説明

スチルベン誘導体、およびアミロイド斑の結合および画像化のためのその使用

【課題】アミロイド沈着物を画像化する方法、および標識化合物、ならびにアミロイド沈着物を画像化するのに有用な標識化合物を作製する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、アミロイド沈着物を画像化する方法、および標識化合物、ならびにアミロイド沈着物を画像化するのに有用な標識化合物を作製する方法に関する。本発明はまた、化合物ならびにアミロイド沈着物を形成するようなアミロイドタンパク質の凝集を阻害するための化合物を作製する方法およびアミロイド沈着物に対して治療剤を送達する方法に関する。本発明はまた、式I、II、III、IVまたはVの放射標識化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含有する診断用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、新規な生物活性化合物、放射標識した化合物を使用する診断画像化の方法、および放射標識化合物を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、認知減退、不可逆性記憶喪失、失見当識、および言語障害により特徴付けられる進行性の神経変性障害である。AD脳切片の死後検査により、アミロイド−β(Aβ)ペプチド、および高度にリン酸化されたτタンパク質の線維により形成される多数の神経細線維もつれ(NFT)から構成される豊富な老人性斑(SP)が明らかとなる(最近の概説およびさらなる引用については、以下を参照のこと:非特許文献1非特許文献2)。家族性AD(FAD)は、A前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン(presenilin)1(PS1)遺伝子およびプレセニリン2(PS2)遺伝子における複数の変異により引き起こされる(非特許文献1非特許文献2)。
【0003】
ADの原因となる正確な機構は、完全に理解されていないが、これまでに研究された全ての病原性FAD変異は、Aβペプチドのよりアミロイド形成性(amyloidogenic)な42〜43アミノ酸長の形態の産生を増加する。従って、少なくともFADにおいて、Aβ産生の調節不全は、神経変性に至る事象のカスケードを誘導するのに十分であるようである。実際、このアミロイドカスケードの仮説は、脳における細胞外原線維Aβ凝集体の形成が、ADの病因における中枢の事象であり得ることを示唆する(非特許文献3非特許文献4非特許文献5非特許文献6)。
【0004】
脳における原線維Aβの産生を阻害し、そしてその蓄積を低減する試みにおける種々のアプローチが、現在、ADのための可能性のある治療法として評価されている(非特許文献7非特許文献8非特許文献9非特許文献10非特許文献11非特許文献12)。従って、原線維Aβ凝集体に特異的に結合するリガンドを開発することは、非常に興味深い。細胞外SPは、アクセス可能な標的であるので、これらの新しいリガンドは、インビボ診断ツールとして、そして生存している患者におけるADアミロイド形成の研究におけるAβの進行性沈着を可視化するためのプローブとして使用され得る。
【0005】
この目的のために、原線維Aβ凝集体に特異的なリガンドを開発するためのいくつかの興味深いアプローチが報告されている(非特許文献13非特許文献14非特許文献15非特許文献16非特許文献17非特許文献18非特許文献19非特許文献20)。最も魅力的なアプローチは、高度に結合体化されたクリサミン(chrysamine)−G(CG)およびコンゴーレッド(CR)に基づき、そして後者は、死後AD脳切片におけるSPおよびNFTの蛍光染色に使用されている(非特許文献13非特許文献21)。原線維Aβ凝集体に対する結合についての、CR、CG、ならびにCGの3’−ブロモ誘導体および3’−ヨード誘導体の阻害定数(K)は、それぞれ2,800nM、370,300nM、および250nMである(非特許文献18)。これらの化合物は、インビトロでAβ(1〜40)ペプチド凝集体およびAD脳切片における原線維Aβ沈着物に選択的に結合することが示されている(非特許文献18)。
【0006】
アミロイドーシスは、患者の組織における種々の不溶性原線維たんぱく質の蓄積により特徴付けられる状態である。アミロイド沈着物は、アミロイドタンパク質の凝集、次いで凝集体および/またはアミロイドタンパク質のさらなる結合により形成される。脳におけるβ−アミロイド(Aβ)ペプチドの凝集体の形成および蓄積は、ADの発症および進行における重要な要因である。アミロイドペプチド(Aβ1〜40およびAβ1〜42)の原線維凝集体は、AD患者における老人性斑および脳血管アミロイド沈着物において見出されるアミロイド前駆体タンパク質に由来する主要な代謝ペプチドである(非特許文献22)。Aβ斑形成の防止および逆転は、この疾患の処置として標的化されている(非特許文献4非特許文献9非特許文献7)。
【0007】
アルツハイマー病におけるアミロイド沈着の役割に加えて、アミロイド沈着物の存在は、以下のような疾患において示されている:地中海熱、マックル−ウェルズ症候群、突発性骨髄腫、アミロイド多発性神経障害、アミロイド心筋症、全身性老年性アミロイドーシス、アミロイド多発性神経障害、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、ダウン症候群、スクラピー、クロイツフェルト−ヤーコプ病、クールー、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群、甲状腺の髄様癌、孤立心房性アミロイド、透析患者におけるβ−ミクログロブリンアミロイド、封入体筋炎、筋消耗病におけるβ−アミロイド沈着、およびランゲルハンス島II型糖尿病インスリノーマ。
【0008】
従って、患者においてアミロイド沈着を検出および定量するための単純で非侵襲性の方法は、熱心に探索されてきた。現在では、アミロイド沈着の検出は、生検または剖検材料の組織学的分析を含む。両方の方法が、欠点を有する。例えば、剖検は、死後の診断にしか使用できない。
【0009】
画像化剤は、2つの型の同位体に基づき得る。99mTc(T1/2、6時間;140KeV)および123I(T1/2、13時間;159KeV)は、シングルフォトンエミッション断層撮影(SPECT)に慣用的に用いられ、一方、11C(T1/2、20分;511KeV)および18F(T1/2、110分;511KeV)は、陽子射出断層撮影法(PET)に一般的に使用される。
【0010】
インビボでのアミロイド沈着物の直接的な画像化は、困難である。なぜなら、これらの沈着物は、正常な組織と同じ物理的特性(例えば、密度および含水量)を多く有するからである。磁気共鳴像(MRI)およびコンピューター補助断層撮影法(CAT)を使用してアミロイド沈着物を画像化しようとする試みは、期待はずれに終わり、そして特定の好ましい条件下でのみアミロイド沈着物を検出した。さらに、抗体、血清アミロイドPタンパク質、または他のプローブ分子でアミロイド沈着物を標識しようとする努力は、組織の周辺においていくらかの選択性を提供したが、質の悪い組織内部の画像化しか提供しなかった。
【0011】
生存している脳においてAβ凝集体を検出するための可能性のあるリガンドは、インタクトな血液脳関門を横切らなくてはならない。従って、脳への取り込みは、(コンゴーレッドと比較して)比較的小さな分子サイズおよび増加した親油性を有するリガンドを使用することにより改善され得る。高度に結合体化されたチオフラビン(SおよびT)は、AD脳におけるAβ凝集体を染色するための色素として一般的に使用される(非特許文献23)。これらの化合物は、ベンゾチアゾールを基本とし、これは、分子サイズが比較的小さい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Ginsberg,S.D.ら、「Molecular Pathology of Alzheimer’s Disease and Related Disorders」、Cerebral Cortex:Neurodegenerative and Age−related Changes in Structure and Function of Cerebral Cortex,Kluwer Academic/Plenum,NY(1999),pp.603−654
【非特許文献2】Vogelsberg−Ragaglia,V.ら、「Cell Biology of Tau and Cytoskeletal Pathology in Alzheimer’s Disease」 Alzheimer’s Disease,Lippincot,Williams & Wilkins,Philadelphia,PA(1999),pp.359−372
【非特許文献3】Selkoe,D.J.「Biology of B−amyloid Precursor Protein and the Mechanism of Alzheimer’s Disease」、Alzheimer’s Disease,Lippincot Williams & Wilkins,Philadelphia,PA(1999),pp.293−310
【非特許文献4】Selkoe,D.J.,J,Am.Med.Assoc.283:1615−1617(2000)
【非特許文献5】Naslund,J.ら、J.Am.Med.Assoc.283:1571−1577(2000)
【非特許文献6】Golde,T.E.ら、Biochimica et Biophysica Acta 1502:172−187(2000)
【非特許文献7】Skovronsky,D.M.およびLee,V.M.,Trends Pharmacol.Sci.21:161−163(2000)
【非特許文献8】Vassar,R.ら、Science 286:735−741(1999)
【非特許文献9】Wolfe,M.S.ら、J.Med.Chem.41:6−9(1998)
【非特許文献10】Moore,C.L.ら、J.Med.Chem.43:3434−3442(2000)
【非特許文献11】Findeis,M.A.,Biochimica et Biophysica Acta 1502:76−84(2000)
【非特許文献12】Kuner,P.,Bohrmannら、J.Biol.Chem.275:1673−1678(2000)
【非特許文献13】Ashburn,T.T.ら、Chem.Biol.3:351−358(1996)
【非特許文献14】Han,G.ら、J.Am.Chem.Soc.118:4506−4507(1996)
【非特許文献15】Klunk,W.E.ら、Biol.Psychiatry 35:627(1994)
【非特許文献16】Klunk,W.E.ら、Neurobiol.Aging 16:541−548(1995)
【非特許文献17】Klunk,W.E.ら、Society for Neuroscience Abstract 23:1638(1997)
【非特許文献18】Mathis,C.A.ら、Proc.XIIth Intl.Symp.Radiopharm.Chem.,Uppsala,Sweden:94−95(1997)
【非特許文献19】Lorenzo,A.およびYankner,B.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:12243−12247(1994)
【非特許文献20】Zhen,W.ら、J.Med.Chem.42:2805−2815(1999)
【非特許文献21】Klunk,W.E.ら、J Histochem.Cytochem.37:1273−1281(1989)
【非特許文献22】Xia,W.ら、J.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.97:9299−9304(2000)
【非特許文献23】Elhaddaoui,A.ら、Biospectroscopy 1:351−356(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
患者におけるアミロイド沈着物を画像化および定量するための非侵襲的技術を有することは、有用である。さらに、アミロイドタンパク質の凝集がアミロイド沈着物を形成するのを阻害する化合物およびアミロイドタンパク質の凝集を阻害する化合物の能力を決定するための方法を有することは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、式I、II、III、IVまたはVの新規化合物を提供する。
