文献1のコンベア装置30によれば、搬送治具32を設置・回収・運搬する作業が不要となり、かかる作業を行うための作業者を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−271044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のコンベア装置30によれば、搬送治具32を予め固定しておくことにより、搬送治具32の設置・回収・運搬を行う作業者を省略することはできる。しかしながら、図9に示すように、搬送治具32がコンベア装置30の搬送面33から外方へ突出した状態で周回するように構成されているので、コンベア装置30を設置する際には、搬送治具32がコンベア装置30の最下流部30bから最上流部30aに戻る際に通過するスペースSを予め確保して、設置しなければならない。特に、搬送治具32のサイズが大きい場合には、スペースSが大きくなってしまい、コンベア装置30の設置の自由度が大きく低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、コンベア装置の設置の自由度を低下させないようにコンベア装置に装着されるスタンド治具、およびそれを備えるコンベア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、コンベア装置における、被搬送物を乗載して搬送する走行体に固定される基部と、
被搬送物を支持する支持面を有する長尺の可動部であって、長手方向の一端部が前記基部に角変位可能に連結され、支持面が伏臥した伏臥位置と支持面が伏臥位置から角変位して起立した起立位置との間で角変位する可動部と、
前記起立位置を超える前記可動部の角変位を阻止する角変位阻止手段とを備えることを特徴とするスタンド治具である。
【0011】
また本発明は、前記可動部を、伏臥位置から起立位置に向かう方向にばね付勢するばね部材をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記可動部には、長手方向の他端部において、前記支持面とは反対側の面に、耐摩耗性を有する滑り部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記スタンド治具を備えることを特徴とするコンベア装置である。
また本発明は、前記スタンド治具と、
スタンド治具の移動経路に沿って設けられるガイド体であって、スタンド治具の移動に伴って、前記起立位置の可動部が前記伏臥位置に角変位するように、前記可動部に設けられた滑り部材を案内するガイド体とを備えることを特徴とするコンベア装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スタンド治具には、被搬送物を起立状態に支持するときの起立位置と、収納状態にある伏臥位置との間で角変位させることができる可動部が設けられているので、コンベア装置における走行体の下張架部分において、可動部を伏臥位置に角変位させて収納しておくことができる。これにより、予め余分なスペースを確保する必要がなく、コンベア装置の設置の自由度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るコンベア装置1の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】図1におけるA部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスタンド治具6を拡大して示す側面図であり、図3(a)は、可動部12が起立位置であるときのスタンド治具6を示し、図3(b)は、可動部12が伏臥位置であるときのスタンド治具6を示している。
【図4】スタンド治具6を拡大して示す斜視図である。
【図5】コンベア装置1の搬送方向Vの下流側を示す平面図である。
【図6】ガイド体10によって可動部12の姿勢が変化させられる様子を示す図であり、図6(a)は、図5における切断面線A−Aで切断した断面図であり、図6(b)は、図5における切断面線B−Bで切断した断面図であり、図6(c)は、図5における切断面線C−Cで切断した断面図である。
【図7】液晶表示装置20の外観を示す正面図である。
【図8】従来から用いられているスタンド治具25の一例を示す斜視図である。
【図9】従来技術に係るコンベア装置30を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るコンベア装置1の構成を概略的に示す正面図である。図2は、図1におけるA部を拡大して示す斜視図である。
【0017】
本実施形態に係るコンベア装置1は、一対の無端状のチェーン2aに、複数の板状のキャタピラブロック2bを連結して構成される走行体2と、一対のチェーン2aが巻き掛けられて張架される駆動側スプロケットホイール3および従動側スプロケットホイール4と、駆動側スプロケットホイール3を回転方向rに回転駆動する駆動装置5とを含んで構成されている。
【0018】
