説明

スターホイール装置

【課題】容器の自転速度を必要な速度まで円滑に上昇させて搬送中の容器の安定性を高めることが可能なスターホイール装置を提供する。
【解決手段】複数のポケット10が周方向に並べて形成され、かつ軸線AXを中心に回転駆動されるスターホイール5と、スターホイール5の外周に沿って設定された走行経路上で容器2と接触する主駆動ベルト24を有し、その主駆動ベルト24を走行させることにより容器2をポケット10内で所定方向に所定速度で自転させる容器主駆動機構7とを備えたスターホイール装置3において、主駆動ベルト24の走行経路よりもスターホイール5の搬送方向の上流側にて容器2を同一方向に低速で自転させる容器予駆動機構6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の搬送に使用されるスターホイール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の検査装置に使用される搬送装置として、外周に複数のポケットが設けられたスターホイールをその軸線の回りに回転させつつ、各ポケットに容器を取り込んでこれを搬送するとともに、そのスターホイールの外周の一部の区間に沿って配置されたベルトをポケット内の容器と接触させ、そのベルトから容器に回転を伝えて容器を自転させるスターホイール装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−10624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検査装置にて必要とされる容器の自転速度が高い場合、従来のスターホイール装置では、ポケットに取り込まれた容器がベルトと接した段階で急激に加速される。これにより、搬送中の容器の安定性が損なわれるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は容器の自転速度を必要な速度まで円滑に上昇させて搬送中の容器の安定性を高めることが可能なスターホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスターホイール装置(3)は、複数のポケット(10)が周方向に並べて形成され、かつ軸線(AX)を中心に回転駆動されるスターホイール(5)と、前記スターホイールの外周に沿って設定された走行経路上で前記容器と接触する主駆動ベルト(24)を有し、該主駆動ベルトを走行させることにより前記容器を前記ポケット内で所定方向に所定速度で自転させる容器主駆動機構(7)と、前記主駆動ベルトの前記走行経路よりも前記スターホイールの搬送方向の上流側にて前記容器を前記所定方向に前記所定速度よりも低速で自転させる容器予駆動機構(6)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0006】
本発明によれば、ポケットに取り込まれた容器がまず容器予駆動機構によって駆動されて低速で所定方向に自転を開始する。その後、容器が主駆動ベルトに接触して同一方向に加速され、その自転速度が所定速度まで上昇する。従って、容器主駆動機構のみで容器を自転させる場合と比較して、容器を緩やかに加速させることができる。このため、容器の自転速度を必要な速度まで円滑に上昇させて搬送中の容器の安定性を高めることができる。
【0007】
本発明の一形態において、前記スターホイールの周囲には、各ポケットに容器が取り込まれる搬入部(B)、及び各ポケットから容器が取り出される搬出部(C)が設定され、前記搬入部と前記搬出部との間には前記容器が検査装置(4)の検査を受ける検査区間(D)が設定され、前記主駆動ベルトが前記検査区間にある容器と接触するように当該主駆動ベルトの走行経路が設定され、前記容器予駆動機構は前記搬入部と前記検査区間との間にて前記容器を自転させるように設けられてもよい。この形態によれば、搬入部と検査区間との間において容器予駆動機構で容器を予め低速で自転させ、その後、主駆動ベルトにて容器を検査に必要な速度域まで円滑に加速させることができる。
【0008】
