説明

スタータ・ジェネレータ

【課題】 スタータ・ジェネレータを提供する。
【解決手段】 本発明は、駆動機(4)、トルク伝達装置(8)およびトランスミッションを含む駆動伝達系(1)を有する自動車、用のスタータ・ジェネレータに関する。スタータ・ジェネレータ(20)は、固定子(21)および回転子(22)を備える外側回転子として具体化されている。駆動機、トルク伝達装置およびトランスミッションを含む駆動伝達系を備える自動車の製造を、装着に関して、特にスタータ・ジェネレータの装着に関して単純にするために、トルク伝達装置(8)の入力部品(16)に回転に関して固定された方法で接続される回転子フランジ(28)が回転子(22)から延出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機、トルク伝達装置およびトランスミッションを含む駆動伝達系(ドライブトレイン)を有する自動車、用のスタータ・ジェネレータに関し、そのスタータ・ジェネレータは、固定子および回転子を備える外側回転子として具体化される。さらに、本発明は、駆動機、トルク伝達装置およびトランスミッションを含む駆動伝達系を有し、かつ上述のようなスタータ・ジェネレータを有する自動車に関する。さらに、本発明は、自動車にスタータ・ジェネレータを装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、永久的に励磁された外部回転子同期機として具体化されるスタータ・ジェネレータが説明されている。スタータ・ジェネレータは、エンジンブロックに接続される固定子と、フライホイールに接続される回転子とを含む。同様のスタータ・ジェネレータが下記特許文献2および下記特許文献3から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,455,959B1号明細書
【特許文献2】独国特許第102 58 654B4号明細書
【特許文献3】独国特許第199 60 366C1号明細書
【特許文献4】独国特許第100 00 253B4号明細書
【特許文献5】独国特許第199 43 050A1号明細書
【特許文献6】独国特許第199 43 048A1号明細書
【特許文献7】独国特許第199 43 037A1号明細書
【特許文献8】独国特許第102 21 562A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、駆動機、トルク伝達装置およびトランスミッションを含む駆動伝達系を有する自動車の製造を、装着に関して、特に請求項1の前段によるスタータ・ジェネレータの装着に関して単純化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、駆動機、トルク伝達装置およびトランスミッションを含む駆動伝達系を有する自動車、用のスタータ・ジェネレータ(発電機)であって、固定子および回転子を備える外側回転子として具体化されるスタータ・ジェネレータにおいて、トルク伝達装置の入力部品に回転に関して固定された方法で接続される回転子フランジが回転子から延出(突出)している、スタータ・ジェネレータにおいて達成される。固定子はモータハウジング部品、特にクランクハウジング部品に永久的に装着される。回転子は、固定子とは無関係(独立)にトルク伝達装置の入力部品に装着される。回転子フランジは、トルク伝達装置の入力部品への回転子の装着をかなり単純にする。さらに、本発明により、好ましくはクランクシャフトスタータ・ジェネレータとして具体化されるスタータ・ジェネレータを標準化することが可能となる。
【0006】
スタータ・ジェネレータの好ましい例示的な実施形態において、回転子フランジが回転子に一体的に接続される。回転子フランジは好ましくは、矩形のリング断面を有する実質的に円形のリングの形態をした回転子ベース本体に対してある角度をなしている。
【0007】
スタータ・ジェネレータのさらに好ましい例示的な実施形態において、回転子フランジが回転子の回転軸に対して鋭角に配置される。鋭角は0度〜90度である。
【0008】
スタータ・ジェネレータのさらに好ましい例示的な実施形態においては、回転子フランジが回転子の回転軸に対して約45度の角度をなして配置される。角度は好ましくは正確に45度である。
【0009】
さらに、スタータ・ジェネレータの好ましい例示的な実施形態においては、スタータ・ジェネレータが、異なる自動車に設置され得る標準部品として具体化される。回転子フランジを備える回転子の本発明の形態によって、異なる自動車に標準部品として同じスタータ・ジェネレータを設置することが可能となる。トルク伝達装置は、クラッチおよび/または流体力学的なトルクコンバータを含み得る。
【0010】
スタータ・ジェネレータのさらに好ましい例示的な実施形態においては、トルク伝達装置が、駆動機に回転に関して固定された方法で接続されかつ回転子フランジによって回転子が取り付けられる入力部品を備える回転振動ダンパを含む。回転振動ダンパは、好ましくはクラッチおよび/または流体力学的なトルクコンバータの上流に接続される。
【0011】
さらに、スタータ・ジェネレータの好ましい例示的な実施形態においては、回転子が回転子フランジによって接続部品に接続され、接続部品により、トルク伝達装置の入力部品に対する回転に関して固定された接続か、そうでなければ部分的に可撓性の(フレキシブルな)接続が可能になる。接続部品は好ましくは、フレックスブレードとも称するシートメタル部品である。
