説明

スタンパ、インプリント装置並びに処理製品製造装置及び処理製品製造方法

【課題】
本発明は、ベース膜厚のバラツキを低減できるスタンパ又はインプリント装置、精度のよい微細パターンを形成できる処理製品製造装置又は処理製品製造方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、スタンパ又は前記スタンパを用いてインプリントするインプリント装置又は前記インプリントによって処理製品を製造する処理製品製造装置又は処理製品製造方法において、前記スタンパは前記処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント技術によるスタンパ、インプリント装置並びに処理製品製造装置及び処理製品製造方法に係わり、特に精度よくパターン形状できるスタンパ、インプリント装置並びに処理製品製造装置及び処理製品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブや高周波デバイス等のLSI(Large Scale Integration)にパターンドメディアを用いて製造することが将来期待されている。例えば、ハードディスクドライブでは、サーバやコンピュータ向けの利用が増大するだけでなく、家庭用ハードディスクレコーダやカーナビゲーション、ポータブルAV再生機器等様々な用途への利用が拡大しており、またその容量も種々の用途のデジタル化に伴い増大する傾向にある。
【0003】
容量を増大することは、すなわちメディアディスクの記録密度を増大させることである。メディアディスクの記録密度を増大させる技術の一つがパターンドメディアである。パターンドメディアには、図2に示すように、ディスクリートトラックメディアとビットパターンドメディアの2つがある。ディスクリートトラックメディア(DTM)とはメディアディスク1上に同心円状のトラックパターン14を形成する方式で、ビットパターンドメディアとは同図右に示すように無数のビットパターン16を形成する方式である。
【0004】
パターンの形成には、ナノインプリント技術を用いる方法が有力視されている。図3にナノインプリント技術を示す。まず、光を透過する例えば石英製のスタンパ20Jを、磁性膜を形成したディスク基板などの処理製品基材12の表面に塗布したレジスト(樹脂)Pに押し当てインプリントし、エッチマスク15を形成する(ステップ1)。そして、プラズマガス17でエッチング処理し、余剰樹脂によってスタンパ20Jと処理製品基材との間にできるベース膜BMを除去し、最終的なエッチマスク15を形成する(ステップ2)。次にエッチマスク15をマスクとしてプラズマガス17によってエッチング(エッチ)加工し(Step3)、所定のパターンを完成させる(Step4)。特許文献1はこのようなナノインプリント技術を開示している。なお、ステップ2はベース膜厚が薄い場合は実施する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−12844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ナノインプリント技術においては、精度よく微細パターンを形成する必要がある。図4に示すLED製品の高輝度化を目的とするフォトニッククリスタルパターンのようにパターンが均一に配置され、形成する微細パターンに偏在や凹凸のデュティ比に相違がない場合には、レジスト(樹脂)を均一に塗布する技術で解決できる。
【0007】
しかしながら、図5に示すように、パターンが有ったり無かったりして微細パターンが偏在したり、デュティ比が相違し疎密ができると、エッチマスク15のパターンを成形するためのレジストの必要量が異なりベース膜BMの厚さBMtにバラつきができる(Step1)。この場合、パターンがある又はパターンが密の場合、パターンを成形するのに必要なレジスト量が多くなりベース膜BMの膜厚は薄くなり、パターンがない又はパターンが疎の場合、必要なレジスト量が少なくなりベース膜BMの膜厚BMtは厚くなる。
【0008】
ステップ2のベース膜除去プロセスでは、プラズマガス17でエッチ処理によって全てのベース膜BMを除去するために、最大ベース膜厚で除去する(Step2)。その結果、プロセス時間が長くなる。プロセス時間が長くなると、第1にスループットが低下する。第2に、オーバエッチになり、ステップ3に示すように各パターンの高さ及び幅が減少する。
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、ベース膜厚のバラツキを低減できるスタンパ又はインプリント装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、精度のよい微細パターンを有する処理製品或いは精度のよい微細パターンを形成できる処理製品製造装置又は処理製品製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも下記の特徴を有する。