本発明の一形態において、前記容器予駆動機構は、前記主駆動ベルトの前記走行経路よりも前記スターホイールの上流側に偏って設定された走行経路上で前記容器と接触する予駆動ベルト(18)を有し、該予駆動ベルトを前記主回転駆動機構の前記主駆動ベルトと同一方向かつ前記主駆動ベルトよりも低速で走行させることにより、前記容器を自転させるものであってもよい。この形態によれば、予駆動ベルトを容器と接触させることにより、容器を予め所定方向に低速で自転させ、その後に、容器を主駆動ベルトと接触させてその自転速度を所定の速度域まで上昇させることができる。
【0009】
予駆動ベルトを利用して容器を低速で自転させる場合においては、前記主駆動ベルトの走行経路と前記予駆動ベルトの走行経路とが前記スターホイールの周方向に関して部分的に重複していてもよい。両走行経路に重複区間を設けることにより、予駆動ベルトによる低速の駆動状態から主駆動ベルトによる高速の駆動状態へと容器を切れ目なく移行させてその自転速度を円滑に上昇させることができる。
【0010】
前記主駆動ベルト及び前記予駆動ベルトのそれぞれの走行経路が重複する区間においては、前記予駆動ベルトの走行経路の下流側の端部が前記主駆動ベルトの走行経路の上流側の端部よりも前記スターホイールの半径方向外側に後退していてもよい。この形態によれば、スターホイールの周方向に隣接するポケット内の容器のうち、搬送方向上流側の容器(2A)を予駆動ベルトに接触させ、搬送方向下流側の容器(2B)を主駆動ベルトに接触させることができる。これにより、スターホイールの回転に伴って、容器が予駆動ベルトから徐々に離れる一方で、主駆動ベルトに徐々に接するようになり、容器の自転速度がさらに円滑に上昇する。
【0011】
前記予駆動ベルトは前記スターホイールの軸線方向に距離を空けて複数段設けられ、前記主駆動ベルトは前記軸線方向に関して前記予駆動ベルト間に位置していてもよい。この形態によれば、複数段設けられた予駆動ベルトにより、自転開始段階の容器を確実に支持してその安定性を高めることができる。
【0012】
前記主駆動ベルト及び前記予駆動ベルトのうち、少なくともいずれか一方の駆動ベルトにおいては、前記容器と接触する当該駆動ベルトの背面(18b、24b)に凹凸が付されてもよい。この形態によれば、容器と駆動ベルトとの接触面積を減少させ、それにより容器と駆動ベルトとが貼り付くおそれを低減して、搬送中の容器の安定性をさらに高めることができる。
【0013】
各駆動ベルトの前記走行経路における走行方向が前記スターホイールによる前記容器の搬送方向と同一に設定され、かつ各駆動ベルトの走行速度が前記スターホイールによる前記容器の搬送速度よりも高く設定されてもよい。この形態によれば、予駆動ベルトが主駆動ベルトよりも低速でかつスターホイールの搬送方向と同一方向に走行しているので、予駆動ベルトとスターホイールとの間に容器を円滑に取り込んでその自転を開始させることができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、本発明においては、スターホイールの外周に沿って、第1の容器駆動ベルトと第2の容器駆動ベルトとを配置し、ポケットに取り込まれた容器をまず第1の容器駆動ベルトにて加速し、その後、第2の容器駆動ベルトにて容器を同一方向に加速するようにしたので、容器の自転速度を必要な速度まで円滑に上昇させて搬送中の容器の安定性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の一形態に係るスターホイール装置が組み込まれた容器検査機の要部を示す平面図である。容器検査機1は、検査対象の容器2を搬送するスターホイール装置3と、そのスターホイール装置3にて搬送される容器2を検査する検査装置4とを備えている。容器2は、一例として飲料用の透明又は半透明なボトルである。検査装置4は、スターホイール装置3にて搬送される容器2を、複数のカメラ4a〜4dにて外周側あるいは底側から撮影し、得られた画像に基づいて欠陥や液中の異物の有無を検査する。スターホイール装置3は、スターホイール5と、容器予駆動機構6と、容器主駆動機構7と、回転停止機構8とを備えている。スターホイール5は概略円盤状に組み立てられた回転体であり、図示しないモータにより軸線AXを中心として一定方向(図1の矢印A方向)に回転駆動される。
【0017】