【0012】
本発明はまた、駆動機、トルク伝達装置、トランスミッションを含む駆動伝達系、および上述のスタータ・ジェネレータを有する自動車にも関する。スタータ・ジェネレータの回転子および固定子は、好ましくは異なる装着ユニットに割り当てられる。この関連において、固定子は、例えば、駆動機を含む第1の装着ユニットに割り当てられる。回転子は、例えば、トルク伝達装置を含む第2の装着ユニットに割り当てられる。
【0013】
上記で特定した目標は、代わりにまたはさらに、回転子および固定子が組み合わせられる、2つの装着ユニットを自動車に連続的に装着すること、によって、上述のスタータ・ジェネレータを上述の自動車に装着する方法において、達成される。回転子および固定子は、特に、共通のハウジングを有することがなく、駆動機のクランクシャフト(軸)に一緒には結合されない。
【0014】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、図面を参照して種々の例示的な実施形態を詳細に説明する以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の例示的な実施形態によるスタータ・ジェネレータを備える自動車の駆動伝達系の詳細を縦断面図で示す。
【図2】図1から拡大された詳細を示す。
【図3】図1と同じようにスタータ・ジェネレータの第2の例示的な実施形態を示す。
【図4】図3から拡大された詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜4に、駆動機4;44を備える駆動伝達系1;41をかなり簡略に示し、前記駆動機4;44からクランクシャフト(軸)5;45が延出している。クランクシャフト5;45はクランクケーシング6;46に回転可能に装着されている。
【0017】
駆動機4;44のクランクシャフト5;45を、駆動に関して、トランスミッション12;52のトランスミッション入力シャフト10にトルク伝達装置8;48を介して接続できる。トルク伝達装置8;48は、少なくとも1つのクラッチ、少なくとも1つの流体力学的なトルクコンバータ、および/または少なくとも1つの回転振動ダンパを含み得る。
【0018】
図1および図2に示す例示的な実施形態では、トルク伝達装置8は、駆動機4のクランクシャフト5に回転に関して固定された方法で接続される入力部品16を備える回転振動ダンパ14を含む。
【0019】
固定子21および回転子22を備えるスタータ・ジェネレータ(発電機)20を、回転振動ダンパ14とクランクケーシング6との間に配置される。回転子22を固定子21の半径方向外側に回転式に配置するように、スタータ・ジェネレータ20を外側回転子として具体化する。スタータ・ジェネレータ20の固定子21が、クランクケーシング6に取り付けられる。
【0020】
回転子22は、矩形断面を備える実質的に円形のリングの形態をした回転子ベース本体25を含む。回転子ベース本体25の外側に半径方向にスタータ歯付きリング26が取り付けられる。
【0021】
本発明の本質的な側面によれば、回転子フランジ28が回転子ベース本体25から延出し、回転子22の回転軸に対して45度の角度で配置される。回転子フランジ28のこの配置により、回転子ベース本体25、回転子フランジ28および固定子21によって境界が定められる自由空間29が形成される。自由空間29は、スタータ・ジェネレータ20の動作中、電気力線の伝播を促進する隙間(空間)を提供する。
【0022】
回転子フランジ28に、回転振動ダンパ14の入力部品16に対してある角度をなして、取付フランジ30が取り付けられる。取付フランジ30は回転子フランジ28と実質的に同じ形状であり、スクリュー(ねじくぎ)などの取付要素32を使用して回転子フランジ28に取り付けられる。取付フランジ30は、入力部品16に対して約90度の角度にあり、それに一体的に接続し得る。
【0023】
図3および図4に示す例示的な実施形態では、トルク伝達装置48は、非常に簡略した形態で示す流体力学的なトルクコンバータ54を含む。トルク伝達装置48の入力部品55は、クランクシャフト45に回転に関して固定された方法で接続される。流体力学的なトルクコンバータ54の入力部品56は入力部品55に回転に関して固定された方法で接続される。
【0024】
固定子61および回転子62を備えるスタータ・ジェネレータ60はトルクコンバータ54とクランクケーシング46との間に配置される。回転子62は回転子ベース本体65を含み、それに対しある角度をなして回転子フランジ68がある。上述の例示的な実施形態とは異なり、回転子ベース本体65にはスタータ歯付きリングが取り付けられていない。それ以外は、回転子62は、上述の例示的な実施形態における回転子22と同じように具体化される。
【0025】
回転子22と回転子62の寸法は同じであるが、図1に示す例示的な実施形態では駆動機4を右側に配置している一方、図3に示す例示的な実施形態では駆動機44を左側に配置しているため、2つの例示的な実施形態では180度回転して設置されている。駆動機4;44の配置は、とりわけ、個々の駆動機が関連する自動車の前部領域または後部領域のどちらに配置されているかに起因する。
【0026】
上述の例示的な実施形態のように、曲がり回転子フランジ68は、スタータ・ジェネレータ60の動作中、電場の伝播を改善する自由空間69をもたらす。