本発明は、表面に凹凸形状のパターンを備え、塗布された成形材料を有する処理製品基材の表面に有する成形材料に前記凹凸形状のパターンを転写するスタンパ、前記スタンパを用いて最終的に処理製品となる処理製品基材の表面に塗布された成形材料に前記パターンを転写するインプリント装置或いは前記インプリント装置を用いてエッチング処理をして前記処理製品を製造する処理製品製造装置又は処理製品製造方法において、前記スタンパは前記処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを有することを第1の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分が各前記ダミー部分で吸収され、ベース膜厚が均一になるような深さを有することを第2の特徴とする
さらに、本発明は、各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分を吸収するのに最も深さを必要とするダミーパターンの深さ以上の一定の深さを有することを第3の特徴とする。
また、本発明は、前記処理製品はドーナツ状の円板に同心円状にサーボパターンやデータを形成するパターンを有する磁気ディスクであって、前記インプリント装置は、前記ドーナツ状の円板の内側及び外側の前記正規パターンのない領域に接する前記正規パターンの領域、又は前記正規パターンの領域に前記ダミーパターンを形成することを第4の特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記処理製品は高周波デバイスであるSAWデバイスであって、前記インプリント装置は、前記SAWデバイスの有するフィルタ部、電極パット部、アース部の少なくとも一つの部が、その周囲に存在するパターンの無い領域に接する領域に、前記ダミーパターンを形成することを第5の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記処理製品は高周波デバイスであるSAWデバイスであって、前記インプリント装置は、前記SAWデバイスの有するパターンが偏在し所定の機能を備える回路領域に前記ダミーパターンを形成することを有することを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベース膜厚のバラツキを低減できるスタンパ又はインプリント装置を提供できる。
【0016】
また、本発明によれば、精度のよい微細パターンを有する処理製品或いは処理製品製造装置又は処理製品製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態であるインプリント装置の構成を示す図である。
【図2】パターンドメディアの一例を示す概略図である。
【図3】ナノインプリントプロセスを示す工程図である。
【図4】微細パターンに偏在や凹凸のデュティ比に相違がないLED製品の高輝度化を目的とするフォトニッククリスタルパターンの一例を示す図である。
【図5】本発明の課題を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態の基本的な考え方を示す図である。
【図7】実施形態の第1の実施例1を示す図である。
【図8】実施形態の第2の実施例2を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を磁気ディスクの製造に適用した例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態をSAWの製造に適用した例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態である磁気ディスク製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
まず、図1を用いて本発明の実施形態であるインプリント装置1の構成を説明する。インプリント装置1は、大別して、スタンパの成形材料であるレジストPより上部に構成要素を持つ転写機構上部60と、光源30と、レジストPより下部に構成要素を持つ転写機構下部70と、ステージ80とを有する。レジストPは、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性材料のいずれも使用することができる。
【0019】
転写機構上部60は、スタンパ20を平面に保持する。光源30は、光硬化性樹脂の樹脂を硬化させるエネルギー源となるUV光源である。また、熱硬化性樹脂用に、熱源となる光源30を利用すると、熱硬化性樹脂を硬化させることもできる。なお、本実施形態のインプリント装置1は光源30も備えているが、光源30を別装置としてもよい。