【0015】
本発明はまた、式I、II、III、IVまたはVの放射標識化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含有する診断用組成物を提供する。
【0016】
本発明はさらに、アミロイド沈着物(depositis)の画像化方法を提供し、この方法は、検出可能な量の式I、II、III、IVまたはVの標識された化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩、エステル、アミドまたはプロドラッグの患者に導入する工程を包含する。
【0017】
本発明はまた、アミロイドタンパク質の凝集を阻害するための方法を提供し、この方法は、アミロイドを阻害する量の式I、II、III、IVまたはVの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩、エステル、アミドまたはプロドラッグを哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0018】
本発明のさらなる局面は、本明細書中に記載される式I、II、III、IVまたはVの、アミロイドを阻害および画像化する化合物を合成するのに有用な方法および中間体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の代表的な化合物およびこれらの化合物に対する結合データを示す。
【図2】図2は、本発明の化合物対する結合データを示す。
【図3】図3は、本発明の代表的な化合物およびこれらの化合物に対する結合データを示す。
【図4】図4は、本発明の代表的な化合物およびこれらの化合物に対する結合データを示す。
【図5】図5は、本発明の代表的な化合物およびこれらの化合物に対する結合データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の局面は、式Iの化合物:
【0021】
【化8】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、ここで:
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
、RおよびRは、各場合において、独立して以下からなる群から選択される:水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、シアノ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ハロ(C1〜4)アルキル、およびホルミル;
は、以下からなる群から選択される:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR、ここで、
およびRは、水素、ハロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル、ならびに、
l.C3〜6シクロアルキル、
ここで、上記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、以下のうちの1つで置換される:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ;そして、
X’は、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、76Br、77Br、またはSn(アルキル)である。
【0022】
式Iの範囲内にある有用な化合物としては、Rが水素またはC1〜4アルキルである化合物が挙げられる。Rの特に有用な値は、水素およびメチルである。Rの最も有用な値は、水素である。
【0023】
有用な化合物は、R、RおよびRが、各場合において上記のような群より独立して選択される、式Iの化合物である。好ましくは、Rは、水素である。この好ましい実施形態において、RおよびRが水素およびC1〜4アルキルからなる群より独立して選択されることが、特に好ましい。より好ましくは、RおよびRのうちの少なくとも1つは、水素である。最も好ましくは、RおよびRは、水素である。
【0024】
式Iの有用な化合物としてはまた、Rが上記である化合物が挙げられる。C6〜10アリールの範囲の下で好ましいRの値としては、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルが挙げられる。ヘテロアリールの範囲の下で好ましいRの値としては、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、ピリジニル、インドリルおよびイミダゾリルが挙げられる。複素環の範囲の下で好ましいRの値としては、ピペリジニル、ピロリジニルおよびモルホリニルが挙げられる。RがC6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルの好ましい実施形態である化合物において、環が以下のうちの1つで置換されていることが、最も好ましい:C1〜4アルキルチオ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ。別の実施形態において、Rは、より好ましくは、C1〜4アルキルチオ、ハロ(C1〜4)アルコキシ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシおよびNRからなる群より選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルである。最も好ましくは、Rは、メチルチオ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、ヒドロキシ、メトキシ、またはNRからなる群より選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはメチルである。
【0025】
X’の有用な値としては、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、76Br、77BrまたはSn(アルキル)が挙げられる。X’の特に有用な値は、123I、18フルオロメチル、18フルオロエチルおよび18フルオロプロピルである。
【0026】
本発明はまた、式IIの化合物:
【0027】
【化9】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、
Zは、O、SまたはNRであり、ここで、
は、C1〜4アルキルであり;
、R10およびR11は、各場合において、独立して以下からなる群から選択される:水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、シアノ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ハロ(C1〜4)アルキルおよびホルミル;
12は、以下からなる群から選択される:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR1314、ここで、
13およびR14は、水素、ハロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキルおよび
l.C3〜6シクロアルキル、
ここで、上記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、以下のうちの1つと置換される:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ;そして、
X’は、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、76Br、77BrまたはSn(アルキル)である。
【0028】
式IIの範囲内にある有用な化合物としては、ZがO、SまたはNRである化合物が挙げられ、ここで、Rは、C1〜4アルキルである。特に有用な化合物は、ZがOである化合物である。
【0029】
有用な化合物は、R、R10およびR11が、各場合において上記のような群より独立して選択される、式Iの化合物である。好ましくは、R11は、水素である。この好ましい実施形態において、RおよびR10が水素およびC1〜4アルキルからなる群より独立して選択されることが、特に好ましい。より好ましくは、RおよびR10のうちの少なくとも1つは、水素である。最も好ましくは、RおよびR10は、水素である。
【0030】
式Iの有用な化合物としてはまた、R12が上記である化合物が挙げられる。C6〜10アリールの範囲の下で好ましいR12の値としては、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルが挙げられる。ヘテロアリールの範囲の下で好ましいR12の値としては、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、ピリジニル、インドリルおよびイミダゾリルが挙げられる。複素環の範囲の下で好ましいR12の値としては、ピペリジニル、ピロリジニルおよびモルホリニルが挙げられる。R12がC6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルの好ましい実施形態である化合物において、環が以下のうちの1つで置換されていることが、最も好ましい:C1〜4アルキルチオ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ。別の実施形態において、R12は、より好ましくは、C1〜4アルキルチオ、ハロ(C1〜4)アルコキシ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシおよびNR1314からなる群より選択され、ここで、R13およびR14は、独立して、水素、ハロ(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルキルである。最も好ましくは、R12は、メチルチオ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、ヒドロキシ、メトキシ、またはNR1314からなる群より選択され、ここで、R13およびR14は、独立して、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはメチルである。
【0031】
X’の有用な値としては、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、76Br、77BrまたはSn(アルキル)が挙げられる。X’の特に有用な値は、123I、18フルオロメチル、18フルオロエチルおよび18フルオロプロピルである。
【0032】
本発明の別の局面は、式IIIの化合物:
【0033】
【化10】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
28は、水素またはC1〜4アルキルであり、
Zは、O、Sまたは−CR15=CR16−であり、ここで、
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25は、各場合において、独立して以下からなる群から選択される:水素、ハロゲン、Sn(アルキル)、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルファニル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C6〜10アリール、カルボキシアルキル、カルボキシおよびNR2627:ここで、
26およびR27は、独立して、水素、C1〜4アルキル、フェニル(C1〜4)アルキル、ハロ(C1〜4)アルキル、ハロアリール(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、ここで、
上記C6〜10アリール、C6〜10ヘテロアリール、複素環またはC3〜6シクロアルキルは、置換されていないか、または以下のうちの1つで置換されている:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ、そして、
は、水素または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジル)である。
【0034】
式IIIの四座金属配位子部分は、本明細書中に記載されるように、金属(例えば、99m−過テクネチウム酸)と錯化して、以下の式:
【0035】
【化11】