コンベア装置1は、駆動装置5を稼動させて走行体2を周回駆動させることにより、走行体2の上張架部分に乗載された被搬送物である表示部7が搬送方向Vに搬送される。また、図示しないが、各キャタピラブロック2bには、一対のローラが、ブラケットなどを介して、キャタピラブロック2bの長手方向に平行な軸線まわりに回転自在に連結され、コンベア装置1には、上張架部分における各キャタピラブロック2bに連結されたローラを、搬送方向Vに沿って直線的に移動するように案内するローラガイドが延設されている。かかる構成によって、走行体2における上張架部分では、各キャタピラブロック2bの上面が水平な状態に維持され、一水平面に沿って搬送面8が形成される。
【0019】
本実施形態に係るコンベア装置1は、自立不能な被搬送物である表示部7を起立状態に保持して搬送できるように構成されている。具体的には、表示部7を起立状態で支持するためのスタンド治具6を備えて構成されている。
【0020】
スタンド治具6は、本実施形態では、走行体2を構成する複数のキャタピラブロック2bのうちの任意に選択されたキャタピラブロック2bを走行体2から取り外し、その取り外した箇所に設置される。この場合、スタンド治具6は、たとえば、キャタピラブロック2bとチェーン2aとを連結するためのブラケットに、ビスなどの締結具を用いて固定される。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係るスタンド治具6を拡大して示す側面図であり、図3(a)は、可動部12が起立位置であるときのスタンド治具6を示し、図3(b)は、可動部12が伏臥位置であるときのスタンド治具6を示している。また、図4は、スタンド治具6を拡大して示す斜視図であり、可動部12が起立位置から伏臥位置へ移行する途中の状態を示している。
【0022】
スタンド治具6は、走行体2に固定される基部11と、予め定める軸線Jまわりに角変位可能に基部11に連結される可動部12と、可動部12を、軸線Jまわりの回転方向の一方であって、伏臥位置から起立位置に向かう方向(以下、「第1回転方向」と称する)R1にばね付勢するばね部材14と、可動部12を起立位置に保持するための角変位阻止手段16とを含んで構成される。
【0023】
基部11は、たとえばステンレスなどの金属材料によって形成され、矩形板状の底部11aと、底部11aの短手方向の両端部からそれぞれ垂直に立設される側壁11bとを有している。本実施形態では、基部11の長手方向および短手方向の寸法は、キャタピラブロック2bの長手方向および短手方向の寸法と略同一となるように選択されており、また、側壁11bの高さ寸法は、基部11を走行体2に固定したときに、側壁11bの頂部が搬送面8から突出しないような高さ寸法に選択されている。
【0024】
また、基部11には、その長手方向の中央よりも一端部11c寄りの位置に、円柱状の軸部材17が、その軸線と基部11の短手方向とが平行になるように、側壁11b間にわたって架設されている。この軸部材17の軸線が、軸線Jに相当する。さらに、基部11には、その長手方向の一端部11c寄りの位置にも、円柱状の軸部材18が、その軸線と基部11の短手方向とが平行になるように、側壁11b間にわたって架設されている。
【0025】
可動部12は、基部11と同様に、たとえばステンレスなどの金属材料によって形成され、矩形板状の底部12aと、底部12aの短手方向の両端部からそれぞれ垂直に立設される側壁12bとを有する。
【0026】
可動部12の各側壁12bには、可動部12の長手方向の一端部12c付近に、軸部材17を挿通可能な貫通孔が、同軸上に設けられている。可動部12は、この一対の貫通孔に挿通された軸部材17を、前記のように基部11の側壁11b間にわたって架設することによって、基部11に対し、軸線Jまわりに角変位可能に連結される。
【0027】
また、可動部12の底部12aは、被搬送物である表示部7を支持する平坦な支持面13aを、底部12aの厚み方向の一方側であって、基部11に近接する側に有している。本実施形態では、底部12aの厚み方向一方側の表面部には、矩形板状の緩衝部材13が接着固定されている。したがって、この緩衝部材13における接着面とは反対側の表面が、支持面13aに相当する。
【0028】
可動部12は、支持面13aが伏臥した伏臥位置(図3(b))と、支持面13aが伏臥位置から第1回転方向R1に角変位して起立した起立位置(図3(a))との間では角変位が許容される一方で、後述する角変位阻止手段16によって、起立位置からさらに第1回転方向R1に角変位することが阻止されている。
【0029】
本実施形態では、可動部12の長手方向の寸法は、基部11の他端部11dと軸部材17との間の距離と略同一となるように選択されており、また、可動部12の短手方向の寸法は、基部11の各側壁11b間の距離よりも短尺となるように選択されている。
【0030】
また、可動部12には、その長手方向の中央付近の位置に、円柱状の軸部材19が、その軸線と可動部12の短手方向とが平行になるように、側壁12b間にわたって架設されている。
【0031】
