説明

スターホイール装置及びこれを備えた容器検査装置

【課題】容器周りのレイアウトの自由度が高いスターホイール装置及びこれを備えた容器検査装置を提供する。
【解決手段】複数のポケットが周方向に並べて形成され、かつ軸線AX1を中心に回転駆動されるスターホイール2と、各ポケットに取り込まれた容器Bと接触するようにして各ポケットの両側に設けられ、軸線AX2を中心に回転可能な複数のローラ3と、複数のローラ3を回転駆動するローラ駆動機構4と、を備えたスターホイール装置1であって、ローラ駆動機構4は、回転駆動源と、軸線AX2よりもスターホイール2の半径方向中心側に位置する複数のローラ3と同数の中間軸42と、中間軸42とローラ3との間にて回転を伝達するローラ駆動ベルト41と、ローラ駆動ベルト41よりも下方に配置されて、回転駆動源から中間軸42へ回転を伝達する駆動ベルト45と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の搬送に使用されるスターホイール装置及びこれを備えた容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の検査機に使用される搬送装置として、外周に複数のポケットが設けられたスターホイールをその軸線の回りに回転させつつ、各ポケットに容器を取り込んでこれを搬送するとともに、そのスターホイールの外周の一部の区間に沿って配置されたベルトをポケット内の容器と接触させ、そのベルトから容器に回転を伝えて容器を自転させるスターホイール装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。スターホイール装置の前後には容器の間隔を確保するためのスクリューが設けられ、適切な容器間隔で搬送することでベルトによる容器の回転力を確保している。
【特許文献1】特開2007−10624号公報
【特許文献2】特開2003−206025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スターホイール装置のポケットの両側には、ポケット内の容器の自転を補助するローラが回転自在に取り付けられている。容器の径が小さかったり、容器間隔が狭くなったりするとベルトの巻き付け角や巻き付け長さが必要量確保できなくなり、ベルトの回転を容器に十分に伝えられないおそれがある。そこで、これらのローラを駆動回転させることによって容器に回転を伝えて容器を自転させる対策が講じられるが、ローラを駆動する駆動機構を設置するためのスペースが必要となり、容器周りのレイアウトに制約が生じる。
【0004】
そこで、本発明は容器周りのレイアウトの自由度が高いスターホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスターホイール装置は、複数のポケット(21)が周方向に並べて形成され、かつ軸線(AX1)を中心に回転駆動されるスターホイール(2)と、前記各ポケットに取り込まれた容器(B)と接触するようにして前記各ポケットの両側に設けられ、軸線(AX2)を中心に回転可能な複数のローラ(3)と、前記複数のローラを回転駆動するローラ駆動手段(4)と、を備えたスターホイール装置であって、前記ローラ駆動手段は、回転駆動源と、前記複数のローラの軸線よりも前記スターホイールの半径方向中心側に位置する前記複数のローラと同数の中間軸(42)と、前記中間軸と前記ローラとの間にて回転を伝達する第1の伝達手段(41)と、前記第1の伝達手段よりも下方に配置されて、前記回転駆動源から前記中間軸へ回転を伝達する第2の伝達手段(45)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明のスターホイール装置によれば、ローラ駆動手段の中間軸が、第1の伝達手段と、第2の伝達手段とを連動させている。このため、回転駆動源からの回転が第2の伝達手段から中間軸に伝達され、さらに、第1の伝達手段により中間軸からローラに回転が伝達される。ローラを回転駆動する第1の伝達手段が、第2の伝達手段よりも上方にあるため、ローラ及び第1の伝達手段の下方にスペースを設けることができ、例えば、コンベアや、検査装置等の各種装置類の設置が可能となる。よって、容器周辺のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0007】
本発明のスターホイール装置の一形態において、前記第1及び第2の伝達手段が、第1及び第2のベルト(41、45)であってもよい。この形態によれば、第1及び第2の伝達手段をベルトで構成することにより、簡易な構成で回転駆動源からローラに回転駆動を伝達することができる。
【0008】
第1及び第2の伝達手段がベルトで構成されている場合において、前記複数の中間軸が前記スターホイールの軸線を中心として周方向に並び、前記第2のベルトが前記周方向に並んだ複数の中間軸に巻き掛けられていてもよい。この形態によれば、第2のベルトの走行により複数の中間軸を一度に回転駆動させることができる。
【0009】
本発明のスターホイール装置の一形態において、前記ローラ及び前記第1の伝達手段の下方には、空きスペース(S)が設けられていてもよい。この形態によれば、空きスペースを設けることで、例えば、コンベアや、検査装置等の各種装置類の設置が可能となる。