によって例示される金属キレートを形成し得る。
【0036】
さらに、レニウム放射性同位体が、四座金属配位子と錯化され得る。
【0037】
式IIIの有用な化合物は、ZがO、Sまたは−CR15=CR16−である化合物であり、ここで、R15およびR16は、上記の通りである。好ましくは、Zは、−CR15=CR16−であり、ここで、R15およびR16は、上記の通りである。より好ましくは、R15およびR16は、水素である。
【0038】
本発明の有用な化合物は、R17〜R25が上で規定される通りである化合物である。C6〜10アリールの範囲の下で好ましいR17〜R25の値としては、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルが挙げられる。ヘテロアリールの範囲の下で好ましいR17〜R25の値としては、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、ピリジニル、インドリルおよびイミダゾリルが挙げられる。複素環の範囲の下で好ましいR17〜R25の値としては、ピペリジニル、ピロリジニルおよびモルホリニルが挙げられる。R17〜R25がC6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルの好ましい実施形態である化合物において、環が以下のうちの1つで置換されていることが、最も好ましい:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ。別の実施形態において、より好ましい化合物としては、R17〜R25のうちの1つ以上が水素である化合物が挙げられる。この実施形態において、R17が水素以外であることが、好ましい。より好ましくは、R17は、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシおよびNR2627からなる群より選択され、ここで、R26およびR27は、独立して、水素またはC1〜4アルキルである。最も好ましくは、R17は、NR2627であり、ここで、R26およびR27は、メチルである。
【0039】
有用な化合物としてはまた、nが0〜4の数に等しい式IIIの化合物が挙げられる。好ましくは、nは、0〜2の数に等しい。より好ましくは、nは、0に等しい。
【0040】
本発明のさらなる局面は、式IVの化合物:
【0041】
【化12】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
29、R30、R3l、R32、R33、R34およびR35は、独立して以下からなる群から選択される:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.C1〜4アルキルスルホニル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR、ここで、
およびRは、水素またはC1〜4アルキルであり、
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル、ならびに、
l.C3〜6シクロアルキル、
ここで上記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、以下のうちの1つで置換される:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ;
但し、R29〜R35のうちの1つは、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり;そして
は、水素保護基または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジル)である。
【0042】
式IVの有用な化合物は、R29、R30、R3l、R32、R33、R34およびR35が上記である化合物である。C6〜10アリールの範囲の下で好ましいR29〜R35の値としては、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルが挙げられる。ヘテロアリールの範囲の下で好ましいR29〜R35の値としては、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、ピリジニル、インドリルおよびイミダゾリルが挙げられる。複素環の範囲の下で好ましいR29〜R35の値としては、ピペリジニル、ピロリジニルおよびモルホリニルが挙げられる。R29〜R35がC6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルの好ましい実施形態である化合物において、環が以下のうちの1つで置換されていることが、最も好ましい:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ。別の実施形態において、特に有用な化合物は、R29、R30、R3lおよびR33が水素である化合物である。この実施形態において、R32およびR34のうちの一方が上記の通りであり、R32およびR34のうちの他方が水素であることが、特に好ましい。より好ましくは、R32およびR34のうちの一方は、アミノフェニル、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり、R32およびR34のうちの他方は、水素である。最も好ましくは、R32およびR34のうちの一方は、ジメチルアミノフェニルであり、R32およびR34のうちの他方は、水素である。R35の有用な値としてはまた、水素、メトキシ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルが挙げられる。最も好ましくは、R35は、水素またはC1〜4アルキルである。
【0043】
式IVの有用な化合物としてはまた、nが0〜4の数に等しい化合物が挙げられる。より好ましくは、nは、0または1に等しい。最も好ましくは、nは、0に等しい。
【0044】
本発明は、現存する種の選択された化合物における構造的な非対称性の結果として生じる、立体異性体および光学異性体(例えば、エナンチオマーの混合物、ならびに個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー)を包含するように考慮されていることもまた、理解されるべきである。
【0045】
式I、II、IIIまたはIVの化合物はまた、溶媒和(特に、水和)され得る。水和は、化合物またはこの化合物を含む組成物の製造の間に生じ得るか、あるいは、水和は、化合物の吸湿性の性質に起因して時間にわたって、生じ得る。さらに、本発明の化合物は、非溶媒和形態および薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)を用いる溶媒和形態で存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、本発明の目的について、非溶媒和形態と等価であると考えられる。
【0046】
本発明のさらなる局面は、式Vの化合物:
【0047】
【化13】

