説明

スタンプ装置

【課題】スタンプ押印時に、一のスタンプ本体から複数の異なる音声を出力することができるスタンプ装置を提供する。
【解決手段】一側にスタンプ2を着脱可能に装着できるようにした本体1と、複数のスタンプ2とを組み合わせてなり、前記本体1内部にはスタンプ2を押印したときの圧力で作動するプッシュスイッチ5とリードスイッチ6並びにプッシュスイッチ5の作動により音声を出力する音声出力部9を設け、前記複数のスタンプ2の一部に前記リードスイッチ6のON/OFFを切り替える磁石4を装着し、前記リードスイッチ6のON時とOFF時とでそれぞれ異なる音声が出力されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声出力機構を有するスタンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスタンプは、文字や図柄等を彫り込んで形成した印字面にインク等を付着あるいは浸透させた上で印字面を紙等の転写物に押し当て、印字面に刻まれた文字や図柄等の印影を紙等の転写物に転写することを主目的としている。
【0003】
近年では、かかるスタンプに音声出力機構を付加し、押印時に何らかの音声を出力することができるスタンプも提案されている。例えば、以下のような先行技術がある。
【0004】
【特許文献1】実開平5-70965号公報
【0005】
この特許文献の発明は、スタンプ本体の内部に音声装置とスピーカー及びプッシュスイッチを設けた構成とし、スタンプを押印するとスタンプが本体側に押されてプッシュスイッチが押され、音声装置が作動してスピーカーから音声が出力される構成となっている。
【0006】
この発明において、音声装置として電子式音声装置、オルゴール等が挙げられているが、一のスタンプ本体に組み込むことができる音声は1種類に限られ、一のスタンプ本体から異なる音声を出力することができず、スタンプ押印時に出力される音声は常に同じ音声である。すなわち、この特許文献の発明は、出力音声とスタンプ本体とが1対1の関係にある。スタンプ押印時に異なる音声を出力したい場合には、異なる音声パターンを出力できる音声出力装置を備えた新たなスタンプを別途用意しなければならず、極めて不便かつ不経済である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、スタンプ押印時に、一のスタンプ本体から複数の異なる音声を出力することができるスタンプ装置を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、一側にスタンプを着脱可能に装着できるようにした本体と、複数のスタンプとを組み合わせてなり、前記本体内部にはスタンプを押印したときの圧力で作動するプッシュスイッチとリードスイッチ並びにスイッチの作動により音声を出力する音声出力部を設け、前記複数のスタンプの一部に前記リードスイッチのON/OFFを切り替える磁石を装着し、前記リードスイッチのON時とOFF時とでそれぞれ異なる音声が出力されるようにスタンプ装置を構成する。
【0009】
この発明においてスタンプとは、印字面に文字や図柄を彫り込み、この印字面にインク等を付着又は浸透させ、この印字面を紙等の転写物に押し当てることによって印字面に刻まれた文字や図柄の印影を転写物に残すことができるものであればよい。スタンプ本体の形状は筒状であることが好ましいが、本体内部にプッシュスイッチ、リードスイッチ、音声出力部を格納できれば、その形状はこれに限られるものではない。
【0010】
本体に着脱可能なスタンプは、本体装着時に露出する面を印字面とするだけでなく、これと対向する面(本体装着側の面)も印字面とすることもできる。この場合、それぞれの印字面の文字、図柄等は同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。
前記着脱可能なスタンプは、一側のみを本体に装着可能な形状としてもよいが、両側ともに本体に装着可能な形状とすることもできる。
また、本体に着脱可能なスタンプは複数用意して、適宜交換して使用できるようにする。各スタンプの印字面の文字、図柄等は同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。前記着脱可能なスタンプは、内部に磁石を備えたスタンプと、磁石を備えないスタンプとをそれぞれ用意する。
【0011】
プッシュスイッチは音声出力部を作動させるためのスイッチであって、スタンプ押印時に本体側にかかる圧力によってスイッチがONとなるものであればよく、押圧によって凸部が機械的に押されてONとなる所謂押しボタン式スイッチや、一定以上の圧力を感知した場合にONとなるような圧力センサースイッチなどが考えられる。
【0012】
リードスイッチは、音声出力部から出力される音声のパターンを切り換えるためのスイッチであって、磁気に反応してONとなるもの又はOFFとなるものである。リードスイッチのON/OFF切替感度は、磁石からの距離や磁石の磁気の強さを変えて調整することもできる。リードスイッチのON/OFFにより回路が切り替わり、音声出力部から出力される音声は、リードスイッチON時にプッシュスイッチがONになったときと、リードスイッチOFF時にプッシュスイッチがONになったときとでは、異なるパターンの音声が出力されるようにする。
【0013】
スタンプ内部に装着される磁石の位置は、前記スタンプ内部の本体装着側近傍に設けることが好ましいが、スタンプの押印機能を害さずにリードスイッチのON/OFF切替ができる範囲内であればスタンプ内のどこでもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、リードスイッチのON/OFFを切り換えることで一つの本体から異なるパターンの音声を出力することができるので、異なる音声を出力できる音声出力部を備えたスタンプを別途製作する必要がなく、極めて簡易かつ経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
円筒状の本体1と二つのスタンプ2,2A(以下まとめて「スタンプ2」と記載する場合がある。)を組み合わせてスタンプ装置を構成している。
前記円筒状の本体1の基端部にスタンプの装着口1aが設けてある。