スターホイール5の外周には、容器2を受け入れるための複数のポケット10が周方向に等間隔で設けられている。スターホイール5の周囲には、搬入部B及び搬出部Cがスターホイール5の周方向に適宜の間隔(一例として180°程度)離して設定され、それらの搬入部Bと搬出部Cとの間には検査区間Dが設定されている。搬入部Bでは、スターホイール5の回転に同期して各ポケット10に容器2が1本ずつ順次取り込まれる。各ポケット10に取り込まれた容器2は、検査区間Dにて検査装置4による検査を受け、その後、搬出部Cに搬送される。搬出部Cでは、容器2がポケット10から取り出されて次工程へと送られる。スターホイール5のポケット10間には支持手段としてのローラ11が回転自在に取り付けられている。ローラ11は、その外周の一部がポケット10内に突出するように設けられている。ポケット10に取り込まれた容器2は、その胴部がポケット10の両側のローラ11と接することにより、自身の軸線の回りに自転可能な状態で半径方向に支持される。なお、スターホイール5の周囲に、容器2を搬送方向に案内するガイドレールが設けられてもよい。支持手段はローラ11に限らず、容器2を自転可能な状態で支持できる限り適宜変更可能である。
【0018】
容器予駆動機構6及び容器主駆動機構7は、ポケット10に取り込まれた容器2をローラ11と協働して支持しつつ、それらの容器2をポケット10内で自転させるために設けられている。容器予駆動機構6は、駆動プーリ15と、従動プーリ16、17と、それらのプーリ15〜17に巻き掛けられた上下一対の予駆動ベルト18(図1では上段側の容器駆動ベルトのみ示す。)と、駆動プーリ15を回転駆動する駆動装置(不図示)とを有している。従動プーリ16、17は搬入部Bと検査区間Dとの間にて予駆動ベルト18をスターホイール5の外周に沿って走行させるように配置されている。従動プーリ16、17間の走行経路上において、予駆動ベルト18は少なくとも1本の容器2と接触し、それによりベルト18とローラ11との間に容器2が挟み込まれる。ベルト18と接触する容器2の本数は多くても数本で足りる。駆動プーリ15は、従動プーリ16、17間の走行経路において、ベルト18がスターホイール5による容器2の搬送方向と同一方向(矢印Eで示した方向)に走行するように回転駆動される。ベルト18の走行速度は、スターホイール5による容器2の搬送速度よりも高く設定されている。よって、ローラ11とベルト18との間に挟まれた容器2は、ポケット10内にて図1の時計方向に自転する。なお、ベルト18にはアイドラ19が押し付けられている。
【0019】
容器主駆動機構7は、駆動プーリ20と、従動プーリ21、22、23と、それらのプーリ20〜23の間に巻き掛けられた容器駆動ベルト24と、駆動プーリ20を回転駆動する駆動装置25とを有している。従動プーリ22、23は、ベルト24が検査区間Dに位置している全ての検査対象の容器2と接触してベルト24とローラ11との間に挟み込まれるように位置決めされている。スターホイール5の軸線方向から見たときに、従動プーリ16、17間のベルト18の走行経路は、従動プーリ22、23間のベルト24の走行経路よりもスターホイール5の搬送方向上流側に偏っている。しかしながら、容器主駆動機構7の搬送方向上流側(搬入部Bに近い側)の従動プーリ22は、容器予駆動機構6の搬送方向下流側の従動プーリ17よりも搬送方向上流側に位置している。このため、両ベルト18、24の走行経路はスターホイール5の周方向に関して部分的に重複する。しかも、従動プーリ17は、従動プーリ22よりもスターホイール5の半径方向に関して幾らか外側に後退している。そのため、ベルト18の走行経路の下流側の端部は、ベルト24の走行経路の上流側の端部よりもスターホイール5の半径方向外側に後退している。この点は後に詳しく説明する。
【0020】
