説明

スチレン・ブタジエンブロックコポリマー含有ホットメルト接着剤

超分岐SBSブロックコポリマーを含有するホットメルト接着剤組成物およびこれらの最終末端での用途。この超分岐SBSは、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量および(非ジ−ブロックポリマーの)GPC分子量の間の比が1.4より大きく、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量および(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量の間の比が5より大きいことによって特徴付けられる。また、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWおよび(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWの間の比は、超分岐構造のアームの数を定義する。前記超分岐SBSブロックコポリマーの各アームの重量平均分子量は、約100,000未満である。これらは、包装、ラベル付け、建設および位置決め接着剤としての有用性を見いだしている多目的接着剤であり、特に伸縮素材を含有する製品、例えば使い捨て吸収体弾性物品の製造における弾性アタッチメント用接着剤としての使用に非常に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、多目的の接着剤組成物、より具体的には、特定の型のポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)ブロックコポリマーを含む、ゴムをベースとするホットメルト接着剤に関する。本発明の接着剤は、例えば、使い捨て品の製造のための構造用接着剤として有用であり、特に弾性アタッチメント用途において使用するのに非常に適しており、例えば、ラベル、テープおよびグラフィック用途のような感圧による最終用途において有利に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、その溶融状態の間に基体に塗布され、接着剤層を硬化するために冷却される。そのような接着剤は、製品組立および包装のような様々な商業的、工業的用途に広範に使用され、不織布産業において乳児のおむつおよび成人の失禁用製品を製造するために広範に使用されてきた。これらの用途において、基体を類似または異なった第2の基体に結合するために、例えば、包装基体(例えば、厚紙)、不織布基体(例えば、ポリオレフィン)、または弾性基体(例えば、スパンデックス)のような少なくとも1つの基体に接着剤を塗布する。
【0003】
感圧接着剤は、室温で永久に粘着性があり、非常に緩い圧力によって基体に接着することができる。換言すると、接着物への結合を可能にする無限のオープンタイムを有する。ホットメルトPSAは、溶融状態にある高い温度で製造および処理される1つの型のPSAであり、冷却、固体化された後、PSAの特性を示す。スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)およびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)のようなスチレン系ブロックコポリマーは、ホットメルトPSAのためのベースポリマーとして商業的に使用されてきた。ホットメルトPSA配合物では、ベースポリマーは、凝集力および弾性を与える。高分子量ポリマーの使用または高ポリマー含量によって通常凝集力および接着力が促進されるが、しかしながら、粘度が有意に増加する結果となる。高粘度のホットメルト接着剤は、加工温度を高くする必要があると考えられ、この温度では、ポリマーは、劣化、焦げ、ゲル化および接着力の損失を受けやすい。高温での加工は、安全性および経費の心配もあり、好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホットメルト接着剤は、従来通りに多くの産業で使用されているが、一方、特定の最終末端での用途に対しては、様々な型の基体を結合することが可能で、低溶融粘度を有する高凝集力のホットメルト感圧接着剤が必要とされている。本発明は、この要求に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
超分岐構造を有するSBSブロックコポリマーを、多目的接着剤の製造に使用できることが見いだされた。そのような接着剤は、包装、ラベル付け、建設および位置決めのための接着剤としての用途を見いだし、特に感圧用途、および使い捨て吸収体弾性物品のような伸縮素材を含有する製品の製造において弾性アタッチメント用接着剤としての使用が非常に適している。
【0006】
本発明のホットメルト接着剤は、SBSブロックコポリマーを含み、このコポリマーは超分岐構造を有する。この超分岐SBSは、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱MWおよび(非ジ−ブロックポリマーの)GPC MWの間の比が1.4より大きく、かつ(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWおよび(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWの間の比が5より大きいことで特徴付けられる。また、この(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWおよび(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWの間の比は、超分岐構造のアームの数として定義される。各アームの重量平均分子量は、約100,000未満である。本発明の実施で使用される超分岐SBSブロックコポリマーのアームの重量平均分子量は、より典型的には約20,000から約80,000の間であってもよい。
【0007】
本発明の接着剤において使用される超分岐SBSブロックコポリマーは、少なくとも約5個のアームを含んでいてもよい。1つの実施形態では、前記接着剤は、少なくとも約10個のアームを含む超分岐SBSブロックコポリマーを含有する。他の実施形態では、この接着剤は、少なくとも約14個のアームを含む超分岐SBSブロックコポリマーを含有する。この超分岐SBSブロックのスチレン含量は、典型的には少なくとも20重量%、さらに典型的には少なくとも約25重量%であってもよい。
【0008】
前記超分岐SBSブロックコポリマーに加えて、前記接着剤は、また、任意にSISまたはSBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SBR、またはこれらの組合せを含めて何か他の非超分岐SBS、粘着付与樹脂および、任意に液状可塑剤および/またはワックスを含んでいてもよい。1つの実施形態では、この接着剤は、2から40%の超分岐SBS−ブロックコポリマー、2から25%の直鎖状、放射状またはランダムSIS、SBS、SEBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SBRまたはこれらの任意の組合せ、30から70%粘着付与剤、最高、約25%の液状可塑剤、および最高、約10%のワックスを含む。
【0009】
また、本発明は、これらのホットメルト接着剤および基体を含む製造品に関する。1つの実施形態では、この基体は弾性繊維を含む。別の実施形態では、この基体は不織布基体である。さらに別の実施形態では、この基体は包装基体である。本発明の物品としては、使い捨て不織布および使い捨て弾性物品(例えば、おむつなど)ならびに感圧接着剤物品(例えば、テープ、ラベルなど)が挙げられる。
【0010】