【0020】
一方、転写機構下部70は、表面にスタンパ20が有する凹凸が転写されるレジストPを有し、最終的には処理製品となる処理製品基材12を保持する。
【0021】
また、ステージ80は、処理製品基材12を載せるベースである。スタンパ20がレジストPに転写する際に、スタンパの押圧を受け止めるので、処理製品基材12にレジストPが意図した形状になる。なお、ステージ80の内部には、熱可塑性材料のレジストPに転写する際にレジストPを加熱して軟化するための熱源90を備えている。
【0022】
このようなインプリント装置1によってスタンパ20のパターンをレジストPに転写しエッチマスクを形成し、その後エッチング装置によりエッチング処理を行う。なお、インプリント装置1は露光装置を備えていても構わない。
また、インプリント装置1は、上記の構造とは逆に、レジストPより上部に転写機構下部70を設け、レジストPより下部に転写機構上部60と光源30を設けてもよい。あるいは、上記の構造を90度右又は左に傾けて、レジストPの右(左)側に転写機構上部60と光源30を設け、レジストPの左(右)側に転写機構下部70を設けるようにしてもよい。さらに、スタンパ20がレジストPを転写することができれば、スタンパ20の押圧する方向は垂直方向または水平方向だけでなく、任意の角度に傾いた方向でも構わない。
レジスト材料は、塗布厚みが薄いため流動性が低下し、傾けて押圧しても、レジスト材料が流れ出たり、転写できない部分が発生することはない。
【0023】
本発明の特徴は、機能を果たすのに必要な正規パターンを成形する成形面内のレジスト必要量が、或いはベース膜BMの厚さが均一になるようにすることである。言い換えれば、レジスト必要量が均一になるようにするとは、塗布したレジスト量のうち正規パターンを成形するのに使用されるレジスト量とベース膜に使用されるレジスト量との比が同一になるようにすることである。
以下の説明では、正規パターンを成形するのにダミー部分を有しているパターンをダミーパターンという。また、スタンパ20に設けられたダミーパターンを20Pで示す、そのダミーパターン20PでレジストPに形成されたエッチマスク15上のダミーパターンをDPで示す。
【0024】
上記を達成するために、本実施形態では、正規パターンを成形するスタンパの深さ以上の深さを有するダミーパターン20Pを設ける。
【0025】
図6は、本実施形態の基本的な考え方を示す図である。図7は図6の左側欄に示す本実施形態のステップ1を示す部分の拡大図である。図6の右側欄は、処理製品に必要な正規パターンのみを有するスタンパ20jによる従来のインプリントプロセス(以下、単に従来プロセスという)を示す。図6の左側欄は、図7に示すように白で示す正規パターンの他に黒で示すダミー部分を有するダミーパターン20Pを有するスタンパ20による実施形態1のインプリントプロセス(以下、単に実施形態又実施例プロセスという)を示す。
【0026】
従来プロセスは、図5で説明したように、パターンが有ったり無かったりして微細パターンが偏在したり、デュティ比が相違し疎密ができると、ステップ2に示すように正規パターンの成形に必要なレジスト必要量が異なりベース膜BMの厚さにバラつきができる。その結果、プロセス時間が長くなりスループットが低下すると共に、オーバエッチになり、ステップ3に示すように各パターンの高さ及び幅が減少する。
【0027】
一方、本実施形態プロセスでは、ステップ1に示すように、スタンパ20に正規パターンの深さ以上の余剰深さのダミー部分を有するダミーパターン20Pを設け、ダミー部分で余剰レジストを吸収し、スタンパ20の面内のレジスト必要量を均一化してベース膜BMの厚さの均一化を図る。
(実施例1)
図7は、図6に示す本実施形態のステップ1示す部分を拡大して示した図である。図7においてスタンパ20の太枠で示す部分が正規パターンに必要な深さ以上の黒で示すダミー部分を有するダミーパターン20Pである。本図では白で示す正規パターンSPのみを有するのは1箇所のみである。
【0028】
処理製品基材12にレジストで形成されたエッチマスク15のダミーパターンDPは、格子状に示すダミー部分DPrと斜線で示す正規パターン部SPsとを有し、ダミー部分DPrがエッチマスクに形成に寄与しない余剰レジストを吸収すると、ダミーパターンの高さはDPsとなる。
【0029】
実施例1は、面内のレジスト必要量(ベース膜厚)が丁度均一になるように、且つ余剰レジストが各ダミー部分DPrで丁度吸収されように各ダミーパターンのそれぞれの深さを定めた例である。従って、パターンが疎或いは無い領域ではエッチマスク15を形成するレジスト量が少ないので、その領域の、又はその領域に隣接したダミーパターンは深くなり、逆にパターンが密或いは有りの領域ではエッチマスク15を形成するレジスト量が多いので、その領域の、又はその領域に隣接したダミーパターンは浅くなる。このような評価を予め実施し、且つベース膜厚が少なくなるように各ダミーパターンの深さを定める。