またはその薬学的に受容可能な塩、または放射性同位体錯体を含む式Vの化合物の誘導体に関し、ここで、
Rは、C1〜4アルキルであるか、または上記でR29〜R35について規定された通りであり、そして
は、上記の通りである。
【0048】
任意の変数が任意の構成においてまたは式I、II、III、IVまたはVにおいて、1回より多く存在する場合、各存在におけるその定義は、全ての他の存在におけるその定義から独立している。置換基および/または変数の組合せはまた、このような組合せが安定な化合物を生じる場合のみ、許容される。
【0049】
用語「アルキル」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、8個までの炭素、好ましくは、6個までの炭素、より好ましくは、4個までの炭素の直鎖の基および分枝鎖の基の両方(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチル)をいう。
【0050】
用語「アルコキシ」は、本明細書中において、鎖長が限定されない限り、酸素原子に結合した上記の通りの直鎖または分枝鎖アルキル基を意味するために使用され、これには、限定しないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。好ましくは、アルコキシ鎖は、1〜6個の炭素原子長、より好ましくは、1〜4個の炭素原子長である。
【0051】
用語「モノアルキルアミン」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、上記のように1つのアルキル基で置換されるアミノ基をいう。
【0052】
用語「ジアルキルアミン」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、上記のように2つのアルキル基で置換されたアミノ基をいう。
【0053】
用語「ハロ」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素をいう。
【0054】
用語「ハロアルキル」とは、本明細書中で使用される場合、1つ以上の塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素によって置換された上記アルキル基のいずれかをいい、フッ素および塩素が好ましく、例えば、クロロメチル、ヨードメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、および2−クロロエチルである。
【0055】
用語「アルキルチオ」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、構造R−Sのチオエーテルをいい、ここで、Rは、上記のようなC1〜4アルキルである。
【0056】
用語「アルキルスルホニル」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、構造R−SOのスルホンをいい、ここで、Rは、上記のようなC1〜4アルキルである。
【0057】
用語「アリール」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、環部分に6〜12個の炭素原子を、好ましくは、環部分に6〜10個の炭素を含む、単環式または二環式芳香族基をいい、例えば、フェニル、ナフチル、またはテトラヒドロナフチルである。
【0058】
用語「ヘテロ環」または「ヘテロ環式環」とは、本明細書中で使用される場合、注記される場合を除いて、飽和または不飽和であり得る安定な5〜7員のモノヘテロ環式環系を表し、これは、炭素原子、ならびにN、O、およびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子からなり、ここで、窒素および硫黄のヘテロ原子は、必要に応じて酸化され得る。1つの酸素または硫黄と組み合わせた1つの窒素を含むか、あるいは2つの窒素ヘテロ原子を含む環が特に有用である。このようなヘテロ環基の例としては、ピペリジニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダジニル、イミダゾリジニリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、およびピラゾリジニルが挙げられ、最も好ましくは、チアモルホリニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが挙げられる。
【0059】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書中で使用される場合、酸素原子(「O」)、硫黄原子(「S」)、または窒素原子(「N」)を意味する。ヘテロ原子が窒素である場合、NR部分を形成し得、ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素、またはC1〜4アルキル、C2〜4アミノアルキル、C1〜4ハロアルキル、ハロベンジルであるか、あるいは、RおよびRは、一緒になって、5員〜7員の複素環式環(この環には、必要に応じて、O、SまたはNRを有し、ここで、Rは、水素またはC1〜4アルキルである)を形成することが認識される。
【0060】
用語「ヘテロアリール」とは、本明細書中で使用される場合、5〜14個の環原子を有する基をいい;環状配置において6、10または14π電子が共有され;そして炭素原子および1、2、または3個の酸素、窒素または硫黄のヘテロ原子を含む(ここで、ヘテロアリール基の例は、以下である:チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、クロメニル基、キサントレニル基、フェノキサチイニル(phenozathiinyl)基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基カルバゾリル、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基およびフェノキサジニル基)。
【0061】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、本明細書中でそれ自体によってまたは別の基の一部として使用される場合、アリール置換基を有する上で考察されるようなC1〜6アルキル基(例えば、ベンジル、フェニルエチルまたは2−ナフチルメチル)をいう。
【0062】
本発明の別の局面は、式I、II、III、IVまたはVの化合物を調製する方法に関する。
【0063】
式III、IVまたはVの実施形態において、基Rは、ともに水素であるか、あるいは、硫黄に対して利用可能な種々の保護基のいずれか(メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジル)であり得る。硫黄保護基は、Greene,T.W.およびWuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版、John Wiley and Sons,Inc.,New York(1991)に詳細に記載される。保護基Rは、有機合成の分野で周知の適切な方法によって除去され得る(例えば、トリフルオロ酢酸、塩化水銀または液体アンモニア中のナトリウム)。Lewis酸不安定性基(アセトアミドメチルおよびベンズアミジノメチルを含む)の場合、Rは、インタクトなまま残り得る。この場合において、テクネチウムでのリガンドの標識化は、保護基を切断し、非保護形態に等価な保護されたジアミンジチオールを与える。
【0064】
Tc−99m錯体は、以下のように調製され得る。少量の非放射性標識化合物(1〜2mg)を、100μL EtOHに溶解させ、そして200μL HCl(1N)および1mL Sn−グルコヘプタノエート溶液(8〜32μg SnClおよび80〜320μg Na−グルコヘプタノエート、pH6.67を含む)ならびに50μL EDTA溶液(0.1N)と混合される。次いで、[99mTc]パーテクネテート(100〜200μL;2〜20mCiの範囲)生理食塩水溶液を添加する。反応を30分間100℃に加熱し、次いで、室温まで冷却する。反応混合物を、生成物形成および純度チェックのために、TLC(EtOH:濃NH 9:1)で分析する。混合物をリン酸緩衝液でpH5.0まで中和し得る。
【0065】
本発明は、さらに、本発明に従って、還元剤および必要に応じて適切なキレーターの存在下で、パーテクネテートの形態のテクネチウム−99mを、適切なCh含有化合物と反応させることによって、テクネチウム−99m錯体を調製する方法に関する。
【0066】
還元剤は、生理食塩水溶液中のモリブデン−テクネチウム発生器から溶出されるTc−99mパーテクネテートを還元するのに役立つ。適切な還元剤は、例えば、ジチオナイト、ホルムアミジン、スルフィン酸、ジアミノエタンジスルフィネートまたは適切な金属性還元剤(例えば、Sn(II)、Fe(II)、Cu(I)、Ti(III)またはSb(III))である。Sn(II)は、特に適切であることが証明されている。
【0067】
上記錯体形成反応について、テクネチウム−99mは、本発明の適切な化合物と、塩として、または比較的弱いキレーターに結合するテクネチウムの形態で反応する。後者の場合、所望のテクネチウム−99m錯体は、リガンド交換によって形成される。放射性核種に対する適切なキレーターの例は、ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、オルトフタル酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、サリチル酸、またはこれらの酸の誘導体);リン化合物(例えば、ピロリン酸);あるいはエノレートである。クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸またはこれらの誘導体は、この目的のために特に適切なキレーターである。なぜなら、テクネチウム−99mとこれらのキレーターの1つのキレートは、所望のリガンド交換を特に容易に進行するからである。
【0068】
[TcO]+3錯体の調製のための最も一般的に使用される手順は、一般的な開始剤の[99mTc]パーテクネテートの塩化スズ(II)還元に基づく。標識化手順は、通常、Tc−99m(Sn)−グルコヘプタノエートとNリガンドとの間のTc−99mリガンド交換反応に依存する。塩化スズ(II)の調製およびそれを一定のスズ(II)形態で保存することが、標識化反応の成功のために非常に重要である。空気感受性スズイオンを安定化させるために、凍結乾燥キットを使用することが核医薬における一般的な実施であり、ここで、スズイオンは、窒素またはアルゴンのような不活性ガス下で、過剰量のグルコヘプタノエートと混合される凍結乾燥粉末形態である。凍結乾燥された塩化スズ/ナトリウムグルコヘプタノエートキットの調製は、標識化反応が、再現可能であり、そして予測可能であることを確実にする。Nリガンドは、通常、空気感受性(チオールは、空気によって容易に酸化される)であり、リガンドの分解を導く引き続く反応が存在する。リガンドを保存するための最も便利で予測可能な方法は、アルゴンまたは窒素下で、100〜500μgのリガンドを含む凍結乾燥キットを作製することである。
【0069】
本発明は、さらに、上記式I、II、III、IV、またはVの化合物を調製する方法に関する。本発明の化合物は、スキーム1〜9に記載される反応によって調製され得る。
【0070】
スキーム1〜5は、ウィッティヒ試薬を使用して、式Iのスチルベン誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0071】
【化14】