また、本発明は、少なくとも1つの第1の基体に溶融ホットメルト接着剤を塗布すること、少なくとも1つの第2の基体を前記第1の基体上に存在する前記接着剤と接触させること(ここで、前記第1および第2の基体は共に結合される)を含む、基体を類似または異なった基体に結合するための方法に関する。1つの実施形態では、前記第1および/または前記第2の基体の少なくとも1つは、弾性ポリウレタン繊維(スパンデックス)である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、市販の弾性アタッチメント用接着剤(試料B)のレオロジー特性を、超分岐構造(試料A)を有するSBSブロックコポリマーを含む接着剤と比較している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
【0013】
本明細書で引用されたすべての文献は、その全部を参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本発明は、感圧接着剤(PSA)、より具体的には、特定の超分岐ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)ブロックコポリマーを含む、ゴムをベースとするホットメルトPSAに関する。本発明の接着剤は、例えば、テープ、デカール(decal)、グラフィックス、容器ラベル付け、包装ラベル、および女性用ケア製品のための位置決め接着剤のような最終末端での感圧用途で使用されるのが有利である。
【0015】
本発明は、SBSブロックコポリマーを含むホットメルト接着剤組成物を提供し、このコポリマーは超分岐構造を有する。この超分岐ブロックコポリマーは、構造(PS−PB)nXで表すことができ、ここで、PSはポリスチレンであり、PBはポリブタジエンであり、Xは放射状ブロックコポリマーの製造で使用されたカップリング剤の残基であり、nはXに付加したPS−PBアームの数を表す。この構造の超分岐SBSブロックコポリマーは、米国公開特許第2005/0027071号A1公報に記載されたオリゴマー変性アニオン重合方法によって製造されることができる。そのようなブロックコポリマーは、Dynasolから市販品が入手可能である。
【0016】
前記超分岐SBSブロックコポリマーは、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量および(非ジ−ブロックポリマーの)GPC分子量の間の比が1.4より大きく、かつ(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量および(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量の間の比が5より大きいことで特徴付けられる。また、この(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWおよび(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWの間の比は、超分岐構造のアームの数として定義される。各アームの重量平均分子量は、約100,000未満である。本発明の実施で使用される超分岐SBSブロックコポリマーの各アームの重量平均分子量は、より典型的には約20,000から約80,000の間であってもよい。
【0017】
光散乱分子量およびGPC分子量は、実施例1に詳しく述べられた方法によって決定された。
【0018】
本発明の接着剤において使用される超分岐SBSブロックコポリマーは、少なくとも5個のアームを含有してもよい。1つの実施形態では、この超分岐SBSブロックコポリマーは、約10個より多いアームを含有する。他の実施形態では、この超分岐SBSブロックコポリマーは、少なくとも約14個のアームを含有する。各アームの重量平均分子量は、約100,000未満である。本発明の実施で使用される超分岐SBSブロックコポリマーの各アームの重量平均分子量は、より典型的には約20,000から約80,000の間であってもよい。この超分岐SBSブロックのスチレン含量は、典型的には少なくとも20重量%、さらに典型的には少なくとも約25重量%であってもよい。
【0019】
前記超分岐SBSブロックコポリマーに加えて、前記接着剤は、任意にSISまたはSBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SBR、またはこれらの組合せを含めて何か他の非超分岐SBS、粘着付与樹脂および、任意に液状可塑剤および/またはワックスも含んでいてもよい。1つの実施形態では、この接着剤は、2から40%の超分岐SBSブロックコポリマー、2から25%の直鎖状、放射状またはランダムのSIS、SBS、SEBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SBRブロックコポリマーまたはこれらの任意の組合せ、30から70%の粘着付与剤、最高、約25%の液状可塑剤、および最高、約10%のワックスを含む。
【0020】
本発明の実施で使用される前記超分岐SBSブロックコポリマーは、典型的には、ジ−ブロック百分率が通常、コポリマーの約25重量%から約75重量%(25%より大きいカップリング効率)であり、好ましくはコポリマーの約50重量%未満(50%より大きいカップリング効率)であってもよい。典型的には、超分岐SBSブロックコポリマーのスチレンブロック成分は、コポリマーの約20重量%から50重量%、より典型的には、超分岐SBSブロックコポリマーのスチレンブロック成分は、コポリマーの25重量%より大きくてもよい。前記スチレンブロック成分は、所望の最終での使用を基準にして選択してもよい。例えば、典型的には、感圧接着剤用途に約20重量%が使用されてもよいが、最終用途の弾性アタッチメントのための配合の場合、さらに典型的には約25重量%の量であってもよい。
【0021】
さらに詳細には、本発明の接着剤は、超分岐SBSブロックコポリマーの約2重量%から約40重量%を含んでいてもよく、このコポリマーにおけるアームの数は、少なくとも5個、より典型的には7個より大きく、好ましくは10個より大きい。1つの実施形態では、この超分岐SBSは、少なくとも約14個のアームを有する。
【0022】
また、本発明における接着剤の実施形態は、好ましくは一般構造、A−B−Aを有する少なくとも1つの直鎖状、放射状またはランダムブロックコポリマーを含んでいてもよく、構造式中、ポリマー末端ブロック・Aは、ホモポリマーとして約20°Cより高いガラス転移温度を有する非弾性ポリマーブロックであり、一方、弾性ポリマーの中間ブロック・Bは、イソプレン、ブタジエンまたはイソブチレンから誘導され、それらは部分的または実質的に水素化されたものであっても、またはそれらの混合物であってもよい。
【0023】
非弾性末端ブロック・Aは、ビニルアレーン、ビニルピリジン、ビニルハライドおよびビニルカルボキシレートのようなビニルモノマー、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸のエステルなどのようなアクリルモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含んでいてもよい。モノビニル芳香族炭化水素としては、特に、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、およびエチルビニルベンゼンのようなベンゼン系、さらにはビニルナフタレンおよび類似物のような2環式モノビニル化合物が挙げられる。他の非弾性ポリマーブロックは、αオレフィン、アルキレンオキシド、アセタール、ウレタンなどから誘導されたものであってもよい。スチレンが好ましい。
【0024】