【0030】
図6、図7は一次元で示しているが、実際には二次元的にインプリントする面内のレジスト必要量が同一になるようにダミーパターンDPの深さを定める。
【0031】
このようにダミーパターンDPを設けることによって、ステップ2に示すようにベース膜BMの厚さが薄膜化される。エッチング処理によるベース膜DMの除去時間が短縮し、スループットの向上を図ることができる。エッチング処理は、例えばプラズマガス17で行なう。ベース膜BMの厚さを所定の厚さ以下に薄膜にできれば、ステップ2を省略すことができる。
【0032】
その後、ベース膜BMをエッチング処理した後、図7に示すように、正規パターンの深さに対応するEH分だけ、エッチング処理する。そして、ダミー部分DPrに残った余剰レジストを洗浄除去し、ステップ3に示す処理製品基材12に転写された正規パターンのみを得ることができる。
【0033】
ステップ2において、ベース膜BMの除去時間が短縮できれば、除去時間に起因するエッチマスクのオーバエッチ量が少なくなり、エッチマスク15の高さ及び幅の減少を抑えることができ、精度のよい微細パターンを形成できる。
【0034】
以上説明した本実施形態及び実施例1によれば、ベース膜厚のバラツキを低減できるスタンパ及びインプリント装置を提供できる。
【0035】
また、本実施形態及び実施例1によれば、精度のよい微細パターンを有する処理製品或いは精度のよい微細パターンを形成できる処理製品製造装置又は処理製品製造方法を提供できる。
(実施例2)
図8は、本実施形態における第2の実施例2を示す図である。実施例2の実施例1と異なる点は、余剰レジストを吸収するのに最も深さを必要とするダミーパターンDPの深さDFで各ダミーパターンの深さを均一にした点である。実施例1では、レジスト必要量が均一になるように各パターン深さを決定したので、ベース膜BMの均一化は保証されている。実施例2では余剰レジストの逃道に自由度ができるので、多少ベース膜BMのバラツキはできる可能性がある。しかし、パターンの深さを均一したことにより、スタンパ製作が容易になる利点を有する。また、ダミーパターン20Pの深さはDF以上であってもよい。
【0036】
従って、実施例2においても、従来に比べ数段ベース膜厚のバラツキを低減できるスタンパ又はインプリント装置を提供できる。
また、実施例2においても、精度のよい微細パターンを有する処理製品或いは精度のよい微細パターンを形成できる処理製品製造装置又は処理製品製造方法を提供できる。
【0037】
さらに、実施例2によれば、スタンプを容易に製作できる。
(適用例1)
図9は、処理製品として磁気ディスク30に実施形態を適用した例である。磁気ディスク30は、ドーナツ状の円板に同心円状にサーボパターンやデータを備える正規パターン31pを有する正規パターン領域31と、正規パターン領域31の内側及び外側には引出し図に示すようにパターンの無いパターン無し領域32、33とを有する。従って、パターン領域31と同じレジスト量でインプリントすると、パターン無し領域32、33でのエッチマスクを形成するレジストは必要ないので、ベース膜厚が厚くなる。
【0038】
そこで、実施例1,2に代表される本実施形態をパターン無し領域32、33に接するパターン31p領域に余剰レジストを吸収する正規の深さ以上の深さを有するダミーパターンDPを設ける。これによって、パターン無し領域32、33に発生するベース膜BM
の厚さを低減できる。
【0039】
ダミーパターンDPの深さは一定の深さとしてもよいが、パターン無し領域32、33に近いほど余剰レジストを吸収することが求められるので、パターン無し領域32、33に近いダミーパターンDPほどその深さを深くしてもよい。また、接する部分だけでなく、全体の正規パターンの余剰レジストを吸収するダミーパターンとしてもよい。
【0040】
さらに、サーボパターンやデータが存在する領域のパターン偏在又はパターンの有無に応じて、正規パターンの深さを変えたダミーパターンを設けてもよい。
(適用例2)
図10は、処理製品として高周波デバイスである典型的なSAW(Surface Acoustic Wave)デバイス40に実施形態を適用した例である。SAWデバイス40は、電極パット部41、フィルタ部42等を有する。適用例2は、このフィルタ部42に実施形態を適用した例である。図10の引き出し図に示すように、フィルタ部42には、フィルタ機能を有する正規パターンSPであるフィルタパターンFPと、パターンの無い領域42aある。フィルタ部42は、フィルタパターンFPの凹凸の周波数に基づき高周波フィルタを構成する。図10に示すフィルタパターンFPの寸法Lは、例えば50μmである。