ばね部材14は、引張コイルばねによって実現され、その一端部が、基部11に設けられる軸部材18に連結され、他端部が、可動部12に設けられる軸部材19に連結されている。
【0032】
ばね部材14は、詳細には、その自然状態における長さが、可動部12が起立位置にあるときの軸部材18,19間の距離よりも短尺の引張コイルばねによって実現され、これにより、可動部12が起立位置にある状態では、ばね部材14は伸長状態にあり、このばね力によって、可動部12が第1回転方向R1にばね付勢されている。
【0033】
角変位阻止手段16は、本実施形態では、図4に示すように、ばね部材14に緩やかに外嵌された円筒状のスリーブ16aと、各軸部材18,19に装着された円筒状の当接部材16b,16cとによって構成され、スリーブ16aは、その長手方向の寸法が、ばね部材14の自然状態における長さよりも長尺となるように選択される。
【0034】
角変位阻止手段16は、スリーブ16aの長手方向一端部と軸部材18に装着された当接部材16bとが接触し、かつスリーブ16aの長手方向他端部と軸部材19に装着された当接部材16cとが接触することによって、ばね部材14により第1回転方向R1に付勢されている起立位置の可動部12が、第1回転方向R1に角変位することを阻止している。
【0035】
本実施形態では、角変位阻止手段16として、かかる構成を採用しているので、スリーブ16aの長手方向の寸法を変更するだけで、起立位置における支持面13aの傾斜角を容易に変更することができる。本実施形態では、スリーブ16aは、金属材料によって形成され、当接部材16b,16cは、樹脂材料によって形成されている。
【0036】
本実施形態に係るコンベア装置1は、このような構成のスタンド治具6が、軸線Jと走行体2の周方向とを一致させた状態で、走行体2に設置される。コンベア装置1は、図1に示すように、起立位置の可動部12の支持面13aに対して、表示部7をもたれ掛けさせることにより、自立不能な表示部7を起立状態に保持して、搬送方向Vに搬送することができる。
【0037】
本実施形態では、図1および図2に示すように、スタンド治具6の設置箇所に近接して配設されるキャタピラブロック2bには、その上面から突出する突出部9が設けられている。この突出部9は、詳細には、スタンド治具6によって起立状態に保持されている表示部7が係合可能な位置に設けられている。このような突出部9を設けておくことによって、可動部12の支持面13aにもたれ掛けさせた表示部7が、搬送に伴う振動などに起因して滑り落ちてしまうことを防止することができる。
【0038】
図5は、コンベア装置1の搬送方向Vの下流側を示す平面図である。図6は、ガイド体10によって可動部12の位置が変化させられる様子を示す図であり、図6(a)は、図5における切断面線A−Aで切断した断面図であり、図6(b)は、図5における切断面線B−Bで切断した断面図であり、図6(c)は、図5における切断面線C−Cで切断した断面図である。
【0039】
本実施形態に係るコンベア装置1は、図1に示すように、走行体2の周方向に沿って、上張架部分における表示部7の搬出位置よりも下流側の位置から、下張架部分を通過して、上張架部分における表示部7の搬入位置よりも上流側の位置まで延びるように形成されたガイド体10が、フレーム1aに支持されて設けられている。
【0040】
また、本実施形態に係るスタンド治具6の可動部12には、図4などに示すように、他端部12dの近傍であって、支持面13aが形成される側とは反対側に、耐摩耗性を有する滑り部材15が固定して設けられている。
【0041】
ガイド体10は、コンベア装置1の搬送方向Vの下流側では、図5および図6に示すように、スタンド治具6における滑り部材15に接触し、該スタンド治具6の周回移動に伴って、起立位置の可動部12を伏臥位置まで角変位させるように構成されている。
【0042】
具体的には、ガイド体10は、コンベア装置1の搬送方向Vの下流側では、起立位置にある可動部12の滑り部材15に接触可能な位置から、搬送方向Vに進むにつれて、搬送面8における幅方向の一方である一端部11cから他端部11dへ向かう方向に進むとともに、搬送面8に近接する方向へ進むように延設されている。
【0043】
起立位置にある可動部12の滑り部材15は、表示部7が搬出位置において搬出された後、搬送方向Vへの移動に伴って、ガイド体10の一端部に接触し、さらに、ガイド体10に沿って、一端部11cから他端部11dへ向かう方向、および搬送面8に近接する方向へ案内される。本実施形態では、滑り部材15をこのように案内することにより、可動部12を、起立位置から伏臥位置へ角変位させることができる。
【0044】
また、ガイド体10は、下張架部分から上張架部分における表示部7の搬入位置よりも上流側の位置にわたって、可動部12に設けられた滑り部材15に接触状態で案内することによって、伏臥位置に角変位された可動部12を、伏臥位置に保持させるように構成されている。
【0045】