熱可塑性・弾性コポリマーの残部を構成している前記弾性中間ブロック・B成分は、例えば、米国特許第3,700,633号公報で教示されているように水素化されていてもよいイソプレンまたはブタジエンから誘導される。このブタジエンの水素化は、部分的または実質的に完全のいずれかであってもよい。選択された条件は、例えば、ビニルアレーンポリマーブロックを変性することなく、弾性ブタジエンブロックを水素化するために採用されてもよい。別の条件は、ポリマー鎖に沿って実質的に均一に水素化するために選択されてもよく、これらの弾性および非弾性ブロックは共に、実際に同じ程度に水素化され、水素化は部分的または実質的に完全のいずれかであってもよい。水素化ポリマーは、加工中の劣化を最小限にするために好ましく、劣化はポリマーの分子量が高いほど、より重要な問題である。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、典型的には、A−B−Aブロックコポリマーまたはランダムコポリマーの約2重量%から約25重量%を含んでいてもよい。例としては、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)、スチレン−b−イソプレン/ブタジエン−b−スチレン(SI/BS)、スチレン−b−エチレン/ブチレン−b−スチレン(SEBS)、スチレン−b−エチレン/プロピレン−b−スチレン(SEPS)、スチレン−ブタジエンランダムコポリマー(SBR)およびこれらの組合せが挙げられる。
【0026】
また、本発明の接着剤は、典型的には、約30から約70重量%の粘着付与樹脂を含んでいてもよく、好ましくは約40から約70重量%、より好ましくは約40から約65重量%の前記熱可塑性エラストマーの中間ブロックと適合性のある粘着付与剤を含んでいてもよい。約25°Cより高い環球式軟化点を有する粘着付与剤が好ましい。適した粘着付与剤としては、任意の適合性樹脂またはこれらの混合物が挙げられ、例えば、(1)ゴムロジン、ウッドロジン、トールオイルロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、2量化ロジン、および重合ロジンのような天然または変性ロジン;(2)例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステルのような天然または変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル;(3)例えば、スチレン/テルペンおよびαメチルスチレン/テルペンのような天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー;(4)約80から150℃の軟化点(ASTM法・E28,58Tによる測定)を有するポリテルペン樹脂;この後者のポリテルペン樹脂は、一般に、フリーデル−クラフト触媒の存在下、やや低い温度で、ピネンとして知られた2環式モノテルペンのようなテルペン炭化水素の重合によって生じ、水素化ポリテルペン樹脂も含む;(5)フェノール変性テルペン樹脂およびこれらの水素化誘導体、例えば、酸性媒体における2環式テルペンとフェノールとの縮合から生じる樹脂生成物;(6)約70から135℃の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;この後者の樹脂は、主としてオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から生じ、水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も含む;(7)脂環式の石油炭化水素樹脂およびこれらの水素化誘導体;および(8)脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーおよびこれらの水素化誘導体が含まれる。
【0027】
本発明で使用するのに好ましい粘着付与剤としては、ポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、および脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーが挙げられる。脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーおよびこれらの水素化誘導体がより好ましい。例としては、GoodyearからのWingtack Extra、Eastman Chemical CompanyからのPiccotac 9095およびExxon Mobil Chemical CompanyからのECR 179Xが挙げられる。特定の粘着付与剤が望ましいかどうか、および選択するかどうかは、採用される具体的な弾性ブロックコポリマーによって決めることができる。
【0028】
さらには、好ましくは接着剤に、最高、約30重量%の末端ブロック粘着付与剤樹脂を包含させてもよい。末端ブロック樹脂は、接着剤が冷却された後、熱可塑性エラストマーの非エラストマーブロックに主として存在する。そのような樹脂の代表は主として、例えば、Eastman Chemical Companyから入手できる材料のような、混合C9石油蒸留流れをベースとする芳香族樹脂、または例えば、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、クマロンまたはインデンのホモポリマーまたはコポリマーのような芳香族モノマーの純粋のまたは混合のモノマー流れをベースとする樹脂である。Eastman Chemical Companyから商標名・KristalexおよびPlastolynで入手できる、α−メチルスチレンをベースとするものが好ましい。この末端ブロック樹脂が存在する場合、これは一般に、約1から約30重量%、好ましくは約20重量%未満の量で使用される。
【0029】
また、前記接着剤は任意に、性質が主として脂肪族であって前記熱可塑性エラストマー中間ブロックと適合性のある油または他の液状希釈剤を含んでいてもよい。存在する場合は、本発明の組成物は、典型的には、約25重量%未満の量の液状可塑剤を含む。液状可塑剤が存在する場合は、この接着剤は、少なくとも約1重量%、より典型的には少なくとも約5重量%の液状可塑剤を含む。例としては、パラフィン系およびナフテン系石油、高度に精製された芳香族フリーパラフィン系およびナフテン系食品ならびに工業グレードの白色石油鉱油のような可塑剤、およびポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペンなどの合成液状オリゴマーのような液状粘着付与剤が挙げられる。合成系プロセス油は、中程度から高い分子量の常に流動的な液状モノオレフィン、イソパラフィンまたはパラフィンである、高粘度オリゴマーである。液状可塑化または粘着付与の希釈剤としては、Goodyearから入手できるWingtack 10のようなポリテルペン、およびExxon Chemicalから入手できるC供給流れをベースとするEscorez 2520が挙げられる。別の液状希釈剤としては、KurarayからLIR50として入手できるポリイソプレン、およびIndopolの名前で入手できるAmocoのポリブテンが挙げられる。重合C石油供給流れである、Escorez 2520との組合せでパラフィン油が最も好ましい。
【0030】
また、ポリエチレンワックスのようなワックスが存在してもよい。ワックスが用いられる場合、それは一般に、少なくとも約2重量%、最高5%の量で存在する。
【0031】
