説明

スチルビデオカメラ

【目的】 スチルビデオカメラの電源投入から撮影までの所要時間を、従来よりも短くする。
【構成】 第1のCCD22の前面側に、フィルタを備えたホワイトバランス調整装置63を設ける。フィルタ68は、乳白色フィルタ部と透明部を有し、これらの一方をモータ67の作用により第1のCCD22の前面側に配置させる。すなわちCCD22の前面側には、ホワイトバランス調整時、乳白色フィルタ部を配置し、撮影時、透明部を配置する。またホワイトバランス調整と同時に、第2のCCD23の出力信号をAF制御回路58に導きAF処理を行う。AF処理は第2のCCD23の出力信号における空間周波数が最大になるように撮影レンズ12の位置を定めることにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー画像を得るために複数の撮像素子を備えたスチルビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、撮影レンズを介して入射する被写体像を撮像素子によって受光し、カラーの静止画を得て記録媒体に記録するスチルビデオカメラが知られている。このようなスチルビデオカメラにより撮影を行う場合、撮影に先立ちホワイトバランス等の調整を行わなければならない。例えばTTL方式のホワイトバランス調整は、撮影レンズの前に乳白色のフィルタを被せて行われ、撮像素子を介して得られる画像信号が白色として再現されるようにホワイトバランス調整係数が定められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって従来のスチルビデオカメラにおいては、撮影時、まずホワイトバランス調整係数をカメラ内のメモリに一旦記憶し、その後、被写体に対し自動焦点調節(AF)して撮影を行っていたため、乳白色フィルタの着脱時間も含めて、撮影までに要する時間が長くなるという問題があった。
【0004】本発明は、スチルビデオカメラの電源を投入してから撮影までの所要時間を、従来よりも短くすることができるスチルビデオカメラを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスチルビデオカメラは、第1および第2の撮像素子と、第1の撮像素子の受光面側に進退可能に設けられた色温度測定用フィルタと、この色温度測定用フィルタを介して受光した第1の撮像素子からの出力信号に応じてホワイトバランスを行うホワイトバランス調整手段と、第2の撮像素子からの出力信号により撮影レンズを駆動して焦点調節を行う焦点調節手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
【実施例】以下図示実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例である2板式スチルビデオカメラのブロック図である。
【0007】システムコントロール回路10は、例えばマイクロコンピュータより構成され、被写体の合焦処理や色温度調整処理などを含め、本スチルビデオカメラの全体の制御を行うものである。
【0008】撮像光学系11を通った光線は、プリズム21を通って第1および第2の撮像素子(以下、CCDという)22、23に導かれ、これらのCCD22、23上には同じ被写体像が結像される。またこの光線は、プリズム21およびミラー24、29を介してファインダ光学系25に導かれる。CCD22、23はCCDドライバ26によって駆動され、これにより、CCD22、23上に結像された画像信号が、相関二重サンプリング(CDS)回路31、32に供給される。なおCCDドライバ26は、システムコントロール回路10によって制御される同期信号発生回路27から出力されるパルス信号により作動される。
【0009】CDS回路31、32に入力された画像信号は、リセット雑音を除去された後、プリプロセス回路33、34において所定の処理が施される。そしてこの画像信号は、A/D変換器35、36においてデジタル信号に変換され、各画像メモリ41〜44に格納される。画像信号が格納される画像メモリ41〜44のアドレスは、システムコントロール回路10によりアドレス制御回路45を介して制御される。
【0010】画像信号は、画像メモリ41〜44から読み出され、映像処理回路46において所定の演算処理を施される。これにより輝度信号と色信号が抽出される。これらの信号は、映像処理回路46からD/A変換器48、デコーダ49を介してカメラに内蔵されたモニターディスプレイ装置50に出力されるとともに、ホワイトバランス(WB)調整回路51、ガンマ(γ)補正回路52を介してメモリ制御回路53に出力される。メモリ制御回路53は、記録媒体としてのICメモリカードの記録フォーマットに対応させて画像信号を出力するものであり、システムコントロール回路10により画像圧縮伸長回路54を介して作動制御される。この画像圧縮伸長回路54は、画像信号を記録媒体に記録する際、R信号、G信号およびB信号を時間軸に対して圧縮・伸長するためのものである。メモリ制御回路53に入力されたR、G、B信号は、システムコントロール回路10からの制御によりICメモリカード等の記録媒体Mに記録される。なお本スチルビデオカメラにおいては、これらの信号は同様にインターフェース回路47を介して図示しないコンピュータやディスプレイ装置にも出力可能である。