【0041】
そこで、実施例1,2に代表される本実施形態をパターン無し領42aに接するフィルタパターン領域FPに余剰レジストを吸収する正規の深さ以上の深さを有するダミーパターンDPを設ける。これによって、パターン無し領42aに発生するベース膜BMの厚さを低減できる。
【0042】
適用例1と同様に、ダミーパターンDPの深さは一定の深さとしてもよいが、パターン無し領42aに近いほど余剰レジストを吸収することが求められるので、パターン無し領42に近いダミーパターンDPほどその深さを深くしてもよい。また、接する部分だけでなく、フィルタパターン領域の全体の余剰レジストを吸収するダミーパターンとしてもよい。
【0043】
さらに、フィルタ42と同様に、電極パット部41にも同様なダミーパターンを設けてもよい。さらにまた、別の部分のパターンにおいても、各パターンの偏在に応じて正規パターンの深さを変えたダミーパターンを設けてもよい。
【0044】
図11は、インプリントによる処理製品製造装置の一例として、磁気ディスクの例を示す図である。また、図11は、磁気ディスク製造ラインのうちパターンニングに関係するパターンニング関連の磁気ディスク製造装置100を示した図である。磁気ディスク製造ラインは、磁気ディスク製造装置の上流にはガラス基板に磁性層を形成するディスクを製造する工程の装置やディスクの表面を洗浄する工程の装置が、磁気ディスク製造装置の下流には潤滑膜を形成する装置がある。
【0045】
磁気ディスク製造装置100は、ディスク表面にレジストをスピンコートするレジスト塗布装置51、サーボ情報やデータトラックなどのパターンが形成されたスタンパを用いてレジスト塗布面にパターンをインプリントするスタンピング52と、スタンピング状態で露光する露光装置53とを備えるインプリント装置1、レジストパターンをマスクとしてドライエッチングしディスク表面に溝を形成するエッチング装置54、該溝に非磁性層を埋め込む非磁性層形成装置55、ディスク表面に保護膜を形成する及び保護膜形成装置56を有する。
【0046】
以上説明した磁気ディスク製造装置に本発明のインプリント装置1を用いることによって、磁気ディスク製造装置のスループットを向上できる。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、精度のよいパターンを有する磁気ディスク或いは磁気ディスク製造装置又は磁気ディスク製造方法を提供できる。
【0048】
以上では処理製品として磁気ディスクを例に説明したが、SAWやその他の処理製品での処理製品製造装置及び処理製品製造方法において同様に適用可能である。
【0049】
また、以上の実施形態では、ディスクリートトラックメディアを対象に説明したが、ビットで形成されたダミーパターンを設ける、或いは、ビットの高さを変えることで本発明をビットパターンドメディアにも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1:インプリント装置 12::処理製品基材
14:トラックパターン 15:エッチマスク
15r:格子状に示したダミー部分 16:ビットパターン
17:プラズマガス 20:スタンパ
20J:従来のスタンパ 20p:スタンパの各パターン
30:磁気ディスク 31:パターン領域
31p:正規パターン 32、33:パターン無し領域
40:SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス
41:電極パット部 42:フィルタ部
42a:フィルタ部のパターン無し領域 45:回路パターン
51:レジスト塗布装置 52:スタンピング装置
53:露光装置 54:エッチング装置
55:非磁性層形成装置 56:保護膜形成装置
100:磁気ディスク製造装置 BM:ベース膜
DP:ダミーパターン EH:エッチング処理タ高さ
FP:フィルタパターン P:レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸形状のパターンを複数有するスタンパと、前記スタンパの前記パターンが転写された処理製品基材の表面に形成された成形材料を硬化するエネルギー源とを有するインプリント装置において、
前記スタンパは、前記処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを有することを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分が各前記ダミー部分で吸収され、ベース膜厚が均一になるような深さを有することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分を吸収するのに最も深さを必要とするダミーパターンの深さ以上の一定の深さを有することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項4】