最後に、ゴムをベースとする感圧接着剤の製造で典型的に使用される酸化防止剤が、最高、約3重量%の量で存在してもよい。本明細書で使用される有用な安定剤または酸化防止剤としては、高分子量ヒンダードフェノールならびに硫黄およびリンを含有するフェノールのような多官能フェノールが挙げられる。ヒンダードフェノールは当業者に周知であり、そのフェノール性ヒドロキシル基に近いところに立体的に嵩高い基を含むフェノール性化合物として特徴付けることができる。特に、第3級ブチル基が、一般に、ベンゼン環上、フェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位の少なくとも1つで置換されている。代表的なヒンダードフェノールとしては:1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリチルテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;4,4’−メチレンビス(2,6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール);2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,2,5−トリアジン;ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;およびソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]が挙げられる。
【0032】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、当該技術分野において公知である技術を用いて形成することができる。典型的な手順は、前記熱可塑性ポリマーと共に約20%の前記油または液状希釈剤、および安定剤をジャケット付きの混合釜、好ましくは強力な混合器(これらは回転翼が取り付けられている)内に入れること、およびその後すぐに、温度を最高、約190℃までの範囲に上げること、を含む。この混合物が溶融された後、温度を150から165℃に下げる。滑らかで均一なマスが得られるまで混合および加熱を続け、得られるとすぐに粘着付与樹脂、ワックス、および残りの希釈剤を十分、均一に混合する。
【0033】
前記接着剤を、当該技術分野において公知である任意の方法で所望の基体に塗布してもよく、ロールコーティング、塗装、乾式−ブラシ仕上げ、浸漬コーティング吹き付け、スロット−コーティング、スワール状吹き付け、印刷(例えば、インクジェット印刷)、フレキソ印刷、射出、噴霧吹き付け、グラビア(パターンホイール転写)、静電、蒸着、繊維化および/またはスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0034】
本発明の接着剤は、例えば、使い捨て品の製造のための構造接着剤として有用であり、特に、弾性アタッチメント用途で使用するのに非常に適しており、例えば、ラベル、テープおよびグラフィックの用途のような感圧の最終用途で有利に使用することができる。
【0035】
弾性アタッチメントで必要とされる最も重要な特性は、クリープ性能である。そのようなものとして、優れた靱性を有する接着剤が要求される。本発明の接着剤は、弾性アタッチメント用途および他の用途に必要とされる厳しい要求を満たす。すなわち、この接着剤は特に、弾性不織布の製造、および乳幼児おむつ、トイレトレーニングおむつ、成人失禁ブリーフまたは下着、および類似物の製造に有用である。本発明の接着剤は、典型的には、約250°F(121℃)から約325°F(163℃)の温度で基体に塗布されてもよい。
【0036】
吸収体構造は、典型的には不織布を含む。不織布は、柔軟性、多孔性および統合性によって特徴付けられる絡み合う繊維ネットワーク化として定義される。不織布を構成するのに使用される個々の繊維は、合成のもの、天然のもの、またはこの2つの組合せであってもよい。これらの個々の繊維は、互いに機械的に、化学的に、または熱的に結合していてもよい。不織布は、絶縁、包装(例えば、肉のような食品)、家庭雑巾、外科用ドレープ(drapes)、包帯、およびおむつ、成人失禁製品および生理用ナプキンなどの使い捨て物品を含めて、商業的に様々な用途で使用される。ティッシュは、密接に関係する材料であり、この材料中で個々の繊維が互いに化学的に結合していても、結合していなくてもよい。
【0037】
前記接着剤は、バックシートにトップシートを付着させるのに使用されてもよい。あるいは、前記接着剤は、トップシートまたはバックシートのいずれかを、ティッシュ層、レッグフラップ(leg flaps)、締付け耳(fastening ears)、テープ、またはタブのような使い捨ての吸収体製品の別の構成要素、または当業者に周知の使い捨て吸収体製品を構成するのに典型的に使用される別の構成要素に接着させるために使用されてもよい。
【0038】
当業者であれば、材料がトップシートおよびバックシートとして使用するのに適しているかどうか認識できる。トップシートとして使用するのに適している材料の例は、平方メートル当たり約15から約25グラムの基本重量を有するスパンボンド・ポリプロピレンまたはポリエチレンのような液体透過性材料である。使い捨て吸収体製品で多く使用されるバックシートは、一般に、寝具および/または衣類の上に着る服を汚さないようにするために、水、尿、月経、または血液のような液体を使い捨て吸収体製品の吸収体コア内に含有する機能を果たす、液体非透過性材料から製造される。使い捨て吸収体製品でバックシートとして有用な材料は、一般に、液体に対して非透過性であるが、蒸気に対しては透過性である。その例としては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムのような液体−非透過性材料、ならびに通気性フィルムと呼ばれることもある微孔質ポリオレフィンフィルムのような蒸気−透過性材料である。
【0039】
本発明の接着剤は特に、弾性アタッチメント用接着剤として有用である。優れた伸縮性および弾性を有する材料が、例えば、尿漏れ防止パッド、使い捨ておむつ、トイレトレーニングおむつ、衣料品、下着、スポーツアパレル、自動車装備品、ウェザー−ストリッピング(weather−stripping)、ガスケット、および家具装飾品のような様々な使い捨て品および耐久物品を製造するのに必要とされる。伸縮性および弾性は、例えば、着用者の体または品物のフレームへの厳密な一致を達成するように機能することができる性能特性である。数多くの材料が室温で、優れた応力−歪み特性および弾性を示すことが知られているものの、体温または夏季の間の自動車内部のような高い温度での反復使用、伸長および収縮の間、ぴったり合致するまたは確実な適合性を提供する弾性材料が望まれることが多い。前記接着剤は、乳幼児おむつまたは成人失禁品物のような不織布アプリケーションでの使用のための弾性アタッチメント用接着剤として特定の用途を見いだしている。不織布の市場に加えて、本発明のホットメルト接着剤は、塗布温度を下げ、同時に接着剤の靱性および強度を保つことが望まれている包装、改造および製本市場において有用である。
【0040】
使い捨て弾性物品は、製造技術の組合せによって典型的には、ポリマーフィルム、弾性繊維、不織布シートおよび/または吸収材料から製造される複合材料である。弾性繊維は、溶融−および溶液−紡糸および巻き取りのような周知の方法で製造されることができる。不織布シートは、スパンボンド法、メルトブロウ法、水流交絡、機械的交絡などによって製造されることができる。フィルムおよびシートの形成方法は、典型的には、公知の押出しおよび共押出し技術、例えば、インフレーションフィルム、キャストフィルム、異形押出し、射出成形、押出しコーティング、および押出しシーティングを含む。ポリマーフィルムは、ポリオレフィンフィルム、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンのような液体非透過性材料、ならびに通気性フィルムと呼ばれることもある微孔質ポリオレフィンフィルムのような蒸気透過性材料が好ましい。
【0041】