【0011】撮像光学系11はズーミング光学系を形成する複数のレンズから成る撮影レンズ12と絞り13から構成される。撮影レンズ12の光軸方向の位置は、システムコントロール回路10によって作動制御されるズーム駆動回路14およびフォーカス駆動回路15によって調整され、絞り13の開度はアイリス駆動回路16を介してシステムコントロール回路10によって調整される。
【0012】システムコントロール回路10に接続されたマニュアルスイッチ55およびシャッターボタン56は、本スチルビデオカメラを操作するため、また表示素子57は、マニュアルスイッチ55による操作の内容を外部表示するために、それぞれ設けられる。本スチルビデオカメラは、マニュアルスイッチ55の操作によりシステムコントロール回路10を介して作動されるストロボ装置59を内蔵しており、ストロボ装置59の発光量等はシステムコントロール回路10によってストロボ回路60を介して制御される。
【0013】プリズム21は第1および第2の光分離面21a、21bを備えており、これらの光分離面21a、21bの作用によって、第1および第2CCD22、23とファインダ光学系25に導かれる光量が例えば4:4:2の比に分離され、各CCD22、23に同じ強度の比が導かれる。すなわち、撮像光学系11からプリズム21に入射した光線の一部は、第1の光分離面21aで反射されて第2の光分離面21bに導かれる。第2の光分離面21bにおいて、一部の光は反射して第1CCD22に導かれ、他の光線、すなわち第1および第2の光分離面21a、21bを透過した光線は、プリズム21の外部に射出される。この光線は、ミラー24、29で反射されてファインダ光学系25に導かれる。
【0014】第1および第2CCD22、23の受光面には、各分離面21a、21bによって反射された光線の色成分を補正するカラーフィルタ61、62が設けられる。これらのカラーフィルタ61、62は、グリーン(G)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)およびシアン(Cy)を透過させる各フィルタ要素が交互に配列された補色市松カラーフィルタであり、共に同じ構成を有している。
【0015】ホワイトバランス調整を行うため、第1CCD22とプリズム21との間には、図2に示されるようなフィルタ駆動装置63が設けられる。フィルタ駆動装置63は、CCD22の両側に設けられた一対のローラ64と、プーリ65およびベルト66を介して両ローラ64を回転するモータ67とを備えており、ローラ64にはフィルム状のフィルタ68が巻き付けられる。このフィルタ68は、少なくともCCD22全域を覆う面積を有する乳白色フィルタ部68aと、これに連続する透明部68bとからなる。モータ67は、モータ駆動回路69(図1)を介して、システムコントロール回路10により制御される。
【0016】一方AF動作のため、第2CCD23の出力信号は、AF制御回路58に入力され、ここで第2CCD23上に結像された被写体像の最も空間周波数が高くなるレンズ位置が演算される。そして、ここで演算されたレンズ位置に対応した駆動信号がシステムコントロール回路10からフォーカス駆動回路15に出力される。なお本実施例において、AF制御回路58はシャッターボタン56が押されてレリーズスイッチがON状態になることにより駆動開始される。
【0017】図3は、ホワイトバランス調整、AF処理および撮影動作のタイミングチャートである。
【0018】ステップS1においてレリーズスイッチがON状態であると判定されたとき、ホワイトバランス調整とAF動作が開始される。ホワイトバランス調整動作として、まず第1CCD22の前方に乳白色フィルタ部68aが位置した状態において、システムコントロール回路10の制御により、CCDドライバ26を介して第1CCD22が駆動され、このCCD22から出力信号(画像信号)が高速で読み出され、画像メモリ41〜44を経て映像処理回路46に入力される。映像処理回路46では、入力信号からR、G、Bの3原色信号が生成され、WB調整回路51に出力される。一方システムコントロール回路10では、R、G、B信号からR/G、B/Gが演算され、適切なホワイトバランスを得るためのホワイトバランス調整係数(B,R信号の増幅利得)が求められる。WB調整回路51では、ホワイトバランス調整係数に基づいて、入力信号が増幅調整され、ホワイトバランス調整が行われる。
【0019】一方AF処理については、CCDドライバ26により第2のCCD23が駆動され、このCCD23から得られた画像信号の空間周波数が最大になるように撮影レンズ12の位置が制御される。