前記装着口の底部にはプッシュスイッチ5が、プッシュスイッチ5の近傍にはリードスイッチ6が設けられ、プッシュスイッチ5とリードスイッチ6はサブ基板7に接続されている。スタンプ2と本体1との間には図示しない弾性部材が介在しており(この弾性部材は本体1,スタンプ2の何れに設けてもよい)、スタンプ2を押印するとスタンプ2はこの弾性部材の許容範囲内において本体1の内側に押し込まれ、プッシュスイッチ5に圧力が加わる。プッシュスイッチ5に一定以上の圧力が加わるとプッシュスイッチ5がON状態になり、このON信号がサブ基板7からメイン基板8に伝わって音声信号が出力され、スピーカー9で聴取可能な音声に変換されて出力される。
【0016】
メイン基板8は音声記憶部を備えており、この音声記憶部には2パターンの異なる音声情報が記憶されている。一方の音声情報は、リードスイッチON状態においてプッシュスイッチがONとなったときに出力され、他方の音声情報はリードスイッチOFF状態においてプッシュスイッチがONとなったときに出力されるように、回路が構成してある。
すなわち、内部に磁石4を備えたスタンプ2が本体1に装着されると、リードスイッチ6が磁石4の磁気に反応してON状態となる。このときスタンプ2が押印されてプッシュスイッチ5に圧力が加わるとプッシュスイッチ5がON状態となり、音声記憶部に記憶された2パターンの音声情報中リードスイッチON時に出力されるべき音声情報が出力される。一方、内部に磁石を備えないスタンプ2Aが本体1に装着されると、リードスイッチ6はOFF状態となる。この状態でスタンプ2を押印してプッシュスイッチ5がON状態になると、音声記憶部に記憶された2パターンの音声情報中リードスイッチOFF時に出力されるべき音声情報が出力される。
【0017】
前記本体1の先端側にはブラックライト(紫色LED)11が取り付けてあり、その周囲にカバー12がスライド自在に取り付けてある。図中符号13はブラックライトのスイッチ、14はブラックライト点灯回数を表示するカウンター表示部である。
このブラックライト11は、ブラックライト対応インクで解答が印刷された問題集と併せて使用するものであり、学習者はブラックライト11を点灯せずに問題を解き、解答を確認するときにブラックライトを点灯して自己の解答とブラックライトにより視認可能となる正解とを照合する。
ブラックライト11の点灯回数はメイン基板8に記録されて前記カウンター表示部14に表示される。
【0018】
前記メイン基板8のカウンタからは、ブラックライトの点灯回数が所定回数に達したときに音声情報の出力を許容する信号を音声情報の出力回路に出力するようにしてある。カウント数は任意の回数に設定することができる。例えば、ブラックライトが3回ONになったときに音声が出力されるようにカウンタを設定した場合には、ブラックライトを3回点灯させた後にスタンプを押すと音声が出力され、3回未満であればスタンプを押しても音声は出力されない。
上記構成により、学習せずにスタンプの音声出力のみを楽しむ弊害を防止することができる。
【0019】
スタンプ2は、その本体1への装着側にリードスイッチを作動させる磁石4が装着してあり、もう一つのスタンプ2Aには磁石は装着されていない。
各スタンプ2には、スタンプ2を誤印や印字面の乾燥を防ぐためにキャップ3を被せてある。スタンプ2のキャップ側は表側印字面21、これと対向する側は裏側印字面22となっている。表側印字面21と裏側印字面22のデザイン(文字や図柄)はそれぞれ異なるパターンとしても、同じパターンとすることももちろん可能である。
図2は本体1から分離した状態のスタンプ2を示す図である。スタンプ2はキャップ3と共に本体から分離することができ、キャップ3と共に分離した状態で裏側印字面22を印字面として押印することができる。スタンプ2はキャップ3を外した状態(スタンプ2単体)でも本体1から分離して使用できるが、キャップと共に分離して使用すれば使用者は手を汚さずにスタンプ2の分離作業及び押印ができる。
【0020】
図4はスタンプの別の実施例を示す図である。スタンプ2は表側印字面21、裏側印字面22の何れの側についても本体1に装着可能な形状とし、任意に印字面を変えて付け替えることができる。スタンプ2を逆様にして本体1に付け替え可能としたので、スタンプ2のどちらの印字面で押印した場合にも、プッシュスイッチ5に圧力を加えてプッシュスイッチ5をONにすることができ、本体1から音声を出力することができる。
そして、スタンプ内に装着された磁石4の装着位置はスタンプ2の一側の印字面側に偏らせてある。磁石4が装着された側の印字面が本体1に装着された場合にリードスイッチ6がONになるとともに、磁石4が装着された側とは反対側の印字面が本体1に装着された場合にリードスイッチ6がOFFになるように磁石4の磁気及びリードスイッチ6の感度がそれぞれ調整されており、一のスタンプ2の表側印字面21と裏側印字面22とを本体1に付け替えて使用することで、それぞれの印字面に応じた異なるパターンの音声を出力することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、音声出力機構を備えたスタンプ装置に関するものであり、教材、玩具、文具、事務用品として産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例の斜視図
【図2】同じく背面図
【図3】スタンプの斜視図
【図4】別の態様のスタンプを示す図
【符号の説明】
【0023】
1 本体
1a 装着口
2、2A スタンプ
21 表側印字面
22 裏側印字面
3 キャップ
4 磁石
5 プッシュスイッチ
6 リードスイッチ
7 サブ基板
8 メイン基板
9 スピーカー
11 ブラックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側にスタンプを着脱可能に装着できるようにした本体と、複数のスタンプとを組み合わせてなり、前記本体内部にはスタンプを押印したときの圧力で作動するプッシュスイッチとリードスイッチ並びにスイッチの作動により音声を出力する音声出力部を設け、前記複数のスタンプの一部に前記リードスイッチのON/OFFを切り替える磁石を装着し、前記リードスイッチのON時とOFF時とでそれぞれ異なる音声が出力されるものとしたスタンプ装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−118517(P2007−118517A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316879(P2005−316879)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)