耐久弾性物品、例えば、自動車のドアおよび窓の装備品、衣類のウエストのバンドスレッドまたはストリップ、および建物ウェザー−ストリッピングは、よく知られた成形法(熱成形および異形押出し技術)で製造されることができる。
【0042】
ある材料が、この材料に付勢力(biasing force)をかけた後、高い百分率の弾性回復(すなわち、低い百分率の永久ひずみ)を有することで特徴付けられる場合、この材料は、典型的には弾性と考えられる。弾性材料は、理想的には3つの温度に対する非依存特性の組合せ、すなわち、低い百分率の永久ひずみ、歪みでの低い応力または荷重、および低い百分率の応力または荷重緩和、によって特徴付けられる。すなわち、低温から高温までの使用温度で、(1)材料を延伸するために必要な低い応力または荷重、(2)この材料が延伸されている間、ゼロまたは低い応力の緩和または荷重開放、および(3)延伸、付勢、または歪みをかけることを停止した後に原寸法への完全または高いレベルでの回復、でなければならない。従って、弾性ポリマーは、典型的には希釈剤フリーで、あらゆる屈曲(繊維形態にある場合)に関係なく、100%を超えた過剰の破断伸びを有し、その長さの2倍に延伸し、1分間保持し、次いで解放した場合、解放の1分以内にその元の長さの1.5倍未満に縮むポリマーである。そのようなポリマーとしては、天然ゴムまたは合成ゴム、ポリエーテルウレタンおよびポリエステルウレタンのようなセグメント化ポリウレタン(ポリウレタンウレアを含む)、ポリエーテルエステル、弾性ポリエチレンおよびポリプロピレン、ならびにポリエーテルアミドが挙げられ、これらに限定されるものではない。本発明の物品は、様々な形態のそのような弾性ポリマーを包含する基体を含むことができ、そのような基体は、本発明の利益に悪影響しない限りにおいて、本発明の方法において使用されることができる。本発明の製造品は、接着剤および少なくとも1種の弾性基体、例えば、少なくとも1種の弾性繊維、テープ、フィルム、ストリップ、コーティング、リボンおよび/またはシートを含むことができ、実質的に、直鎖エチレンポリマーおよび例えば、スパンデックス[例えば、Lycra(登録商標)スパンデックスおよびLycra(登録商標)XAであり、上部に潤滑仕上げがほとんどか全くないスパンデックスである]のような弾性基体を含む。1つの実施形態では、この基体は、スパンデックスまたは溶融紡糸されたエラストマーを含む。別の実施形態では、この基体は、繊維形態または約10mm未満の幅のストリップ形態にある天然または合成ゴムを含む。前記接着剤および少なくとも1つの弾性基体は、製造品の少なくとも1つの構成要素を構成してもよい。そのような構成要素の非限定的な例としては、ウエストバンド、脚帯、腹帯などが挙げられる。
【0043】
米国国際貿易委員会は、スパンデックスを、繊維形成基材が少なくとも85重量百分率のセグメント化ポリウレタンからなる長鎖の合成ポリマーである繊維製品として定義している。Lycra(登録商標)スパンデックスは、これを下着、スポーツアパレルおよび水着で使用するのに非常に適したものにするほぼ理想的な温度非依存性の弾性特性を示すことが知られている。
【0044】
本発明は、さらに、下記の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例】
【0045】
下記の実施例においては、特に他に断りのない限り、すべての部は重量であり、すべての温度は華氏(度)である。
【0046】
本明細書に記載した配合物を、シグマ・ブレード(sigma blade)を有する600gブラベンダー混合器中で製造した。その配合物中のブロックコポリマーおよび約20%の油を、約325°F(163℃)に予熱加熱したボウルに添加した。均一になったら中間ブロック粘着付与剤を添加した。最後に、追加の油および末端ブロック粘着付与剤を添加した。このブレンド工程は、混合物が均一になった時点で終了した。
【0047】
下記の材料を使用して接着剤を製造した。
【0048】
Soloprene 9618は、Dynasolから入手できる超分岐SBSブロックコポリマーである。それは30%のスチレン含量、ISO1133法に従った約12g/10分のメルトフローインデックスを有する。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約50%である。
【0049】
カップリング効率は、約50%である。
【0050】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton 1102は、末端ブロックとして約30%のスチレンおよび中間ブロックとして70%のブタジエンポリマーを有するブロックコポリマーである。Kraton 1102のISO1133法に従ったメルト・フロー・インデックスは、14g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約17%である。
【0051】
LCYから入手できるGlobalprene 166は、30重量%のスチレン、および中間ブロックとして70%のブタジエンポリマーを含有するスチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーである。Globalprene 166のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、6g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約5%である。
【0052】
LCY Elastomersから入手できるGlobalprene 6302は、約30重量%のスチレン、および中間ブロックとして70%のブタジエンポリマーを有するブロックコポリマーである。Globalprene 6302のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、1g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率はごく小さい。
【0053】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton 1184は、末端ブロックとして約30%のスチレン、および中間ブロックとして70%のブタジエンポリマーを有する放射状コポリマーである。Kraton 1184のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、1g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約16%である。
【0054】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton MD 6460は、末端ブロックとして30%のスチレン、および中間ブロックとして70%のイソプレンとブタジエンランダムコポリマーを有するブロックコポリマーである。MD 6460のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、6−11g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約30%である。
【0055】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton 1124は、末端ブロックとして約30%のスチレン、および中間ブロックとして70%のイソプレンポリマーを有する放射状コポリマーである。Kraton 1124のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、4g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、30%である。
【0056】