【0072】
【化15】

【0073】
【化16】

スキーム6は、式IIの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0074】
【化17】

スキーム7は、式IIIの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0075】
【化18】

スキーム8は、式IVの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0076】
【化19】

スキーム9は、式IVの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0077】
【化20】

スキーム10および11は、式Iの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0078】
【化21】

【0079】
【化22】

スキーム12は、式Vの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0080】
【化23】

スキーム13は、式Vの誘導体を形成するための合成経路を示す。
【0081】
【化24】

本発明の化合物が画像化剤として使用される場合、これらは、適切な放射性ハロゲン同位体で標識されなければならない。125I同位体が実験室試験に有用であるが、これらは、一般的に、125Iの比較的長い半減期(60日)および低いγ線放射(30〜65KeV)に起因して、実際の診断目的には有用ではない。同位体123Iは、13時間の半減期および159KeVのγエネルギーを有し、従って、診断目的に使用されるリガンドの標識化が、この同位体を用いてなされることが期待される。使用され得る他の同位体としては、131I(2時間の半減期)が挙げられ得る。適切な臭素同位体としては、77Brおよび76Brが挙げられる。
【0082】
本発明の放射性ハロゲン化化合物によって、キットで使用者に提供され得る材料からの形成が容易になる。画像化剤を形成するためのキットは、例えば、最適な錯体形成条件のために適切な濃度およびpHで、式I、II、III、IVまたはVの中間体の生理学的に適切な溶液を含むバイアルを含み得る。使用者は、バイアルに、適切な量の放射性同位体(例えば、Na123I)および酸化剤(例えば、過酸化水素)を添加する。次いで、得られた標識化リガンドは、患者に静脈内的に投与され得、そして脳内のレセプターが、それらからのγ線放射または光照射を測定する手段によって画像化され得る。
【0083】
本発明に従う放射性薬学的組成物が容易にそして簡単に調製され得るので、調製は、使用者によって容易に実施され得る。従って、本発明はまた、キットに関し、これは、以下:
(1)本発明の非放射性化合物であって、この化合物が、必要に応じて乾燥条件にあり、そして必要に応じて、それらに添加される不活性な薬学的に受容可能なキャリアおよび/または補助物質を有する、化合物;および
(2)還元剤および必要に応じてキレーター、
を備え、ここで、成分(1)および(2)が、必要に応じて組み合わされ得、そして、さらに、成分(1)および(2)をパーテクネテート溶液の形態のテクネチウム−99mと、と反応させることによって、上記方法を実施するための処方とともに使用するための指示書が、必要に応じて含まれ得る。
【0084】
上記キットのための適切な還元剤およびキレーターの例は、上に列挙されている。パーテクネテート溶液は、モリブデン−テクネチウム発生器から使用者によって得られ得る。このような発生器は、放射性診断手順を実施する多くの施設で利用可能である。上記のように、成分(1)および(2)は、それらが適合性である場合、組み合わされ得る。このような一成分キット(組み合わせた成分が好ましくは凍結乾燥される)は、使用者によって、単純な様式でパーテクネテート溶液と反応させられるように良好に適切である。
【0085】
所望である場合、放射性診断剤は、pH制御剤(例えば、酸、塩基、緩衝液)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸)、または等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)のような任意の添加剤を含み得る。
【0086】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、本明細書中で使用される場合、本発明の化合物のカルボキシレート塩または酸付加塩をいい、これは、信頼のある医療的判断の範囲内であり、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなしに患者の組織と接触して使用するために適切であり、合理的な利益/危険比と釣り合い、そして意図される使用に効果であり、そして可能な場合、本発明の化合物のツビッターイオン形態である。用語「塩」とは、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機の酸付加塩をいう。脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸(例えば、酢酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸およびアルカン二酸、芳香族酸、ならびに脂肪族および芳香族スルホン酸)のような非毒性有機酸由来の塩がまた挙げられる。これらの塩は、化合物の最終単離および精製の間にインサイチュで、または別々に、その遊離塩基形態の精製化合物を適切な有機または無機酸と反応させそしてこのように形成される塩を単離することによって、調製され得る。さらなる代表的な塩としては、臭化水素、塩化水素、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプタン酸塩、ラクチオビオネートおよびラウリルスルホン酸塩、プロピオン酸塩、ピバル酸塩、シクラメート、イセチオン酸塩などが挙げられる。これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)、ならびに非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられるがこれらに限定されない)の基づくカチオンが挙げられる(例えば、Berge S.M.ら、Pharmaceutical Salts,J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)(これは、本明細書中において参考として援用される)を参照のこと)。
【0087】
本発明の画像化方法の第1工程において、式I、II、III、IVまたはVの標識化化合物は、検出可能な量で組織または患者に導入される。化合物は、代表的に、薬学的組成物の一部であり、そして当業者に周知の方法によって組織または患者に投与される。
【0088】
例えば、化合物は、経口的、直腸的、非経口的(静脈内、筋肉内、または皮下的)、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所的(散剤、軟膏またはドロップ)、あるいは頬または鼻スプレーとしてのいずれかで投与され得る。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、標識化化合物は、検出可能な量で患者に導入され、そして化合物がアミロイド沈着物と会合するために十分な時間が経過した後に、標識化化合物は、患者に内側で非侵襲的に検出される。本発明の別の実施形態において、式I、II、III、IVまたはVの標識化化合物は、患者に導入され、化合物がアミロイド沈着と会合するように、十分な時間が与えられ、次いで、患者からの組織のサンプルが取り出され、そして組織内の標識化化合物が、患者とは離れて検出される。本発明の第3の実施形態において、組織サンプルは、患者から除去されて、式I、II、III、IVまたはVの標識化化合物が、組織サンプル内に導入される。化合物がアミロイド沈着と結合するのに十分な時間後、化合物が検出される。
【0090】
患者への標識化化合物の投与は、一般的投与経路または局所的投与経路によってであり得る。例えば、標識化化合物は、身体全体を通って送達されるように、患者に投与され得る。あるいは、標識化化合物は、特定の器官または目的の組織に投与され得る。例えば、患者におけるアルツハイマー病を診断またはアルツハイマー病の進行を追跡するために、脳内のアミロイド沈着を位置決めしそして定量化することが望ましい。
【0091】
用語「組織」とは、患者の身体の一部を意味する。組織の例としては、脳、心臓、肝臓、血管および動脈が挙げられる。検出可能な量とは、選択された検出方法によって検出するのに必要な標識化合物の量である。検出を提供するために患者に導入される標識化合物の量は、当業者によって容易に決定され得る。例えば、増加する量の標識化合物が、この化合物が選択した検出方法によって検出されるまで、患者に与えられ得る。標識は、この化合物の検出を提供するために、化合物に導入される。
【0092】
用語「患者」とは、ヒトおよび他の動物を意味する。当業者はまた、化合物がアミロイド沈着物と結合するのに十分な時間の量を決定することに関して精通している。必要な時間量は、検出可能量の式I、II、III、IVまたはVの標識化合物を患者に導入し、次いで、投与後の様々な時点でこの標識化合物を検出することによって、容易に決定され得る。
【0093】
用語「結合した(associated)」とは、標識化合物とアミロイド沈着物との間の化学的相互作用を意味する。結合の例としては、共有結合、イオン結合、親水性−親水性相互作用、疎水性−疎水性相互作用、および錯体が挙げられる。
【0094】
当業者は、標識化合物を検出する様々な方法に精通している。例えば、磁気共鳴像(MRI)、陽子射出断層撮影法(PET)、または単光子射出コンピューター断層撮影(SPECT)が、放射性標識化合物を検出するために使用され得る。この化合物に導入される標識は、所望の検出方法に依存する。例えば、PETが、検出方法として選択される場合、この化合物は、光子を放射する原子(例えば、11Cまたは18F)を有さなければならない。
【0095】
放射性診断剤は、確実な診断を保証し得るのに十分な放射能および放射能濃度を有するべきである。例えば、放射性金属が、テクネチウム−99mである場合、この放射性金属は、通常、投与時に、0.1〜50mCiの量で、約0.5〜5.0mlで含まれ得る。式I、II、III、IVまたはVの化合物の量は、放射性金属との安定なキレート化合物を形成するのに十分な量であり得る。
【0096】
放射性診断剤としてこのように形成されるキレート化合物は、十分に安定であり、従って、この化合物は、そのまま直ちに投与され得るか、または使用するまで貯蔵され得る。所望の場合、この放射性診断剤は、任意の添加物(例えば、pH制御剤(例えば、酸、塩基、緩衝液)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸)、または等張化剤(例えば、塩化ナトリウム))を含み得る。
【0097】
アミロイド沈着物の画像化はまた、定量的に行われ得、その結果、アミロイド沈着物の量が、決定され得る。
【0098】
画像化に好ましい化合物としては、放射性同位体(例えば、123I、125I、131I、18F、76Brまたは77Br)が挙げられる。
【0099】
本発明はまた、アミロイド沈着物を画像化する方法に関する。脳のインビボ画像化剤の重要な必要条件の1つは、静脈内ボーラス注射の後に、インタクトな血管脳関門を横切る能力である。
【0100】
本発明の別の局面は、アミロイド斑凝集を阻害する方法である。本発明はまた、アミロイド阻害量の上記の式I、II、III、IVまたはVの化合物を患者に投与することによって、アミロイド沈着物を形成するアミロイドタンパク質の凝集を阻害する方法を提供する。
【0101】
当業者は、アミロイド沈着物の成長が減少するかまたは停止するまで、増加する量の式I、II、III、IVまたはVの化合物を、単に患者に投与することによって、アミロイド阻害量を容易に決定し得る。成長の速度は、上記のような画像化を使用して、または患者から組織サンプルを採取して、その中のアミロイド沈着物を観察することによって、評価され得る。本発明の化合物は、約0.1〜約1,000mg/日の範囲の投薬量レベルで、患者に投与され得る。約70kgの体重を有する正常なヒト成人について、約0.01〜約100mg/kg体重/日の範囲の投薬量で十分である。しかし、使用される特定の投薬量は、変化し得る。例えば、投薬量は、多数の要因(患者の要求、処置される状態の重篤度、および使用される化合物の薬理学的活性を含む)に依存し得る。特定の患者に対する最適な投薬量の決定は、当業者に周知である。
【0102】
以下の実施例は、例示であり、本発明の方法および組成物の限定ではない。通常遭遇しそして当業者に明らかである種々の状態およびパラメーターの他の適切な改変および適合は、本発明の精神および範囲内である。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
(ジエチル2−ヨードベンジルホスホネート(11))
2−ヨードベンジルブロミド10(5g、16.84mmol)および亜リン酸トリエチル(3.3g、20mmol)の混合物を、160℃で撹拌した。4時間後、この混合物を、室温まで冷却した。その残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:4)に供し、そして2.3gの11を得た(39%)。
【0104】
【化25】

(実施例2)
((E)−2’−ヨード−N,N−ジメチル−4−スチルベンアミン(4))
6mLのTHF中の、NaH(2mmol、油中80%の懸濁物)、および3−ヨードベンジルホスホネート2(500mg、1.42mmol)の混合物に、80℃、窒素雰囲気下で、4−(ジメチルアミン)ベンズアルデヒド(210mg、1.41mmol)を滴下した。室温で一晩の後、NHCl溶液(飽和、5mL)を添加し、そしてこの混合物を、CHCl(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥し、そしてエバポレートして、(E)−2’−ヨード−N,N−ジメチル−4−スチルベンアミン11を得た。これを、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:9)で精製して、3を得た(330mg、67%)。
【0105】
【化26】