【0027】
トルク伝達装置48の入力部品55のセクション(一部)を、スクリュー(ねじくぎ)などの取付要素72を使用して取付フランジ70と回転子フランジ68との間にクランプするように、回転子フランジ68がトルク入力部品55に取り付けられる。次に取付フランジ70に、好ましくは可撓性のシートメタル部品として具体化される接続部品74が取り付けられる。接続部品74は、流体力学的なトルクコンバータ54の入力部品56に回転に関して固定された方法で(図示せず)接続される。
【0028】
スタータ・ジェネレータ20;60は、一方では、好ましくは内燃機関として具体化される駆動機4;44を始動させる働きをする。他方では、スタータ・ジェネレータ20;60は、駆動機4;44が運転しているときに電流を発生させる働きをする。
【0029】
本発明の本質的な一側面によれば、スタータ・ジェネレータ20;60を種々の内燃機関、特に燃焼機関および種々のトランスミッションにおいて使用することができる。この関連において、スタータ・ジェネレータ20;60を、異なる応用(適用)に対して変更するかまたは異なる構成にする必要はない。個々の設置状況に対する適合は、好ましくはトルク伝達装置8;48、特に好ましくは2マスフライホイール(a two−mass flywheel)として具体化される回転振動ダンパ14、または接続部品74を適合することによって、行われる。
【符号の説明】
【0030】
1;41 駆動伝達系
4;44 駆動機
8;48 トルク伝達装置
16;55 入力部品
20;60 スタータ・ジェネレータ
21;61 固定子
22;62 回転子
28;68 回転子フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機(4;44)、トルク伝達装置(8;48)およびトランスミッションを含む駆動伝達系(1;41)を有する自動車、用のスタータ・ジェネレータであって、固定子(21;61)および回転子(22;62)を備える外側回転子として具体化されるスタータ・ジェネレータ(20;60)において、前記トルク伝達装置(8;48)の入力部品(16;55)に回転に関して固定された方法で接続される回転子フランジ(28;68)が前記回転子(22;62)から延出している、スタータ・ジェネレータ。
【請求項2】
前記回転子フランジ(28,68)が、前記回転子(22;62)に一体的に接続される、請求項1に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項3】
前記回転子フランジ(28;68)が、前記回転子(22;62)の回転軸に対して鋭角に配置される、請求項1または2に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項4】
前記回転子フランジ(28,68)が、前記回転子(22;62)の前記回転軸に対して約45度の角度で配置される、請求項3に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項5】
前記スタータ・ジェネレータ(20;60)が、異なる自動車に設置され得る標準部品として具体化される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項6】
前記トルク伝達装置(8)が、前記駆動機(4)に回転に関して固定された方法で接続されかつ前記回転子フランジ(28)によって前記回転子(22)が取り付けられる入力部品(16)を備える回転振動ダンパ(14)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項7】
前記回転子(62)が前記回転子フランジ(68)によって接続部品(74)に取り付けられ、前記接続部品により、前記トルク伝達装置(48)の入力部品(55)に対する回転に関して固定された接続あるいは部分的に可撓性の接続が可能になる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスタータ・ジェネレータ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のスタータ・ジェネレータによって規定される、駆動機(4;44)、トルク伝達装置(8;48)およびトランスミッション(12;52)を含む駆動伝達系(1;41)を有する自動車。
【請求項9】
前記回転子(22;62)および前記固定子(21;61)を異なる装着ユニットに割り当てる、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のスタータ・ジェネレータ(20;60)を、請求項9に記載の自動車に装着する方法であって、2つの装着ユニットが前記自動車に連続的に取り付けられ、前記回転子(22;62)および前記固定子(21;61)が組み合わされる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−109904(P2011−109904A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−252490(P2010−252490)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】