Exxon Mobileから入手できるDPX 539は、末端ブロックとして約30%のスチレン、および中間ブロックとして70%のイソプレンポリマーを有する放射状コポリマーである。DPX 539のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、11g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、24%である。
【0057】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton D1162BSは、末端ブロックとして約44%のスチレン、および中間ブロックとして56%のイソプレンポリマーを有するブロックコポリマーである。Kraton 1162のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、40g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、0%である。
【0058】
Exxon Mobile Chemical Companyから入手できるVector 4461は、末端ブロックとして約30%のスチレン、および中間ブロックとして70%のブタジエンポリマーを有するブロックコポリマーである。Vector 4461のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、10−16g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、0%である。
【0059】
Kraton Polymer米国から入手できるKraton 1101は、末端ブロックとして約31%のスチレン、および中間ブロックとして69%のブタジエンポリマーを有するブロックコポリマーである。Kraton 1101のISO1133法に従ったメルトフローインデックスは、1g/10分である。このポリマーのジ−ブロックの百分率は、約17%である。
【0060】
Dynasol Elastomerから入手できるSolprene 1205は、18重量%のスチレンを含有するスチレン−ブタジエンコポリマーである。
【0061】
Eastman Chemical Companyから入手できるPlastolyn 240は、α−メチルスチレン末端ブロック粘着付与樹脂であり、117℃から123℃の環球式軟化点を有する。
【0062】
Eastman Chemical Companyから入手できるEastotac H100は、95℃から105℃の環球式軟化点を有する水素化炭化水素粘着付与樹脂である。
【0063】
Eastman Chemical Companyから入手できるEastotac H−130Rは、125℃から135℃の環球式軟化点を有する水素化炭化水素粘着付与樹脂である。
【0064】
ECR 179EXは、Exxon Mobile Chemical Companyから入手できる水素化脂環式粘着付与樹脂である。それは、100℃から106℃の環球式軟化点を有する。
【0065】
Arizona Chemicalから入手できるPiccolyte HM106は、スチレンテルペン樹脂である。
【0066】
Eastman Chemicalから入手できるPiccotac 7590は、91℃から94℃の環球式軟化点を有する芳香族変性脂肪族炭化水素の粘着付与剤である。
【0067】
Sartomerから入手できるWingtac 86は、84℃℃から90℃の環球式軟化点を有する芳香族変性脂肪族炭化水素の粘着付与剤である。
【0068】
Sartomerから入手できるWingtac 10は、10℃から15℃の環球式軟化点を有する脂肪族炭化水素の粘着付与剤である。Calumet Lubricants Companyから入手できるCalsol 5550は鉱油である。
【0069】
Ciba Speciality Chemicalsから入手できるIRGANOX 1010は、ヒンダードフェノール型の酸化防止剤である。
【0070】
Ciba Speciality Chemicalsから入手できるIrganox 1726は、多官能酸化防止剤である。
【0071】
採用した試験手順を下記および実施例中に記載している。
【0072】
ホットメルト接着剤の溶融粘度を、27番のスピンドルを用いてブルックフィールドモデル(Brookfield Model)RVT Thermosel粘度計によって決定した。
【0073】
このホットメルト接着剤の引張性能を、1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)のエンドタブ(end tab)および0.5インチ×0.5インチ(1.27cm×1.27cm)の中央ゲージ部分を有する厚さ0.125インチ(0.318cm)、長さ2.5インチ(6.35cm)の(犬用の)骨型の部分について決定した。これらを空気圧グリップを有するInstronを用いて12インチ(30.5cm)/分の速度で引張った。次いで、この接着剤の破壊応力および降伏応力を記録した。
【0074】
前記ホットメルト接着剤の機械力学性能を、レオメトリック動的機械分析器(Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer)モデルRDA 700によって決定して、温度に対する弾性率(G’)および損失弾性率(G”)を得た。この計器は、Rhiosソフトウェア4.3.2.版によって制御された。直径8mmの約2mm間隔で分離された平行プレートを使用した。試料を装着し、次いで約−100℃に冷却し、時間プログラムを開始した。このプログラム試験では、温度を5℃間隔で増加し、各温度での浸漬時間を10秒にした。試料の入った対流式オーブンを連続的に窒素で置換した。周波数を10ラド/秒に維持した。試験開始における初期歪みは、0.05%であった(プレートの外縁)。ソフトウェアの自動歪みオプションを使用し、試験全体を通して正確に測定できるトルクを維持した。このオプションをソフトウェアによって可能な最大の適用歪みが80%になるように設定した。この自動歪みプログラムは、保障された場合、下記の手順を使って各々の温度増加で歪みを調節した。トルクが200g−cmより小さい場合は、歪みは電流値の25%が増加した。トルクが1200g−cmより大きい場合は、歪みは電流値の25%が減少した。トルクが200から1200g−cmの間では、その温度増加で歪みに変化がなかった。トルクと歪みデータからソフトウェアによって、剪断貯蔵弾性率または弾性率(G’)および剪断損失弾性率(G”)を計算した。また、tanδとして知られている、これらの比、G”/G’を計算した。中間ブロックのTgをtanδの最高値と見なした。この交差温度は、G’およびG”が互に等しく、末端ブロック領域が流動し始める温度である。
【0075】
クリープ性能については、最終用途での使用温度[100°F(37.8℃)]で4時間という延伸条件下で、フリー末端弾性ストランドがどれほど縮むかを測定することによって評価した。
【0076】
前記延伸条件で、2枚の不織布シートまたは不織布シートとポリマーフィルムの間で接着されたフィラメント(スパンデックス)の長さを測定した(「開始長さ」)。不織布/フィルムおよびスパンデックスの両末端を切断し、その結果、生じたフリー末端フィラメントが縮む量を100°F(37.8℃)、4時間後に測定した。次いで、百分率クリープを下記の方法で計算した:
%クリープ={(開始長さ−最終長さ)/開始長さ}×100
【0077】
例えば、印の間の開始長さが20cmで、印の間の最終長さが15cmである場合、百分率クリープは25%である。各条件に対して5つの試料を試験し、試験結果を各弾性ストランドに対して平均して結果を記録した。
【0078】