HRMS:m/z(C1616IN) 計算値:349.0328;実測値:349.0342。
【0106】
(実施例3)
(ジエチル3−ヨードベンジルホスホネート(13))
3−ヨードベンジルブロミド12(5g、16.84mmol)および亜リン酸トリエチル(3.3g、20mmol)の混合物を、160℃で撹拌した。4時間後、この混合物を、室温まで冷却した。その残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:4)に供して、5.4gの13を得た(91%)。
【0107】
【化27】

(実施例4)
((E)−3’−ヨード−N,N−ジメチル−4−スチルベンアミン(5))
5mLのTHF中の、NaH(2mmol、油中80%の懸濁物)、および3−ヨードベンジルホスホネート13(370mg、1.05mmol)の混合物に、80℃、窒素雰囲気下で、4−(ジメチルアミン)ベンズアルデヒド(155mg、1.05mmol)を滴下した。室温で一晩の後、NHCl溶液(飽和、5mL)を添加し、そしてこの混合物を、CHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥し、そしてエバポレートして、(E)−3’−ヨード−N,N−ジメチル−4−スチルベンアミン5を得た。これを、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:9)で精製して、3を得た(209mg、57%)。
【0108】
【化28】

HRMS:m/z(C1616IN) 計算値:349.0328;実測値:349.0302。
【0109】
(実施例5)
(ジエチル4−ヨードベンジルホスホネート(15))
4−ヨードベンジルブロミド14(5.2g、17.51mmol)および亜リン酸トリエチル(3.3g、20mmol)の混合物を、160℃で撹拌した。4時間後、この混合物を、室温まで冷却した。その残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:4)に供して、3.27gの15を得た(53%)。
【0110】
【化29】

(実施例6)
((E)−4’−ヨード−N,N−ジメチル−4−スチルベンアミン(6))
5mLのTHF中の、NaH(2mmol、油中80%の懸濁物)、および4−ヨードベンジルホスホネート15(420mg、1.19mmol)の混合物に、80℃、窒素雰囲気下で、4−(ジメチルアミン)ベンズアルデヒド(180mg、1.20mmol)を滴下した。室温で一晩の後、水(5mL)を添加した。形成した固体を濾過し、そしてエーテルで洗浄して、粗製の6を得た。これを、CHCl/ヘキサンを用いる再結晶によて精製して、純粋な6(156mg、38%)を得た。
【0111】
【化30】

HRMS:m/z(C1616IN) 計算値:349.0328;実測値:349.0288。
【0112】
(実施例7)
((E)−4’−ヨード−4−O−メトキシスチルベノール(methoxystilbenol)(8))
7mLのTHF中の、NaH(2mmol、油中80%の懸濁物)、および3−ヨードベンジルホスホネート13(450mg、1.27mmol)の混合物に、80℃、窒素雰囲気下で、p−アニスアルデヒド(172mg、1.27mmol)を滴下した。室温で3日後、NHCl溶液(飽和、5mL)を添加し、そしてこの混合物を、CHCl(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥し、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:9)で精製して、(E)−1−ヨード−3−[2−(4−メトキシフェニル)エテニル]ベンゼン8(400mg、90%)を得た。
【0113】
【化31】

HRMS:m/z(C1513IO) 計算値:336.0011;実測値:336.0006。
【0114】
(実施例8)
((E)−3’−ヨード−4−スチルベノール(9))
CHCl(200mL)中の8(350mg、1.00mmol)の溶液に、−78℃、ドライアイス−アセトン浴中で、BBr(10mL、ヘキサン中1M)を滴下した。この混合物を、室温まで加温した。この反応混合物を氷浴中で0℃に冷却しながら、水を添加した。この混合物を、CHClで抽出した。有機相を乾燥し、そして濾過した。この濾液を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:9)で精製して、9を得た(296mg、92%)。
【0115】
【化32】

HRMS:m/z(C1411IO) 計算値:321.9855;実測値:321.9840。
【0116】
(実施例9)
(ジエチル,4−フルオロベンジルホスホネート(17))
4−フルオロベンジルブロミド16(1.89g、10mmol)および亜リン酸トリエチル(1.66g、10mmol)の混合物を、170℃で4時間撹拌した。この混合物を、室温まで冷却し、そしてその残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:4)に供して、1.4gの17を得た(57%)。
【0117】
【化33】

(実施例10)
((E)−4−フルオロ−4’−ジメチルアミノ−スチルベン(7))
DMF(2mL)中の、ホスフェート17(246mg、1mmol)および4−ジメチルアミノベンズアルデヒド(149mg、1mmol)の混合物に、室温で、固体形態のKOBu(224mg、2mmol)を少しずつ添加した。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。水(10mL)を添加した。固体を吸引によって回収し、そして水で洗浄し、乾燥して、190mgの生成物を得た(80%)。
【0118】
【化34】

(実施例11)
((E)−3−トリブチルスタニル−4’−ジメチルアミノ−スチルベン(18))
混合溶媒(20mL、ジオキサン:トリエチルアミン、3:1)中の、5(139mg、0.38mmol)、ビス−(トリブチルスズ(tributytyltin))(0.4mL)、およびPd(PdP)(30mg)の混合物を、90℃で一晩撹拌した。溶媒を除去し、そしてその残渣を、PTLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)で精製して、35mgの生成物を得た(18%、最適化していない収率)。
【0119】
【化35】

HRMS:m/z(C2844NSn)(MH) 計算値:514.2496;実測値:514.2512。
【0120】
(実施例12)
(放射ヨウ素標識リガンドの調製)
所望の125I−標識化合物を、5のトリブチルスズ前駆体とのヨード脱スズ化(iododestannylation)反応を使用して、調製した。密閉容器中で、過酸化水素(50μL、3% w/v)を、50μLの対応するトリブチルスズ前駆体18(1μg/μL EtOH)、50μLの1N HClおよび[125I]NaI(1〜5mCi)の混合物に添加した。この反応を、室温で10分間進行させ、そして100μLの飽和NaHSOを添加することによって終結させた。この反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中和した後、酢酸エチル(3×1mL)で抽出した。合わせた抽出物を、乾固するまでエバポレートした。その残渣を、100μLのEtOHに溶解し、そして逆相カラム(Waters C−18 ubondpad、3.9×300mm)を使用するHPLC(0.8mL/分の流速で、80%アセトニトリル−20%の緩衝液(3,3−ジメチルグルタミン酸(5mM、pH7.0)のアイソクラチック溶媒を用いる)で精製した。生成物を含む所望の画分を回収し、濃縮し、そして酢酸エチルで再抽出した。キャリアが付加していない生成物を、乾固するまでエバポレートし、楚々いて100% EtOH(1μCi/μL)に再溶解した。最終的な125Iプローブ(2,200Ci/mmolの比活性、および95%より高い放射化学純度を有する)を、インビトロの結合研究のために、−20℃で6週間まで貯蔵した。
【0121】
(実施例13)
(溶液中の凝集したAβ(1−40)ペプチドを使用する結合アッセイ)
固体形態のペプチドAβ(1−40)を、Bachem(King of Prussia、PA)から購入した。10mMのリン酸ナトリウムおよび1mMのEDTAを含有する緩衝溶液(pH7.4)中にこのペプチド(0.5mg/mL)を穏やかに溶解することによって、ペプチド凝集を行った。この溶液を、穏やかに絶え間なく振盪しながら、37℃で36〜42時間インキュベートした。記載される手順に従って、12×75mmのホウケイ酸ガラス管中で、結合研究を行った。飽和研究について、凝集した原繊維(最終アッセイ混合物中10〜50nM)を、50μlの放射性リガンド(40%EtOH中0.01〜0.5nM)および10% EtOHを含む混合物に、1mLの最終容量で添加した。EtOHの最終濃度は、10%であった。非特異的結合を、2μOMのチオフラビンTの存在下で規定した。阻害研究について、1mLの反応混合物は、40μlのインヒビター(10%EtOH中10−5〜10−10M)および40%EtOH中0.05nMの放射性トレーサー)を含んでいた。この混合物を、室温で3時間インキュベートし、そして結合放射能および遊離放射能を、Brandel M−24R細胞収集器を使用して、Whatman GF/Bフィルターを通して減圧濾過し、続いて10%EtOH(3mL)で2回、室温で洗浄することによって分離した。結合したI−125リガンドを含むフィルターを、70%の計数効率で、γ線計数器(Packard 5000)で計数した。アッセイ条件下で、特異的に結合した画分の存在は、全放射能の20%未満であった。飽和実験および阻害実験の結果を、ソフトウェアEBDAを使用する非線形回帰分析に供し、これによって、K値およびK値を計算した。(Ki,nM)の値は、3つの独立した実験(各々2回)の平均±SEMである。式Iの化合物の追加のK値を、図1および2に示す。