駆動装置25は、駆動源としての電動モータ26から出力された回転をプーリ27からベルト28を介して駆動プーリ20に伝達することにより、駆動プーリ20を回転駆動する。駆動プーリ20の回転方向は、従動プーリ22、23間の走行経路にてベルト24がスターホイール5による容器2の搬送方向と同一方向(矢印Fで示した方向)に走行するように設定されている。ベルト24の走行速度は、スターホイール5による容器2の搬送速度よりも高く設定されている。これにより、ローラ11とベルト24との間に挟まれた容器2が図1の時計方向に自転する。しかも、ベルト24の走行速度は、ベルト18のそれよりも高い。言い換えれば、ベルト18の走行速度はベルト24のそれよりも低速である。よって、ポケット10に取り込まれて搬送される容器2は、まず容器予駆動機構6のベルト18と接して自転を開始し、その後、容器主駆動機構7のベルト24と接して加速されてより高い速度で自転する。ベルト18がベルト24よりも低速でかつスターホイール5の搬送方向と同一方向に走行しているので、ベルト18とスターホイール5との間に容器2を円滑に導入してその自転を開始させることができる。ベルト18、24の走行経路が部分的に重複しているため、容器2が、予駆動ベルト18による低速の駆動状態から、主駆動ベルト24による高速の駆動状態へと切れ目なく移行する。
【0021】
容器主駆動機構7による容器2の自転速度は検査装置4による容器2で要求される値に設定される。検査装置4が液中の異物を検査する場合、異物を容器2の外周に遠心力で集中させる必要があり、容器2に対して要求される自転速度も比較的高く設定される。このような場合でも、本形態のスターホイール装置3では、容器予駆動機構6及び容器主駆動機構7により容器2の自転速度を段階的に高めているので、容器主駆動機構7のベルト24のみで容器2を自転させる場合と比較して、容器2の急加速を避けて容器2の自転軸のふらつき等の不安定な挙動を抑え、それにより搬送中の容器2の安定性を高めることができる。容器主駆動機構7のベルト24のみで容器2を自転させた場合には、ベルト24が容器2と接触を開始する時点で容器2がポケット10内で静止し、あるいはガイドレールとの間の摩擦で反時計方向に自転しているので、ベルト24の摩耗が早期に進行する。これに対して、容器予駆動機構6にて容器2を低速で自転させてから、容器主駆動機構7にて容器2を同一方向に加速して自転速度を所要の速度域まで上昇させているため、ベルト24の摩耗も抑えることができる。
【0022】
回転停止機構8は、検査区間Dを通過した容器2の自転を制動し停止させるために設けられている。回転停止機構8は、検査区間Dと搬出部Cとの間にてスターホイール5の周方向に間隔を空けて配置された一対のプーリ30、31と、それらのプーリ30、31の間に巻き掛けられた制動ベルト32とを備えている。プーリ30、31の回転には抵抗が付されており、ポケット10内の容器2はベルト32と接して制動される。それにより、容器2の自転が搬出部Cに達する迄に停止する。
【0023】
なお、スターホイール装置3には、ベルト18、24、32とローラ11との間で容器2が挟み込まれている区間において容器2を底側から支持する支持部材を設けてもよい。但し、検査装置4が容器2を底側から撮影し、あるいは照明する構成を有している場合には、少なくともその撮影範囲又は照明範囲において容器2の底側の支持部材を省略する必要がある。容器2に対するベルト24の押し付け力は適宜に設定してよいが、例えば底側からの支持が十分でないといった理由で容器2の安定性をベルト24で高める必要がある場合には、ベルト24の押し付け力を強めて容器2の安定性を高めるようにしてもよい。容器2の底側を支持できない場合には、ベルト24の押し付け力を特に強く設定して容器2をベルト24とローラ11との間でのみ支持してもよい。ベルト18、32の容器2に対する押し付け力に関しても同様である。一方、容器2が底側から支持される場合、ベルト18、24は容器2に対して自転のための回転力を伝達できる程度の押し付け力で容器2と接していれば足り、ベルト32に関しては、容器2の自転を停止させるための抵抗を付与できる程度の押し付け力で容器2と接触していれば足りる。
【0024】
図2は、スターホイール5の外周側から見たときのベルト18、24、32の配置を示している。図2から明らかなように、主駆動ベルト24及び制動ベルト32は容器2の胴部2aに対して高さ方向ほぼ中央付近で接するように配置されている。これに対して、一対の予駆動ベルト18は主駆動ベルト24を上下に挟むようにして配置されている。容器予駆動機構6に上下二段の予駆動ベルト18を設けることにより、容器2を予駆動ベルト18とスターホイール5とに挟まれた区間に円滑に導入して自転開始段階の容器2を確実に支持し、その転倒を防止することができる。また、二段の予駆動ベルト18の間に主駆動ベルト24を配置しているため、予駆動ベルト18の走行経路と主駆動ベルト24の走行経路とが一部重複していても、それらのベルト18、24が互いに干渉することはない。