【0010】
また、本発明は、上述したスターホイール装置を組み込むことにより、前記容器がその中心線の回りに回転されつつ前記スターホイールの旋回経路に沿って搬送される区間に設けられた検査域において所定の検査を行う容器検査装置として構成することもできる。この容器検査装置によれば、上述したスターホイール装置によって容器周辺のレイアウトの自由度を高めることができるので、スターホイール装置に容器を供給するコンベアや外観検査に必要な器具等を容器の周りに配置することができる。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明のスターホイール装置及びこれを備えた容器検査装置においては、ローラ駆動手段の中間軸が、第1の伝達手段と、第2の伝達手段とを連動させている。このため、回転駆動源からの回転が第2の伝達手段から中間軸に伝達され、さらに、第1の伝達手段により中間軸からローラに回転が伝達される。ローラを回転駆動する第1の伝達手段が、第2の伝達手段よりも上方にあるため、ローラ及び第1の伝達手段の下方にスペースを設けることができ、例えば、コンベアや、検査装置等の各種装置類の設置が可能となる。よって、容器周辺のレイアウトの自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一形態に係るスターホイール装置を示す平面図である。スターホイール装置1は、容器Bを検査するための容器検査装置としての容器検査機に組み込まれ、スターホイール装置1で容器Bを搬送しつつ容器検査機に設けられた検査装置にて容器が検査される。容器Bは、一例として、プラスチック、あるいはガラス等で形成された飲料用の透明又は半透明のボトルである。検査装置は、スターホイール装置3にて搬送される容器Bをカメラ等の撮像手段にて外周側あるいは底側から撮影し、得られた画像に基づいて欠陥や液中の異物の有無を検査する。
【0014】
スターホイール装置1は、スターホイール2と、容器Bを回転させる複数のローラ3と、ローラ3を回転駆動するローラ駆動手段としてのローラ駆動機構4とを備えている。スターホイール2は、概略円盤状に組み立てられた回転体であり、図示しないモータにより軸線AX1を中心として一定方向(図1の矢印A方向)に回転駆動される。スターホイール2の外周には、容器Bを受け入れるための複数のポケット21が周方向に等間隔で設けられている。容器Bはスターホイール2に隣接して設けられた入口コンベアC1により前工程から搬送され、スターホイール2の回転に同期して各ポケット21に容器Bが1本ずつ順次取り込まれる。ポケット21に取り込まれた容器Bは、容器Bの側面と接触して回転駆動させる容器駆動ベルト22にて側面を保持されつつ回転動力が伝達されて一定方向に回転しながら検査装置による検査を受ける。容器駆動ベルト22は、無端状のベルトで図示しない駆動プーリや従動プーリ、必要によりさらにテンションプーリに巻き掛けられて、図示しない駆動装置により回転動力が入力された駆動プーリが回転駆動されることで走行する。容器Bは、その後ポケット21から取り出されて入口コンベアC1と平行かつ逆方向に走行する出口コンベアC2に渡され、次工程へと送られる。なお、入口コンベアC1及び出口コンベアC2は、前後の工程に応じて適宜の方向に設置してよく、平行かつ逆方向に限定されない。
【0015】
図2はローラ3とローラ駆動機構4の要部とを示す側面図である。ローラ3は、スターホイール2のポケット21間に配置される。ローラ3は、鉛直方向に延びる軸線AX2を中心として回転可能な状態でスターホイール2に取り付けられている。ローラ3は、その外周の一部がポケット21内に突出するように設けられている。ローラ3の中央部3aには、後述するローラ駆動機構4のローラ駆動ベルト41が巻き掛けられ、ローラ3の上下方向の両端には、容器Bと接触する接触部3b、3cが設けられている。ローラ3の回転により、容器Bは自身の軸線の回りに自転する。つまり、容器Bは容器駆動ベルト22及びローラ3の駆動により自転する。これにより、容器駆動ベルト22の容器Bへの巻き付け角や、容器駆動ベルト22と容器Bとの接触長さが十分に確保できない場合においても、ローラ3が回転駆動することにより容器Bを確実に自転させることができる。従って、スターホイール2が保持する容器Bの間隔を狭くした場合でも、十分に容器Bを自転させることができるので、スターホイール2のポケット21の個数を増やすことができ、容器Bの外観検査に係る処理を高速化することができる。また、容器Bの間隔が狭くてもよいため、スターホイール装置1にて各コンベアC1、C2より、ピッチ割と呼ばれる、容器Bの間隔の直接割り出しができるので、スターホイール装置1の前後の工程にスクリュー構造が不要となり、構成を簡素化することができる。
【0016】