最終的に処理製品となる処理製品基材の表面に成形材料を塗布する塗布装置と、前記塗布された成形材料にスタンパの有する凹凸形状のパターンを転写するインプリント装置と、前記転写されたパターンをエッチマスクとして前記処理製品基材をエッチングするエッチング装置とを有する処理製品製造装置において、
前記スタンパは、前記処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを有することを特徴とする処理製品製造装置。
【請求項5】
前記インプリント装置は、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分が各前記ダミー部分で吸収され、ベース膜厚が均一になるような深さのダミーパターンを具備する前記スタンパを有することを特徴とする請求項4に記載の処理製品製造装置。
【請求項6】
前記インプリント装置は、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分を吸収するのに最も深さを必要とするダミーパターンの深さ以上の一定の深さの各前記ダミーパターンを具備するスタンパを有することを特徴とする請求項4に記載の処理製品製造装置。
【請求項7】
前記処理製品はドーナツ状の円板に同心円状にサーボパターンやデータを形成するパターンを有する磁気ディスクであって、前記インプリント装置は、前記ドーナツ状の円板の内側及び外側の前記正規パターンのない領域に接する前記正規パターンの領域、又は前記正規パターンの領域に前記ダミーパターンを形成することを特徴とする請求項4に記載の処理製品製造装置。
【請求項8】
前記処理製品は高周波デバイスであるSAWデバイスであって、前記インプリント装置は、前記SAWデバイスの有するフィルタ部、電極パット部、アース部の少なくとも一つの部が、その周囲に存在するパターンの無い領域に接する領域に、前記ダミーパターンを形成することを特徴とする請求項4に記載の処理製品製造装置。
【請求項9】
前記処理製品は高周波デバイスであるSAWデバイスであって、前記インプリント装置は、前記SAWデバイスの有するパターンが偏在し所定の機能を備える回路領域に前記ダミーパターンを形成することを有する特徴とする請求項4に記載の処理製品製造装置。
【請求項10】
最終的に処理製品となる処理製品基材の表面に成形材料を塗布し、前記塗布された成形材料にスタンパの有する凹凸形状のパターンを転写し、転写されたパターンをマスクとして前記処理製品基材をエッチングする処理製品製造方法において、
前記転写は、前記処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを転写することを特徴とする処理製品製造方法。
【請求項11】
前記処理製品はドーナツ状の円板に同心円状にサーボパターンやデータを形成するパターンを有する磁気ディスクであって、前記ドーナツ状の円板の内側及び外側の前記正規パターンのない領域に接する前記正規パターンの領域、又は前記正規パターンの領域に前記ダミーパターンを転写することを特徴とする請求項10に記載の処理製品製造方法。
【請求項12】
前記処理製品は高周波デバイスであるSAWデバイスであって、前記SAWデバイスの有するパターンが偏在し所定の機能を備える回路領域に前記ダミーパターンを転写することを特徴とする請求項10に記載の処理製品製造方法。
【請求項13】
表面に凹凸形状のパターンを備え、塗布された成形材料を有する処理製品基材の表面に有する成形材料に前記凹凸形状のパターンを転写するスタンパにおいて
前記処理製品基材から形成される処理製品の処理製品として機能を果たす正規パターンが必要とする深さ以上のダミー部分の深さを備えるダミーパターンを有することを特徴とするスタンパ。
【請求項14】
各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分が各前記ダミー部分で吸収され、ベース膜厚が均一になるような深さを有することを特徴とする請求項13に記載のスタンパ。
【請求項15】
各前記ダミーパターンは、エッチマスクに形成に寄与しない成形材料の余剰部分を吸収するのに最も深さを必要とするダミーパターンの深さ以上の一定の深さを有することを特徴とする請求項13に記載のスタンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−77600(P2013−77600A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215001(P2011−215001)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】