【0025】
図3は予駆動ベルト18及び主駆動ベルト24のそれぞれの走行経路が重複する区間を拡大した平面図である。図3から明らかなように、両ベルト18、24の走行経路が重複する区間において、予駆動ベルト18の走行経路の下流側の端部(従動プーリ17側の端部)が主駆動ベルト24の走行経路に対してスターホイール5の半径方向外側に徐々に離れている。そのため、両ベルト18、24の走行経路が交差する位置の前後では、スターホイール5の周方向に隣接する2つのポケット10内の容器2A、2Bのうち、搬送方向上流側の容器2Aが予駆動ベルト18に接し、搬送方向下流側の容器2Bが主駆動ベルト24に接している。従って、予駆動ベルト18に接して自転する容器2は、予駆動ベルト18から徐々に離れる一方で、主駆動ベルト24に徐々に接するようになる。これにより、容器2の自転速度を、予駆動ベルト18にて駆動されるときの低速域から、主駆動ベルト24にて駆動されるときの高速域へとさらに円滑に上昇させることができる。
【0026】
図3に示したように、予駆動ベルト18及び主駆動ベルト24のそれぞれは、プーリに対する巻き掛け面18a、24aに噛み合い用の凹凸が付されたタイミングベルトとされている。さらに、容器2と接するベルト18、24の背面18b、24bにも凹凸が付されている。図4に予駆動ベルト18の一部を拡大した様子を示す。背面18bの凹凸は、ベルト18の幅方向全長に延びる突条18cをベルト18の長手方向に等ピッチで設けることにより実現されている。主駆動ベルト24についても図4と同様にして凹凸が付与されている。背面18b、24bに凹凸を設けることにより、ベルト18、24と容器2との間の接触面積が減少する。従って、仮に内容物の付着等によって容器2の外面、あるいはベルト18、24の背面18b、24bがべたついても、容器2とベルト18、24とが貼り付き難い。よって、容器2の自転軸のふらつきが抑えられて容器2の安定性が高まる。回転停止機構8のベルト32に関してもその容器2と接する背面32b(図1参照)に同様の凹凸形状が付される。これにより、自転制動時の摩擦で容器2とベルト32とが貼り付くおそれを低減し、制動ベルト32を容器2から円滑に離間させて容器2の搬送中における安定性を高めることができる。
【0027】
なお、ベルト背面(容器と接する面)の凹凸は、図4に示した形態に限らず、種々変更可能である。例えば、図5に示すように、ベルト18の背面18bに、長手方向に沿って延びる複数の突条18dを設けてもよいし、図6に示すように、ベルト18の背面18bに多数の孤立した突起18eを設けてもよい。
【0028】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、容器予駆動機構は、容器主駆動機構と同一方向かつ低速で容器を自転させることができる限りにおいて、適宜に変更することができる。例えば、容器予駆動機構は、回転するローラを容器と接触させて容器を自転させるように構成されてもよい。複数の容器予駆動機構をスターホイールの搬送方向に並べて設け、容器主駆動機構に容器が至る前の段階で容器を複数段で加速してもよい。本発明のスターホイール装置に使用されるベルトは、上述した背面に凹凸が付されたものに限定されない。本発明のスターホイール装置は、容器検査装置と組み合わされる例に限らず、種々の用途のスターホイール装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一形態に係るスターホイール装置が組み込まれた容器検査機の要部を示す平面図。
【図2】スターホイールの外周側から見たときの各ベルトの配置を示す図。
【図3】予駆動ベルトと主駆動ベルトのそれぞれの走行経路が重複する区間を拡大した平面図。
【図4】ベルトの部分拡大斜視図。
【図5】ベルトの変形例を示す図。