これにより、伏臥位置に角変位された可動部12を、伏臥位置のまま表示部7の搬入位置よりも上流側の位置まで搬送させることができ、また、搬入位置よりも上流側の位置でガイド体10から解放されることにより、ばね部材14のばね力によって、伏臥位置から起立位置へ自動的に角変位させることができる。
【0046】
可動部12に固定される滑り部材15は、走行体2の上張架部分における搬入位置・搬出位置間以外の周回位置では、常にガイド体10に接触しながら移動するので、耐摩耗性を有し、摩擦係数の低いものを用いるのが好ましい。このような材質としては、たとえばPOM、MCナイロン、超高分子ポリエチレンなどのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、スタンド治具6の可動部12を、コンベア装置1に一体的に設けることによって、治具を設置・回収・運搬するための作業者を省略し、作業者の負担を軽減することができる。
【0048】
また、スタンド治具6に設けられた可動部12は、被搬送物を起立状態に支持するときの起立位置と、収納状態にある伏臥位置との間で角変位させることができるので、コンベア装置1における走行体2の下張架部分において、可動部を伏臥位置に角変位させて収納しておくことができる。これにより、コンベア装置1を設置する際に、予め余分なスペースを確保する必要がなく、コンベア装置1の設置の自由度の低下を防止することができる。
【0049】
また本実施形態によれば、スタンド治具6には、起立位置における可動部12を、第1回転方向R1にばね付勢するばね部材14が設けられているので、ばね部材14のばね力を用いて、可動部12を伏臥位置から起立位置に角変位させることができる。これにより、伏臥位置のスタンド治具6を起立させるための作業が不要となり、作業者の負担を軽減することができる。
【0050】
また本実施形態によれば、可動部12を起立位置に保持するための角変位阻止手段16が、ばね部材14の自然長よりも長尺のスリーブ16aを、各軸部材18,19にわたって連結されたばね部材14に外嵌させることにより構成されているので、スリーブ16aの寸法を調整するだけで、起立位置における支持面13aの傾斜角を容易に変更することができる。
【0051】
また本実施形態によれば、スタンド治具6は、走行体2におけるキャタピラブロック2bを取り外した箇所に設置できるように構成されているので、可動部12が収納状態にある伏臥位置での、スタンド治具6の搬送面8からの突出量を可及的に低減することができる。本実施形態では、キャタピラブロック2bに替えて設置されるように構成されているが、他の実施形態では、キャタピラブロック2bの上面に設置されるように構成されてもよい。
【0052】
また本実施形態によれば、コンベア装置1には、スタンド治具6の周回移動に伴って、起立位置にある可動部12を、ばね部材14によるばね力に抗して伏臥位置に角変位させ、また、下張架部分において伏臥位置を維持させ、さらに、被搬送物の搬入位置の上流側で、可動部12に対するばね力に抗した押圧力の付与を解放することにより、可動部12をばね力によって伏臥位置から起立位置へ角変位させるようにガイド体10が設けられているので、作業者による負担を軽減できるとともに、コンベア装置1の設置の自由度の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 コンベア装置
2 走行体
6 スタンド治具
7 表示部
10 ガイド体
11 基部
12 可動部
14 ばね部材
15 滑り部材
16 角変位阻止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア装置における、被搬送物を乗載して搬送する走行体に固定される基部と、
被搬送物を支持する支持面を有する長尺の可動部であって、長手方向の一端部が前記基部に角変位可能に連結され、支持面が伏臥した伏臥位置と支持面が伏臥位置から起立した起立位置との間で角変位する可動部と、
前記起立位置を超える前記可動部の角変位を阻止する角変位阻止手段とを備えることを特徴とするスタンド治具。
【請求項2】
前記可動部を、伏臥位置から起立位置に向かう方向にばね付勢するばね部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のスタンド治具。
【請求項3】
前記可動部には、長手方向の他端部において、前記支持面とは反対側の面に、耐摩耗性を有する滑り部材が設けられることを特徴とする請求項2記載のスタンド治具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のスタンド治具を備えることを特徴とするコンベア装置。
【請求項5】
請求項3に記載のスタンド治具と、
スタンド治具の移動経路に沿って設けられるガイド体であって、スタンド治具の移動に伴って、前記起立位置の可動部が前記伏臥位置に角変位するように、前記可動部に設けられた滑り部材を案内するガイド体とを備えることを特徴とするコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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