【0020】このようにしてホワイトバランス調整とAF処理が終了すると、ステップS2においてフィルタ駆動装置63のモータ67が図2において矢印A方向に回転し、CCD22の前方から乳白色フィルタ部68aが移動せしめられ、透明部68bがCCD22の前面側に配置される。
【0021】次いでステップS3において、撮影記録動作が行われる。すなわち、システムコントロール回路10によってCCDドライバ26が制御され、それまで第1および第2CCD22、23に蓄積されていた不要電荷が高速で掃き出された後、各CCD22、23に対して本露光動作が行われる。そして所定時間経過後、各CCD22、23の蓄積電荷が転送され、すなわち各CCD22、23の出力信号が取り出される。これらのCCD22、23からの出力信号は、A/D変換器35、36およびγ補正回路52等の回路を経て、適切な画像信号に生成され、メモリ制御回路53を介して記録媒体MとしてのICメモリカードに記録される。この記録動作の後、ステップS4において、次の撮影に備えるべくフィルタ駆動装置63のモータ67が図2の矢印B方向に逆転され、CCD22の前面側に乳白色フィルタ部68aが配置される。
【0022】以上のように本実施例では、スチルビデオカメラ本体内部に乳白色のフィルタを設け、撮影動作において、シャッターレリーズと同時に、一方のCCD22によってホワイトバランス調整を行うとともに他方のCCD23によって被写体像のAF処理を行っている。従って、従来のスチルビデオカメラのようにホワイトバランス調整のために乳白色のキャップを着脱する時間が省略され、また従来のようにホワイトバランス調整とAF処理とを時系列に行う必要がないため、スチルビデオカメラの電源投入から、ホワイトバランス調整の処理を含めて撮影までに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0023】また本実施例によれば、シャッターレリーズ毎にホワイトバランス調整を行うため、ホワイトバランス調整が行われない状態での撮影ミスを防止することができる。
【0024】なお本実施例では、CCDへの本露光動作直前にAF動作とホワイトバランス調整を行うように構成されているが、レリーズボタンの半押しによる測光動作と連動して、測光、AFおよびホワイトバランス調整の3つの動作を同時に行わせるようにしてもよい。
【0025】また本実施例では、色温度測定用フィルタとして、乳白色フィルタ部68aを使用していたが、これに代えて拡散板を用いてもよい。
【0026】さらに上記実施例では、2板式スチルビデオカメラであったが、赤・青・緑それぞれの色の成分像だけを電気信号に変換する3個の撮像素子を備えた3板式スチルビデオカメラにおいて、1つの撮像素子に色温度測定用フィルタを設けるようにしても良い。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、シャッターレリーズと同時に被写体の色温度調整処理とオートフォーカス処理を行うことができるため、撮影動作に要する時間を従来よりも短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るスチルビデオカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1のフィルタ駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図1のスチルビデオカメラの撮影動作のタイミングチャートである。
【符号の説明】
15 フォーカス駆動回路
22 第1のCCD
23 第2のCCD
46 映像処理回路
58 オートフォーカス制御回路
68 色温度測定用フィルタ
68a 乳白色フィルタ部
68b 透明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1および第2の撮像素子と、第1の撮像素子の受光面側に進退可能に設けられた色温度測定用フィルタと、この色温度測定用フィルタを介して受光した第1の撮像素子からの出力信号に応じてホワイトバランスを行うホワイトバランス調整手段と、前記第2の撮像素子からの出力信号により撮影レンズを駆動して焦点調節を行う焦点調節手段とを備えたことを特徴とするスチルビデオカメラ。
【請求項2】 前記色温度測定用フィルタは、乳白色フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載のスチルビデオカメラ。
【請求項3】 前記色温度測定用フィルタは、拡散板を有することを特徴とする請求項1に記載のスチルビデオカメラ。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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