【図6】ベルトのさらなる変形例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 容器検査機
2 容器
2a 容器の胴部
3 スターホイール装置
4 検査装置
5 スターホイール
6 容器予駆動機構
7 容器主駆動機構
8 回転停止機構
10 ポケット
11 ローラ
18 予駆動ベルト
18b 予駆動ベルトの背面
24 主駆動ベルト
24b 主駆動ベルトの背面
32 制動ベルト
32b 制動ベルトの背面
B 搬入部
C 搬出部
D 検査区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポケットが周方向に並べて形成され、かつ軸線を中心に回転駆動されるスターホイールと、
前記スターホイールの外周に沿って設定された走行経路上で前記容器と接触する主駆動ベルトを有し、該主駆動ベルトを走行させることにより前記容器を前記ポケット内で所定方向に所定速度で自転させる容器主駆動機構と、
前記主駆動ベルトの前記走行経路よりも前記スターホイールの搬送方向の上流側にて前記容器を前記所定方向に前記所定速度よりも低速で自転させる容器予駆動機構と、
を備えたことを特徴とするスターホイール装置。
【請求項2】
前記スターホイールの周囲には、各ポケットに容器が取り込まれる搬入部、及び各ポケットから容器が取り出される搬出部が設定され、前記搬入部と前記搬出部との間には前記容器が検査装置の検査を受ける検査区間が設定され、前記主駆動ベルトが前記検査区間にある容器と接触するように当該主駆動ベルトの走行経路が設定され、前記容器予駆動機構は前記搬入部と前記検査区間との間にて前記容器を自転させるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスターホイール装置。
【請求項3】
前記容器予駆動機構は、前記主駆動ベルトの前記走行経路よりも前記スターホイールの上流側に偏って設定された走行経路上で前記容器と接触する予駆動ベルトを有し、該予駆動ベルトを前記主回転駆動機構の前記主駆動ベルトと同一方向かつ前記主駆動ベルトよりも低速で走行させることにより、前記容器を自転させることを特徴とする請求項1又は2に記載のスターホイール装置。
【請求項4】
前記主駆動ベルトの走行経路と前記予駆動ベルトの走行経路とが前記スターホイールの周方向に関して部分的に重複していることを特徴とする請求項3に記載のスターホイール装置。
【請求項5】
前記主駆動ベルト及び前記予駆動ベルトのそれぞれの走行経路が重複する区間において、前記予駆動ベルトの走行経路の下流側の端部が前記主駆動ベルトの走行経路の上流側の端部よりも前記スターホイールの半径方向外側に後退していることを特徴とする請求項4に記載のスターホイール装置。
【請求項6】
前記予駆動ベルトが前記スターホイールの軸線方向に距離を空けて複数段設けられ、前記主駆動ベルトは前記軸線方向に関して前記予駆動ベルト間に位置していることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のスターホイール装置。
【請求項7】
前記主駆動ベルト及び前記予駆動ベルトのうち、少なくともいずれか一方の駆動ベルトにおいては、前記容器と接触する当該駆動ベルトの背面に凹凸が付されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のスターホイール装置。
【請求項8】
各駆動ベルトの前記走行経路における走行方向が前記スターホイールによる前記容器の搬送方向と同一に設定され、かつ各駆動ベルトの走行速度が前記スターホイールによる前記容器の搬送速度よりも高く設定されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載のスターホイール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−120384(P2009−120384A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298877(P2007−298877)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】