ローラ駆動機構4は、ローラ3に回転を伝達する第1の伝達手段としてのローラ駆動ベルト41と、ローラ3の軸線AX2よりもスターホイール2の半径方向中心側に位置し、鉛直方向に延びる軸線AX3を中心として回転可能な状態でスターホイール2に設けられた中間軸42と、中間軸42の上部に固定されて一体回転可能なローラ駆動プーリ43と、ローラ駆動プーリ43よりも下部に固定されて旋回軸42と一体回転可能な従動プーリ44と、従動プーリ44に巻き掛けられて中間軸42を回転駆動する第2の伝達手段としての駆動ベルト45と、駆動ベルト45を走行させる駆動プーリ46と、駆動ベルト45を所定張力に保持する一対のテンションプーリ47と、駆動プーリ46を回転駆動する駆動装置(不図示)と、を備えている。ローラ駆動ベルト41は、無端状のベルトでローラ3の中央部3a及びローラ駆動プーリ43に巻き掛けられている。旋回軸42はローラ3と同数設けられて、その上部にはローラ駆動プーリ43が、下部には従動プーリ44がそれぞれ固定されている。従動プーリ44が駆動ベルト45の走行に伴って回転することで旋回軸42がローラ駆動プーリ43に回転動力を伝達する。そして、ローラ駆動プーリ43に巻き掛けられたローラ駆動ベルト41の走行に伴ってローラ3を回転させる。駆動ベルト45は、無端状のベルトでスターホイール2の周方向に並んだ従動プーリ44のそれぞれに巻き掛けられて、駆動プーリ46からの回転動力を各従動プーリ44に伝達する。
【0017】
ローラ駆動機構4は、旋回軸42に固定されたローラ駆動プーリ43及び従動プーリ44にそれぞれローラ駆動ベルト41と駆動ベルト45とを巻き掛けた二段構成となっている。駆動ベルト45で各従動プーリ44を一括して回転駆動させ、その上方で旋回軸42を介してローラ駆動プーリ43を回転駆動させることでローラ3を回転させているため、ローラ3の周辺の構成を簡素にすることができる。従って、ローラ3の下方に空きスペースSを設けることができ、コンベアC1、C2や、検査装置の照明器具51等の設置が可能となる。よって、スターホイール2のポケット21に保持される容器Bの周辺のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0018】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、第1及び第2の伝達手段としてローラ駆動ベルト41及び駆動ベルト45で説明したが、ベルトの例に限られず、ギアを利用して回転を伝達させてもよい。複数の中間軸42と噛み合って回転するギアを適宜設け、さらに、中間軸42とローラ3とに対し噛み合うギアを適宜設けることで回転駆動源からローラ3に回転を伝達できる。この場合においても、中間軸42からローラ3への伝達機構を、回転駆動源から中間軸42への伝達機構よりも上方に配置することにより、ローラ3の下方にスペースを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一形態に係るスターホイール装置を示す平面図。
【図2】ローラとローラ駆動機構の要部とを示す側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 スターホイール装置
2 スターホイール
3 ローラ
4 ローラ駆動機構(ローラ駆動手段)
21 ポケット
41 ローラ駆動ベルト(第1の伝達手段)
42 中間軸
45 駆動ベルト(第2の伝達手段)
AX1、AX2 軸線
B 容器
C1、C2 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポケットが周方向に並べて形成され、かつ軸線を中心に回転駆動されるスターホイールと、前記各ポケットに取り込まれた容器と接触するようにして前記各ポケットの両側に設けられ、軸線を中心に回転可能な複数のローラと、前記複数のローラを回転駆動するローラ駆動手段と、を備えたスターホイール装置であって、
前記ローラ駆動手段は、回転駆動源と、前記複数のローラの軸線よりも前記スターホイールの半径方向中心側に位置する前記複数のローラと同数の中間軸と、前記中間軸と前記ローラとの間にて回転を伝達する第1の伝達手段と、前記第1の伝達手段よりも下方に配置されて、前記回転駆動源から前記中間軸へ回転を伝達する第2の伝達手段と、を備えたことを特徴とするスターホイール装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の伝達手段が、第1及び第2のベルトであることを特徴とする請求項1に記載のスターホイール装置。
【請求項3】
前記複数の中間軸が前記スターホイールの軸線を中心として周方向に並び、前記第2のベルトが前記周方向に並んだ複数の中間軸に巻き掛けられていることを特徴とする請求項2に記載のスターホイール装置。
【請求項4】
前記ローラ及び前記第1の伝達手段の下方には、空きスペースが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスターホイール装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスターホイール装置が組み込まれるとともに、前記容器がその中心線の回りに回転されつつ前記スターホイールの旋回経路に沿って搬送される区間に設けられた検査域において所定の検査を行うことを特徴とする容器検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−149402(P2009−149402A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328240(P2007−328240)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】