合成ペプチドの予め形成されたAβ凝集物およびリガンドとして[125I]TZDMを使用するインビトロ結合アッセイにおいて、これらの新規なスチルベンは、TZ部位に対する非常に高い結合親和性(2〜40nM)を示し、一方、SB部位に対する親和性は、非常に低かった(>1,000nM)。これは、は、電子供与基(例えば、ジメチルアミノ−基、−OH基または−OMe基)を含むスチルベンが、Aβ凝集物に対する優れた結合親和性を示した証拠である。ベンゾチアゾール環は、Aβ凝集物のTZ結合部位における結合に不要なようである。この情報は、最も重要である。なぜなら、これは、TZ部位に結合するのに必要な分子サイズを減少さるからである(TZDMおよび1の分子量は、それぞれ、380および349であった);その結果、これは、新たなリガンドの設計における適応性を有意に増大する。ヨウ素化スチルベン(例えば、2および5)は、構造的単純性を示し、これは、Aβ凝集体の結合に対する最小の要件が以下の3つであり得ることを示唆する:1)ビニル基により分離された2つのベンゼン環。2)芳香族環の1つが電子陰性基(ジメチルアミノ−基、−OH基または−OMe基)を含む。3)これらが第2の芳香族環上の置換に対してバルク許容性なようである。これらの化合物をさらに特徴付けするために、放射性ヨウ素化リガンドである[125I]2を、Na[125I]Iおよび過酸化水素の存在下で、対応するトリブチルスズ誘導体を変換することによって調製し、これにより、キャリアが付加していない生成物を、高収率で得た(放射化学純度>95%)。直接結合アッセイにより、[125I]2を用いる死後のAD脳切片の新たな評価が、この新規なリガンドは、予想通り、Aβ斑を標識したことを示唆することが示された。
【0122】
(実施例14)
(正常なマウスにおける新たなプローブのインビボ生体分布)
エーテル麻酔の下で、標識剤(5〜10μCi)を含有する生理食塩溶液(0.15mL)を、ICRマウス(2〜3月齢、平均体重20〜30g)の尾静脈に直接注射した。注射後の様々な時点で、このマウスを心臓切除により屠殺した。目的の器官を取り出し、そして計量し、そして放射能を、自動γ線計数器(Packard 5000)を用いて計数した。%用量/器官を、組織数と注射した物質の適切に希釈したアリコートを比較することによって、算出した。血液および筋肉が、全体重の、それぞれ、7%および40%であるという仮定の下で、血液および筋肉の全活性を算出した。
【0123】
静脈内注射後の正常なマウスの[125I]2のインビボ生体分布研究は、良好な脳浸透を示唆した。脳取込みは、注射後2分、30分、60分および120分で、0.84%用量/器官、1.08%用量/器官、0.91%用量/器官、および0.54%用量/器官であった(血液レベルは、これらの各時点の全てで、比較的低かった(5.2〜3.6%用量/器官))。Aβ1−40の凝集体に対する放射性リガンドの結合は、可飽和であり、Kは、0.2nMであった。
【0124】
本発明は十分に記載されているが、本発明は、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を与えることなく、条件、処方物および他のパラメーターの広い範囲および等価な範囲内で同様に実施され得ることが、当業者に理解される。本明細書中で引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、その全体が本明細書中で十分に参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の化合物などが提供される:
(項1)
一般式I
【化1】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
、RおよびRは、各場合において、独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、シアノ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ハロ(C1〜4)アルキルおよびホルミルからなる群から選択され;
は、以下:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキルおよび
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでRおよびRは、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、
ここで、前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;そして
X’は、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、76Br、77Br、またはSn(アルキル)である、
化合物。
(項2)
が水素またはメチルであり;そしてRが水素である、項1に記載の化合物。
(項3)
およびRが水素またはC1〜4アルキルである、項1に記載の化合物。
(項4)
が水素である、項3に記載の化合物。
(項5)
が水素であり、そしてRがC1〜4アルキルチオ、ハロ(C1〜4)アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシまたはNRであり、ここで
およびRが水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルである、項4に記載の化合物。
(項6)
が水素である、項5に記載の化合物。
(項7)
がメチルチオ、ヒドロキシ、メトキシまたはNRであり、
ここでRおよびRが水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはメチルである、項1に記載の化合物。
(項8)
X’が123Iである、項1に記載の化合物。
(項9)
一般式II
【化2】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
Zは、O、SまたはNRであり、ここでRは、C1〜4アルキルであり;
、R10およびR11は、各場合において、独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、シアノ、カルボキシ(C1〜5)アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ハロ(C1〜4)アルキルおよびホルミルからなる群から選択され;
12は、以下:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR1314
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキルおよび
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでR13およびR14は、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、ここで、前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つと置換され;そして
X’は、125I、123I、131I、18F、18フルオロ(C1〜4)アルキル、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アミノ、[18フルオロ(C1〜4)アルキル]アルキルアミノ、76Br、77BrまたはSn(アルキル)である、
化合物。
(項10)
11が水素である、項9に記載の化合物。
(項11)
およびR10が水素またはC1〜4アルキルである、項9に記載の化合物。
(項12)
ZがOである、項9に記載の化合物。
(項13)
が水素であり、R12がC1〜4アルキルチオ、ハロ(C1〜4)アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシまたはNR1314であり、ここで
13およびR14が水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルである、
項9に記載の化合物。
(項14)
10が水素である、項13に記載の化合物。
(項15)
12がメチルチオ、ヒドロキシ、メトキシまたはNR1314であり、
ここで、R13およびR14が水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはメチルである、
項9に記載の化合物。
(項16)
Xが123Iである、項15に記載の化合物。
(項17)
一般式III
【化3】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
28は、水素またはC1〜4アルキルであり、
nは、0〜4の数に等しく、
Zは、O、Sまたは−CR15=CR16−、ここで
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.ヒドロキシ、
d.C1〜4アルコキシ、
e.NR2627
f.フェニル(C1〜4)アルキル、
g.C6〜10アリール、
h.ヘテロアリール、
i.複素環、
j.複素環(C1〜4)アルキルおよび
k.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでR26およびR27は、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;ただし、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25の1つ以上は、水素以外であり;そして
は、水素または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジル、またはベンジル)である、
化合物。
(項18)
ZがOである、項17に記載の化合物。
(項19)
ZがSである、項17に記載の化合物。
(項20)
Zが、CR15=CR16であり、ここでR15およびR16が各場合において、上記の通りである、項17に記載の化合物。
(項21)
17がNR2627であり、ここでR26およびR27が、上記の通りであり、R15、R16、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR28が水素である、項17に記載の化合物。
(項22)
nが0に等しい、項20に記載の化合物。
(項23)
26およびR27が、独立して水素またはC1〜4アルキルである、項17に記載の化合物。
(項24)
26およびR27がメチルである、項23に記載の化合物。
(項25)

【化4】


を有する、放射性同位体錯体を含む化合物であって、ここで:
28は水素またはC1〜4アルキルであり、
nは0〜4の数に等しく、
Zは、O、Sまたは−CR15=CR16−であり、ここで
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.ヒドロキシ、
d.C1〜4アルコキシ、
e.NR2627
f.フェニル(C1〜4)アルキル、
g.C6〜10アリール、
h.ヘテロアリール、
i.複素環、
j.複素環(C1〜4)アルキル、および
k.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでR26およびR27は、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
但し、
a)R15、R16、R17、R18、R19、R21、R22、R24およびR25のうちの1つ以上は、水素以外であり;そして
b)R20およびR23のうちの一方は、以下:
a.水素、
b.フェニル(C1〜4)アルキル、
c.C6〜10アリール、
d.ヘテロアリール、
e.複素環、
f.複素環(C1〜4)アルキル、および
g.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
20およびR23のうちの他方は、非置換の位置を表す、化合物。
(項26)
一般式IV
【化5】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
29、R30、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.C1〜4アルキルスルホニル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル、および
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでRおよびRは、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
但しR29〜R35のうちの1つは、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり;そして
は、水素または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジル)である、
化合物。
(項27)
34が、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルである、項26に記載の化合物。
(項28)
34が、モノメチルアミノフェニルまたはジメチルアミノフェニルであり、
29、R30、R31、R32、R33およびR35が水素であり、そして
nが0に等しい、項26に記載の化合物。
(項29)
32が、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルである、項26に記載の化合物。
(項30)
32が、モノメチルアミノフェニルまたはジメチルアミノフェニルであり、
29、R30、R31、R33、R34およびR35が水素であり、そして
nが0に等しい、項29に記載の化合物。
(項31)