試験した配合物および得られた結果を表1に示す。使用した接着剤塗布器は、Nordson Spiral噴霧器ある。デシテックスが620のLycra Spandexの3本のストランドを、1枚の15gsm(グラム/平方メートル)スパン−ボンド不織布および1枚のポリ−フィルムを含有する基体に接着した。接着剤塗布の間、連続の巻き付けなしのパターンを採用した。3本のストランドに対して、付加量は8mg/インチ(3.15mg/cm)であった。
【0079】
実施例1
本発明の実施で使用することができるポリマーの型を特徴付けるために、非ジブロックポリマーおよびジブロックポリマーの分子量を、光散乱分子量およびGPC分子量測定を使って決定した。下記の手順は、キャラクタリゼーション方法を説明する。
【0080】
試料作製:10−15mgのポリマー固体を4mlのバイアルに秤量し、次いで4mlのテトラヒドロフランを添加する。試料の性質に依存して、前記溶液を50℃まで数分間、加熱して溶解を容易にすることができる。次いで、この溶液を0.45ミクロンPTEF注射器フィルターによってろ過する。2mlのろ液を2ml自動試料採取器バイアルに移し、回転式コンベヤーに搭載していつでも注入する状態にする。
【0081】
計器の設定:計器は、WatersのAlliance 2695 HPLCユニット、その後に続く脱ガス器、ならびに3本のPLGelカラム(細孔径100A、500Aおよび混合ベッドC)および1本のガードカラムを取り付けたShimazu CTO−10Aカラムオーブンからなる。Wyatt光散乱検出器・DAWN DSPおよびRI検出器・Optilab DSPを使用する。
【0082】
操作条件:移動相を35℃でテトラヒドロフランにした。流速を1ml/分にした。各試料に対する注入容積を100ミクロンリッターにした。
【0083】
データ分析:ポリスチレンに対するGPC分子量をEmpower(登録商標)ソフトウェアで計算し、絶対分子量をAstraで計算した。dn/dcについては、リファレンスとしてのポリスチレンによって濃度で規格化された積分面積から計算した。分岐を2つのアプローチで定量化した:
1)絶対分子量(非ジ−ブロックコポリマー)のGPC分子量(非ジ−ブロックコポリマー)に対する比、この比が大きいほど、ポリマーはより多くの分岐を有する;
2)非ジブロックコポリマーのピーク分子量およびジ−ブロックコポリマーのピーク分子量の間の比。この比は、各分岐構造のアームの数を与える。
【0084】
実施例2
表1に示す13重量%のブロックコポリマー、7.00重量%のVector 4461、8.25重量%のPlastolyn 240、32.50重量%のEastotac H100、22.75重量%のECR 179EX、16.50重量%のCalsol 5550および0.50重量%のIrganox 1010を含有する接着剤を製造した。本実施例で使用した様々なブロックコポリマーの決定した光散乱分子量(LS MW)、GPC分子量(GPC MW)、GPC MWに対するLS MWの比、ジブロックLS MWおよびアーム数も表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1で説明した接着剤配合物の様々な特性を表2に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
このデータから、より多いアーム数の超分岐SBSブロックコポリマーを含有する試料1が、特に他のSBSブロックコポリマーと比較して、不織布接着剤用途に対してより十分な性能を保証すると考えられる325°F(163℃)でのG’/粘度およびピーク引張り/粘度の特性を示し、SISの性能に近づいていることが分かる。
【0089】
実施例3
弾性アタッチメント用接着剤を作製することを目的に、ベースとするポリマーとしてSol T 9618を使用し、異なった粘着付与剤系の1つのシリーズの配合物を作製する。配合物を表3にリストし、この表は、弾性アタッチメント用接着剤として使用される場合の主要な機械特性、粘度、およびクリープ性能も含んでいる。表3に示すように、すべての配合物は、この種の用途に対しては適度に低い粘度を有する許容できるクリープ性能を示す。
【0090】
【表3】

【0091】
実施例4
接着剤試料で、16.9重量%のSoloprene 9618、2.5重量%のKraton D1162BS、10.0重量%のPiccolyte HM 106、31.6重量%のEastotac H100、9.0重量%のEastotac H−130R、5.0重量%のECR 179EX、7.6重量%のPlastolyn 240、17.4重量%のCalsol 5550および0.50重量%のIrganox 1010を含有する試料Aを製造した。
【0092】
デシテックス620の3本のスパンデックス・ストランドを接着するために、配合物を270°F(132℃)で渦巻きパターンを用いて塗布した。含浸量は、6mg/インチ(2.36mg/cm)および8mg/インチ(3.15mg/cm)であった。この接着剤のクリープ性能および機械特性を、市販の弾性アタッチメント用接着剤(National Starch and Chemical Company)である34−897B(試料B)と比較して表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
表4に示すように、試料A配合物は試料Bと比較して、弾性アタッチメント用接着剤として同じような機械特性および性能を出した。しかしながら、試料Aの粘度は有意に低かった。
【0095】
図1は、試料Aと試料Bのレオロジー特性の比較を示す。図1に示すように、これらの2つの配合物は、最終末端の用途(40℃)で、ほとんど同じ特性を与える。
【0096】
【表5】

【0097】
本発明に従ったホットメルト感圧配合物(試料E)は、表5に示す30%の超分岐SBSおよび他の原料成分からなる。比較の目的で、非超分岐SBSおよび同じ原料成分からなる2つの他のホットメルト配合物(試料Cおよび試料D)も表5に示す。
【0098】
接着剤(試料E)を同定し、試料Cおよび試料Dと比較した。粘度を27番スピンドルを用いたブルックフィールド(Brookfield)粘度計によって、325°F(163℃)および350°F(177℃)で測定した。軟化点をMettler FP83 Drop Point Apparatusによって測定した。各接着剤を1ミル(0.0254mm)の被覆重量で剥離紙に被覆し、次いで積層し、2ミル(0.0508mm)のデュポン社製のマイラー(Mylar:登録商標)フィルムに移した。
【0099】
Instronを使用したステンレススチールパネル上での180°剥離試験の実施によって、剥離接着力を測定した。寸法1インチ×6インチ(2.54cm×15.2cm)で1ミル(0.0254mm)の接着剤試料を、72°F(22.2℃)、50%相対湿度の条件下に少なくとも16時間置いた。次いで、この接着剤試料をステンレススチールパネル上に塗布し、4.5ポンドローラーを転がして延ばした。結合を20分および24時間それぞれ調整した後、接着剤試料を12インチ(30.5cm)/分の剥離速度で180°から剥離した。剥離強度の結果を平均荷重(ポンド)で記録した。
【0100】
ループタック試験器を用いてステンレススチールパネル上でループタックを測定した。1ミル(0.0254mm)の接着剤試料を1インチ×5インチ(2.54cm×12.7cm)ストリップに切断し、72°F(22.2℃)、50%相対湿度の条件下に少なくとも16時間置いた。 次いで、この接着剤試料を、末端を共に固着させてループに折り曲げた。このループの端をループタック試験器に取付け、このループを下げて、非常に短時間ステンレススチールの表面と接触させる。次いでこのループを引き戻し、ピーク荷重をループタックとしてポンド/インチ(lb/in)の単位で記録した。