【化6】


を有する、放射性同位体錯体を含む化合物であって、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
29、R30、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.C1〜4アルキルスルホニル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキルおよび
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでRおよびRは、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、以下のうちの1つで置換される:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ;
但し、a)R33〜R35のうちの1つは、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり;そして
b)R29およびR32の一方は、以下からなる群から選択される:
a.水素、
b.フェニル(C1〜4)アルキル、
c.C6〜10アリール、
d.ヘテロアリール、
e.複素環、
f.複素環(C1〜4)アルキル、および
g.C3〜6シクロアルキル、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され、
29およびR32の他方は、非置換の位置を表す、
化合物。
(項32)
X’が、18フルオロメチル、18フルオロエチルまたは18フルオロプロピルである、項8に記載の化合物。
(項33)
X’が、18フルオロメチル、18フルオロエチルまたは18フルオロプロピルである、項16に記載の化合物。
(項34)
一般式V
【化7】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで
Rは、以下:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR3637
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル
l.C3〜6シクロアルキル、および
m.アルキル;
からなる群から選択され、
ここでR36およびR37は、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され、そして
は、水素または硫黄保護基である、
化合物。
(項35)
前記保護基は、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジルからなる群から選択される、項34に記載の化合物。
(項36)
項1〜35いずれか1項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
(項37)
アミロイド沈着物を画像化するための診断用組成物であって、該診断用組成物は、項1〜33のいずれか1項に記載の放射標識化合物;および薬学的に受容可能な賦形剤または希釈剤を含む、診断用組成物。
(項38)
アミロイド沈着物を画像化するための方法であって、該方法は、以下:
a.項37に記載の診断用組成物の検出可能な量を哺乳動物に導入する工程;およびb.該標識化合物がアミロイド沈着物に結合するのに十分な時間放置する工程;および
c.1つ以上のアミロイド沈着物に結合した標識化合物を検出する工程、を包含する、方法。
(項39)
哺乳動物において、アミロイド斑凝集を阻害する方法であって、該方法は、アミロイド斑凝集を阻害するために有効な量で項36の組成物を投与する工程を包含する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式III
【化3】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
28は、水素またはC1〜4アルキルであり、
nは、0〜4の数に等しく、
Zは、O、Sまたは−CR15=CR16−、ここで
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.ヒドロキシ、
d.C1〜4アルコキシ、
e.NR2627
f.フェニル(C1〜4)アルキル、
g.C6〜10アリール、
h.ヘテロアリール、
i.複素環、
j.複素環(C1〜4)アルキルおよび
k.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでR26およびR27は、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;ただし、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25の1つ以上は、水素以外であり;そして
は、水素または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジル、またはベンジル)である、
化合物。
【請求項2】
ZがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、CR15=CR16であり、ここでR15およびR16が各場合において、上記の通りである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
17がNR2627であり、ここでR26およびR27が、上記の通りであり、R15、R16、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR28が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
nが0に等しい、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
26およびR27が、独立して水素またはC1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
26およびR27がメチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】

【化4】


を有する、放射性同位体錯体を含む化合物であって、ここで:
28は水素またはC1〜4アルキルであり、
nは0〜4の数に等しく、
Zは、O、Sまたは−CR15=CR16−であり、ここで
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24およびR25は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.ヒドロキシ、
d.C1〜4アルコキシ、
e.NR2627
f.フェニル(C1〜4)アルキル、
g.C6〜10アリール、
h.ヘテロアリール、
i.複素環、
j.複素環(C1〜4)アルキル、および
k.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでR26およびR27は、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
但し、
a)R15、R16、R17、R18、R19、R21、R22、R24およびR25のうちの1つ以上は、水素以外であり;そして
b)R20およびR23のうちの一方は、以下:
a.水素、
b.フェニル(C1〜4)アルキル、
c.C6〜10アリール、
d.ヘテロアリール、
e.複素環、
f.複素環(C1〜4)アルキル、および
g.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
20およびR23のうちの他方は、非置換の位置を表す、化合物。
【請求項10】
一般式IV
【化5】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
29、R30、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.C1〜4アルキルスルホニル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル、および
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでRおよびRは、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され;
但しR29〜R35のうちの1つは、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり;そして
は、水素または硫黄保護基(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジル)である、
化合物。
【請求項11】
34が、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
34が、モノメチルアミノフェニルまたはジメチルアミノフェニルであり、
29、R30、R31、R32、R33およびR35が水素であり、そして
nが0に等しい、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
32が、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
32が、モノメチルアミノフェニルまたはジメチルアミノフェニルであり、
29、R30、R31、R33、R34およびR35が水素であり、そして
nが0に等しい、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】

【化6】


を有する、放射性同位体錯体を含む化合物であって、ここで:
nは、0〜4の数に等しく、
29、R30、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、以下:
a.水素、
b.C1〜4アルキルチオ、
c.C1〜4アルキルスルホニル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキルおよび
l.C3〜6シクロアルキル、
からなる群から選択され、
ここでRおよびRは、水素またはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、以下のうちの1つで置換される:C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノ;
但し、a)R33〜R35のうちの1つは、モノアルキルアミノフェニルまたはジアルキルアミノフェニルであり;そして
b)R29およびR32の一方は、以下からなる群から選択される:
a.水素、
b.フェニル(C1〜4)アルキル、
c.C6〜10アリール、
d.ヘテロアリール、
e.複素環、
f.複素環(C1〜4)アルキル、および
g.C3〜6シクロアルキル、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され、
29およびR32の他方は、非置換の位置を表す、
化合物。
【請求項16】
一般式V
【化7】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで
Rは、以下:
a.C1〜4アルキルチオ、
b.ハロ(C1〜4)アルコキシ、
c.カルボキシ(C1〜5)アルキル、
d.ヒドロキシ、
e.C1〜4アルコキシ、
f.NR3637
g.フェニル(C1〜4)アルキル、
h.C6〜10アリール、
i.ヘテロアリール、
j.複素環、
k.複素環(C1〜4)アルキル
l.C3〜6シクロアルキル、および
m.アルキル;
からなる群から選択され、
ここでR36およびR37は、水素、フルオロ(C1〜4)アルキルまたはC1〜4アルキルであり、
ここで前記フェニル(C1〜4)アルキル、C6〜10アリール、ヘテロアリール、複素環、複素環(C1〜4)アルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルホニル、メトキシ、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたはメチルアミノのうちの1つで置換され、そして
は、水素または硫黄保護基である、
化合物。
【請求項17】
前記保護基は、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、p−メトキシベンジルまたはベンジルからなる群から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17いずれか1項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項19】
アミロイド沈着物を画像化するための診断用組成物であって、該診断用組成物は、請求項1〜15のいずれか1項に記載の放射標識化合物;および薬学的に受容可能な賦形剤または希釈剤を含む、診断用組成物。
【請求項20】
アミロイド沈着物を画像化するための方法における使用のための請求項19に記載の診断用組成物であって、該方法は、以下:
a.該診断用組成物の検出可能な量を哺乳動物に導入する工程;および
b.該標識化合物がアミロイド沈着物に結合するのに十分な時間放置する工程;および
c.1つ以上のアミロイド沈着物に結合した標識化合物を検出する工程、
を包含する、診断用組成物。
【請求項21】
哺乳動物において、アミロイド斑凝集を阻害する際に使用するための組成物であって、該組成物は、アミロイド斑凝集を阻害するために有効な量で請求項1〜17いずれか1項に記載の化合物を含む、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−197037(P2009−197037A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140609(P2009−140609)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【分割の表示】特願2003−522585(P2003−522585)の分割
【原出願日】平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】