【0101】
剪断抵抗試験では、接着剤試料を1インチ×3インチ(2.54cm×7.62cm)ストリップに切断し、72°F(22.2℃)、50%相対湿度の条件下に少なくとも16時間置いた。
この接着剤試料の1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)領域をステンレススチールパネル上に塗布した。この結合に、72°F(22.2℃)、50%の相対湿度の条件下、垂直に2kgの重量を掛けた。落ちるまでの時間を記録した。一般に、時間が長いほど、より優れた剪断抵抗および高い凝集力を指示している。
【0102】
SAFTは、剪断接着力破壊温度である。この試験は、試料の製造手順が同じで、剪断試験と類似の試験設定をする。72°F(22.2℃)での試験の代わりに、温度の上昇が1分当たり1°F(0.55℃)のSAFTオーブン中で結合に重量を掛けた。結合が破壊する温度を剪断接着力破壊温度として°Fで記録した。
【0103】
機械的動的性能をレオメトリック動的機械分析器(モデルRDA 700)によって決定し、前に説明した。
交差温度は、G’およびG”が互に等しく、末端ブロック領域が流動し始める温度として定義する。
【0104】
表6に性能結果を示す。
【0105】
【表6】

【0106】
表6に示すように、試料Eは、ステンレススチール基体に対する優れた剥離接着力、タックおよび剪断抵抗を明示している。軟化点およびSAFTとして認められた耐熱性は、試料Cよりも遥かに優れている。G’=G”での高い交差温度も、試料Eの高温における良好な性能を指示している。そしてもっと重要なことは、試料Eの粘度は、有意により低いことである。試料のホットメルト接着剤は、テープまたは高耐熱性ラベル用途に対して非常に有用であることが期待される。
【0107】
試料Cは、相対的に低い軟化点および耐熱性を有した。しかしながら、それでもその粘度は、試料Eと比較してかなり高い。
【0108】
試料Dは、良好な剥離、タック接着力、ならびに優れた耐熱性を示している。しかしながら、その粘度不利益は実に大きい。その極端に高い粘度のために、ホットメルト加工が不利になっている。
【0109】
実施例6
【0110】
【表7】

【0111】
表7は、本発明に従って製造したホットメルト感圧配合物(試料F)を示す。比較する目的で、表7に示す非超分岐SBSポリマーおよび同一の原料成分からなる他のホットメルト配合物(試料G)も製造した。
【0112】
接着剤(試料F)を同定して試料Gと比較した。性能結果を表8に示す。
【0113】
【表8】

【0114】
表8に示すように、試料Fは、ステンレススチール基体に対する高剥離接着力および高剪断抵抗のような良好な感圧性能を明示している。その耐熱性は、SAFTおよび交差温度として認められるように、試料Gよりもずっと良好であった。そしてもっと重要なことは、試料Fの粘度は試料Gよりも有意に低い。結果からは、試料Fのホットメルト接着剤がテープまたは耐熱性ラベル用途として非常に有用であると思われる。
【0115】
本発明の多くの修正および変更については、当業者には明らかであるように、その精神と範囲を外れることなく行うことができる。本明細書に記載された特定の実施形態は、単なる例示として提供され、本発明は、添付特許請求の範囲の用語と共に、そのような特許請求の範囲によって権利を認められる均等の十分な範囲によってだけ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約25%から約75%のジ−ブロック百分率を有する超分岐ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)ブロックコポリマーおよび粘着付与樹脂を含み、ここで、前記超分岐SBSは、(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量と(非ジ−ブロックポリマーの)GPC分子量の間の比が1.4より大きく、かつ(非ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWと(ジ−ブロックポリマーの)光散乱分子量MWの間の比が5より大きいことで特徴付けられ、前記超分岐SBSブロックコポリマーの各アームの重量平均分子量は、約100,000未満である、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記超分岐SBSブロックコポリマーの各アームの前記重量平均分子量が、約20,000から約80,000である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
さらに、直鎖状、または放射状、またはランダム・ブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記超分岐SBSブロックコポリマーが約50%未満のジ−ブロック百分率を有する、請求項3に記載の接着剤。
【請求項5】
前記超分岐SBSブロックコポリマーのスチレン含量が、約20重量%から約50重量%である、請求項1または3に記載の接着剤。
【請求項6】
感圧接着剤である、請求項5に記載の接着剤。
【請求項7】
前記直鎖状、放射状またはランダム・ブロックコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソブチレン−スチレン、スチレン−b−エチレン/ブチレン−b−スチレン、スチレン−b−エチレン/プロピレン−b−スチレン、スチレン−ブタジエン・ランダムコポリマーおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の接着剤。
【請求項8】
前記超分岐SBSブロックが、少なくとも約10個のアームを含む、請求項1または3に記載の接着剤。
【請求項9】
前記超分岐SBSブロックが、少なくとも約13個のアームを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項10】
さらに、ワックスを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項11】
さらに、液状可塑剤を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項12】
請求項1に記載のホットメルト接着剤および基体を含む、製造品。
【請求項13】
前記基体が、弾性繊維を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記基体が、不織布基体である、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
使い捨ての弾性物品である、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
おむつである、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記基体が、包装基体である、請求項12に記載の物品。
【請求項18】
感圧接着剤物品である、請求項12に記載の物品。
【請求項19】
テープまたはラベルである、請求項18に記載の物品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−536957(P2010−536957A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521167(P2010−521167)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/073103
【国際公開番号】WO2009/026085
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】